(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】測量機の通信管理システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230810BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230810BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
H04Q9/00 311J
H04M11/00 301
G01C15/00 101
(21)【出願番号】P 2019091920
(22)【出願日】2019-05-15
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【氏名又は名称】川野 由希
(72)【発明者】
【氏名】菊池 武志
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-144681(JP,A)
【文献】特開2019-041209(JP,A)
【文献】特開2007-170978(JP,A)
【文献】特表2013-512490(JP,A)
【文献】特開2006-038581(JP,A)
【文献】特開2004-310439(JP,A)
【文献】特開2019-009703(JP,A)
【文献】特開2019-007903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H04M 11/00
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバと、
通信ネットワークを介し
て前記管理サーバと通信可能に構成され、端末制御部および外部インタフェイスを備える端末と、
測定対象物を測量する測量部、該測量部を制御する制御部および外部インタフェイスを備える測量機と、を備え、
前記測量機と前記端末がそれぞれの外部インタフェイスを介して接続された時に、
前記端末制御部は、前記制御部に予め定められた
データを前記端末に出力させるための第1の動作実行プログラムを前記測量機にインストールして実行させるとともに、前記第1の動作実行プログラムに係る動作の実行に基づく前記測量機の前記端末を介する前記管理サーバとの前回のやり取りから一定時間経過した時に、前記測量機の機能を停止するための第2の動作実行プログラムを前記測量機にインストールして実行させ、
前記端末は、前記第1の動作実行プログラムの実行によって前記測量機から出力されたデータを、前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、受信した前記データに基づいて前記測量機を管理することを特徴とする測量機の通信管理システム。
【請求項2】
管理サーバと、
通信ネットワークを介し
て前記管理サーバと通信可能に構成され、端末制御部および外部インタフェイスを備える端末と、
測定対象物を測量する測量部、該測量部を制御する制御部および外部インタフェイスを備える測量機と、を備え、
前記測量機と前記端末がそれぞれの外部インタフェイスを介して接続された時に、
前記端末制御部
が予め定められたデータを前記測量機から読み出すための第1の動作実行プログラムを実行するとともに、前記第1の動作実行プログラムに係る動作の実行に基づく前記測量機の前記端末を介する前記管理サーバとの前回のやり取りから一定時間経過した時に前記測量機の機能を停止するための第2の動作実行プログラムを前記測量機にインストールして実行させ、
前記端末は、前記第1の動作実行プログラムの実行によって前記測量機から取得したデータを、前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、受信した前記データに基づいて、前記測量機を管理することを特徴とする測量機の通信管理システム。
【請求項3】
管理サーバと、
通信ネットワークを介して前記管理サーバと通信可能に構成され、かつ外部インタフェイスを備える端末と、
測定対象物を測量する測量部、該測量部を制御する制御部、および外部インタフェイスを備える測量機と、
アダプタ制御部、アダプタ入力部、およびアダプタ出力部を備え、前記測量機および前記端末それぞれの前記外部インタフェイスを介して前記測量機と前記端末とを通信可能に接続するための接続アダプタとを備え、
前記測量機と前記端末とが前記接続アダプタを介して接続された時に、
前記アダプタ
制御部は、前記測量機に予め定められたデータを前記端末に出力させるための第1の動作実行プログラムを前記測量機にインストールして実行させるとともに、前記第1の動作実行プログラムに係る動作の実行に基づく前記測量機の前記端末を介する前記管理サーバとの前回のやり取りから一定時間経過した時に前記測量機の機能を停止するための第2の動作実行プログラムを前記測量機にインストールして実行させ、
前記端末は、前記
第1の動作実行プログラム
の実行により
前記測量機より取得し
たデータを、前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、受信した前記データに基づいて、前記測量機を管理することを特徴とする測量機の通信管理システム。
【請求項4】
前記測量機からのデータは、測量機の固有情報に関連付けられて前記管理サーバに送信され、
前記管理サーバは、前記固有情報と測量機の管理番号を紐付けて、
前記測量機からの前記データを管理することを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載の測量機の通信管理システム。
【請求項5】
前記測量機および前記端末の
前記外部インタフェイスは、USBまたはBluetooth(登録商標)であることを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の測量機の通信管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量機の通信管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トータルステーション、トランシット、電子レベル等の測量機と、管理サーバと、遠隔端末とを通信ネットワークを介して通信可能に構成し、管理サーバが、測量機から種々のデータを取得して、取得したデータを管理サーバに蓄積したり、取得したデータに基づいて、管理サーバが判断を行い、その判断結果に基づいて、測量機の機能を停止したり、測量機の管理者に注意換気したりする測量機の通信管理システムが提案されている(特許文献1~3参照)。
【0003】
一例として、特許文献1には、GPS装置(GNSS装置)を備えるトータルステーションと、トータルステーションと通信ネットワークを介して通信可能な管理サーバと、前記管理サーバと通信可能な遠隔端末とを備える測量機の通信管理システムが開示されている。該通信管理システムでは、遠隔端末から測量機を使用可能な範囲を設定し、管理サーバが、GPS装置により取得される測量機の位置情報に基づいて、当該使用管理範囲から逸脱した場合に、測量機の機能をロックしたり、管理者にメールを送信したりすることにより、測量機の不正使用を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-009703号公報
【文献】特開2019-007903号公報
【文献】特開2019-007904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記通信管理システムは、管理サーバとの通信ネットワークを介する通信機能を有する最新鋭の機種でのみ利用可能であり、このような機能を備えない旧来の機種を使用する場合には、上記通信管理システムを用いたサービスの提供を受けることができないという問題があった。
【0006】
現在使用されている測量機の多くには、測定データを出力するために、USB(Universal・Serial・Bus)等の外部インタフェイスが備えられている。このため、このような外部インタフェイスを介する、測量機の通信管理システムの利用が求められていた。
【0007】
本発明は、係る事情を鑑みてなされたものであり、測量機が通信ネットワークを介する管理サーバとの間の通信機能を備えなくても、通信ネットワークを介した管理サーバによる管理を可能とする測量機の通信管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様に係る測量機の通信管理システムは、管理サーバと、通信ネットワークを介して、前記管理サーバと通信可能に構成され、端末制御部および外部インタフェイスを備える端末と、測定対象物を測量する測量部、該測量部を制御する制御部および外部インタフェイスを備える測量機と、を備え、前記測量機と前記端末がそれぞれの外部インタフェイスを介して接続された時に、前記端末制御部は、前記制御部に予め定められた動作を実行させるための動作実行プログラムを前記測量機にインストールさせ、前記動作実行プログラムは、予め定められたデータを前記端末に出力するための第1の動作実行プログラムを含み、前記端末は、前記第1の動作実行プログラムの実行によって前記測量機から出力されたデータを、前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、受信した前記データに基づいて前記測量機を管理する。
【0009】
また、本発明の別の態様に係る測量機の通信管理システムは、管理サーバと、通信ネットワークを介して、前記管理サーバと通信可能に構成され、端末制御部および外部インタフェイスを備える端末と、測定対象物を測量する測量部、該測量部を制御する制御部および外部インタフェイスを備える測量機と、を備え、前記測量機と前記端末がそれぞれの外部インタフェイスを介して接続された時に、前記端末制御部は、予め定められた動作を実行するための動作実行プログラムを実行し、前記動作実行プログラムは、予め定められたデータを前記測量機から読み出すための第1の動作実行プログラムを含み、前記端末は、前記第1の動作実行プログラムの実行によって前記測量機から取得したデータを、前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、受信した前記データに基づいて、前記測量機を管理する。
【0010】
また、本発明の別の態様に係る測量機の通信管理システムは、管理サーバと、通信ネットワークを介して、前記管理サーバと通信可能に構成され、かつ外部インタフェイスを備える端末と、測定対象物を測量する測量部、該測量部を制御する制御部、および外部インタフェイスを備える測量機と、アダプタ制御部、アダプタ入力部、およびアダプタ出力部を備え、前記外部インタフェイスを介して前記測量機と前記端末とを通信可能に接続するための接続アダプタとを備え、前記測量機と前記端末とが前記接続アダプタを介して接続された時に、前記接続アダプタは、前記制御部に予め定められた動作を実行するための第1の動作実行プログラムを、前記測量機にインストールさせ、または前記予め定められた動作を実行するための第1の動作実行プログラムを実行し、前記端末は、前記プログラムのいずれかの実行により取得した前記データを、前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、受信した前記データに基づいて、前記測量機を管理する。
【0011】
上記各態様において、前記動作実行プログラムが、前記測量機の前記端末を介する管理サーバとの前回やり取りから一定時間経過した時に、前記測量機の機能を停止するための第2の動作実行プログラムを含むことも好ましい。
【0012】
上記各態様において、前記測量機からのデータは、測量機の固有情報に関連付けられて前記管理サーバに送信され、前記管理サーバは、前記固有情報と測量機の管理番号を紐付けて前記データを管理することも好ましい。
【0013】
上記各態様において、前記測量機および前記端末の外部インタフェイスは、USBまたはBluetooth(登録商標)であることも好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記の態様に係る測量機の通信管理システムによれば、測量機が通信ネットワークを介する管理サーバとの間の通信機能を備えなくても、通信ネットワークを介した管理サーバによる管理を可能とする測量機の通信管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る通信管理システムの全体構成を示す図である。
【
図2】同形態に係る測量機の構成ブロック図である。
【
図3】同形態に係る第1の遠隔端末の構成ブロック図である。
【
図4】同形態に係る第2の遠隔端末の構成ブロック図である。
【
図5】同形態に係る管理サーバの構成ブロック図である
【
図6】同形態に係る通信管理システムの設定時のフローチャートである。
【
図8】同形態に係る通信管理システムの、第1の遠隔端末と測量機を接続した時の処理の概略図である。
【
図9】同形態に係る通信管理システムの、測量機が第1の動作実行プログラムによる動作を実行した時の処理の概略図である。
【
図10】同形態に係る通信管理システムの、測量機が第2の動作実行プログラムによる動作を実行した時の処理のフローチャートである。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る通信管理システムの、第1の遠隔端末と測量機を接続した時の処理の概略図である。
【
図12】同形態に係る通信管理システムの、測量機が第1の動作実行プログラムによる動作を実行した時の処理の概略図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態に係る通信管理システムの全体構成を示す図である。
【
図14】同形態に係る接続アダプタの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に、以下の説明では、本発明を、特許文献1に記載した、測量機の位置情報を一定時間毎に管理サーバに送信し、管理サーバにより、測量機が、予め設定された範囲から逸脱するかどうかを判断し、その判断結果に基づいて測量機の機能をロック等するようにした通信管理システムに適用した例として説明するが、本発明は、測量機と、管理サーバを備える通信管理システムに広く適用しうるものである。また、各実施の形態において、同一の構成には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
(システムの全体構成)
図1は本発明の実施の形態に係る通信管理システム(以下、単に「システム」ともいう。)1の全体構成を示す図である。システム1は、測量機TS、第1の遠隔端末(以下、「第1の端末」という。)RT1,第2の遠隔端末(以下、「第2の端末」という。)RT2、および管理サーバMSを備える。
【0018】
管理サーバMS、第1の端末RT1および第2の端末RT2は、通信ネットワークNを介して互いに通信可能となっている。通信ネットワークNは、社内LAN等のローカル・エリア・ネットワークや、衛星通信ネットワークなど、任意の通信ネットワークを含んでよい。
【0019】
(測量機の構成)
図2は実施の形態に係る測量機TSの構成ブロック図である。本実施の形態において、測量機TSは、トータルステーション(電子式測距測角儀)である。
図2に示すように、測量機TSは、測量部11、GNSS装置12、回転駆動部13、出力部14a、外部インタフェイス14b、入力部14c、表示部16、制御部17および時計18を有する。各構成要素は、制御部17と接続されている。
【0020】
測量部11は、測量機TSの望遠鏡(図示せず)内に配置された発光素子、測距光学系、および受光素子を備えている。測量部11は、上記発光素子から上記測距光学系を介して測距光を出射し、ターゲットからの反射光を上記受光素子で受光して、ターゲットまでを測距する。また、測量部11は、上記望遠鏡の鉛直回転角および上記望遠鏡の筐体(図示せず)の水平回転角をロータリエンコーダで測定して測角する。
【0021】
GNSS装置12は、航法衛星から航法信号を受信し、測量機TSの位置情報(時刻・緯度・経度・高度)を取得する。回転駆動部13は、モータであり、上記望遠鏡を鉛直回転させるものと、上記筐体を水平回転させるものがある。
【0022】
出力部14a、外部インタフェイス14bおよび入力部14cは、通信ネットワークNを介さないデータの送受信を可能とする。出力部14aは、外部インタフェイス14bを介して、GNSS装置12により取得される位置情報および測量機TSの固有情報を出力する。ここで、測量機TSの固有情報とは、機種名(型番)、製造番号等を含む測量機TSの識別情報であり、製造時に測量機TSに対して固有に付与されたものである。
【0023】
入力部14cは、外部インタフェイス14bを介して、第1の端末RT1から送信された動作実行プログラムおよび応答信号を入力する。本形態において、外部インタフェイス14bは、USBポートである。
【0024】
操作部15は、タッチパネル、キーボード等を含み、ユーザからの入力操作を受け付ける。表示部16は、液晶ディスプレイ等であり、測量に関する各種情報を表示する。時計18は、測量機TSの現在時刻を計測する。
【0025】
制御部17は、少なくともCPUおよびメモリ(ROM,RAM等)を備える制御ユニットである。制御部17は、測量アプリケーションプログラムを実行し、アプリケーションに従った画面を表示部16に表示させる。制御部17は、測量部11および回転駆動部13を駆動して、ターゲットの自動視準、測距および測角を行い、測定点の測量データを取得する。
【0026】
制御部17は、接続ケーブル(USBケーブル)14dにより、外部インタフェイス14bを介して、第1の端末RT1と接続された時に、第1の端末RT1から、動作実行プログラムを受信して、動作実行プログラムを測量機TSにインストールする。制御部17は、インストールされた動作実行プログラムを実行する。動作実行プログラムの詳細については後述する。制御部17のメモリには、上記処理のための各種プログラムと、測量機TSに関する各種データが格納される。
【0027】
(第1の端末の構成)
図3は、第1の端末RT1の構成ブロック図である。第1の端末RT1は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレット等である。第1の端末RT1は、第1端末通信部31、第1端末制御部32、第1端末表示部33、第1端末記憶部34、第1端末出力部35a,端末外部インタフェイス35bおよび第1端末入力部35cを備える。
【0028】
第1端末通信部31は、通信ネットワークNを介して、後述する管理サーバMSのサーバ通信部51との間で情報の送受信が可能である。
【0029】
第1端末制御部32は、少なくともCPUおよびメモリ(ROM,RAM等)を備える制御ユニットである。第1端末制御部32は、端末外部インタフェイス35bを介して、第1の端末RT1と測量機TSの通信が確立された時に、測量機TSに所定の動作を実行させるための動作実行プログラムを測量機TSに送信する。
【0030】
第1端末表示部33は、例えば液晶ディスプレイであり、第1端末制御部32の制御により、種々の情報を表示する。第1端末記憶部34は、例えば、HDDであり、第1の端末RT1と測量機TSを接続した時に、測量機TSに送信する動作実行プログラムを格納する。
【0031】
第1端末出力部35a,端末外部インタフェイス35bおよび第1端末入力部35cは、通信ネットワークNを介さないデータの入出力を可能とする。端末外部インタフェイス35bは、USBポートである。測量機TSと第1の端末RT1は、接続ケーブル(USBケーブル)14dを用いて、それぞれの外部インタフェイス14b,35bを介して通信可能に構成されている。
【0032】
(第2の端末の構成)
図4は、第2の端末RT2の構成ブロック図である。第2の端末RT2も、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレット等である。第2の端末RT2は、第2端末通信部41、第2端末操作部42、第2端末表示部43、および第2端末制御部44を少なくとも有する。
【0033】
第2端末通信部41は、通信ネットワークNを介して、後述する管理サーバMSのサーバ通信部51と情報の送受信が可能である。
【0034】
第2端末操作部42は、例えばキーボード、マウス等であって、後述するように、第2端末操作部42により、管理サーバMSが測量機TSから取得したデータに対して行う動作の条件を、Webページ60を介して設定することができる。
【0035】
第2端末表示部43は、例えば液晶ディスプレイであり、第2端末制御部44の制御により、Webページ60を表示する。
【0036】
第2端末制御部44は、少なくともCPUおよびメモリ(ROM,RAM等)を備える制御ユニットである。第2端末制御部44は、測量機TSの使用可能範囲を、地図情報(緯度・経度)として設定する。また、設定された使用可能範囲への測量機TSの出入りに対する判定を設定する。また、判定の結果に対する動作を設定する。第2端末制御部44による設定の詳細は、後述する。
【0037】
なお、第1の端末RT1と第2の端末RT2は別個の遠隔端末でなくともよく、第1の端末RT1が第2の端末RT2の機能を発揮するように構成されていてもよい。
【0038】
(管理サーバの構成)
図5は実施の形態に係る管理サーバMSの構成ブロック図である。管理サーバMSは、サーバ通信部51、サーバ制御部52、およびサーバ記憶部53を少なくとも有する。
【0039】
サーバ通信部51は、通信ネットワークNを介して、第1端末通信部31、第2端末通信部41のそれぞれと情報の送受信が可能である。
【0040】
サーバ記憶部53は、データベース54を備える。データベース54は、測量機の管理番号と固有情報との対応テーブルを格納している、また、データベース54は、第2の端末RTで設定した測量機TSに関する管理サーバMSの処理の設定と、第1の端末RT1を介して測量機TSから受信した情報が、測量機TSの管理番号と関連付けて保存される。
【0041】
サーバ制御部52は、少なくともCPUおよびメモリ(ROM,RAM等)を備える制御ユニットである。サーバ制御部52は、設定条件読出し部55、判定実行部56、および動作実行部57を備える。設定条件読出し部55は、第2の端末RT2で設定され、データベース54に保存された、予め定められた条件を読み出す。具体的には、測量機TSの使用可能範囲の条件を読み出す。
【0042】
判定実行部56は、測量機TSの使用可能範囲の地図座標(緯度・経度)と測量機TSのGPS座標(緯度・経度)を比較して、管理サーバMSから送信されデータベース54に保存された判定基準に基づき、使用可能範囲への測量機TSの出入りを判定し、動作実行部57は、データベース54に保存された動作を読出し、判定実行部56の判定の結果に基づき、設定された動作を実行する。その具体的な内容については後述する。
【0043】
(通信管理システムの処理)
次に、測量機TS、第1の端末RT1、第2の端末RT2、および管理サーバMSの処理について、
図6~10を参照しながら説明する。
【0044】
(設定時の動作)
図6は、第2端末制御部44による、システム1の設定時の処理のフローチャートである。
まず、ステップS101で、測量機TSの管理者は、第2の端末RT2から、測量機メーカが提供する専用のWebページ60にログインする。
【0045】
次に、ステップS102で、測量機TSの管理者が、第2端末表示部43に表示される、予め登録された複数の測量機のリストから、管理対象の測量機TSを選択する。測量機TSには、Webページ60で管理するための管理番号が付与されている。
【0046】
次に、ステップS103では、前記第2端末制御部44は、図示しない第2端末記憶部に記憶された、またはインターネットから取得した地図を読み出し、Webページ60に表示する。Webページ60には、地図上に重ねたレイヤーにより、測量機TSが使用可能範囲を指定するインタフェイスが実装されている。表示された地図は、位置や縮尺を変更することもできる。管理者は、Webページ60の地図上で、測量機TSの使用可能範囲を設定する。
【0047】
図7は、設定時のWebページ60の一例であり、測量機TSの使用可能範囲の設定例である。測量機TSの使用可能範囲の設定は、
図7に例示するようなマウスクリックで描かれた多角形や、フリーハンドで描かれた図形などによって、任意の範囲に対して行える。
【0048】
次に、ステップS104では、第2端末制御部44が、Webページ60に、ステップS103で設定した使用可能範囲に対する判定の設定欄を表示する。該設定欄は、例えば、プルダウン形式やチェックボックスで、複数の選択肢から選択可能に表示される。選択肢としては、例えば「範囲を出た場合」、「範囲に入った場合」、「範囲内から範囲外に出た場合および範囲外から範囲内に戻った場合」などが表示される。選択肢は、管理者が任意に追加できるように構成されていてもよい。管理者は、自身の管理の意向に従って判定(判断基準)を設定する。
【0049】
次に、ステップS105では、第2端末制御部44が、Webページ60に、ステップS104で設定した判定に対する動作の設定欄を表示する。動作の設定欄は、例えば、プルダウン形式やチェックボックスで、複数の選択肢から選択可能に表示される。選択肢としては、例えば「登録されたメールアドレスに通知」「Webページ上で通知」「測量機に警告を表示」「測量機をロック(機能停止)」などが表示される。選択肢は管理者が任意に追加できるように構成されてよい。管理者は、自身の管理の意向に従って動作を設定する。
【0050】
次に、ステップS106では、第2端末制御部44は、上記ステップS103~105で設定された、使用可能範囲、判定、および動作の情報を、第2端末通信部41を介して管理サーバMSに送信する。この時、管理サーバMSは、これらの設定をデータベース54に保存する。第2端末制御部44は、管理サーバMSから受信正常の応答を受けると、設定プログラムを終了する。
【0051】
(接続時の動作)
図8は、第1の端末RT1と測量機TSを接続した時の、システム1の処理の概要図である。
【0052】
測量機TSを第1の端末RT1と、接続ケーブルを用いてそれぞれの外部インタフェイス14b,35を介して接続すると、処理が開始して、ステップS201で、第1の端末RT1が、測量機TSに接続確認信号を送信し、ステップS202で測量機TSが受信応答を行う。
【0053】
そして、第1の端末RT1と、測量機TSとの接続が確立すると、ステップS203で、第1の端末RT1は測量機TSから測量機TSの固有情報を読み出し、ステップS204で、該固有情報を取得する。
【0054】
次に、ステップS205で、第1の端末RT1の第1端末制御部32は、測量機TSに所定の動作を実行させるための動作実行プログラムを自己解凍ファイルの形式で送信する。動作実行プログラムは、測量機TSの電源がONになった時、一時間に一回、少なくとも一日に一回などの一定周期で、測量機TSが、自機の位置情報を第1の端末RT1に自動送信する動作を実行させるための第1の動作実行プログラムと、第1の端末RT1を介する、管理サーバMSとのデータのやり取りした時刻から、一定時間経過したかどうかを判断して、測量機TSの機能をロックするための第2の動作実行プログラムを含む。
【0055】
ステップS206で、測量機TSが、動作実行プログラムの受信応答を行うと、ステッ
プS207で、動作実行プログラムが測量機TSに、未インストールの場合、解凍プログラムが起動して、動作実行プログラムが測量機TSにインストールし、動作実行プログラムを実行する。一方、動作実行プログラムが、インストール済みの場合には、インストールは行われず、インストール済みの動作実行プログラムが実行される。
【0056】
一方、ステップS208では、第1の端末RT1が、S203で受信した測量機TSの固有情報を管理サーバMSに送信し、ステップS209で、管理サーバMSが受信応答を行う。
【0057】
管理サーバMSは、測量機TSの固有情報を受信すると、ステップS210で、サーバ制御部52が、データベース54に保存されている、測量機TSの固有情報と管理番号との対応テーブルから管理番号を検索し、測量機TSに付与された管理番号と、測量機TSの固有情報を紐付けて、処理を終了する。
【0058】
(第1の動作実行時の処理)
図9は、測量機TSが、第1の動作実行プログラムを実行した時の、システム1の動作の概略図である。測量機TSは、第1の動作実行プログラムにより、測量機TSの電源がONになった時、一時間に一回、少なくとも一日に一回などの一定周期で以下の動作を行う。
【0059】
処理が開始すると、ステップS301で、測量機TSは、動作実行プログラムによる動作により第1の端末RT1にデータを送信する。即ち、自機の位置情報と固有情報とを関連付けて、第1の端末RT1に送信する。
【0060】
第1の端末RT1は、ステップS302で、測量機TSから受信したデータを、管理サーバMSに送信する。
【0061】
次に、ステップS303では、管理サーバMSが、受信応答を行い、ステップS304で、第1の端末RT1が受信応答を測量機TSに戻す。管理サーバMSのサーバ制御部52は、受信したデータを測量機TSの管理番号と関連付けてデータベース53に保存する。
【0062】
次に、ステップS305で、設定条件読出し部55が測量機TSの管理番号と関連付けて保存された、使用可能範囲をデータベース53から読み出し、判定実行部56が使用可能範囲への測量機TSの出入りを判定する。判定の条件を満たさない場合(No)、管理サーバMSは、ステップS306で正常応答を行い、第1の端末RT1は、ステップS307でこれを測量機TSに戻して処理を終了する。
【0063】
一方、所定の条件を満たす場合、動作実行部57は、ステップS308で指定された動作を実行する。
【0064】
ステップS308において、指定された動作が、具体的には、「測量機に警告を表示」「測量機をロック(機能停止)」というような、測量機TSに実行させる動作である場合には、ステップS310において、動作実行部57が指定動作実行指令を第1の端末RT1に送信し、ステップS311で、第1の端末RT1が、測量機TSにこれを送信する。
【0065】
測量機TSは、指令を受信すると、ステップS312で受信応答を第1の端末RT1に送信し、ステップS313で、第1の端末RT1が、管理サーバMSにこれを送信する。次に、測量機TSは、ステップS314で、指定された動作を実行する。
【0066】
なお、データ送受信および受信応答の各ステップにおいて、測量機TSの制御部17は、メモリに時刻を記憶する。
【0067】
(第2の動作実行時の処理)
図10は、第2の動作実行プログラムを実行した時の、測量機TSの処理のフローチャートである。測量機TSは第2の動作実行プログラムの実行により、常時、
図10の処理を行う。
【0068】
処理を開始すると、ステップS401で、測量機TSの制御部17は、前回ステップS304で管理サーバMSからデータ受信応答を受信した時刻、前回ステップS307で管理サーバMSから正常応答を受信した時刻、および前回ステップS311で管理サーバMSから指定動作指令を受信した時刻(以下、これらの動作を総称して「前回のやり取り」という。)から選択される少なくとも1つの時刻と、現在の時刻とを比較して、前回のやり取りから一定時間が経過しているか否かを判断する。
【0069】
一定時間経過していない場合(No)、制御部17は、管理サーバMSとの通信が正常に行われていると判断し、処理をステップS402に移行して、第1の動作実行プログラムによる動作を続行し、ステップS401に戻る。
【0070】
一定時間経過している場合(Yes)、制御部17は、管理サーバMSとの通信が切断した状態で一定時間が経過し、測量機TSが正常に管理されない状態になっていると判断し、ステップS403で、表示部16に警告を表示するともに、ステップS404で機能をロックして処理を終了する。
【0071】
本実施の形態に係るシステム1の使用例を示す。測量機TSを所有する管理者が、測量機TSを現場付近から持ち出されたくないために、本システムを用いた場合の例を示す。
(1)管理者は、第2の端末RT2でWebページ60を開き、「使用可能範囲:現場中心より半径100m」「判定:範囲を出た場合」「動作:測量機TSに警告を表示かつ機能をロック、および、管理者にメール通知」を設定して保存し、Webページ60を閉じる。
(2)使用者は、第1の端末RT1と測量機TSとを接続ケーブルを用いて接続する。これにより、測量機TSが位置情報を1時間毎に第1の端末RT1に送信するための第1の動作実行プログラムと、測量機TSと管理サーバMSとのやり取りが一定時間行われなかった場合に測量機TSの機能をロックするための第2の動作実行プログラムが、測量機TSにインストールされる。
(3)測量機TSは、一時間毎に、第1の端末RT1を介して、管理サーバMSに自機の位置情報を送信する。管理サーバMSは、位置情報を受け取った時に、GNSS座標を基に、測量機TSの位置と(1)で指定された使用可能範囲とを比較する。管理サーバMSは、測量機TSが範囲内で使用されている場合は、第1の端末RT1を介して測量機TSに正常応答を送信し、使用者は測量機TSを通常使用可能である。
(4)一方、範囲外での使用を検出した場合は、管理サーバMSは、(1)で設定された動作に基づき、測量機TSに警告を表示して機能をロックするための指令を、第1の端末RT1を介して測量機TSに送信し、管理者に測量機TSが範囲外で使用されている旨をメール通知する。管理サーバMSからの指令を受信した測量機TSは、表示部16に警告を表示し、続いて、電源OFF以外の動作を停止(機能をロック)する。
(5)また、測量機TSと管理サーバMSとの前回のやり取りから一定時間経過した場合測量機TSは表示部16に警告を表示し、電源OFF以外の動作を停止(機能をロック)する。
【0072】
システム1では、第1の端末RT1を測量機TSに接続した時に、予め定められた動作として、例えば、測量機TSが所定のデータ(位置情報)を第1の端末RT1に出力する、という動作を実行するための第1の動作実行プログラムを測量機TSにインストールさせ、第1の端末RT1が測量機TSから入力されたデータを管理サーバMSに送信し、管理サーバMSから受信したデータを測量機TSに出力するように構成した。
【0073】
このため、測量機TS自身が、管理サーバMSが接続された通信ネットワークを介する通信のための通信部を備えていなくても、測量機TSは、第1の端末RT1を介して、管理サーバMSとデータのやり取りを行うことが可能となる。この結果、測量機TSを、通信部を備える最新鋭の測量機と同様に、通信ネットワークを介して、管理サーバにより、不正にまたは不適切な状態で使用されないように管理することが可能となる。
【0074】
また、システム1では、第1の端末RT1と測量機TSとを接続した時に、予め定められた動作として、測量機TSと管理サーバMSとのやり取りが一定期間なされなかった場合に測量機TSの機能を停止する、という動作を実行するための第2の動作実行プログラムを測量機TSにインストールさせ、第1の動作実行プログラムの実行に基づく、測量機TSと管理サーバMSとの第1の端末RT1を介する前回のやり取りから、一定時間が経過した時には、測量機TSの機能を停止するように構成した。
【0075】
このため、測量機TSと第1の端末RT1との接続が解除された場合でも、管理者の意図に反して、従前のように管理サーバMSの管理が及ばない状態で使用されるのを防止することができる。また、測量機TSのみを、第1の端末RT1から分離して、測量機TSを不正に、または不適切に使用しようとしても、測量機TSを使用することができないため、測量機の盗難や不正または不適切な状態で使用されるのを防止することができる。
【0076】
また、システム1では、測量機TSの固有情報を、予め登録され、Webページ60上で管理者が設定を行う際に用いられる管理番号と紐付け、測量機TSから第1の端末RT1に送信されるデータを、測量機TSの固有情報と関連付けて管理サーバに送信するように構成した。
【0077】
管理サーバMSが、通信ネットワークNを介して接続される全ての測量機に対して、同一の管理を行う場合には、測量機TSを特定する必要はない。しかし、上記のように、測量機TSの固有情報と、管理番号とを紐付けることにより、管理サーバMSは、特定の測量機TSを特定することができようになる。また、Webページ60上で、管理設定を行う管理者は、管理番号のみで測量機TSを認識することができるので、管理者の労力を低減することが可能となる。
【0078】
また、システム1では、測量機TSに動作実行プログラムをインストールする際に、すでにインストールされていない場合にのみインストールし、既にインストールされている場合には、動作実行プログラムを実行するように構成した。
【0079】
このため、一度、第1の端末RT1と測量機TSとを接続すれば、二度目以降に接続する際に、再度同じ動作実行プログラムをインストールする必要がなく、処理の時間を短縮することができる。また、二度目以降に接続した場合には、動作実行プログラムが実行されるので、一時的に、第1の端末RT1と、測量機TSとの接続を分離しても、測量機TSの機能が停止される一定時間の経過前に再接続すれば、継続的に管理サーバによる管理を実施することができる。
【0080】
なお、実施の形態の冒頭で述べたように、上記の例では、測量機の位置情報を一定時間毎に管理サーバに送信し、管理サーバにより、測量機が、予め設定された範囲から逸脱するかどうかを判断し、その判断結果に基づいて測量機の機能をロックする等するようにした通信管理システムに適用した一例である。例えば、本実施の形態を適用しうる通信管理システムとしては、以下のようなものも上げることができる。
【0081】
(a) 特許文献2に記載されたもののように、測量機に現在時刻を取得する時計を備え、第1の予め定められた動作として測量機が自機の稼働開始時刻と稼働終了時刻とを管理サーバに送信し、管理サーバが、受信した時刻データに基づいて予め定められた測量機の使用可能時間に関する判断を行い、その判断結果に基づいて、測量機の機能をロックする等するように管理する測量機の通信管理システム。
(b) 特許文献3に記載されたもののように、測量機に温度センサを備え、第1の予め定められた動作として測量機が自機の温度情報を一定時間毎に管理サーバに送信し、管理サーバが、受信した温度データに基づいて、測量機が予め設定された温度範囲から逸脱するかどうかを判断し、その判断結果に基づいて測量機の機能をロックする等するように管理する通信管理システム。
(c) 第1の予め定められた動作として測量機が測量データを測量毎または一定時間毎に管理サーバに送信し、管理サーバにより、測量データの分析または保存等をするように管理する通信管理システム。
(d) 第1の予め定められた動作として測量機が機械ログやエラー情報を、一定時間ごとまたはエラー時に管理サーバに送信し、管理サーバが受信したデータに基づいてメンテナンス管理を行う通信管理システム。
【0082】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態にかかる測量機の通信管理システム1Aは、
図11に示すように、管理サーバMS、第1の端末RT1A、第2の端末(図示せず)および測量機TSを備える。システム1Aは、システム1と同じ機械構成を備えるが、第1の端末RT1Aが、測量機TSと、端末外部インタフェイス35bを介して接続された時に、動作実行プログラムを測量機TSに送信して、測量機にインストールするのではなく、動作実行プログラムを第1の端末RT1A自身が実行する点で異なる。
【0083】
図11は、第1の端末RT1Aと、測量機TSを接続した時の、システム1Aの処理の概略図である。以下、第1の実施の形態の例と同様の通信管理を行う例を説明する。
【0084】
第1の端末RT1Aと、測量機TSが接続され、処理が開始すると、ステップS501~S504では、ステップS201~S204と同様に、接続の確認と固有情報の取得を行う。
【0085】
そして、ステップS505で、第1の端末RT1Aの第1端末制御部は、第1端末記憶部に記憶された動作実行プログラムを読み出して、実行する。
【0086】
動作実行プログラムは、通常の実行プログラムであり、測量機TSの電源がONになった時、一時間に一回、少なくとも一日に一回などの一定周期で、第1の端末RT1Aが、測量機の位置情報を参照するための第1の動作実行プログラムと、第1の端末RT1Aが管理サーバMSとのデータのやり取りした時刻から、一定時間経過したかどうかを判断して、測量機TSの機能をロックするための第2の動作実行プログラムを含む。動作実行プログラムの実行時の動作については後述する。
【0087】
次に、第1の端末RT1Aは、第1の端末RT1と同様に、ステップS506、ステップS507で、管理サーバMSに取得した測量機TSの固有情報を送信し、受領応答を受ける。その後ステップS508で、管理サーバMSが、ステップS210と同様に固有情報を管理番号と紐づける。
【0088】
図12は、第1の端末RT1Aが、第1の動作実行プログラムを実行する場合の処理の概略を示す図である。
【0089】
処理を開始すると、第1の端末RT1Aは、ステップS601で測量機TSを参照し、ステップS602で、測量機TSからデータ(位置情報)を取得する。
【0090】
次に、第1の端末RT1Aは、ステップS603で、取得したデータを管理サーバMSに送信し、管理サーバMSは、ステップS604で受信応答を行う。
その後の処理は、システム1の場合と同様であるので説明を省略する。
【0091】
システム1Aにおいては、動作実行プログラムを測量機TSにインストールするのではなく、第1の端末RT1Aが動作実行プログラムを実行することにより、測量機のデータを取得する。処理は、第2の動作実行プログラムについても同様である。
【0092】
このように、動作実行プログラムを測量機TSにインストールするのではなく、第1の遠隔端末RT1Aが実行するように構成しても、システム1と同様に、測量機TS自身が、管理サーバMSが接続された通信ネットワークを介する通信のための通信部を備えていなくても、測量機TSは、第1の端末RT1を介して、管理サーバMSとデータのやり取りを行うことが可能となる。この結果、測量機TSを、通信部を備える最新鋭の測量機と同様に、通信ネットワークを介して、管理サーバにより、不正にまたは不適切な状態で使用されないように管理することが可能となる。
【0093】
なお、システム1Aでは、システム1と異なり、測量機TSと第1の端末RT1Aとの接続が解除されてしまった場合には、管理サーバMSと第1の端末RT1Aとのやり取りが一定時間なかった場合でも、測量機TSの機能をロックすることができない。このため、第2の動作実行プログラムのみを、システム1と同様に、測量機TSが実行するプログラムとして、接続時に測量機TSにインストールするように構成してもよい。
【0094】
(第3の実施の形態)
図13は、第3の実施の形態に係る、測量機の管理システム1Bの全体構成を示す図である。システム1Bは、システム1と同じ機械構成を有する管理サーバMS、第1の端末RT1B、第2の端末RT2および測量機TSを備えるが、測量機TSおよび第1の端末RT1Bと、それぞれ外部インタフェイス14b、35bを介して、接続可能な接続アダプタ(以下、単に「アダプタ」という。)70をさらに備える点で異なる。また、第3の実施の形態に係る第1の端末RT1Bは、動作実行プログラムを備えていない。
【0095】
図14に示すように、アダプタ70は、アダプタ制御部71と、アダプタ出力部72aと、アダプタ外部インタフェイス72bと、アダプタ入力部72cとを備える。
【0096】
アダプタ制御部71は、CPUおよびメモリ(ROM,RAM等)を備える制御ユニットである。アダプタ制御部71のメモリには、第1の実施形態と同様に測量機TSに所定の動作を実行させるための動作実行プログラムが記憶されている。
【0097】
アダプタ出力部72a、アダプタ外部インタフェイス72bおよびアダプタ入力部72cは、通信ネットワークNを介さないデータの送受信を可能とする。アダプタ外部インタフェイス72bはUSBコネクタであり、入力側と出力側に1つずつ設けられている。アダプタ外部インタフェイス72bを、測量機TSの外部インタフェイス14b、第1の端末RT1の外部インタフェイス35bと接続することにより、測量機TSと第1の端末RT1との通信を可能としている。
【0098】
アダプタ制御部71は、アダプタ70を介して、測量機TSと、第1の端末とが接続された時に、システム1における、第1端末制御部32と同様に、動作実行プログラムを自己解凍形式で測量機TSに送信して、測量機TSに動作実行プログラムをインストールする。
【0099】
したがって、システム1Bにおける、アダプタ制御部71は、システム1における端末制御部32と同等の役割を果たす。
【0100】
このように、アダプタ制御部71を備え、測量機TSと第1の端末RT1Bとの接続を可能とするアダプタ70を更に備え、アダプタ70を介して、測量機TSと、第1の端末RT1Bとが接続された時に、動作実行プログラムを測量機TSにインストールするように構成したので、第1の端末RT1が特別なプログラムを備えず、測量機TSが通信ネットワークNを介する通信機能を備えない場合でも、管理サーバMSによる測量機TSの管理を行うことができる。
【0101】
なお、アダプタ制御部71が、測量機TSに所定の動作を実行させるための動作実行プログラムを備えるのではなく、システム1Aに係る第1の端末RT1Aのように、第1の端末RT1Bが所定の動作を実行するための動作実行プログラムを備え、測量機TSと第1の端末RTが接続されたときに、所定の動作を実行させるように構成してもよい。
【0102】
(変形例)
上記実施の形態では、測量機TSと、第1の端末RT1,RT1A,RT1Bとを接続する、外部インタフェイスとして、USBを用いた例を説明したが、外部インタフェイスは特に限定されず、Bluetooth(登録商標)を用いてもよく、有線または無線で接続される種々の外部インタフェイスを用いることができる。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施の形態について述べたが、上記の実施の形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1,1A,1B通信管理システム
11 測量部
14b 外部インタフェイス
17 制御部
32 第1端末制御部(端末制御部)
35b 端末外部インタフェイス
60 Webページ
MS 管理サーバ
N 通信ネットワーク
RT1,RT1A,RT1B 第1の遠隔端末(端末)
RT2 第2の遠隔端末
TS 測量機