(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】滅菌機器
(51)【国際特許分類】
A61L 2/14 20060101AFI20230810BHJP
A61L 2/12 20060101ALI20230810BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20230810BHJP
A61B 42/60 20160101ALI20230810BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
A61L2/14
A61L2/12
A61B18/12
A61B42/60
A61B1/12 510
(21)【出願番号】P 2020543150
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2019055911
(87)【国際公開番号】W WO2019175063
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-25
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ブライアント,モーガン
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】スウェイン,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】エバット,ジュリアン・マーク
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クレイブン,リチャード
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525902(JP,A)
【文献】国際公開第2016/145375(WO,A1)
【文献】特開2003-210556(JP,A)
【文献】特表2017-501000(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149072(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0253265(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0081565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00 - 2/28
A61L 11/00 - 12/14
A61B 1/00 - 1/32
A61B 34/00 - 90/98
A61B 13/00 - 18/18
A61F 2/01
A61N 7/00- 7/02
H05H 1/00- 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用スコープ装置を滅菌するための機器において、前記機器が、
前記外科用スコープ装置の挿入管に沿って延在する長手方向のチャネルを通して挿入可能な滅菌器具
を備え、前記滅菌器具が、
高周波(RF)電磁(EM)エネルギ及び/またはマイクロ波EMエネルギを伝送するための同軸ケーブルを備える細長いプローブと、
前記RF及び/またはマイクロ波エネルギを受信するための前記同軸ケーブルの遠位端に接続されるプローブ先端部と、
前記プローブ先端部にガスを供給するためのガス導管と
を備え、
前記細長いプローブが、前記同軸ケーブルが通って延在する管腔を画定する保護スリーブを備え、
前記ガス導管が、前記同軸ケーブルの外側表面と前記保護スリーブの内側表面との間に形成された環状流路であり、
前記同軸ケーブルが、内側導体と、外側導体と、前記外側導体から前記内側導体を分離する誘電体材料とを備え、
前記プローブ先端部が、前記同軸ケーブルの前記内側導体に接続された第1の電極と、前記同軸ケーブルの前記外側導体に接続された第2の電極とを備え、
前記第2の電極が前記プローブ先端部の内部容積を取り囲み、
前記第1の電極が前記内部容積内で長手方向に延在し、
前記プローブ先端部が、前記内部容積から前記同軸ケーブルを隔離するために前記同軸ケーブルの前記遠位端に取り付けられた絶縁キャップをさらに備え、
前記ガス導管が、前記絶縁キャップと前記第2の電極との間に形成された流路を介して、前記内部容積と流体連通しており、
前記第1の電極及び前記第2の電極が、プラズマをその中で衝突させるための前記内部容積内の電界を設定するために、前記同軸ケーブルから前記RF及び/またはマイクロ波エネルギを受信するように構成されており、
前記プローブ先端部が、前記内部容積からプラズマを放出するための放出口を含み、
前記絶縁キャップが、前記第2の電極内に取り付けられており、
前記第2の電極が、その遠位端において前記ガス導管の前記環状流路内に位置するシリンダーであり、
前記第2の電極が、前記絶縁キャップの周囲のガス流を可能にする流路を提供する前記シリンダーに複数の長手方向のノッチを提供するために溝を付けられて
いる、
前記機器。
【請求項2】
前記内部容積に水を送達するための液体導管
を含む、
請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記液体導管が、前記同軸ケーブルの前記内側導体を通る中空通路である、
請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記液体導管が、前記内部容積に水ミストを送達するように構成されている、
請求項2または3に記載の機器。
【請求項5】
前記プローブ先端部が、前記内部容積の遠位端で前記第1の電極上に取り付けられた導電性キャップを備え、前記導電性キャップが、前記放出口を画定するために、前記第2の電極の遠位端から離間している、
請求項1から4のいずれか1項に記載の機器。
【請求項6】
前記第1の電極が螺旋状である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の機器。
【請求項7】
前記第1の電極が、前記外側導体の遠位端を越えて延在する前記同軸ケーブルの前記内側導体の一部から形成されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の機器。
【請求項8】
前記絶縁キャップが、面取りされた遠位端を有する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の機器。
【請求項9】
前記細長いプローブ上に取り付けられて、それを通して前記細長いプローブを引き込むように構成された回収装置
をさらに備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の機器。
【請求項10】
前記回収装置が、毎秒10mm未満の速度で前記細長いプローブを引き込むように駆動可能なモータを備える、
請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記プローブ先端部が、その遠位端に取り付けられた洗浄ブラシをさらに備える、
請求項1から10のいずれか1項に記載の機器。
【請求項12】
前記細長いプローブ及び/または前記プローブ先端部に超音波振動を与えるように構成された加振装置
をさらに備える、
請求項1から11のいずれか1項に記載の機器。
【請求項13】
前記加振装置が、前記細長いプローブ上に取り付けられている、請求項12に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡、胃内視鏡、腹腔鏡などの外科用スコープ装置の滅菌に関する。特に、本発明は、このような外科用スコープ装置の器具チャネル及び/または本体を滅菌または消毒するための機器に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌は、ほとんどあらゆる場所で見つかり、かなりの数で存在して、急速に分裂して増殖できる、単細胞微生物である。ほとんどの細菌は無害だが、3つの有害な群、すなわち、球菌、螺旋菌、及び桿菌がある。球菌は丸い細胞であり、螺旋菌はコイル状の細胞であり、桿菌は棒状である。有害な細菌は、破傷風及び腸チフスなどの疾患を引き起こす。
【0003】
ウイルスは他の細胞を取り込むことによって生き、及び増殖することしかできない、すなわち、それらは単独で生存することができない。ウイルスは、風邪、インフルエンザ、流行性耳下腺炎、及びエイズなどの疾患を引き起こす。真菌胞子、及び原生動物と呼ばれている微生物は、疾患を生じさせる可能性がある。
【0004】
このような微生物は、外科用スコープ装置(たとえば、内視鏡、胃内視鏡など)の器具チャネル中に存在し続けることが知られている。外科用スコープ装置が感染源にならないために、これらの微生物を除去することが非常に望ましい。滅菌は、あらゆる形態の生命体(特に、微生物)を破滅させる、または除去する行為またはプロセスである。
【0005】
スコープの器具チャネルを滅菌する周知の方法は、チャネルを通って洗い流されて、デブリを放出する、洗浄液の使用を含む。ブラシも、内部をこすり洗いするために使用できる。それから、スコープは、自動洗浄装置または消毒装置で消毒されるが、そこで、有害な可能性のある化学物質(たとえば、グルタルアルデヒド)中へのスコープの浸漬が生じる場合がある。最後に、スコープは、水、次にアルコールで十分に洗い流されて、消毒薬が残らないようにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような周知の方法は、大きな労働力を要し、器具チャネルの不完全または不十分な滅菌も起こりやすい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
最も一般的には、本発明は、内視鏡、胃内視鏡、腹腔鏡などの外科用スコープ装置を消毒するために熱または非熱プラズマを使用する滅菌機器を提供する。さまざまな態様において、本発明は、(i)外科用スコープ装置の挿入管で形成されるチャネル(たとえば、器具チャネル)の内側を滅菌するための機器、(ii)外科用スコープ装置の外側表面全体を処理するための装置全体の滅菌機器、及び(iii)外科用スコープ装置の挿入管の遠位端面を洗浄及び滅菌するための機器を提供する。
【0008】
第1の態様において、外科用スコープ装置を滅菌するための機器が提供され、機器は、外科用スコープ装置の挿入管に沿って延在する長手方向のチャネルを通して挿入可能な滅菌器具を備え、滅菌器具は、高周波(RF)電磁(EM)エネルギ及び/またはマイクロ波EMエネルギを伝送するための同軸ケーブルを備える細長いプローブと、RF及び/またはマイクロ波エネルギを受信するための同軸ケーブルの遠位端に接続されたプローブ先端部と、プローブ先端部にガスを供給するためのガス導管とを備え、同軸ケーブルは、内側導体と、外側導体と、外側導体から内側導体を分離する誘電体材料とを備え、プローブ先端部は、同軸ケーブルの内側導体に接続された第1の電極と、同軸ケーブルの外側導体に接続された第2の電極とを備え、第2の電極はプローブ先端部の内部容積を取り囲み、第1の電極は内部容積内で長手方向に延在し、プローブ先端部は、内部容積から同軸ケーブルを隔離するために同軸ケーブルの遠位端に取り付けられた絶縁キャップをさらに備え、ガス導管は、絶縁キャップと第2の電極との間に形成された流路を介して、内部容積と流体連通しており、第1の電極及び第2の電極は、プラズマをその中で衝突させるための内部容積内の電界を設定するために、同軸ケーブルからRF及び/またはマイクロ波エネルギを受信するように構成されており、プローブ先端部は、内部容積からプラズマを放出するための放出口を含む。
【0009】
それによって、本態様の機器は、特に、器具チャネルの壁に存在する細菌及びウイルスの破壊に有効であることがある熱及び/または非熱プラズマを使用して、スコープ装置の器具チャネルの滅菌を可能にする。機器は、従来のスコープ装置の器具チャネルに適合するために必要な大きさにされてもよいが、本発明の機器は、生検チャネルなどの、スコープ装置の挿入管を通る任意のチャネルの滅菌にも使用されてもよいことも想定される。この点において、器具チャネルは、本明細書で使用されるとき、スコープ装置の挿入コードを通る任意のチャネルを指すと考えられてもよいことが理解される。
【0010】
絶縁キャップは、たとえば、内部容積の近位端を画定するために、第2の電極内に取り付けられてもよい。流路は、絶縁キャップの周囲のガス流を可能にする、第2の電極における複数の開口を備えてもよい。複数の開口は、内部容積へのガスの均一な流れを促進するために、規則的に間隔があけられてもよい。
【0011】
絶縁キャップは、プラズマがプローブ先端部の遠位部分で生成されることを確実にするのを助けてもよく、生成されたプラズマをプローブ先端部の外に向けるのも助けてもよい。いくつかの実施形態において、絶縁キャップは、第2の電極を通る開口の領域において面取りされた遠位端を有してもよい。これは、第2の電極の流路に沿ったガスの速度の増加を助けてもよく、プローブ先端部の遠位端からのガスのスループット及びプラズマの方向づけを支援する。
【0012】
第2の電極はシリンダであってもよい。複数の開口はそれぞれ、シリンダに長手方向のノッチを備えてもよい。たとえば、第2の電極の近位端は、複数の開口を提供するために溝を付けられてもよい。
【0013】
機器は、滅菌または消毒のためのヒドロキシルラジカルを生成及び送達するように構成されてもよい。したがって、機器は、内部容積に水を送達するための液体導管を備えてもよい。液体導管は、同軸ケーブルの内側導体を通る中空通路であってもよい。このように、さらなる導管の規定は、細長いプローブにさらなる空間を要求する必要はない。
【0014】
液体導管は、内部容積に水ミストを送達するように構成されてもよい。水ミストまたは蒸気を使用して、プラズマの陽イオンからのヒドロキシルラジカルの生成を促進してもよい。
【0015】
細長いプローブは、同軸ケーブルが通って延在する管腔を画定する保護スリーブを備えてもよい。ガス導管は、同軸ケーブルの外側表面と保護スリーブの内側表面との間に形成された流路であってもよい。これは、機器が器具チャネルを通した容易な挿入のためにコンパクトであることを確実にすることもできる。
【0016】
プローブ先端部は、内部容積の遠位端で第1の電極上に取り付けられた導電性キャップを備えてもよい。導電性キャップは、第2の導体から隔離されている。たとえば、導電性キャップは、放出口を画定するために、第2の電極の遠位端から離間していてもよい。導電性キャップは、プラズマが効率的に発生されることを確実にしてもよく、器具チャネルの内壁を効果的に滅菌するために、プローブ先端部の端部から円周方向にプラズマを向けるのを助ける。導電性キャップは、プラズマの生成のために、第1の電極の延在部として効果的に機能する。
【0017】
第1の電極は螺旋状であってもよい。螺旋電極は有利なことには、マイクロ波周波数において電極に直列共振を提供し、それによって、ガス及びプラズマに最大エネルギを送達する。第1の電極は、外側導体の遠位端を越えて延在する同軸ケーブルの内側導体の一部から形成されている。
【0018】
機器は、細長いプローブ上に取り付けられて、それを通して細長いプローブを引き込むように構成された回収装置を備えてもよい。回収装置は、所定の速度で細長いプローブを引き抜くように構成されてもよい。たとえば、回収装置は、細長いプローブを引き込むように駆動可能なモータを備えてもよい。このように、機器は、自動的に、人間の制御なしに、作動するように構成されてもよい。所定の速度は、器具チャネルの完全な滅菌を確実にするように選択されてもよい。所定の速度は、毎秒10mm未満、たとえば、毎秒5mm、好ましくは、毎秒0.5mm以下などの毎秒1mm以下であってもよい。
【0019】
プローブ先端部は、その遠位端に取り付けられた洗浄ブラシをさらに備えてもよい。洗浄ブラシは、器具チャネルの表面からのバイオフィルムの除去または放出を支援することができる。
【0020】
機器は、細長いプローブ、またはプローブ先端部、またはプローブ先端部に取り付けられたブラシに超音波振動を与えるように構成された加振装置を備えてもよい。加振装置は、モータ(たとえば、リニアモータまたはステッピングモータ)、あるいは、超音波トランスデューサまたは圧電アクチュエータであってもよい。いくつかの実施形態において、加振装置は、回収装置であってもよく、または、回収装置に組み込まれてもよい。他の例において、加振装置は、たとえば、細長いプローブ上に、または、プローブ先端部内に取り付けられた独立した装置であってもよい。
【0021】
第2の態様において、外科用スコープ装置を滅菌するための機器が提供され、機器は、外科用スコープ装置を収容するためのエンクロージャを画定するハウジングと、ハウジングに取り付けられたプラズマアプリケータであって、プラズマアプリケータが、プラズマ生成領域と、生成されたプラズマをプラズマ生成領域からエンクロージャに向けるための放出口とを備える、プラズマアプリケータと、RF及び/またはマイクロ波EMエネルギをプラズマアプリケータに送達するために接続された電力ジェネレータと、ガスをプラズマアプリケータに送達するために接続されたガス供給部とを備える。本装置によって、外科用スコープ装置全体の外側表面を滅菌することができる。1つの例において、エンクロージャは、装置全体を収容するように配置されてもよい。エンクロージャは、マイクロ波空洞であってもよい。たとえば、それは電子レンジに似ていてもよい。いくつかの例において、機器は、たとえば、洗浄器のドラムの周囲にプラズマアプリケータを提供するために、従来の産業用洗浄器を適合させてもよく、それによって、ドラムは、上で定義されたエンクロージャになる。
【0022】
ハウジングは、エンクロージャ内で外科用スコープ装置を回転させるための回転可能部を含んでもよい。
【0023】
本態様の機器は、滅菌のためにヒドロキシルラジカルも利用してもよい。たとえば、機器は、エンクロージャに水を送達するための液体供給部を備えてもよい。液体供給部は、エンクロージャに水ミストを送達するために配置されたノズルを有する導管を介していてもよい。他の例において、水は、プラズマアプリケータのプラズマ生成領域に供給されてもよい。
【0024】
スコープ装置の器具チャネルは、上で定義されたように、本発明の第1の態様による機器によって同時に滅菌されてもよい。任意選択的に、機器は、2つ以上のこのような装置を備えてもよく、それによって、スコープ装置の挿入管内の複数のチャネルが同時に滅菌されてもよい。
【0025】
ハウジングは、エンクロージャの表面を画定するパネルを備えてもよく、パネルは、その中に取り付けられたプラズマアプリケータのアレイを有する。たとえば、エンクロージャの頂壁または側壁は、プラズマアプリケータのアレイを備えてもよい。このように、プラズマがスコープ装置のすべての外側表面に向けられて、スコープ装置が完全に滅菌されることを確実にすることができる。
【0026】
エンクロージャは、外科用スコープ装置の本体を収容するための本体部分と、外科用スコープ装置の挿入管を収容するための環状領域とを備えてもよい。環状領域は、外科用スコープ装置の挿入管に対して移動するように構成された環状プラズマジェネレータを備えてもよい。たとえば、環状プラズマジェネレータは、外科用スコープ装置の挿入管の長さに沿って本体部分に対して移動可能である処置台上に取り付けられていてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、処置台は、挿入管に対して環状プラズマジェネレータを移動させるように移動可能であってもよい。挿入管の外側表面全体が環状プラズマジェネレータによって発生したプラズマによって適切に滅菌されることを確実にするために、プラズマアプリケータは処置台の移動によって移動されてもよい。いくつかの実施形態において、処置台は、機器をコンパクトにできるように、コンベヤベルトであってもよい。
【0028】
本発明の第3の態様によると、外科用スコープ装置を滅菌するための機器が提供され、機器は、外科用スコープ装置の挿入管の遠位端を受けるための凹部を画定するハウジングと、挿入管の遠位端に接触させるために凹部に取り付けられたブラシと、ハウジング内でブラシの相対運動を引き起こすためにブラシに作動可能に接続された駆動要素とを備える。この機器は主として、挿入管の遠位端面を物理的に洗浄するためのものである。しかしながら、機器は、ハウジングに取り付けられたプラズマアプリケータをさらに備えてもよく、プラズマアプリケータは、プラズマ生成領域と、生成されたプラズマをプラズマ生成領域から凹部に向けるための放出口とを備える。したがって、機器は、遠位端面を洗浄及び滅菌をどちらも行うことができる。
【0029】
ハウジングは、RF及び/またはマイクロ波EMエネルギをプラズマアプリケータに送達するために配置された電力ジェネレータに、ならびに、ガスをプラズマアプリケータに送達するために配置されたガス供給部に接続されてもよい。ハウジングは、凹部に水を送達するための液体供給部にさらに接続されてもよく、それによって、ヒドロキシルラジカルを、滅菌及び消毒を支援するために生成することができる。
【0030】
「外科用スコープ装置」という用語は、侵襲的な処置の間、患者の身体内に導入される、剛性または可撓性(たとえば、操縦可能な)導管である、挿入管を備える、任意の外科用装置を意味するために、本明細書で使用できる。挿入管は、器具チャネル及び光チャネル(たとえば、挿入管の遠位端で治療部位を照らす、及び/またはその画像を撮るための光を送信するため)を含むことができる。器具チャネルは、侵襲的な外科器具を受容するのに適した、直径を有することができる。器具チャネルの直径は、5mm以下であってもよい。
【0031】
本明細書で、「内側」という用語は、器具チャネル及び/または同軸ケーブルの中心(たとえば、軸)に半径方向により近いことを意味する。「外側」という用語は、器具チャネル及び/または同軸ケーブルの中心(軸)から半径方向により遠いことを意味する。
【0032】
「導電性」という用語は、文脈で明らかにそうではないことを記載する場合を除いて、電気伝導性を意味するために本明細書で使用される。
【0033】
本明細書で「近位」及び「遠位」という用語は、細長いプローブの端を指す。使用中、近位端は、RF及び/またはマイクロ波エネルギを提供するためのジェネレータにより近いが、遠位端はジェネレータからさらに遠い。
【0034】
本明細書で「マイクロ波」は概して、400MHz~100GHzの周波数範囲だが、好ましくは1GHz~60GHzの範囲を示すために使用されてもよい。考慮される特定の周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び24GHzである。それに対し本明細書で「高周波」または「RF」は、少なくとも3桁低い大きさ、たとえば、最高300MHz、好ましくは10kHz~1MHz、最も好ましくは400kHzの周波数範囲を示すために使用する。マイクロ波周波数は、供給されるマイクロ波エネルギが最適化されるのを可能にするように調整することができる。たとえば、プローブ先端部は、特定の周波数(たとえば、900MHz)で作動するように設計されてもよいが、使用中、最も効果的な周波数は異なってもよい(たとえば、866MHz)。
【0035】
本発明の実施形態が、ここで添付の図面を参照しながら、例として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】本発明で使用される第1のプローブ先端部の断面図を示す。
【
図3】第1のプローブ先端部で使用される第2の電極の斜視図である。
【
図4】本発明で使用される第2のプローブ先端部の断面図を示す。
【
図5】第2のプローブ先端部によって生成されるプラズマの位置を示すコンピュータシミュレーションモデルである。
【
図6】本発明の実施形態である外科用スコープ装置全体の滅菌機器の概略図である。
【
図7】
図6に示される滅菌機器の環状プラズマジェネレータの拡大図である。
【
図8】本発明の別の実施形態である外科用スコープ装置全体の滅菌機器の概略図である。
【
図9】本発明の実施形態である遠位端洗浄装置の斜視図である。
【
図10】本発明で使用できるブラシを有するプローブ先端部の斜視図である。
【
図11A】本発明で使用できるヒドロキシルラジカルを生成するためのプローブ先端部の概略斜視図である。
【
図12】本発明で使用できるヒドロキシルラジカルを生成するための別のプローブ先端部の概略斜視図である。
【
図13】本発明で使用できるヒドロキシルラジカルを生成するためのさらに別のプローブ先端部の概略斜視図である。
【
図14】本発明の原理を使用して外科用スコープ装置の外側表面を滅菌するのに適した滅菌機器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明の実施形態である滅菌機器10を示す。滅菌機器は、たとえば、フレキシブルシャフトの形態を有する細長いプローブを備える。細長いプローブは、その遠位端にプローブ先端部14を有する同軸ケーブル12を備える。細長いプローブは、同軸ケーブル12が搬送される保護スリーブを含んでもよいが、これは必須ではない。ジェネレータ30は、同軸ケーブル12の近位端に接続されている。ガス供給部40も、細長いプローブを通って延在するガス導管(図示せず)を通してプローブ先端部14にガスを供給するために細長いプローブに接続されている。ガス導管は、同軸ケーブル12の一部を形成してもよく、たとえば、同軸ケーブル内、たとえば、その内側導体内に形成された長手方向の中空流路であってもよい。あるいは、ガス導管は、たとえば、保護スリーブ内で、同軸ケーブルに沿って延在する別個の管または流路であってもよい。ガス供給部40は、非熱または熱プラズマの形成のための任意の好適な不活性ガス、たとえば、アルゴン、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、またはそれらの組合せの供給部であってもよい。いくつかの実施例において、滅菌工程を支援するために紫外線(UV)光を供給することが望ましいこともある。
【0038】
細長いプローブは、たとえば、内視鏡、胃内視鏡、気管支鏡などの外科用スコープ装置50の挿入管52の長さに沿って延在する1つまたは複数のチャネル内に適合するように構成される、たとえば、それに必要な大きさにされる。以下の議論において、細長いプローブは、挿入管の器具チャネルに挿入可能である。しかしながら、本発明は、挿入管を通る任意のチャネル、たとえば、通常使用中、治療部位からデブリを洗い流すための排出チャネルの滅菌に適用可能であってもよい。
【0039】
機器10は、以下でさらに詳細に説明されるような、器具チャネルへの制御可能な回収を可能にするように、細長いプローブを長手方向に移動させるために配置された回収装置20をさらに備える。回収装置20は、順方向及び逆方向の両方向に動作するように構成されてもよく、それにより、回収装置20は、器具チャネルを通る細長いプローブの挿入及び引き抜きの両方に使用されてもよい。
【0040】
同軸ケーブル12及びプローブ先端部14は、スコープ装置50の挿入管52の器具チャネルを通して挿入可能である。細長いプローブは、ユーザによって手動で挿入されてもよく、または、回収装置20を使用して挿入されてもよい。器具チャネルは、細長いプローブの挿入前に、液体で洗い流されてもよく、その場合、滅菌機器10は、それが挿入される際、器具チャネルを乾燥させるために使用されてもよく、プローブ先端部14が器具チャネルを通して引き抜かれると同時に、器具チャネルを滅菌または消毒するために使用されてもよい。細長いプローブ自体は、それが器具チャネルに挿入される際または器具チャネルから引き抜かれる際に、たとえば、ガス導管または個別の液体搬送導管を通して液体を導入するために使用されてもよい。
【0041】
機器10は、それが器具チャネルから引き抜かれる際、器具チャネルの内部を滅菌するために機能する。それは、スコープ装置50の外部、たとえば、本体54及び/または挿入管52を滅菌するための機器とともに使用されてもよい。
【0042】
作動時、器具チャネルを通してのプローブ先端部14の引き抜き中、ジェネレータ30は、高周波(RF)電磁(EM)エネルギ及び/またはマイクロ波EMエネルギをプローブ先端部14に供給する。ガス供給部40は同時に、ガス導管を介してプローブ先端部14にガスを供給する。RF及び/またはマイクロ波エネルギ及び供給されたガスは、熱または非熱プラズマを生成するために、プローブ先端部で組み合わされ、それは、微生物を消滅させる、または除去するために、プローブ先端部14から放出されて器具チャネルの内側表面に接触する。このようなプラズマ生成の例は、たとえば、WO2009/060213A1で開示されている。
【0043】
ジェネレータは、生成されたプラズマが非熱または熱プラズマであるかどうか判定するように制御されてもよい。たとえば、供給マイクロ波エネルギは、非熱または熱プラズマを発生させるために選択可能であるパワー及び/またはデューティサイクルを有してもよい。いくつかの例において、熱プラズマは、滅菌後、器具チャネルの内部を乾燥させるために使用されてもよい。それは、洗浄後の乾燥のためにスコープ装置を吊り下げる必要性を取り除き、スコープ処理サイクル全体の速度を上げるので、これは有利であることがある。
【0044】
回収装置20は、プローブ先端部の回収速度を制御するように配置されてもよい。回収速度は遅くてもよく、たとえば、毎秒10mm未満、好ましくは、毎秒0.5mm未満などの毎秒1mm未満であってもよい。回収速度は一定であってもよい。機械的回収装置を使用することにより、手動で実現できるよりも良好な制御をこのような遅い回収速度に対して行うことができる。
【0045】
いくつかの例において、プラズマが生成されるとき、水(たとえば、水ミストまたは蒸気)が細長いプローブの遠位端に存在することが望ましいことがある。このシナリオでは、プラズマは、水からヒドロキシルラジカルを生成してもよい。ヒドロキシルラジカルは有効な滅菌剤である。水は、細長いプローブを通して供給されてもよい。1つの例において、水は、同軸ケーブルの内側導体内に形成された長手方向の流路を通して供給される。一方、ガス導管は、同軸ケーブルの外側導体の外側表面と保護スリーブの内側表面との間に形成された環状空間であってもよい。このように、ガス及び液体の両方を、プラズマ生成領域に送達することができ、それによって、ヒドロキシルラジカルの局所的な生成が可能になる。いくつかの実施形態において、機器は、ヒドロキシルラジカルの形成を促進するために、紫外線を受けるように構成されてもよい。このようなヒドロキシルラジカル生成の例は、たとえば、WO2009/060214A1で開示されている。
【0046】
機器10は、挿入管と細長いプローブとの間で相対振動を起こすように構成された加振装置をさらに備えてもよい。加振装置は、たとえば、代替的な作動様式として、回収装置20と一体化されてもよい。振動作動モードにおいて、回収装置20は、器具チャネルの中で細長いプローブの急速な(たとえば、超音波の)小振幅振動を引き起こすために配置されてもよい。他の例において、加振装置は、回収装置と独立して作動してもよい。たとえば、加振装置は、細長いプローブと挿入管との間で相対的な超音波振動を起こすように構成された適切なモータ(たとえば、ステッピングモータまたはリニアモータ)あるいは圧電素子を備えてもよい。加振装置は、細長いプローブまたは挿入管のいずれかに取り付けられてもよい。振動の目的は、器具チャネルからのバイオフィルムまたは他のデトリタスの除去の支援または促進である。
【0047】
加振装置は、細長いプローブの近位端に、すなわち、回収装置20に隣接して接続されてもよい。あるいは、または、さらに、加振装置は、細長いプローブの近位端に、たとえば、プローブ先端部またはプローブ先端部上に位置してもよい。加振装置は、プローブ先端部自体を振動させるように配置されてもよく、または、ブラシがプローブ先端部に取り付けられてもよい。この例では、加振装置は、ブラシまたはプラズマアプリケータに接続された、または、それらの近くの圧電素子または小型モータを備えてもよい。加振装置によって起こされる周波数振動は、20kHz~10MHzの範囲であってもよい。
【0048】
図2は、本発明で使用するための、たとえば、上述の機器10で使用するための第1のプローブ先端部100の断面図を示す。プローブ先端部100は、
図1に示されるように、同軸ケーブル12の遠位端に接続することができる。プローブ先端部100は、プローブ先端部100がスコープ装置50の器具チャネルから引き抜かれる際に、滅菌のために器具チャネルの壁に向けられるプローブ先端部100の遠位端から向けることができる熱または非熱プラズマを発生させるために、RF及び/またはマイクロ波EMエネルギならびにガスを受けるように構成されている。
【0049】
本実施形態において、プローブ先端部100は、その遠位端で、第1の電極102と第2の電極104とを備える。第1の電極102は螺旋形状を有し、第2の電極104は各端部で開いている中空円筒であり、第1の電極102は、第2の電極104の長手方向軸に略沿って位置付けられている。それによって、空間103(プラズマ生成領域とも呼ばれる)が、第1の電極102と第2の電極104との間に画定される。
【0050】
第2の電極104は、近位端に形成されたキャスタレーション(すなわち、
図3に示されるようなノッチ125によって分離された一連の突出指部121)を有する。キャスタレーションは、同軸ケーブル12を囲む環状ガス導管106から、第2の電極104内の空間に、ガスが流れることを可能にする。プラズマは、空間103において第1の電極102と第2の電極104との間に高電界を生成するために、供給されたRF及び/またはマイクロ波EM放射を構成することによって衝突してもよい。プラズマは、RF EMエネルギを使用して衝突し、マイクロ波EMエネルギによって保持されてもよい。生成されたプラズマは、細長いプローブが挿入されている器具チャネルの内側表面に接触するために、第2の電極104の遠位開放端から流れ出る。
【0051】
同軸ケーブル12は、絶縁誘電体材料111によって外側導体110から分離された内側導体108を備える。第1の電極102は、同軸ケーブルの内側導体108に接続されており、第2の電極104は、同軸ケーブル12の外側導体110に接続されている。いくつかの実施形態において、第1の電極102は、その遠位端で、
図4に示されて以下で論じられるキャップ218などのキャップをさらに備えてもよい。
【0052】
ガス導管106は、同軸ケーブルの外側導体110の外側表面と同軸ケーブル12を囲む保護スリーブ112との間の環状間隙によって形成されてもよい。上述のように、ガスは、ガス供給部40から、同軸ケーブル12の近位端でまたはその近くでガス導管106に導入することができる。
【0053】
第2の電極104は、外側導体110上に、かつ、同軸ケーブル12の遠位端のスリーブ112内に適合するように構成されている。したがって、第2の電極104は、その遠位端でガス導管106内に位置する。ガスは、第2の電極104の近位端に形成されたキャスタレーションを通って、ガス導管106から第2の電極104まで流れることができる。
【0054】
第2の電極104内で、略円筒形のセラミックキャップ114が同軸ケーブル12の遠位端に位置付けられている。セラミックキャップ114は、同軸ケーブル12の外側導体110の遠位端から離間している。これらの部分の間の長手方向の間隙116は、外側導体110と内側導体108との間のアーク放電を防ぐために、接着剤、たとえば、UV硬化接着剤を充填してもよい。
【0055】
セラミックキャップ114は、長手方向に約2mmにわたって延在してもよい。セラミックキャップ114は、ガス導管106から、第1の電極102と第2の電極104との間を通る空間103へのガス流れを促進するために、面取りされた遠位端面を有し、ここで、プラズマは衝突する。第1の電極102は、セラミックキャップ114を通って延在する導電性要素(図示せず)によって、同軸ケーブルの内側導体108に接続されている。導電性要素は、外側導体110の遠位端を越えて突出する内側導体108の一部であってもよい。
【0056】
この実施形態の第1の電極102は、螺旋または渦巻構造を形成するためにねじられたワイヤから形成される。いくつかの実施形態において、ワイヤは、PTFE、PEEK、またはセラミック材料などの誘電体材料のソリッドコアのまわりに巻かれてもよい。あるいは、ワイヤは、薄壁開シリンダのまわりに巻かれてもよい。ワイヤは好ましくは、導体損失がプローブ先端部100において最小化されることを確実にするために、銅、銀、金、またはめっき鋼などの良導体から作られてもよい。ワイヤは、同軸ケーブル12の遠位端から延在する内側導体108の遠位部であってもよい。
【0057】
第1の電極102は、本発明で使用されるマイクロ波周波数における共振構造であるように構成されている。これらの周波数では、第1の電極102を形成するワイヤは、誘導性挙動を示す。第1の電極102を螺旋として形成することによって、エネルギが先端部100に供給されるとき、各隣接する曲がり目の間で静電容量が作成される。したがって、この構造は、第1の電極102における直列共振に適切な状態を作成し、プローブ先端部100に供給されるEMエネルギのマイクロ波周波数で最小インピーダンスを有する。
【0058】
図3は、第2の電極104の例の斜視図を示す。第2の電極104は、電極内で発生したプラズマが遠位端から流れ出ることを可能にする開遠位端123を有する中空円筒である。電極104の近位端も開いており、それにより、電極は、上記の方法で同軸ケーブルの遠位端に適合させることができる。電極104の近位端は溝が付けられており、複数のノッチ125が電極104の近位端の指部121の間に形成されている。これらのノッチ125により、上記のように、ガスがガス導管106から電極104の内部へと流れることができ、ここで、ガスは熱または非熱プラズマを作成するために衝突する。空間103へのガスの流れが長手方向軸まわりに対して略均一であるように、第2の電極104の円周のまわりで規則的に間隔をあけられた複数のノッチを有することが望ましいことがある。
【0059】
第2の電極104は、少なくとも11mmの全長を有し、ここで、キャスタレーションの基部と第2の電極104の遠位端との間の距離は、少なくとも3mm、好ましくは、少なくとも5mmである。たとえば、距離は6.8mmであってもよい。この距離は、熱または非熱プラズマが生成される第2の電極104内の容積の長さと略同等である。
【0060】
図4は、本発明で使用されるプローブ先端部120の第2の実施形態の断面図を示す。第1のプローブ先端部100に対応する第2のプローブ先端部120の特徴は、同じ参照番号が与えられており、あらためて記載されない。プローブ先端部120は、上記の第1のプローブ先端部100と同様に同軸ケーブルの遠位端に適合されている。
【0061】
プローブ先端部120において、第1の電極102は螺旋状ではなく直線状である。たとえば、第1の電極102は、単に同軸ケーブルの内側導体108の延長であってもよい。第1の電極102の遠位端には、導電性エンドキャップ122があり、それは、間隙119を画定するために、第2の電極104の遠位端から離間している。プローブ先端部120は、熱または非熱プラズマを発生させるために、RF及び/またはマイクロ波EMエネルギならびにガスを受けるように構成されている。プローブ先端部120は、上記のプローブ先端部100と同様に作動する。
【0062】
エンドキャップ122は、熱または非熱プラズマの維持を支援し、さらに、プローブ先端部120がスコープ装置50の器具チャネルから引き抜かれる際に、滅菌のために器具チャネルの壁の方へプラズマを向けるために作動する。エンドキャップ122は、円板であってもよく、たとえば、第2の電極104の外径と同程度の(好ましくは、わずかに大きい)直径を有する。エンドキャップ122は、銅、銀、金、またはめっき鋼などの導電性材料から作られる。エンドキャップ122は、第2の電極104の遠位端とエンドキャップ122との間に約0.5mmの間隙が存在するように、第1の電極102の遠位端に接続されている。エンドキャップは、
図2に示されるプローブ先端部100などの螺旋状の第1の電極を有する実施形態でも使用されてもよい。
【0063】
図5は、使用されるときの、プローブ先端部120のまわりの電界の強さを示すコンピュータ生成シミュレーションである。エンドキャップ122の存在は、第2の電極104の遠位端とエンドキャップ122の長手方向に対向する部分との間で延在する環状領域124に電界を集中させるように機能することが分かる。これは、プラズマをこの領域で生成できることを示し、そこで、空間103を通るガスの流れは、器具チャネルの内側表面にプラズマを向けるために、エンドキャップ122によって曲げられる。
【0064】
図2及び4には示されていないが、プローブ先端部は、たとえば、第2の導体の遠位端を越えて取り付けられたブラシをさらに備えてもよい。ブラシは、滅菌及び洗浄工程を支援するために、器具チャネルの内側表面にこすりつけるように構成された複数の変形可能なブラシ毛を備えてもよい。
【0065】
図6は、スコープ装置50の本体54及び器具チャネルを同時に滅菌するための機器300の概略図を示す。それは本明細書において、外科用スコープ装置全体の滅菌機器と呼ばれることがある。明瞭にするために、機器の部品が、
図6において透明であるように示されている。透過性は本発明に必須ではない。
【0066】
機器300は、スコープ装置の本体54を受け入れるヘッドチャンバ302を備える。ヘッドチャンバ302は、本体54の外側表面を洗浄及び滅菌するための熱または非熱プラズマを生成するために配置される。ヘッドチャンバ302は、U字形断面を画定するハウジングの間に形成される内部容積303を備える。本体54は、(U字形断面のアームを形成する)一対の直立したパネル305の間の容積303に挿入可能である。
【0067】
容積303は、プラズマ及び/またはヒドロキシルラジカルが本体52に適用される滅菌ゾーンである。本体54は、その頂面における、たとえば、パネル305の間の開口を通して容積303に導入されてもよい。あるいは、ヘッドチャンバ302の基部307は、容積303への開口を形成するために、パネル305から取り外し可能であってもよい。別の例において、パネルの一方または両方は、基部307に枢動可能に接続されてもよく、それによって、パネルの一方または両方は、それらの直立位置から離れて回転することができ、本体54を挿入することができる。したがって、ヘッドチャンバ302は、チャンバ内への本体54の位置決めのために開けられてもよく、そして、滅菌のために閉められてもよい。ヘッドチャンバ302の直立パネル305のうちの少なくとも1枚は、ヘッドチャンバ302内の所定の位置にスコープ装置の本体54を保持するための手段を備えてもよい。たとえば、本体54は、フック(複数可)で所定の位置に保持されてもよい。
【0068】
プラズマアプリケータのアレイは、容積303に向くパネル305の内面に配置されてもよい。各プラズマアプリケータは、適切なジェネレータ(図示せず)からガス(たとえば、アルゴン)ならびにRF及び/またはマイクロ波EMエネルギの供給を受けるように配置されてもよい。各プラズマアプリケータは、スコープ装置の本体54の方へプラズマ生成領域からプラズマを向けるために、囲まれたプラズマ生成領域及び放出口を有してもよい。たとえば、各プラズマアプリケータは、
図2~5に関して上で記載されたプローブ先端部の1つに対応する構造を備えてもよい。
【0069】
さらに、または、あるいは、ヘッドチャンバ302は、スコープ装置の本体54の滅菌のためにヒドロキシルラジカル(本明細書においてOHラジカルとも呼ばれる)を生成するように構成されてもよい。一般に、OHラジカルは、上述のプラズマアプリケータのプラズマ生成領域において、好ましくは、ミストまたは蒸気として、供給された水によって生成されてもよい。水を含む領域におけるプラズマの生成により、たとえば、プラズマの高エネルギ陽イオンとの反応によって、ヒドロキシルラジカルを形成することができる。
【0070】
OHラジカルを使用する滅菌は、上述のプラズマアプリケータを、容積303に水(たとえば、水ミスト)を導入するために個別の水入口(図示せず)とともに使用して実現されてもよい。
【0071】
あるいは、OHラジカルは、各プラズマアプリケータで、たとえば、各プラズマアプリケータに提供する水供給部を準備することによって、生成されてもよい。プラズマアプリケータは、プラズマが容積303に向けられる前に水ミストに向けられるように構成されてもよく、各アプリケータからの出力は主として、OHラジカルである。したがってヘッドチャンバ302は、OHラジカル生成領域と、OHラジカル生成領域からスコープ装置の本体54の方へ生成されたOHラジカルを向けるための放出口とを有するアプリケータのアレイを備えてもよい。ヘッドチャンバ302は、たとえば、ヘッドチャンバ302の直立パネル305の間の容積303の開口を閉じることができるカバー要素を、たとえば、その端部及び頂部に設けることによって、ヘッドチャンバ302にOHラジカルを閉じ込めるようにさらに構成されてもよい。
【0072】
OHラジカルの生成のために、ヘッドチャンバ302は、各アプリケータのOHラジカル生成領域に水ミスト(すなわち、霧の水分)を送達するために接続されるミストジェネレータを備えてもよい。各アプリケータは、OHラジカル生成領域にガスを送達するために接続されるガス供給部を備えてもよく、それによって、アプリケータは、アプリケータから送達するためのOHラジカルを生成するための電離放出を起こすために、熱または非熱プラズマを作成してもよい。
【0073】
挿入管52の中の器具チャネルの内面の滅菌のために、
図1に示される機器10を使用することができる。使用中、細長いプローブは、挿入管52の遠位端からその近位端の方へ、器具チャネルを通して挿入することができ、それにより、初期位置では、
図2~5に関する上述のようなプローブ先端部であってもよいプローブ先端部14は、器具チャネルの近位端にある、たとえば、スコープ装置の本体54に、または本体54内にある。
【0074】
機器300は、処置台304をさらに備え、それは、直線的に移動するように構成されてもよく、または、以下で説明されるようなコンベヤベルトとして提供されてもよい。細長いプローブの近位端は、挿入管52の遠位端から突出し、アンカ306で処置台304に固定される。細長いプローブは、アンカ306を介して、ジェネレータ及びガス供給部(図示せず)に接続されてもよい。たとえば、ジェネレータ及びガス供給部は、アンカ306に接続されてもよく、それは、細長いプローブと通信するためのインタフェースポートを含んでもよい。あるいは、細長いプローブは、ジェネレータ及びガス供給部と直接、接続するために、アンカを通して延在してもよい。
【0075】
細長いプローブの外側表面を滅菌するための環状プラズマジェネレータ308は、処置台304上で取り付けられている。環状プラズマジェネレータ308は、
図7に関して以下でさらに詳細に論じられる。
【0076】
この例では、挿入管52は、処置台304に固定されないが、スコープ装置の本体54を収容するヘッドチャンバ302に対して固定された位置に取り付けられる。
【0077】
使用中、処置台304及び挿入管52は、たとえば、ヘッドチャンバ302から離れる長手方向に処置台304を移動させることによって、互いに対して移動する。アンカ306及び環状プラズマジェネレータ308は、処置台304に固定されており、そのため、この相対移動により、プローブ先端部は、器具チャネルを通して引き抜かれ、環状プラズマジェネレータ308は、挿入管52の外側表面上を通過する。この移動の間、プローブ先端部14及び環状プラズマジェネレータ308は、熱または非熱プラズマを生成するように構成されており、それにより、器具チャネル及び挿入管52の外側表面は滅菌される。
【0078】
処置台304は、毎秒0.5mmなどの、毎秒1mm未満の速度で移動してもよい。運動は、連続的であってもよく、または、それぞれ1mm未満の離散的なステップであってもよい。それによって、機器300は、最小限の人間の干渉によって、スコープ装置全体の自動滅菌を提供することができる。
【0079】
相対移動を他の方法で実現できることは理解することができる。たとえば、ヘッドチャンバが、処置台304に対して長手方向に移動してもよい。別の例において、たとえば、処置台に対して摺動するために、環状プラズマジェネレータ308は独立して移動可能であってもよい。したがって、挿入管52の外側は、器具チャネルとは別に滅菌されてもよい。
【0080】
処置台304は、コンベヤベルトの形態で提供されてもよい。アンカ点306は、コンベヤベルトの端点のまわりを一周するようにコンベヤベルトに取り付けられてもよい、同時に、プローブ先端部14及び細長いプローブが器具チャネルを通して引き抜かれる方向を維持するので、これにより、機器300の長さを減少させることができる。
【0081】
図7は、
図6の強調領域309の拡大図であり、特に、環状プラズマジェネレータ308を示す。環状プラズマジェネレータ308は、スタンド310上で処置台304に取り付けられおり、それにより、処置台304の長手方向への移動も、環状プラズマジェネレータ308を移動させる。挿入管52は、環状プラズマジェネレータ308の中心を通して取り付けられる。環状プラズマジェネレータ308が処置台304の移動によって器具コード52上を通過するときに、器具コード52が完全に滅菌されることを確実にするために、生成されたプラズマは、その全周囲のまわりで器具コード52の表面の方に向けられる。
【0082】
環状プラズマジェネレータ308は、たとえば、スタンド310を通しての接続を介して、ガス供給部及びジェネレータに接続される。ジェネレータは、環状プラズマジェネレータ308に取り付けられた1つまたは複数のプラズマアプリケータによってプラズマを衝突させて保持することを可能にするために、RF及び/またはマイクロ波EMエネルギを供給してもよい。プラズマアプリケータは、生成されたプラズマが環状プラズマジェネレータ308によって囲まれた環状空間に向けられるように、径方向で向けられてもよい。各プラズマアプリケータは、上述のプローブ先端部14と同様の方法で構成されてもよい。
【0083】
環状プラズマジェネレータ308は、プラズマが生成されて、それを通る細長いプローブの外側表面に向けられることを確実にするために、任意の適切な方法で構成されてもよい。
【0084】
図8は、本発明の別の実施形態である外科用スコープ装置全体の滅菌機器400の概略図である。機器400は、一縁端に沿って枢動可能に接続されたベース部分402及び蓋部分404を備える。閉位置では、ベース部分402及び蓋部分404は、スコープ装置50全体、すなわち、本体54及び挿入管52の両方を受け入れるように構成された内部容積を画定する。したがって、機器400は、比較的コンパクトにすることができ、いくつかの実施形態においては、持ち運び可能とすることができる。
【0085】
開位置では、ベース部分402及び蓋部分404は、スコープ装置50を受け入れるために内部容積を露出するように離れている。
【0086】
ベース部分402及び蓋部分404のうちの少なくとも1つは、生成されたプラズマをスコープ装置50の外側表面に向けるために配置される1つまたは複数のプラズマアプリケータを収容するパネルを備える。いくつかの実施形態において、ベース部分402及び蓋部分404のうちの少なくとも1つは、
図6に関して上述された滅菌機器300のヘッドチャンバ302と同様の方法で、スコープ装置50の滅菌のための複数のOHラジカルアプリケータをさらにまたは代わりに備えてもよい。
【0087】
スコープ装置50は、ベース部分402と蓋部分404との間の容積にあるが、スコープ装置50の器具チャネルは、
図1に示されるような滅菌機器10を使用して滅菌されてもよい。
【0088】
機器の内部容積は、マイクロ波EMエネルギが放射されるマイクロ波空洞を備えてもよい。このような例のジェネレータは、磁電管または適切な半導体増幅器を備えてもよい。機器は、内部容積内でのミストの発生を可能にするために、水入口(図示せず)を含んでもよく、それによって、OHラジカルがプラズマによって生成される。
【0089】
機器は、外側表面のすべての領域が非熱プラズマまたはOHラジカルを受けることを確実にするために、内部容積の中でスコープ装置を回転させるための回転可能部または他の回転機構を含んでもよい。このような機器の例は
図14に示され、以下で論じられる。
【0090】
スコープ装置は、滅菌を受ける前に、従来の産業用洗浄器で洗浄されてもよい。しかしながら、別の例において、滅菌機器は、従来の産業用洗浄器に一体化されてもよい。たとえば、洗浄器のドラムが、マイクロ波EMエネルギを放射することができるマイクロ波空洞として構成されてもよい。あるいは、または、さらに、上述のようなプラズマアプリケータは、その中にプラズマを送達するために、ドラムのまわりにまたはドラム上に配置されてもよい。
【0091】
図9は、挿入管502の遠位端を洗浄及び滅菌するように構成された遠位端洗浄装置500を示す。遠位端洗浄装置500が、上述の滅菌機器10及び環状滅菌ジェネレータ308と組み合わせて使用されてもよく、または、スタンドアロン装置であってもよい。
【0092】
遠位端洗浄装置は、外科用スコープ装置の挿入管502の遠位端を受けるために必要な大きさにされた凹部506を画定するハウジング504、たとえば、剛性円筒状ハウジングを備える。挿入管502は、凹部506の中で挿入管502を中央に置くように機能する複数のローラ508によって支持されている。凹部506は、挿入管の遠位端面に接触するために凹部にまたがるブラシ510を含む。ブラシ510は、ハウジング504に取り付けられた駆動ユニット(たとえば、リニアモータまたはステッピングモータ(図示せず))に接続されている。使用中、ブラシは、挿入管502の遠位端面における光学部品及び任意の凹部を洗浄するために、駆動ユニットによって回転する。
【0093】
1つの例において、ハウジング504は、挿入管の遠位端の側面のまわりで延在する複数のブラシをさらに備えてもよい。これらの追加のブラシはまた、その遠位端で挿入管の外周を洗浄するために、ハウジング内で回転するように構成されてもよい。このようなブラシは、上述の環状プラズマジェネレータ308の中に含まれてもよい。
【0094】
ブラシに加えて、ハウジングは、滅菌または消毒のために挿入管502の遠位端面上に非熱または熱プラズマ源を送達するために、ハウジング504内に取り付けられた(たとえば、上述のプローブ先端部と同様の)プラズマアプリケータを備えてもよい。ハウジング504は、洗浄工程を支援し、かつ/または、スコープの端部を滅菌するためにヒドロキシルラジカルの生成を支援するために、水またはミストを導入するための水入口も含んでもよい。
【0095】
図10は、
図1に関して上述されたものと類似した滅菌機器10のためのプローブ先端部140を示し、細長いプローブが挿入管52の遠位端で器具チャネル53から突出している。上述のプローブ先端部と共通する特徴は、同じ参照番号が与えられており、あらためて記載されない。
【0096】
プローブ先端部140は、エンドキャップ122に近位の、第2の電極104の遠位部上に取り付けられた円盤状ブラシ126を含む。ブラシは、器具チャネル53を通して適合するために変形可能でもよい。ブラシは、洗浄を支援するために、挿入管52の遠位端面にこすりつけるために使用される。滅菌のためのプラズマまたはヒドロキシルラジカルは、ブラシ内でまたはブラシの近位で生成されてもよい。
【0097】
図11Aは、本発明で使用できる別のプローブ先端部150を示す。上述のプローブ先端部と共通する特徴は、同じ参照番号が与えられており、あらためて記載されない。
【0098】
この例では、プローブ先端部150は、細長いプローブを通して水が供給され、第2の電極104に形成された複数の水出口穴152を備える。
【0099】
図11Bは、プローブ先端部150の断面図である。この例では、同軸ケーブル12の内側導体108は、細長いプローブの近位端からプローブ先端部に水を搬送するために長手方向のチャネル151を画定する空洞である。この例の第1の電極102は、同軸ケーブル12の遠位端を越えて延在する内側導体108の遠位部を備える。長手方向のチャネル151は、第1の導体102まで続く。プラズマ生成領域103の中で、放出口156(たとえば、第1の電極102を通る多くの径方向穴の1つ)により、長手方向のチャネル151からの水を逃がすことが可能になる。放出口156は、空間103内での水ミストの生成を促進するノズルとして構成されてもよい。第2の導体104の出口穴152は、水がプローブ先端部を出て、挿入管(図示せず)の内側表面と接触することを可能にする。
【0100】
出口穴152は、プラズマがプローブ先端部によって放出される間隙の近位に位置する。したがって、装置が器具チャネルを通して引き抜かれるとき、水ミストは、プラズマがその領域に向けられる直前に、挿入管の表面に供給されることができる。これにより、滅菌または消毒のためのヒドロキシルラジカルの生成を促進することができる。
【0101】
プローブ先端部は、たとえば、チャネルを洗い流すために水のみを送達するために、または、水なしでプラズマ(たとえば、チャネルを乾燥させる熱プラズマ)を送達するために、または、(たとえば、ヒドロキシルラジカルで器具チャネルを処理するために)プラズマ及び水を同時に送達するために、使用されてもよい。
【0102】
図12は、本発明で使用できる別のプローブ先端部160を示す。上述のプローブ先端部と共通する特徴は、同じ参照番号が与えられており、あらためて記載されない。この例では、エンドキャップ122は、遠位方向に延ばされ、その上に取り付けられたブラシ162を有する。ブラシは、
図10に示されたブラシ126と同じ目的のために構成されてもよい。この例では、ブラシ162の中で、出口穴152は間隙119の遠位に位置する。したがって、送達される水は、ブラシ162の洗浄作用を促進するためのものである。
【0103】
図13は、本発明で使用できる別のプローブ先端部170を示す。上述のプローブ先端部と共通する特徴は、同じ参照番号が与えられており、あらためて記載されない。プローブ先端部170は、出口穴152が間隙119の近位に位置すること以外は、プローブ先端部160と同じであり、
図11A及び11Bで開示されたのと同じ目的のためのものである。プローブ先端部は本明細書で論じられる水出口穴の任意の組合せを有してもよいことが理解されるべきである。
【0104】
図14は、外科用スコープ装置604の外側表面を滅菌するように構成された滅菌機器600を示す。機器600は、外科用スコープ装置604を収容するための内部容積603を画定するチャンバ602、たとえば、円筒状ハウジングを備える。チャンバ602は、外科用スコープ装置604の挿入及び除去を可能にする、着脱可能な蓋または他の開けられる窓またはドアを有してもよい。
【0105】
チャンバ602は、外科用スコープ装置604が載せられる回転可能部606を備える。回転可能部606は、たとえば、チャンバ602の基部に配置することができる駆動機構(図示せず)の制御下で、チャンバ602の中で回転可能である。
【0106】
内部容積603は、外科用スコープ装置604の外側表面の滅菌を支援するために、さまざまな入力を受けるように配置される。
【0107】
たとえば、水供給部608は、水を(たとえば、ミストまたはスプレーとして)内部容積603に注入する複数の水入口610に水を送達するために接続されてもよい。この例では、複数の水入口610は、チャンバ602の頂面にあるように示されている。しかしながら、実際には、それらは、たとえば、内部容積に均一なミストを送達するために、チャンバの一部または全部の表面のまわりに位置してもよい。
【0108】
チャンバ602は、マイクロ波エネルギを内部容積603に放射することができるマイクロ波入口616を含む。内部容積は、マイクロ波空洞として構成されてもよい。マイクロ波エネルギは、マイクロ波エネルギを内部容積に連結するマイクロ波カプラ620で終わる適切なケーブル618でチャンバ602に伝送されてもよい。
【0109】
ガス供給部612は、ガス、たとえば、アルゴンなどの不活性ガスを内部容積に送達するためのガス入口614に接続されてもよい。不活性ガス及びマイクロ波エネルギの組合せにより、プラズマが内部容積に衝突することを可能にしてもよい。プラズマ及びミストが一緒に存在することにより、滅菌を支援するヒドロキシルラジカルの形成を促進することができる。
図14には示されていないが、ガス入口及びマイクロ波入口は、プラズマがチャンバ602に直接、注入されるように、組み合わされてもよい。
【0110】
さらに、または、あるいは、チャンバ602は、内部容積に照射できる紫外線(UV)照射の供給部を受けるように配置されてもよい。UV照射は、水ミストからのヒドロキシルラジカルの形成を促進してもよい。
【0111】
他の種類の機器が、ヒドロキシルラジカルを使用して外科用スコープ装置604の外側表面を滅菌するために提供されてもよい。たとえば、プラズマジェット(または、場合によっては、強力なUV源)のアレイが、外科用スコープ装置604上またはそのまわりをスキャンするミストジェネレータとともに使用されてもよい。