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7329313情報端末、生体情報管理方法、生体情報管理プログラム、およびコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】情報端末、生体情報管理方法、生体情報管理プログラム、およびコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
A61B5/00 102E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018056592
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019166116
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】今野 徳人
(72)【発明者】
【氏名】茂木 淳一
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】渡戸 正義
【審判官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0302150(US,A1)
【文献】特開2017-113412(JP,A)
【文献】特開2014-161678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/01
A61B5/24-5/398
G06Q50/22
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより携帯可能な情報端末であって、
複数の被検者の生体情報に対応する複数のセンサ信号を受信する無線通信装置と、
前記複数の被検者と前記複数のセンサ信号の関連付けに基づいて、被検者ごとに生成された表示領域に当該被検者の生体情報を表示するディスプレイと、
前記複数の被検者の数が所定数を超える場合、前記ディスプレイに表示される前記表示領域の数を当該所定数にするとともにそれ以外の前記表示領域を前記ディスプレイに表示させないようにし同一の被検者から受信した前記複数のセンサ信号の数が所定数を超える場合、当該同一の被検者について生成された前記表示領域を単独で前記ディスプレイに表示させるようにする制御部と、
所定の操作を受け付けるユーザインターフェースと、
を備えており、
前記ユーザインターフェースが前記所定の操作を受け付けると、当該所定の操作を受け付ける前には表示されていなかった前記複数の被検者の少なくとも一人について生成された前記表示領域が前記ディスプレイに表示される、
情報端末。
【請求項2】
前記ユーザインターフェースは、前記ディスプレイに対するタッチ入力を許容するタッチパネル装置を含んでおり、
前記表示領域には複数の生体情報が配列されており、
前記所定の操作は、前記複数の生体情報が配列されている方向と異なる方向へのフリック操作またはスワイプ操作である、
請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記ユーザインターフェースは、前記ディスプレイに対するタッチ入力を許容するタッチパネル装置を含んでおり、
前記生体情報は、時間軸が前記表示領域に表示されており、
前記所定の操作は、前記時間軸の方向と異なる方向へのフリック操作またはスワイプ操作である、
請求項に記載の情報端末。
【請求項4】
各被検者との距離または各被検者に装着されたセンサからの電波強度を検出する検出部を備えており、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記複数の被検者のうち、最も近くにいる一人の生体情報を表示している前記表示領域が、前記ディスプレイに表示される、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項5】
各被検者との距離または各被検者に装着されたセンサからの電波強度を検出する検出部を備えており、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記複数の被検者のうち最も近くにいると判断された一人の生体情報を表示する前記表示領域が、前記ディスプレイにおいて強調表示される、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項6】
前記関連付けを示す情報を格納している記憶部を備えている、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項7】
前記関連付けを示す情報が前記センサ信号に含まれている、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項8】
複数の被検者の生体情報に対応する複数のセンサ信号を無線送信する複数のセンサと、
ユーザにより携帯可能であり、プロセッサおよびユーザインターフェースを備えており、かつ前記複数のセンサ信号を受信する情報端末と、
を含む生体情報管理システムにおいて、前記プロセッサにより実行される生体情報管理方法であって、
前記複数の被検者と前記複数のセンサ信号の関連付けを行ない、
前記関連付けに基づいて、被検者ごとに生成されて当該被検者の生体情報を表示する表示領域を、前記情報端末のディスプレイに表示し、
前記複数の被検者の数が所定数を超える場合、前記ディスプレイに表示される前記表示領域の数を当該所定数にするとともにそれ以外の前記表示領域を前記ディスプレイに表示させないようにし
同一の被検者から受信した前記複数のセンサ信号の数が所定数を超える場合、当該同一の被検者について生成された前記表示領域を単独で前記ディスプレイに表示させるようにし、
前記ユーザインターフェースが所定の操作を受け付けると、当該所定の操作を受け付ける前には表示されていなかった前記複数の被検者の少なくとも一人について生成された前記表示領域を前記ディスプレイに表示する、
生体情報管理方法。
【請求項9】
請求項に記載の生体情報管理方法を情報端末に実行させる、
生体情報管理プログラム。
【請求項10】
請求項に記載の生体情報管理プログラムが記憶されている、
コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検者の生体情報を管理するための情報端末、生体情報管理方法、当該生体情報管理方法を情報端末に実行させる生体情報管理プログラム、および当該生体情報管理プログラムが記憶されたコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、セントラルモニタを開示している。セントラルモニタは、複数の被検者から取得された生体情報を集中管理するための装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-084876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数の被検者から取得された生体情報の集中管理の利便性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、情報端末であって、
複数の被検者の生体情報に対応する複数のセンサ信号を受信する無線通信装置と、
前記複数の被検者と前記複数のセンサ信号の関連付けに基づいて、被検者ごとに生成された表示領域に当該被検者の生体情報を表示するディスプレイと、
を備えている。
【0006】
このような構成によれば、複数の被検者から取得される生体情報を集中管理するための情報端末の配置場所の自由度を高めることができる。これにより、生体情報の集中管理の利便性を高めることができる。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、
複数の被検者の生体情報に対応する複数のセンサ信号を無線送信する複数のセンサと、
プロセッサを備えており、前記複数のセンサ信号を受信する情報端末と、
を含む生体情報管理システムにおいて、前記プロセッサにより実行される生体情報管理方法であって、
前記複数の被検者と前記複数のセンサ信号の関連付けを行ない、
前記関連付けに基づいて、被検者ごとに生成されて当該被検者の生体情報を表示する表示領域を、前記情報端末のディスプレイに表示する。
【0008】
上記の目的を達成するための一態様は、上記の生体情報管理方法を情報端末に実行させる、生体情報処理プログラムである。
【0009】
上記の目的を達成するための一態様は、上記の生体情報処理プログラムが記憶されている、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る情報端末の機能構成を示している。
図2】上記の情報端末により行なわれる処理の流れを示している。
図3】上記の情報端末に格納されたセンサ識別情報と被検者識別情報との対応を示すテーブルの一例を示している。
図4】上記の情報端末のディスプレイにおける表示例を示している。
図5】上記の情報端末のディスプレイにおける表示例を示している。
図6】上記の情報端末のディスプレイにおける表示例を示している。
図7】上記の情報端末のディスプレイにおける表示例を示している。
図8】上記の情報端末のディスプレイにおける表示例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る情報端末1の機能構成を示している。
【0012】
情報端末1は、複数の被検者から取得される生体情報集中管理するための装置である。情報端末1は、各被検者に装着される少なくとも一つのセンサとともに生体情報管理システムを構成する。
【0013】
センサは、被検者の生体情報を検出し、当該生体情報に対応する信号を出力する構成を備えている。生体情報としては、体温、血圧、心電図、筋電図、脳波、非観血動脈血酸素飽和度(SpO2)、呼吸気における二酸化炭素または酸素の濃度または分圧などが例示されうる。
【0014】
情報端末1は、無線通信装置11を備えている。無線通信装置11は、センサと無線通信を行なうことが可能な通信インターフェースを備えている。そのようなインターフェースとしては、RFID(Radio Frequency Identification)、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)やWi-Fiなどの規格に準拠した通信インターフェースが例示されうる。無線通信装置11は、各被検者に装着された少なくとも一つのセンサから少なくとも一つのセンサ信号を受信する。
【0015】
情報端末1は、ディスプレイ12を備えている。ディスプレイ12は、各種の情報を表示可能に構成されている。ディスプレイ12としては、液晶表示装置や有機EL表示装置が例示されうる。
【0016】
情報端末1は、制御部13を備えている。制御部13は、プロセッサを備えている。プロセッサは、後述する生体情報管理方法の少なくとも一部を実行するように構成されている。プロセッサの機能は、メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されてもよいし、マイクロコントローラ、FPGA、ASICなどの専用集積回路によって実現されてもよい。
【0017】
情報端末1は、通信バス14を備えている。無線通信装置11、ディスプレイ12、および制御部13は、通信バス14を介して相互に信号やデータのやり取りが可能とされている。
【0018】
図2は、上記のように構成された生体情報管理システムにおいて行なわれる生体情報管理方法の一例を示している。情報端末1において実行される処理は、制御部13の制御下において行なわれる。
【0019】
まず、無線通信装置11が、複数の被検者の生体情報に対応する複数のセンサ信号を無線受信する(STEP1)。図1に示される例においては、第一被検者、第二被検者、および第三被検者の各々に装着された少なくとも一つのセンサからセンサ信号が受信されている。すなわち、本実施形態において被検者の数は三人である。しかしながら、被検者の数は、二人でもよいし、四人以上であってもよい。
【0020】
図2に示されるように、続いて複数の被検者と複数のセンサ信号の関連付けがなされる(STEP2)。
【0021】
例えば、図1に示されるように、情報端末1は、記憶部15を備えうる。記憶部15は、通信バス14に接続されうる。記憶部15は、複数の被検者と複数のセンサ信号を関連付けるための情報が予め格納されるストレージを備えてうる。具体的には、センサ識別情報と被検者識別情報との対応を示すテーブルが格納されうる。
【0022】
図3は、そのようなテーブルの一例を示している。被検者個人を識別するための被検者IDが、各被検者に割り当てられている。本例においては、第一被検者に被検者IDとしてP028が割り当てられている。同様に、第二被検者には被検者IDとしてP223が割り当てられており、第三被検者には被検者IDとしてP075が割り当てられている。
【0023】
他方、センサ固体を識別するためのセンサIDが、各センサに割り当てられている。本例においては、頭文字Eを含むセンサIDは、心電図を検出するためのセンサを表している。頭文字Sを含むセンサIDは、非観血動脈血酸素飽和度(SpO2)を検出するためのセンサを表している。頭文字Rを含むセンサは、呼吸気における二酸化炭素濃度を検出するためのセンサを表している。各センサから送信されるセンサ信号は、センサIDに対応する情報を含んでいる。
【0024】
制御部13は、記憶部15に格納されたテーブルを参照しつつ、複数の被検者と複数のセンサ信号の関連付けを行なう。例えば、センサIDがE003であることを示すセンサ信号が受信された場合、当該センサ信号を出力した心電図センサは、被検者IDがP028である第一被検者に関連付けられていることが判る。同様に、センサIDがS076であることを示すセンサ信号が受信された場合、当該センサ信号を出力したSpO2センサもまた、第一被検者に関連付けられていることが判る。同様に、センサIDがE098である心電図センサと、センサIDがS487であるSpO2センサは、被検者IDがP223である第二被検者に関連付けられていることが判る。
【0025】
図2に示されるSTEP1とSTEP2の順序は逆でもよい。すなわち、センサIDと被検者IDの関連付けは、予めセンサにおいて行なわれてもよい。例えば、センサIDがE003である心電図センサと被検者IDがP028である第一被検者との関連付けは、当該心電図センサの第一被検者への装着時に行なわれうる。この場合、当該心電図センサから送信されるセンサ信号は、E003とP028に対応する情報を含む。この場合、記憶部15に相当する構成は、センサに設けられうる。
【0026】
続いて、複数の被検者と複数のセンサ信号の関連付けに基づいて、被検者ごとに設定された表示領域に当該被検者の生体情報が表示される(STEP3)。図4の(A)は、情報端末1のディスプレイ12においてなされる表示の一例を示している。
【0027】
表示領域A1は、第一被検者の生体情報を表示するためにディスプレイ12に表示される領域である。同図において、表示領域A1は、第一被検者に装着された心電図センサから受信したセンサ信号に対応する心電図波形を表示している。また、表示領域A1は、第一被検者に装着されたSpO2センサから受信したセンサ信号に対応するSpO2の測定値の経時変化を表示している。
【0028】
表示領域A2は、第二被検者の生体情報を表示するためにディスプレイ12に表示される領域である。同図において、表示領域A2は、第二被検者に装着された心電図センサから受信したセンサ信号に対応する心電図波形を表示している。また、表示領域A2は、第二被検者に装着されたSpO2センサから受信したセンサ信号に対応するSpO2の測定値の経時変化を表示している。
【0029】
すなわち、各表示領域は、各被検者と当該被検者に装着された少なくとも一つのセンサの関連付けに基づいて生成され、無線通信を通じて取得された当該被検者の生体情報を表示する。
【0030】
このような構成によれば、複数の被検者から取得される生体情報を集中管理するための情報端末1の配置場所の自由度を高めることができる。これにより、生体情報の集中管理の利便性を高めることができる。
【0031】
情報端末1は、ユーザにより携帯可能でありうる。換言すると、情報端末1は、ユーザが携帯可能な寸法と重量を有するように構成されうる。そのような情報端末1としては、スマートフォン、タブレット端末、ヘッドマウントディスプレイなどが例示されうる。
【0032】
この場合、複数の被検者から取得される生体情報を、ユーザの望む場所で集中管理できる。したがって、生体情報の集中管理の利便性を高めることができる。
【0033】
また、図4の(A)に示されるように、ディスプレイ12は、複数の被検者について生成された複数の表示領域を一括表示可能である。
【0034】
このような構成によれば、複数の被検者から取得される生体情報の一覧性が高まり、生体情報の集中管理の利便性を高めることができる。
【0035】
同一の被検者から受信した複数のセンサ信号の数が所定値を超える場合に、当該同一の被検者について生成された表示領域のみがディスプレイ12に表示されうる。例えば当該所定値が2である場合について説明する。
【0036】
図4の(A)に示される例においては、表示領域A1について受信されたセンサ信号の数と表示領域A2について受信されたセンサ信号の数がともに2である。したがって、表示領域A1と表示領域A2が一括表示されている。ここでさらに二酸化炭素濃度センサが第一被検者に装着された場合、表示領域A1について受信されるセンサ信号の数は2を超える。したがって、図4の(B)に示されるように、表示領域A1のみがディスプレイ12に表示される。この表示領域A1は、第一被検者の呼吸気の二酸化炭素濃度の測定値の経時変化を表示している。
【0037】
すなわち、一括表示される複数の表示領域のうち、受信されたセンサ信号の数が所定値を超えるものは、単独でディスプレイ12に表示される。センサ信号の数が多い場合に複数の被検者の生体情報の一覧性を優先すると、ディスプレイ12に表示される情報量が多過ぎて情報の視認性が却って低下するおそれがある。本例によれば、装着されたセンサの数が多い被検者について生成された表示領域に表示された情報の個別視認性が優先される。このような表示動作は、ディスプレイ12の大きさが比較的小さく、一括表示できる情報量が制限される場合において、特に有利である。
【0038】
情報端末1が集中管理しようとする被検者の数が所定値を超える場合、全ての被検者の生体情報の一覧性を優先すると、ディスプレイ12に表示される情報量が多過ぎて情報の視認性が却って低下するおそれがある。したがって、ディスプレイ12に一括表示される被検者の数について所定値が設定されうる。例えば、当該所定値は2とされうる。この場合、図4の(A)に示されるように、第三被検者の生体情報を表示するための表示領域は、ディスプレイ12に表示されていない。また、図4の(B)に示されるように第一被検者に係る表示領域A1の個別視認性が優先された場合、第二被検者に係る表示領域A2は、ディスプレイ12に表示されなくなる。
【0039】
このような場合にも利便性を確保するために、図1に示されるように、情報端末1は、ユーザインターフェース16を備えうる。ユーザインターフェース16は、通信バス14に接続されうる。ユーザインターフェース16は、ユーザから所定の操作を受け付けるように構成されている。ユーザインターフェース16としては、ボタンやレバーなどの物理的スイッチ、ディスプレイ12と一体化されてタッチ入力を許容するタッチパネル装置、音声指示の入力を受け付ける音声認識装置、視線入力による指示を受け付ける視線認識装置などが例示されうる。
【0040】
この場合、図5の(A)と(B)に示されるように、ユーザインターフェース16が所定の操作を受け付けると、当初表示されていなかった被検者について生成された表示領域がディスプレイ12に表示される。
【0041】
例えば、図4の(A)に示されるように第一被検者に係る表示領域A1と第二被検者に係る表示領域A2が一括表示されている状態において、図5の(A)に示されるようにユーザインターフェース16が所定の操作を受け付けると、図5の(B)に示されるように、当初表示されていなかった第三被検者に係る表示領域A3が、ディスプレイ12に現れる。
【0042】
図示を省略するが、図4の(B)に示されるように第一被検者に係る表示領域A1のみが表示されている状態において、ユーザインターフェース16が所定の操作を受け付けると、当初表示されていなかった第二被検者に係る表示領域A2と第三被検者に係る表示領域A3の少なくとも一方が、ディスプレイ12に現れる。
【0043】
本例においては、ユーザインターフェース16は、ディスプレイ12に対するタッチ入力を許容するタッチパネル装置を含んでいる。縦長の姿勢をとるディスプレイ12に表示された各表示領域には、複数の生体情報が縦方向に配列されている。この場合において、上記の所定の操作は、横方向へのフリック操作またはスワイプ操作である。本例においては、縦方向が第一方向の一例であり、横方向が第二方向の一例である。第二方向は、複数の生体情報の配列方向と異なっていればよい。
【0044】
このような構成によれば、複数の被検者から取得された複数の生体情報の一覧性と視認容易性の双方を良好に確保できる。したがって、特にタッチパネル装置を用いたフリック操作またはスワイプ操作によってディスプレイ12に表示される表示領域を切り替える構成の場合、情報端末1が本来備えている汎用的な構成を利用しつつ、直観的な操作を実現できる。
【0045】
図6の(A)に示される例においては、横長の姿勢をとるディスプレイ12に第一被検者に係る表示領域A1のみが表示されている。表示領域A1内には、時間軸が横方向に沿うように、心電図における複数の誘導波形が表示されている。
【0046】
本例においても、ユーザインターフェース16が所定の操作を受け付けると、当初表示されていなかった第二被検者に係る表示領域A2が、ディスプレイ12に現れる。
【0047】
具体的には、上記の所定の操作は、縦方向へのフリック操作またはスワイプ操作である。本例においては、横方向が第一方向の一例であり、縦方向が第二方向の一例である。第二方向は、時間軸の方向と異なっていればよい。
【0048】
図6の(A)に示される状態からユーザインターフェース16が横方向へのフリック操作またはスワイプ操作を受け付けると、表示領域A1内に表示された生体情報が、横方向にスクロールする。この操作により、ユーザは、生体情報における所望の時刻の状態を容易に確認できる。これにより、生体情報の集中管理における利便性が向上する。
【0049】
同様の表示操作は、図4の(A)に示された例にも適用可能である。この手法は、図4の(B)に示された表示状態への切り替え操作に代えて採用されうる。図7の(A)は、図4の(A)と同じ表示状態を示している。すなわち、第一被検者に係る表示領域A1と第二被検者に係る表示領域A2が、ディスプレイ12に一括表示されている。本例においては、心電図センサとSpO2センサに加え、二酸化炭素濃度センサが第二被検者に装着されているとする。
【0050】
図7の(A)に示されるように、表示領域A2には、二酸化炭素濃度の測定値の経時変化を示す波形は表示されていない。この状態においてディスプレイ12の表示領域A2に縦方向へのフリック操作またはスワイプ操作が入力されると、表示領域A2内に表示された生体情報が、縦方向にスクロールする。その結果、当初は表示されていなかった二酸化炭素濃度の経時変化を示す波形が、表示領域A2内に現われる。
【0051】
このような構成によれば、複数の被検者の生体情報の一覧性を維持しつつ、必要なときにだけ特定の被検者に係る特定の生体情報を確認できる。これにより、生体情報の集中管理における利便性が向上する。
【0052】
図4の(B)に示される一人の被検者に係る表示領域A1のみがディスプレイ12に表示されている場合においても、表示領域A1に当初表示されていない生体情報が存在するのであれば、表示領域A1に対する縦方向へのフリック操作またはスワイプ操作が入力されることにより、表示領域A1内に表示された生体情報が縦方向にスクロールする。その結果、当初は表示されていなかった生体情報の経時変化を示す波形が、表示領域A1内に現われる。
【0053】
図1に示されるように、情報端末1は、検出部17を備えうる。検出部17は、通信バス14に接続されうる。検出部17は、各被検者との距離または各被検者に装着されたセンサからの電波強度を検出する周知の構成を備えうる。
【0054】
この場合、検出部17による検出結果に基づいて、複数の被検者のうち最も近くにいると判断された一人の生体情報を表示する表示領域が、ディスプレイ12において強調表示されうる。例えば、電波強度が最も強いセンサを装着している被検者が、最も近くにいる被検者であると判断される。
【0055】
図8の(A)は、そのような強調表示の一例を示している。本例においては、検出部17を通じて第二被検者が最も近くにいると判断されている。その結果、第二被検者に係る表示領域A2が、ディスプレイ12における最上部に配置される。この状態から情報端末1の位置が変化し、第一被検者が最も近くにいると判断されると、ディスプレイ12の表示状態は、図4の(A)に示される状態に変化する。すなわち、第一被検者に係る表示領域A1が、ディスプレイ12における最上部に配置される。
【0056】
図8の(B)は、強調表示の別例を示している。本例においても、検出部17を通じて第二被検者が最も近くにいると判断されている。その結果、第二被検者に係る表示領域A2が、強調枠Fとともに表示される。この状態から情報端末1の位置が変化し、第三被検者が最も近くにいると判断されると、当初は表示されていなかった第三被検者に係る表示領域A3が、強調枠Fとともにディスプレイ12に現れる。強調のために付加される画像は、強調枠Fに限られず適宜に選択されうる。
【0057】
最も近くにいると判断された一人の被検者に係る表示領域のみをディスプレイに表示させることもまた、強調表示の一例である。この場合、図4の(B)に示したような表示態様が得られる。あるいは、最も近くにいると判断された一人以外の被検者に係る表示領域をグレイアウト表示させたり、ぼかし表示したりすることもまた強調表示の一例である。
【0058】
ユーザは、最も近くにいる被検者の生体情報を確認しようとしている蓋然性が高い。上記のような構成によれば、確認を要する被検者の生体情報へのアクセスを迅速かつ容易にできる。これにより、生体情報の集中管理における利便性が向上する。
【0059】
上記の生体情報管理方法は、情報端末1のプロセッサが生体情報管理プログラムを実行することによって実現される。当該プログラムは、プロセッサと協働するメモリに予め組み込まれていてもよいし、当該プログラムを記憶している記憶媒体から読み出してもよい。そのような記憶媒体は、SDカードやUSBメモリのような可搬型記憶媒体として提供されてもよいし、情報端末1が通信ネットワークを介して接続可能なサーバ装置が備える記憶媒体であってもよい。
【0060】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【符号の説明】
【0061】
1:情報端末、11:無線通信装置、12:ディスプレイ、13:制御部、15:記憶部、16:ユーザインターフェース、17:検出部、A1~A3:表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8