(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】無人車両の制御システム及び無人車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/34 20060101AFI20230810BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20230810BHJP
【FI】
B60Q1/34 A
G05D1/02 H
G05D1/02 P
(21)【出願番号】P 2019103966
(22)【出願日】2019-06-03
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志賀 達也
(72)【発明者】
【氏名】山下 公一
(72)【発明者】
【氏名】粟森 克生
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-043549(JP,A)
【文献】特開2017-109705(JP,A)
【文献】特開2017-215820(JP,A)
【文献】特開2008-087711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/34
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場で稼働する無人ダンプトラックである無人車両に設けられるウインカーを制御するウインカーデータを含む走行コースデータを
前記無人車両の外部に設けられた管理装置から取得する走行コースデータ取得部と、
前記無人車両に設けられるウインカー操作装置の操作データを取得する操作データ取得部と、
前記無人車両が運転者の運転操作により動作する手動モードにおいて、ウインカー操作装置の操作データに基づいて前記ウインカーを制御し、前記無人車両が前記走行コースデータに基づいて動作する自動モードにおいて、前記操作データ取得部により前記操作データが取得されても、前記走行コースデータ取得部により取得された前記ウインカーデータに基づいて前記ウインカーを制御するウインカー制御部と、を備える、
無人車両の制御システム。
【請求項2】
前記走行コースデータに基づいて前記無人車両の走行を制御する走行制御部を備える、
請求項1に記載の無人車両の制御システム。
【請求項3】
作業現場で稼働する無人ダンプトラックである無人車両に設けられるウインカーを制御するウインカーデータを含む走行コースデータを
前記無人車両の外部に設けられた管理装置から取得することと、
前記無人車両に設けられるウインカー操作装置の操作データを取得することと、
前記無人車両が運転者の運転操作により動作する手動モードにおいて、ウインカー操作装置の操作データに基づいて前記ウインカーを制御し、前記無人車両が前記走行コースデータに基づいて動作する自動モードにおいて、前記操作データが取得されても、
前記管理装置から送信された前記ウインカーデータに基づいて前記ウインカーを制御することと、を含む、
無人車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人車両の制御システム及び無人車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱山のような広域の作業現場において無人車両が使用される場合がある。無人車両は、運転者の運転操作により稼働する手動モードと、運転者の運転操作によらずに無人で稼働する自動モードとのいずれか一方で稼動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業現場においては、無人車両のみならず有人車両も稼働する。無人車両にウインカーが設けられている場合、有人車両に搭乗している作業者は、無人車両の進行方向を認識することができる。一方、ウインカーが正しく作動しないと、有人車両に搭乗している作業者は、無人車両の進行方向を正しく認識することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、無人車両に設けられるウインカーを制御するウインカーデータを含む走行コースデータを取得する走行コースデータ取得部と、前記無人車両に設けられるウインカー操作装置の操作データを取得する操作データ取得部と、前記無人車両が前記走行コースデータに基づいて動作するときに、前記操作データ取得部により前記操作データが取得された場合、前記走行コースデータ取得部により取得された前記ウインカーデータに基づいて前記ウインカーを制御するウインカー制御部と、を備える、無人車両の制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、無人車両のウインカーを正しく作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る管制システム、無人車両、及び有人車両の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る作業現場の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る管理装置及び制御装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る無人車両の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、コンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0009】
[管制システム]
図1は、本実施形態に係る管制システム1、無人車両2、及び有人車両9の一例を模式的に示す図である。無人車両2とは、運転者による運転操作によらずに、無人で稼動することができる車両をいう。無人車両2は、作業現場において稼働する。
【0010】
管制システム1は、管理装置3と、通信システム4とを備える。管理装置3は、コンピュータシステムを含み、例えば鉱山の管制施設5に設置される。通信システム4は、管理装置3と無人車両2との間で通信を実施する。管理装置3に無線通信機6が接続される。通信システム4は、無線通信機6を含む。管理装置3と無人車両2とは、通信システム4を介して無線通信する。
【0011】
[無人車両]
無人車両2は、管理装置3からの走行コースデータに基づいて、作業現場において稼働する。無人車両2は、ウインカー20と、走行装置21と、走行装置21に支持される車両本体22と、車両本体22に支持されるダンプボディ23と、制御装置30とを備える。
【0012】
ウインカー20は、無人車両2の進行方向を表示する方向指示器である。ウインカー20は、車両本体22の前部及び後部のそれぞれに配置される。ウインカー20が作動することにより、無人車両2の進行方向が周囲に報知される。ウインカー20は、ウインカーランプを含む。ウインカー20の作動は、ウインカーランプの点灯又は点滅を含む。ウインカー20の作動停止は、ウインカーランプの消灯を含む。ウインカー20は、無人車両2が右折するときに点灯又は点滅する右ウインカーランプと、無人車両2が左折するときに点灯又は点滅する左ウインカーランプとを含む。右ウインカーランプは、車両本体22の右部に配置される。左ウインカーランプは、車両本体22の左部に配置される。また、ウインカー20は、右ウインカーランプと左ウインカーランプとが同時に点灯又は点滅するハザード点灯することができる。
【0013】
走行装置21は、走行装置21を駆動する駆動装置24と、走行装置21を制動するブレーキ装置25と、走行方向を調整する操舵装置26と、車輪27とを有する。
【0014】
車輪27が回転することにより、無人車両2は自走する。車輪27は、前輪27Fと後輪27Rとを含む。車輪27にタイヤが装着される。
【0015】
駆動装置24は、無人車両2を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置24は、ディーゼルエンジンのような内燃機関を含む。なお、駆動装置24は、電動機を含んでもよい。駆動装置24で発生した動力が後輪27Rに伝達される。ブレーキ装置25は、無人車両2を減速又は停止させるための制動力を発生する。操舵装置26は、無人車両2の走行方向を調整可能である。無人車両2の走行方向は、車両本体22の前部の向きを含む。操舵装置26は、前輪27Fを操舵することによって、無人車両2の走行方向を調整する。
【0016】
制御装置30は、無人車両2に配置される。制御装置30は、無人車両2の外部に存在する管理装置3と通信可能である。制御装置30は、駆動装置24を作動するためのアクセル指令、ブレーキ装置25を作動するためのブレーキ指令、及び操舵装置26を作動するためのステアリング指令を出力する。駆動装置24は、制御装置30から出力されたアクセル指令に基づいて、無人車両2を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置24の出力が調整されることにより、無人車両2の走行速度が調整される。ブレーキ装置25は、制御装置30から出力されたブレーキ指令に基づいて、無人車両2を減速させるための制動力を発生する。操舵装置26は、制御装置30から出力されたステアリング指令に基づいて、無人車両2を直進又は旋回させるために前輪27Fの向きを変えるための力を発生する。
【0017】
また、無人車両2は、無人車両2の位置を検出する位置検出装置28を備える。無人車両2の位置が、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む。全地球航法衛星システムは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される無人車両2の絶対位置を検出する。全地球航法衛星システムにより、グローバル座標系において規定される無人車両2の位置が検出される。グローバル座標系とは、地球に固定された座標系をいう。位置検出装置28は、GNSS受信機を含み、無人車両2の絶対位置(座標)を検出する。
【0018】
また、無人車両2は、無線通信機29を備える。通信システム4は、無線通信機29を含む。無線通信機29は、管理装置3と無線通信可能である。
【0019】
[有人車両]
有人車両9は、作業者の運転操作により稼働する。有人車両9は、作業者が搭乗する運転室を有する。また、有人車両9は、制御装置90と、無線通信機91とを備える。通信システム4は、無線通信機91を含む。無線通信機91は、管理装置3と無線通信可能である。
【0020】
[作業現場]
図2は、本実施形態に係る作業現場の一例を模式的に示す図である。本実施形態において、作業現場は鉱山又は採石場であり、無人車両2は作業現場を走行して積荷を運搬するダンプトラックである。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。無人車両2に運搬される積荷として、鉱山又は採石場において掘削された鉱石又は土砂が例示される。
【0021】
無人車両2は、鉱山の作業場PA及び作業場PAに通じる走行路HLの少なくとも一部を走行する。作業場PAは、積込場LPA及び排土場DPAの少なくとも一方を含む。走行路HLは、交差点ISを含む。
【0022】
積込場LPAとは、無人車両2に積荷を積載する積込作業が実施されるエリアをいう。積込場LPAにおいて、油圧ショベルのような積込機7が稼働する。排土場DPAとは、無人車両2から積荷が排出される排出作業が実施されるエリアをいう。排土場DPAには、例えば破砕機8が設けられる。
【0023】
走行路HL及び作業場PAに目標走行経路Crが設定される。無人車両2は、目標走行経路Crに従って、走行路HLを走行する。目標走行経路Crは、目標走行経路Cr1と、目標走行経路Cr2とを含む。例えば、無人車両2は、目標走行経路Cr1に従って排土場DPAから積込場LPAに走行し、目標走行経路Cr2に従って積込場LPAから排土場DPAに走行する。
【0024】
[管理装置及び制御装置]
図3は、本実施形態に係る管理装置3、制御装置30、及び制御装置90の一例を示す機能ブロック図である。制御装置30は、通信システム4を介して管理装置3と通信可能である。
【0025】
管理装置3は、通信部3Aと、走行コースデータ生成部3Bとを有する。
【0026】
通信部3Aは、通信システム4を介して制御装置30から送信されたデータを受信する。また、通信部3Aは、通信システム4を介して制御装置30にデータを送信する。
【0027】
走行コースデータ生成部3Bは、無人車両2の目標走行経路Crを含む走行コースデータを生成する。
図2に示したように、走行コースデータは、間隔をあけて設定された複数のポイントPIを含む。目標走行経路Crは、複数のポイントPIを結ぶラインによって規定される。複数のポイントPIのそれぞれに、無人車両2の目標走行速度及び目標走行方位が設定される。また、走行コースデータは、ウインカー20を制御するためのウインカーデータを含む。ウインカーデータは、複数のポイントPIのそれぞれに設定される。ウインカーデータは、無人車両2がポイントPIを通過するときにウインカー20の作動条件を示す。ウインカーデータは、右ウインカーランプの作動を開始させるための作動開始データ、左ウインカーランプの作動を開始させるための作動開始データ、右ウインカーランプの作動を停止させるための作動停止データ、及び左ウインカーランプの作動を停止させるための作動停止データを含む。走行コースデータ生成部3Bは、生成した走行コースデータを通信部3Aに出力する。通信部3Aは、走行コースデータを無人車両2の制御装置30に送信する。
【0028】
本実施形態において、無人車両2は、無人車両2の運転室に搭乗した運転者の運転操作により稼働する手動モードと、運転者の運転操作によらずに走行コースデータに基づいて無人で稼働する自動モードとのいずれか一方で稼動することができる。すなわち、無人車両2は、自動モードと手動モードとに切換えられる。
【0029】
制御装置30は、ウインカー操作装置31及び走行操作装置32のそれぞれと接続される。ウインカー操作装置31及び走行操作装置32のそれぞれは、無人車両2に設けられる。無人車両2には、手動モードにおいて運転者が搭乗する運転室が設けられる。ウインカー操作装置31及び走行操作装置32のそれぞれは、無人車両2の運転室に配置される。
【0030】
ウインカー操作装置31は、ウインカー20の作動及び作動停止のために操作される。無人車両2の運転室に搭乗した運転者又は作業者は、ウインカー操作装置31を操作することができる。ウインカー操作装置31は、ウインカー20の作動及び作動停止を実行可能なウインカーレバーを含む。また、ウインカー操作装置31は、ウインカー20をハザード点灯させるハザードスイッチを含む。手動モードにおいて、運転者又は作業者は、ウインカー操作装置31を操作して、ウインカー20を作動させることができる。
【0031】
走行操作装置32は、走行装置21の作動及び作動停止のために操作される。無人車両2の運転室に搭乗した運転者又は作業者は、走行操作装置32を操作することができる。走行操作装置32は、駆動装置24の出力を調停するためのアクセルペダル、ブレーキ装置25を作動させるためのブレーキペダル、及び操舵装置26を作動させるためのステアリングホイールを含む。手動モードにおいて、運転者又は作業者は、走行操作装置32を操作して、走行装置21を作動させることができる。
【0032】
制御装置30は、通信部30Aと、走行コースデータ取得部30Bと、操作データ取得部30Cと、ウインカー制御部30Dと、走行制御部30Eとを有する。
【0033】
通信部30Aは、通信システム4を介して管理装置3にデータを送信する。また、通信部30Aは、通信システム4を介して管理装置3から送信されたデータを受信する。
【0034】
走行コースデータ取得部30Bは、管理装置3から送信された、無人車両2に設けられているウインカー20を制御するウインカーデータを含む走行コースデータを取得する。
【0035】
操作データ取得部30Cは、無人車両2に設けられるウインカー操作装置31の操作データを取得する。また、操作データ取得部30Cは、無人車両2に設けられる走行操作装置32の操作データを取得する。
【0036】
ウインカー制御部30Dは、無人車両2のウインカー20を制御する。ウインカー制御部30Dは、ウインカー20の作動を制御する。ウインカー制御部30Dは、無人車両2が走行コースデータに基づいて動作する場合において、走行コースデータに含まれるウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。
【0037】
例えば、無人車両2が自動モードにおいて、ウインカー制御部30Dは、走行コースデータ取得部30Bにより取得された走行コースデータに含まれるウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。
【0038】
無人車両2が手動モードにおいて、ウインカー制御部30Dは、ウインカー操作装置31が操作させることにより生成された操作データに基づいて、ウインカー20を制御する。
【0039】
走行コースデータ取得部30Bがウインカーデータを取得し操作データ取得部30Cが操作データを取得した場合、すなわち、ウインカーデータ及び操作データの両方が同時に取得された場合、ウインカー制御部30Sは、ウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。
【0040】
例えば、無人車両2が自動モードにおいて操作データ取得部30Cがウインカー操作装置31の操作データを取得した場合、ウインカー制御部30Dは、ウインカー操作装置31の操作データによらずに、走行コースデータ取得部30Bが取得したウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。すなわち、自動モードにおいて、走行コースデータ取得部30Bがウインカーデータを取得し操作データ取得部30Cがウインカー操作装置31の操作データを取得した場合、ウインカー制御部30Dは、操作データによらずに、ウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。
【0041】
例えば、無人車両2が走行コースデータに基づいて動作する場合において、ウインカー操作装置31が操作されてしまう可能性がある。例えば、作業現場において無人車両2を初めて自動モードで走行させる場合、運転者が無人車両2に搭乗した状態で、無人車両2を自動モードで走行させる場合がある。運転者が無人車両2に搭乗した状態で、無人車両2を自動モードで走行させた場合、運転者がウインカー操作装置31に誤って触れてしまい、ウインカー操作装置31が動いてしまう可能性がある。また、例えば車両本体22の振動により、ウインカー操作装置31が動いてしまう可能性がある。このように、自動モードにおいて、ウインカー操作装置31が操作されてしまった場合においても、ウインカー制御部30Dは、管理装置3から送信されたウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。すなわち、無人車両2が走行コースデータに基づいて動作する場合において、操作データ取得部30Cがウインカー操作装置31の操作データを取得した場合、ウインカー制御部30Dは、ウインカー操作装置31の操作データによらずに、管理装置3から送信されたウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。
【0042】
なお、操作データ取得部30Cによりウインカー操作装置31の操作データが取得されている状態で、手動モードから自動モードに切換えられた場合、ウインカー制御部30Dは、ウインカー操作装置31の操作データよりも管理装置3から送信されたウインカーデータを優先させて、ウインカー20を制御してもよい。
【0043】
走行制御部30Eは、無人車両2の走行装置21を制御する。走行制御部30Eは、無人車両2の走行を制御する。無人車両2が手動モードにおいて、走行制御部30Eは、走行操作装置32が操作させることにより生成された操作データに基づいて、無人車両2の走行を制御する。無人車両2が自動モードにおいて、走行制御部30Eは、走行コースデータ取得部30Bにより取得された走行コースデータに基づいて、無人車両2の走行を制御する。
【0044】
[制御方法]
図4は、本実施形態に係る無人車両2の制御方法の一例を示すフローチャートである。例えば無人車両2のメンテナンス等において、無人車両2が手動モードに設定される(ステップSA1)。
【0045】
手動モードにおいてウインカー操作装置31が操作される場合がある。例えばメンテナンスのために無人車両2を駐機場に移動する場合、運転者は、ウインカー操作装置31及び走行操作装置32を操作しながら無人車両2を駐機場に移動する場合がある。操作データ取得部30Cは、ウインカー操作装置31の操作データを取得する(ステップSA2)。
【0046】
ウインカー制御部30Dは、操作データ取得部30Cが取得した操作データに基づいて、ウインカー20を制御する(ステップSA3)。
【0047】
無人車両2が自動モードに設定される(ステップSA4)。
【0048】
管理装置3において、走行コースデータ生成部3Bは、ウインカーデータを含む走行コースデータを生成する。通信部3Aは、生成された走行コースデータを、通信システム4を介して無人車両2の制御装置30に送信する。
【0049】
制御装置30において、走行コースデータ取得部30Bは、走行コースデータを取得する(ステップSA5)。
【0050】
自動モードに設定されている無人車両2は、走行コースデータに基づいて、稼働を開始する。走行制御部30Eは、走行コースデータによって規定される目標走行経路Crに従って無人車両2が走行するように、走行装置21を制御する。ウインカー制御部30Dは、走行コースデータに含まれるウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する(ステップSA6)。
【0051】
自動モードにおいて、ウインカー操作装置31が操作され、操作データ取得部30Cが操作データを取得しても、無人車両2が走行コースデータに基づいて動作している場合には、ウインカー制御部30Dは、ウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。すなわち、自動モードにおいて、ウインカー操作装置31の操作データ及びウインカーデータの両方が制御装置30に取得されている場合、ウインカー制御部30Dは、ウインカー操作装置31の操作データによらずに、ウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。
【0052】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、無人車両2が走行コースデータに基づいて動作する場合において、制御装置30がウインカー操作装置31の操作データ及び管理装置3からのウインカーデータの両方を取得した場合、管理装置3から送信されたウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。これにより、制御装置30は、無人車両2のウインカー20を正しく作動させることができる。
【0053】
上述のように、無人車両2が走行コースデータに基づいて動作する場合において、何らかの理由により、ウインカー操作装置31が操作されてしまう可能性がある。ウインカー操作装置31の操作データに基づいてウインカー20が制御されてしまうと、ウインカー20は正しく作動しない可能性がある。例えば、ウインカー操作装置31が右ウインカーランプを作動させるように操作されている状態で、無人車両2を左折させる走行コースデータを走行コースデータ取得部30Bが取得した場合、自動モードにおいてウインカー操作装置31の操作データが優先されてしまうと、無人車両2が左折しながら右ウインカーランプが作動してしまうこととなる。このように、自動モードにおいてウインカー20が正しく作動しないと、有人車両9に搭乗している作業者又は作業現場に存在する他の作業者は、無人車両2の進行方向を正しく認識することができない可能性がある。
【0054】
本実施形態においては、無人車両2が走行コースデータに基づいて動作する場合において、ウインカー操作装置31が操作されてしまっても、ウインカー20は、走行コースデータに含まれるウインカーデータに基づいて制御される。ウインカー20は、目標走行経路Crに適合したウインカーデータに基づいて制御されるので、目標走行経路Crに適合するように、正しく作動することができる。
【0055】
[コンピュータシステム]
図5は、コンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述の管理装置3、制御装置30、及び制御装置90のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の管理装置3の機能及び制御装置30の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0056】
コンピュータシステム1000は、上述の実施形態に従って、無人車両2に設けられるウインカー20を制御するウインカーデータを含む走行コースデータを取得することと、無人車両2に設けられるウインカー操作装置31の操作データを取得することと、無人車両2が走行コースデータに基づいて動作するときに、操作データが取得された場合、ウインカーデータに基づいてウインカー20を制御することと、を実行することができる。
【0057】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、無人車両2が自動モードと手動モードとに切換えられることとした。無人車両2は自動モードと手動モードとに切換えられなくてもよい。例えば、有人車両9を無人車両2として動作させる場合など、自動モードと手動モードとが存在しない無人車両2においても、無人車両2が走行コースデータに基づいて動作するときに、ウインカー操作装置31の操作データが取得された場合、ウインカー制御部30Dは、走行コースデータ取得部30Bにより取得されたウインカーデータに基づいて、ウインカー20を制御する。
【0058】
なお、上述の実施形態において、無人車両2の制御装置30の機能の少なくとも一部が管理装置3に設けられてもよいし、管理装置3の機能の少なくとも一部が制御装置30に設けられてもよい。
【0059】
なお、上述の実施形態においては、走行コースデータが管理装置3において生成され、無人車両2は管理装置3から送信された走行コースデータに従って走行することとした。無人車両2の制御装置30が走行コースデータを生成してもよい。すなわち、制御装置30が走行コースデータ生成部を有してもよい。また、管理装置3及び制御装置30のそれぞれが走行コースデータ生成部を有してもよい。
【0060】
なお、上述の実施形態においては、無人車両2が運搬車両の一種であるダンプトラックであることとした。無人車両2は、例えば油圧ショベル又はブルドーザのような作業機を備える作業機械でもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…管制システム、2…無人車両、3…管理装置、3A…通信部、3B…走行コースデータ生成部、4…通信システム、5…管制施設、6…無線通信機、7…積込機、8…破砕機、9…有人車両、20…ウインカー、21…走行装置、22…車両本体、23…ダンプボディ、24…駆動装置、25…ブレーキ装置、26…操舵装置、27…車輪、27F…前輪、27R…後輪、28…位置検出装置、29…無線通信機、30…制御装置、30A…通信部、30B…走行コースデータ取得部、30C…操作データ取得部、30D…ウインカー制御部、30E…走行制御部、31…ウインカー操作装置、32…走行操作装置、90…制御装置、91…無線通信機、Cr…目標走行経路、Cr1…目標走行経路、Cr2…目標走行経路、HL…走行路、PA…作業場、DPA…排土場、LPA…積込場。