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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
G06T11/80 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023060315
(22)【出願日】2023-04-03
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2022067250
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】717001444
【氏名又は名称】奥野 修二
(74)【代理人】
【識別番号】100167818
【弁理士】
【氏名又は名称】蓑和田 登
(72)【発明者】
【氏名】奥野 修二
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-323241(JP,A)
【文献】米国特許第08081197(US,B1)
【文献】井村克也,「Photoshop スーパーリファレンス」,初版,株式会社ソーテック社,2019年,p.132-133
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/60 - 11/80
H04N 1/38 - 1/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を伸縮変形、移動及び回転する画像処理装置であって、
前記画像全体を囲い、且つ伸縮変形、移動及び回転する際に用いる画像変形用 UI(User Interface)の傾斜角度を指定する傾斜角度指定手段と、
前記傾斜角度指定手段において指定された前記傾斜角度で傾けた画像変形用UIを生成するUI生成手段と、
少なくとも前記画像及び前記UI生成手段で生成された前記画像変形用UIを表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された前記画像変形用UIを伸縮変形、移動及び回転することで前記画像全体を伸縮変形、移動及び回転させる操作手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記UI生成手段は、前記傾斜角度指定手段で指定された傾斜角度を有し、且つ前記画像全体を囲む最小の長方形を前記画像変形用UIとして生成する、ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像全体を囲み、且つ画像変形の際の初期位置となる長方形領域を決定する初期位置決定手段を備え、
前記傾斜角度指定手段は、前記傾斜角度として、前記初期位置決定手段において決定された前記長方形領域の傾斜角度を指定する、ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記UI生成手段は、前記傾斜角度指定手段で指定された傾斜角度を有し、前記長方形領域の中心位置を中心とする条件を満たし、且つ前記画像全体を囲む最小の長方形を前記画像変形用UIとして生成する、ことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像変形用UIの中心位置を指定するUI中心位置指定手段を備え、
前記UI生成手段は、前記傾斜角度指定手段で指定された傾斜角度を有し、前記UI中心位置指定手段において指定されたUI中心位置を中心とする条件を満たし、且つ前記画像全体を囲む最小の長方形を前記画像変形用UIとして生成する、ことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記UI生成手段は、さらに、前記傾斜角度指定手段で指定された傾斜角度を有し、且つ前記長方形領域の四隅に外接する最小の長方形を前記画像変形用UIとして生成する、ことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記傾斜角度指定手段は、前記長方形領域の四隅の何れかをドラックすること、前記表示手段として表示される回転ハンドルを回転すること、又は前記表示手段として表示されるスライダもしくは数値入力ボックスに傾斜角度を入力することで前記傾斜角度を指定する、ことを特徴とする請求項乃至6の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
さらに、前記操作手段を介して、前記画像変形用UIに囲まれた前記画像全体を自由変形又はワープ変形させる、ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像には、ベクター画像又は画像操作のコントロールポイントを有する画像が含まれる、ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像を伸縮変形、移動及び回転する画像処理装置において機能するプログラムであって、
前記画像全体を囲い、且つ伸縮変形、移動及び回転する際に用いる画像変形用 UI(User Interface)の傾斜角度を指定する傾斜角度指定ステップと、
前記傾斜角度指定ステップにおいて指定された前記傾斜角度で傾けた画像変形用UIを生成するUI生成ステップと、
少なくとも前記画像及び前記UI生成ステップにおいて生成された前記画像変形用UIを表示する表示ステップと、
前記表示ステップにおいて表示された前記画像変形用UIを伸縮変形、移動及び回転することで前記画像全体を伸縮変形、移動及び回転させる操作ステップと、を前記画像処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
画像を伸縮変形、移動及び回転する画像処理方法であって、
前記画像全体を囲い、且つ伸縮変形、移動及び回転する際に用いる画像変形用 UI(User Interface)の傾斜角度を指定する傾斜角度指定ステップと、
前記傾斜角度指定ステップにおいて指定された前記傾斜角度で傾けた画像変形用UIを生成するUI生成ステップと、
少なくとも前記画像及び前記UI生成ステップにおいて生成された前記画像変形用UIを表示する表示ステップと、
前記表示ステップにおいて表示された前記画像変形用UIを伸縮変形、移動及び回転することで前記画像全体を伸縮変形、移動及び回転させる操作ステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像データの変形処理を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パソコンなどを用いて、写真や動画などのデジタル画像のサイズを変更したり、変形したり、様々なエフェクトを加えるなどの画像編集が広く一般に行われている。例えば、元の画像の形状を変形させる画像変形においては、様々なUI(ユーザインタフェース)が用いられているが、例えば、図13(a)に示すように、変形対象となる画像80を、画像変形の初期位置となる長方形枠81のUIで囲うことで変形範囲を指定する。その後、図13(b)に示すようにこの長方形枠81を拡大縮小することで画像80を拡大縮小したり、図13(c)に示すように長方形枠81を回転させることで選択された画像80を回転したり、図13(d)に示すように画像80を回転させた状態からさらに長方形枠81をその長手方向に伸縮させることで傾斜した画像80を伸縮できる。
【0003】
そして、例えば、矩形画像を任意の四角形状に変形するに際して、遠近感の有無を任意に選択し、あるいは矩形画像を任意の変形画像に変形する場合には、遠近感を自動的に調整できる画像変形装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-44698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に広く用いられているMicrosoft(登録商標)社のWord(登録商標)やExcel(登録商標)など編集ソフトにおける画像変形において、斜めに表示された傾斜画像の変形処理において問題が生じることがある。このことを、図14を用いて説明する。
【0006】
例えば、写真の一部を変形するような場面において、その変形対象となる画像が傾いた傾斜画像となる場合が多々ある。この場合、図14(a)に示すように傾斜画像90を囲む初期位置となる長方形枠91を指定してから画像変形が行われるが、傾斜画像90の傾斜角度を同じにした状態(ここでは正立した状態と呼ぶ)で上手く変形できないという問題が生じる。具体的には、傾斜画像90の正立した状態の画像を得ようとして、図14(b)及び図14(c)に示すように、単に長方形枠91を横方向や縦方向に引き伸ばすと、変形後の傾斜画像90がかなり歪んでしまう。そして、この場合において、傾斜画像90の正立した状態の画像を得ようとすると、図14(d)に示すように長方形枠91の四隅の制御点を細かく動かして菱形のように配置しないと実現できず、変形作業が難しく且つ手間を要するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画像変形の際において、傾斜画像などの画像を、容易に伸縮変形、移動及び回転するためのユーザインタフェースを生成して表示する画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、画像を伸縮変形、移動及び回転する画像処理装置であって、前記画像全体を囲い、且つ伸縮変形、移動及び回転する際に用いる画像変形用 UI(User Interface)の傾斜角度を指定する傾斜角度指定手段と、前記傾斜角度指定手段において指定された前記傾斜角度で傾けた画像変形用UIを生成するUI生成手段と、少なくとも前記画像及び前記UI生成手段で生成された前記画像変形用UIを表示する表示手段と、前記表示手段に表示された前記画像変形用UIを伸縮変形、移動及び回転することで前記画像全体を伸縮変形、移動及び回転させる操作手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
この画像処理装置において前記UI生成手段は、前記傾斜角度指定手段で指定された傾斜角度を有し、且つ前記画像全体を囲む最小の長方形を前記画像変形用UIとして生成することが好ましい。
【0010】
この画像処理装置において前記画像処理装置は、さらに、前記画像全体を囲み、且つ画像変形の際の初期位置となる長方形領域を決定する初期位置決定手段を備え、前記傾斜角度指定手段は、前記傾斜角度として、前記初期位置決定手段において決定された前記長方形領域の傾斜角度を指定することが好ましい。
【0011】
この画像処理装置において前記UI生成手段は、前記傾斜角度指定手段で指定された傾斜角度を有し、前記長方形領域の中心位置を中心とする条件を満たし、且つ前記画像全体を囲む最小の長方形を前記画像変形用UIとして生成することが好ましい。
【0012】
この画像処理装置において前記画像処理装置は、さらに、前記画像変形用UIの中心位置を指定するUI中心位置指定手段を備え、前記UI生成手段は、前記傾斜角度指定手段で指定された傾斜角度を有し、前記UI中心位置指定手段において指定されたUI中心位置を中心とする条件を満たし、且つ前記画像全体を囲む最小の長方形を前記画像変形用UIとして生成することが好ましい。
【0013】
この画像処理装置において前記UI生成手段は、さらに、前記傾斜角度指定手段で指定された傾斜角度を有し、且つ前記長方形領域の四隅に外接する最小の長方形を前記画像変形用UIとして生成することが好ましい。
【0014】
この画像処理装置において前記傾斜角度指定手段は、前記長方形領域の四隅の何れかをドラックすること、前記表示手段として表示される回転ハンドルを回転すること、又は前記表示手段として表示されるスライダもしくは数値入力ボックスに傾斜角度を入力することで前記傾斜角度を指定することが好ましい。
【0015】
この画像処理装置においてさらに、前記操作手段を介して、前記画像変形用UIに囲まれた前記画像全体を自由変形又はワープ変形させることが好ましい。
【0016】
この画像処理装置において前記画像には、ベクター画像又は画像操作のコントロールポイントを有する画像が含まれることが好ましい。
【0017】
また、上記目的を達成するために本発明は、画像を伸縮変形、移動及び回転する画像処理装置において機能するプログラムであって、前記画像全体を囲い、且つ伸縮変形、移動及び回転する際に用いる画像変形用 UI(User Interface)の傾斜角度を指定する傾斜角度指定ステップと、前記傾斜角度指定ステップにおいて指定された前記傾斜角度で傾けた画像変形用UIを生成するUI生成ステップと、少なくとも前記画像及び前記UI生成ステップにおいて生成された前記画像変形用UIを表示する表示ステップと、前記表示ステップにおいて表示された前記画像変形用UIを伸縮変形、移動及び回転することで前記画像全体を伸縮変形、移動及び回転させる操作ステップと、を前記画像処理装置に実行させることを特徴とするものである。
【0018】
また、上記目的を達成するために本発明は、画像を伸縮変形、移動及び回転する画像処理方法であって、前記画像全体を囲い、且つ伸縮変形、移動及び回転する際に用いる画像変形用 UI(User Interface)の傾斜角度を指定する傾斜角度指定ステップと、前記傾斜角度指定ステップにおいて指定された前記傾斜角度で傾けた画像変形用UIを生成するUI生成ステップと、少なくとも前記画像及び前記UI生成ステップにおいて生成された前記画像変形用UIを表示する表示ステップと、前記表示ステップにおいて表示された前記画像変形用UIを伸縮変形、移動及び回転することで前記画像全体を伸縮変形、移動及び回転させる操作ステップと、を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、画像を伸縮変形、移動及び回転する画像処理装置であって、画像全体を囲い、且つ伸縮変形、移動及び回転する際に用いる画像変形用 UI(User Interface)の傾斜角度を指定する傾斜角度指定手段と、当該傾斜角度で傾けた画像変形用UIを生成するUI生成手段と、少なくとも対象画像及び画像変形用UIを表示する表示部と、画像変形用UIを伸縮変形、移動及び回転することで対象画像全体を伸縮変形、移動及び回転させる操作部と、を備える。この構成により、本発明では、画像変形の際において、変形対象となる画像を、容易に伸縮変形、移動及び回転するためのユーザインタフェースを生成・表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】(a)同上画像処理装置を用いて生成・表示される画像変形用UIの第一例を示す図、(b)同上画像変形用UIの第二例を示す図である。
図3】(a)同上画像変形用UIの第三例を示す図、(b)同上画像変形用UIの第四例を示す図である。
図4】(a)及び(b)同上第四例で生成された画像変形用UIを用いて実際に変形した傾斜画像の参考図である。
図5】同上画像処理装置の動作手順を示すフローチャートである。
図6】(a)同上画像処理装置に備わる傾斜角度指定部における傾斜角度を指定するための回転ハンドルの参考図、(b)同上傾斜角度指定部における傾斜角度を指定するためのスライダの参考図、(c)同上傾斜角度指定部における傾斜角度を指定するための数値入力ボックスの参考図である。
図7】(a)及び(b)本発明の実施の形態1の変形例に係る画像処理装置における画像変形例を示す参考図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図9】同上画像処理装置を用いて生成・表示される画像変形用UIの第五例を示す図である。
図10】同上画像処理装置の動作手順を示すフローチャートである。
図11】ベクター画像を示す参考図である。
図12】画像操作のコントロールポイントを有する画像を示す参考図である。
図13】(a)乃至(d)従来の画像変形処理の一例を示す参考図である。
図14】(a)乃至(d)従来の傾斜画像を含む画像変形処理の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る画像処理装置について図1乃至図6を参照して説明する。本実施の形態1に係る画像処理装置は、写真や動画などのデジタル画像中で斜めに表示された傾斜画像などの画像全体を囲い、且つ伸縮変形、移動及び回転するための画像変形用UI(User Interface)生成して表示するものである。なお、画像の傾斜角度とは、例えば傾斜画像が四角形状の場合には、その底辺の水平に対する傾斜角のことである。
【0022】
最初に、画像処理装置1に備わる各処理部に関して図1を参照しながら説明する。画像処理装置1は、図1に示すように、制御部10、画像処理部11、記憶部12、通信部13、表示部14、操作部15及び読取部16を備える。なお、画像処理装置1及び画像処理装置1における動作について以下では、1台のコンピュータとして説明するが、複数のコンピュータによって処理を分散するようにして構成されてもよい。
【0023】
制御部10は、CPUなどのプロセッサやメモリを用いて、画像処理装置1の構成部を制御して各種機能を実現する。この制御部10は、本実施の形態1においては例えば記憶部12に記憶してある画像処理プログラム1Pの実行によって画像変形用UIの表示や画像変形処理を行う。すなわち、制御部10は、入力される対象画像データ(対象データ)に対して所定のUI表示・変形処理を実行すると共に、当該UI表示・変形処理のための演算を行う。
【0024】
画像処理部11は、GPU又は専用回路等のプロセッサ及びメモリを用い、制御部10からの制御指示に応じて画像処理を実行する。なお、制御部10及び画像処理部11は、CPU,GPU等のプロセッサ、メモリ、さらには記憶部12及び通信部13を集積した1つのハードウェア(SoC:System on a Chip)として構成されていてもよい。
【0025】
記憶部12は、ハードディスクやフラッシュメモリを用いる。記憶部12には、画像処理プログラム1P、表示部14に表示される画像データ1Dなどが記憶されている。この画像データ1Dは、例えば通信部13を介してネットワークから取得した画像データや読取部16から読み込んだ画像データである。
【0026】
通信部13は、インターネット等の通信網への通信接続を実現する通信モジュールである。通信部13には、例えばネットワークカード、無線通信デバイス又はキャリア通信用モジュールを用いる。
【0027】
表示部14は、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)ディプレイ等を用いる。表示部14は、制御部10の指示による画像処理部11での処理によって画像を表示すると共に、画像変形用UIを表示することが可能である。この表示部14は画面を構成する各画素における一般的なRGB形式のデータに従って画像データを表示する。
【0028】
操作部15は、キーボード又はマウス等のユーザインタフェースを含む。筐体に設けられた物理的ボタンを用いてもよいし、表示部14に表示されるソフトウェアボタン等を用いてもよい。操作部15は、ユーザによる操作情報を制御部10へ通知する。
【0029】
読取部16は、例えばディスクドライブを用い、光ディスク等を用いた記録媒体2(光ディスク、磁気ディスクや光磁気ディスクなど)に記憶してある画像処理プログラム2Pを読み取ることが可能である。また、読取部16は、表示部14への表示対象のカラー画像の動画や静止画の画像データを記録媒体2などから読み込むときに用いても良い。なお、記憶部12に記憶してある画像処理プログラム1Pは、通信部13を介してネットワークから取得したものや、記録媒体2から読取部16が読み取った画像処理プログラム2Pを制御部10が記憶部12に複製したものであってもよい。
【0030】
次に、画像処理装置1の操作部15に備わる機能に関して説明する。本実施の形態1において、操作部15は、初期位置決定部(初期位置決定手段)15a、傾斜角度指定部(傾斜角度指定手段)15b及びUI中心位置指定部(UI中心位置指定手段)15cを備える。画像処理装置1は、斜めに表示された傾斜画像などの画像全体を囲い、且つ伸縮変形、移動及び回転するための画像変形用UIを生成・表示する。初期位置決定部15aは、ユーザからの指示を受け、この画像全体を囲み、且つ画像変形の際の初期位置となる長方形領域(長方形枠)を決定する。傾斜角度指定部15bは、ユーザからの指示を受けて初期位置決定部15aにおいて決定された長方形領域の傾斜角度を指定する。UI中心位置指定部15cは、ユーザからの指示を受けて画像変形用UIの中心位置を指定する。なお、ここでは初期位置として長方形領域を用いて説明するが、正方形など他の矩形領域や多角形領域を用いても良い。
【0031】
制御部10はUI生成部10aを備え、このUI生成部10aは、傾斜角度指定部15bにおいて指定された傾斜角度で傾けた画像変形用UIを生成する。表示部14は、少なくとも対象となる画像及びこの画像全体を囲む画像変形用UIをディスプレイに表示する。操作部15は、表示部14に表示された画像変形用UIを伸縮変形、移動及び回転することで対象となる画像全体を伸縮変形、移動及び回転させる際に使用される。
【0032】
次に、生成・表示される画像変形用UI生成の具体例に関して図2及び図3を参照しながら説明する。なお、ここでは第一例から第四例を用いて説明し、これら第一例から第四例までの編集対象となる画像には典型例として傾斜画像を用い、特にこの傾斜画像の傾斜角度を維持した状態で伸縮変形する場合を説明する。
【0033】
図2(a)に示す第一例の場合、最初に、ユーザが初期位置決定部15aを介して少なくとも傾斜画像Sを囲み、且つ傾斜画像Sを、傾斜角度を維持した状態で伸縮変形するための初期位置となる長方形領域Lを指定する。なお、長方形領域Lは例えば傾斜画像Sが四角形状の場合には、その四隅に外接する長方形枠である。次に、ユーザは傾斜角度指定部15bを介して傾斜角度(本図の例では約20度)を指定する。なお、ここでは傾斜角度を、長方形領域Lが水平状態から半時計方向の回転する際の角度として説明する。
【0034】
そして、傾斜角度指定部15bから傾斜角度の指令を受けたUI生成部10aは、当該傾斜角度を有して、且つ傾斜画像Sを囲む最小の長方形を画像変形用UI(1a)として生成し、表示部14に表示する。その後、ユーザは操作部15を介して画像変形用UI(1a)を伸縮することで、傾斜画像Sが正立した状態で伸縮変形される。なお、傾斜画像Sを傾斜角度を維持した状態で伸縮変形する画像変形は、例えば、傾斜画像を構成する座標点の縦横比率を固定した変換式、射影変換における座標点の変換式など所謂一般的に用いられている元の四角形から別の四角形に伸縮する技術などを適用すればよい。また、正立画像とは、一般的に上下方向が正しい向き(文字や画像が反転していない向き)で表示される画像、すなわち、上下(左右)が逆転していない画像を指すが、本実施の形態1の説明においては上下が逆転せず、且つ傾斜角度が同じ伸縮画像を含むものとする。
【0035】
図2(b)に示す第二例の場合には、最初に、ユーザが初期位置決定部15aを介して少なくとも傾斜画像Sを囲み、且つ傾斜画像Sを傾斜角度を維持した状態で伸縮変形するための初期位置を示す長方形領域Lを指定する。次に、ユーザは傾斜角度指定部15bを介して傾斜角度(本図の例では約20度)を指定する。そして、傾斜角度指定部15bから傾斜角度の指令を受けたUI生成部10aは、当該傾斜角度を有し、長方形領域の中心位置C1を中心とする条件を満たし、且つ傾斜画像Sを囲む最小の長方形を画像変形用UI(1b)として生成して、表示部14に表示する。この第二例においては、ユーザが傾斜角度のみ指定すると、長方形領域Lの中心を固定したままで、指定された傾斜角度と当該中心C1を中心とする条件を満たした最小の長方形が画像変形用UI(1b)として生成・表示される。その後、ユーザは操作部15を介して画像変形用UI(1b)を伸縮変形することで、傾斜画像Sが正立した状態で伸縮変形される。
【0036】
図3(a)に示す第三例の場合には、最初に、ユーザが初期位置決定部15aを介して少なくとも傾斜画像Sを囲み、且つ傾斜画像Sを傾斜角度を維持した状態で伸縮変形するための初期位置を示す長方形領域Lを指定する。次に、ユーザは傾斜角度指定部15bを介して傾斜角度(本図の例では約20度)を指定すると共に、UI中心位置指定部15cを介して画像変形用UIの中心位置C2を指定する。すると、傾斜角度指定部15bから傾斜角度の指令及びUI中心位置指定部15cから画像変形用UIの中心位置C2の指定を受けたUI生成部10aは、当該傾斜角度を有して、UI中心位置指定部15cにおいて指定され中心位置C2を中心とする条件を満たし、且つ傾斜画像Sを囲む最小の長方形を画像変形用UI(1c)として生成して、表示部14に表示する。その後、ユーザは操作部15を介して画像変形用UI(1c)を伸縮することで、傾斜画像Sが正立した状態で伸縮変形される。
【0037】
図3(b)に示す第四例の場合には、最初に、ユーザが初期位置決定部15aを介して少なくとも傾斜画像Sを囲み、且つ傾斜画像Sを傾斜角度を維持した状態で伸縮変形するための初期位置を示す長方形領域Lを指定する。次に、ユーザは傾斜角度指定部15bを介して傾斜角度(本図の例では約20度)を指定する。すると、傾斜角度指定部15bから傾斜角度の指令を受けたUI生成部10aは、傾斜角度指定部15bで指定された傾斜角度を有し、且つ長方形領域Lの四隅に外接する最小の長方形を画像変形用UI(1d)として生成して、表示部14に表示する。その後、ユーザは操作部15を介して画像変形用UI(1d)を伸縮することで、傾斜画像Sが正立した状態で伸縮変形される。なお、図4(a)は、この第四例における画像変形用UI(1d)を生成・表示した状態で、画像変形用UI(1d)を引き伸ばすことで図4(b)に示すように傾斜画像Sを正立した状態で引き延ばすことができる。
【0038】
次に、本実施の形態1に係る画像処理装置1の動作手順に関して図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、上述の第三例の場合における動作手順に関して説明する。
【0039】
最初に、ユーザが初期位置決定部15aを介して少なくとも傾斜画像を囲み、且つ傾斜画像を伸縮変形、移動及び回転するための初期位置を示す長方形領域(長方形枠)を指定する(S51)。次に、ユーザは傾斜角度指定部15bを介して長方形領域の傾斜角度を指定することで生成される画像変形用UIの傾斜角度を指定する(S52)。そして、画像変形用UIの中心位置の指定をするか否かを決定する(S53)。ここで、画像変形用UIの中心位置を指定する場合には(S53でYes)、UI生成部10aは、指定された傾斜角度を有して、UI中心位置指定部15cにおいて指定された中心位置を中心とする条件を満たし、且つ傾斜画像を囲む最小の長方形を画像変形用UIとして生成して表示部14に表示する(S54)。一方、画像変形用UIの中心位置を必要としない場合には(S53でNo)、UI生成部10aは、指定された傾斜角度を有して、且つ傾斜画像を囲む最小の長方形を画像変形用UIとして生成して、表示部14に表示する(S55)。
【0040】
次に、傾斜角度指定部15bを介して傾斜角度の具体例な指定方法に関して図6を参照しながら説明する。傾斜角度指定部15bは、表示部14に表示される長方形領域Lの四隅の何れかをドラックすることで傾斜角度を指定しても良い。また、図6(a)に示すように、例えば表示部14に表示される長方形領域Lに一体又は別体の回転ハンドル61を用いて傾斜角度を指定しても良い。なお、ここでは長方形領域Lに一体化された回転ハンドル61を示している。さらに、図6(b)に示すように、表示部14に回転角を指定するスライダ62を表示しても良く、図6(c)に示すようなコントロールウインドウ63を表示してその中の傾斜角度の数値入力ボックス63aに傾斜角度を入力して決定用ボタン63bを用いて決定しても良い。即ち、傾斜角度指定部15bは、長方形領域につける傾斜角度を指定できる形態であれば良い。同様に、UI中心位置指定部15cは、移動可能な十字ポインタをドラッグすることで画像変形用UIの中心位置を指定しても良い。
【0041】
以上の説明のように、本実施の形態1は、画像を伸縮変形、移動及び回転する画像処理装置1であって、この画像全体を囲み、且つ画像変形の際の初期位置となる長方形領域を決定する初期位置決定部15aと、初期位置決定部15aにおいて決定された長方形領域の傾斜角度を指定する傾斜角度指定部15bと、傾斜角度指定15bにおいて指定された傾斜角度で傾けた画像変形用UIを生成するUI生成部10aと、少なくとも当該画像及びUI生成部10aで生成された画像変形用UIを表示する表示部14と、表示部14に表示された画像変形用UIを伸縮変形、移動及び回転することで対象となる画像全体を伸縮変形、移動及び回転させる操作部15と、を備える。この構成により、画像処理装置1では、画像変形の際において、初期位置となる長方形領域に囲まれた傾斜画像などの画像を、容易に伸縮変形、移動及び回転するためのユーザインタフェースを生成して表示できる。
【0042】
(変形例)
本発明の実施の形態1に係る画像処理装置1の変形例に関して図7を参照しながら説明する。図7(a)では、変形対象となる画像71の初期位置となる長方形領域を確定させ、この傾斜角度で傾けた画像変形用UI(1d)を生成・表示し、その後、操作部15を用いて変形対象となる画像71の一部を自由変形(ここでは一例として歪み変形を示す)している。同様に、図7(b)では、制御点とハンドルを追加し、変形対象となる画像72をメッシュワープ変形している。本変形例では、画像変形用UIを用いて画像を編集する際において、画像変形用UI(1d)に垂直もしくは水平方向の伸縮以外の変形(例えば上記の自由変形、ワープ変形など)を実現可能とする。
【0043】
(実施の形態2)
以下、本発明に係る画像処理装置1の実施の形態2に関して図8乃至図10を参照して説明する。なお、本実施の形態2に係る画像処理装置1の構成において、上記実施の形態1に係る画像処理装置1と同様の構成には同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0044】
図8に示す画像処理装置1の操作部15は、初期位置決定部15aが無く、画像を伸縮変形、移動及び回転する際に用いる画像変形用 UI の傾斜角度を指定する傾斜角度指定部15及びUI中心位置指定部(UI中心位置指定手段)15cを備える。
【0045】
本実施の形態2においては、図9の第五例に示すように、画像変形の際の初期位置となる長方形領域を決定するステップを省略し、傾斜角度指定部15bから傾斜角度の指令を受けたUI生成部10aは、当該傾斜角度を有して、且つ対象画像Sを囲む最小の長方形を画像変形用UI(1a)として生成し、表示部14に表示する。その後は、上記実施の形態1と同様に、ユーザは操作部15を介して画像変形用UI(1a)を伸縮などすることで、傾斜画像Sが正立した状態で伸縮変形される。
【0046】
次に、本実施の形態2に係る画像処理装置1の動作手順に関して図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。最初に、ユーザは傾斜角度指定部15bを介して傾斜角度を指定することで生成される画像変形用UIの傾斜角度を指定する(S101)。そして、UI生成部10aは、指定された傾斜角度を有して、且つ対象画像を囲む最小の長方形を画像変形用UIとして生成して、表示部14に表示する(S102)。なお、傾斜角度指定部15bにおいて指定される傾斜角度は、絶対角度以外に、元画像から回転させる回転角度であっても良い。
【0047】
この構成により、本実施の形態2に係る画像処理装置1では、ユーザが初期位置の長方形領域を指定するステップを省略して、最初に画像変形の際に使用する画像変形用 UIの傾斜角度を指定する。その結果、傾斜画像などの画像を、容易に伸縮変形、移動及び回転するためのユーザインタフェースが表示される。
【0048】
なお、上記実施の形態の説明における画像は、画像をピクセルという点の集まりで表現するラスター画像、図11に示すような自由変形ツールTなどを用いて画像の2次元情報を数値化して記録して表現するベクター画像110や、図12に示す画像操作の複数のコントロールポイントPを有する画像120でも良い。また、図11に示すように長方形領域Lが複数の画像を選択した状態でも良い。さらに、画像変形用UIの生成は、既に設定されている画像変形用UIを更新する形で設定されても良いし、既に指定の傾斜角度で傾いている画像変形用UIを更に回転させる形で生成しても良い。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。また、本発明の目的を達成するために、本発明は、画像処理装置1に含まれる特徴的な構成手段をステップとする画像処理方法としたり、それらの特徴的なステップを含むプログラムとして実現することもできる。そして、そのプログラムは、ROM等に格納しておくだけでなく、USBメモリ等の記録媒体や通信ネットワークを介して流通させることもできる。
【0050】
また、上述において初期位置決定部15aにおいて決定される領域を長方形領域として説明したが、その他の矩形領域や多角形領域でも良い。さらに、上記の実施の形態においては傾斜角度指定部15bを介してユーザが手動で長方形領域の傾斜角度を指定しているが、例えば傾斜画像の底辺の傾斜角度と平行な角度を傾斜角度として自動指定することも考え得る。さらに、上記の実施の形態の説明では画像処理装置1の各機能をプログラムによって実現する例を記載したがハードウェア的に実現しても良い。
【0051】
さらに、本発明は、画像処理装置又はコンピュータプログラムに向けて入力データを送信し、画像処理装置又はコンピュータプログラムからの出力データを受信して利用するコンピュータシステムとしても実現できる。本システムに用いる装置(画像処理装置1に相当)は、表示部及び通信部を備えた画像処理装置又はコンピュータと情報を送受信できる情報処理装置などであり、例えば所謂PC、スマートフォン、携帯端末、ゲーム機器などである。
【符号の説明】
【0052】
1 画像処理装置
1a~1d 画像変形用UI
10 制御部
10a UI生成部(UI生成手段)
11 画像処理部
12 記憶部
13 通信部
14 表示部(表示手段)
15 操作部(操作手段)
15a 初期位置決定部(初期位置決定手段)
15b 傾斜角度指定部(傾斜角度指定手段)
15c UI中心位置指定部(UI中心位置指定手段)
16 読取部
C2 UI中心位置
L 長方形領域
S 傾斜画像
【要約】
【課題】画像変形の際において、傾斜画像などの画像を、容易に伸縮変形、移動及び回転するためのユーザインタフェースを生成して表示する画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、画像全体を囲い、且つ伸縮変形、移動及び回転する際に用いる画像変形用 UIの傾斜角度を指定する傾斜角度指定部15bと、当該傾斜角度で傾けた画像変形用UIを生成するUI生成部10aと、少なくとも対象画像及び画像変形用UIを表示する表示部14と、画像変形用UIを伸縮変形することで対象画像全体を伸縮変形、移動及び回転させる操作部15と、を備える。この構成により、画像処理装置1では、画像変形の際において、変形対象となる画像を、容易に伸縮変形、移動及び回転するためのユーザインタフェースを生成・表示できる。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14