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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】圧電定数測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/22 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
G01R29/22 Z
G01R29/22 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019022151
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020128944
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
(73)【特許権者】
【識別番号】517106327
【氏名又は名称】リードテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】石井 佑弥
(72)【発明者】
【氏名】早野 修二
(72)【発明者】
【氏名】桂 澄夫
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0086753(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0001476(KR,A)
【文献】特開2018-163128(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0006364(KR,A)
【文献】特開平11-183543(JP,A)
【文献】米国特許第05915267(US,A)
【文献】特開2007-273617(JP,A)
【文献】特開2001-264373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極を有し、該第1電極及び第2電極を圧電材料の第1の面及び第2の面に接させ、前記第1電極又は/及び前記第2電極を直線移動させて該圧電材料に荷重を印加する荷重印加手段と、
前記圧電材料に印加される前記荷重を計測する荷重計測手段と、
前記荷重が印加されることによって前記圧電材料に発生する電荷を前記第1電極又は/及び前記第2電極を通して入力して該電荷の量を計測する電荷量計測手段と、
前記計測された電荷の量と前記計測された荷重から圧電定数を算出する圧電定数測定制御手段と、
前記圧電材料に前記荷重を印加するときに移動する前記第1電極又は前記第2電極とともに移動可能な変位部材と、
前記圧電材料の歪を計測してヤング率を算出するように該変位部材の変位を計測する変位計と、
を備え
前記圧電材料にそれを圧縮する向きの前記荷重を前記荷重印加手段の上記直線移動により印加して前記荷重と前記電荷の量と前記歪を計測することで、前記荷重と前記電荷の量から前記圧電材料の前記圧電定数であるd33を前記圧電定数測定制御手段により算出すると同時に前記荷重と前記歪から前記ヤング率を算出することが可能な圧電定数測定装置。
【請求項2】
第1電極及び第2電極を有し、該第1電極及び第2電極を圧電材料の第1の面及び第2の面に接させ、前記第1電極又は/及び前記第2電極を移動させて該圧電材料にそれを圧縮する向きに荷重を印加する荷重印加手段と、
前記圧電材料に印加される前記荷重を計測する荷重計測手段と、
前記荷重が印加されることによって前記圧電材料に発生する電荷を前記第1電極又は/及び前記第2電極を通して入力して該電荷の量を計測する電荷量計測手段と、
前記計測された電荷の量と前記計測された荷重から圧電定数であるd33を算出する圧電定数測定制御手段と、
前記圧電材料に前記荷重を印加するときに移動する前記第1電極又は前記第2電極とともに移動可能な変位部材と、
該変位部材の変位を計測する変位計と、
を備え、
前記第1電極は透明基板上に設けた透明電極であり、
前記透明基板の前記第1電極の反対側に光学検査部が設けられていることを特徴とする圧電定数測定装置。
【請求項3】
第1電極及び第2電極を有し、該第1電極及び第2電極を圧電材料の第1の面及び第2の面に接させ、更に第1電極補助部と第2電極補助部を有し、該第1電極補助部と前記第1電極の間に前記圧電材料の一方の端部を挟み、かつ、前記第2電極補助部と前記第2電極の間に前記圧電材料の他方の端部を挟み、前記第1電極又は/及び前記第2電極を直線移動させて該圧電材料に荷重を印加する荷重印加手段と、
前記圧電材料に印加される前記荷重を計測する荷重計測手段と、
前記荷重が印加されることによって前記圧電材料に発生する電荷を前記第1電極又は/及び前記第2電極を通して入力して該電荷の量を計測する電荷量計測手段と、
前記計測された電荷の量と前記計測された荷重から圧電定数を算出する圧電定数測定制御手段と、
前記圧電材料に前記荷重を印加するときに移動する前記第1電極又は前記第2電極とともに移動可能な変位部材と、
前記圧電材料の歪を計測してヤング率を算出するように該変位部材の変位を計測する変位計と、
を備え、
前記圧電材料にそれを引き伸ばす向きの前記荷重を前記荷重印加手段の上記直線移動により印加して前記荷重と前記電荷の量と前記歪を計測することで、前記荷重と前記電荷の量から前記圧電材料の前記圧電定数であるd31を前記圧電定数測定制御手段により算出すると同時に前記荷重と前記歪から前記ヤング率を算出することが可能な圧電定数測定装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の圧電定数測定装置において、
前記変位計は、レーザー変位計であることを特徴とする圧電定数測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電材料の圧電定数を測定する圧電定数測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電材料の圧電定数を測定する圧電定数測定は、共振・反共振法など様々な方法が可能である。それらの中で、簡単な構成の装置で測定できる方法として、圧電材料に荷重を印加し、それにより発生する電荷の量を計測するものがある。圧電定数には、荷重の方向と発生する電荷の方向に応じたd33、d31などが有り、圧電定数は、荷重と計測した電荷の量などを用いて所定の式を用いて求めることができる。
【0003】
例えば、特許文献1の図11には、架台(試料台)の上に順に、下部電極、圧電材料、上部電極を載せ、印加荷重制御手段の下端に設けられた上部接触電極を下降させて上部電極に接触させることで圧電材料に荷重の印加を行い、上部接触電極と下部電極との間に発生する電荷の量を計測して圧電定数d33を求める圧電定数測定装置が開示されている。印加荷重制御手段には、接触荷重検出ユニット(ロードセル)が設けられており、圧電材料に印加された荷重を検出することができる。電荷の量は、圧電材料に印加される荷重を最小印加荷重から連続的又は段階的に増すことで圧電材料に生じる電流を積分して電圧に変換することで計測している。
【0004】
また、特許文献2には、圧電定数d33を測定する圧電定数測定装置の基本構成に、圧電定数d31用の治具を取り付けることで、圧電定数d31を測定することができる圧電定数測定装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、複数個のパルス荷重により発生した複数個のパルス状の電荷の量の変化量を計測し、その変化量と計測されたパルス荷重から圧電定数を算出できる圧電定数測定装置が開示されている。この圧電定数測定装置のバリエーションの構成に応じて、圧電定数d33、圧電定数d31を算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-242360号公報
【文献】特開2014-081339号公報
【文献】特許第6241975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、圧電材料はセラミックスやフィルムなど多種にわたっている。フィルムのように柔軟な圧電材料は、荷重により変形し易いため、圧電定数を算出するとともに、柔軟さを示すヤング率を算出することも重要である。しかし、特許文献1、特許文献2、特許文献3を含め従来の圧電定数測定装置は、圧電定数とヤング率をともに算出することが特に容易にできるような装置ではなかった。
【0008】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧電定数とヤング率をともに算出することが容易にできる圧電定数測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の圧電定数測定装置は、第1電極及び第2電極を有し、該第1電極及び第2電極を圧電材料の第1の面及び第2の面に接させ、前記第1電極又は/及び前記第2電極を直線移動させて該圧電材料に荷重を印加する荷重印加手段と、前記圧電材料に印加される前記荷重を計測する荷重計測手段と、前記荷重が印加されることによって前記圧電材料に発生する電荷を前記第1電極又は/及び前記第2電極を通して入力して該電荷の量を計測する電荷量計測手段と、前記計測された電荷の量と前記計測された荷重から圧電定数を算出する圧電定数測定制御手段と、前記圧電材料に前記荷重を印加するときに移動する前記第1電極又は前記第2電極とともに移動可能な変位部材と、前記圧電材料の歪を計測してヤング率を算出するように該変位部材の変位を計測する変位計と、を備え、前記圧電材料にそれを圧縮する向きの前記荷重を前記荷重印加手段の上記直線移動により印加して前記荷重と前記電荷の量と前記歪を計測することで、前記荷重と前記電荷の量から前記圧電材料の前記圧電定数であるd33を前記圧電定数測定制御手段により算出すると同時に前記荷重と前記歪から前記ヤング率を算出することが可能である
【0010】
請求項に記載の圧電定数測定装置は、第1電極及び第2電極を有し、該第1電極及び第2電極を圧電材料の第1の面及び第2の面に接させ、前記第1電極又は/及び前記第2電極を移動させて該圧電材料にそれを圧縮する向きに荷重を印加する荷重印加手段と、前記圧電材料に印加される前記荷重を計測する荷重計測手段と、前記荷重が印加されることによって前記圧電材料に発生する電荷を前記第1電極又は/及び前記第2電極を通して入力して該電荷の量を計測する電荷量計測手段と、前記計測された電荷の量と前記計測された荷重から圧電定数であるd33を算出する圧電定数測定制御手段と、前記圧電材料に前記荷重を印加するときに移動する前記第1電極又は前記第2電極とともに移動可能な変位部材と、該変位部材の変位を計測する変位計と、を備え、前記第1電極は透明基板上に設けた透明電極であり、前記透明基板の前記第1電極の反対側に光学検査部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の圧電定数測定装置は、第1電極及び第2電極を有し、該第1電極及び第2電極を圧電材料の第1の面及び第2の面に接させ、更に第1電極補助部と第2電極補助部を有し、該第1電極補助部と前記第1電極の間に前記圧電材料の一方の端部を挟み、かつ、前記第2電極補助部と前記第2電極の間に前記圧電材料の他方の端部を挟み、前記第1電極又は/及び前記第2電極を直線移動させて該圧電材料に荷重を印加する荷重印加手段と、前記圧電材料に印加される前記荷重を計測する荷重計測手段と、前記荷重が印加されることによって前記圧電材料に発生する電荷を前記第1電極又は/及び前記第2電極を通して入力して該電荷の量を計測する電荷量計測手段と、前記計測された電荷の量と前記計測された荷重から圧電定数を算出する圧電定数測定制御手段と、前記圧電材料に前記荷重を印加するときに移動する前記第1電極又は前記第2電極とともに移動可能な変位部材と、前記圧電材料の歪を計測してヤング率を算出するように該変位部材の変位を計測する変位計と、を備え、前記圧電材料にそれを引き伸ばす向きの前記荷重を前記荷重印加手段の上記直線移動により印加して前記荷重と前記電荷の量と前記歪を計測することで、前記荷重と前記電荷の量から前記圧電材料の前記圧電定数であるd31を前記圧電定数測定制御手段により算出すると同時に前記荷重と前記歪から前記ヤング率を算出することが可能である。
【0012】
請求項に記載の圧電定数測定装置は、請求項1~のいずれか1項に記載の圧電定数測定装置において、前記変位計は、レーザー変位計であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の圧電定数測定装置によれば、圧電定数とヤング率をともに算出することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る圧電定数測定装置を示すものであって、荷重印加手段と荷重計測手段の一部と変位部材は断面図で示し、荷重計測手段のその他の一部と電荷量計測手段と圧電定数測定制御手段と変位計はブロック図(又は模式図)で示したものである。
図2】同上の圧電定数測定装置における波形の例を示すもので、(a)が圧電材料に印加される荷重の波形図であり、(b)が荷重により発生する電荷の量の波形図である。
図3】同上の圧電定数測定装置の電荷量計測手段の構成例を示す概略図である。
図4】同上の圧電定数測定装置の圧電定数測定制御手段の構成例を示す概略図である。
図5】同上の圧電定数測定装置の一つの変形例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る他の圧電定数測定装置を示すものであって、荷重印加手段と荷重計測手段の一部と変位部材は断面図で示し、荷重計測手段のその他の一部と電荷量計測手段と圧電定数測定制御手段と変位計はブロック図(又は模式図)で示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態を、以下説明する。本発明の実施形態に係る圧電定数測定装置1及び後述する圧電定数測定装置1’は、圧電材料PIの圧電定数を測定するものである。測定される圧電材料PIとしては、フィルムのように柔軟なものが好適である。また、測定される圧電材料PIの形状としては、柱状、板状又はシート状など各種の形状が可能である。圧電定数を測定するとき、圧電材料PIは、荷重が印加されることにより、一方側の面である第1の面PS1とその反対側に位置する他方側の面である第2の面PS2に電荷が発生する。荷重の方向は、圧電定数測定装置1と後述する圧電定数測定装置1’とで異なっている。
【0016】
圧電定数測定装置1は、圧電定数d33が測定可能な装置である。この圧電定数測定装置1は、図1に示すように、荷重印加手段2と荷重計測手段3と電荷量計測手段4と圧電定数測定制御手段5と変位部材6と変位計7とを備えている。
【0017】
荷重印加手段2は、圧電材料PIに荷重を印加するものである。また、荷重印加手段2は、第1電極21と第2電極22を有する構成である。荷重印加手段2は、第1電極21を圧電材料PIの第1の面PS1に接させ、第2電極22を圧電材料PIの第2の面PS2に接させ、第1電極21又は/及び第2電極22を移動させて圧電材料PIに荷重を印加する。荷重の向きは、圧電材料PIを圧縮する向きである。そうすると、圧電材料PIの第1の面PS1と第2の面PS2に電荷が発生する。
【0018】
荷重印加手段2は、荷重計測手段3と電荷量計測手段4と圧電定数測定制御手段5と合わせて様々な具体的な形態が可能であるが、本実施形態では、上記特許文献3に開示のものと同様な、圧電材料PIに静荷重を印加し、かつ、この静荷重が印加されている間に複数個のパルス荷重を印加するものとしている。パルス荷重(図2(a)の波形において線bで示す。)は、パルス状の荷重である。静荷重(図2(a)の波形において線aで示す。)は、複数個のパルス荷重が圧電材料PIに印加されるときに、その基準として一定に保たれている荷重である。静荷重は、例えば、複数個のパルス荷重が圧電材料PIに印加されるときに、0.01N~1N程度にすることができる。この静荷重は、通常、圧電材料へのストレスが余り大きくならないことに留意して定める。パルス荷重は、例えば、0.01N~1N程度にすることができる。このパルス荷重は、通常、圧電材料へのストレスが余り大きくならないことに留意して定める。また、パルス荷重は、幅を余り長くする必要がなく、例えば、0.5秒~1.5秒程度の幅とすることができる。なお、静荷重がまだ印加されていない状態であっても、圧電材料PIは第1電極21と第2電極22とによって支持されるため、それらの間には非常に小さい荷重(予荷重)(図2(a)の波形における線cで示す。)が印加されている。
【0019】
本実施形態では、複数個のパルス荷重の印加によって、図2(b)に示すように、複数個のパルス状の電荷の量の変化が発生する。後述するように、複数個のパルス状の電荷の量の変化が計測されることになるが、それぞれのパルス状の電荷の量の変化は、相互に大きくは違っていないため、複数個のパルス荷重の数はそれほど多くしなくてよい。複数個のパルス荷重は、3個以上のパルス荷重であることが好ましく、例えば3個のパルス荷重でもよい。なお、圧電材料PIの周囲(荷重印加手段2の全部又は一部の周囲を含む)はシールド材(鉄製又はアルミ製など)を設けてシールドするのが通常であるが、ノイズ等により、電荷の量の波形が全体的に少し傾斜する場合もある。
【0020】
本実施形態の荷重印加手段2の詳細な構成について、以下、説明する。本実施形態の荷重印加手段2は、第1電極21が取り付けられてそれを運動制御する第1電極制御部23と、第2電極22が取り付けられてそれを運動制御する第2電極制御部24と、を有している。本実施形態では、第1電極21は圧電材料PIの下方側に配置され、第2電極22は圧電材料PIの上方側に配置されており、第1電極21又は第2電極22を移動させて圧電材料PIに荷重を印加するようになっている。
【0021】
第1電極制御部23は、第1電極21を介して圧電材料PIに印加する複数個のパルス荷重を制御する。第1電極制御部23は、第1直動モーター231と、電極台ケース支持棒台232と、複数個の電極台ケース支持棒233、233と、電極台ケース支持棒軸受部234と、電極台ケース235と、第1電極台236と、を有して構成される。
【0022】
第1直動モーター231は、直動部231aが支持部231bを基準の位置にして直動するモーターであり、支持部231bは、直動部231aが上下動するように圧電定数測定装置1のフレーム(図示せず)に固定されている。第1直動モーター231は、特に限定されるものではないが、VCMやサーボモーターなどを用いることができる。
【0023】
電極台ケース支持棒台232は、第1直動モーター231の直動部231aの上面部に固定され、また、複数個の電極台ケース支持棒233、233の下端部を固定するものである。
【0024】
複数個の電極台ケース支持棒233、233は、その上端部に電極台ケース235の下面部が固定される。
【0025】
電極台ケース支持棒軸受部234は、下部プレート234aと、上部プレート234bと、複数個のプレート固定ネジ234c、234cと、複数個の電極台ケース支持棒軸受234d、234dと、複数個の電極台保持バネ234e、234eと、を有している。下部プレート234aと上部プレート234bとは、複数個の電極台ケース支持棒軸受234d、234dを挟みつけて複数個のプレート固定ネジ234c、234cによって互いに固定されている。下部プレート234aと上部プレート234bとは、少なくともどちらかが圧電定数測定装置1のフレーム(図示せず)に固定されている。複数個の電極台ケース支持棒軸受234d、234dの中には、複数個の電極台ケース支持棒233、233が通されて摺動する。複数個の電極台保持バネ234e、234eは、上部プレート234bの上面に配置されて、複数個の電極台ケース支持棒233、233の上端部近傍が挿入されている。複数個の電極台保持バネ234e、234eは、複数個の電極台ケース支持棒233、233の上下動を緩衝することができる。
【0026】
電極台ケース235は、第1電極台236を収容するものである。電極台ケース235は、外部の電磁界をシールドすることもできる。電極台ケース235の内側にはテフロン(登録商標)樹脂などの絶縁体が固定されており、その絶縁体に第1電極台236は固定される。また、電極台ケース235には、第1電極台236に接続される後述する電気導線236Aが通過する孔が設けられている。
【0027】
第1電極台236は、第1電極21と同電位になるように接続され、電気導線236Aが接続されるものである。第1電極台236は、第1電極21の端部(圧電材料PIに接触し得る端部)が上向きになるようにそれが取り付けられる。詳細には、第1電極21の下部にはネジ部21aが設けられており、それが第1電極台236にねじ込まれている。また、電気導線236Aは、第1電極台236の下部に接続されている。電気導線236A(及び後述する電気導線22A、31A)は、ノイズが電気信号に入らないように被覆されている。なお、ノイズ等が問題にならない範囲で、第1電極21と同電位のその他の箇所に電気導線236Aを接続することも可能である。
【0028】
第1電極21は、圧電材料PIに接触し得る端部が球又は楕球の一部の形状(図1参照)或いは円板形状などとなっているものが可能であるが、特に形状が限定されるものではない。
【0029】
次に、第2電極制御部24を説明する。第2電極制御部24は、第2電極22を介して圧電材料PIに印加する静荷重を制御する。第2電極制御部24は、第2直動モーター241と、荷重検出器取付プレート242と、第2電極取付プレート243と、を有して構成される。
【0030】
第2直動モーター241は、荷重検出器取付プレート242、荷重計測手段3の後に詳述する荷重検出器31を介して第2電極22を直動(直線移動)させることができる。第2直動モーター241は、直動部241aが支持部241bを基準の位置にして直動するモーターであり、支持部241bは、直動部241aが上下動するように圧電定数測定装置1のフレーム(図示せず)に固定されている。直動部241aは、その下端部が荷重検出器取付プレート242に固定されている。第2直動モーター241は、特に限定されるものではないが、位置制御用のサーボモーターなどを用いることができる。
【0031】
荷重検出器取付プレート242は、荷重検出器31が下方からの力を検出し得るようにそれが取り付けられるものである。
【0032】
第2電極取付プレート243は、第2電極22の端部(圧電材料PIに接触し得る端部)が下向きになるようにそれが取り付けられるものである。詳細には、第2電極22の上部にはネジ部22aが設けられており、それが第2電極取付プレート243にねじ込まれている。ネジ部22aの上端面は、第2電極取付プレート243から露出している。第2電極取付プレート243は、周辺部の上面に荷重検出器取付プレート摺動棒242A、242Aが取り付けられており、また、上方には、荷重検出器保持バネ242B、242Bを介して上記の荷重検出器取付プレート242が位置している。荷重検出器取付プレート242と第2電極取付プレート243は、荷重検出器取付プレート摺動棒242A、242Aにガイドされ、また、荷重検出器保持バネ242B、242Bに緩衝されて相対的に上下動可能となっている。なお、荷重検出器取付プレート摺動棒242A、242Aの上部には、荷重検出器取付プレート242と第2電極取付プレート243の最大の離間を決める頭部242Aa、242Aaが設けられている。
【0033】
第2電極22が圧電材料PIに接触するまでは、荷重検出器取付プレート242と第2電極取付プレート243は、それらの間の最大の離間を保って荷重検出器31が第2電極22(ネジ部22a)に接触していない状態で下降する。第2電極22が圧電材料PIに接触してからは、荷重検出器取付プレート242と第2電極取付プレート243の間が縮まっていき、荷重検出器31が第2電極22(ネジ部22a)に接触するようになる。そうすると、第2電極22と後述する第1電極21との間(圧電材料PIの第2の面PS1と第1の面PS2の間)に荷重の印加が可能になり、荷重計測手段3の荷重検出器31による荷重の計測が可能になる。
【0034】
第2電極22は、圧電材料PIに接触し得る端部が球又は楕球の一部の形状(図1参照)或いは円板形状などとなっているものが可能であるが、特に形状が限定されるものではない。また、第2電極22には、電気導線22Aが接続されている。なお、ノイズ等が問題にならない範囲で、第2電極22と同電位のその他の箇所に電気導線22Aを接続することも可能である。
【0035】
荷重印加手段2の各部は、電極台ケース235の内側の絶縁体を除いて、通常、金属製である。本実施形態では、荷重印加手段2の各部は、第1電極21と第1電極台236とを除いて、圧電定数測定装置1のフレーム(図示せず)と同じアース電位となっている。
【0036】
次に、荷重計測手段3について説明する。
【0037】
荷重計測手段3は、圧電材料PIに印加される荷重を計測するものである。本実施形態では、荷重計測手段3は、圧電材料PIに印加される静荷重及び前記複数個のパルス荷重を計測するものである。本実施形態では、荷重計測手段3は、荷重(圧縮荷重)を検出する荷重検出器(ロードセル)31と、検出した荷重に対応する電気信号をデジタルデータ化して圧電定数測定制御手段5に出力することなどを行う荷重計測処理器32を有する。荷重検出器31は、荷重印加手段2の機構に組み込まれており、図1において、符号31Aは、荷重検出器31と荷重計測処理器32とを接続する電気導線を示している。荷重計測処理器32は、荷重検出器31と一体化することも可能である。
【0038】
次に、電荷量計測手段4について説明する。
【0039】
電荷量計測手段4は、荷重が印加されることによって圧電材料PIの第1の面PS1又は/及び第2の面PS2に発生する電荷を第1電極21又は/及び第2電極22を通して入力して電荷の量を計測する。例えば、電荷量計測手段4は、図3に例示するように、オペアンプ41の反転入力端子と出力端子の間にコンデンサ42と高抵抗43を並列に接続して構成したチャージアンプとADコンバータ44とを有するものとすることができる。ここでは、オペアンプ41の非反転入力端子、反転入力端子にそれぞれ電荷量計測手段4の入力端子4a、4bを接続し、ADコンバータ44の入力端子、出力端子にそれぞれオペアンプ41の出力端子、電荷量計測手段4の出力端子4cを接続している。
【0040】
入力端子4a、4bにはそれぞれ、電気導線22A、電気導線236Aを接続する。本実施形態では、電気導線22Aはアース電位となるので、電荷量計測手段4は、圧電材料PIの第1の面PS1に発生する電荷が入力端子4bを通って入力され、オペアンプ41とコンデンサ42と高抵抗43を用いたチャージアンプで電圧に変換し、その電圧をADコンバータ44によりデジタルデータに変換することで、電荷の量を計測し、出力端子4cから計測値を出力する。チャージアンプは、図示したものに限らず、種々の回路が可能である。
【0041】
また、電荷量計測手段4では、荷重が印加される前に、圧電材料PIの第1の面PS1と第2の面PS2に生じている電荷の量をゼロにしておくことができる。例えば、図3に示すように、オペアンプ41の反転入力端子と出力端子の間にコンデンサ42及び高抵抗43と並列に接続スイッチ45を設けて、接続スイッチ45の開閉を制御端子4dを介して制御されるようにすることができる。接続スイッチ45が導通すると、オペアンプ41の非反転入力端子と反転入力端子の間の電位差がゼロになり、従って、それらに接続される圧電材料PIの第1の面PS1と第2の面PS2の間の電位差及び電荷の量がゼロになる。制御端子4dは、圧電定数測定制御手段5による制御が可能である。
【0042】
次に、圧電定数測定制御手段5について説明する。
【0043】
圧電定数測定制御手段5は、電荷量計測手段4で計測された電荷の量と計測された荷重から圧電定数を算出する。本実施形態では、圧電定数測定制御手段5は、電荷量計測手段4で計測された電荷の量から、複数個のパルス荷重により発生した複数個のパルス状の電荷の量の変化量を計測し、その変化量と計測されたパルス荷重から圧電定数を算出する。算出する圧電定数は、d33が可能である。また、圧電定数は、通常、平均化される。
【0044】
本実施形態では、例えば、複数個のパルス状の電荷の量の変化量と複数個のパルス荷重のうち、第1番目の立ち上りでの変化量ΔQ1uとパルス荷重ΔF1uが計測され(図2(a)、(b)参照)、圧電定数のd331uが以下の式(1)で算出される。
d331u=ΔQ1u/ΔF1u ・・・(1)
同様にして、第1番目の立ち下りでの変化量ΔQ1dとパルス荷重ΔF1d、第2番目の立ち上りでの変化量ΔQ2uとパルス荷重ΔF2u、第2番目の立ち下りでの変化量ΔQ2dとパルス荷重ΔF2d、第3番目の立ち上りでの変化量ΔQ3uとパルス荷重ΔF3u、第3番目の立ち下りでの変化量ΔQ3dとパルス荷重ΔF3d、が計測され(図2(a)、(b)参照)、圧電定数のd331d、d332u、d332d、d333u、d333d、が算出される。そして、d331u、d331d、d332u、d332d、d333u、d333d、が平均化される。
【0045】
圧電定数測定制御手段5は、コンピュータ(パソコン)によって実現されるのが通常である。例えば、図4に示すように、プログラム記憶部51の中の圧電定数算出用プログラム51aに従って、CPU52は、電荷量計測手段4で計測された電荷の量のデジタルデータを入力部53を介して入力端子5aから入力する。そして、データ記憶部54などを用いて上述した算出方法で圧電定数を算出し、出力部55を介して出力端子5bから出力する。また、圧電定数測定制御手段5は、荷重印加手段2の第1直動モーター231や第2直動モーター241などを制御することができる。
【0046】
次に、変位部材6と変位計7について説明する。
【0047】
変位部材6は、圧電材料PIに荷重を印加するときに、移動する第1電極21又は第2電極22とともに移動可能なものである。本実施形態では、圧電材料PIに静荷重を印加するときに変位を計測するように、変位部材6は、第2電極22とともに移動可能なものとなっている。詳細には、変位部材6は、第2電極取付プレート243(図1参照)又は荷重検出器取付プレート242などに固定することで、圧電材料PIに荷重を印加するときに第2電極22とともに移動可能とすることができる。
【0048】
変位計7は、変位部材6の変位(位置の変化)を計測するものである。変位計7は、変位部材6にレーザーを照射することで変位部材6の変位を計測できるレーザー変位計を用いることができる。本実施形態では、変位計7は、第2直動モーター241の支持部241bに変位計接続部材7Aを用いて固定されている(図1参照)。変位計7は、圧電定数測定装置1のフレーム(図示せず)に固定することも可能である。このような変位計7は、変位部材6の変位を計測することで、圧電材料PIの歪を計測することができる。
【0049】
以上説明した圧電定数測定装置1は、圧電材料PIにそれを圧縮する向きの荷重を印加して、荷重と電荷の量と歪を計測することで、容易に、荷重と電荷の量から圧電材料PIの圧電定数d33を算出できると同時に、荷重と歪からヤング率を算出することができる。また、柔軟な圧電材料PIの中には、圧電性が歪に依存するもの(例えば、エレクトロスピニング法で作製したポリフッ化ビニリデン系ファイバなど)も有り、圧電定数測定装置1は、圧電性と歪の関係性を求めることができる。
【0050】
次に、圧電定数測定装置1の具体的な形態の一つの変形例を説明する。この変形例は、特に、図5に示すように、荷重印加手段2において、第1電極21を平板状の透明基板25(例えば、ガラス基板など)上に設けた透明電極(例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)の薄膜など)とし、また、第1電極制御部23を省略したものである。この場合、静荷重及びパルス荷重は、第2電極制御部24によって制御され、また、第2直動モーター241は、特に限定されるものではないが、サーボモーターなどを用いることができる。静荷重及びパルス荷重が第2電極制御部24によって制御されるので、静荷重を印加するときの変位とパルス荷重を印加するときの変位を計測することができる。また、圧電材料PIは透明基板25上の薄膜の第1電極21によって支持されるため、支持のための上記の予荷重は印加される必要はなく、また、圧電材料PIが撓み易い場合に好適である。また、電荷量計測手段4の入力端子4a、4bにはそれぞれ、電気導線236A、電気導線22Aを接続し、電気導線236Aをアース電位とする。
【0051】
このような透明電極の第1電極21と透明基板25を有する圧電定数測定装置1は、図5に示すように、透明基板25の第1電極21の反対側に光学検査部26を設けて、荷重を印加したときの圧電材料PI(特に、圧電性が歪に依存するもの)を容易に検査することができる。光学検査部26は、具体的には、圧電材料PIのミクロな動きを検査できるように顕微鏡(光学顕微鏡又は蛍光顕微鏡など)又はカメラを含んだり、発光スペクトルを測定するように分光分析器を含んだりすることができる。なお、ポリフッ化ビニリデン系ファイバなどの圧電材料PIを検査する場合、圧電材料PIには、色素(ローダミン6Gなど)、薬剤、磁性材料、ナノ粒子など様々なものを添加することができる。
【0052】
次に、圧電定数測定装置1’について説明する。圧電定数測定装置1’は、圧電定数d31が測定可能な装置である。この圧電定数測定装置1’は、図6に示すように、荷重印加手段2’と荷重計測手段3’と電荷量計測手段4’と圧電定数測定制御手段5’と変位部材6’と変位計7’とを備えている。
【0053】
荷重印加手段2’は、圧電材料PIに荷重を印加するものである。また、荷重印加手段2’は、第1電極21’と第2電極22’を有する構成である。荷重印加手段2’は、第1電極21を圧電材料PIの第1の面PS1に接させ、第2電極22を圧電材料PIの第2の面PS2に接させ、第1電極21’又は/及び第2電極22’を移動させて圧電材料PIに荷重を印加する。荷重の向きは、圧電材料PIを引き伸ばす向きである。そうすると、圧電材料PIの第1の面PS1と第2の面PS2に電荷が発生する。荷重印加手段2’は、圧電材料PIを引き伸ばすために、更に第1電極補助部21S’と第2電極補助部22S’とを有し、第1電極補助部21S’と第1電極21’の間に圧電材料PIの一方の端部(図6においては下方の端部)を挟み、かつ、第2電極補助部22S’と第2電極22’の間に圧電材料PIの他方の端部(図6においては上方の端部)を挟むようにしている。第1電極補助部21S’と第2電極補助部22S’とは、樹脂製などの絶縁体である。また、圧電材料PIの第1の面PS1と第2の面PS2には、前もってアルミなどの金属が蒸着されている。
【0054】
荷重印加手段2’は、荷重計測手段3’と電荷量計測手段4’と圧電定数測定制御手段5’と合わせて様々な具体的な形態が可能であるが、本実施形態では、上記特許文献3に開示のものと同様な、圧電材料PIに静荷重を印加し、かつ、この静荷重が印加されている間に複数個のパルス荷重を印加するものとしている。静荷重及びパルス荷重の大きさなどについては、圧電定数測定装置1の荷重印加手段2と同様である。また、圧電定数測定装置1’において圧電材料PIに印加される荷重とその荷重により発生する電荷の量は、基本的な波形については圧電定数測定装置1について図2に示した波形と同様である。
【0055】
本実施形態では、複数個のパルス荷重の印加によって、複数個のパルス状の電荷の量の変化が発生する(図2(b)参照)。後述するように、複数個のパルス状の電荷の量の変化が計測されることになるが、それぞれのパルス状の電荷の量の変化は、相互に大きくは違っていないため、複数個のパルス荷重の数はそれほど多くしなくてよい。複数個のパルス荷重は、3個以上のパルス荷重であることが好ましく、例えば3個のパルス荷重でもよい。なお、圧電材料PIの周囲(荷重印加手段2の全部又は一部の周囲を含む)はシールド材(鉄製又はアルミ製など)を設けてシールドするのが通常であるが、ノイズ等により、電荷の量の波形が全体的に少し傾斜する場合もある。なお、静荷重がまだ印加されていない状態であっても、圧電材料PIは第1電極21’及び第1電極補助部21S’と第2電極22’及び第2電極補助部22S’とによって張った状態で保持されるため、それらの間には非常に小さい荷重(予荷重)(図2(a)の波形における線cを参照)が印加されている。
【0056】
本実施形態の荷重印加手段2’の詳細な構成について、以下、説明する。本実施形態の荷重印加手段2’は、第1電極21’と第1電極補助部21S’が取り付けられてそれを運動制御する第1電極制御部23’と、第2電極22’ と第2電極補助部22S’が取り付けられてそれを運動制御する第2電極制御部24’と、を有している。本実施形態では、第1電極21’は圧電材料PIの下部側に配置され、第2電極22’は圧電材料PIの上部側に配置されている。
【0057】
第1電極制御部23’は、第1電極21’を介して圧電材料PIに印加する複数個のパルス荷重を制御する。第1電極制御部23’は、上述した第1電極制御部23の場合と同様の、第1直動モーター231と、電極台ケース支持棒台232と、複数個の電極台ケース支持棒233、233と、電極台ケース支持棒軸受部234と、を有している。第1電極制御部23’は、また、上述した電極台ケース235と第1電極台236に対応する電極台ケース235’と第1電極台236’を有して構成される。
【0058】
電極台ケース235’は、電極台ケース235の構成に加えて、第1電極21’と第1電極台236’とを接続する電気導線21A’が通過する孔が設けられている。また、電極台ケース235’の上面には、第1電極補助部21S’が取り付けられている。
【0059】
第1電極台236’は、第1電極21’と同電位になるように接続され、電気導線236A’が接続されるものである。第1電極台236’は、電気導線21A’を介して第1電極21’に接続されている。また、電気導線236A’は、第1電極台236’の下部に接続されている。電気導線21A’、236A’(及び後述する電気導線22A’、31A’)は、ノイズが電気信号に入らないように被覆されている。なお、ノイズ等が問題にならない範囲で、第1電極21’と同電位のその他の箇所に電気導線236A’を接続することも可能である。
【0060】
第1電極補助部21S’は、第1電極補助部プレート21Sa’の上側に第1電極補助部支持板21Sb’が設けられ、その上側に、平板状の第1電極補助部挟み板21Sc’が設けられた構成である。
【0061】
第1電極21’は、上記の第1電極補助部挟み板21Sc’と略等しい大きさの平板状である。第1電極21’は、圧電材料PIの一方の端部を挟んだ状態で、ネジ21Sd’などにより第1電極補助部挟み板21Sc’に着脱可能に取り付けることができる。
【0062】
次に、第2電極制御部24’を説明する。第2電極制御部24’は、第2電極22’を介して圧電材料PIに印加する静荷重を制御する。第2電極制御部24’は、上述した第2電極制御部24の場合と同様の第2直動モーター241を有している。第2電極制御部24’は、また、上述した荷重検出器取付プレート242と第2電極取付プレート243に対応する荷重検出器取付プレート242’と第2電極取付プレート243’を有して構成される。
【0063】
荷重検出器取付プレート242’は、荷重計測手段3’の荷重検出器31’の上面が取り付けられるものである。
【0064】
第2電極取付プレート243’は、その下面に第2電極補助部22S’が取り付けられ、また、その上面に荷重計測手段3’の荷重検出器31’の下面が取り付けられるものである。第2電極取付プレート243’は、周辺部の上面に荷重検出器取付プレート摺動棒242A’、242A’が取り付けられている。荷重検出器取付プレート242’と第2電極取付プレート243’は、荷重検出器取付プレート摺動棒242A’、242A’にガイドされて相対的に上下動可能となっている。なお、荷重検出器取付プレート摺動棒242A’、242A’の上部には、荷重検出器取付プレート242’と第2電極取付プレート243’の最大の離間を決める頭部242Aa’、242Aa’が設けられている。
【0065】
第2電極補助部22S’は、第2電極補助部支持板22Sa’が設けられ、その下側に、平板状の第2電極補助部挟み板22Sb’が設けられた構成である。
【0066】
第2電極22’は、上記の第2電極補助部挟み板22Sb’と略等しい大きさの平板状である。第2電極22’は、圧電材料PIの他方の端部を挟んだ状態で、ネジ22Sc’などにより第2電極補助部挟み板22Sb’に着脱可能に取り付けることができる。また、第2電極22’には、電気導線22A’が接続されている。電気導線22A’は、第2電極取付プレート243’に接続されるとともに、後述する電荷量計測手段4’に接続される。なお、ノイズ等が問題にならない範囲で、第2電極22’と同電位のその他の箇所に電気導線22A’を接続することも可能である。
【0067】
荷重印加手段2’の各部は、電極台ケース235’の内側の絶縁体、第1電極補助部21S’、第2電極補助部22S’を除いて、通常、金属製である。本実施形態では、荷重印加手段2の各部は、第1電極21’と第1電極台236’とを除いて、圧電定数測定装置1’のフレーム(図示せず)と同じアース電位となっている。
【0068】
次に、荷重計測手段3’について説明する。
【0069】
荷重計測手段3’は、上述した荷重計測手段3と同様に、圧電材料PIに印加される荷重を計測するものである。本実施形態では、荷重計測手段3’は、圧電材料PIに印加される静荷重及び前記複数個のパルス荷重を計測するものである。本実施形態では、荷重計測手段3’は、荷重(引っ張り荷重)を検出する荷重検出器(ロードセル)31’と、検出した荷重に対応する電気信号をデジタルデータ化して圧電定数測定制御手段5’に出力することなどを行う荷重計測処理器32’を有する。荷重検出器31’は、荷重印加手段2’の機構に組み込まれており、図6において、符号31A’は、荷重検出器31’と荷重計測処理器32’とを接続する電気導線を示している。荷重計測処理器32’は、荷重検出器31’と一体化することも可能である。
【0070】
次に、電荷量計測手段4’について説明する。電荷量計測手段4’は、上述した電荷量計測手段4と同様な構成にすることができる。電荷量計測手段4’には、電気導線22A’、電気導線236A’を接続する。
【0071】
次に、圧電定数測定制御手段5’について説明する。
【0072】
圧電定数測定制御手段5’は、電荷量計測手段4’で計測された電荷の量と計測された荷重から圧電定数を算出する。本実施形態では、圧電定数測定制御手段5’は、電荷量計測手段4’で計測された電荷の量から、複数個のパルス荷重により発生した複数個のパルス状の電荷の量の変化量を計測し、その変化量と計測されたパルス荷重から圧電定数を算出する。算出する圧電定数は、d31が可能である。また、圧電定数は、通常、平均化される。
【0073】
本実施形態では、圧電定数測定装置1の説明で用いた図2(a)、(b)を用いると、例えば、複数個のパルス状の電荷の量の変化量と複数個のパルス荷重のうち、第1番目の立ち上りでの変化量ΔQ1uとパルス荷重ΔF1uが計測され、圧電定数のd311uが以下の式(2)で算出される。
d311u=(ΔQ1u/ΔF1u)×(t/L) ・・・(2)
ここで、tは圧電材料PIの厚さ(第1電極21’と第1電極補助部21S’の間又は第2電極22’と第2電極補助部22S’の間の圧電材料PIの厚さ)、Lは圧電材料PIの引き延ばされる部分の長さ(第1電極21’と第2電極補助部22S’の間又は第1電極補助部21S’と第2電極22’の間の圧電材料PIの長さ)である。同様にして、第1番目の立ち下りでの変化量ΔQ1dとパルス荷重ΔF1d、第2番目の立ち上りでの変化量ΔQ2uとパルス荷重ΔF2u、第2番目の立ち下りでの変化量ΔQ2dとパルス荷重ΔF2d、第3番目の立ち上りでの変化量ΔQ3uとパルス荷重ΔF3u、第3番目の立ち下りでの変化量ΔQ3dとパルス荷重ΔF3d、が計測され、圧電定数のd311d、d312u、d312d、d313u、d313d、が算出される。そして、d311u、d311d、d312u、d312d、d313u、d313d、が平均化される。
【0074】
圧電定数測定制御手段5’は、上述した圧電定数測定制御手段5と同様にして、コンピュータ(パソコン)によって実現されるのが通常であり、また、荷重印加手段2’の第1直動モーター231や第2直動モーター241などを制御することができる。
【0075】
次に、変位部材6’と変位計7’について説明する。
【0076】
変位部材6’は、圧電材料PIに荷重を印加するときに、移動する第1電極21’又は第2電極22’とともに移動可能なものである。本実施形態では、圧電材料PIに静荷重を印加するときに変位を計測するように、変位部材6’は、第2電極22’とともに移動可能なものとなっている。詳細には、変位部材6’は、第2電極取付プレート243’(図6参照)又は荷重検出器取付プレート242’などに固定することで、圧電材料PIに荷重を印加するときに第2電極22’とともに移動可能とすることができる。
【0077】
変位計7’は、変位部材6’の変位を計測するものである。変位計7’は、レーザー変位計を用いることができる。本実施形態では、変位計7’は、第2直動モーター241の’支持部241bに変位計接続部材7A’を用いて固定されている(図6参照)。変位計7’は、圧電定数測定装置1のフレーム(図示せず)に固定することも可能である。このような変位計7’は、変位部材6’の変位を計測することで、圧電材料PIの歪を計測することができる。
【0078】
以上説明した圧電定数測定装置1’は、圧電材料PIにそれを引き伸ばす向きの荷重を印加して、荷重と電荷の量と歪を計測することで、容易に、荷重と電荷の量から圧電材料PIの圧電定数d31を算出できると同時に、荷重と歪からヤング率を算出することができる。また、柔軟な圧電材料PIの中には、圧電性が歪に依存するもの(例えば、エレクトロスピニング法で作製したポリフッ化ビニリデン系ファイバなど)も有り、圧電定数測定装置1’は、圧電性と歪の関係性を求めることができる。なお、圧電定数測定装置1の上記の変形例のように、静荷重及びパルス荷重が第2電極制御部24’によって制御されるようにすれば、静荷重を印加するときの変位とパルス荷重を印加するときの変位を計測するようにすることができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態に係る圧電定数測定装置について説明したが、本発明の圧電定数測定装置は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内での様々な設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1、1’ 圧電定数測定装置
2、2’ 荷重印加手段
21、21’ 第1電極
21a 第1電極のネジ部
21S’ 第1電極補助部
21Sa’ 第1電極補助部プレート
21Sb’ 第1電極補助部支持板
21Sc’ 第1電極補助部挟み板
21Sd’ ネジ
22、22’ 第2電極
22a 第2電極のネジ部
22A、22A’ 第2電極の電気導線
22S’ 第2電極補助部
22Sa’ 第2電極補助部支持板
22Sb’ 第2電極補助部挟み板
22Sc’ ネジ
23、23’ 第1電極制御部
231 第1直動モーター
231a 第1直動モーターの直動部
231b 第1直動モーターの支持部
232 電極台ケース支持棒台
233 電極台ケース支持棒
234 電極台ケース支持棒軸受部
234a 電極台ケース支持棒軸受部の下部プレート
234b 電極台ケース支持棒軸受部の上部プレート
234c 電極台ケース支持棒軸受部のプレート固定ネジ
234d 電極台ケース支持棒軸受
234e 電極台保持バネ
235、235’ 電極台ケース
236、236’ 第1電極台
236A、236A’ 第1電極台の電気導線
24、24’ 第2電極制御部
241 第2直動モーター
241a 第2直動モーターの直動部
241b 第2直動モーターの支持部
241’ 手動押下器
241a’ 手動押下器の軸部
241b’ 手動押下器の支持部
241c’ 手動押下器のハンドル部
242、242’ 荷重検出器取付プレート
242A、242A’ 荷重検出器取付プレート摺動棒
242Aa、242Aa’ 荷重検出器取付プレート摺動棒の頭部
242B 荷重検出器保持バネ
243、243’ 第2電極取付プレート
25 透明基板
26 光学検査部
3、3’ 荷重計測手段
31、31’ 荷重検出器
31A、31A’ 荷重検出器の電気導線
32、32’ 荷重計測処理器
4、4’ 電荷量計測手段
4a、4b 電荷量計測手段の入力端子
4c 電荷量計測手段の出力端子
4d 電荷量計測手段の制御端子
41 電荷量計測手段のオペアンプ
42 電荷量計測手段のコンデンサ
43 電荷量計測手段の高抵抗
44 電荷量計測手段のADコンバータ
45 電荷量計測手段の接続スイッチ
5、5’ 圧電定数測定制御手段
5a 圧電定数測定制御手段の入力端子
5b 圧電定数測定制御手段の出力端子
51 圧電定数測定制御手段のプログラム記憶部
51a 圧電定数測定制御手段の圧電定数算出用プログラム
52 圧電定数測定制御手段のCPU
53 圧電定数測定制御手段の入力部
54 圧電定数測定制御手段のデータ記憶部
55 圧電定数測定制御手段の出力部
6、6’ 変位部材
7、7’ 変位計
7A、7A’ 変位計接続部材
PI 圧電材料
PS1 圧電材料の一方側の面である第1の面
PS2 圧電材料の他方側の面である第2の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6