(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】ラーメン高架橋及びラーメン高架橋の構築方法
(51)【国際特許分類】
E01D 19/02 20060101AFI20230810BHJP
E01D 1/00 20060101ALI20230810BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
E01D19/02
E01D1/00 D
E01D21/00 B
(21)【出願番号】P 2019229920
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 智明
(72)【発明者】
【氏名】大塚 隆人
(72)【発明者】
【氏名】山本 達也
(72)【発明者】
【氏名】米山 睦美
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 いぶき
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-023712(JP,A)
【文献】特開2011-185013(JP,A)
【文献】特開2015-094075(JP,A)
【文献】特開2001-055704(JP,A)
【文献】特開平11-247109(JP,A)
【文献】特開2004-156292(JP,A)
【文献】特開2007-197975(JP,A)
【文献】米国特許第05771518(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/02
E01D 1/00
E01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に配列された複数の柱と、前記複数の柱上に接合された縦梁とを有するラーメン高架橋であって、
前記複数の柱のうちの少なくとも1つは、前記縦梁を挟む配置に立設された一対の柱材と、その一対の柱材上に接合された横梁とを備えて構成されており、前記横梁上に前記縦梁が接合され
るようになっており、
前記柱の上端部及び前記横梁には、それぞれ対向する柱に向けて張り出した第一張出部が設けられており、
前記第一張出部の上面に載置された状態の前記縦梁の端部が、前記柱上又は前記横梁上にそれぞれ接合されていることを特徴とするラーメン高架橋。
【請求項2】
前記横梁は、前記柱材の上面に形成された第1接合部によって前記柱材に接合されており、
前記縦梁は、前記横梁の上面に形成された第2接合部によって前記横梁に接合されていることを特徴とする請求項1に記載のラーメン高架橋。
【請求項3】
前記一対の柱材の上端部には、対向する柱材に向けて張り出した第二張出部が設けられており、
前記第二張出部の上面に載置された状態の前記横梁の端部が、それぞれ前記柱材上に接合されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載のラーメン高架橋。
【請求項4】
所定方向に配列された複数の柱と、前記複数の柱上に接合された縦梁とを有し、前記複数の柱のうちの少なくとも1つは、前記縦梁を挟む配置に立設された一対の柱材と、その一対の柱材上に接合された横梁とを備えて構成されており、前記横梁上に前記縦梁が接合されているラーメン高架橋の構築方法であって、
上端面から鉄筋を突出させている柱を少なくとも1本、立設する工程と、
上端面から鉄筋を突出させている柱材を少なくとも一対、立設する工程と、
両端部から第1鉄筋が突出され、上面から第2鉄筋が突出されている横梁の前記第1鉄筋を前記柱材の鉄筋と交差させるように、前記横梁の端部をそれぞれ前記柱材の上端面の一部に載置して一対の柱材間に掛け渡す工程と、
前記柱材の上端面にコンクリートを打設して、前記柱材と前記横梁を接合する工程と、
縦梁の一端部から突出させている鉄筋を前記柱の鉄筋と交差させるとともに、その一端部を前記柱の上端面の一部に載置し、前記縦梁の他端部から突出させている鉄筋を前記横梁の第2鉄筋と交差させるとともに、その他端部を前記横梁の上面の一部に載置して、前記縦梁を前記柱と前記横梁の間に掛け渡す工程と、
前記柱の上端面にコンクリートを打設して前記柱と前記縦梁を接合し、前記横梁の上面にコンクリートを打設して前記横梁と前記縦梁を接合する工程と、
を有することを特徴とするラーメン高架橋の構築方法。
【請求項5】
所定方向に配列された複数の柱と、前記複数の柱上に接合された縦梁とを有し、前記複数の柱のうちの少なくとも1つは、前記縦梁を挟む配置に立設された一対の柱材と、その一対の柱材上に接合された横梁とを備えて構成されており、前記横梁上に前記縦梁が接合されているラーメン高架橋の構築方法であって、
上端面から鉄筋を突出させている柱材を少なくとも二対、立設する工程と、
両端部から第1鉄筋が突出され、上面から第2鉄筋が突出されている横梁の前記第1鉄筋を前記柱材の鉄筋と交差させるように、前記横梁の端部をそれぞれ前記柱材の上端面の一部に載置して、対を成す柱材間にそれぞれ前記横梁を掛け渡す工程と、
前記柱材の上端面にコンクリートを打設して、前記柱材と前記横梁を接合する工程と、
縦梁の一端部から突出させている鉄筋を一方の横梁の第2鉄筋と交差させるとともに、その一端部を前記一方の横梁の上面の一部に載置し、前記縦梁の他端部から突出させている鉄筋を他方の横梁の第2鉄筋と交差させるとともに、その他端部を前記他方の横梁の上面の一部に載置して、前記縦梁を前記一方の横梁と前記他方の横梁の間に掛け渡す工程と、
前記横梁の上面にコンクリートを打設して前記横梁と前記縦梁を接合する工程と、
を有することを特徴とするラーメン高架橋の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラーメン高架橋及びラーメン高架橋の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋の上部構造である桁部の両端が支承部によって支持されて、橋台(下部構造)間に架設されてなる高架橋構造が知られている。
そして、このような高架橋構造の施工性の向上を図った技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の高架橋構造において、支承部が要求性能を満たさなくなった場合には、その支承部を交換するなどメンテナンスが必要となる。
【0005】
本発明の目的は、施工し易く耐久性に優れたラーメン高架橋及びラーメン高架橋の構築方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本出願に係る一の発明は、
所定方向に配列された複数の柱と、前記複数の柱上に接合された縦梁とを有するラーメン高架橋であって、
前記複数の柱のうちの少なくとも1つは、前記縦梁を挟む配置に立設された一対の柱材と、その一対の柱材上に接合された横梁とを備えて構成されており、前記横梁上に前記縦梁が接合されるようになっており、
前記柱の上端部及び前記横梁には、それぞれ対向する柱に向けて張り出した第一張出部が設けられており、
前記第一張出部の上面に載置された状態の前記縦梁の端部が、前記柱上又は前記横梁上にそれぞれ接合されているようにした。
【0007】
かかる構成のラーメン高架橋であれば、メンテナンスが必要な支承部を備えた従来技術の高架橋構造よりも耐久性に優れるので、維持管理し易い。
また、柱材の上に横梁を接合するのに、柱材の上端面にコンクリートを打設するようにしたり、横梁の上に縦梁を接合するのに、横梁の上面にコンクリートを打設するようにしたり、柱の上に縦梁を接合するのに、柱の上端面にコンクリートを打設するようにしたりすれば、大掛かりな支保工足場が不要となって工期が短縮されるので、施工性よくラーメン高架橋が構築される。
また、縦梁の端部と柱および縦梁の端部と横梁をコンクリートなどで接合する接合部をより大きく確保することができ、その接合部による接合強度を高めることができる。
また、縦梁の端部と柱および縦梁の端部と横梁をコンクリートなどで接合する接合部の断面を任意の大きさに設定でき、架設時の部材据え付け幅の確保とその接合部による接合耐力を調整できる。
【0008】
また、望ましくは、
前記横梁は、前記柱材の上面に形成された第1接合部によって前記柱材に接合されており、
前記縦梁は、前記横梁の上面に形成された第2接合部によって前記横梁に接合されているようにする。
【0009】
柱材の上端面に例えばコンクリートを打設して形成した第1接合部によって柱材と横梁を接合したり、横梁の上面に例えばコンクリートを打設して形成した第2接合部によって横梁と縦梁を接合したりすれば、大掛かりな支保工足場が不要となって工期が短縮されるので、施工性よくラーメン高架橋が構築される。
【0012】
また、望ましくは、
前記一対の柱材の上端部には、対向する柱材に向けて張り出した第二張出部が設けられており、
前記第二張出部の上面に載置された状態の前記横梁の端部が、それぞれ前記柱材上に接合されているようにする。
【0013】
こうすることで、横梁の端部と柱材をコンクリートなどで接合する接合部をより大きく確保することができ、その接合部による接合強度を高めることができる。
また、横梁の端部と柱材をコンクリートなどで接合する接合部の断面を任意の大きさに設定でき、架設時の部材据え付け幅の確保とその接合部による接合耐力を調整できる。
【0014】
また、本出願に係る他の発明は、
上記のラーメン高架橋の構築方法であって、
上端面から鉄筋を突出させている柱を少なくとも1本、立設する工程と、
上端面から鉄筋を突出させている柱材を少なくとも一対、立設する工程と、
両端部から第1鉄筋が突出され、上面から第2鉄筋が突出されている横梁の前記第1鉄筋を前記柱材の鉄筋と交差させるように、前記横梁の端部をそれぞれ前記柱材の上端面の一部に載置して一対の柱材間に掛け渡す工程と、
前記柱材の上端面にコンクリートを打設して、前記柱材と前記横梁を接合する工程と、
縦梁の一端部から突出させている鉄筋を前記柱の鉄筋と交差させるとともに、その一端部を前記柱の上端面の一部に載置し、前記縦梁の他端部から突出させている鉄筋を前記横梁の第2鉄筋と交差させるとともに、その他端部を前記横梁の上面の一部に載置して、前記縦梁を前記柱と前記横梁の間に掛け渡す工程と、
前記柱の上端面にコンクリートを打設して前記柱と前記縦梁を接合し、前記横梁の上面にコンクリートを打設して前記横梁と前記縦梁を接合する工程と、
を有するようにする。
【0015】
この構築方法でラーメン高架橋を構築するにあたり、柱材と横梁を接合する工程と、横梁と縦梁を接合する工程と、柱と縦梁を接合する工程とがあるが、それぞれの工程で、柱材の上端面にコンクリートを打設して柱材と横梁を接合し、横梁の上面にコンクリートを打設して横梁と縦梁を接合し、柱の上端面にコンクリートを打設して柱と縦梁を接合することができるので、大掛かりな支保工足場が不要となって工期を短縮することができ、施工性よくラーメン高架橋を構築することができる。
【0016】
また、本出願に係る他の発明は、
上記のラーメン高架橋の構築方法であって、
上端面から鉄筋を突出させている柱材を少なくとも二対、立設する工程と、
両端部から第1鉄筋が突出され、上面から第2鉄筋が突出されている横梁の前記第1鉄筋を前記柱材の鉄筋と交差させるように、前記横梁の端部をそれぞれ前記柱材の上端面の一部に載置して、対を成す柱材間にそれぞれ前記横梁を掛け渡す工程と、
前記柱材の上端面にコンクリートを打設して、前記柱材と前記横梁を接合する工程と、
縦梁の一端部から突出させている鉄筋を一方の横梁の第2鉄筋と交差させるとともに、その一端部を前記一方の横梁の上面の一部に載置し、前記縦梁の他端部から突出させている鉄筋を他方の横梁の第2鉄筋と交差させるとともに、その他端部を前記他方の横梁の上面の一部に載置して、前記縦梁を前記一方の横梁と前記他方の横梁の間に掛け渡す工程と、
前記横梁の上面にコンクリートを打設して前記横梁と前記縦梁を接合する工程と、
を有するようにする。
【0017】
この構築方法でラーメン高架橋を構築するにあたり、柱材と横梁を接合する工程と、横梁と縦梁を接合する工程とがあるが、それぞれの工程で、柱材の上端面にコンクリートを打設して柱材と横梁を接合し、横梁の上面にコンクリートを打設して横梁と縦梁を接合することができるので、大掛かりな支保工足場が不要となって工期を短縮することができ、施工性よくラーメン高架橋を構築することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、施工し易く耐久性に優れたラーメン高架橋が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態のラーメン高架橋を示す概略斜視図である。
【
図2】ラーメン高架橋を構築する手順に関する説明図である。
【
図3】ラーメン高架橋を構築する手順に関する説明図である。
【
図4】ラーメン高架橋を構築する手順に関する説明図である。
【
図5】ラーメン高架橋を構築する手順に関する拡大説明図である。
【
図6】ラーメン高架橋を構築する手順に関する説明図である。
【
図7】ラーメン高架橋を構築する手順に関する説明図である。
【
図8】ラーメン高架橋を構築する手順に関する拡大説明図である。
【
図9】本実施形態のラーメン高架橋の変形例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係るラーメン高架橋及びラーメン高架橋の構築方法の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0021】
本実施形態のラーメン高架橋100は、所定方向に配列された複数の柱1と、その複数の柱1上に接合された縦梁2とを有している。
このラーメン高架橋100における、所定方向(橋軸方向)に配列された複数の柱1のうちの少なくとも1つは、例えば、
図1に示すように、縦梁2を挟む配置に立設された一対の柱材10と、その一対の柱材10上に接合された横梁20とを備えて構成された門型の柱であり、縦梁2は門型の柱の横梁20上に接合されている。
ここでは、2本の柱1の間に、一対の柱材10と横梁20とで構成された門型の柱が配列されている部分のラーメン高架橋100を図示している。
【0022】
横梁20は、柱材10の上面に形成された第1接合部3によって柱材10に接合されている。
縦梁2は、横梁20の上面に形成された第2接合部4によって横梁20に接合されている。
また、縦梁2は、柱1の上面に形成された第3接合部5によって柱1に接合されている。
【0023】
具体的には、一対の柱材10の上端部には、対向する柱材10に向けて張り出した張出部11が設けられており、その張出部11の上面に載置された横梁20の端部が、それぞれ柱材10上に第1接合部3によって接合されている。
また、柱1の上端部には、対向する柱1(ここでは門型の柱)に向けて張り出した張出部15が設けられており、また横梁20には、対向する柱1に向けて張り出した張出部21が設けられている。そして、柱1の張出部15の上面に載置された縦梁2の端部が、柱1上に第3接合部5によって接合され、横梁20の張出部21の上面に載置された縦梁2の端部が、横梁20上に第2接合部4によって接合されている。
なお、柱材10の張出部11や柱1の張出部15や横梁20の張出部21は設けられていなくてもよく、その場合には仮受けブラケットを用い、仮受けブラケットの上面に横梁20の端部や縦梁2の端部を載置するようにすればよい。
【0024】
次に、このラーメン高架橋100を構築する手順(構築方法)について説明する。
【0025】
まず、
図2に示すように、上端面から鉄筋1aを突出させている柱1と、上端面から鉄筋10aを突出させている柱材10を地面に立設する。
ここでは、所定間隔をあけた配置に2本の柱1の立設し、その2本の柱1の間となる配置に一対の柱材10を立設している。なお、柱1と柱材10は、予め地中に埋設された基礎(図示省略)の上部に定着させるように立設されている。
【0026】
また、
図3に示すように、所定の作業場において、プレキャスト部材である横梁20と縦梁2を作製する。
ここでの縦梁2は、短手方向に断面視した際、「T」が2つ並んだ断面形状を呈する(
図8参照)長尺な梁部材であり、その両端部には矩形状の端面板が設けられている。縦梁2は、その端面板を貫くように両端部から複数の鉄筋2aを突出させた態様に形成されている。なお、鉄筋2aは予め端面板を貫くように突出させた態様に形成されているのではなく、後から端面板に貫入させるようにネジ付き鉄筋を設置する態様で形成されていてもよい。
横梁20は、その両端部から複数の第1鉄筋20aを突出させた態様であって、その上面から複数の第2鉄筋20bを突出させた態様に形成されている。
なお、ここでは、1本の横梁20と、2本の縦梁2を作製している。
【0027】
次いで、
図4、
図5に示すように、横梁20の第1鉄筋20aを柱材10の鉄筋10aと交差させるように、横梁20の端部をそれぞれ柱材10の上端面に載置して、横梁20を一対の柱材10間に掛け渡す。
このとき、横梁20の端部を柱材10の張出部11の上に載置して、横梁20を一対の柱材10間に掛け渡している。横梁20はクレーン架設によって一対の柱材10間に掛け渡される。
なお、横梁20の第1鉄筋20aと柱材10の鉄筋10aとにコの字鉄筋を重ねて配置し、溶接によってコの字鉄筋をそれぞれの鉄筋に接合するようにしてもよい。
【0028】
次いで、
図6に示すように、柱材10の上に所定の型枠を設置し、柱材10の上端面にコンクリートを打設して、柱材10と横梁20を接合する。
打設されたコンクリートが硬化して柱材10と横梁20を接合した部分が第1接合部3である。なお、コンクリートが硬化した後、型枠は取り外される。
このように、柱材10と横梁20を接合する第1接合部3は、柱材10の上端面にコンクリートを打設するようにして形成することができるので、大掛かりな支保工足場が不要である。
【0029】
次いで、
図7、
図8に示すように、縦梁2の一端部から突出している鉄筋2aの少なくとも一部を柱1の鉄筋1aと交差させるとともに、その一端部を柱1の上端面に載置し、縦梁2の他端部から突出している鉄筋2aの少なくとも一部を横梁20の第2鉄筋20bと交差させるとともに、その他端部を横梁20の上面に載置して、縦梁2を柱1と横梁20の間に掛け渡す。
このとき、縦梁2の一端部を柱1の張出部15の上に載置し、縦梁2の他端部を横梁20の張出部21の上に載置して、縦梁2を柱1と横梁20の間に掛け渡している。縦梁2はクレーン架設によって柱1と横梁20の間に掛け渡される。
なお、横梁20の上で対向配置された鉄筋2a同士を、例えばカプラーを用いた機械式継手で接合するようにしてもよい。
【0030】
次いで、横梁20の上に所定の型枠を設置し、横梁20の上面にコンクリートを打設して、横梁20と縦梁2を接合する。打設されたコンクリートが硬化して横梁20と縦梁2を接合した部分が第2接合部4である。なお、コンクリートが硬化した後、型枠は取り外される。このように、横梁20と縦梁2を接合する第2接合部4は、横梁20の上端面にコンクリートを打設するようにして形成することができるので、大掛かりな支保工足場が不要である。
また、柱1の上に所定の型枠を設置し、柱1の上端面にコンクリートを打設して、柱1と縦梁2を接合する。打設されたコンクリートが硬化して柱1と縦梁2を接合した部分が第3接合部5である。なお、コンクリートが硬化した後、型枠は取り外される。このように、柱1と縦梁2を接合する第3接合部5は、柱1の上端面にコンクリートを打設するようにして形成することができるので、大掛かりな支保工足場が不要である。
こうして、
図1に示すようなラーメン高架橋100が構築される。
【0031】
以上のように、このような構造のラーメン高架橋100であれば、メンテナンスが必要な支承部を備えた従来技術の高架橋構造よりも耐久性に優れるので、維持管理し易い。
特に、本実施形態のラーメン高架橋100を構築するにあたり、柱材10と横梁20を第1接合部3によって接合する工程と、横梁20と縦梁2を第2接合部4によって接合する工程と、柱1と縦梁2を第3接合部5によって接合する工程とがあるが、各接合部3,4,5を形成するのに大掛かりな支保工足場が不要であるため、工期を短縮することができ、施工性よくラーメン高架橋100を構築することができる。
また、大掛かりな支保工足場が不要であって上空作業が削減されるので、作業時の安全性の向上を図ることができる。
また、各接合部3,4,5は現場打ちにて形成されるので、接合部分の施工誤差を現場にて吸収することができる。
【0032】
また、このラーメン高架橋100は、横梁20上に縦梁2を接合した2層式のラーメン構造であるので、横梁20の上部に広く配筋し、縦梁2接合時の横桁幅を調整することによって、過度に過密な配筋となることを防ぐことができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図9に示すように、一対の柱材10と横梁20とで構成された門型の柱が2つ所定方向に配列され、その門型の柱の横梁20に縦梁2が掛け渡されて接合された構造のラーメン高架橋100であってもよい。
このような構造のラーメン高架橋100も同様に、耐久性に優れて維持管理し易い。
また、このラーメン高架橋100であっても、各接合部3,4,5を形成するのに大掛かりな支保工足場が不要であるため、工期を短縮することができ施工性よく構築することができる。
【0034】
なお、以上の実施の形態において、柱1、縦梁2、柱材10、横梁20からそれぞれ鉄筋(1a、2a、10a、20a、20b)が突出している態様を図示して説明したが、鉄筋の本数や形状は図示したものに限定されるのではなく、ラーメン高架橋100の構造等に応じて適宜変更可能である。
また、各接合部3,4,5における鉄筋は、全て交差していることに限らず、少なくとも一部の鉄筋が交差していればよい。
また、柱1、縦梁2、柱材10、横梁20からそれぞれ突出している鉄筋(1a、2a、10a、20a、20b)同士を、例えばコの字鉄筋などを用いて溶接したり、機械式継手による接合を施したりすることなども適宜可能である。その他、プレキャスト工法などで実施される周知の技術を適用可能であることは勿論である。
【0035】
また、ラーメン高架橋100は2径間、3径間に限らず、3径間以上であってもよい。
【0036】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
1 柱
1a 鉄筋
15 張出部(第一張出部)
2 縦梁
2a 鉄筋
10 柱材(一対の柱材)
10a 鉄筋
11 張出部(第二張出部)
20 横梁
20a 第1鉄筋
20b 第2鉄筋
21 張出部(第一張出部)
3 第1接合部
4 第2接合部
5 第3接合部