(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】電気機械式駆動システム
(51)【国際特許分類】
H02K 51/00 20060101AFI20230810BHJP
H02K 11/01 20160101ALI20230810BHJP
【FI】
H02K51/00
H02K11/01
(21)【出願番号】P 2020521626
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 IB2018054615
(87)【国際公開番号】W WO2019003070
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-22
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SI
(73)【特許権者】
【識別番号】520001811
【氏名又は名称】メトコン ディ.オー.オー.
【氏名又は名称原語表記】METCON d.o.o.
【住所又は居所原語表記】Opekarska 10, 8250 Brezice, SLOVENIA
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ピルツ バルゲック,マンカ
【審査官】一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011107976(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 51/00
H02K 11/01
H02K 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的な動力負荷(2)に対する電気機械式駆動システム(1,1a)であって、
該電気機械式駆動システム(1,1a)が、
・電源(4)に接続可能であり、かつ、シャフトが設けられた少なくとも一つの電気モータ(3)と、
・電気機械駆動システム(1,1a)のオン/オフを切り替えるための第一スイッチ(5)と、
・一側で負荷(2)に接続可能な少なくとも一つの第一変速装置(6)と、
・少なくとも一つの発電機(8,8a)と、
・少なくとも一つの第二変速装置(9)と
を備え、
・前記第二変速装置(9)が、一側で発電機(8,8a)に接続された
電気機械式駆動システムにおいて
第一変速機(6)が、他側で、電気モータのシャフト(7)の第一端部に接続され、
・第二変速装置(9)が、他側で、電気モータ(3)のシャフトの第一端部(7)の方向と反対方向に延びる電気モータのシャフトの第二端部(10)に接続され、
発電機(8,8a)が、第二スイッチ(11)を介して電源(4)及び電気モータ(3)に電気的に接続され、発電機(8,8a)からの電流を電気モータ(3)及び/又は電源(4)に向けることができるように構成され、
前記発電機のロータ(13)が、第二変速装置(9)と、電気モータ(3)の少なくとも一部分、好ましくは電気モータ(3)の主要部分とを受けるようにされたスリーブとして形成され、
発電機のロータ(13)が、円周方向に配置された磁石(14)を収容し、
発電機のロータ(13)が突出しない電気モータ(3)の部分に、発電機のステータ(15)が円周方向に配置され、それに堅固に接続され、
磁石を備えた発電機のロータ(13)の一部の周りに周方向に延在する、発電機のステータ(15)の周囲部分が、電流を誘導するためのコイルを収容し、
電気モータのシェルが、電気モータ(3)と発電機(8a)との間の相互の電磁影響を防止する電磁絶縁層(12)で円周方向に被覆される
ことを特徴とする電気機械式駆動システム。
【請求項2】
発電機(8)と電気モータ(3)との間の導電体と、電気モータ(3)と電源(4)との間の導電体とに、半導体ダイオード(16)が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機械式駆動システム。
【請求項3】
電源(4)が、電力供給ネットワーク、バッテリ及び充電式バッテリパックの中から選択される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機械式駆動システム。
【請求項4】
さらに、制御システムを備えている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の電気機械式駆動システム。
【請求項5】
第一及び第二変速装置(6,9)が、剛性変速システム、ベルト式変速装置、ギヤ式変速装置、クラッチ、機械的スイッチ、チェーン式変速装置、空気式変速装置、油圧式変速装置、及び磁気式変速装置の中から選択される。
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の電気機械式駆動システム。
【請求項6】
電気モータ(3)が、交流又は直流、単相又は多相、同期又は非同期、ブラシ又はブラシレス電気モータ、永久磁石又は電磁石を備えた水冷又は空冷式電気モータの中から選択される
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の電気機械式駆動システム。
【請求項7】
発電機(8)が、交流又は直流、単相又は多相、同期又は非同期、ブラシ又はブラシレス発電機、永久磁石又は電磁石を備えた水冷又は空冷式発電機の中から選択される
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の電気機械式駆動システム。
【請求項8】
電気機械式駆動システムを冷却するための冷却装置を備えている
ことを特徴とする
請求項1~7の何れか一項に記載の電気機械式駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作のためにトルクの形態の機械的エネルギーを必要とする装置を駆動するための電気機械的駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多種多様な駆動システムが知られている。一般的に、これらのシステムは、一次駆動装置と、一次駆動装置によって生成された動力を、その動作のための作業を必要とする装置に伝達するための変速装置とを備えている。
【0003】
欧州特許第0083369B1号は、バッテリによって給電されるシステムを開示している。バッテリの完全な消耗は、それらの動作のために多くの電力を必要とする負荷において深刻な制限になる。本発明の基礎となる課題は、小さな高回転電気モータを使用して、荷重の大きい負荷のための電力を生成し、同時に、バッテリの完全な消耗を最小レベルに低減するシステムを提供することにある。本発明は、の切り換えが生じないように、発電機のフィードバックループと電圧コントローラとを回路に常時接続して、駆動モードと充電モードとの間で切り替えが生じないようにすることによって課題を解決する。このシステムは、油圧ポンプと油圧モータとを備え、動力の増大を達成する油圧変速装置によって、回転数を低減する機構と回転数を増大させる機構とを組み合わせたものである。油圧変速装置は、機械的入力の速度に基づいてその機械的出力の出力速度を制御するように制御可能である。カップリング及び駆動機構は、負荷及び電圧コントローラを介してバッテリを充電する発電機への電力分配を提供する。バッテリは再生される。本発明の発明者は、電池の寿命が同時に延長されることをさらに見出した。
ドイツ国特許公開DE10 2011 107976A1号は、電気駆動式駆動装置、安全装置、及びトルクを歯車に伝達する外部歯車を有する装置を開示している。歯車は、カップリングを介して所定の一定の速度で、同期発電機に動力を伝達する。電気モータは、バッテリから給電される必要なエネルギーで起動され、連続した経路を生成する。バッテリ及び電気モータには、駆動された同期発電機によって必要なエネルギーが供給される。歯車は、装置の連続起動によって駆動される。非同期発電機は、生成されたエネルギーを装置に供給する。
中国特許公開CN106602843A号は、効率的な永久磁気運動エネルギー(ホイール)自己ループ発電機セットを開示している。この発電機セットは、スターターモータ、配電ボックス、高強度永久磁石動力回転装置、及び発電機を備えている。スターターモータはカプラ1を介して配電ボックスに接続され、配電ボックスはカプラ2を介して高強度永久磁石動力回転装置に接続され、発電機はカプラ3を介して減速機に接続され、減速機はカプラ4を介して配電ボックスに接続されている。効率的な永久磁気運動エネルギー(ホイール)自己ループ発電機セットにより、配電ボックスがもたらされ、構造全体がより合理的になり、改善され、実用的になり、磁気運動エネルギーがより大きな効率を発揮するようになる。
米国特許公開US2017/141671A1号は、長期間にわたって電気エネルギーを提供するための装置を開示している。この装置は、電気エネルギーを生成するためのバッテリバンクを備え、電流変換コンポーネントが、バッテリバンク、二次発電機、モータ、及び負荷回路に電気的に接続されている。モータは、バッテリバンクで生成される電気エネルギーによって起動され、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する。一次発電機は、モータに機械的に接続され、バッテリバンクに電気的に接続されている。一次発電機は、モータからの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換し、電気エネルギーをバッテリバンクに供給する。また、二次発電機は、モータに機械的に接続されており、モータからの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換し、このエネルギーを電流変換コンポーネントに供給する。電流変換コンポーネントは、モータに電気エネルギーを供給し、負荷回路に適合した電気エネルギーを供給する。
【0004】
この解決手段の欠点は、多数の様々な構成要素であり、その結果、システムがより高価になり、さらに、これらの構成要素が多くのスペースを占有することにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
技術的課題は、簡単な構造を有し、その電力を負荷の現在の必要性に適合させ、同時に、電力のための電気モータの必要性が減少した場合に電源を充電するようにした電気機械駆動システムをどのように得るかにある。本発明によって解決される更なる技術的課題は、多くの空間を占有せず、コンパクトな構造を有する電気機械駆動システムをどのように提供するかにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題は、
・電源に接続可能であり、かつ、シャフトが設けられた少なくとも一つの電気モータと、
・電気機械駆動システムのオン/オフを切り替えるための第一スイッチと、
・一方で電気モータのシャフトの第一端部に接続され、他方で負荷に接続可能な少なくとも一つの第一変速装置と、
・少なくとも一つの発電機と、
・一方で、電気モータのシャフトの第一端部の方向と反対方向に延びる電気モータのシャフトの第二端部に接続され、かつ、他方で発電機に接続される少なくとも一つの第二変速装置と
を備え、
発電機が、第二スイッチを介して電源及び電気モータに電気的に接続可能であり、発電機からの電流を電気モータ及び/又は電源に向けることができる
ように構成された機械的な動力負荷に対する電気機械式駆動システムによって解決される。
【0007】
電気機械駆動システムが、第一オンオフスイッチによってスイッチオンされると、電気モータは電源から電力を得る。電気モータは、トルクの形態で、第一変速装置を介して、その動作のために負荷に容易に利用可能な機械的動力に電力を変換する。同時に、電気モータは、シャフトの第二端部及び第二変速装置を介して、電力を生成する発電機に機械的エネルギーを供給する。この電力は、必要に応じて電気モータに供給され、これにより、電気モータの電力が増大し、その結果、機械的動力が増大する。より高い機械的動力が必要ない場合、発電機で生成された電力は、第二スイッチを介して電源に供給され得る。
【0008】
二つの端部を持つシャフトを有する電気モータは、機械的エネルギー負荷及び発電機を同時に駆動することを可能にする。従って、発電機は、追加の電力を電気モータに供給するか、又は同時に電源を充電し得る。本発明の電気機械駆動システムの利点は、構成要素の数が少なく、負荷のエネルギー必要性に適応可能なシンプルシステムを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】コンパクトな設計を有する電気機械駆動システムの概略図である
【
図3】二つの半導体ダイオードを有する電気機械駆動システムの電気回路の実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明をより詳細に説明する。
【0011】
技術的課題は、機械的な動力負荷2に対する電気機械式駆動システム1,1aによって解決される。
この電気機械式駆動システム1は、
・電源4に接続可能であり、かつ、シャフトが設けられた少なくとも一つの電気モータ3と、
・電気機械駆動システム1,1aのオン/オフを切り替えるための第一スイッチ5と、
・一方で電気モータのシャフト7の第一端部に接続され、他方で負荷に接続可能な少なくとも一つの第一変速装置6と、
・少なくとも一つの発電機8,8aと、
・一方で、電気モータ3のシャフトの第一端部の方向と反対方向に延びる電気モータのシャフトの第二端部10に接続され、かつ、他方で発電機8,8aに接続される少なくとも一つの第二変速装置9と
を備え、
発電機8,8aが、第二スイッチ11を介して電源4及び電気モータ3に電気的に接続可能であり、発電機8,8aからの電流を電気モータ3及び/又は電源4に向けることができるように構成されている。
【0012】
電気機械駆動システム1,1aが、第一オンオフスイッチ5によってスイッチオンされると、電気モータ3が電源4から電力を得る。電気モータ3は、トルクの形態で、第一変速装置6を介して、その動作のために負荷2に容易に利用可能な機械的動力に電力を変換する。同時に、電気モータ3は、シャフトの第二端部10及び第二変速装置9を介して、電力を生成する発電機8,8aに機械的エネルギーを供給する。この電力は、必要に応じて電気モータ3に供給され、これにより、電気モータの電力が増大し、その結果、機械的動力が増大する。より高い機械的動力が必要ない場合、発電機で生成された電力は、第二スイッチ11を介して電源4にも供給され得る。
【0013】
発電機8と電気モータ3との間の導電体と、電気モータ3と電源4との間の導電体とには、それぞれ半導体ダイオード16が設けられ得る。
【0014】
電源4は、電力供給ネットワーク、バッテリ、充電式バッテリパック等であり得る。
【0015】
電気モータ3及び発電機8,8aは、任意に選択することができ、交流又は直流、単相又は多相、同期又は非同期、ブラシ又はブラシレスモータ/発電機、永久磁石又は電磁石を備えた水冷又は空冷式モータ/発電機等であり得る。
【0016】
電気機械駆動システム1,1aは、インバータや周波数変換器等のような、ユーザによって決められる個々の動作及び出力要件を満たす制御システム並びに/又は他の要素及び装置を含み得る。
【0017】
第一及び第二変速装置6,9は、剛性変速システム、ベルト式変速装置、ギヤ式変速装置、クラッチ、機械的スイッチ、チェーン式変速装置、空気式変速装置、油圧式変速装置、磁気式変速装置等の中から負荷の必要性に基づいて選択される。
【0018】
電気機械駆動システム1aの別の実施形態は、よりコンパクトな構造のシステムを可能にする。この実施形態では、電気モータのシェルは、電気モータ3と発電機8aとの間の相互の電磁影響を防止する電磁絶縁層12で円周方向に被覆される。発電機のロータ13は、第二変速装置と、電気モータの少なくとも一部分、好ましくは電気モータの主要部分とを受けることができるスリーブとして形成される。発電機のロータ13内には、永久磁石又は電磁石のいずれかであり得る磁石14が円周方向に設けられている。電磁石は、短絡ケージとすることができる。発電機のロータが突出しない電気モータ3の部分には、発電機のステータ15が円周方向に配置され、これに堅固に接続されている。磁石を備えた発電機のロータ13の一部の周りに周方向に延在する、発電機のステータ15の周囲部分は、発電に必要な電流その他の要素を誘導するためのコイルを収容し、電気モータ又は電源に伝達する。
【0019】
電気機械駆動システム1aは、電気機械駆動システムを冷却するための冷却装置を備え得る。