(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】アンダーインダクションレンジシステム
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
H05B6/12 325
H05B6/12 316
(21)【出願番号】P 2022528977
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(86)【国際出願番号】 KR2020004910
(87)【国際公開番号】W WO2021182669
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0031239
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520457546
【氏名又は名称】ピースワールド カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PEACEWORLD.CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】76,Hanam-daero,Hanam-si Gyeonggi-do 13026,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イ、ミョン オク
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン ウ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0063881(KR,A)
【文献】特開2000-182762(JP,A)
【文献】特開2012-102996(JP,A)
【文献】特開2005-038741(JP,A)
【文献】特開2017-123305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上板部と、
前記上板部の下側に固定配置され、円形コイルによって形成される磁場を介して前記上板部の上部空間に位置する被加熱容器を加熱させるインダクション部と、
前記インダクション部の内部空間のうち、前記円形コイルの中心に配置されるホールセンサ部と、
前記ホールセンサ部と電気的に接続される制御部と、
内部に埋め込まれる磁力部材が前記上板部の上面のうち、整合領域に位置すると、前記ホールセンサ部を介して検出される測定値に応じて前記インダクション部の動作を制御し、前記被加熱容器が安着するマルチスタンド部と、を含
み、
前記測定値は、前記上板部の厚さを意味し、
前記制御部は、前記厚さに応じて円形コイルの最大出力を調整する
ことを特徴とするアンダーインダクションレンジシステム。
【請求項2】
前記測定値が予め設定された範囲を超えると、前記制御部は、前記円形コイルに供給される電力を遮断させる
請求項1に記載のアンダーインダクションレンジシステム。
【請求項3】
前記ホールセンサ部は、
前記インダクション部のハウジング上板の内面に接触配置され、前記磁力部材の磁場を検出するホールセンサと、
前記ホールセンサで測定された電圧をデジタル値に変換するA/D変換部と、を含む
請求項1に記載のアンダーインダクションレンジシステム。
【請求項4】
前記整合領域は、円形であり、
前記上板部の上面には、前記整合領域と同心を有し、より大きな半径を有する可動領域が形成される
請求項1に記載のアンダーインダクションレンジシステム。
【請求項5】
前記磁力部材が前記可動領域を離脱すると、前記制御部は、前記円形コイルに供給される電力を遮断させる
請求項4に記載のアンダーインダクションレンジシステム。
【請求項6】
前記マルチスタンド部の上面および下面には、前記磁力部材の埋め込み位置を表示する円形標識が形成される
請求項1に記載のアンダーインダクションレンジシステム。
【請求項7】
前記円形コイルは、前記インダクション部のハウジング上板の内面に接触配置される
請求項1に記載のアンダーインダクションレンジシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場を用いて容器の温度を上げるインダクションレンジに関するものであって、より具体的には、食卓などのテーブルの下にインダクションレンジが配置されるアンダー構造から容器までの高さに応じてインダクションレンジの動作を制御できるアンダーインダクションレンジシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品の調理のための加熱装置として、電子レンジ、ガスコンロ、オーブンなどが使用されてきた。しかし、室内空気の汚染問題、室内温度の上昇問題などの理由から、最近、インダクションレンジの使用が増加している。インダクションレンジは、誘導加熱方式を採用した加熱調理器具であって、高いエネルギー効率と安定性の面で大きな利点を有する。また、インダクションレンジは、酸素の消費がなく、廃ガスの排出がないという利点を有する。インダクションレンジは、高周波電流を流すと発生する磁気力線がインダクションレンジの上板の上に置かれた専用容器の底部を通過するとき、抵抗成分によって生成される渦電流を用いて専用容器自体のみを発熱させる。
【0003】
一方、インダクションレンジは、磁場が及ぶ範囲が比較的狭いため、インダクションレンジ自体の上板の真上に専用容器を載置して使用することになる。これとは異なり、従来の食品による汚染や損傷の問題などでその設置位置を食卓の下部に変更する場合もある。しかし、このような場合、設置場所に応じてその場所で使用される食卓などの上板の厚さが可変的であるため、コイルと専用容器との間の距離が適切な加熱の範囲を超える問題が時々生じた。また、コイルと専用容器との間の距離は、他の理由で変わり得る。一方、これはインダクションレンジに無理を加えることであり、内部回路部品の損傷などの耐久性の低下、インダクションレンジの熱効率の低下などの後続の問題を発生させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、前述の問題を解決するために案出されたものであって、食卓などの上板の厚またはインダクションコイルと専用容器との間の高さに応じてインダクションレンジの動作を制御できるアンダーインダクションレンジシステムを提供する。
【0005】
また、インダクションの適切な動作の範囲を超える場合、コイルに供給される電力を自動的に遮断し、耐久性および熱効率を向上させようとする。また、専用容器が安着するスタンド部材を使用してインダクションレンジに供給される電力を制御できるアンダーインダクションレンジシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、前述の課題を解決するために、上板部と、前記上板部の下側に固定配置され、円形コイルによって形成される磁場を介して前記上板部の上部空間に位置する被加熱容器を加熱させるインダクション部と、前記インダクション部の内部空間のうち、前記円形コイルの中心に配置されるホールセンサ部と、前記ホールセンサ部と電気的に接続される制御部と、内部に埋め込まれる磁力部材が前記上板部の上面のうち、整合領域に位置すると、前記ホールセンサ部を介して検出される測定値に応じて前記インダクション部の動作を制御し、前記被加熱容器が安着するマルチスタンド部と、を含むアンダーインダクションレンジシステムを提供する。
【0007】
前記測定値が予め設定された範囲を超えると、前記制御部は、前記円形コイルに供給される電力を遮断させることが好ましい。
【0008】
前記ホールセンサ部は、前記インダクション部のハウジング上板の内面に接触配置され、前記磁力部材の磁場を検出するホールセンサと、前記ホールセンサで測定された電圧をデジタル値に変換するA/D変換部と、を含むことが好ましい。
【0009】
前記測定値は、前記上板部の厚さを意味し、前記制御部は、前記厚さに応じて円形コイルの最大出力を調整することが好ましい。
【0010】
前記整合領域は、円形であり、前記上板部の上面には、前記整合領域と同心を有し、より大きな半径を有する可動領域が形成されることが好ましい。
【0011】
前記磁力部材が前記可動領域を離脱すると、前記制御部は、前記円形コイルに供給される電力を遮断させることが好ましい。
【0012】
前記マルチスタンド部の上面および下面には、前記磁力部材の埋め込み位置を表示する円形標識が形成されることが好ましい。
【0013】
前記円形コイルは、前記インダクション部のハウジング上板の内面に接触配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上で説明した本発明の課題解決手段によると、次のような事項を含む様々な効果を期待できる。ただし、本発明が下記のような効果をすべて発揮してこそ成立するものではない。
【0015】
本発明の一実施形態によるアンダーインダクションレンジシステムは、食卓などの上板の厚さまたはインダクションコイルと専用容器との間の高さに応じてインダクションレンジの動作を制御できる。より具体的に、アンダーインダクションレンジシステムは、インダクションの適切な動作の範囲を超える場合、コイルに供給される電力を自動的に遮断させ、耐久性を向上させることができる。
【0016】
また、アンダーインダクションレンジシステムは、非接触式ホールセンサを採用して半永久的に使用が可能である。また、アンダーインダクションレンジシステムは、整合領域を形成し、熱効率を最大化できる。また、アンダーインダクションレンジシステムは、磁力部材を含むマルチスタンド部を採用してコイルに供給される電力を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態によるアンダーインダクションレンジシステムの概略的構成図である。
【
図2】
図1のインダクション部の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のホールセンサ部を介して変換したA/D値と距離との間の関係を示す表である。
【
図4】
図1のマルチスタンド部についての概略図である。
【
図5】
図4の整合領域および可動領域についてのマルチスタンド部の様々な配置状態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を説明するにおいて、係る公知機能について、この分野の技術者に自明な事項として本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。本出願で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の方法で意味しない限り、複数の表現を含む。
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはその以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しない。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態によるアンダーインダクションレンジシステムの概略的構成図であり、
図2は、
図1のインダクション部の構成を示すブロック図であり、
図3は、
図1のホールセンサ部を介して変換したA/D値と距離との間の関係を示す表であり、
図4は、
図1のマルチスタンド部についての概略図であり、
図5は、
図4の整合領域および可動領域についてのマルチスタンド部の様々な配置状態を示す図面である。
【0020】
図1~
図5を参照すると、本発明の一実施形態によるアンダーインダクションレンジシステムは、上板部100、インダクション部200、ホールセンサ部300、制御部400、マルチスタンド部500などを含み得る。また、本システムは、1セットとしてエネルギー効率に優れた専用被加熱容器600をさらに含み得る。
【0021】
上板部100は、インダクション部200が設置される対象であって、家庭や飲食店などで使用される食卓などの上板を指示する。また、上板部100は、調理可能であれば、必ずしも食卓などの上板に限定されない。例えば、上板部100は、流し台などの上板を指示し得る。上板部100は、大理石、木、ガラスなどの非磁性体グループから選択されるいずれかの材質で形成され得る。また、上板部100は、上下面が平坦に形成され、予め設定された範囲内の厚さtを有する。このような上板部100は、上板部100の材質に応じてその厚さtの範囲が変更され得る。
【0022】
一実施形態によるアンダーインダクションレンジシステムは、上板部100の厚さtが一定の範囲を超える場合に、インダクション部200が作動しないように設計される。また、一実施形態による本システムは、円形コイル210と被加熱容器600との間の高さ(距離)を感知した後、予め設定された範囲内にある場合に、インダクション部200が作動するように設計される。
【0023】
上板部100の上面には、ユーザに火口の位置を案内する整合領域Aが形成され得る。これは、マルチスタンド部500が上板部100のうち、特定の位置に正確に配置され得るようにする。例えば、整合領域Aは、ステッカーによって上板部100の上面の表面に形成され得る。また、整合領域Aは、陰刻によって上板部100の上面の表面に半永久的に形成され得る。このような、整合領域Aは、円形に形成され得る。また、整合領域Aは、半径を異にする複数の同心円が繰り返される形状であり得る。
【0024】
上板部100の上面には、整合領域Aと同心を有し、より大きな半径を有する可動領域Bが形成され得る。ここで、可動領域Bは、整合領域Aとその用途および機能が互いに区別されるものであって、視覚的または非視覚的に表示され得る。
【0025】
インダクション部200は、磁場を用いて被加熱容器600自体に熱を誘導させる間接的方式で被加熱容器600内の飲食物を加熱する。一実施形態によるインダクション部200は、上板部100の下側に固定配置され、円形コイル210によって形成される磁場を介して上板部100の上部空間に位置する被加熱容器600を加熱させる。このようなインダクション部200は、上板部100の下面に直接取り付けられる方式で固定設置されるか、または上板部100の下面から一定の間隔に離隔して固定設置され得る。
【0026】
具体的に、インダクション部200は、円形コイル210、プリント回路基板(図示せず)、ホールセンサ部300などを収容するハウジング220を含む。一実施形態によるアンダーインダクションレンジシステムは、インダクション部200が上板部100の下側に配置される理由で従来のインダクションと比べると、円形コイル210と被加熱容器600の底面との間の離隔距離d2が比較的遠い。一方、円形コイル210は、インダクション部200の限られた内部空間に取り付けられる。
【0027】
その結果、一実施形態による円形コイル210は、単位面積にターン(Turn)数を高め、被加熱容器600についての加熱効率を極大化することが必要である。このために、円形コイル210は、円形板部(図示せず)に複数回以上巻取られ、少なくとも1つ以上の段を有するように形成され得る。一方、円形コイルの中心には、空き空間が形成されている。また、一実施形態による円形コイル210は、インダクション部200のハウジング220の上板内面に接触配置されることが好ましい。これは、円形コイル210と被加熱容器600との間の離隔距離d2を最小化する。
【0028】
マルチスタンド部500の磁力部材510によって、その周辺には磁場が形成される。ホールセンサ部300は、磁場と反応するときに発生する少量の電圧を検出した後、これをトランジスタを介して増幅する方法でセンサの役割をする。ホールセンサ部300は、マルチスタンド部500を用いて上板部100の厚さtを測定できる測定値を検出することができる。このようなホールセンサ部300は、インダクション部200の内部空間に配置される。特に、ホールセンサ部300は、インダクション部200の内部空間のうち、円形コイル210の中心に配置されることが好ましい。このとき、ホールセンサ部300は、インダクション部200のハウジング220の上板内面に接触配置されることが好ましい。すなわち、円形コイル210とホールセンサ部300は、インダクション部200内で同じ高さに位置することになる。
【0029】
また、ホールセンサ部300は、円形コイル210の中心で鉛直上方または鉛直下方に位置し得る。すなわち、ホールセンサ部300は、円形コイル210の中心を垂直に通過する仮想の線上に配置される。このように、本システムは、非接触式ホールセンサ部300を採用し、半永久的な使用が可能である。
【0030】
一実施形態によるホールセンサ部300は、ホールセンサ310、A/D変換部320などを含む。ホールセンサ310は、磁力部材510の磁場を検出する。このようなホールセンサ310は、BipolarタイプでN極とS極に応じた磁場をそれぞれ検出することができる。一実施形態によるホールセンサ310は、磁場がない場合に、印加される電圧Vddの半分を出力する。また、ホールセンサ310は、S極とN極による磁場に応じて互いに異なる電圧を検出する。ホールセンサ310は、電線などを介して後述するプリント回路基板と接続し得る。
【0031】
A/D変換部320は、ホールセンサ310で測定された電圧をデジタル値に変換する。一方、デジタル値は、マイコンによる演算を通してホールセンサ部300と磁力部材510との間の距離d1に換算できる。このとき、マイコンは、デジタル値とメモリ部(図示せず)に格納されたデータを相互に比較して距離d1を算出することになる。これにより、一実施形態によるアンダーインダクションレンジシステムは、上板部100の厚さtを測定できる。
【0032】
図3は、一実施形態によるホールセンサ部300を介して変換したA/D値と、それに応じたホールセンサ部300と磁力部材510との間の距離d1を示す。ここで、A/D値は、マイコンで認識できるように変換された整数を意味する。また、A/D値は、磁力部材510の刺激方向によってその値が変わることを確認できる。一方、一実施形態によるインダクション部200の性能を考慮するとき、一実施形態によるホールセンサ部300と磁力部材510との間の距離d1は、1~60mmの範囲に形成されることが好ましい。
【0033】
一方、ホールセンサ部300は、内部に空き空間を有する円形収納部230に配置され得る。このような円形収納部230は、下面およびその側面が金属性遮蔽部材で形成され得る。円形収納部230は、円形コイル210の中心に配置され、円形板部(図示せず)にはめ込み結合できる。円形収納部230は、円形コイル210の中心を垂直に通過する仮想の線上に配置されることが好ましい。一方、円形収納部230の側面の上端は、インダクション部200のハウジング220の上板内面と接触し得る。
【0034】
インダクション部200は、ホールセンサ部300と電気的に接続される制御部400をさらに含む。制御部400は、プリント回路基板に形成される電気配線と、その上面に実装する半導体、コンデンサ、抵抗などの回路素子を用いて形成され得る。また、インダクション部200は、例えば、ボタン式またはタッチ式パネルなどで形成される入力部240を含み得る。また、インダクション部200は、動作状態などを視覚的、聴覚的に知らせる表示部250をさらに含み得る。
【0035】
マルチスタンド部500は、被加熱容器600が安着するスタンド面を提供する。このために、マルチスタンド部500は、耐熱性は高いが、熱伝達率は低い材質で形成されることが好ましい。マルチスタンド部500は、例えば、シリコン、ゴム、大理石、木、ガラスなどのグループから選択されるいずれかの材質で形成され得る。また、マルチスタンド部500の上面および下面には、被加熱容器600から発生する熱を容易に空気中に放出するようにガイドする放熱溝530が特定パターンに形成され得る。
【0036】
一方、マルチスタンド部500は、内部に埋め込まれている磁力部材510を介してインダクション部200の動作を制御できる。インダクション部200の電源は、ユーザによる電源ボタンの操作によってON/OFFとなる。しかし、一実施形態によるアンダーインダクションレンジシステムは、被加熱容器600を加熱するために必ず被加熱容器600の下側にマルチスタンド部500が配置されるように形成される。
【0037】
すなわち、インダクション部200の電源がOnの状態で被加熱容器600を上板部100の上面に載置してもインダクション部200は動作しない。また、インダクション部200の電源がOnの状態で被加熱容器600を上板部100の上面のうち、整合領域Aや可動領域Bに載置してもインダクション部200は動作しない。このように、一実施形態によるマルチスタンド部500は、内部に埋め込まれる磁力部材510が上板部100の上面のうち、整合領域Aに位置すると、ホールセンサ部300を介して検出される測定値に応じてインダクション部200の動作を制御できる。
【0038】
一方、マルチスタンド部500の上面および下面には、磁力部材510の埋め込み位置を表示する円形標識520が形成され得る。円形標識520は、上面および下面の中心に放熱溝530と区別されるように直接表示され得る。これとは異なり、円形標識520は、マルチスタンド部500の上面および下面の中心に凹んで形成される凹溝に形成され得る。このような円形標識520は、整合領域Aと合致する形状に形成され得る。
【0039】
磁力部材510は、両端にN極とS極が形成される磁石であり得る。そして、このような磁力部材510によってマルチスタンド部500の周囲に形成される磁力線は、マルチスタンド部500の上面と下面との間を連結する形態であり得る。このとき、磁力部材510は、例えば、N極がマルチスタンド部500の上面に対向する場合、S極が下面に対向するように配置され得る。このとき、上面とN極の末端との間の距離は、下面と磁力部材510のS極の末端との間の距離と同じであり得る。これとは異なり、上面とN極の末端との間の距離は、下面と磁力部材510のS極の末端との間の距離と異なり得る。すなわち、磁力部材510は、マルチスタンド部500のいずれかの一面とより近く配置され得る。
【0040】
ユーザが円形標識520が整合領域Aに正確に一致するようにマルチスタンド部500を上板部100に配置すると、アンダーインダクションレンジシステムは、ホールセンサ部300を介して検出される測定値を通じて上板部100の厚さt、ホールセンサ部300と磁力部材510との間の距離d1、ホールセンサ部300と被加熱容器600との間の距離のうち、いずれか1つを計算できる。このとき、測定値が予め設定された範囲を超えると、制御部400は、円形コイル210に供給される電力を遮断させることができる。上板部100の厚さtによって円形コイル210と被加熱容器600の底面との間の離隔距離d2が適正距離を超える場合、本システムは、性能の低下問題だけでなく、故障などによる耐久性の問題が発生し得る。また、測定値が予め設定された範囲を超えると、表示部250にエラー(Error)コードをディスプレイし得る。
【0041】
一方、ホールセンサ部300を介して検出される測定値が複数回以上繰り返し検出される場合、制御部400は、ホールセンサ部300を介してこれ以上測定値を検出しないように予めプログラムすることができる。一実施形態による測定値は、上板部100の厚さtを意味し得る。このとき、制御部400は、上板部100の厚さtに応じて円形コイル210の最大出力を調整できる。その結果、本システムは、インダクション部200に内蔵される回路部品の過熱や焼損を防止できる。
【0042】
また、磁力部材510が可動領域Bを離脱すると、制御部400は、円形コイル210に供給される電力を遮断させることができる。しかし、磁力部材510が可動領域B内に位置すると、制御部400は、円形コイル210に供給される電力を維持させる。
図5を参照すると、マルチスタンド部500を上板部100に配置するとき、円形標識520を使用して磁力部材510が可動領域Bの内外に位置しているかを確認できる。すなわち、a)円形標識520が整合領域Aと正確に一致する場合、b)円形標識520が整合領域Aと可動領域Bとの間に位置する場合、c)円形標識520が整合領域A外側の可動領域B内に位置する場合、制御部400は、円形コイル210に供給される電力を維持させる。このとき、本システムは、a)の場合、熱効率が最大化される。しかし、d)円形標識520が可動領域Bを外れる場合、制御部400は、円形コイル210に供給される電力を遮断する。
【0043】
a)~c)の場合、マルチスタンド部500の上面に被加熱容器600を載置すると、インダクション部200は、初めて加熱を開始することができる。したがって、インダクション部200に配置される電源ボタンを第1電源スイッチとすると、マルチスタンド部500は、これとは別に、使用上の安全のために円形コイル210に供給される電力を2重に制御する第2電源スイッチとなる。すなわち、円形コイル210に供給される電力は、第1電源スイッチと第2電源スイッチの両方がOnの状態で作動かつ維持される。このとき、円形コイル210によって発生する磁場は、上板部100とマルチスタンド部500を透過して被加熱容器600に作用する。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態を例示的に説明したが、本発明の範囲は、このような特定の実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されたカテゴリ内で適切に変更可能である。