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  • 特許-内視鏡装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20230810BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20230810BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
A61B1/00 552
A61B1/018 515
G02B23/24 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019567272
(86)(22)【出願日】2018-08-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2018000405
(87)【国際公開番号】W WO2019042578
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】202017004822.1
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017008148.4
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512111500
【氏名又は名称】ジョイマックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リース,ウルフギャング
(72)【発明者】
【氏名】ジャーマン,マルチン
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-104877(JP,A)
【文献】特表2014-533996(JP,A)
【文献】特開2007-130132(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0303944(US,A1)
【文献】特開2000-175862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 1/018
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡装置(1)であって、
延長部分(2.3)を有する近位導入ヘッド(2)と、
前記近位導入ヘッド(2)から遠位方向に延在しており、中心軸(A)を有するシャフト(3)と、
前記延長部分(2.3)を通って延在する少なくとも1つの細長い管腔(2.3.1)と、
センサロッド(4)であって、その長手方向に互いに対する有限間隔を置いて配置され、互いに相関して所定の有限角度(L)の元で配向されて交流電磁界の強度を検知する少なくとも2つのセンサコイル(4.1、4.2)を備えたセンサロッド(4)とを含み、
前記少なくとも2つのセンサコイル(4.1、4.2)は、前記中心軸(A)に平行に配向された第1センサコイル(4.1)と、前記近位導入ヘッド(2)の延長部分(2.3)中に配置されており前記中心軸(A)に対して前記所定の有限角度(L)の元で配向された第2センサコイルとを有し、
前記延長部分(2.3)が、シャフト(3)の中心軸(A)に対して前記所定の有限角度(L)で延在することを特徴とする内視鏡装置(1)。
【請求項2】
前記第1センサコイル(4.1)が前記シャフト(3)中に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡装置(1)。
【請求項3】
前記第1センサコイル及び第2センサコイル(4.1、4.2)を担持する前記センサロッド(4)が前記内視鏡装置(1)の管腔(2.3.1)を通って延在することを特徴とする、請求項1または2に記載の内視鏡装置(1)。
【請求項4】
前記センサロッド(4)が軸方向に固定的に前記近位導入ヘッド(2)の前記延長部分(2.3)上に戴置可能なホルダ(5)と結合されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の内視鏡装置(1)。
【請求項5】
前記近位導入ヘッド(2)の前記延長部分(2.3)および前記ホルダ(5)が管腔アダプタ(6)を有する互いに向き合い連絡する管腔アダプタ部分(6.1、6.2)を備え、前記延長部分(2.3)と前記ホルダ(5)が前記管腔アダプタ(6)によって固定的に互いに結合可能であることを特徴とする、請求項に記載の内視鏡装置(1)。
【請求項6】
前記第1センサコイル及び第2センサコイル(4.1、4.2)のそれぞれからリード線が前記センサロッド(4)を通り、評価装置との接続のために前記センサロッド(4)の近位端まで延在することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の内視鏡装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は近位導入ヘッドおよびこれから遠位方向に延在する、少なくとも1つの細長い管腔とともに装置を通って延びる中心軸を有するシャフトを備えた内視鏡装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術はナビゲーションに補助された手術方法によって今日すでに実行されている。ここでは様々なナビゲーションシステムが使用されている。能動的および受動的システムが適用される。能動的システムの場合、器具または手術道具のような患者の体内に挿入される部品が、それを介して外部で器具または道具の、特に介入部位にある遠位端の位置を決定できる送信機を備える。受動的システムの場合、フィールドが生成され、それがセンサを介して検出され、それによってまた器具または手術道具の、特にその遠位端の位置および配向が直接または間接的に検知されうる。手術部品の遠位端を直接検知することは、センサを部品の遠位端に配置すること自体を内容として含む。間接的に検知することは、手術部品の定位置、特に軸方向位置にセンサを硬く固定的に配置することを内容として含む。測定されたセンサ信号に基づき、遠位端の位置および場合により配向を帰納的に推定することができる。受動ナビゲーションの場合、特に電磁ナビゲーションが保持され、その場合、例えば患者が横たわる枕の中の電磁場の生成器によって、電磁場が手術領域の周囲で外部的に生成される。手術部品に組み込まれたコイル型センサの中で器具の位置付けをすることができ、それによってCTまたはMRI画像の表示を行うことができる。この方法は放射線被曝を伴わず、レントゲンの使用が減少することからも、全体的に放射線被曝が低減される。光学センサではないため、画質を損なうこともセンサが覆われることもない。光学システムの場合のように、外科医の動作の自由は制限されない。外科医の作業は実質的に容易になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、内視鏡の、特に遠位端の位置および方向付けが、前述のシステムにより上述の不利を回避して精密に決定されることができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明により上述の課題は、少なくとも2つの長手方向に有限間隔を置いて互いに対して配置される、互いに相関して有限角度の元で配向されるセンサコイルを有するセンサロッドによって特徴付けられる冒頭に述べられた種類の内視鏡装置によって解決される。
【発明の効果】
【0005】
両センサコイルが有限角度の元で互いに相関して内視鏡装置の中に配置されることにより、異なる配置に基づき検知システムの磁場中およびそれによって空間中の内視鏡装置の方向付けが精密に決定されることが達成される。
【0006】
好ましい実施形態では、第1センサコイルが中心軸に平行に配向され、第2センサコイルが中心軸に対して有限角度の元で配向され、特に第1センサコイルがシャフトの中に配置され、第2センサコイルが導入ヘッドの延長部分中に配置される。
【0007】
発展形態では、両センサコイルを担持するロッドが装置の管腔を通って延在し、特にロッドが軸方向に固定的に導入ヘッドの延長部分上に戴置可能なホルダと結合することが企図される。これによって1つのセンサコイル、特に第1センサコイルの内視鏡装置中の位置が正確に固定され、それによって第1センサコイルの検出システムによる磁場中の位置の決定を基にセンサ装置の遠位端の正確な位置の、およびそれによって作業位置の正確な決定が実現される。なぜなら(第1)センサコイルの内視鏡シャフトの遠位端からの間隔がこうして固定的に設けられるためである。
【0008】
センサコイルを担持するロッドの分離可能なホルダとの固定的結合によりさらに、一方でセンサコイルを担持するロッドを位置付け後に除去し、これを通して位置付けのために設けられる管腔を他の使用目的のために解放することが達成される。さらにそのようにロッドによりセンサコイルとともに成形されたセンサ装置は本来の内視鏡から分離可能であり、別の用途に使用されることができる。これは簡単な殺菌も可能にする。
【0009】
本発明のさらなる利点および特徴は、特許請求の範囲および、本発明の実施形態例の中で図面を参照して詳細に解説する以下の説明から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による内視鏡装置の長手断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の内視鏡装置1は図示された実施形態例中で近位導入ヘッド2およびこれから遠位に延在するシャフト3を備える。図に示された実施形態例で導入ヘッド2は3つの分岐または延長部分2.1から2.3を備え、つまり光ファイバを装置1の近位端からその遠位端に導入するための延長部分2.1、並びに同様にそれぞれ1つの管腔または、中心軸Aとともにシャフト3の遠位端からそれぞれのアダプタ2.2、2.3の出口まで延在する管を備えた、2つの延長部分2.2、2.3を備える。
【0012】
延長部分2.3の管腔2.3.1を通して、その長手延在で間隔を置いて2つのコイル4.1および4.2を担持するロッド4が延在する。ロッドは中実または柔軟なロッドとして、しかしまたは螺旋状に巻かれたロッドとして形成されうる。コイル4.1、4.2からそれぞれ1つの(図示されない)リード線が近位方向にそれぞれの線のそれぞれの近位接続または接触端まで、場合により線の(図示されない)評価装置への接続のためのプラグの形成の中に延在する。
【0013】
コイル4.1はロッド4の遠位端に、およびそれによってその中心軸Aに平行に延在するシャフト3内にあり、そのため同様に中心軸Aに平行にまたは軸平行に配向される。コイル4.1に間隔を置いてロッド4に配置されるコイル4.2は、中心軸Aに対する有限角度の元で延在する導入ヘッドの延長部分2.3の中にある。管腔2.3.1の管腔部分が同様に中心軸Aに対する有限角度の元で延在することにより、コイル4.2の延長部分2.3中での配向または延在は同様に中心軸Aに対する有限角度を含む。そのため両コイル4.1、4.2は互いに対して平行にではなく、互いに対する有限角度の元で配向される。
【0014】
外部から印加される不均一な電磁場の中に両コイル4.1、4.2がある場合、これらはそのためフィールドを異なって判別し、評価装置に異なる信号を送る。そのためコイル4.1、4.2のこれの異なった配向により、内視鏡装置の電磁場における、およびそれとともに空間における方向付けが正確に決定されることができる。
【0015】
ロッド4はホルダ5の中で軸方向に固定的に配置される。ホルダ5および延長部分2.3は互いに管腔アダプタ6によって結合可能であり、各部分が管腔アダプタ6のそれぞれの互いに対して連絡可能な部分6.1、6.2の1つを担持するため、延長部分2.3およびホルダ5は管腔アダプタ6によって公知の方法で銃剣のように互いに固定的に結合されることができる。それによってホルダ5の位置は延長部分2.3およびヘッド2にも、並びに内視鏡装置1のシャフト3にも相関して固定された状態で画定される。言及したように、シャフト4は軸方向に固定的にホルダ5中に配置されているため、それによってコイル4.1、4.2および特にシャフト3中の遠位コイル4.1、およびそれによって内視鏡装置1の長手位置も固定され、それとともに特にコイル4.1のシャフト3の遠位端3.1に対する軸方向間隔も固定される。それによってコイル4.1の印加された電磁場でのセンサ信号により、その位置も、およびシャフト3の遠位端3.1に対する固定的な間隔を基に、シャフト3の遠位端3.1の電磁場中の、およびそれとともに空間中の位置が決定されうる。
【0016】
それによって外科医はセンサ信号の評価および評価装置の画面上の画像表示を基にシャフト3の遠位端3.1およびそれとともに内視鏡装置1の位置も正確に識別し、それによって彼は自分がどこで、場合によりこれを内視鏡装置の他の管腔を通して導入し、および貫通させるその器具で作業をするかを正確に知る。
図1