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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】レギュレータユニット
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/06 20060101AFI20230810BHJP
   F16K 31/44 20060101ALI20230810BHJP
   F16K 31/60 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G05D16/06 S
F16K31/44 H
F16K31/60 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021056001
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022153008
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】505034418
【氏名又は名称】株式会社 タイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】浅井 快春
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/019812(WO,A1)
【文献】実開平03-070614(JP,U)
【文献】特開2010-026597(JP,A)
【文献】特開2006-153151(JP,A)
【文献】特開平11-082780(JP,A)
【文献】実開平07-002687(JP,U)
【文献】実開昭57-060213(JP,U)
【文献】実開昭55-045016(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 16/06
F16K 31/44
F16K 31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用シリンダと流体圧供給源との間に配置され、使用に先立って対象ワークの重量に対応するように圧力設定を行い、操作ハンドルがその設定範囲で回動するように規制されるタイプのレギュレータユニットにおいて、前記圧力設定のままその対応重量値を超えるワークの昇降、吊架等を可能にしたレギュレータユニットであって、
前記レギュレータユニットは、レギュレータ本体と、前記レギュレータ本体に連設される調圧機構部とから成り、
前記調圧機構部は、細径孔と太径孔を有する段付き孔が貫設されていて、前記細径孔に調節ばねが収装され、前記太径孔内に鍔付きナットとそれに螺合するネジ杆が配備される円筒形の筒状ハウジングと、
前記筒状ハウジングの前記レギュレータ本体取付面と反対側の端面を閉塞する端面カバーと、
前記端面カバーから突出する前記ネジ杆の端部に固定されて、前記調節ばねを伸縮させるよう作用する前記操作ハンドルとを含んで構成され、
前記端面カバーは、前記筒状ハウジングの端部に嵌め付けられる樹脂リングに固定され、前記操作ハンドルの回動量に応じ、前記樹脂リングと一体になって前記筒状ハウジングの端面に対して摺接回転可能であり、
前記筒状ハウジングの端部が太径化されて抜け止めフランジが形成され、前記端面カバーと前記樹脂リングはこの抜け止めフランジを挟んで連結されることを特徴とするレギュレータユニット。
【請求項2】
前記樹脂リングの内周面に前記抜け止めフランジが当たる段部が形成される、請求項に記載のレギュレータユニット。
【請求項3】
前記樹脂リングに、前記筒状ハウジングの外周面との間の摩擦力を補助するためのプランジャーが埋設される、請求項1に記載のレギュレータユニット。
【請求項4】
前記操作ハンドルは,摩擦式締結具を介して前記ネジ杆の端部に固定される、請求項1に記載のレギュレータユニット。
【請求項5】
前記操作ハンドルは、その回動操作後にセンター位置に自動復帰する機能を備える、請求項1乃至のいずれかに記載のレギュレータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレギュレータユニットに関するものであり、より詳細には、例えば、自動車組み立て工場等において、ワークが載置される昇降テーブルをシリンダにより昇降させる際、簡単な操作でシリンダへの供給流体圧を制御してその昇降速度を所望のものとしたり、ワークを所望位置に停止させたりすることを可能にするレギュレータユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、上述したような、ワークが載置される昇降テーブルをエアシリンダによって昇降させる機構の場合、エアシリンダへは一定のエア圧が供給されるが、昇降テーブルの昇降速度を略一定に推移させるためには、エアシリンダへのエア圧を常時変化させて供給する必要があるところ、この必要とされるエア圧と、供給される一定のエア圧との間で差が生ずるために、昇降テーブルの昇降速度が一定せず、種々の不都合が生じていた。
【0003】
そのような不都合を回避するために、シリンダへ供給される流体圧をレギュレータを介して調整することにより、昇降テーブル等の昇降速度を略一定に推移させることを可能にしたシリンダ圧調整ユニットが提唱されている(特許文献1:特許第4729359号公報)。
【0004】
そのシリンダ圧調整ユニットは、シリンダへ供給される流体圧をレギュレータによって調整するシリンダ圧調整ユニットであって、シリンダのロッドとレギュレータとの間に、シリンダロッドの進退運動に応じて、レギュレータの設定圧力を自在に切替可能とする圧力切替手段を設けたものである。そして、その圧力切替手段は、レギュレータに設けられて伸縮することでシリンダへの設定圧力を切替える調節ばねと、この調節ばねを伸縮させるためのラック及びそれに噛合する平歯車とから成る連結部材とで構成される。
【0005】
しかるに、このシリンダ圧調整ユニットは、部品点数が多くて構造が複雑且つ大きなものとなり、殊に、初期圧設定用エアシリンダが大きく突出するためにその分のスペースが必要となり、また、シリンダ圧を連続操作して、ワークを所望の昇降速度で昇降させたり、ワークを迅速に位置決めして所望の位置に停止させたりすることが困難という問題がある。
【0006】
この問題を解決するために本願出願人は先に、シンプル且つコンパクトな構成で、シリンダ圧を連続操作して、ワークを所望の昇降速度で昇降させたり、ワークを迅速に位置決めして所望の位置に停止させたりすることを可能ならしめる、レギュレータユニットの提案をし、実用化されている(特許第6209535号)。この提案に係るレギュレータユニットの場合は、操作ハンドルの回動操作により、レギュレータ本体の設定圧力を随時変更することにより、昇降テーブルの昇降速度を一定にし、あるいは、速度変更したり、任意の位置で停止させたりすることができる。
【0007】
しかるに、このレギュレータユニットの場合、使用に先立ち、ワーク(例えば、10kg)の重量に対応するように圧力設定を行い、操作ハンドルは、その設定範囲で回動するようにストッパーにより規制される。換言すれば、この装置の場合、操作ハンドルによる圧力制御操作は、ストッパーにより規制される範囲内でしか行うことができないので、その設定のまま重量の異なるワーク(例えば、15kg)を対象とする用途に用いることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第4729359号公報
【文献】特許第6209535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、上記提案に係るレギュレータユニットは、重量の異なるワークを昇降、吊架等の対象とする場合に汎用的に用いることが難しいという問題があったので、本発明は、そのような問題のない、即ち、ある重量のワークに関して圧力設定した場合において、その設定のままその重量値を超えるワークの昇降、吊架等に利用可能なレギュレータユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、駆動用シリンダと流体圧供給源との間に配置され、使用に先立って対象ワークの重量に対応するように圧力設定を行い、操作ハンドルがその設定範囲で回動するように規制されるタイプのレギュレータユニットにおいて、前記圧力設定のままその対応重量値を超えるワークの昇降、吊架等を可能にしたレギュレータユニットであって、
前記レギュレータユニットは、レギュレータ本体と、前記レギュレータ本体に連設される調圧機構部とから成り、
前記調圧機構部は、細径孔と太径孔を有する段付き孔が貫設されていて、前記細径孔に調節ばねが収装され、前記太径孔内に鍔付きナットとそれに螺合するネジ杆が配備される円筒形の筒状ハウジングと、
前記筒状ハウジングの前記レギュレータ本体取付面と反対側の端面を閉塞する端面カバーと、
前記端面カバーから突出する前記ネジ杆の端部に固定されて、前記調節ばねを伸縮させるよう作用する前記操作ハンドルとを含んで構成され、
前記端面カバーは、前記筒状ハウジングの端部に嵌め付けられる樹脂リングに固定され、前記操作ハンドルの回動量に応じ、前記樹脂リングと一体になって前記筒状ハウジングの端面に対して摺接回転可能であり、
前記筒状ハウジングの端部が太径化されて抜け止めフランジが形成され、前記端面カバーと前記樹脂リングはこの抜け止めフランジを挟んで連結されることを特徴とするレギュレータユニットである。
【0011】
一実施形態においては、前記樹脂リングの内周面に前記抜け止めフランジが当たる段部が形成される。
【0012】
一実施形態においては、前記樹脂製リングに、前記筒状ハウジングの外周面との間の摩擦力を補助するためのプランジャーが埋設される。
【0013】
一実施形態においては、前記操作ハンドルは,摩擦式締結具を介して前記ネジ杆の端部に固定される。また、前記操作ハンドルは、その回動操作後にセンター位置に自動復帰する機能を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記のとおりであって、ある重量のワークに関して圧力設定した場合において、その設定のままその重量値を超えるワークの昇降、吊架等に利用可能なレギュレータユニットを提供し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るレギュレータユニットの一実施形態の構成を示す部分切截平面図である。
図2】本発明に係るレギュレータユニットの一実施形態の構成を示す側面図である。
図3】本発明に係るレギュレータユニットに用いる締結具の構成例を示す分解斜視図である。
図4】本発明に係るレギュレータユニットにおける樹脂リングの形状を示す正面図及び縦断面図である。
図5】本発明に係るレギュレータユニットにおける端面カバーの形状を示す正面図及び部分断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態につき、添付図面に依拠して説明する。本発明に係るレギュレータユニットは、例えば、自動車組み立て工場等において、ワークが載置される昇降テーブルを昇降駆動したり、重量物を吊り上げたりするための駆動用シリンダ等に対する供給流体圧を制御するために、駆動用シリンダと流体圧供給源との間に配備されるものである。なお、流体圧は空気圧又は油圧であるが、ここでは空気圧を用いる場合について説明することとするが、油圧の場合も同様の作用効果を奏するものである。
【0017】
このレギュレータユニットは、図1に示されるように、レギュレータ本体1と、それに連設される調圧機構部2とから成る。レギュレータ本体1は、例えば、図示せぬ駆動用エアシリンダとエアタンクとの間のエア供給路に配置されるもので、エアタンクに連通するエア流入口(1次側)と駆動用エアシリンダに接続されるエア供出口(2次側)とを有する。レギュレータ本体1内には、そのエア流路の1次側と2次側とに接するようにダイアフラム(図示してない)が配備され、そのダイアフラムに固定されたダイアフラム受板10が調圧機構部2側に露出する。なお、図1における符号1aは、圧力メータを示す。
【0018】
調圧機構部2は、調節ばね11を収装する円筒形の筒状ハウジング13と、筒状ハウジング13のレギュレータ本体1取付面とは反対側の端面を閉塞する端面カバー14と、端面カバー14の外側に取り付けられる操作ハンドル12を備える。筒状ハウジング13には、細径孔15と太径孔16を有する段付き孔が貫設され、調節ばね11は、レギュレータ本体1側に開口する細径孔15内に伸縮動可能に収装される。
【0019】
調節ばね11は、その一端面がダイアフラム受板10に当接し、他端面が摺動ピース17に当接し、その弾発力はダイアフラム受板10と摺動ピース17とに作用する。摺動ピース17は軸部17aとフランジ部17bとから成り、その軸部17aが調節ばね11の内側に収まり、そのフランジ部17bにおいて調節ばね11の端面を受けることにより、常時、調節ばね11によって外方向(操作ハンドル12方向)に付勢される。そのフランジ部17bの中心部には、鋼球保持用凹部が形成され、そこに鋼球18が可動状態にて収納保持される。摺動ピース17は、そのフランジ部17bの周面が細径孔15の内周面に摺接しつつ、細径孔15内を摺動する。
【0020】
筒状ハウジング13の太径孔16内に、鍔付きナット19とそれに螺合するネジ杆20が装入される。ネジ杆20の後端部は端面カバー14から突出し、その端部に、調節ばね11を伸縮させるよう作用する操作ハンドル12が取り付けられる。
【0021】
端面カバー14は、筒状ハウジング13の端部に摺動回転可能に嵌め付けられる、MCナイロン(登録商標)等の樹脂リング35に固定されることで、樹脂リング35と一体になって、筒状ハウジング13の端面に対して摺接回転可能となる。樹脂リング35には、後述するように、端面カバー14と一体化するための連結ネジ41をねじ込むためのメネジ孔38が複数(図4では3個)、一端面から他端面に抜けるように形成される。好ましい実施形態においては、樹脂リング35の内周面に段部36が形成され、また、外周面からラジアル方向に伸びて内周面に抜ける、プランジャー40をねじ込むためのメネジ孔37が複数(図4では3個)形成される。
【0022】
好ましくは、筒状ハウジング13の端部が太径化されて抜け止めフランジ13aが形成され、それが樹脂リング35の内周面の段部36に当たるようにする。そのような構成にすることにより、樹脂リング35が筒状ハウジング13の端部から抜けることが確実に防止される。樹脂リング35は、その内周面と筒状ハウジング13の外周面との間の摩擦力によって、筒状ハウジング13の端部に固定保持されるが、摺動の反復により内周面が減耗してくると、その摩擦力が低下する。その場合は、プランジャー40を螺進させて、プランジャー40の先端のボール(あるいはピン)を筒状ハウジング13の外周面に押し付けるようにして、摩擦力を確保する。
【0023】
端面カバー14は樹脂リング35と同径のドーナツ形状で、連結ネジ41を差し込むためのネジ挿通孔42が、樹脂リング35のメネジ孔38と連通するように形成される(図5参照)。このネジ挿通孔42を通して樹脂リング35のメネジ孔38に連結ネジ41をねじ込んで緊締することにより、端面カバー14と樹脂リング35が、筒状ハウジング13の抜け止めフランジ13aを挟んで連結され、筒状ハウジング13の端面に対して摺接回転可能に嵌め付けられることになる。更に端面カバー14には、ハンドル12の回動範囲を規制する一対のストッパー29、29aを固定するためのストッパー固定孔43が形成される。
【0024】
鍔付きナット19は、その鍔部19aが、太径孔16の入口側に形成される段部16aに着座するようにして太径孔16内に嵌合され、筒状ハウジング13の端面を閉塞する端面カバー14によって押え止められる。
【0025】
ネジ杆20の先端面は、摺動ピース17の鋼球保持用凹部内に収まっている鋼球18に当接する。ここで、ネジ杆20の先端面を鋼球18の球面に当接させることとし、直接フランジ部17bに当てないようにしたのは、ネジ杆20の先端面に対する摩擦を少なくしてネジ杆20のスムーズな回転を確保すると共に、経時的にネジ杆20の先端とフランジ部17bとが相互に摩耗することを防止するためである。
【0026】
操作ハンドル12は、締結具21を介してネジ杆20の後端部に取り付けられる。締結具21としては、ナット22と、すり割りを有していて一半部がナット22にねじ込まれるインナーリング23と、ナット22に組み付けられてインナーリング23の他半部を覆うアウターリング24と、複数に分割されているアウターリング24に掛け回される輪バネ25とから成る摩擦式の締結具(パワーロック)を用いることが推奨される(図3参照)。
【0027】
このパワーロックの場合、ネジ杆20がインナーリング23内に挿通され、アウターリング24が、操作ハンドル12に形成された透孔26内に嵌合されることにより、ネジ杆20の後端部に操作ハンドル12が確固と取り付けられる(図1参照)。そして、インナーリング23とアウターリング24の各当接し合う周面は、互いに対応するテーパー周面とされているので、ナット22の螺進又は螺退に伴ってアウターリング24がインナーリング23に対して前後動し、それに伴い、インナーリング23によるネジ杆20に対する締結力が増減すると共に、アウターリング24による操作ハンドル12の透孔26の周面に対する押圧力が増大することになる。
【0028】
ネジ杆20は、その後端面に六角ネジ32が固定され、あるいは、その後端部が六角ネジ状に成形され、あるいは、その後端面に六角ネジ穴が凹設される。かくしてネジ杆20は、その六角ネジ32部分又は六角ネジ穴を利用して回転操作可能にされる。このネジ杆20の回転操作は、ナット22を緩めた状態で行う。
【0029】
操作ハンドル12は、下記ストッパー29、29aによってその揺動範囲が規制される、例えば、45度の範囲内(水平状態のセンターから上下に22.5度の範囲内)において揺動可能に設定されるが、本発明に係るレギュレータユニットにおける操作ハンドル12は、その規制範囲を超えての回動が可能である。
【0030】
操作ハンドル12には、その揺動位置からセンターに自動復帰するセンターリング機構が備え付けられる。そのセンターリング機構は、端面カバー14に、操作ハンドル12の揺動端を画するストッパー29、29aを備えたストッパー取付材30、30aを一対固定し、各ストッパー29、29aにリターンスプリング31、31aを纏設し、リターンスプリング31、31aの端部をそれぞれ操作ハンドル12の末端突出部12aに圧接させる構成である。なお、ネジ杆20には、摺動ピース17を介して調節ばね11の復元力が作用するため、一方のリターンスプリング31aの設置は必須ではなく、設置するとしても、そのバネ圧はリターンスプリング31より弱いもので足りる。
【0031】
このセンターリング機構の場合は、図2において実線で示されるセンターに位置する操作ハンドル12を、リターンスプリング31の弾発力に抗して下方向に回動させると(二点鎖線で示す操作ハンドル12b参照)、リターンスプリング31は押し縮められていき、やがて操作ハンドル12の末端突出部12aがストッパー29に当たることにより、それ以上の回動が押止される。そして、その位置において、操作ハンドル12に対して加えていた下方への力を軽減すると、操作ハンドル12は、リターンスプリング31の弾発力によって押されて、センターに戻される。
【0032】
逆に、操作ハンドル12を上方向に回動させる場合(破線で示す操作ハンドル12a参照)は、調節ばね11とリターンスプリング31aの弾発力に抗することになり、操作ハンドル12に対して加えていた上方への力を軽減すると、操作ハンドル12は、調節ばね11とリターンスプリング31aの弾発力によってセンターに戻される。この場合操作ハンドル12は、調節ばね11の作用だけでもセンターに復帰し得るので、上述したように、リターンスプリング31aは省略可能である。また、操作ハンドル12は、後述するように、その回動操作に伴ってネジ杆20の軸方向に僅かに進退するが(図1における破線と二点鎖線の間)、その退動作には、調節ばね11の復元力が寄与する。
【0033】
上記構成の本発明に係るレギュレータユニットを、例えば、ワーク昇降用の昇降テーブルを昇降させる駆動用エアシリンダのエア供給路に配備する場合は、先ず調節ばね11を伸縮させてレギュレータ本体1の駆動用エアシリンダへの初期圧力を、駆動用エアシリンダに負荷がかかっていない場合(昇降テーブル上にワークがない場合)と、負荷がかかっている場合(昇降テーブル上にワークがある場合)とについて設定する。
【0034】
その設定は、締結具21を緩めた状態で、六角ネジ32を介してネジ杆20を回して調節ばね11を伸縮させることにより、ダイアフラム受板10に対するバネ圧を増減させながら、昇降テーブルのバランスを観察し、そのバランスが取れたところで操作ハンドル12をセンターに位置させ、締結具21を緊締して操作ハンドル12をその位置に固定することにより行う。
【0035】
上記のようにして、ワークのあるときとないときについて初期圧力を設定した後、駆動用エアシリンダを駆動させると、駆動用エアシリンダには対応する初期圧力が供給され、昇降テーブルの昇降駆動が開始される。その後、操作ハンドル12を回動操作してレギュレータ本体1の設定圧力を随時変更することにより、昇降テーブルの昇降速度を一定にし、あるいは、速度変更したり、任意の位置で停止させたりすることができる。
【0036】
即ち、操作ハンドル12を上方に回動させると、ネジ杆20が前進して調節ばね11に対する負荷が増大し、以て、2次側圧力が上昇して昇降速度が速められ、逆に、操作ハンドル12を下方に回動させると、ネジ杆20が後退して調節ばね11に対する負荷が減少し、以て、2次側圧力が低下して昇降速度が減速される。
【0037】
その際の昇降テーブルの昇降速度の増減は、操作ハンドル12の回動速度に依存することになる。従って、操作ハンドル12を上方にある程度まで一気に回動させることにより、昇降テーブルを迅速にある程度まで上昇させることができ、そこにおいて操作ハンドル12を微動調整することで、昇降テーブルを迅速に所望位置に到達させ、且つ、その位置に停止させることが可能となる。同様にして、昇降テーブルを、迅速に所望の下方位置に位置決めして停止させることが可能となる。
【0038】
上記操作ハンドル12の回動操作後、操作ハンドル12に対する力を弱め又は手を離すと、操作ハンドル12は、リターンスプリング31、31a並びに調節ばね11の復元力によって、直ちにそのセンター位置に戻される。
【0039】
上述したようにしてある重量のワークに関して初期圧力の設定をした本レギュレータユニットを、より重量のあるワークの移動等に用いる場合、操作ハンドル12を、ストッパー29、29aによって規制される範囲内において操作しても、十分な圧力が得られないため、ワークをスムーズに移動させることができない。しかるに、本レギュレータユニットの場合は、ストッパー29、29aが設置されている端面カバー14が、樹脂リング35と一体となって筒状ハウジング13の端面に対して摺接回転可能であるので、操作ハンドル12がストッパー29aに当たった後、更に操作ハンドル12を上方に回転させようとすると、その末端突出部12aによってストッパー29aが押し込まれて、端面カバー14が回転する。
【0040】
上記のようにして端面カバー14が回転する結果、操作ハンドル12は、当初の揺動範囲を超えて回動して、ネジ杆20を螺進させる。このネジ杆20の螺進に伴って調節ばね11が圧縮される結果、レギュレータ本体1の2次側圧力が上昇し、より重量のあるワークのスムーズな昇降、吊架等が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は上記のとおりであって、ある重量のワークに関して圧力設定した場合において、その設定のままその重量値を超えるワークの昇降、吊架等に利用可能なレギュレータユニットを提供し得るものであり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0042】
1 レギュレータ本体
2 調圧機構部
10 ダイアフラム受板
11 調節ばね
12 操作ハンドル
13 筒状ハウジング
13a 抜け止めフランジ
14 端面カバー
17 摺動ピース
18 鋼球
19 鍔付きナット
19a 鍔部
20 ネジ杆
21 締結具
22 ナット
29、29a ストッパー
30、30a ストッパー取付材
31、31a リターンスプリング
32 六角ネジ
35 樹脂リング
36 段部
40 プランジャー
41 連結ネジ
図1
図2
図3
図4
図5