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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/00 20060101AFI20230810BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
F24C3/00 G
A47J37/06 366
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019093019
(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公開番号】P2020186875
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金沢 信吾
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-228919(JP,A)
【文献】特開平11-290208(JP,A)
【文献】実開昭56-019120(JP,U)
【文献】特開2010-082468(JP,A)
【文献】特開2017-155951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0276231(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00- 3/14
A47J 27/00-27/64
A47J 37/00-37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室と、
前記加熱室に設置された上バーナー及び下バーナーを含み、前記上バーナーによって調理容器を上側から加熱し、かつ前記下バーナーによって前記調理容器を下側から加熱する加熱部と、
前記調理容器の温度を検知する温度検知部と、
前記加熱部を制御し、米及び水が入れられた前記調理容器を前記加熱部によって加熱して炊飯運転を実行する制御部と
前記炊飯運転を行うにあたって、第1モード及び第2モードの二つのモードのうちの一つのモードを選択するための操作部とを備え、
前記炊飯運転は、
吸水工程と、吸水工程の後に実行される炊上工程とを含み、
前記制御部は
前記吸水工程では、吸水加熱工程と、前記調理容器に入れられた米が吸水しやすい温度範囲に維持されるように前記加熱部を制御する吸水温度維持工程とを実行し、
前記炊上工程では、前記調理容器に入れられた米が糊化しやすい温度範囲に維持されるように前記加熱部を制御する炊上温度維持工程を実行し、
前記吸水加熱工程においては、前記上バーナー及び前記下バーナーを点火状態とし、
前記吸水温度維持工程及び前記炊上温度維持工程においては、前記下バーナーを点火状態とし、
前記第2モードが設定された場合には、前記吸水温度維持工程において、前記調理容器に入れられた米が吸水しやすい温度範囲に維持される時間が、前記第1モードが設定された場合よりも長くなるように、前記下バーナーの点火及び消火を切り換える制御を行うとともに、前記炊上温度維持工程において、前記調理容器に入れられた米が糊化しやすい温度範囲に維持される時間が、前記第1モードが設定された場合よりも長くなるように、前記下バーナーの点火及び消火を切り換える制御を行う、
加熱調理器。
【請求項2】
前記炊飯運転は、
前記炊上工程よりも後に実行される蒸らし工程を更に含み、
前記制御部は、前記蒸らし工程において、記調理容器に入れられた米に付着した水が蒸発しやすい温度範囲に維持されるように前記加熱部を制御する蒸らし温度維持工程を実行し、
前記制御部は、前記蒸らし温度維持工程において、前記調理容器に入れられた米に付着した水が蒸発しやすい温度範囲に維持される時間が、前記第1モードが設定された場合よりも前記第2モードが設定された場合の方が長くなるように、前記下バーナーの点火及び消火を切り換える制御を行う、
請求項1に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鍋を使用した炊飯用の加熱処理を実行可能な加熱調理装置が開示されている。この加熱調理装置は、ガスコンロであり、鍋の底の温度を検出する温度センサの検知結果に基づいて、加熱部を制御することにより、炊飯用の加熱処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-287450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した加熱調理装置は、白米等の水分を吸収しやすい米と、玄米等の水分を吸収し難い米との両者を区別して加熱部の制御を行っていない。このため、上述した加熱調理装置では、白米等の水分を吸収しやすい米と、玄米等の水分を吸収し難い米との両者を適切に炊飯することが難しい。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、吸水しやすい米と、吸水し難い米との両者を仕上がり良く炊飯することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る加熱調理器は、バーナーを含み、該バーナーによって調理容器を加熱する加熱部と、前記調理容器の温度を検知する温度検知部と、前記加熱部を制御し、米及び水が入れられた前記調理容器を前記加熱部によって加熱して炊飯運転を実行する制御部とを備える。前記炊飯運転は、少なくとも一つの温度維持工程を含む。前記制御部は、前記温度維持工程において、前記温度検知部の検知結果に基づき、前記調理容器の温度が所定温度範囲に維持されるように前記加熱部を制御する。前記加熱調理器は、前記炊飯運転を行うにあたって、第1モード及び第2モードの二つのモードのうちの一つのモードを選択するための操作部を更に備える。前記制御部は、前記温度維持工程において前記調理容器の温度が前記所定温度範囲に維持される時間が、前記第1モードが選択された場合よりも前記第2モードが選択された場合の方が長くなるように前記加熱部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る加熱調理器は、水分を吸収しやすい米と、水分を吸収し難い米との両者を、仕上がり良く炊飯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の加熱調理器の斜視図である。
図2図2は、同上の加熱調理器が備えた加熱室を示した斜視図である。
図3図3は、同上の加熱調理器が備えたガス供給路を示した説明図である。
図4図4は、同上の加熱調理器のブロック図である。
図5図5は、同上の加熱調理器において、第1炊飯運転を実行したときにおける、温度検知部により検知した温度及び調理対象物の温度の時間経過に伴う変化を示したグラフである。
図6図6は、同上の加熱調理器において、第2炊飯運転を実行したときにおける、温度検知部により検知した温度及び調理対象物の温度の時間経過に伴う変化を示したグラフである。
図7図7は、同上の第1炊飯運転における制御を示したフローチャートである。
図8図8は、同上の第2炊飯運転における吸水工程及び炊上第1加熱工程の制御を示したフローチャートである。
図9図9は、同上の第2炊飯運転における炊上温度維持工程の制御を示したフローチャートである。
図10図10は、同上の第2炊飯運転における炊上第2加熱工程及び蒸らし工程の制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態
図1に示す本実施形態の加熱調理器1は、グリル付ガスこんろであって、詳しくはキッチンカウンター(図示せず)に形成された孔に上方より挿入されて設置されるドロップインこんろである。
【0010】
以下、加熱調理器1について、加熱調理器1の設置状態における方向を用いて説明する。具体的には、加熱調理器1から見て、設計上、利用者が位置する方向を前方と規定する。また、加熱調理器1を前方から見たときを基準にして、左右方向を規定する。
【0011】
加熱調理器1は、ケーシング10、複数のこんろバーナー11及び天板12を備えている。ケーシング10は、上方に開口した箱状に形成されている。ケーシング10の内部には、複数のこんろバーナー11が設置されている。天板12はケーシング10上に設置されている。天板12はケーシング10の上面を覆っている。複数のこんろバーナー11の各々は、天板12に形成された孔を通って天板12の上方に突出している。
【0012】
加熱調理器1は、複数のこんろ用操作部13を更に備えている。複数のこんろ用操作部13は、複数のこんろバーナー11にそれぞれ一対一で対応している。利用者は、各こんろ用操作部13を操作することで、対応するこんろバーナー11の点火と消火の切換え及び火力の変更を行うことができる。
【0013】
加熱調理器1は、加熱室2を更に備えている。加熱室2は、グリル調理を行うためのグリル庫であり、本実施形態ではこの加熱室2を用いて炊飯が行われる。加熱室2は、ケーシング10と天板12とで囲まれている。図2に示すように、加熱室2は、箱状に形成されている。加熱室2は、底部20、左右の側壁21,22、後壁23及び天井部24を有している。
【0014】
加熱室2の前面には、開口部25が形成されている。加熱室2の内側には、底部20、左右の側壁21,22(図2参照)、後壁23及び天井部24で囲まれた加熱空間26が形成されている。加熱室2内の加熱空間26は、開口部25を通じてケーシング10(図1参照)の前方に開放される。
【0015】
加熱調理器1は、開口部25を開閉する扉14(図1参照)と、扉14を支持した支持機構15とを更に有している。支持機構15は、加熱室2に設置されており、扉14を前後方向に移動可能に支持している。支持機構15は、例えば、左右一対のスライドレールで構成される。利用者は、扉14を前後方向に移動することで、加熱室2の開口部25を扉14によって開閉することができる。
【0016】
加熱調理器1は、調理容器4を更に備えている。調理容器4は、例えば、アルミニウム合金等から形成された金属製である。調理容器4は、容器本体40と、蓋41とを有している。容器本体40は、上方に開口した容器状に形成されている。
【0017】
容器本体40は、例えば、アルミニウム合金等から形成された金属製である。蓋41は、容器本体40に着脱可能に取り付けられる。蓋41は、容器本体40に取り付けられた状態で、容器本体40の上端部に形成された開口部を閉塞する。蓋41は、例えば、金属製である。
【0018】
加熱調理器1は、調理容器4を支持する支持枠16を更に備えている。支持枠16は、例えば、金属製の線材から形成される。調理容器4は、容器本体40が支持枠16に対して着脱可能に取り付けられた状態で、支持枠16に支持される。
【0019】
支持枠16は、扉14に対して着脱可能に連結されている。調理容器4が支持枠16に支持され、かつ、支持枠16が扉14に連結された状態において、支持枠16及び調理容器4は、扉14と連動して前後方向に移動する。
【0020】
利用者は、扉14を加熱室2に対して前後方向に動かして、調理容器4を前後方向に移動することで、調理容器4を加熱室2に対して開口部25から出し入れすることができる。つまり、調理容器4は、前後方向に移動することで、加熱室2に対して出納可能である。
【0021】
調理容器4が支持枠16に支持され、かつ、支持枠16が扉14に連結された状態において、扉14が開口部25を閉じる閉位置に配置されたとき、支持枠16及び調理容器4は、加熱室2内の所定位置に配置される。利用者は、閉位置に配された扉14を前方に動かして開くことで、支持枠16及び調理容器4を、加熱室2の開口部25よりも前方に配置することができる。
【0022】
加熱調理器1は、加熱部3を更に有している。加熱部3は、複数のバーナー30,31を有しており、加熱室2に配置された調理容器4及びこの調理容器4内に配置された調理対象物(内容物)を、複数のバーナー30,31によって加熱する。グリル調理及び炊飯の際には、調理容器4及び調理容器4内に配置された調理対象物が、加熱部3によって加熱される。
【0023】
利用者は炊飯を行う場合、容器本体40に蓋41が取り付けられた状態で調理容器4を用いる。なお、炊飯を行う場合、調理容器4は、容器本体40に蓋41が取り付けられていない状態で用いられてもよい。また、グリル調理の際には、調理容器4は、容器本体40に蓋41が取り付けられた状態で用いられてもよいし、容器本体40に蓋41が取り付けられていない状態で用いられてもよい。
【0024】
本実施形態の加熱部3は、複数のバーナー30,31として、上バーナー30及び下バーナー31を有している。上バーナー30及び下バーナー31の各々は、ブンゼンバーナーである。上バーナー30は、加熱室2の上部(詳しくは天井部24)に取り付けられている。上バーナー30は、加熱室2内の所定位置に配置された調理容器4の上方に位置し、調理容器4及び調理容器4内の調理対象物を上側から加熱する。
【0025】
下バーナー31は、加熱室2の下部(詳しくは底部20)に設置されている。下バーナー31は、加熱室2内の所定位置に配置された調理容器4の下方に位置し、調理容器4及び調理容器4内に配置された調理対象物を下側から加熱する。本実施形態の下バーナー31は、調理容器4が加熱室2内の所定位置に配置された状態において、調理容器4の底部42の中央部の下方に位置する。下バーナー31で生じた炎は、調理容器4の底部42の中央部に当たる。
【0026】
加熱部3は、図3に示すガス供給路32を更に有している。ガス供給路32は、上バーナー30及び下バーナー31に都市ガス等の燃料ガスを供給する。ガス供給路32は、主流路320と、主流路320から分岐した一対の副流路321,322とを有している。主流路320には、燃料ガスが供給される。一対の副流路321,322のうちの一方は、上バーナー30に通じる上バーナー用流路321であり、他方は下バーナー31に通じる下バーナー用流路322である。
【0027】
加熱部3は、加熱部3の単位時間当たりの加熱量を変更する加熱量変更部33を更に有している。本開示における加熱部3の単位時間当たりの加熱量とは、加熱部3から調理容器4及び調理容器4内の調理対象物に対して与えられる単位時間当たりの熱量である。以下、加熱部3の単位時間当たりの加熱量を、単に加熱部3の加熱量という。
【0028】
加熱量変更部33は、上バーナー30の火力及び下バーナー31の火力を変更することで、加熱部3の加熱量を変更する。加熱量変更部33は、上バーナー用点火プラグ330、上バーナー用火力調節部331、下バーナー用点火プラグ332及び下バーナー用火力調節部333を有している。
【0029】
上バーナー30には、上バーナー30を点火するための上バーナー用点火プラグ330が設置されている。下バーナー31には、下バーナー31を点火するための下バーナー用点火プラグ332が設置されている。
【0030】
ガス供給路32から上バーナー30に燃料ガスが供給されている状態で、上バーナー用点火プラグ330が作動してスパークが生じることにより、上バーナー30は点火する。ガス供給路32から下バーナー31に燃料ガスが供給されている状態で、下バーナー用点火プラグ332が作動してスパークが生じることにより、下バーナー31は点火する。
【0031】
上バーナー用火力調節部331は、上バーナー用流路321に設けられた、電磁弁331a及び電磁弁331bを有している。電磁弁331bは、上バーナー用流路321において、電磁弁331aよりも下流側に設けられている。
【0032】
ガス供給路32は、バイパス路323を更に有している。バイパス路323は、上バーナー用流路321において、電磁弁331aよりも下流側でかつ電磁弁331bよりも上流側の箇所と、電磁弁331bよりも下流側の箇所とを接続している。バイパス路323の一部は、上バーナー用流路321よりも流路断面積が小さい流路324である。
【0033】
上バーナー30の火力は、電磁弁331a及び電磁弁331bの各々を開閉することによって調節される。電磁弁331aが開き、かつ、電磁弁331bが開いた状態では、主流路320から上バーナー用流路321に供給された燃料ガスは、電磁弁331bと流路324との両者を通過して上バーナー30に供給される。この場合、上バーナー30の火力は、強火、すなわち「強」になる。電磁弁331aが開き、かつ、電磁弁331bが閉じた状態では、主流路320から上バーナー用流路321に供給された燃料ガスは、電磁弁331b及び流路324のうちの流路324のみを通過して上バーナー30に供給される。この場合、上バーナー30に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁331bが開いた状態にある場合よりも少なくなり、上バーナー30の火力は、弱火、すなわち「弱」になる。電磁弁331aが閉じた状態では、上バーナー30には燃料ガスが供給されず、上バーナー30は消火状態となる。
【0034】
本実施形態の下バーナー用火力調節部333は、下バーナー用流路322に設けられた、電磁弁333a及び電磁弁333bを有している。電磁弁333bは、下バーナー用流路322において、電磁弁333aよりも下流側に設けられている。
【0035】
ガス供給路32は、バイパス路325を更に有している。バイパス路325は、下バーナー用流路322において、電磁弁333aよりも下流側でかつ電磁弁333bよりも上流側の箇所と、電磁弁333bよりも下流側の箇所とを接続している。バイパス路325の一部は、下バーナー用流路322よりも流路断面積が小さい流路326である。
【0036】
下バーナー31の火力は、電磁弁333a及び電磁弁333bの各々を開閉することによって調節される。電磁弁333aが開き、かつ、電磁弁333bが開いた状態では、主流路320から下バーナー用流路322に供給された燃料ガスは、電磁弁333bと流路326との両者を通過して下バーナー31に供給される。この場合、下バーナー31の火力は、「強」になる。電磁弁333aが開き、かつ、電磁弁333bが閉じた状態では、主流路320から下バーナー用流路322に供給された燃料ガスは、電磁弁333b及び流路326のうちの流路326のみを通過して下バーナー31に供給される。この場合、下バーナー31に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁333bが開いた状態にある場合よりも少なくなり、下バーナー31の火力は、「弱」になる。電磁弁333aが閉じた状態では、下バーナー31には燃料ガスが供給されず、下バーナー31は消火状態となる。
【0037】
加熱調理器1は、利用者によって操作される操作部として、図1に示すグリル用操作部5を更に備えている。グリル用操作部5は、ケーシング10の前面に設けられている。利用者は、グリル用操作部5を操作することで、自動調理運転の設定及び実行を行うことができる。
【0038】
自動調理運転の設定では、魚、鳥、パン等の食材の種類の違い、切り身、姿焼き等の食材の状態の違い、調理方法、火加減等に応じて設定された複数の調理メニューの中から選択された任意の調理メニューが設定される。
【0039】
図4に示すように、加熱調理器1は、制御部60を更に備えている。制御部60は、例えば、マイクロコンピューターで構成される。制御部60は、加熱量変更部33に電気的に接続されている。具体的に制御部60は、上バーナー用点火プラグ330、上バーナー用火力調節部331(電磁弁331a,331b)、下バーナー用点火プラグ332及び下バーナー用火力調節部333(電磁弁333a,333b)に、電気的に接続されている。制御部60は、加熱量変更部33を制御することで、調理対象物が入れられた調理容器4を加熱部3によって加熱して自動調理運転を実行する。
【0040】
加熱調理器1は、温度検知部27を更に備えている。温度検知部27は、加熱室2に配置された調理容器4の温度を検知する。制御部60は、温度検知部27に電気的に接続されている。制御部60は、自動調理運転において、温度検知部27の検知結果に基づいて、加熱部3を制御する。
【0041】
本実施形態の温度検知部27は、図3に示すように、下バーナー31に設置された温度センサーである。加熱室2内の所定位置に調理容器4が配されたとき、温度検知部27は、調理容器4の底部42の中央部の下面に接触する。これにより、調理容器4の底部42の温度が、温度検知部27によって検知可能になる。
【0042】
図4に示す制御部60は、グリル用操作部5に電気的に接続されている。制御部60は、利用者により、グリル用操作部5が操作されて自動調理運転の設定が行われ、かつ、自動調理運転の開始が指令されたことを条件として、自動調理運転を開始する。
【0043】
制御部60は、自動調理運転において、設定された調理メニュー及び温度検知部27の検知結果に基づき、加熱量変更部33を制御し、調理容器4(図3参照)及び調理容器4に配置された調理対象物を加熱部3によって加熱する。
【0044】
グリル用操作部5の操作により設定可能な複数の調理メニューには、グリル調理を行うための調理メニューの他、炊飯を行うための調理メニューが含まれている。炊飯を行うための調理メニューとしては、第1炊飯メニューと、第2炊飯メニューとがある。第1炊飯メニューは、白米等、水分を吸収しやすい米を炊飯することに適した調理メニューである。第2炊飯メニューは、玄米等、水分を吸収し難い米を炊飯することに適した調理メニューである。すなわち、利用者は、第1炊飯メニューを選択して設定することで、自動調理運転として、水分を吸収しやすい米を炊飯することに適した第1モードによる炊飯運転を実行できる。また、利用者は、第2炊飯メニューを選択して設定することで、自動調理運転として、水分を吸収し難い米を炊飯することに適した第2モードによる炊飯運転を実行できる。以下、第1モードによる炊飯運転を第1炊飯運転といい、第2モードによる炊飯運転を第2炊飯運転という。以下では、第1炊飯運転と第2炊飯運転とが共通する点については、第1炊飯運転及び第2炊飯運転の各々を「炊飯運転」と記載して説明する。
【0045】
制御部60は、炊飯運転において、温度検知部27の検知結果に基づいて加熱部3を制御する。これにより、米及び水を含む調理対象物が入れられた調理容器4が加熱部3によって加熱される。
【0046】
図5は、調理対象物を白米3合及び水700ccとして、第1炊飯運転を実行したときにおける、温度検知部27により検知した温度ts及び調理対象物の温度tcと、炊飯運転の開始時点からの経過時間Tとの関係を示したグラフである。図6は、調理対象物を玄米3合及び水940ccとして第2炊飯運転を実行したときにおける、温度検知部27により検知した温度ts及び調理対象物の温度tcと、炊飯運転の開始時点からの経過時間Tとの関係を示したグラフである。
【0047】
図5及び図6に示すように、炊飯運転は、吸水工程、炊上工程及び蒸らし工程を含んでいる。炊飯運転では、吸水工程、炊上工程及び蒸らし工程が、この順序で実行される。
【0048】
吸水工程は、炊飯運転において最初に実行される工程である。吸水工程は、調理容器4及び調理容器4内の調理対象物(米及び水)を加熱部3によって加熱することで、調理容器4内の米の吸水を促進させる工程である。炊上工程は、吸水工程に続いて実行される工程である。炊上工程は、調理容器4及び調理容器4内の調理対象物を、加熱部3によって吸水工程よりも強い火力で加熱することで、調理容器4内の米を炊き上げる工程である。蒸らし工程は、炊上工程に続いて実行される工程である。蒸らし工程は、調理容器4及び調理容器4内の調理対象物を加熱部3によって加熱することで、調理容器4内の炊きあげられた米に付着した余分な水分を蒸発させる工程である。
【0049】
吸水工程、炊上工程及び蒸らし工程の各々は、温度維持工程(後述する吸水温度維持工程、炊上温度維持工程又は蒸らし温度維持工程)を含んでいる。炊飯運転の吸水工程、炊上工程及び蒸らし工程の各々の温度維持工程において、制御部60は、温度検知部27の検知結果に基づき、調理容器4の温度が所定温度範囲に維持されるように加熱部3を制御する。ここで、所定温度範囲は、吸水工程、炊上工程及び蒸らし工程の各々において個別に設定される。
【0050】
本実施形態の制御部60(図4参照)は、第1炊飯運転の実行の指令がなされたとき、図7に示すフローチャートに従って、加熱部3を制御することにより、第1炊飯運転を実行する。
【0051】
第1炊飯運転の吸水工程は、加熱工程及び温度維持工程を含んでいる。以下、これら加熱工程、温度維持工程を、それぞれ、吸水加熱工程、吸水温度維持工程という(図5参照)。第1炊飯運転が開始されると、制御部60は、ステップS1において吸水加熱工程を開始する。制御部60は、吸水加熱工程の開始(第1炊飯運転の開始)と同時に、加熱量変更部33を制御して、上バーナー30及び下バーナー31を点火状態とし、上バーナー30の火力を「強」にし、かつ、下バーナー31の火力を「強」にする。すなわち、この場合、加熱部3の加熱量は、最大になる。制御部60は、吸水加熱工程中、上バーナー30及び下バーナー31の各々の火力を「強」に維持する。
【0052】
制御部60は、ステップS1の処理に続いて、ステップS2の処理を実行する。ステップS2において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsが吸水加熱終了温度t1a以上であるか否かを判定する。吸水加熱終了温度t1aは、調理容器4内の米(例えば、白米)が吸水しやすい状態となる温度である。本実施形態の吸水加熱終了温度t1aは、調理容器4内の米及び水を含む調理対象物の温度が40℃以上60℃以下になるように、80℃に設定されている。
【0053】
ステップS2において温度tsが吸水加熱終了温度t1a以上でなければ、制御部60は、ステップS3において一定時間待機した後、ステップS2の処理を実行する。ステップS2において温度tsが吸水加熱終了温度t1a以上であれば、制御部60は、ステップS4において吸水加熱工程を終了し、吸水温度維持工程を開始する。
【0054】
図5に示すグラフにおいて、T0~TAの期間が、吸水加熱工程が実行された期間である。この吸水加熱工程では、調理容器4内の調理対象物が、当該調理対象物に含まれる米が吸水しやすい状態となる温度(例えば、40℃以上60℃以下)まで加熱される。
【0055】
制御部60は、図7に示すように、ステップS4の処理による吸水温度維持工程の開始時に、加熱量変更部33を制御して、上バーナー30を消火し、かつ、下バーナー31の火力を「弱」にする。以後、制御部60は、上バーナー30の消火状態を第1炊飯運転が終了するまで維持する。また、制御部60は、吸水温度維持工程中、下バーナー31の火力を「弱」に維持する。すなわち、吸水温度維持工程では、加熱部3の加熱量が、吸水加熱工程における加熱部3の加熱量よりも小さくなる。
【0056】
制御部60は、ステップS4の処理に続いてステップS5の処理を実行する。ステップS5において、制御部60は、吸水温度維持工程の開始時点から吸水温度維持時間T1a以上経過したか否かを判定する。すなわち、この場合、制御部60は、吸水温度維持工程の開始時点から現在までの時間が、吸水温度維持時間T1a以上であるか否かを判定する。吸水温度維持時間T1aは、調理容器4内の米が十分に吸水を行った状態になったことが推測される時間であり、本実施形態では、600秒に設定されている。
【0057】
ステップS5において、吸水温度維持工程の開始時点から吸水温度維持時間T1a以上経過していなければ、制御部60はステップS6において一定時間待機した後、ステップS5の処理を実行する。ステップS5において、吸水温度維持工程の開始時点から吸水温度維持時間T1a以上経過していれば、制御部60はステップS7において吸水温度維持工程を終了し、炊上工程を開始する。
【0058】
図5に示すグラフにおいて、TA~TBの期間は、吸水温度維持工程が実行された期間である。この吸水温度維持工程では、調理容器4内の米が吸水しやすい所定温度範囲に維持されるように、調理容器4の温度tsが制御されて維持される。このため、調理容器4内の米の吸水が、適切に行われる。
【0059】
制御部60は、図7に示すように、ステップS7の処理による炊上工程の開始時に、加熱量変更部33を制御して、下バーナー31の火力を「強」にする。制御部60は、炊上工程中、下バーナー31の火力を「強」に維持する。すなわち、炊上工程では、加熱部3の加熱量が、吸水温度維持工程における加熱部3の加熱量よりも大きくなる。
【0060】
制御部60は、ステップS7の処理に続いてステップS8の処理を実行する。ステップS8において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsが炊上終了温度t1b以上であるか否かを判定する。炊上終了温度t1bは、調理容器4内の米が炊き上げられた状態となったことが推測される温度である。本実施形態では、炊上終了温度t1bは、160℃に設定されている。
【0061】
ステップS8において温度tsが炊上終了温度t1b以上でなければ、制御部60は、ステップS9において一定時間待機した後、ステップS8の処理を実行する。ステップS8において温度tsが炊上終了温度t1b以上であれば、制御部60は、ステップS10において炊上工程を終了し、蒸らし工程を開始する。
【0062】
図5に示すグラフにおいて、TB~TEの期間は、炊上工程が実行された期間である。TB~TCの期間である炊上工程の初期において、調理容器4内の調理対象物は、調理対象物に含まれる水が沸騰する温度まで加熱される。TC~TDの期間である炊上工程の中期では、調理容器4内の水が沸騰状態であるため、調理容器4内の調理対象物は、調理対象物に含まれる米が糊化(α化)しやすい98℃以上となる所定温度範囲に維持される。TD~TEの期間である炊上工程の終期において、調理容器4内の調理対象物に含まれる米は、中期よりも高い温度で加熱されてしっかりと炊き上がる。本実施形態では、炊上工程のうちTC~TDの中期における工程が、調理容器4の温度が所定温度範囲に維持される温度維持工程(炊上温度維持工程)となる。
【0063】
制御部60は、図7に示すように、ステップS10の処理による蒸らし工程の開始時に、加熱量変更部33を制御して、下バーナー31を消火する。制御部60は、蒸らし工程中、下バーナー31の消火状態を維持する。すなわち、蒸らし工程では、加熱部3の加熱量が、炊き上げ工程における加熱部3の加熱量よりも小さくなる。
【0064】
制御部60は、ステップS10の処理に続いて、ステップS11の処理を実行する。ステップS11において、制御部60は、蒸らし工程の開始時点から蒸らし時間T1b以上経過したか否かを判定する。蒸らし時間T1bは、調理容器4内の米に付着した水分が蒸発して、この米がべたつかずにふっくらした状態に仕上がったことが推測される時間であり、本実施形態では、600秒に設定されている。
【0065】
ステップS11において、蒸らし工程の開始時点から蒸らし時間T1b以上経過していなければ、制御部60は、ステップS12において一定時間待機した後、ステップS11の処理を実行する。ステップS11において蒸らし工程の開始時点から蒸らし時間T1b以上経過していれば、制御部60はステップS13において蒸らし工程を終了し、第1炊飯運転を終了する。
【0066】
図5に示すグラフにおいて、TE~TFの期間は、蒸らし工程が実行された期間である。この蒸らし工程では、調理容器4の温度が、調理容器4内の米に付着した水分が蒸発しやすい所定温度範囲に維持される。すなわち、本実施形態では、蒸らし工程の全体が、調理容器4の温度tsが所定温度範囲に維持される温度維持工程(蒸らし温度維持工程)となる。具体的に蒸らし工程においては、調理容器4内の調理対象物の温度が90℃以上となるように調理容器4の温度が維持される。
【0067】
本実施形態の制御部60は、第2炊飯運転の実行の指令がなされたとき、図8図10に示すフローチャートに従って、加熱部3を制御することにより、第2炊飯運転を実行する。
【0068】
第2炊飯運転の吸水工程は、第1炊飯運転と同様に、加熱工程(吸水加熱工程)及び温度維持工程(吸水温度維持工程)を含んでいる(図6参照)。第2炊飯運転が開始されると、制御部60は、ステップS21において吸水加熱工程を開始する。制御部60は、吸水加熱工程の開始(第2炊飯運転の開始)と同時に、加熱量変更部33を制御して、上バーナー30及び下バーナー31を点火状態とし、上バーナー30の火力を「強」にし、かつ、下バーナー31の火力を「強」にする。制御部60は、吸水加熱工程中、上バーナー30及び下バーナー31の各々の火力を「強」に維持する。
【0069】
制御部60は、ステップS21の処理に続いて、ステップS22の処理を実行する。ステップS22において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsが吸水加熱終了温度t2a以上であるか否かを判定する。吸水加熱終了温度t2aは、調理容器4内の米(例えば、玄米)が吸水しやすい状態となる温度である。本実施形態の吸水加熱終了温度t2aは、調理容器4内の米及び水を含む調理対象物の温度が40℃以上60℃以下になるように、50℃に設定されている。
【0070】
ステップS22において温度tsが吸水加熱終了温度t2a以上でなければ、制御部60は、ステップS23において一定時間待機した後、ステップS22の処理を実行する。ステップS22において温度tsが吸水加熱終了温度t2a以上であれば、制御部60は、ステップS24において吸水加熱工程を終了し、吸水温度維持工程を開始する。
【0071】
図6に示すグラフにおいて、T0~TAまでの期間は、吸水加熱工程が実行された期間である。この吸水加熱工程では、調理容器4内の調理対象物が、調理対象物に含まれる米が吸水しやすい状態となる温度まで加熱される。
【0072】
制御部60は、図8に示すように、ステップS24の処理による吸水温度維持工程の開始時に、加熱量変更部33を制御して、上バーナー30及び下バーナー31を消火状態とする。すなわち、この場合、加熱部3の加熱量は、吸水加熱工程における加熱部3の加熱量よりも小さくなる。以後、制御部60は、上バーナー30の消火状態を第2炊飯運転が終了するまで維持する。
【0073】
制御部60は、ステップS24の処理に続いてステップS25の処理を実行する。ステップS25において、制御部60は、吸水温度維持工程の開始時点から吸水温度維持時間T2a以上経過しているか否かを判定する。吸水温度維持時間T2aは、調理容器4内の米が十分に吸水を行った状態になったことが推測される時間であり、第1炊飯運転における吸水温度維持時間T1aの1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましい。本実施形態では、吸水温度維持時間T2aは、1400秒に設定されている。
【0074】
ステップS25において、吸水温度維持工程の開始時点から吸水温度維持時間T2a以上経過していなければ、制御部60はステップS26の処理を実行する。ステップS26において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsが吸水再点火温度t2b以下であるか否かを判定する。吸水再点火温度t2bは、本実施形態では35℃に設定されている。
【0075】
ステップS26において、温度tsが吸水再点火温度t2b以下でなければ、制御部60は、ステップS27において一定時間待機した後、ステップS25の処理を実行する。ステップS26において、温度tsが吸水再点火温度t2b以下であれば、制御部60は、ステップS28において、加熱量変更部33を制御して、下バーナー31を点火状態とし、かつ、下バーナー31の火力を「弱」にする。すなわち、この場合、加熱部3の加熱量は、直前の加熱部3の加熱量よりも大きくなる。
【0076】
制御部60は、ステップS28に続いてステップS29の処理を実行する。ステップS29において、制御部60は、ステップS25と同様に、吸水温度維持工程の開始時点から吸水温度維持時間T2a以上経過しているか否かを判定する。ステップS29において、吸水温度維持工程の開始時点から吸水温度維持時間T2a以上経過していなければ、制御部60はステップS30の処理を実行する。
【0077】
ステップS30において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsが吸水消火温度t2c以上であるか否かを判定する。吸水消火温度t2cは、吸水再点火温度t2bよりも高い温度であり、本実施形態では吸水加熱終了温度t2aと同じ50℃に設定されている。
【0078】
ステップS30において、温度tsが吸水消火温度t2c以上でなければ、制御部60は、ステップS31において一定時間待機した後、ステップS29の処理を実行する。ステップS30において、温度tsが吸水消火温度t2c以上であれば、制御部60はステップS32において下バーナー31を消火状態とし、続いてステップS25の処理を実行する。
【0079】
ステップS25及びステップS29の各々において、吸水温度維持工程の開始時点から吸水温度維持時間T2a以上経過していれば、制御部60はステップS33において、吸水温度維持工程を終了し、炊上工程(詳しくは、後述する炊上第1加熱工程)を開始する。
【0080】
図6に示すグラフにおいて、TA~TBの期間は、吸水温度維持工程が実行された期間である。この吸水温度維持工程では、下バーナー31の点火及び消火を切り換える制御が行われることで、調理容器4の温度tsが、調理容器4内の米が吸水しやすい40℃以上60℃以下の所定温度範囲に維持される。このため、調理容器4内の米の吸水が、適切に行われる。
【0081】
本実施形態の炊上工程は、第1加熱工程、温度維持工程及び第2加熱工程を含んでいる。炊上工程では、第1加熱工程、温度維持工程及び第2加熱工程は、この順序で実行される。以下、第1加熱工程、温度維持工程及び第2加熱工程を、それぞれ、炊上第1加熱工程、炊上温度維持工程及び炊上第2加熱工程という。
【0082】
制御部60は、図8に示すように、ステップS33の処理による炊上第1加熱工程(炊上工程)の開始時に、加熱量変更部33を制御して、下バーナー31の火力を「強」にする。制御部60は、炊上第1加熱工程中、下バーナー31の火力を「強」に維持する。すなわち、炊上第1加熱工程では、加熱部3の加熱量が、吸水温度維持工程における加熱部3の加熱量よりも大きくなる。
【0083】
制御部60は、ステップS33の処理に続いて、ステップS34の処理を実行する。ステップS34において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsがある所定範囲の温度幅(例えば、±2℃)を継続している時間(以下、定常時間という)が所定時間Tp1(例えば、150秒)以上であるか否かを判定する。
【0084】
ステップS34において、定常時間が所定時間Tp1以上でなければ、制御部60は、ステップS35において一定時間待機した後、ステップS34の処理を実行する。ステップS34において、定常時間が所定時間Tp1以上であれば、制御部60は、図9に示すステップS36において、炊上第1加熱工程を終了し、炊上温度維持工程を開始する。
【0085】
図6に示すグラフにおいて、TB~TCの期間は、炊上第1加熱工程が実行された期間である。この炊上第1加熱工程では、調理容器4内の調理対象物に含まれる米が糊化しやすい状態となる温度になるまで、調理対象物が加熱される。
【0086】
制御部60は、図9に示すように、ステップS36の処理による炊上温度維持工程の開始時に、加熱量変更部33を制御して、下バーナー31を消火状態にする。制御部60は、ステップS36の処理に続いてステップS37の処理を実行する。ステップS37において、制御部60は、炊上温度維持工程の開始時点から炊上温度維持時間T2b以上経過しているか否かを判定する。炊上温度維持時間T2bは、調理容器4内の米がある程度炊き上がった状態になったことが推測される時間であり、本実施形態では、1500秒に設定されている。
【0087】
ステップS37において、炊上温度維持工程の開始時点から炊上温度維持時間T2b以上経過していなければ、制御部60はステップS38の処理を実行する。ステップS38において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsが炊上再点火温度t2d以下であるか否かを判定する。炊上再点火温度t2dは、本実施形態では96℃に設定されている。
【0088】
ステップS38において、温度tsが炊上再点火温度t2d以下でなければ、制御部60は、ステップS39において一定時間待機した後、ステップS37の処理を実行する。ステップS38において、温度tsが炊上再点火温度t2d以下であれば、制御部60は、ステップS40において、加熱量変更部33を制御して、下バーナー31を点火状態とし、かつ、下バーナー31の火力を「弱」にする。すなわち、この場合、加熱部3の加熱量は、直前の加熱部3の加熱量よりも大きくなる。
【0089】
制御部60は、ステップS40に続いてステップS41の処理を実行する。ステップS41において、制御部60は、ステップS37と同様に、炊上温度維持工程の開始時点から炊上温度維持時間T2b以上経過しているか否かを判定する。ステップS41において、炊上温度維持工程の開始時点から炊上温度維持時間T2b以上経過していなければ、制御部60はステップS42の処理を実行する。
【0090】
ステップS42において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsが炊上消火温度t2e以上であるか否かを判定する。炊上消火温度t2eは、炊上再点火温度t2dよりも高い温度であり、本実施形態では、102℃に設定されている。
【0091】
ステップS42において、温度tsが炊上消火温度t2e以上でなければ、制御部60は、ステップS43において一定時間待機した後、ステップS41の処理を実行する。ステップS42において、温度tsが炊上消火温度t2e以上であれば、制御部60はステップS44において下バーナー31を消火状態とし、続いてステップS37の処理を実行する。
【0092】
ステップS37及びステップS41の各々において、炊上温度維持工程の開始時点から炊上温度維持時間T2b以上経過していれば、制御部60は図10に示すステップS45において、炊上温度維持工程を終了し、炊上第2加熱工程を開始する。
【0093】
図6に示すグラフにおいて、TC~TDの期間は、炊上温度維持工程が実行された期間である。この炊上温度維持工程では、下バーナー31の点火及び消火を切り換える制御が行われることで、調理容器4の温度tsが、調理容器4内の米が糊化しやすい98℃以上となる所定温度範囲に維持される。このため、調理容器4内の炊き上げが、適切に行われる。
【0094】
制御部60は、図10に示すように、ステップS45の処理による炊上第2加熱工程の開始時に、加熱量変更部33を制御して、下バーナー31の火力を「強」にする。制御部60は、炊上第2加熱工程中、下バーナー31の火力を「強」に維持する。
【0095】
制御部60は、ステップS45に続いてステップS46の処理を実行する。ステップS46において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsが炊上第2加熱終了温度t2f以上であるか否かを判定する。炊上第2加熱終了温度t2fは、炊上消火温度t2eよりも高い温度であり、調理容器4内の米が炊き上げられた状態となったことが推測される温度である。本実施形態では、炊上第2加熱終了温度t2fは、第1炊飯運転における炊上終了温度t1bと同じ160℃に設定されている。
【0096】
ステップS46において、温度tsが炊上第2加熱終了温度t2f以上でなければ、制御部60は、ステップS47において一定時間待機した後、ステップS46の処理を実行する。ステップS46において、温度tsが炊上第2加熱終了温度t2f以上であれば、制御部60は、ステップS48において炊上第2加熱工程(炊上工程)を終了し、蒸らし工程を開始する。
【0097】
図6に示すグラフにおいて、TD~TEの期間は、炊上第2加熱工程が実行された期間である。この炊上第2加熱工程では、調理容器4内の調理対象物は、調理容器4内の米が炊上温度維持工程よりも高い温度で加熱されてしっかりと炊き上がる。
【0098】
制御部60は、図10に示すように、ステップS48の処理による蒸らし工程の開始時に、加熱量変更部33を制御して、下バーナー31を消火状態にする。制御部60は、ステップS48の処理に続いてステップS49の処理を実行する。ステップS49において、制御部60は、蒸らし工程の開始時点から蒸らし時間T2c以上経過しているか否かを判定する。蒸らし時間T2cは、調理容器4内の米に付着した水分が蒸発して、米がべたつかずにふっくらした状態となったことが推測される時間である。ここで、玄米は、白米に比べてべたつきやすいため、蒸らし時間T2cは、第1炊飯運転における蒸らし時間T1bよりも長い時間に設定されている。蒸らし時間T2cは、第1炊飯運転における蒸らし時間T1bの1.5倍以上であることが好ましく、本実施形態では、1000秒に設定されている。
【0099】
ステップS49において、蒸らし工程の開始時点から蒸らし時間T2c以上経過していなければ、制御部60はステップS50の処理を実行する。ステップS50において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsが蒸らし再点火温度t2g以下であるか否かを判定する。蒸らし再点火温度t2gは、本実施形態では90℃に設定されている。
【0100】
ステップS50において、温度tsが蒸らし再点火温度t2g以下でなければ、制御部60は、ステップS51において一定時間待機した後、ステップS49の処理を実行する。ステップS50において、温度tsが蒸らし再点火温度t2g以下であれば、制御部60は、ステップS52において、加熱量変更部33を制御して、下バーナー31を点火状態とし、かつ、下バーナー31の火力を「弱」にする。すなわち、この場合、加熱部3の加熱量は、直前の加熱部3の加熱量よりも大きくなる。
【0101】
制御部60は、ステップS52に続いてステップS53の処理を実行する。ステップS53において、制御部60は、ステップS49と同様に、蒸らし工程の開始時点から蒸らし時間T2c以上経過しているか否かを判定する。ステップS53において、蒸らし工程の開始時点から蒸らし時間T2c以上経過していなければ、制御部60はステップS54の処理を実行する。
【0102】
ステップS54において、制御部60は、温度検知部27によって調理容器4の温度tsを検知し、検知した温度tsがある所定範囲の温度幅(例えば、±2℃)を継続している時間(以下、定常時間という)が所定時間Tp2(例えば、20秒)以上であるか否かを判定する。
【0103】
ステップS54において、定常時間が所定時間Tp2以上でなければ、制御部60は、ステップS55において一定時間待機した後、ステップS53の処理を実行する。ステップS54において、定常時間が所定時間Tp2以上であれば、制御部60はステップS56において下バーナー31を消火状態とし、続いてステップS49の処理を実行する。
【0104】
ステップS49及びステップS53の各々において、蒸らし工程の開始時点から蒸らし時間T2c以上経過していれば、制御部60はステップS57において、蒸らし工程を終了して、下バーナー31を消火状態とし、第2炊飯運転を終了する。
【0105】
図6に示すグラフにおいて、TE~TFの期間は、蒸らし工程が実行された期間である。この蒸らし工程では、下バーナー31の点火及び消火を切り換える制御が行われることで、調理容器4内の米に付着した水分が蒸発しやすい所定温度範囲に維持されるように、調理容器4の温度が維持される。すなわち、本実施形態では、蒸らし工程の全体が、調理容器4の温度が所定温度範囲に維持される温度維持工程(蒸らし温度維持工程)となる。具体的に蒸らし工程においては、調理容器4内の調理対象物の温度が90℃以上となるように調理容器4の温度が維持される。
【0106】
ここで、制御部60は、図5及び図6から明らかなように、第2炊飯運転において、その吸水温度維持工程の実行時間が、第1炊飯運転における吸水温度維持工程の実行時間よりも長くなるように、加熱部3を制御している。このため、第2炊飯運転における吸水温度維持工程では、ぬか及び胚芽が取り除かれた白米と比べて、水分を吸収し難い玄米等の米を十分に吸水した状態にすることができる。
【0107】
また、制御部60は、第2炊飯運転において、炊上温度維持工程の実行時間が、第1炊飯運転における炊上温工程の温度維持工程の実行時間(すなわち、TC~TDの期間)よりも長くなるように、加熱部3を制御している。このため、第2炊飯運転における炊上温度維持工程では、ぬか及び胚芽を含むために硬くなりやすい玄米等の米を、十分に炊き上げて柔らかく仕上げることができる。
【0108】
また、制御部60は、第2炊飯運転において、蒸らし工程の実行時間(すなわち、TE~TFの期間)が、第1炊飯運転における蒸らし工程よりも長くなるように、加熱部3を制御している。このため、第2炊飯運転における蒸らし工程では、べとつきやすい玄米等の米に付着した水分を、適切に蒸発させることができる。このため、玄米等の吸水し難い米をべたつかずにふっくらした状態に仕上げることができる。
【0109】
また、第2炊飯運転における各温度維持工程(すなわち、吸水温度維持工程、炊上温度維持工程及び蒸らし工程の各々)では、下バーナー31の点火及び消火を切り換える制御を行っている。このため、加熱部3の最小火力が大きい場合にも、調理容器4内の調理対象物の温度が高温になり過ぎることを抑制しつつ、第2炊飯運転における各温度維持工程の実行時間を長くすることができる。
【0110】
(2)変形例
なお、上記実施形態の加熱調理器1は、適宜設計変更可能である。例えば、加熱調理器1は、炊飯運転の終了を報知する報知部を備えてもよい。報知部は、例えば、ブザー、スピーカー等の発音装置、文字、図柄等を表示する表示装置、電灯、あるいはこれら複数の装置の組み合わせである。
【0111】
第1炊飯運転の吸水工程、炊上工程及び蒸らし工程の各々で設定される火力は、上記実施形態の火力に限定されない。例えば、第1炊飯運転の蒸らし工程における下バーナー31の火力は、「弱」であってもよい。また、第1炊飯運転における制御に用いられた、吸水加熱終了温度t1a、炊上終了温度t1b等の設定温度は、上記実施形態の温度に限定されない。また、第1炊飯運転における制御に用いられた、吸水温度維持時間T1a、蒸らし時間T1b等の設定時間は、上記実施形態の時間に限定されない。
【0112】
また、第2炊飯運転の吸水工程、炊上工程及び蒸らし工程の各々で設定される火力は、上記実施形態の火力に限定されない。例えば、第2炊飯運転のステップS28、ステップS40又はステップS52の処理において設定される下バーナー31の火力は、「強」であってもよい。
【0113】
第2炊飯運転における制御に用いられた、吸水加熱終了温度t2a、吸水再点火温度t2b、吸水消火温度t2c、炊上再点火温度t2d、炊上消火温度t2e、第2加熱終了温度t2f、蒸らし再点火温度t2g、蒸らし消火温度t2i、ステップS34の処理において用いられる所定範囲の温度幅、ステップS54の処理において用いられる所定範囲の温度幅等の設定温度は、上記実施形態の温度に限定されない。例えば、吸水消火温度t2cは、吸水加熱終了温度t2aよりも高くてもよいし、低くてもよい。
【0114】
また、第2炊飯運転における制御に用いられた、吸水温度維持時間T2a、炊上温度維持時間T2b、蒸らし時間T2c、所定時間Tp1、所定時間Tp2等の設定時間は、上記実施形態の時間に限定されない。
【0115】
また、炊飯運転は、吸水工程、炊上工程及び蒸らし工程のうち、少なくとも一つの工程を備えていればよく、吸水工程、炊上工程又は蒸らし工程は、省略可能である。
【0116】
また、第1炊飯運転によって炊飯する米は、白米に限定されず、第2炊飯運転によって炊飯する米は、玄米に限定されない。例えば、五穀米等、白米に玄米を混ぜた米等を炊飯する場合、利用者は、その米の吸水のしやすさ等に応じて、第1炊飯運転又は第2炊飯運転のいずれにより炊飯を行うのかを決定してもよい。
【0117】
また、温度検知部27は、調理容器4に接触するものに限られない。例えば、温度検知部27は、加熱室2内の温度、加熱室2から排出された気体の温度等を検知することで、調理容器4の温度と相関する情報を検知するものであってもよい。本開示では、このように調理容器4の温度と相関する情報を検知することも、調理容器4の温度を検知することに含まれる。
【0118】
また、上バーナー用火力調節部331は、電磁弁331a及び電磁弁331bに限られない。例えば、上バーナー用火力調節部331は、上バーナー用流路321に設けられた流量制御弁等であってもよい。また、下バーナー用火力調節部333は、電磁弁333a及び電磁弁333bに限られない。例えば、下バーナー用火力調節部333は、下バーナー用流路322に設けられた流量制御弁等であってもよい。
【0119】
また、加熱部3は、上バーナー30及び下バーナー31のうち、上バーナー30のみを有してもよいし、下バーナー31のみを有してもよい。また、加熱部3は、バーナーを一つだけ有してもよいし、三つ以上有してもよい。すなわち、加熱部3は、少なくとも一つのバーナーを有していればよい。また、炊飯運転において調理容器4を加熱するバーナーは、加熱室2内に配置された調理容器4を加熱するグリル用のバーナーに限定されず、例えば、上記実施形態におけるこんろバーナー11であってもよい。この場合も、こんろバーナー11を上記実施形態と同様に制御することで、適切な炊飯運転を行うことが可能になる。
【0120】
また、本開示の技術は、テーブルこんろ等、ドロップインこんろ以外のガスこんろにも適用可能である。また、本開示の技術は、こんろバーナーを備えないグリル装置等、グリル付ガスこんろ以外の加熱調理器にも適用可能である。
【0121】
(3)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の加熱調理器(1)は、以下に示す構成を有する。加熱調理器(1)は、加熱部(3)、温度検知部(27)及び制御部(60)を備える。加熱部(3)は、バーナー(30,31)を含み、バーナー(30,31)によって調理容器(4)を加熱する。温度検知部(27)は、調理容器(4)の温度を検知する。制御部(60)は、加熱部(3)を制御し、米及び水が入れられた調理容器(4)を加熱部(3)によって加熱して炊飯運転を実行する。炊飯運転は、少なくとも一つの温度維持工程を含む。制御部(60)は、温度維持工程において、温度検知部(27)の検知結果に基づき、調理容器(4)の温度が所定温度範囲に維持されるように加熱部(3)を制御する。加熱調理器(1)は、操作部(グリル用操作部5)を更に備える。操作部は、炊飯運転を行うにあたって、第1モード及び第2モードの二つのモードのうちの一つのモードを選択するために用いられる。制御部(60)は、温度維持工程において調理容器(4)の温度が所定温度範囲に維持される時間が、第1モードが選択された場合よりも第2モードが選択された場合の方が長くなるように加熱部(3)を制御する。
【0122】
この態様によれば、第1モードによる炊飯運転(第1炊飯運転)を実行することで、吸水しやすい白米等の米を適切に炊飯することができる。また、第2モードによる炊飯運転(第2炊飯運転)では、温度維持工程において調理容器(4)の温度が所定温度範囲に維持される時間を長くすることができる。このため、第2モードによる炊飯運転を実行することで、玄米等の吸水し難い米を適切に炊飯することができる。したがって、第1の態様の加熱調理器(1)は、水分を吸収しやすい米だけでなく、水分を吸収し難い米も適切に炊飯することができる。
【0123】
第2の態様の加熱調理器(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様の加熱調理器(1)は、以下に示す構成を有する。炊飯運転は、炊上工程を含む。制御部(60)は、炊上工程において、温度維持工程として、調理容器(4)に入れられた米が糊化しやすい温度範囲に維持されるように加熱部(3)を制御する炊上温度維持工程を実行する。制御部(60)は、炊上温度維持工程において、調理容器(4)に入れられた米が糊化しやすい温度範囲に維持される時間が、第1モードが設定された場合よりも第2モードが設定された場合の方が長くなるように加熱部(3)を制御する。
【0124】
この態様によれば、第2モードによる炊飯運転において、炊上温度維持工程の実行時間を長くすることができる。このため、第2の態様の加熱調理器(1)は、玄米等の吸水し難い米を十分に炊き上げて柔らかく仕上げ、適切に炊飯することができる。
【0125】
第3の態様の加熱調理器は、第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様の加熱調理器は、以下に示す構成を有する。炊飯運転は、炊上工程よりも前に実行される吸水工程を更に含む。制御部(60)は、吸水工程において、温度維持工程として、調理容器(4)に入れられた米が吸水しやすい温度範囲に維持されるように加熱部(3)を制御する吸水温度維持工程を実行する。制御部(60)は、吸水温度維持工程において、調理容器(4)に入れられた米が吸水しやすい温度範囲に維持される時間が、第1モードが設定された場合よりも第2モードが設定された場合の方が長くなるように加熱部(3)を制御する。
【0126】
この態様によれば、第2モードによる炊飯運転において、吸水温度維持工程の実行時間を長くすることができる。このため、玄米等の吸水し難い米を十分に吸水した状態にすることができ、適切に炊飯することができる。
【0127】
第4の態様の加熱調理器は、第2又は第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様の加熱調理器は、以下に示す構成を有する。炊飯運転は、炊上工程よりも後に実行される蒸らし工程を更に含む。制御部(60)は、蒸らし工程において、温度維持工程として、調理容器(4)に入れられた米に付着した水が蒸発しやすい温度範囲に維持されるように加熱部(3)を制御する蒸らし温度維持工程を実行する。制御部(60)は、蒸らし温度維持工程において、調理容器(4)に入れられた米に付着した水が蒸発しやすい温度範囲に維持される時間が、第1モードが設定された場合よりも第2モードが設定された場合の方が長くなるように加熱部(3)を制御する。
【0128】
この態様によれば、第2モードによる炊飯運転において、蒸らし工程の実行時間を長くすることができる。このため、べとつきやすい玄米等の米に付着した水分を、適切に蒸発させることができる。したがって、玄米等の吸水し難い米をべたつかずにふっくらした状態に仕上げることができる。
【0129】
第5の態様の加熱調理器は、第1~第4のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様の加熱調理器は、以下に示す構成を有する。制御部(60)は、第2モードによる炊飯運転において、バーナー(30,31)の点火及び消火を切り換える制御を行うことにより、調理容器(4)の温度を所定温度範囲に維持する。
【0130】
この態様によれば、加熱部(3)の最小火力が大きい場合にも、調理容器(4)内の調理対象物の温度が高温になり過ぎることを抑制しつつ、第2炊飯運転における温度維持工程の実行時間を長くすることができる。
【符号の説明】
【0131】
1 加熱調理器
27 温度検知部
3 加熱部
30 上バーナー
31 下バーナー
4 調理容器
60 制御部
図1
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図3
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図10