(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】飲料、飲料の製造方法、ならびに、分散性および飲用感向上方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20230810BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230810BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20230810BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20230810BHJP
【FI】
A23L2/00 A
A23L2/00 E
A23L2/52 101
A23L29/256
A23L29/262
(21)【出願番号】P 2019148145
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】312017444
【氏名又は名称】ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 武史
(72)【発明者】
【氏名】福田 なつみ
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-105174(JP,A)
【文献】特開2014-171448(JP,A)
【文献】国際公開第2014/119798(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0119662(US,A1)
【文献】米国特許第5807603(US,A)
【文献】米国特許第4433000(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/
A23L 29/256
A23L 29/262
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸塩と、熱ゲル化性を呈するゲル化剤と、不溶性固形物と、を含有し、
10℃における粘度が10mPa・s以上30mPa・s以下であり、
60℃における粘度が5mPa・s以上20mPa・s以下である飲料。
【請求項2】
前記ゲル化剤はメチルセルロースである請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
前記不溶性固形物は果実片および野菜片のうちの少なくとも一種である請求項1または請求項2に記載の飲料。
【請求項4】
アルギン酸塩と、熱ゲル化性を呈するゲル化剤と、不溶性固形物と、を含有し、10℃における粘度が20mPa・s以上30mPa・s以下であり、60℃における粘度が10mPa・s以上20mPa・s以下である飲料の製造方法であって、
前記アルギン酸塩を0~30℃の溶媒に分散させて第1水溶液を準備するとともに、前記ゲル化剤を50~90℃の溶媒に分散させて第2水溶液を準備する第1工程と、
前記第1水溶液と前記第2水溶液とを混合して混合液の温度調整を行う第2工程と、
前記混合液の温度を40℃以下としつつ攪拌した状態で前記混合液にカルシウムを加える第3工程と、を含み、
前記第2工程の温度調整は、前記混合液の温度を30℃以下とする低温調整と、前記混合液の温度を70℃以上とする高温調整と、を含む飲料の製造方法。
【請求項5】
アルギン酸塩と、熱ゲル化性を呈するゲル化剤と、不溶性固形物と、を含有する飲料について、冷温いずれの状態でも不溶性固形物の分散性を向上させつつ、さらっとした飲用感とする方法であって、
前記アルギン酸塩を0~30℃の溶媒に分散させて第1水溶液を準備するとともに、前記ゲル化剤を50~90℃の溶媒に分散させて第2水溶液を準備する第1工程と、
前記第1水溶液と前記第2水溶液とを混合して混合液の温度調整を行う第2工程と、
前記混合液の温度を40℃以下とし攪拌した状態で前記混合液にカルシウムを加える第3工程と、を含み、
前記第2工程の温度調整は、前記混合液の温度を30℃以下とする低温調整と、前記混合液の温度を70℃以上とする高温調整と、を含み、
前記飲料の10℃における粘度を10mPa・s以上30mPa・s以下とし、60℃における粘度を5mPa・s以上20mPa・s以下とする分散性および飲用感向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料、飲料の製造方法、ならびに、分散性および飲用感向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイス状にカットした果肉等の不溶性固形物を含有させた飲料は、飲用時に不溶性固形物の食感などを楽しむことができることから、一定の消費者から支持されており、これまでにも多様な商品が提供されている。
しかしながら、通常、このような飲料に含まれる不溶性固形物の比重と液の比重とは異なるため、不溶性固形物が沈下または浮上してしまい、飲料全体が不均一な状態となってしまう。
よって、この不溶性固形物を飲料中に適切に分散させる技術として、例えば、以下の特許文献1のような技術が提案されている。
【0003】
詳細には、特許文献1には、ゲル化剤として脱アシル型ジェランガムのみを0.01~0.046質量%含むと共に、0.08~1.28質量%の水溶性カルシウム塩と、固形分を0.1~64質量%とを含み、10℃における粘度測定値が5~30mPa・sであり、更にpHが3~4であることを特徴とする固形分含有容器詰飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の実施例の記載を確認すると明らかなように、特許文献1に係る技術によると、冷蔵条件において、飲料中の不溶性固形物を適切に分散させるという効果が確認できる。
【0006】
ここで、本発明者らは、特許文献1のような従来技術で検討されている「冷蔵条件」だけでなく「温蔵条件」であろうとも飲料中の不溶性固形物を適切に分散させる技術を創出すれば、多様化する消費者のニーズに合致した商品を提供できるのではないかと考えた。
【0007】
また、従来の不溶性固形物を含有する飲料の液部分はとろみを有するものが多かったが、外観および飲み口(口当たり)の良いさらっとした飲用感とすることによって、飲料として少しでも飲み易くする必要もあると考えた。
【0008】
そこで、本発明は、冷温いずれの状態(冷蔵条件および温蔵条件のいずれの状態)でも不溶性固形物の分散性が向上しており、さらっとした飲用感を奏する飲料、飲料の製造方法、ならびに、分散性および飲用感向上方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)アルギン酸塩と、熱ゲル化性を呈するゲル化剤と、不溶性固形物と、を含有し、10℃における粘度が10mPa・s以上30mPa・s以下であり、60℃における粘度が5mPa・s以上20mPa・s以下である飲料。
(2)前記ゲル化剤はメチルセルロースである前記1に記載の飲料。
(3)前記不溶性固形物は果実片および野菜片のうちの少なくとも一種である前記1または前記2に記載の飲料。
(4)アルギン酸塩と、熱ゲル化性を呈するゲル化剤と、不溶性固形物と、を含有し、10℃における粘度が10mPa・s以上30mPa・s以下であり、60℃における粘度が5mPa・s以上20mPa・s以下である飲料の製造方法であって、前記アルギン酸塩を0~30℃の溶媒に分散させて第1水溶液を準備するとともに、前記ゲル化剤を50~90℃の溶媒に分散させて第2水溶液を準備する第1工程と、前記第1水溶液と前記第2水溶液とを混合して混合液の温度調整を行う第2工程と、前記混合液の温度を40℃以下としつつ攪拌した状態で前記混合液にカルシウムを加える第3工程と、を含み、前記第2工程の温度調整は、前記混合液の温度を30℃以下とする低温調整と、前記混合液の温度を70℃以上とする高温調整と、を含む飲料の製造方法。
(5)アルギン酸塩と、熱ゲル化性を呈するゲル化剤と、不溶性固形物と、を含有する飲料について、冷温いずれの状態でも不溶性固形物の分散性を向上させつつ、さらっとした飲用感とする方法であって、前記アルギン酸塩を0~30℃の溶媒に分散させて第1水溶液を準備するとともに、前記ゲル化剤を50~90℃の溶媒に分散させて第2水溶液を準備する第1工程と、前記第1水溶液と前記第2水溶液とを混合して混合液の温度調整を行う第2工程と、前記混合液の温度を40℃以下とし攪拌した状態で前記混合液にカルシウムを加える第3工程と、を含み、前記第2工程の温度調整は、前記混合液の温度を30℃以下とする低温調整と、前記混合液の温度を70℃以上とする高温調整と、を含み、前記飲料の10℃における粘度を10mPa・s以上30mPa・s以下とし、60℃における粘度を5mPa・s以上20mPa・s以下とする分散性および飲用感向上方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る飲料は、冷温いずれの状態(冷蔵条件および温蔵条件のいずれの状態)でも不溶性固形物の分散性が向上しており、さらっとした飲用感を奏する。
本発明に係る飲料の製造方法は、冷温いずれの状態(冷蔵条件および温蔵条件のいずれの状態)でも不溶性固形物の分散性が向上しており、さらっとした飲用感を奏する飲料を製造することができる。
本発明に係る分散性および飲用感向上方法は、飲料について、冷温いずれの状態でも不溶性固形物の分散性を向上させつつ、さらっとした飲用感とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】分散性の評価(常温:25℃)におけるサンプルの写真である。
【
図2】分散性の評価(冷蔵:10℃)におけるサンプル(一部サンプルを除く)の写真である。
【
図3】分散性の評価(温蔵:60℃)におけるサンプルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る飲料、飲料の製造方法、ならびに、分散性および飲用感向上方法を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0013】
[飲料]
本実施形態に係る飲料は、アルギン酸塩と熱ゲル化性を呈するゲル化剤と不溶性固形物とを含有し、10℃における粘度および60℃における粘度がそれぞれ所定範囲内となる飲料である。
【0014】
ここで、飲料(液部分)は特に限定されず、例えば、果汁含有飲料、ジュース、野菜飲料、フレーバードウォーター、茶飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、ココア飲料、乳飲料等が挙げられる。
【0015】
(アルギン酸塩)
アルギン酸塩とは、褐藻類等に含まれる多糖類であるアルギン酸の塩である。
そして、アルギン酸塩は、低温域においてゲル化能を発揮し、本実施形態に係る飲料を冷蔵した状態において、不溶性固形物の分散性を向上させることができる。
【0016】
使用するアルギン酸塩は、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム等である。そして、アルギン酸塩としては、例えば、株式会社キミカのキミカアルギン等を使用することができる。
【0017】
アルギン酸塩の含有量は特に限定されないが、例えば、キミカアルギンI-2Mを用いた場合、0.12w/v%以上が好ましく、0.3w/v%以下がより好ましい。
【0018】
(熱ゲル化性を呈するゲル化剤)
熱ゲル化性を呈するゲル化剤とは、熱が加えられることによってゲル化する性能(熱ゲル化性)を呈するゲル化剤である。また、このゲル化剤は、詳細には、前記したアルギン酸塩のゲル化能が低下する高温域においてゲル化能を発揮するゲル化剤であり、より詳細には、ゲル化温度が50℃以上(好ましくは55~75℃)のゲル化剤である。
そして、熱ゲル化性を呈するゲル化剤は、前記のとおり、高温域においてゲル化能を発揮することから、本実施形態に係る飲料を温蔵した状態において、不溶性固形物の分散性を向上させることができる。
【0019】
熱ゲル化性を呈するゲル化剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられ、特にメチルセルロースが好ましい。そして、ゲル化剤(メチルセルロース)としては、例えば、ユニテックフーズ株式会社のメトセル等を使用することができる。
なお、メチルセルロースとは、セルロースの骨格にメトキシ基が付いた構造の高分子多糖類であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとは、メチルセルロースのメトキシ基をヒドロキシプロピル基に置換したものである。
【0020】
熱ゲル化性を呈するゲル化剤の含有量は特に限定されないが、例えば、メトセルA4Mを用いた場合、0.1w/v%以下であることが好ましい。熱ゲル化性を呈するゲル化剤の含有量が上記の上限値を超えると、ゲルが硬くなりすぎて、飲用感が低下する。
なお、熱ゲル化性を呈するゲル化剤の含有量は、2種以上の場合は合計の含有量である。
【0021】
(不溶性固形物)
不溶性固形物としては、例えば、果物類、野菜類、きのこ類、海藻類等を任意の大きさに切断したもの、柑橘類のさのう、寒天やアルギン酸ナトリウム等のゲル化剤を用いた成形物、マンナンゲル、ナタデココ、タピオカ、カプセル等が挙げられ、これらの中でも、果物類の果肉を任意の大きさに切断したもの(果実片)および野菜類の可食部を任意の大きさに切断したもの(野菜片)の少なくとも一種であることが好ましい。果物類としては、例えば、柑橘類、林檎、梨、洋梨、パインアップル、マンゴー、キウイフルーツ、パパイヤ、黄桃、白桃、あんず等を挙げることができる。野菜類としては、ジャガイモ、玉ねぎ、とうもろこし等を挙げることができる。そして、使用する不溶性固形物は1種類でも2種類以上であってもよい。また、使用する不溶性固形物は、上述の果物類や野菜類の果肉部分であってもよいし、果皮部分であってもよい。
また、不溶性固形物としては、当該不溶性固形物の内部に存在する水分と、当該不溶性固形物の外部に存在する水分とが相互に行き来できる構造を有するものが好ましい。ただし、不溶性固形物としては前述したものに限定されず、食することのできる不溶性固形物であればどのようなものでもよい。
【0022】
不溶性固形物の形状は特に限定されず、例えば、立方体、直方体、球体、楕円体、不定形形状等が挙げられる。また、不溶性固形物の大きさも特に限定されず、例えば、立方体の場合、一辺の長さが2mm以上20mm以下、球体の場合、直径の長さが2mm以上20mm以下、その他の形状の場合、最大長さが2mm以上25mm以下である。
【0023】
不溶性固形物の含有量は特に限定されるものではない。不溶性固形物の含有量は、例えば、3g/L以上であるのが好ましく、7g/L以上、30g/L以上、50g/L以上、70g/L以上であるのがより好ましい。不溶性固形物の含有量が所定値以上であることによって、飲料の飲みごたえを向上させることができる。
また、不溶性固形物の含有量は、例えば、200g/L以下であるのが好ましく、150g/L以下、100g/L以下であるのがより好ましい。不溶性固形物の含有量が所定値以下であることによって、不溶性固形物の分散性の向上という効果を確実に発揮させることができるとともに、飲料の飲み易さを向上させることができる。また、不溶性固形物の含有量が所定値以下であることによって、飲料の製造時において、製造適正(例えば、製造のし易さ等)も向上する。
【0024】
(10℃における粘度)
本実施形態に係る飲料(液部分)の10℃における粘度は、10mPa・s以上が好ましく、20mPa・s以上、21mPa・s以上、22mPa・s以上、23mPa・s以上がより好ましい。また、本実施形態に係る飲料の10℃における粘度は、30mPa・s以下が好ましく、28mPa・s以下、26mPa・s以下、25mPa・s以下がより好ましい。
飲料の10℃における粘度を所定範囲内(所定値以下)とすることによって、冷蔵条件における飲料の飲用感をさらっとしたものとすることができる。
なお、10℃における粘度は、アルギン酸塩や熱ゲル化性を呈するゲル化剤の含有量等によって調製することができる。
【0025】
(60℃における粘度)
本実施形態に係る飲料(液部分)の60℃における粘度は、5mPa・s以上が好ましく、10mPa・s以上、10.5mPa・s以上、11mPa・s以上がより好ましい。また、本実施形態に係る飲料の60℃における粘度は、20mPa・s以下が好ましく、18mPa・s以下、16mPa・s以下、15mPa・s以下、13mPa・s以下がより好ましい。
飲料の60℃における粘度を所定範囲内(所定値以下)とすることによって、温蔵条件における飲料の飲用感をさらっとしたものとすることができる。
なお、60℃における粘度は、アルギン酸塩や熱ゲル化性を呈するゲル化剤の含有量等によって調製することができる。
【0026】
本実施形態において、飲料(液部分)の60℃における粘度A1に対する飲料(液部分)の10℃における粘度A2の比(A2/A1)は、下限値として、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらにより好ましい。また、A2/A1は、上限値として、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましい。
【0027】
(pH)
本実施形態に係る飲料のpHは、特に限定されないものの、本発明は酸性飲料への適用が好ましいため、4.5以下が好ましく、3.8以下がより好ましい。
【0028】
(不溶性固形物、液の比重)
本実施形態に係る飲料は、不溶性固形物の比重と液の比重とが異なっていようとも不溶性固形物の分散性を向上させるという効果を発揮することから、両者の比重は特に限定されない。
例えば、不溶性固形物の比重を液の比重で割った値である「不溶性固形物の比重/液の比重」について、1以上、1.01以上とし、1.05以下、1.03以下、1.02以下としてもよい。
【0029】
液の比重は、例えば、測定された当該液のBrix(糖度)に基づいて、比重糖度換算表から算出してもよい。比重糖度換算表としては、公知のものを用いることができるが、例えば、最新・ソフトドリンクス(平成15年9月30日発行、編纂:最新・ソフトドリンクス編集委員会、出版:株式会社光琳)の1032~1033頁に掲載されている表を用いることができる。液のBrixの測定は、例えば、屈折糖度計により行うことができる。屈折糖度計としては、例えば、ATAGO社製のデジタル屈折計rx-5000αを挙げることができる。
また、不溶性固形物の比重は、以下の方法により算出することができる。すなわち、まず、水と不溶性固形物とが混合された混合液を1000ml準備する。そして、混合液中の水と不溶性固形物とを分離して、水の重量と、不溶性固形物の重量と、を測定する。この場合、水の比重は1であることから、水の体積が算出される。また、1000mlから水の体積を減じて、不溶性固形物の体積を算出する。そして、得られた不溶性固形物の重量と、不溶性固形物の体積と、から不溶性固形物の比重を算出する。
なお、不溶性固形物が当該不溶性固形物の内部に存在する水分と、当該不溶性固形物の外部に存在する水分とが相互に行き来できる構造を有する場合、不溶性固形物の比重は、液の比重の値と、上述の算出方法により求められた不溶性固形物の比重から水の比重(具体的には、1)を減じた値と、を合算した値とする。
【0030】
本実施形態に係る飲料の不溶性固形物を除いた部分を液(液部分)と説明したが、当該液は後記する製造方法で製造されることによって、マイクロゲルで構成(マイクロゲル化)されている。なお、本実施形態におけるマイクロゲルとは、アルギン酸塩と、熱ゲル化性を呈するゲル化剤と、を含んで構成される極めて微細なゲルであり、流動性は液体とほぼ変わらない。
【0031】
本実施形態に係る飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、着色料、pH調整剤、強化剤、乳化剤等(以下、適宜「添加剤」という)を添加することができる。
甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプン等を用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテーム等を用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール等を用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸等を用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム等を用いることができる。着色料としては、例えば、カラメル色素、アントシアニン、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素等を用いることができる。pH調整剤としては、例えば、重曹、フィチン酸、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸等を用いることができる。強化剤としては、例えば、乳酸カルシウム、発酵乳酸カルシウム等を用いることができる。乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、サポニン、レシチン等を用いることができる。
なお、前記した添加剤は、一般に市販されているものを使用することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で果汁や果汁フレーバーを含有させることもできる。そして、果汁としては、例えば、濃縮果汁、還元果汁、ストレート果汁といった各種果汁、果実ピューレ(火を通した果実あるいは生の果実をすりつぶしたり裏ごししたりした半液体状のもの)、これらの希釈液、濃縮液、混合液などを用いることができる。
そして、果汁に使用する果実(および、果汁フレーバーの果実種)は特に限定されず、従来公知の果実を挙げることができる。
【0033】
(容器詰め飲料)
本実施形態に係る飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器に飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製またはスチール製等)のいわゆる缶容器・樽容器、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器等を適用することができる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る飲料によれば、アルギン酸塩と熱ゲル化性を呈するゲル化剤と不溶性固形物とを含有し、10℃における粘度と60℃における粘度とが其々所定範囲内であることから、冷温いずれの状態(冷蔵条件および温蔵条件のいずれの状態)でも不溶性固形物の分散性が向上しており、さらっとした飲用感を奏する。
【0035】
[飲料の製造方法]
次に、本実施形態に係る飲料の製造方法を説明する。
本実施形態に係る飲料の製造方法は、以下に示す第1工程と、第2工程と、第3工程と、を含む。
【0036】
(第1工程)
第1工程では、アルギン酸塩を溶媒に分散させた第1水溶液と、熱ゲル化性を呈するゲル化剤を溶媒に分散させた第2水溶液とを準備する。
第1水溶液は、アルギン酸塩を所定温度の溶媒に分散させることによって準備する。そして、第1水溶液の準備に用いる溶媒の温度を0~30℃(好ましくは15~25℃)とすることによって、アルギン酸塩を好適に分散させることができる。
第2水溶液は、熱ゲル化性を呈するゲル化剤を所定温度の溶媒に分散させることによって準備する。そして、第2水溶液の準備に用いる溶媒の温度を50~90℃(好ましくは65~75℃)とすることによって、熱ゲル化性を呈するゲル化剤を好適に分散させることができる。
【0037】
第1工程において、アルギン酸塩と熱ゲル化性を呈するゲル化剤とを各溶媒に適切に分散させておくことによって、ダマになり後記する第2工程で溶質が溶解し難くなるといった事態の発生を回避することができる。
なお、第1工程での「分散」とは、溶媒(分散媒)中に溶質を微粒子状に散在させることを示しており、溶質は溶媒に完全には溶解していない。また、第1工程で使用する溶媒は特に限定されないものの、水、熱水などが挙げられる。
【0038】
(第2工程)
第2工程では、第1工程で準備した第1水溶液と第2水溶液とを混合し、混合した混合液の温度調整を行う。そして、第2工程で2つの温度調整(低温調整と高温調整)を行うことによって、アルギン酸塩と熱ゲル化性を呈するゲル化剤との両方を混合液中に溶解させることができる。
【0039】
(第2工程:低温調整)
第2工程での低温調整とは、混合液の温度(液温)を30℃以下とする温度調整である。この低温調整によって、熱ゲル化性を呈するゲル化剤を混合液中に適切に溶解させることができる。
なお、低温調整は、混合液の温度を所定値以下にできれば、如何なる方法で混合液を冷却してもよいが、前記の添加剤を含有させた水溶液を混合液に添加することによって、混合液の液温を下げる方法によれば、製造工程数の増加を抑制することができる。
【0040】
(第2工程:高温調整)
第2工程での高温調整とは、混合液の温度(液温)を70℃以上とする温度調整である。この高温調整によって、アルギン酸塩を混合液中に適切に溶解させることができる。
なお、高温調整は、混合液の温度を所定値以上にできれば、如何なる方法で混合液を加熱してもよい。
【0041】
(第2工程:順番)
第2工程での低温調整と高温調整とは、低温調整→高温調整の順番でもよいし、高温調整→低温調整の順番でもよい。
ただし、後記する実施例において優れた効果の発揮を確認している低温調整→高温調整の順番の方が好ましい。
【0042】
なお、第1水溶液の容量に対して第2水溶液の容量が非常に大きい場合、両水溶液の混合時に混合液の液温が70℃以上となる場合がある。この場合は、混合という処理によって高温調整が実現できる、つまり、混合という処理が高温調整を担うことになるため、別途、高温調整を行う必要はなく、低温調整のみ実施すればよい。
また、第2水溶液に対して第1水溶液の容量が非常に大きい場合、両水溶液の混合時に混合液の液温が30℃以下となる場合がある。この場合は、混合という処理によって低温調整が実現できる、つまり、混合という処理が低温調整を担うことになるため、別途、低温調整を行う必要はなく、高温調整のみ実施すればよい。
【0043】
(第3工程)
第3工程では、混合液の温度を40℃以下としつつ混合液を攪拌した状態でカルシウムを加える。
具体的には、まず、混合液の温度を40℃以下(好ましくは、15~35℃)とする。なお、第2工程で低温調整→高温調整の順番で温度調整を行った場合は、混合液の温度を所定温度以下まで冷却する必要があるが、高温調整→低温調整の順番で温度調整を行った場合は、冷却する必要はない。
そして、混合液を攪拌しつつカルシウムを加える。ここで、攪拌の条件については、混合液全体にカルシウムが混ざるように攪拌できれば特に限定されないものの、例えば、攪拌強度を1500~4500rpmとすればよい。
また、混合液に加えるカルシウムの量についても特に限定されないものの、アルギン酸塩を適切にゲル化させるため、混合液中のカルシウムの含有量が0.1~0.35w/v%となるように添加すればよい。また、ここでいうカルシウムを加えることは、強化剤を加えることであってもよいし、強化剤を含む水溶液を加えることであってもよい。強化剤を含む水溶液を加える場合、攪拌中の混合液に、所定のカルシウムの含有量となるまで、0.02~0.4g/sで当該水溶液を加えればよい。
なお、混合液にカルシウムを加えた後は攪拌を停止してもよいが、混合液においてカルシウムをより一様に混ぜ合わせるために、カルシウムの添加後も攪拌を1~15分(好ましくは、8~12分)続けてもよい。
【0044】
詳細なメカニズムは明確にはなっていないが、前記した条件(所定温度以下、攪拌状態)で前記した混合液にカルシウムを加えることで、アルギン酸塩と「熱ゲル化性を呈するゲル化剤」との混合物の周囲を、カルシウムイオンがイオン結合してゲル化した「アルギン酸塩」によって覆われるような構造の特殊なマイクロゲルが生成されているのではないかと推察する。
なお、混合液に加えるカルシウムは、如何なる状態で添加してもよいが、例えば、カルシウム水溶液の状態で添加すればよい。
【0045】
(その他の工程)
不溶性固形物は、第2、3工程の途中で混合液に添加してもよく、添加のタイミングは特に限定されないものの、第3工程で得られた混合液に不溶性固形物を添加する工程(第4工程)を設けてもよい。このように第3工程の後に不溶性固形物を添加することによって、不溶性固形物のまわりにゲルが固着してしまうのを抑制することができる。
そして、第3工程(または第4工程)の後に、後処理工程として、例えば、殺菌、容器への充填等の処理を必要に応じて選択的に実施する工程を設けてもよい。
なお、後処理工程の殺菌処理は、殺菌装置での不溶性固形物の詰りを防ぐ観点から、シェルアンドチューブ殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。
そして、後処理工程での各処理の順序は特に限定されない。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る飲料の製造方法によれば、所定の第1~3工程を含むことから、冷温いずれの状態(冷蔵条件および温蔵条件のいずれの状態)でも不溶性固形物の分散性が向上しており、さらっとした飲用感を奏する飲料を製造することができる。
【0047】
[分散性および飲用感向上方法]
次に、本実施形態に係る分散性および飲用感向上方法について説明する。
本実施形態に係る分散性および飲用感向上方法は、アルギン酸塩と熱ゲル化性を呈するゲル化剤と不溶性固形物とを含有する飲料について、冷温いずれの状態でも不溶性固形物の分散性を向上させつつ、さらっとした飲用感とする方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「飲料」において説明した内容と同じであり、各工程の条件等については、前記した「飲料の製造方法」において説明した内容と同じである。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る分散性および飲用感向上方法によれば、所定の第1~3工程を含むことから、飲料について、冷温いずれの状態でも不溶性固形物の分散性を向上させつつ、さらっとした飲用感とすることができる。
【0049】
なお、本実施形態に係る飲料、飲料の製造方法、ならびに、分散性および飲用感向上方法において、明示していない特性や条件については、従来公知のものであればよく、前記特性や条件によって得られる効果を奏する限りにおいて、限定されないことは言うまでもない。
【実施例】
【0050】
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明について説明する。
【0051】
[サンプルの準備]
(サンプル1、2)
まず、アルギン酸ナトリウム(アルギン酸I-2M、株式会社キミカ製)を約20℃の水に分散させた第1溶液と、メチルセルロース(メトセル(登録商標)A4M、ユニテックスフーズ株式会社製)を約70℃の熱水に分散させた第2溶液と、を準備した。
そして、サンプル1については、第1溶液と第2溶液とを混合し、約30℃となるように低温調整を行った後、約70℃となるように高温調整を行った。その後、約35℃以下に温度調整してホモミキサーで攪拌(2800rpm、10分)しつつ、発酵乳酸カルシウムを添加した。そして、乳酸発酵カルシウムの添加後、約10分攪拌を続けた後、リンゴダイス(形状:略立方体、約2mm×約2mm×約2mm)を添加し、その後90℃以上で5分間の条件で殺菌し、各物質の含有量が表1に示す値となる「サンプル1」を製造した。
一方、サンプル2については、第1溶液を約70℃に昇温した後、35℃以下に温度調整してホモミキサーで攪拌(2800rpm、10分)しつつ、発酵乳酸カルシウムを添加した。そして、乳酸発酵カルシウムの添加後、約10分攪拌を続けた後、リンゴダイス(形状:略立方体、約2mm×約2mm×約2mm)を添加し、その後90℃以上で5分間の条件で殺菌し、各物質の含有量が表1に示す値となる「サンプル2」を製造した。
【0052】
(サンプル3)
まず、ジェランガム(ゲルアップ、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を約20℃の水に分散させた第3溶液を準備した。
そして、サンプル3については、第3溶液を約70℃に昇温した後、35℃以下に温度調整してホモミキサーで攪拌(攪拌強度等の条件)しつつ、発酵乳酸カルシウムを添加した。そして、乳酸発酵カルシウムの添加後、約10分攪拌を続けた後、リンゴダイス(形状:略立方体、約2mm×約2mm×約2mm)を添加し、その後90℃以上で5分間の条件で殺菌し、各物質の含有量が表1に示す値となる「サンプル3」を製造した。
【0053】
[粘度の測定]
まず、前記の方法で製造した各サンプルから、目開き約2mmのメッシュを使用してリンゴダイスを取り除いた。
そして、各サンプルを所定温度(60℃又は10℃)とした後、東機産業社製のTVB-10Mを用いて粘度を測定した。
詳細には、ビーカーに注ぎ入れた所定温度のサンプルに対して、TVB-10MのM1ローターを上方から差し込み、回転数100rpm、測定時間30秒の粘度測定を連続して3回実施した。そして、得られた3回の測定値の平均値を算出し、算出した値を各サンプルの粘度(表1に示す粘度)とした。
【0054】
[分散性の評価]
まず、サンプルを200mLのPET容器に詰め、所定温度(常温の25℃、冷蔵条件の10℃、温蔵条件の60℃)とした。そして、リンゴダイスがサンプル全体に行き渡るように天地を返すように2~5回振って、サンプルを攪拌した。その後、攪拌直後(容器を立たせた直後)、2分後、14時間後の容器内のリンゴダイスの分散性を評価した。なお、容器に詰めたサンプルは、所定温度を維持する条件下で保管していた。
【0055】
分散性の評価は、PET容器本体の透明部分(キャップ部分を除いた高さ12cmの透明部分)のうち上から2cmの部分において、リンゴダイスが視認できる場合を、分散状態が保たれていると判断し、リンゴダイスが視認できない場合を、分散状態が保たれていないと判断した。
そして、「分散性の評価(冷蔵条件)」は、攪拌直後、攪拌の2分後、および、攪拌の14時間後の全てのサンプルについて、分散状態が保たれていると判断できた場合を「〇」(分散性が良い)と評価し、それ以外の場合を「×」(分散性が悪い)と評価した。
また、「分散性の評価(温蔵条件)」は、攪拌直後、攪拌の2分後、および、攪拌の14時間後の全てのサンプルについて、分散状態が保たれていると判断できた場合を「〇」(分散性が良い)と評価し、それ以外の場合を「×」(分散性が悪い)と評価した。
【0056】
[外観の評価]
訓練された識別能力のあるパネル10名が前記の方法により製造した各サンプルの外観の状態を目視で確認した。
10℃および60℃の状態における其々のサンプルの外観について、容器壁面でゲルのざらつきが確認できたり、プルプルとしたゲル状の感じを確認できたりするものでない場合を「〇」(外観が良い)と評価し、容器壁面でゲルのざらつきが確認できたり、プルプルとしたゲル状の感じを確認できたりする場合を「×」(外観が悪い)と評価した。
なお、外観の評価(〇/×)は、パネル全員の評価が一致した。
【0057】
[飲み口の評価]
訓練された識別能力のあるパネル5名が前記の方法により製造した各サンプルの飲み口を飲んで確認した。
10℃および60℃の状態における其々のサンプルの飲み口について、とろみを強く感じたり、ゲル様のざらつきを感じたり、ドロドロした舌触りを感じたりするものではない場合を「〇」(飲み口が良い)と評価し、とろみを強く感じたり、ゲル様のざらつきを感じたり、ドロドロした舌触りを感じたりする場合を「×」(飲み口が悪い)と評価した。
なお、飲み口の評価(〇/×)は、パネル全員の評価が一致した。
【0058】
表1に、各サンプルの規格を示すとともに、各評価の結果を示す。
また、参考として、分散性の評価におけるサンプル(一部のサンプルを除く)の写真を
図1~3に示す。なお、14時間での分散性については、先行技術文献でも示されているので、写真を省略した。
【0059】
【0060】
(試験結果の検討)
サンプル1は、表1に示すように、アルギン酸塩とメチルセルロース(熱ゲル化性を呈するゲル化剤)とリンゴダイス(不溶性固形物)とを含有し、10℃と60℃における粘度が其々所定範囲内であったことから、冷温いずれの状態(冷蔵条件および温蔵条件のいずれの状態)でも不溶性固形物の分散性が良いとの結果となった(
図2、3参照)。なお、サンプル1は、
図1に示すように、常温の状態でも不溶性固形物の分散性が良いと判断できる結果となった。
また、サンプル1は、表1に示すように、10℃と60℃のいずれの飲み口の評価についても、「〇」との結果が得られるとともに、10℃と60℃のいずれの外観の評価についても、「〇」との結果が得られた。このことから、サンプル1は、さらっとした飲用感であることがわかった。
【0061】
一方、サンプル2は、表1に示すように、メチルセルロース(熱ゲル化性を呈するゲル化剤)を含有していなかったことから、温蔵状態において、不溶性固形物の分散性が悪いとの結果となった(
図3参照)。
【0062】
なお、メチルセルロースを含有する「サンプル1」とメチルセルロースを含有していない「サンプル2」とを比較すると、サンプル2の方が60℃の粘度が高くなっているが、この理由は、アルギン酸塩の含有量がサンプル2の方が僅かに多かったためであると考える。この結果から、サンプル1はメチルセルロースを含有させることによって、60℃における粘度の上昇を抑制しつつ(つまり、60℃におけるさらっとした飲用感を実現しつつ)、分散性も向上できるということがわかった。
【0063】
また、サンプル3は、特許文献1で使用されているジェランガムを使用したものであるが、アルギン酸塩やメチルセルロース(熱ゲル化性を呈するゲル化剤)を含有していなかったことから、飲み口の評価および外観の評価において、さらっとしていないとの結果となった。