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  • 特許-電源管理装置 図1
  • 特許-電源管理装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】電源管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3287 20190101AFI20230810BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230810BHJP
   G06F 1/3228 20190101ALI20230810BHJP
   G06F 1/3206 20190101ALI20230810BHJP
   H01H 47/00 20060101ALN20230810BHJP
【FI】
G06F1/3287
H02J7/00 302D
G06F1/3228
G06F1/3206
H01H47/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019216727
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021086505
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂口 薫
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-011643(JP,A)
【文献】特開平7-104893(JP,A)
【文献】特開2009-261092(JP,A)
【文献】特開平11-327851(JP,A)
【文献】特開2016-037092(JP,A)
【文献】特開平2-005119(JP,A)
【文献】特開2004-189055(JP,A)
【文献】特開2016-223372(JP,A)
【文献】特開2001-331240(JP,A)
【文献】特開2002-236503(JP,A)
【文献】特開2014-048070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/3287
H02J 7/00
G06F 1/3228
G06F 1/3206
H01H 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの電圧で動作する電子制御装置の電源回路のオフ制御を行う電源管理装置であって、
入力端子に前記電子制御装置のマイコンから電源オフ要求信号が入力される入力検出回路と、
入力端子が前記入力検出回路の出力端子に接続されたタイマー回路と、
第一入力端子が前記入力検出回路の出力端子に接続され、第二入力端子が前記タイマー回路の第二出力端子に接続された入力診断回路と、
第一入力端子が前記タイマー回路の第一出力端子に接続され、第二入力端子が前記入力診断回路の出力端子に接続され、出力端子から前記電源回路に電源オフ指示信号を出力する出力回路と、を備え、
前記入力検出回路は、入力端子に前記電源オフ要求信号が入力されると、前記タイマー回路と前記入力診断回路にカウント開始の信号を出力し、
前記タイマー回路は、前記カウント開始の信号を受けるとカウント処理を開始するとともに前記第二出力端子から前記入力診断回路にカウント処理中を示す信号を出力し、所定の時間が経過すると前記第一出力端子から前記出力回路にオフ指示信号を出力し、
前記入力診断回路は、前記入力検出回路及び前記タイマー回路からの信号に基づいて、前記入力検出回路に入力される信号が異常であると判断すると前記出力回路にオフ指示信号を出力し、
前記出力回路は、前記オフ指示信号を受けると前記電源オフ指示信号を出力する
ことを特徴とする電源管理装置。
【請求項2】
前記入力診断回路は、前記入力検出回路に入力される信号の異常を検出するための入力異常フラグを備え、
前記タイマー回路がカウント中に、前記入力検出回路からの前記カウント開始の信号が停止すると、前記入力異常フラグをインクリメントし、前記入力異常フラグが所定値を超えると、前記入力検出回路に入力される信号が異常であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源管理装置。
【請求項3】
前記タイマー回路に前記所定の時間を設定する時間調整回路を備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電源管理装置。
【請求項4】
前記入力診断回路は、第一入力端子が前記入力検出回路の出力端子に接続され、第二入力端子が前記タイマー回路の第二出力端子に接続された第二のタイマー回路を備え、
前記第二のタイマー回路は、前記タイマー回路からカウント処理中を示す信号を受けると、前記タイマー回路がカウントする時間よりも短い第二の所定の時間をカウントし、前記入力検出回路から正常なオフ処理を示す信号を受けるとカウンタをリセットしてカウントを再開し、前記第二の所定の時間が経過すると、前記入力検出回路に入力される信号が異常であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源管理装置。
【請求項5】
前記第二のタイマー回路に前記第二の所定の時間を設定する第二の時間調整回路を備えた
ことを特徴とする請求項4に記載の電源管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置への電力供給を確実に遮断可能な電源管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリの電圧で動作する電子制御装置は、電力消費を抑えるために、停止状態ではバッテリから電子制御装置への電源供給を遮断する。例えば、電子制御装置は、停止状態になったことを検出すると、マイコンが特定の処理を行った後にバッテリからの電源供給ラインを遮断する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-137068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子制御装置は、マイコンが出力する信号によって電源を遮断する構成であるため、マイコンのソフトエラー等により電源の遮断を要求する信号に異常があった場合に、電源供給を遮断出来ないという課題がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みて為され、電子制御装置のマイコンが出力する電源の遮断を要求する信号に異常があった場合であっても、確実に電子制御装置の電源を遮断可能な電源管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電源管理装置は、
バッテリの電圧で動作する電子制御装置の電源回路のオフ制御を行う電源管理装置であって、
入力端子に前記電子制御装置のマイコンから電源オフ要求信号が入力される入力検出回路と、
入力端子が前記入力検出回路の出力端子に接続されたタイマー回路と、
第一入力端子が前記入力検出回路の出力端子に接続され、第二入力端子が前記タイマー回路の第二出力端子に接続された入力診断回路と、
第一入力端子が前記タイマー回路の第一出力端子に接続され、第二入力端子が前記入力診断回路の出力端子に接続され、出力端子から前記電源回路に電源オフ指示信号を出力する出力回路と、を備え、
前記入力検出回路は、入力端子に前記電源オフ要求信号が入力されると、前記タイマー回路と前記入力診断回路にカウント開始の信号を出力し、
前記タイマー回路は、前記カウント開始の信号を受けるとカウント処理を開始するとともに前記第二出力端子から前記入力診断回路にカウント処理中を示す信号を出力し、所定の時間が経過すると前記第一出力端子から前記出力回路にオフ指示信号を出力し、
前記入力診断回路は、前記入力検出回路及び前記タイマー回路からの信号に基づいて、前記入力検出回路に入力される信号が異常であると判断すると前記出力回路にオフ指示信号を出力し、
前記出力回路は、前記オフ指示信号を受けると前記電源オフ指示信号を出力する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電源管理装置によれば、電子制御装置のマイコンが出力する電源オフ要求信号の異常を検出する入力診断回路を備えたので、電源オフ要求信号の異常時にマイコンへの電源供給を遮断することが可能となり、不要なバッテリの電力消費を抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一の実施形態の電源管理装置を説明するためのシステムを示すブロック図である。
図2】第二の実施形態の電源管理装置を説明するためのシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明の電源管理装置は、電子制御装置のマイコンからの電源オフ要求信号を受けると、電子制御装置の電源回路をオフする機能を有している。電子制御装置の電源回路をオンする機能は、他の制御装置に備わっているので、ここでは説明しない。また、電子制御装置については、電源管理装置と電源回路とマイコンのみを記載して、その他の回路は省略する。
【0010】
<第一の実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態の電源管理装置を説明するためのシステムを示すブロック図である。
図1のシステムは、電子制御装置10と、バッテリ11を備えている。電子制御装置10は、電源回路12と、マイコン13と、電源管理装置100を備えている。電源管理装置100は、入力端子101と、出力端子102と、入力検出回路110と、タイマー回路111と、時間調整回路112と、入力診断回路113と、出力回路114を備えている。
【0011】
バッテリ11は、正極端子が電源管理装置100の電源端子と電源回路12の入力端子に接続され、負極端子が接地端子に接続されている。電源回路12は、出力端子がマイコン13の電源端子に接続され、オンオフ制御端子が電源管理装置100の出力端子102に接続されている。マイコン13の出力端子は、電源管理装置100の入力端子101に接続されている。
【0012】
入力検出回路110は、入力端子が入力端子101に接続され、出力端子がタイマー回路111の入力端子と入力診断回路113の第一入力端子に接続されている。タイマー回路111は、時間調整端子が時間調整回路112の出力端子に接続され、第一出力端子が出力回路114の第一入力端子に接続され、第二出力端子が入力診断回路113の第二入力端子に接続されている。入力診断回路113の出力端子は、出力回路114の第二入力端子に接続されている。出力回路114の出力端子は、電源管理装置100の出力端子102に接続されている。
【0013】
係る構成の電源管理装置100を含むシステムの動作について、以下に説明する。
【0014】
バッテリ11は、電源管理装置100と電源回路12にバッテリ電圧Vbatを供給する。電源回路12は、電源管理装置100から電源オンを指示する信号がオンオフ制御端子に入力されている時、マイコン13の電源端子に動作電圧である電源電圧Vddを出力する。また、電源回路12は、電源管理装置100から電源オフを指示する信号がオンオフ制御端子に入力されている時、電源電圧Vddの出力を停止する。電源回路12の出力端子の電圧は、電源電圧Vddの出力を停止している時、接地端子と同じ電圧になる。
【0015】
マイコン13は、通常の動作状態において、出力端子から電源オフ要求信号を電源管理装置100に出力しない。マイコン13は、例えば、他の制御装置からシステムの停止を指示されると、オフ処理状態に移行し、出力端子から電源オフ要求信号を電源管理装置100に出力する。
【0016】
電源管理装置100は、入力端子101から電源オフ要求信号が入力されていない時、出力端子102から電源回路12に電源オン指示信号を出力する。また、入力端子101から電源オフ要求信号が入力されると、時間調整回路112で決まる所定の電源保持時間が経過後に出力端子102から電源回路12に電源オフ指示信号を出力する。例えば、電源オフ要求信号は、電圧“L”レベルがオフ要求とする。
【0017】
タイマー回路111は、時間調整回路112によって、電子制御装置10がオフする時にマイコン13が実行する処理に必要な電源保持時間に設定される。そのようにすることで、マイコン13は、電源回路12からの電源供給が遮断される前に、電子制御装置10がオフする時に必要な処理を終了することが出来る。
【0018】
次に、電源管理装置100について、電源回路12が、マイコン13に電源供給を行っている状態から電源供給を停止するまでの動作を説明する。
【0019】
タイマー回路111は、時間調整回路112によって予め上述したカウント値が設定されている。入力診断回路113は、入力異常フラグが初期状態として0に設定されている。
【0020】
入力検出回路110は、入力端子101から電源オフ要求信号が入力されると、タイマー回路111と入力診断回路113にカウント開始の信号を出力する。タイマー回路111は、入力検出回路110から信号を受けるとカウント処理を開始し、第二出力端子から入力診断回路113にカウント処理中であることを示す信号を出力する。
【0021】
タイマー回路111は、設定されたカウント値に達すると、即ち所定の電源保持時間が経過すると、第一出力端子から出力回路114にオフ指示信号を出力し、第二出力端子から出力している信号を停止する。出力回路114は、タイマー回路111からオフ指示信号を受け取ると、出力端子102に電源オフ指示信号を出力する。電源回路12は、電源オフ指示信号が入力されると、マイコン13への電源供給を停止する。入力検出回路110は、マイコン13からの電源オフ要求信号が停止すると、タイマー回路111と入力診断回路113に出力しているカウント開始の信号を停止する。
【0022】
ここで、マイコン13の電源オフ要求信号に異常があった場合、例えば、所定の時間が経過する前に信号が停止出力を繰り返した場合について説明する。
【0023】
入力検出回路110は、電源オフ要求信号が停止すると、タイマー回路111と入力診断回路113に出力しているカウント開始の信号を停止する。入力診断回路113は、カウント開始の信号が停止したとき、タイマー回路111からカウント処理中であることを示す信号を入力されていると、入力異常フラグをインクリメントする。タイマー回路111は、カウント開始の信号が停止したとき、時間カウント処理を中止してカウントした時間を初期化し、入力診断回路113への信号を停止する。
【0024】
入力診断回路113は、入力異常フラグが所定の異常判断定数Nを超えたか否かを判定する。入力異常フラグがNを超えた場合、入力診断回路113は、出力回路114にオフ指示信号を出力し、入力異常フラグを初期化する。出力回路114は、入力診断回路113からオフ指示信号を受け取ると、出力端子102に電源オフ指示信号を出力する。
【0025】
ここで、異常判断定数Nは1以上の整数であり、大きめに設定すると入力信号のノイズを誤って異常と判断することを防止出来る。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の電源管理装置100は、電源オフ要求信号の異常を検出する入力診断回路を備えたので、電源オフ要求信号の異常時に電子制御装置10への電源供給を遮断することが可能となり、不要なバッテリの電力消費を抑えることが出来る。
【0027】
<第二の実施形態>
図2は、第二の実施形態の電源管理装置を説明するためのシステムを示すブロック図である。
【0028】
図2の電源管理装置200は、電源管理装置100に対して入力診断回路213を備えている。入力診断回路213は、タイマー回路211と、時間調整回路212を備えている。なお、図1に示すシステムと同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0029】
タイマー回路211は、第一入力端子が入力検出回路110の出力端子に接続され、第二入力端子がタイマー回路111の第二出力端子に接続され、時間調整端子が時間調整回路212の出力端子に接続され、出力端子が出力回路114の第二入力端子に接続されている。
【0030】
係る構成の電源管理装置200を含むシステムの動作について、電源回路12が、マイコン13に電源供給を行っている状態から電源供給を停止するまでの動作を説明する。
【0031】
本実施形態では、マイコン13は、それぞれパルス幅の異なる電源オフ要求信号とトリガー信号とオフ処理停止信号を出力し、入力検出回路110は、それぞれの信号をパルス幅で検出することが出来る構成となっている。
【0032】
タイマー回路111は、時間調整回路112によって予め第一のカウント値が設定されている。タイマー回路211は、時間調整回路212によって予め第二のカウント値が設定されている。第一のカウント値は、電子制御装置10がオフする時にマイコン13が実行する処理に必要な時間である。第二のカウント値は、マイコン13が正常なオフ処理をしていることを監視するための監視時間である。
【0033】
入力検出回路110は、マイコン13から電源オフ要求信号が入力されると、タイマー回路111にカウント開始の信号を出力する。タイマー回路111は、入力検出回路110から信号を受けるとカウント処理を開始し、第二出力端子から入力診断回路213のタイマー回路211にカウント処理中であることを示す信号を出力する。タイマー回路211は、タイマー回路111から信号を受けると、カウント処理を開始する。
【0034】
マイコン13は、正常なオフ処理をしているとき、第二のカウント値よりも短い間隔でトリガー信号を出力する。入力検出回路110は、マイコン13のトリガー信号を入力すると、タイマー回路211に正常なオフ処理を示す信号を出力する。タイマー回路211は、正常なオフ処理を示す信号を受けると、カウンタをリセットしてカウント処理を続ける。
【0035】
タイマー回路111は、第一のカウント値で決まる所定の時間が経過すると、第一出力端子から出力回路114にオフ指示信号を出力し、第二出力端子から出力している信号を停止する(正常なオフ処理)。
【0036】
次に、マイコン13が異常なオフ処理をしているときの処理について説明する。
例えば、マイコン13が第二のカウント値よりも短い間隔でトリガー信号を出力しない、または、所定のパルス幅のトリガー信号を出力しなかったとき、入力検出回路110は、タイマー回路211に正常なオフ処理を示す信号を出力しない。タイマー回路211は、第二のカウント値で決まる所定の時間(監視時間)が経過すると、出力回路114にオフ指示信号を出力する。
【0037】
以上、マイコン13が正常または異常なオフ処理した時の電源管理装置200の動作を説明したが、マイコン13は、オフ処理を中止したい場合はオフ処理停止信号を出力すればよい。オフ処理停止信号は、例えば、電源オフ要求信号よりもパルス幅を長く設定すればよい。
【0038】
以上説明したように、本発明の電源監視回路は、電子制御装置が出力する電源オフ要求信号の異常を検出する入力診断回路を備えたので、電源オフ要求信号の異常時に電子制御装置への電源供給を遮断することが可能となり、不要なバッテリの電力消費を抑えることが出来る。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0040】
例えば、カウント値を予めタイマー回路111とタイマー回路211に設定する構成にすれば、時間調整回路112と時間調整回路212は設けなくても良い。また例えば、時間調整回路112と時間調整回路212は、マイコン13からのデータ信号で時間の設定がされても良い。
【0041】
また例えば、第二の実施形態において、入力検出回路110が出力する正常なオフ処理を示す信号は、トリガー信号であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
100、200 電源管理装置
110 入力検出回路
111、211 タイマー回路
112、212 時間調整回路
113、213 入力診断回路
114 出力回路
図1
図2