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特許7329364生産計画修正装置、生産計画修正方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】生産計画修正装置、生産計画修正方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230810BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230810BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019105203
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2020198028
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】井本 考亮
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-157182(JP,A)
【文献】特開2014-006777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製品の事前立案されたバッチ処理の計画を示す第1のバッチ計画情報を取得する第1のバッチ計画情報取得部と、
前記第1のバッチ計画情報を製品単位に展開することにより、前記複数の製品の製品ごとの計画を示す製品計画情報を取得する製品計画情報取得部と、
前記製品計画情報に対して入力された、前記複数の製品の処理順序として操作者が希望する処理順序である希望処理順序を受け付ける希望処理順序受付部と、
前記希望処理順序に従って、同じバッチ処理で処理可能な製品を順に選択し、選択された当該製品を、当該バッチ処理を行う設備の容量の範囲内、かつ、当該バッチ処理の開始時刻を遅らせない範囲内で当該バッチ処理に含めることにより、前記製品計画情報を修正することにより、前記複数の製品の修正されたバッチ処理の計画を示す第2のバッチ計画情報を取得する第2のバッチ計画情報取得部と
を備えたことを特徴とする生産計画修正装置。
【請求項2】
前記第1のバッチ計画情報の評価指標である第1の評価指標と、前記第2のバッチ計画情報の評価指標である第2の評価指標とを、比較可能な形式で出力する評価指標出力部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の生産計画修正装置。
【請求項3】
前記第1の評価指標は、前記第1のバッチ計画情報の生産性及び納期遵守度合いの少なくとも何れか一方であり、
前記第2の評価指標は、前記第2のバッチ計画情報の生産性及び納期遵守度合いの少なくとも何れか一方であることを特徴とする請求項に記載の生産計画修正装置。
【請求項4】
前記バッチ処理は、前記複数の製品の各製品が、時間推移と温度推移とで表現される複数の熱処理パターンの何れかを持つ、バッチ焼鈍処理であることを特徴とする請求項1に記載の生産計画修正装置。
【請求項5】
コンピュータの第1のバッチ計画情報取得部が、複数の製品の事前立案されたバッチ処理の計画を示す第1のバッチ計画情報を取得するステップと、
コンピュータの製品計画情報取得部が、前記第1のバッチ計画情報を製品単位に展開することにより、前記複数の製品の製品ごとの計画を示す製品計画情報を取得するステップと、
コンピュータの希望処理順序受付部が、前記製品計画情報に対して入力された、前記複数の製品の処理順序として操作者が希望する処理順序である希望処理順序を受け付けるステップと、
コンピュータの第2のバッチ計画情報取得部が、前記第1のバッチ計画情報を前記希望処理順序に従って、同じバッチ処理で処理可能な製品を順に選択し、選択された当該製品を、当該バッチ処理を行う設備の容量の範囲内、かつ、当該バッチ処理の開始時刻を遅らせない範囲内で当該バッチ処理に含めることにより、前記製品計画情報を修正することにより、前記複数の製品の修正されたバッチ処理の計画を示す第2のバッチ計画情報を取得するステップと
を含むことを特徴とする生産計画修正方法。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の製品の事前立案されたバッチ処理の計画を示す第1のバッチ計画情報を取得する機能と、
前記第1のバッチ計画情報を製品単位に展開することにより、前記複数の製品の製品ごとの計画を示す製品計画情報を取得する機能と、
前記製品計画情報に対して入力された、前記複数の製品の処理順序として操作者が希望する処理順序である希望処理順序を受け付ける機能と、
前記第1のバッチ計画情報を前記希望処理順序に従って、同じバッチ処理で処理可能な製品を順に選択し、選択された当該製品を、当該バッチ処理を行う設備の容量の範囲内、かつ、当該バッチ処理の開始時刻を遅らせない範囲内で当該バッチ処理に含めることにより、前記製品計画情報を修正することにより、前記複数の製品の修正されたバッチ処理の計画を示す第2のバッチ計画情報を取得する機能と
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産計画修正装置、生産計画修正方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
設定パラメータ種別画面で「品目優先度設定」ボタンをクリックすると、品目優先度設定画面が表示され、品目優先度設定画面では品目名ごとに優先度を設定でき、設定パラメータ種別画面で「ロット優先度設定」ボタンをクリックすると、ロットの納期を設定するパラメータが表示され設定でき、設定パラメータ種別画面で「ディスパッチングルール設定」ボタンをクリックすると、ディスパッチングルール設定画面が表示され、最早納期優先や、最早完了予定日時優先などのルールが自動立案処理に適用され、全ての計画のパラメータ設定が完了したら、作業計画の自動立案を行う作業計画立案システムは、知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4647581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実際の操業現場では、予め指定した優先度では表現できない製品の処理順序に関する要望が発生することがあり、そのような場合は、操作者が製品の希望する処理順序を手入力することになる。しかしながら、このように操作者が製品の希望する処理順序を手入力した際に、特定の品目優先、特定のロット優先、納期優先、完了予定日時優先等のルールを適用して作業計画の立案を行うに過ぎない構成を採用したのでは、特に複数の製品の事前立案されたバッチ処理の計画を修正することができない。
【0005】
本発明の目的は、操作者が製品の希望する処理順序を手入力した際に、複数の製品の事前立案されたバッチ処理の計画を修正できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、複数の製品の事前立案されたバッチ処理の計画を示す第1のバッチ計画情報を取得する第1のバッチ計画情報取得部と、複数の製品の処理順序として操作者が希望する処理順序である希望処理順序を受け付ける希望処理順序受付部と、第1のバッチ計画情報を希望処理順序に基づいて修正することにより、複数の製品の修正されたバッチ処理の計画を示す第2のバッチ計画情報を取得する第2のバッチ計画情報取得部とを備えた生産計画修正装置を提供する。
【0007】
生産計画修正装置は、第1のバッチ計画情報を製品単位に展開することにより、複数の製品の製品ごとの計画を示す製品計画情報を取得する製品計画情報取得部を更に備え、希望処理順序受付部は、製品計画情報に対して入力された希望処理順序を受け付ける、ものであってよい。その場合、第2のバッチ計画情報取得部は、希望処理順序に従って、同じバッチ処理で処理可能な製品を順に選択し、選択された製品を、バッチ処理を行う設備の容量の範囲内、かつ、バッチ処理の開始時刻を遅らせない範囲内でバッチ処理に含めることにより、製品計画情報を修正する、ものであってよい。
【0008】
生産計画修正装置は、第1のバッチ計画情報の評価指標である第1の評価指標と、第2のバッチ計画情報の評価指標である第2の評価指標とを、比較可能な形式で出力する評価指標出力部を更に備えた、ものであってよい。その場合、第1の評価指標は、第1のバッチ計画情報の生産性及び納期遵守度合いの少なくとも何れか一方であり、第2の評価指標は、第2のバッチ計画情報の生産性及び納期遵守度合いの少なくとも何れか一方であってよい。
【0009】
バッチ処理は、複数の製品の各製品が、時間推移と温度推移とで表現される複数の熱処理パターンの何れかを持つ、バッチ焼鈍処理であってよい。
【0010】
また、本発明は、コンピュータの第1のバッチ計画情報取得部が、複数の製品の事前立案されたバッチ処理の計画を示す第1のバッチ計画情報を取得するステップと、コンピュータの希望処理順序受付部が、複数の製品の処理順序として操作者が希望する処理順序である希望処理順序を受け付けるステップと、コンピュータの第2のバッチ計画情報取得部が、第1のバッチ計画情報を希望処理順序に基づいて修正することにより、複数の製品の修正されたバッチ処理の計画を示す第2のバッチ計画情報を取得するステップとを含む生産計画修正方法も提供する。
【0011】
更に、本発明は、コンピュータに、複数の製品の事前立案されたバッチ処理の計画を示す第1のバッチ計画情報を取得する機能と、複数の製品の処理順序として操作者が希望する処理順序である希望処理順序を受け付ける機能と、第1のバッチ計画情報を希望処理順序に基づいて修正することにより、複数の製品の修正されたバッチ処理の計画を示す第2のバッチ計画情報を取得する機能とを実現させるためのプログラムも提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作者が製品の希望する処理順序を手入力した際に、複数の製品の事前立案されたバッチ処理の計画を修正できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態における生産計画修正装置の機能構成例を示したブロック図である。
図2】本発明の実施の形態で用いられる製品情報の一例を示した図である。
図3】本発明の実施の形態で用いられる初期計画情報の一例を示した図である。
図4】本発明の実施の形態で用いられる初期計画評価指標の一例を示した図である。
図5】本発明の実施の形態で想定される処理まとめ条件の一例を示した図である。
図6】本発明の実施の形態で生成される展開後計画情報の一例を示した図である。
図7】本発明の実施の形態で生成される修正後順序情報の一例を示した図である。
図8】本発明の実施の形態で生成される修正後計画情報の一例を示した図である。
図9】本発明の実施の形態で算出される修正後計画評価指標の一例を示した図である。
図10】本発明の実施の形態で表示される修正後計画画面の一例を示した図である。
図11】本発明の実施の形態における生産計画修正装置の動作例を示したフローチャートである。
図12】本発明の実施の形態における計画情報展開処理の流れを示したフローチャートである。
図13】本発明の実施の形態における計画情報修正処理の流れを示したフローチャートである。
図14】本発明の実施の形態における生産計画修正装置を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
[本実施の形態の背景及び概要]
複数の製品をまとめて一度に処理するバッチ処理設備においては、一度に単一製品を処理する設備に比べて、同一バッチにまとめられるかどうかや設備容量等の生産計画立案時に考慮すべき制約が多岐に渡る。これらの制約を考慮することに加え、顧客納期や次工程からの処理要求も考慮しながら生産計画を立案することは非常に難しい問題である。このような問題に対し、システムで自動的に生産計画を立案することが考えられる。
【0016】
しかしながら、システムで自動的に生産計画を立案した場合にも、工場の操業状況や顧客からの特急出荷依頼等に応じて製品の処理順序を変更する必要性が生じることはある。そのため、前述の制約を考慮しつつも操作者が製品の処理順序を手入力で変更できるようにすることが、柔軟な工場運営には必要である。
【0017】
ところで、操作者は、製品の処理順序を変更する際、製品単位で変更を検討するが、前述のバッチ処理設備の場合、複数の製品で1つのバッチを構成しているため、複数の製品での変更が必要となる。無理に製品単位で変更すると、設備容量に対し1つのバッチの処理量が減ることによる生産性の悪化や納期遅れが懸念される。しかしながら、バッチ単位では柔軟な変更ができず、操作者がバッチ処理設備の制約を考慮しつつ製品の処理順序を変更することは難しい。そのため、操作者の手入力による変更希望をシステムが汲み取り、その希望に沿う形で各種制約を満たした計画を立案するシステムの実現が望まれる。
【0018】
そこで、本実施の形態では、まず、初期計画情報をバッチ単位から製品単位に展開し、操作者が手入力で製品の処理順序を変更し、その変更後の処理順序を希望処理順序とする。次に、操作者が指定した希望処理順序に従い、同一バッチにまとめられるかどうかを制約としてバッチを再形成する。その後、再形成したバッチについて、設備能力に余裕がある場合や、処理を遅らせることがない場合に、1つのバッチにまとめる処理を行う。
【0019】
また、本実施の形態では、初期計画及び修正後の計画の生産性や納期遵守度合いを評価指標として比較可能とする処理も行う。
【0020】
[生産計画修正装置の構成]
図1は、本実施の形態における生産計画修正装置10の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、生産計画修正装置10は、情報取得部11と、計画情報展開部12と、希望処理順序取得部13と、計画情報修正部14と、評価指標算出部15とを備える。
【0021】
情報取得部11は、各処理部で用いられる各種情報を取得する。ここで、各種情報は、生産計画の対象製品を示す製品情報を含む。製品情報は、例えば、顧客からの製品の注文に応じてデータベースに蓄積された情報であってよい。また、各種情報は、複数の製品をまとめて一度に処理するバッチ処理の初期計画を示す初期計画情報も含む。初期計画情報は、例えば、生産計画修正装置10から独立した生産計画立案装置で事前に作成されたものでよい。更に、各種情報は、初期計画の評価指標である初期計画評価指標も含む。初期計画評価指標は、例えば、初期計画の生産性や納期遵守度合い等の初期計画評価値を含む。更にまた、各種情報は、バッチ処理に要する時間をバッチ処理のパターンごとに定義したバッチ処理時間情報や、バッチ処理設備に製品が到着する時刻である到着時刻等の前工程から得られた前工程情報も含む。本実施の形態では、複数の製品の事前立案されたバッチ処理の計画を示す第1のバッチ計画情報の一例として、初期計画情報を用いており、第1のバッチ計画情報を取得する第1のバッチ計画情報取得部の一例として、情報取得部11を設けている。
【0022】
計画情報展開部12は、情報取得部11が取得した初期計画情報を製品ごとに展開し並べ直すことにより、展開後計画情報を生成する。その際、情報取得部11が取得した製品情報や前工程情報を用いてもよい。そして、展開後計画情報を表示機構95(図14参照)に表示する。具体的には、バッチとしてまとめられている複数の製品を、順序を付けた形で表示する。本実施の形態では、複数の製品の製品ごとの計画を示す製品計画情報の一例として、展開後計画情報を用いており、第1のバッチ計画情報を製品単位に展開することにより製品計画情報を取得する製品計画情報取得部の一例として、計画情報展開部12を設けている。
【0023】
希望処理順序取得部13は、計画情報展開部12により表示機構95(図14参照)に表示された展開後計画情報を、操作者が入力デバイス96(図14参照)を用いて修正すると、その修正結果から希望処理順序を取得する。そして、製品に希望処理順序を対応付けた修正後順序情報を生成する。本実施の形態では、複数の製品の処理順序として操作者が希望する処理順序である希望処理順序を受け付ける希望処理順序受付部の一例として、また、製品計画情報に対して入力された希望処理順序を受け付ける希望処理順序受付部の一例として、希望処理順序取得部13を設けている。
【0024】
計画情報修正部14は、計画情報展開部12が生成した展開後計画情報と、希望処理順序取得部13が生成した修正後順序情報とに基づいて、初期計画を修正した修正後計画を示す修正後計画情報を生成する。その際、情報取得部11が取得したバッチ処理時間情報を用いてもよい。本実施の形態では、複数の製品の修正されたバッチ処理の計画を示す第2のバッチ計画情報の一例として、修正後計画情報を用いており、第1のバッチ計画情報を希望処理順序に基づいて修正することにより第2のバッチ計画情報を取得する第2のバッチ計画情報取得部の一例として、計画情報修正部14を設けている。
【0025】
評価指標算出部15は、計画情報修正部14により生成された修正後計画情報に基づいて、修正後計画の評価指標である修正後計画評価指標を算出する。修正後計画評価指標は、例えば、初期計画の生産性や納期遵守度合い等の修正後計画評価値を含む。そして、情報取得部11から取得した初期計画評価指標と、ここで算出した修正後計画評価指標とを、修正後計画画面に含めて、表示機構95(図14参照)に表示する。本実施の形態では、第1のバッチ計画情報の評価指標である第1の評価指標の一例として、初期計画評価指標を用いており、第2のバッチ計画情報の評価指標である第2の評価指標の一例として、修正後計画評価指標を用いており、第1の評価指標と第2の評価指標とを比較可能な形式で出力する評価指標出力部の一例として、評価指標算出部15を設けている。
【0026】
[具体例]
まず、情報取得部11が取得する各種情報のうち、製品情報、初期計画情報、初期計画評価指標について説明する。
【0027】
図2は、製品情報の一例を示した図である。図示するように、製品情報は、製品IDと、処理まとめ条件と、納期とを含む。
【0028】
製品IDは、製品を識別する情報である。図では、製品IDをa~xの文字で示しているが、製品を識別できれば、文字以外の情報を採用してもよい。尚、以下では、製品IDがa~xの製品を、それぞれ、製品a~製品xと称することもある。
【0029】
処理まとめ条件は、対応する製品IDで識別される製品を他の製品と同一バッチにまとめられるかどうかを判定するための条件である。ここでは、処理まとめ条件として2つの条件を想定し、それらをα、βで表している。この条件の具体例については後述する。
【0030】
納期は、対応する製品IDで識別される製品の納期である。
【0031】
図3は、初期計画情報の一例を示した図である。図示するように、初期計画情報は、バッチ番号と、処理まとめ条件と、処理開始時刻と、処理終了時刻と、製品ID(1)~製品ID(4)とを含む。
【0032】
バッチ番号は、バッチ処理に対して処理順に振られたバッチ処理を識別する番号である。尚、以下では、バッチ番号がnのバッチをバッチnと称することもある。
【0033】
処理まとめ条件は、対応するバッチ番号で識別されるバッチ処理にまとめられる製品を判別するための条件である。ここでは、上述したように、処理まとめ条件として2つの条件を想定し、それらをα、βで表している。この条件の具体例については後述する。
【0034】
処理開始時刻は、対応するバッチ番号で識別されるバッチ処理が開始する時刻であり、処理終了時刻は、対応するバッチ番号で識別されるバッチ処理が終了する時刻である。ここでは、対応する処理まとめ条件がαであるバッチについては、バッチ処理に要する時間を24時間とし、対応する処理まとめ条件がβであるバッチについては、バッチ処理に要する時間を28時間48分としている。
【0035】
製品ID(1)~製品ID(4)は、対応するバッチ番号で識別されるバッチ処理でまとめて処理される製品の製品IDである。ここで、本実施の形態で対象とする設備は一度に4つの製品を処理可能としているので、4つの製品IDが含まれている。
【0036】
図4は、初期計画評価指標の一例を示した図である。図示するように、初期計画評価指標は、初期計画評価値として、生産性と、納期遵守度合いの一例である納期遵守率とを含む。初期計画では、24本の製品が6バッチで処理されるので、生産性は4本/バッチとなっている。また、製品情報の製品ごとの納期と初期計画情報の製品ごとの処理終了時刻とを比較して、納期遅れは発生していないことが分かるので、納期遵守率は100%となっている。尚、ここでは、初期計画評価指標を、生産性及び納期遵守率の両方を含むものとしたが、生産性及び納期遵守率の少なくとも何れか一方を含むものとしてもよい。
【0037】
ここで、処理まとめ条件の具体例について説明する。
【0038】
図5は、処理まとめ条件の一例を示した図である。ここでは、処理まとめ条件として、バッチ焼鈍設備における温度パターン(熱処理パターン)が同一であるという条件を例にとっている。換言すれば、バッチ処理として、同じ温度パターンを持つ複数の製品をまとめて処理するバッチ焼鈍処理を例にとっている。温度パターンは昇温、均熱、降温の3つの過程で表現することができる。このうち、昇温及び降温の過程は、傾きと処理時間とで表現することができ、均熱の過程は、処理温度と均熱時間とで表現することができる。尚、図では、1つの温度パターンしか示していないが、これが例えば処理まとめ条件αに対応する。そして、図示しないが、もう1つ別の温度パターンがあり、それが処理まとめ条件βに対応する。
【0039】
次に、計画情報展開部12が初期計画情報を展開することにより生成する展開後計画情報について説明する。
【0040】
図6は、展開後計画情報の一例を示した図である。図示するように、展開後計画情報は、製品IDと、処理まとめ条件と、納期と、到着時刻と、処理開始時刻と、処理終了時刻とを含む。
【0041】
製品IDは、上述したように、製品を識別する情報である。この製品IDは、初期計画情報の製品ID(1)~製品ID(4)が行ごとに分けて並べ直されたものである。
【0042】
処理まとめ条件は、上述したように、対応する製品IDで識別される製品を他の製品と同一バッチにまとめられるかどうかを判定するための条件である。この処理まとめ条件は、初期計画情報に含まれていた処理まとめ条件がコピーされたものである。
【0043】
納期は、対応する製品IDで識別される製品の納期である。この納期は、製品情報に含まれていた納期がコピーされたものである。
【0044】
到着時刻は、対応する製品IDで識別される製品がバッチ処理設備に到着する時刻である。この到着時刻は、情報取得部11が取得した前工程情報に含まれていた到着時刻がコピーされたものである。
【0045】
処理開始時刻は、対応する製品IDで識別される製品を処理するバッチ処理が開始する時刻である。この処理開始時刻は、初期計画情報に含まれていた処理開始時刻がコピーされたものである。
【0046】
処理終了時刻は、対応する製品IDで識別される製品を処理するバッチ処理が終了する時刻である。この処理終了時刻は、初期計画情報に含まれていた処理終了時刻がコピーされたものである。
【0047】
尚、計画情報展開部12は、この展開後計画情報を、製品に上から順に処理順序を対応付けて、表示機構95(図14参照)に表示する。これに対して、操作者は、この処理順序を、入力デバイス96(図14参照)を用いて修正する。すると、希望処理順序取得部13が、この修正結果から製品の希望処理順序を取得する。
【0048】
次に、希望処理順序取得部13が取得する希望処理順序を含む修正後順序情報について説明する。
【0049】
図7は、修正後順序情報の一例を示した図である。図示するように、修正後順序情報は、製品IDと、処理まとめ条件と、納期と、希望処理順序とを含む。
【0050】
製品IDは、上述したように、製品を識別する情報である。この製品IDは、例えば、展開後計画情報に含まれていた製品IDがコピーされたものであってよい。
【0051】
処理まとめ条件は、上述したように、対応する製品IDで識別される製品を他の製品と同一バッチにまとめられるかどうかを判定するための条件である。この処理まとめ条件は、例えば、展開後計画情報に含まれていた処理まとめ条件がコピーされたものであってよい。
【0052】
納期は、上述したように、対応する製品IDで識別される製品の納期である。この納期は、例えば、展開後計画情報に含まれていた納期がコピーされたものであってよい。
【0053】
希望処理順序は、対応する製品IDで識別される製品について、操作者が希望する処理順序である。図6の展開後計画情報では、製品iの処理順序は9番目であったが、この修正後順序情報では、図に太枠で囲んで示すように、製品iの希望処理順序を5番目としている。例えば、顧客の要求等により製品iを早期に処理する必要が生じたため、製品iの処理順序を前に持ってくることが考えられる。
【0054】
次に、計画情報修正部14が展開後計画情報と修正後順序情報とに基づいて生成する修正後計画情報について説明する。
【0055】
図8は、修正後計画情報の一例を示した図である。図示するように、修正後計画情報は、バッチ番号と、処理まとめ条件と、処理開始時刻と、処理終了時刻と、製品ID(1)~(4)とを含む。
【0056】
バッチ番号は、上述したように、バッチ処理に対して処理順に振られたバッチ処理を識別する番号である。但し、修正後計画情報では初期計画情報における製品の処理順序が変更されているので、初期計画情報に含まれる製品ID(1)~製品ID(4)のセットがそのまま修正後計画情報に含まれていたとしても、初期計画情報と修正後計画情報とでそのセットに対するバッチ番号が同じになるとは限らない。
【0057】
処理まとめ条件は、上述したように、対応するバッチ番号で識別されるバッチ処理にまとめられる製品を判別するための条件である。
【0058】
処理開始時刻は、上述したように、対応するバッチ番号で識別されるバッチ処理が開始する時刻である。但し、この処理開始時刻は、必ずしも、初期計画情報に含まれていた処理開始時刻がコピーされたものではなく、修正後順序情報に含まれる製品ごとの希望処理順序に応じて新たに計算された時刻であることもある。
【0059】
処理終了時刻は、上述したように、対応するバッチ番号で識別されるバッチ処理が終了する時刻である。但し、この処理終了時刻は、必ずしも、初期計画情報に含まれていた処理終了時刻がコピーされたものではなく、修正後順序情報に含まれる製品ごとの希望処理順序に応じて新たに計算された時刻であることもある。
【0060】
製品ID(1)~製品ID(4)は、上述したように、対応するバッチ番号で識別されるバッチ処理でまとめて処理される製品の製品IDである。この製品ID(1)~製品ID(4)は、初期計画情報に含まれていた製品ID(1)~製品ID(4)が、修正後順序情報に含まれる製品ごとの希望処理順序に応じて変更されたものである。
【0061】
以下、計画情報修正部14が、図6の展開後計画情報を図7の修正後順序情報に含まれる希望処理順序に応じて変更し、図8の修正後計画情報を生成する際の概略動作を説明する。
【0062】
まず、計画情報修正部14は、製品aを基準にバッチを形成する。具体的には、修正後順序情報に含まれる製品のうち、製品aと同一バッチで処理できる製品を、希望処理順序が早いものから選択し、処理開始時刻にバッチ処理設備に届いているものを同一バッチで処理できる製品とする。図の例では、製品aを処理するバッチの処理開始時刻は2019年3月7日0時0分であり、展開後計画情報で製品a,b,c,dの到着時刻は全てこれよりも前になっているので、製品a,b,c,dにて1バッチが形成される。
【0063】
次に、計画情報修正部14は、製品iを基準にバッチを形成する。図3の初期計画情報では、製品iと同一バッチで処理できる製品は、製品i,j,k,lであった。しかしながら、製品iの処理順序の変更により、製品iを処理するバッチの処理開始時刻は2019年3月8日0時0分となり、この時点で製品k,lはバッチ処理設備に届いていないので、図に太枠で囲んで示すように、製品i,jのみでバッチが形成される。
【0064】
以降、計画情報修正部14は、同様の処理を繰り返し、全ての製品が計画された時点で処理を終了する。
【0065】
次に、評価指標算出部15が算出する修正後計画評価指標について説明する。
【0066】
図9は、修正後計画評価指標の一例を示した図である。図示するように、修正後計画評価指標は、修正後計画評価値として、生産性と、納期遵守度合いの一例である納期遵守率とを含む。修正後計画では、24本の製品が7バッチで処理されるので、生産性は3.4本/バッチとなっている。また、修正後順序情報の製品ごとの納期と修正後計画情報の製品ごとの処理終了時刻とを比較して、納期遅れは発生していないことが分かるので、納期遵守率は100%となっている。尚、ここでは、修正後計画評価指標を、生産性及び納期遵守率の両方を含むものとしたが、生産性及び納期遵守率の少なくとも何れか一方を含むものとしてもよい。
【0067】
次に、評価指標算出部15が表示機構95(図14参照)に表示する修正後計画画面について説明する。
【0068】
図10は、修正後計画画面50の一例を示した図である。図示するように、修正後計画画面50は、修正後計画情報領域51と、初期計画評価指標領域52と、修正後計画評価指標領域53と、修正確定ボタン54と、修正取消ボタン55とを含む。
【0069】
修正後計画情報領域51は、図8に示した修正後計画情報を含む。
【0070】
初期計画評価指標領域52は、図4に示した初期計画評価指標を含む。評価指標算出部15は、情報取得部11から初期計画評価指標を取得し、これを初期計画評価指標領域52に含める。
【0071】
修正後計画評価指標領域53は、図9に示した修正後計画評価指標を含む。評価指標算出部15は、計画情報修正部14から取得した修正後計画情報に基づいて修正後計画評価指標を算出し、これを修正後計画評価指標領域53に含める。
【0072】
この例では、初期計画評価指標領域52における生産性が4本/バッチであり、修正後計画評価指標領域53における生産性が3.4本/バッチであるので、評価指標のうち生産性が悪化する結果となっている。これらの評価指標を修正後計画画面50に含めることにより、操作者は、計画を確定させるか再修正するか初期計画に戻すかを客観的に判断することが可能となる。
【0073】
修正確定ボタン54は、初期計画情報の修正を確定させるためのボタンである。修正確定ボタン54を押した場合、初期計画情報は修正後計画情報により上書きされる。
【0074】
修正取消ボタン55は、初期計画情報の修正を取り消すためのボタンである。修正取消ボタン55を押した場合、修正後計画情報は削除される。
【0075】
[生産計画修正装置の動作]
図11は、本実施の形態における生産計画修正装置10の動作例を示したフローチャートである。
【0076】
図示するように、生産計画修正装置10では、まず、情報取得部11が、各処理部で用いられる各種情報を取得する(ステップ101)。ここで、各種情報は、上述したように、図2の製品情報、図3の初期計画情報、図4の初期計画評価指標、バッチ処理時間情報、前工程情報を含む。
【0077】
次に、計画情報展開部12が、ステップ101で取得された製品情報、初期計画情報、前工程情報を用いて、計画情報展開処理を行う(ステップ102)。これにより、計画情報展開部12は、図6の展開後計画情報を生成する。この計画情報展開処理の詳細については後述する。
【0078】
そして、計画情報展開部12は、ステップ102で生成された展開後計画情報を表示機構95(図14参照)に表示する(ステップ103)。具体的には、展開後計画情報に含まれる製品ごとに処理順序を対応付けて表示する。
【0079】
次に、ステップ103で表示機構95(図14参照)に表示された展開後計画情報において製品に対応付けられた処理順序を、操作者が入力デバイス96(図14参照)を用いて修正したとする。すると、希望処理順序取得部13が、その修正後の処理順序を希望処理順序として取得する(ステップ104)。これにより、希望処理順序取得部13は、図7の修正後順序情報を生成する。
【0080】
次いで、計画情報修正部14は、ステップ102で生成された展開後計画情報と、ステップ104で生成された修正後順序情報とを用いて、計画情報修正処理を行う(ステップ105)。これにより、計画情報修正部14は、図8の修正後計画情報を生成する。この計画情報修正処理の詳細については後述する。
【0081】
その後、評価指標算出部15は、ステップ105で生成された修正後計画情報に基づいて、図9の修正後計画評価指標を算出する(ステップ106)。
【0082】
そして、評価指標算出部15は、ステップ101で取得された初期計画評価指標と、ステップ106で算出された修正後計画評価指標とを比較可能な形式で含む修正後計画画面(図10参照)を、表示機構95(図14参照)に表示する(ステップ107)。
【0083】
次に、ステップ102の計画情報展開処理について詳細に説明する。
【0084】
図12は、計画情報展開処理の流れを示したフローチャートである。
【0085】
図示するように、計画情報展開部12は、まず、図11のステップ101で取得された初期計画情報から1つのバッチの行を読み込む(ステップ201)。
【0086】
次に、計画情報展開部12は、ステップ201で読み込んだバッチの行から処理まとめ条件、処理開始時刻、処理終了時刻を取得する(ステップ202)。
【0087】
次いで、計画情報展開部12は、ステップ201で読み込んだバッチの行に含まれる1つの製品に着目する(ステップ203)。具体的には、1つの製品IDを取得する。
【0088】
そして、計画情報展開部12は、図11のステップ101で取得した製品情報から、ステップ203で取得した製品IDで識別される製品の納期を取得する(ステップ204)。
【0089】
また、計画情報展開部12は、図11のステップ101で取得した前工程情報から、ステップ203で取得した製品IDで識別される製品の到着時刻を取得する(ステップ205)。
【0090】
これにより、計画情報展開部12は、ステップ203で取得した製品ID、ステップ202で取得した処理まとめ条件、ステップ204で取得した納期、ステップ205で取得した到着時刻、ステップ202で取得した処理開始時刻及び処理終了時刻を、展開後計画情報に書き出す(ステップ206)。
【0091】
その後、計画情報展開部12は、ステップ201で読み込んだバッチの行に他の製品があるかどうかを判定する(ステップ207)。具体的には、他の製品IDが含まれているかどうかを判定する。
【0092】
その結果、ステップ201で読み込んだバッチの行に他の製品があると判定すれば、計画情報展開部12は、処理をステップ203へ戻し、他の製品についてステップ203~ステップ206の処理を実行する。
【0093】
一方、ステップ201で読み込んだバッチの行に他の製品があると判定しなければ、計画情報展開部12は、初期計画情報に他のバッチの行があるかどうかを判定する(ステップ208)。そして、初期計画情報に他のバッチの行があると判定すれば、計画情報展開部12は、処理をステップ201へ戻し、他のバッチの行についてステップ201~ステップ207の処理を実行する。また、初期計画情報に他のバッチの行があると判定しなければ、計画情報展開部12は、処理を終了する。
【0094】
次に、ステップ105の計画情報修正処理について詳細に説明する。
【0095】
図13は、計画情報修正処理の流れを示したフローチャートである。
【0096】
図示するように、計画情報修正部14は、まず、図11のステップ104で生成された修正後順序情報から、最も早い希望処理順序を含む未選択の製品の行を読み込む(ステップ401)。
【0097】
これにより、計画情報修正部14は、そのような製品の行の読み込みが成功したかどうかを判定する(ステップ402)。つまり、修正後順序情報にそのような製品の行があったかどうかを判定する。
【0098】
その結果、そのような製品の行の読み込みが成功したと判定しなければ、バッチ処理の基準となる製品が存在しないので、計画情報修正部14は、処理を終了する。
【0099】
一方、そのような製品の行の読み込みが成功したと判定すれば、計画情報修正部14は、ステップ401で読み込んだ製品の行に含まれる製品を基準とするバッチ処理の処理開始時刻及び処理終了時刻を決定する(ステップ403)。具体的には、今回対象とするバッチ処理が1つ目のバッチ処理である場合は、図11のステップ102で生成された展開後計画情報から、ステップ401で読み込んだ製品の行に含まれる製品IDに対応する処理開始時刻及び処理終了時刻を取得し、これをバッチ処理の処理開始時刻及び処理終了時刻とすればよい。また、今回対象とするバッチ処理が2つ目以降のバッチ処理である場合は、1つ前のバッチ処理の処理終了時刻を今回対象とするバッチ処理の処理開始時刻とする。そして、図11のステップ101で取得したバッチ処理時間情報から、ステップ401で読み込んだ製品の行に含まれる処理まとめ条件に対応するバッチ処理時間を取得し、今回対象とするバッチ処理の処理開始時刻にこのバッチ処理時間を加算した時刻を今回対象とするバッチ処理の処理終了時刻とすればよい。
【0100】
次に、計画情報修正部14は、ステップ401で読み込んだ製品の行に含まれる製品の到着時刻が、ステップ403で算出したバッチ処理の処理開始時刻よりも前であるかどうかを判定する(ステップ404)。ここで、製品の到着時刻は、図11のステップ101で取得された前工程情報から取得すればよい。
【0101】
その結果、製品の到着時刻がバッチ処理の処理開始時刻よりも前であると判定されなければ、製品が到着しておらずバッチ処理を開始することができないので、計画情報修正部14は、処理をステップ401へ戻し、バッチ処理の基準となる別の製品を探す。
【0102】
一方、製品の到着時刻がバッチ処理の処理開始時刻よりも前であると判定されれば、製品が到着しておりバッチ処理を開始することができるので、計画情報修正部14は、その製品をバッチ処理の基準となる製品として選択する(ステップ405)。具体的には、その製品の製品IDを、バッチ処理の基準となる製品の製品IDとして保持する。
【0103】
次いで、計画情報修正部14は、図11のステップ104で生成された修正後順序情報から、ステップ405で選択した製品と処理まとめ条件が同じで最も早い希望処理順序を含む未選択の製品の行を読み込む(ステップ406)。
【0104】
これにより、計画情報修正部14は、そのような製品の行の読み込みが成功したかどうかを判定する(ステップ407)。つまり、修正後順序情報にそのような製品の行があったかどうかを判定する。
【0105】
その結果、そのような製品の行の読み込みが成功したと判定しなければ、同じバッチ処理で処理可能な製品が存在しないので、計画情報修正部14は、処理をステップ411へ進める。
【0106】
一方、そのような製品の行の読み込みが成功したと判定すれば、計画情報修正部14は、ステップ406で読み込んだ製品の行に含まれる製品の到着時刻が、ステップ403で算出したバッチ処理の処理開始時刻よりも前であるかどうかを判定する(ステップ408)。ここで、製品の到着時刻は、図11のステップ101で取得された前工程情報から取得すればよい。
【0107】
その結果、製品の到着時刻がバッチ処理の処理開始時刻よりも前であると判定されなければ、製品が到着しておらずバッチ処理を開始することができないので、計画情報修正部14は、処理をステップ406へ戻し、同じバッチ処理で処理可能な別の製品を探す。
【0108】
一方、製品の到着時刻がバッチ処理の処理開始時刻よりも前であると判定されれば、製品が到着しておりバッチ処理を開始することができるので、計画情報修正部14は、その製品を同じバッチ処理で処理可能な製品として選択する(ステップ409)。具体的には、その製品の製品IDを、同じバッチ処理で処理可能な製品の製品IDとして保持する。
【0109】
また、計画情報修正部14は、ステップ405及びステップ409で選択した製品の数の合計が、設備容量に達したかどうかを判定する(ステップ410)。
【0110】
その結果、製品の数の合計が設備容量に達したと判定されなければ、計画情報修正部14は、処理をステップ406へ戻し、同じバッチ処理で処理可能な別の製品を探す。
【0111】
一方、製品の数の合計が設備容量に達したと判定されれば、計画情報修正部14は、バッチ番号、処理まとめ条件、処理開始時刻、処理終了時刻、製品IDを、修正後計画情報に書き出す(ステップ411)。具体的には、今回対象とするバッチ処理が1つ目のバッチ処理である場合は、「1」をこの書き出すバッチ番号とし、今回対象とするバッチ処理が2つ目以降のバッチ処理である場合は、1つ前のバッチ処理のバッチ番号に「1」を加算した値をこの書き出すバッチ番号とすればよい。また、ステップ405で選択した製品の行に含まれる処理まとめ条件をこの書き出す処理まとめ条件とすればよい。更に、ステップ403で決定されたバッチ処理の処理開始時刻及び処理終了時刻をこの書き出す処理開始時刻及び処理終了時刻とすればよい。更にまた、ステップ405及びステップ409で選択した製品の製品IDをこの書き出す製品IDとすればよい。
【0112】
尚、ステップ411で製品IDを書き出した際に、図7の修正後順序情報のその製品IDを含む行に対して、その行が選択された旨を記憶しておき、ステップ401及びステップ406で製品の行が未選択かどうかを判定するのに用いるとよい。
【0113】
その後、計画情報修正部14は、処理をステップ401へ戻し、ステップ402で読み込みが成功したと判定しなくなるまで、ステップ401~411の処理を繰り返す。
【0114】
[生産計画修正装置のハードウェア構成]
本実施の形態における生産計画修正装置10は、例えば、汎用のコンピュータにより実現してよい。そこで、生産計画修正装置10がコンピュータ90により実現されるものとして、このコンピュータ90のハードウェア構成について説明する。
【0115】
図14は、コンピュータ90のハードウェア構成例を示す図である。
【0116】
図示するように、コンピュータ90は、例えば汎用のPC(Personal Computer)等により実現され、演算手段であるCPU91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーションソフトウェア等の各種プログラムを実行し、上述した各処理部を実現する。また、メインメモリ92は、各種プログラムやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD93は、各種プログラムに対する入力データ(例えば、注文情報)や各種プログラムからの出力データ(例えば、スケジュール情報)等を記憶する記憶領域である。
【0117】
また、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96と、記憶媒体に対してデータの読み書きを行うためのドライバ97とを備える。
【0118】
[本実施の形態の効果]
以上述べたように、本実施の形態では、初期計画情報をバッチ単位から製品単位に展開し、操作者が手入力した製品の希望する処理順序に従い、同一バッチにまとめられるかどうかを制約としてバッチを再形成し、その後、再形成したバッチについて、設備能力に余裕がある場合や、処理を遅らせることがない場合に、1つのバッチにまとめる処理を行うようにした。これにより、操作者が製品の希望する処理順序を手入力した際に、その処理順序に基づいて初期計画情報の計画を修正できるようになった。
【0119】
また、本実施の形態では、初期計画及び修正後の計画の生産性や納期遵守度合いを評価指標として比較可能とする処理も行うようにした。これにより、操作者は初期計画のままとするか修正後の計画に変更するかを判断し易くなった。
【符号の説明】
【0120】
10…生産計画修正装置、11…情報取得部、12…計画情報展開部、13…希望処理順序取得部、14…計画情報修正部、15…評価指標算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14