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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】天井材の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/22 20060101AFI20230810BHJP
   E04B 9/26 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
E04B9/22 A
E04B9/26 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018122717
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020002612
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000177139
【氏名又は名称】三洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(74)【代理人】
【識別番号】100133145
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 正之
(74)【代理人】
【識別番号】100142778
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100176795
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 望
(72)【発明者】
【氏名】秋竹 教行
(72)【発明者】
【氏名】橋本 慧一
(72)【発明者】
【氏名】白崎 了悟
(72)【発明者】
【氏名】金井 貴浩
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-274006(JP,A)
【文献】特開2010-126873(JP,A)
【文献】特開平10-227117(JP,A)
【文献】特開2018-071338(JP,A)
【文献】特開平10-121644(JP,A)
【文献】実開昭57-047602(JP,U)
【文献】実開平03-128149(JP,U)
【文献】特開2018-071263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00-9/36
E04F 19/02-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井材を天井下地材に取り付けるための天井材取付け具として、
全体が平坦な板部、及びこの板部の左右の張出し部位の略中央部から同一方向に突設された2つの係合片を有し、これら両係合片の各内側部位に凹凸部としての係合箇所が二段形成され、且つ難燃性の合成樹脂材からなる係合部材と、
全体が平坦な板部、及びこの板部の左右の張出し部位の略中央部から突設され、上記係合部材の両係合片間に差し込み挟持され、且つ上記両係合片の凹凸部と噛み合う凸凹部として係止箇所が二段両側部位に形成された係止片を有し、且つ難燃性の合成樹脂材からなる係止部材と、を備え、
上記係止部材の係止片にスリット部を形成して当該係止片を左右の片に分割し、各片の弾性を伴って、上記係止片を上記係合部材の両係合片に挟持させ係止させ、さらに、
上記天井下地材の下部に、上記係合部材の上記板部の張出し部位を固定し、当該係合部材の両係合片間に上記係止部材の係止片を差し込み、上記係止片の凸凹部を上記両係合片の凹凸部と噛み合わせ、上記係合部材及び係止部材の両部材の弾性変形を伴って係止させ、
併せて、上記係合部材の板部と上記係止部材の板部との間の溝状部に上記天井材の縁部を嵌め、当該天井材を上記係止部材の板部で支持させる天井材取付け具、
を用いた天井材の施工方法であって、
上記天井下地材の下部に、上記天井材取付け具を所定の間隔をおいて平行に配置し、
ロール状に巻かれた一定幅の天井材を用い、隣り合う上記天井材取付け具の一方の端部から、上記天井材の左右の縁部をそれぞれ上記天井材取付け具の各溝状部に嵌め、上記天井材をロールから巻き戻しながらその先端部を上記各溝状部に沿って奥方向に押し込み、上記天井材を天井に取り付けることを特徴とする天井材の施工方法。
【請求項2】
天井材を天井下地材に取り付けるための天井材取付け具として、
全体が平坦な板部、及びこの板部の左右の張出し部位の略中央部から同一方向に突設された2つの係合片を有し、これら両係合片の各内側部位に凹凸部としての係合箇所が二段形成され、且つ難燃性の合成樹脂材からなる係合部材と、
全体が平坦な板部、及びこの板部の左右の張出し部位の略中央部から突設され、上記係合部材の両係合片間に差し込み挟持され、且つ上記両係合片の凹凸部と噛み合う凸凹部として係止箇所が二段両側部位に形成された係止片を有し、且つ難燃性の合成樹脂材からなる係止部材と、を備え、
上記係止部材の係止片にスリット部を形成して当該係止片を左右の片に分割し、各片の弾性を伴って、上記係止片を上記係合部材の両係合片に挟持させ係止させ、さらに、
上記天井下地材の下部に、上記係止部材の上記板部の張出し部位を固定し、当該係止部材の係止片に上記係合部材の両係合片を嵌め込み、上記両係合片の凹凸部を上記係止片の凸凹部と噛み合わせ、上記係合部材及び係止部材の両部材の弾性変形を伴って係止させ、
併せて、上記係合部材の板部と上記係止部材の板部との間の溝状部に上記天井材の縁部を嵌め、当該天井材を上記係合部材の板部で支持させる天井材取付け具、
を用いた天井材の施工方法であって、
上記天井下地材の下部に、上記天井材取付け具を所定の間隔をおいて平行に配置し、
ロール状に巻かれた一定幅の天井材を用い、隣り合う上記天井材取付け具の一方の端部から、上記天井材の左右の縁部をそれぞれ上記天井材取付け具の各溝状部に嵌め、上記天井材をロールから巻き戻しながらその先端部を上記各溝状部に沿って奥方向に押し込み、上記天井材を天井に取り付けることを特徴とする天井材の施工方法。
【請求項3】
上記両係合片の凹凸部をそれぞれのこぎり刃状に形成し、併せて上記係止片の凸凹部をそれぞれのこぎり刃状に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の天井材の施工方法。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井材を天井に取り付けるための天井材取付け具、これを用いた天井材の取付け構造及び天井材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の天井下地材を利用して天井材を敷設する工法が知られている。
【0003】
例えば特許文献1の天井板取付構造は、図10に示すように、建物躯体のコーナー部に廻り縁70を固着し、天面72に木製の受け部材74を固着し、廻り縁70の側面に天井板76の一側縁を挟持する受け口を有する挟持部材78を取付け、また受け部材74の下面に天井板76の一側縁を挟持する受け口77を有するジョイナー80を取付けたものであり、これにより、天井裏のスペースを小さくして天井高さを高くでき、施工時間の短縮が図れるというものである。
【0004】
特許文献2に記載の天井の構造は、天井下地バーに固定された支持バーとの係合手段を有するクリップと、該クリップの下方から前記係合手段に着脱自在に係合した支持バーと、該支持バー上で少なくとも2辺を支持されるグラスウール製弾性天井板とからなるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-34594号公報
【文献】特許第2598910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、上記特許文献1の天井板取付構造は、ジョイナー80を受け部材74に釘等で取り付ける際、受け口77が邪魔になって作業がし辛く、またジョイナー80の受け口77が固定的であるため天井板76の取り付け形態が限られるという問題がある。
また、特許文献2の天井の構造は、クリップ及び支持バーの形状が複雑で加工性が悪く、また支持バーの着脱は天井板の変形を利用して行う等、作業性が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、構造が簡単でしかも作業が容易で施工性に優れ、経済性にも優れた天井材取付け具、天井材の取付け構造及び天井材の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の技術的課題を解決するため、本発明は図1等に示すように、天井材6を天井下地材4に取り付けるための天井材取付け具2であって、全体が平坦な板部14、及びこの板部14の左右の張出し部位15,15の略中央部から同一方向に突設された2つの係合片16,16を有し、これら両係合片の各内側部位に凹凸部が形成された係合部材8と、平坦な板部18、及びこの板部18から突設され、上記係合部材8の両係合片16,16間に差し込み挟持され、且つ上記両係合片16,16の凹凸部22と噛み合う凸凹部24が両側部位に形成された係止片20を有する係止部材10と、を備え、上記天井下地材4の下部に、上記係合部材8の上記板部の張出し部位を固定し、当該係合部材8の両係合片16,16間に上記係止部材10の係止片20を差し込み、上記係止片20の凸凹部24,24を上記両係合片16,16の凹凸部22,22と噛み合わせて係止させ、併せて、上記係合部材8の板部14と上記係止部材10の板部18との間の溝状部26に上記天井材6の縁部7を嵌め、当該天井材6を上記係止部材10の板部18で支持させる構成である。
【0009】
本発明に係る天井材取付け具は、上記係合部材8の両係合片16,16間に止着具12を螺入し、上記天井下地材4の下部に上記係合部材8を取り付ける構成である。
【0010】
本発明は、天井材6を天井下地材4に取り付けるための天井材取付け具2であって、平坦な板部14、及びこの板部14から同一方向に突設された2つの係合片16,16を有し、これら両係合片16,16の各内側部位に凹凸部22が形成された係合部材8と、全体が平坦な板部18、及びこの板部18の左右の張出し部位19,19の略中央部から突設され、上記係合部材8の両係合片16,16間に差し込み挟持され、且つ上記両係合片16,16の凹凸部22と噛み合う凸凹部24が両側部位に形成された係止片20を有する係止部材10と、を備え、上記天井下地材4の下部に、上記係止部材10の上記板部の張出し部位を固定し、当該係止部材10の係止片20に上記係合部材8の両係合片16,16を嵌め込み、上記両係合片16,16の凹凸部22,22を上記係止片20の凸凹部24,24と噛み合わせて係止させ、併せて、上記係止部材10の板部18と上記係合部材8の板部14との間の溝状部26に上記天井材6の縁部7を嵌め、当該天井材6を上記係合部材8の板部14で支持させる構成である。
【0011】
本発明は、天井材6を天井下地材4に取り付けるための天井材取付け具2であって、全体が平坦な板部14、及びこの板部14の左右の張出し部位15,15の略中央部から同一方向に突設された2つの係合片16,16を有し、これら両係合片16,16の各内側部位に凹凸部22が形成された係合部材8と、全体が平坦な板部18、及びこの板部18の左右の張出し部位19,19の略中央部から突設され、上記係合部材8の両係合片16,16間に差し込み挟持され、且つ上記両係合片16,16の凹凸部22と噛み合う凸凹部24が両側部位に形成された係止片20を有する係止部材10と、を備え、上記天井下地材4の下部に、上記係合部材8の上記板部14の張出し部位15を固定し、当該係合部材8の両係合片16,16間に上記係止部材10の係止片20を差し込み、上記係止片20の凸凹部24,24を上記両係合片16,16の凹凸部22,22と噛み合わせて係止させ、又は、上記天井下地材4の下部に、上記係止部材10の上記板部18の張出し部位19を固定し、当該係止部材10の係止片20に上記係合部材8の両係合片16,16を嵌め込み、上記両係合片16,16の凹凸部22,22を上記係止片20の凸凹部24,24と噛み合わせて係止させ、併せて、上記係合部材8の板部14と上記係止部材10の板部18との間の溝状部26に上記天井材6の縁部7を嵌め、当該天井材6を上記係止部材10の板部18又は上記係合部材8の板部14で支持させる構成である。
【0012】
本発明に係る天井材取付け具は、上記係止部材10の係止片20にスリット部21を形成して当該係止片20を左右の片に分割し、各片の弾性を伴って、上記係止片20を上記係合部材8の両係合片16,16に挟持させ係止させる構成である。
【0013】
本発明に係る天井材取付け具は、上記両係合片16,16の凹凸部22,22をそれぞれのこぎり刃状に形成し、併せて上記係止片20の凸凹部24をそれぞれのこぎり刃状に形成した構成である。
【0014】
本発明に係る天井材取付け具は、上記係合部材8及び上記係止部材10を、それぞれ上記天井材6の縁部7に沿う長尺状に形成した構成である。
【0015】
本発明は、上記何れかに記載の天井材取付け具を用いた天井材の取付け構造であって、上記天井下地材4の下部に、上記天井材取付け具2が所定の間隔をおいて平行に配置され、
隣り合う上記天井材取付け具2の一方の端部から、上記天井材6の左右の縁部7がそれぞれ上記天井材取付け具2の各溝状部26に嵌められ、さらに当該天井材6の先端部が上記各溝状部26に沿って奥方向に押し込まれ、上記天井材6が天井に取り付けられる構成である。
【0016】
本発明に係る天井材の取付け構造は、上記天井材6として、ロール状に巻かれた一定幅のものを使用し、これを巻き戻しながらその先端部を上記奥方向に押し込む構造である。
【0017】
本発明は、上記何れかに記載の天井材取付け具を用いた天井材の施工方法であって、上記天井下地材4の下部に、上記天井材取付け具2を所定の間隔をおいて平行に配置し、ロール状に巻かれた一定幅の天井材6を用い、隣り合う上記天井材取付け具2の一方の端部から、上記天井材6の左右の縁部7をそれぞれ上記天井材取付け具2の各溝状部26に嵌め、上記天井材6をロールから巻き戻しながらその先端部を上記各溝状部26に沿って奥方向に押し込み、上記天井材6を天井に取り付ける方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る天井材取付け具によれば、板部及び両係合片が形成された係合部材と、板部及び係合部材の両係合片間に差し込み噛み合う係止片を有する係止部材とを備え、天井下地材の下部に係合部材を固定し、この係合部材に係止部材を係止させ、併せて係合部材と係止部材との間の溝状部に天井材の縁部を嵌めて支持する構成を採用したから、構造が簡単であり、しかも天井下地材への取り付け及び天井材の取り付け作業が容易に行えて施工性に優れ、経済性にも優れるという効果を奏する。
【0019】
本発明に係る天井材取付け具によれば、係合部材の両係合片間に止着具を螺入し、天井下地材に係合部材を固定することとしたから、係合部材の固定がバランスよく行えるという効果がある。
【0020】
本発明に係る天井材取付け具によれば、板部及び両係合片が形成された係合部材と、板部及び係合部材の両係合片間に差し込み挟持される係止片を有する係止部材とを備え、天井下地材の下部に係止部材を固定し、この係止部材に係合部材を係止させ、併せて係止部材と係合部材との間の溝状部に天井材の縁部を嵌めて支持する構成を採用したから、構造が簡単であり、しかも天井下地材への取り付け及び天井材の取り付け作業が容易に行えて施工性に優れ、経済性にも優れるという効果がある。
【0021】
本発明に係る天井材取付け具によれば、板部及び両係合片が形成された係合部材と、板部及び係合部材の両係合片間に差し込み噛み合う係止片を有する係止部材とを備え、天井下地材の下部に係合部材を固定し、この係合部材に係止部材を係止させ、又は、天井下地材の下部に係止部材を固定し、この係止部材に係合部材を係止させ、併せて係合部材と係止部材との間の溝状部に天井材の縁部を嵌めて支持する構成を採用したから、構造が簡単であり、しかも天井下地材への取り付け及び天井材の取り付け作業が容易に行えて施工性に優れ、経済性にも優れ、加えて、受け部材及び支持部材の上下反転が自在であることから、受け部材及び支持部材の各板部の大きさ或いは色彩等を変えることで、現場の天井材の大きさ、又天井の雰囲気に応じた使い分けが可能となり利便性にも優れるという効果がある。
【0022】
本発明に係る天井材の取付け構造によれば、天井下地材の下部に配置され、隣り合う天井材取付け具の一方の端部から、天井材の左右の縁部がそれぞれ天井材取付け具の各溝状部に嵌められ、奥方向に押し込まれ、天井材が天井に取り付けられる構成としたから、構造が簡単であり、しかも天井材の取り付け作業が容易に行えて施工性に優れ、経済性にも優れるという効果を奏する。
【0023】
本発明に係る天井材の取付け構造によれば、天井材としてロール状に巻かれたものを使用し、これを巻き戻しながらその先端部を奥方向に押し込むこととしたから、天井材の管理が容易であり、しかも作業性にも優れるという効果がある。
【0024】
本発明に係る天井材の施工方法によれば、天井下地材の下部に天井材取付け具を配置し、ロール状に巻かれた天井材を用い、隣り合う天井材取付け具の一方の端部から、天井材の左右の縁部をそれぞれ天井材取付け具の各溝状部に嵌め、天井材をロールから巻き戻しながら奥方向に押し込み、天井材を天井に取り付ける方法を採用したから、天井材の管理が容易であり、且つ天井材の取り付け作業が容易に行えて施工性に優れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態に係り、天井下地材及び天井材取付け具を示す図である。
図2】実施の形態に係り、第一の形状の天井材取付け具の係止を示す図である。
図3】実施の形態に係り、第二の形状の天井材取付け具の係止を示す図である。
図4】実施の形態に係り、第三の形状の天井材取付け具の係止を示す図である。
図5】実施の形態に係り、天井材取付け具の他の使用形態を示す図である。
図6】天井の下地構造及び天井材取付け具を用いた天井材の取付け構造を示す図である。
図7】天井材取付け具を用いた天井材の取付け構造及び天井材の施工方法を示す図である。
図8】天井材取付け具を用いた天井の際構造を示す図である。
図9】天井材取付け具を用いた他の天井の際構造を示す図である。
図10】従来例に係る天井板取付構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態に係る天井材取付け具及び天井下地材を示したものである。この第一の形状の天井材取付け具2は、建物の天井下地材4として例えば野縁材4に取り付けて使用され、天井材6を天井に敷設するために用いられる。
【0027】
上記天井材取付け具2は、係合部材8と係止部材10とからなる。これら係合部材8及び係止部材10は、何れも断面が一定形状の長尺材である。天井材取付け具2の材質としては、塩化ビニル、アルミニウム、難燃性の合成樹脂材等が用いられる。天井材取付け具2は、天井材6同士の目地部分に用いる化粧材としての機能も有する。
天井材取付け具2は、止着具12としてネジ等を用いて野縁材4の下部に係合部材8を取り付け、この係合部材8に係止部材10を係止させ、両部材間に天井材6の縁部7(4辺の各端部)を挟む状態で天井材6を保持する。
【0028】
上記天井材取付け具2の係合部材8は、平坦な板部14及びこの板部14の中央部から同一方向に突設された2つの係合片16,16を有する。上記板部14の断面は、全体が平坦であり、この板部14の中央部から左右に張り出した張出し部位15,15を有し、上記張出し部位15,15は、上記係合片16,16の上部からそれぞれ左右に張り出している。
また、上記係止部材10は、平坦な板部18及びこの板部18の中央部から突設された係止片20を有する。上記板部18の断面は、全体が平坦で、この板部18の中央部から左右に張り出した張出し部位19,19を有し、上記張出し部位19,19は、上記係止片20の上部からそれぞれ左右に張り出している。
【0029】
係合部材8の2つの係合片16,16は、係止部材10の係止片20の幅程度の間隔をおいて向い合う状態で突設され、断面は略逆U字状である。
また、係合部材8の各係合片16の内側部には、それぞれ断面が凹凸状の凹凸部22,22が形成され、また、係止部材10の係止片20部の両側部にも、断面が凸凹状の凸凹部24,24が形成されている。
これにより、係合部材8の各係合片16,16に係止部材10の係止片20を差し込んだ状態で、係合片16,16の凹凸部22,22と係止片20の凸凹部24,24とが相互に噛み合い、上下方向に両部材が係止した状態を維持する。
【0030】
また、係合部材8の係合片16,16はそれぞれ弾性を有しており、両係合片16,16間に、係止部材10の係止片20を差し込む際には、これら両係合片16,16は弾性変形により主に先部が拡開し、係止片20を嵌めて係止し、また係止後は両係合片16,16により弾性を伴って係止片20を挟持する状態となる。
これにより、係合部材8の係合片16,16と係止部材10の係止片20とは噛み合って係止され、係止状態が維持され外れることがない。
【0031】
また、天井材取付け具2の係止片20は、中央部にスリット部21(隙間)を形成し、係止片20を左右の片に分割した形態であり、断面は略U字状である。この天井材取付け具2では、上記スリット部21の効果により、係止片20の左右の各片がそれぞれ内側に向けて弾性変形可能である。
このため、係合部材8に係止部材10を差し込む際には、弾性変形により、係合部材8の係合片16,16が外向きに開く一方、係止部材10の係止片20の左右の片が内向きに閉じるよう変形し、係合片16,16に対する係止片20の差し込みが容易となって作業性が良くなり、また係止後は十分な係止効果が発揮される。
【0032】
上記天井材取付け具2は、止着具12を用いて係合部材8の板部14の左右の張出し部位15等を野縁材4に固定する。そして、上記係合部材8に係止部材10を係止させ、併せて係合部材8の板部14と係止部材10の板部18との間に天井材6の縁部7を嵌め、これを挟む状態で天井材6を取り付ける。
【0033】
また、図2(a)に示すように、天井材取付け具2は、係合部材8の係合片16,16の各凹凸部22,22はそれぞれのこぎり刃状(山谷)に形成され、係止部材10の係止片20の凸凹部24,24についても、係合片16,16の凹凸部22,22と噛み合い係止する、のこぎり刃状に形成された形状である。
【0034】
上記のこぎり刃状の形状では、のこぎり刃状の凸部及び凹部が形成され、係合片16,16(凹凸部22,22)間に係止片20(凸凹部24,24)を差し込むと、係止片20の凸部が係合片16の凹部に突入して両者が係合する。そして、この状態で両者が噛み合い、係止片20を抜く方向の移動は阻止され、係止作用が発揮される。
【0035】
また、係合片16及び係止片20に形成された、のこぎり刃状の凹凸部、凸凹部は、何れも凸部が2箇所、凹部が2箇所と、係止箇所が二段設けられている。
このため、図2(b)に示すように、係合部材8の両係合片16,16間に係止部材10の係止片20を差し込んだ場合、最初に一段目(係止箇所一か所)の係止が行われ、さらに係止片20を係合片16,16の奥に差し込むと、二段目(係止箇所二か所)の係止が行われ、二段階の係止状態が維持される。
そして、上記係合部材8の板部14と係止部材10の板部18との間には、断面コの字状の溝状部26が形成される。
【0036】
また、図2(c)に示すように、係合片16,16に係止片20を差し込み、最初の一段目(係止箇所一か所)の係止で止めれば、この状態で係止状態が維持される。
したがって、例えば天井材6の板厚が厚い場合には、上記一段目の係止の状態で天井材6を保持することができ、また板厚が薄い場合には、上記二段目の係止の状態で天井材6を保持することができる。つまり、係合片16と係止片20との係止位置の調節により、天井材6の板厚に応じた保持が可能となる。
【0037】
また、上記係合片16,16及び係止片20では、凸凹の係止箇所を二段設けているが、これは三段或いはそれ以上、複数段設けることとしてもよい。これにより、係合片16,16と係止片20との係止箇所が多くなり、係合部材8と係止部材10との間の間隔も細かく調整でき、天井材6の種々の板厚にも対応できる。
【0038】
さらに、この天井材取付け具2の係合部材8は、両係合片16,16間の間隔、及び係止片20の幅が比較的広く形成されている。そして、この係合部材8など、係合片16,16同士の間に止着具12の介在が可能な場合には、この部位から止着具12を螺入して係合部材8を野縁材4に固定することとしてもよい。
また、天井材取付け具2は、係合部材8と係止部材10とに分けた形態により、係合部材8の野縁材4への取り付けの際には、係止部材10(未装着)が邪魔にならず、取付けが容易である。また、係合部材8等に対する止着具12の止着位置を自由に決められ、止着も容易である。
【0039】
図3(a)(b)(c)は、第二の形状の天井材取付け具2を示すものである。
この天井材取付け具2についても、係合部材8の係合片16,16の凹凸部22,22及び係止部材10の係止片20の凸凹部24,24の各形状は、上記第一の形状の天井材取付け具2と同様である。
また、この天井材取付け具2は、両係合片16,16間の間隔、及び係止片20の幅は上記第一の形状の天井材取付け具2と比べて比較的狭く、係止片20にスリット部等は設けていない。
【0040】
なお、この第二の形状の天井材取付け具2についても、係合片16,16及び係止片20の凹凸部22,22、凸凹部24,24に形成されたのこぎり刃状の形状、係止形態及び係止箇所(複数段)の構成、及び作用等は上記第一の形状の天井材取付け具2と同様である。
【0041】
図4(a)(b)(c)は、第三の形状の天井材取付け具2を示すものである。
この天井材取付け具2についても、係合部材8の係合片16,16には凹凸部22,22が形成され、また係止部材10の係止片20にも凸凹24,24が形成された形状である。そして、係合部材8の係合片16,16の凹凸部22,22については、それぞれ円弧状の窪み部23が連続する形状に形成されている。
【0042】
また係止部材10の係止片20の凸凹24,24については、上記係合片16,16の凹凸部22,22の窪み部23と噛み合い係止される球片部25が球状に形成されている。
このため、係合部材8の係合片16,16間に係止部材10の係止片20を差し込むと、係止片20の球状の球片部25が係合片16,16の窪み部23に突入し、この状態で両者が噛み合い、係止片20を抜く方向の移動は阻止され、係止作用が発揮される。
【0043】
また、上記何れの形状の天井材取付け具2についても、係合片16,16に形成された凹凸部22,22と、係止片20に形成された凸凹部24,24とは、係止箇所が二段設けられている。
このため、係止片20を係合片16,16に差し込んだ場合、最初に一段目の係止が行われ、この状態でも係止状態が維持され、さらに係止片20を係合片16,16の奥に差し込むと、二段目の係止が行われ、二段階にわたる係止状態が確保される。
【0044】
また、上記天井材取付け具2では、係止箇所を二段設けているが、これは三段或いはそれ以上、複数段設けることとしてもよい。これにより、係合部材8の係合片16,16と係止片20との係止箇所が多くなり、係合部材8と係止部材10との間の間隔も細かく調整でき、天井材6の種々の板厚にも対応できるようになる。
【0045】
上記天井材6としては、比較的軽量の材料を使用した一定幅の長尺材を用いる。この材料としては、ここでは不燃紙を蛇腹状(山折りと谷折りの繰り返し形状)に形成し、この蛇腹状の一方の面をシート状の不燃紙で被ったものを用いる。この板厚としては、例えば10mm、15mm等のものがある。
【0046】
上記天井材6は、巻かれた長尺方向に対して可撓性を有し、また幅方向について可撓性は殆どなく野縁材4(天井材取付け具2)間では撓まない。さらにここでは、天井材6をロール状に巻いた状態で維持管理し、この状態のまま施工に用いる。これにより、天井材6の搬送、及び取扱いが容易であり、施工性も改善される。
他に、天井材6として、グラスウールをボード状に形成したもの、合成樹脂系等の発泡材、或いは合成樹脂系の不織布をボード状に形成したもの等を用いることができる。
【0047】
図5は、天井材取付け具2について、他の使用形態を示すものである。
この使用形態では、係合部材8と係止部材10との位置を上下逆に配置して使用する。このため、野縁材4には天井材取付け具2の係止部材10を取り付ける。この場合の固定方法等は、上記使用形態と特に変わりはなく、止着具12等を用いて係止部材10の板部18の左右の張出し部位19等を野縁材4に固定する。
【0048】
また、係合部材8の係合片16,16の凹凸部22,22と、係止部材10の係止片20の凸凹部24,24との噛み合わせに上下の方向性はなく、このため、係止部材10を上部に配置し、下方から係合部材8を上方の係止部材10に係止させた場合であっても、上記使用形態と何ら変わることなく係止状態が維持される。
【0049】
そして、野縁材4に固定された係止部材10に対して、この係止部材10の係止片20に係合部材8の両係合片16,16を挟む状態で嵌め、係止させる。このとき、係合片16,16の凹凸部22,22が係止片20の凸凹部24,24と噛み合い、係合片16,16が係止片20に係止され、係合部材8は係止部材10から外れることなく、係止の作用が発揮される。
このため、当該天井材取付け具2の他の使用形態についても、上記使用形態と同様な作用効果が得られる。
【0050】
次に、図6に基づき、上記天井材取付け具2を用いた天井材の施工方法、及び天井材の取付け構造について説明する。
建物の天井部分に天井下地を構築する際には、例えばハンガー30、野縁受け材32、クリップ34、天井下地材4としての野縁材4等の鋼材を用いる。ハンガー30は、U字に屈曲形成された保持部38を有し、この保持部38に保持される野縁受け材32は、上片部40と側片部42及び下片部43を有する断面コの字状の長尺材である。
【0051】
また、クリップ34は、二枚の板材からなり、上部にはボルト45で接合される固定部44、中央部には野縁受け材32を保持する保持部46、及び下部の左右部には野縁材4を掛止させる掛止片48,48が形成された形状である。
野縁材4は、底板部50、及びこれから上方に屈曲形成された左右の側板部52,52からなる長尺材であり、各側板部52,52の上部にはそれぞれ内向きに逆U字状に屈曲形成された掛止部54,54が設けられている。
【0052】
天井下地を構築するためには、天井躯体(構造材)からハンガー30を吊り下げ、当該ハンガー30の保持部38に野縁受け材32を保持させる。当該野縁受け材32は、複数のハンガー30に保持させ、所定の間隔をおいて平行かつ水平に配置する。
さらに、これら野縁受け材32の下側に、野縁受け材32とは直交方向に野縁材4を配置し、クリップ34を用いて野縁材4を野縁受け材32の下部に固定する。
【0053】
上記クリップ34の各板材の下部に設けた掛止片48,48に、それぞれ野縁材4の掛止部54,54を掛止させ、一方、保持部46に野縁受け材32を保持させ、両板材の固定部44をボルト45で締結する。
これにより、ハンガー30で保持した野縁受け材32の下部に野縁材4が保持固定され、天井下地が構築され、その下部の野縁材4に天井材取付け具2を配置する。
【0054】
ここでは、天井下地を構成する天井下地材4として野縁材4に、天井材取付け具2を取り付ける。なお、天井下地材4としては、野縁材の他に、梁材、横架材など天井下地の下部を構成し水平に配置される材料が利用可能である。
【0055】
また、天井材取付け具2は、天井下地材4に沿う方向に配置し取り付ける形態以外に、天井下地材4と直交する方向に配置し取り付けることも可能である。
この直交方向の配置の場合、隣り合う天井下地材4同士の間を跨ぐ状態で天井材取付け具2を配置しても良く、或いは、上記隣り合う天井下地材4と直交する向きに他の天井下地材4を配置(架設)し、この下部に沿って天井材取付け具2を取り付けるようにしても良い。
天井材取付け具2を野縁材4に取り付ける際、ここでは係合部材8を野縁材4に取り付け、これに係止部材10を係止させる形態を採用する。なおこれとは逆に、係止部材10を野縁材4に取り付け、これに係合部材8を係止させる形態の採用も可能であり、この形態についても、施工方法、作用効果は同様である。
【0056】
長尺状の野縁材4に取り付ける天井材取付け具2の長さは、特に制限はないが、20cm、50cm、1m、2m、3m等がある。また、天井材取付け具2は、野縁材4に沿って連続して配置する形態、或いは所定間隔離して断続的に配置する形態等がある。天井材6の重さ、板厚等に応じて天井材取付け具2の配置形態を決めればよい。
天井材取付け具2として、係合部材8を野縁材4に取り付ける場合、ここでは止着具12としてネジを用いる。このネジとしては、例えばセルフドリリングネジ等が有効である。なお、止着具12として、ネジ以外に、ボルトナット、釘或いは接着材等の使用も可能である。
【0057】
天井材取付け具2の取り付け方法には、予め、取り付け前の野縁材4の底板部50に、止着具12を用いて係合部材8を取り付けておく方法、また、野縁材4を野縁受け材32に取り付けた後、この野縁材4の底板部50に止着具12を用いて係合部材8を固定する方法がある。
上記係合部材8の野縁材4への取り付けは、野縁材4を野縁受け材32に取り付ける前後の何れでもよいが、何れを採用するかは工事の状況に応じて決めればよい。
【0058】
上記何れの取付け方法であっても、天井材取付け具2は、係合部材8と係止部材10とが分割されていることから、野縁材4への取り付けの際、部材同士が邪魔にならず、係合部材8(或いは係止部材10)の取り付けが容易に行なえて作業性が良い。そして、上記野縁材4への取り付け後、両部材同士を係止させる。
なお、野縁材4の下部に係合部材8を取り付け、この係合部材8に係止部材10を係止させ、この状態で野縁材4を野縁受け材32に取り付ける方法も採用できる。
【0059】
そして、野縁材4の底板部50に、この底板部50に沿う状態で天井材取付け具2の係合部材8を配置し、これらの板部の張出し部位、或いは係合片16,16同士の間から止着具12を捩じ込み、これを底板部50に螺設して両者を固定する。
このとき、係合片16,16(或いは係止片20)の、板部14(18)の左右の張出し部位15(19)に交互に止着具12を螺設することで、バランス良く固定できる。さらに、板部の左右の張出し部位に止着具12を螺設することで、止着が効果的かつ強固に行える。また、係合部材8の係合片16,16同士の隙間から止着具12を螺設する方法では、係合部材8がバランスよく固定できる。
【0060】
天井下地は図7に示すように、ハンガー30に保持された野縁受け材32の下部に、野縁材4が所定の間隔をおいて互いに平行に取り付けられる。そして、野縁材4の下部に係合部材8を取り付け、この係合部材8の両係合片16,16間に下から係止部材10の係止片20を差し込み、これを係止させる。
【0061】
またここでは、上記野縁材4に取り付けた天井材取付け具2は、所々に天井材取付け具2の取り付けが不連続の部位として、隙間部55を設ける。この隙間部55は、互いに平行に配置された左右の天井材取付け具2の、左右同一の位置に設ける。
そして、天井材取付け具2には、係合部材8の板部14と係止部材10の板部18との間に断面コの字状の溝状部26が形成され、この溝状部26は天井材取付け具2の長手方向に沿って長尺状に延びる。
【0062】
次に、隣り合う各野縁材4に取り付けた天井材取付け具2同士の間に、ロール状に巻かれた天井材6を配置する。通常、隣り合う天井材取付け具2同士の間隔は、ロール状の天井材6の幅と同じ程度にしており、天井材6はそのまま天井材取付け具2同士間に配置可能である。
ここで、上記隙間部55(数cmの幅)から、天井材取付け具2の両部材間に形成される上記溝状部26が確認でき、上記隙間部55から上記天井材6の先端部56を差し込む。
【0063】
そして、平行に配置された左右の各天井材取付け具2の溝状部26に、それぞれロール状に巻かれた天井材6の先端部56の左右の縁部7を嵌め、さらに天井材6をロールから巻き戻しながら、その先端部56を上記溝状部26に沿って奥方向に押し込み、各天井材取付け具2の先方向に向けて進ませる。
このようにして、上記天井材6の先端部56が、左右の両天井材取付け具2の先方の端部に到達するまで天井材6を押し込み、天井材6を天井に敷設する。これにより、天井材6は、両縁部7がそれぞれ天井材取付け具2の溝状部26に嵌められ、係止部材10によって支持される。
【0064】
上記天井材6をロール状の状態で保持し、またこれを巻き戻しながら上記天井材取付け具2の溝状部26の奥方向に押し込み、天井に配置するという施工により、作業性が良く又少人数での取付けも可能となり施工性に優れる。
天井に配置される天井材取付け具2同士の間隔は、天井材6の幅(横幅)又はこれ以下とし、天井の際部等は必要に応じて天井材6を切断して幅を調整する。
【0065】
また、天井材6の後部は、上記隙間部55の箇所で切断することで、この箇所が上記天井材6の後端部となる。上記天井材6を配置し後部を切断した後には、上記左右の隙間部55間に他の天井材取付け具2を配置する。
上記他の天井材取付け具2は、上記天井材6を配置した左右の天井材取付け具2(それぞれ野縁材4で支持)とは直交する方向に配置するため、上記各野縁材4の下部に、それぞれ他の天井材取付け具2の各端部を固定し、両野縁材4,4間を跨ぐ状態で配置する。
そして、上記他の天井材取付け具2の溝状部26に、上記天井材6の後端部を嵌めて収納し、この天井材取付け具2の左右の端部を、それぞれ左右の各天井材取付け具2が取り付けられた野縁材4の底板部50に止着具12で止着する。
上記と同様に、天井の各野縁材4の下部に取り付けた天井材取付け具2同士間に、天井材6を敷設する。
【0066】
次に、天井の壁際には、図8に示すように際用天井材取付け具60を用いる。この際用天井材取付け具60は、断面コ字状(溝状部を形成)の受け部62及びこの上部から延設され先が上方に屈曲した固定部64を有する長尺材である。
この際用天井材取付け具60は、天井材6の長尺方向の先端部56が当たる壁際に配置された状態を示している。
【0067】
この際用天井材取付け具60は、壁面66に沿って水平に且つこれと直角に交わる天井材取付け具2と同一高さに配置し、止着具12を用いてその固定部64を壁面66に固定する。
そして、上記際用天井材取付け具60を、天井材6の先端部56が当接する壁面66に予め取付けておき、天井材6の先端部56をこの際用天井材取付け具60の受け部62に嵌めて保持させる。
【0068】
図9は、天井材6の幅方向側の壁際に配置された際用天井材取付け具60を示している。
この際用天井材取付け具60は、隣り合う天井材取付け具2とは平行かつ同一高さに配置し、止着具12を用いて固定部64を壁面66に固定する。
天井材6は、その先端部56の一方の縁部7を天井材取付け具2の溝状部26に差し込み、また他方の縁部7を際用天井材取付け具60の受け部62に差し込んで、奥方向に押し込んで配置し、天井の際に敷設する。
【0069】
なお、平坦な形状の天井材6についても、これを天井に取り付ける方法が採用できる。この方法は、天井材6が平坦で可撓性がない場合、つまりロール状に巻いて管理できない場合等に用いる。この天井材6の取り付けに際しては、先ず、隣り合う野縁材4に天井材取付け具2の係合部材8のみを取り付けておき、両係合部材8間に隙間のない状態で配置できる大きさに天井材6のサイズを整えておく。
【0070】
そして、上記天井材6を、隣り合う各係合部材8の板部14の下部(係合片16の天井材6を取り付ける側)に配置し、さらに下から係止部材10の係止片20を係合部材8の係合片16,16同士の間に差し込み両者を係止させる。これにより、係合部材8と係止部材10間の溝状部26に天井材6の縁部7が嵌められ、係止部材10の板部18で天井材6を支持する。
この方法は、先に、野縁材4に取り付けた係合部材8の下部に天井材6を配置し、後からこの係合部材8に係止部材10を係止させ、天井材6を支持する形態である。
【0071】
また、上記とは逆に、隣り合う野縁材4に係止部材10を取り付けた形態を採用する場合であっても、基本形態は上記と同様であり、係止部材10の下部に天井材6を配置し、下から係合部材8を係止させ、これで天井材6を支持する。
【0072】
従って、上記実施の形態によれば、天井材の取り付け構造が簡単であり、しかも作業が容易かつ効果的に行えて施工性に優れ、また部品点数も少なく経済性にも優れる。
【符号の説明】
【0073】
2 天井材取付け具
4 天井下地材(野縁材)
6 天井材
7 縁部
8 係合部材
10 係止部材
12 止着具
14、18 板部
15、19 張出し部位
16 係合片
20 係止片
21 スリット部
22 凹凸部
24 凸凹部
26 溝状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10