(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールアレイ構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20230810BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20230810BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
(21)【出願番号】P 2019229932
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】市川 直毅
(72)【発明者】
【氏名】神原 達二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田邊 友昭
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-144440(JP,A)
【文献】特開平10-140773(JP,A)
【文献】特開2011-202479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0216466(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
E04D 3/40
H02S 20/23-20/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池モジュールを含む太陽電池モジュールアレイと、
前記太陽電池モジュールアレイが設置される屋根と、
前記屋根を支え、互いに並んで設けられた複数の第1柱部材と、
前記第1柱部材を支え、前記第1柱部材に交差し、前記第1柱部材よりも高い強度を有する第2柱部材と、を有し、
前記第1柱部材の許容曲げ応力度を「fb」、前記第1柱部材の断面係数を「Z」、互いに隣接する前記第2柱部材どうしの間の距離を「l」、前記太陽電池モジュールアレイを構成する前記複数の太陽電池モジュールの全荷重を「P」としたときに、前記太陽電池モジュールアレイは、前記第2柱部材から、「a×(l-a)<fb×Z×l/P」の不等式を満たすような距離aの範囲内に設けられている、太陽電池モジュールアレイ構造。
【請求項2】
前記第1柱部材の細長比を「λb」とし、前記第1柱部材の塑性限界細長比を「pλb」とし、前記第1柱部材の弾性限界細長比を「eλb」とし、前記第1柱部材の長期応力に対する許容応力度を「F」とし、安全率を「ν」としたときに、前記許容曲げ応力度fbは、
「λb≦pλb」の場合に、
fb=F/ν
「pλb<λb≦eλb」の場合に、
fb=((1-0.4×((λb-pλb)/(eλb-pλb))×F)/ν
「eλb<λb」の場合に、
fb=(1/λb
2)×(F/2.17)
によって規定されている、請求項1に記載の太陽電池モジュールアレイ構造。
【請求項3】
前記第1柱部材は、前記第1柱部材の延在方向に直交する方向において、前記太陽電池モジュールアレイの中央に位置する、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールアレイ構造。
【請求項4】
複数の前記太陽電池モジュールアレイを含み、
各々の前記太陽電池モジュールアレイが、各々の前記太陽電池モジュールアレイの領域を通る前記第2柱部材から前記距離aの範囲内に設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールアレイ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の太陽電池モジュールを含む太陽電池モジュールアレイ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールのようなパネルは、建造物の屋根等に設置される。下記特許文献1では、複数の太陽光発電モジュールが、一般住宅の屋根上に密に配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
住宅や工場の屋根に設置される複数の太陽電池モジュールは、発電量を多くするため、一般的に互いに高密度に配置される。ここで、住宅の屋根は、屋根を支える桁と垂木が比較的高密度に配置されているので、太陽電池モジュールが高密度に配置されたとしても耐荷重性に問題が生じることは少ない。
【0005】
ここで、例えば工場のような建造物の屋根は、強度の高い複数の第2柱部材(例えば大梁)と、第2柱部材と交差して延びる強度の低い複数の第1柱部材(例えば母屋又は小梁)とにより支えられている。互いに隣接する第2柱部材どうしの間隔が、比較的大きい、例えば互いに隣接する第1柱部材どうしの間隔よりも十分に大きいことがある。この場合、屋根の単位面積当たりの積載荷重(許容値)が低くなるため、複数の太陽電池モジュールは、互いに間隔をあけて配置されることがある。
【0006】
ここで、本願の発明者は、以下のような課題を見出した。複数の太陽電池モジュールの単位面積当たりの荷重が屋根の単位面積当たりの積載荷重を超えなくても、強度の高い第2柱部材どうしの中心の領域に局所的に荷重がかかると、第1柱部材に高い負荷がかかってしまい、屋根の耐久性に懸念が生じ得る。
【0007】
したがって、屋根に対する安全性をより確保できる太陽電池モジュールアレイ構造が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る太陽電池モジュールアレイ構造は、複数の太陽電池モジュールを含む太陽電池モジュールアレイと、前記太陽電池モジュールアレイが設置される屋根と、前記屋根を支え、互いに並んで設けられた複数の第1柱部材と、前記第1柱部材を支え、前記第1柱部材に交差し、前記第1柱部材よりも高い強度を有する第2柱部材と、を有する。前記第1柱部材の許容曲げ応力度を「fb」、前記第1柱部材の断面係数を「Z」、互いに隣接する前記第2柱部材どうしの間の距離を「l」、前記太陽電池モジュールアレイを構成する前記太陽電池モジュールの全荷重を「P」としたときに、前記太陽電池モジュールアレイは、前記第2柱部材から、「a×(l-a)<fb×Z×l/P」の不等式を満たすような距離aの範囲内に設けられている。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、屋根に対する安全性をより確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る太陽電池モジュールアレイ構造の模式的上面図である。
【
図2】
図1の2A-2A線に沿った太陽電池モジュールアレイ構造の模式的断面図である。
【
図3】参考例に係る太陽電池モジュールアレイ構造の模式的上面図である。
【
図4】本実施形態に係る太陽電池モジュールアレイと参考例に係る太陽電池モジュールアレイにおいて、第1柱部材の撓みの大きさを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0012】
図1は、一実施形態に係る太陽電池モジュールアレイ構造の模式的上面図である。
図2は、
図1の2A-2A線に沿った太陽電池モジュールアレイ構造の模式的断面図である。
【0013】
なお、
図1では、太陽電池モジュールアレイ100が設置される屋根は示されておらず、屋根を支える第1柱部材210及び第2柱部材220のみが点線にて示されている。また、
図1では、それぞれの太陽電池モジュール110を屋根に固定するための固定具も便宜上示されていない。
【0014】
太陽電池モジュールアレイ構造10は、複数の太陽電池モジュール110を含む太陽電池モジュールアレイ100と、太陽電池モジュールアレイ100が設置される屋根200と、を有する。太陽電池モジュールアレイ100は、建造物の屋根200上に設置されている。
【0015】
図1に示す例では、太陽電池モジュールアレイ構造10は、
図1のX方向に互いに間隔をあけて設けられた2つの太陽電池モジュールアレイ100を含む。この例に限られず、太陽電池モジュールアレイ構造10は、複数の太陽電池モジュールアレイ100を含んでいてよい。また、複数の太陽電池モジュールアレイ100は、一方向にのみ並んでいてもよく、互いに交差する2つの方向に並んでいてもよい。
【0016】
それぞれの太陽電池モジュールアレイ100に含まれる複数の太陽電池モジュール110は、互いに接して又は間隔をあけて並んでいてよい。それぞれの太陽電池モジュールアレイ100に含まれる複数の太陽電池モジュール110は、一方向にのみ並んでいてもよく、互いに交差する2つの方向に並んでいてもよい。一例として、
図1では、それぞれの太陽電池モジュールアレイ100に含まれる太陽電池モジュール110は、X方向に4つ並んでおり、Y方向に3つ並んでいる。
【0017】
ここで、それぞれの太陽電池モジュールアレイ100に含まれる複数の太陽電池モジュール110どうしの間隔G2は、互いに隣接する太陽電池モジュールアレイ100どうしの間の間隔G1よりも狭い。
【0018】
それぞれの太陽電池モジュールアレイ100に含まれる複数の太陽電池モジュール110どうしの間隔G2は、例えば0cm~20cm、好ましくは1cm~10cm、より好ましくは2cm~5cmの範囲であってよい。なお、「G2=0cm」は、太陽電池モジュール110どうしが互いに接していることを意味する。このように、太陽電池モジュールアレイ100は、密に配列されている複数の太陽電池モジュール110の群によって規定されていてよい。
【0019】
それぞれの太陽電池モジュール110は、固定具300によって屋根200に取り付けられていてよい。固定具300の種類や形状等は特に制限されず、固定具300は太陽電池モジュール110を屋根200に取り付け可能であればよい。なお、固定具300は、互いに隣接する太陽電池モジュール110の両方を積載可能な構造を有していてもよい。
図2に示す例では、X方向に互いに隣接する太陽電池モジュール110は、同一の固定具300上に積載されている。この場合、太陽電池モジュールアレイ100は、固定具300によって連結された複数の太陽電池モジュール110の群によって規定されていてもよい。
【0020】
それぞれの太陽電池モジュールアレイ100は、複数の太陽電池モジュール110を含んでいてよい。太陽電池モジュール110は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換パネルを含んでいてよい。光電変換パネルは、いわゆる薄膜系の光電変換素子を含んでいてもよく、いわゆる結晶系の光電変換素子、例えば結晶シリコンを用いた素子を含んでいてもよい。
【0021】
次に、
図2を参照しつつ、屋根200及び屋根200の支持構造の一例について説明する。本発明において屋根200の構造は特に制限されない。
図2に示す例では、屋根200は、屋根材202と、断熱材204と、天井206と、を含んでいる。屋根材202は、屋根200の上部に設けられ、太陽電池モジュール110に面する。この例に限らず、屋根200は、吹きさらしの建造物のように断熱材204等が存在しない屋根であってもよい。
【0022】
本実施形態において、屋根200は、第1柱部材210及び第2柱部材220によって支えられている。第1柱部材210は、屋根200を支えており、例えば母屋又は小梁のように比較的強度の低い部材によって構成される。第1柱部材210は例えば鋼材によって構成されていてよい。
【0023】
第1柱部材210は、一方向、図のX方向に沿って延びている。複数の第1柱部材210が、Y方向において互いに間隔をあけて設けられている。
【0024】
第2柱部材220は、第1柱部材210を支えており、例えば大梁のように比較的強度の高い部材によって構成される。具体的には、第2柱部材220は、第1柱部材210よりも高い強度を有する。より好ましい例では、第2柱部材220は、屋根を構成する梁のうち、最も強度の高い部材によって構成されていてよい。第2柱部材220は例えば鋼材によって構成されていてよい。
【0025】
第2柱部材220は、一方向、図のY方向に沿って延びている。すなわち、第2柱部材220は、第1柱部材210の延在方向と交差する方向に延びている。複数の第2柱部材220は、X方向において互いに間隔をあけて設けられている。互いに隣接する第2柱部材220どうしの間隔G4は、互いに隣接する第1柱部材210どうしの間隔G3よりも大きい。
【0026】
ここで、互いに隣接する第1柱部材210どうしの間隔G3は、例えば1m~10mの範囲であってよい。互いに隣接する第2柱部材220どうしの間隔G4は、例えば2m~15mの範囲であってよい。
【0027】
第2柱部材220は、第2柱部材220の延在方向に直交する方向、すなわち図のX方向において、各太陽電池モジュールアレイ10の中央に位置することが好ましい(
図1参照)。この場合、X方向において、第2柱部材220から各太陽電池モジュールアレイ10の端までの距離がなるべく小さくなるので、太陽電池モジュールアレイ10の荷重が比較的強度の高い第2柱部材220によって支持されやすくなる。そのため、太陽電池モジュール110が高密度に配置されている場合であっても、屋根200に対する安全性を確保し易くなる。
【0028】
具体的には、比較的強度の高い第2柱部材220の近くに複数の太陽電池モジュール110を密集させることによって、同じ数の太陽電池モジュール110が等間隔で配置された場合と比較すると、屋根200、特に比較的強度の低い第1柱部材210の耐久性を維持することができる。
図1に示すように、第2柱部材220の近くに複数の太陽電池モジュール110を密集させ、それによって、第2柱部材220どうしの間に太陽電池モジュール110が配置されない領域(距離G1に相当する領域)が設けられる。本実施形態では、この領域は、太陽電池モジュールアレイ10のメンテナンス用の通路として利用することもできる。
【0029】
例えば、
図3に示す参考例のように、太陽電池モジュール110が第2柱部材220どうしの間の領域全体に密に配置された場合、太陽電池モジュールアレイ10の荷重が、互いに隣接する第2柱部材220どうしの間の中心に強くかかる。これにより、第1柱部材210は、第2柱部材220どうしの間の中心で最も大きく撓む。
【0030】
図4は、本実施形態に係る太陽電池モジュールアレイと参考例に係る太陽電池モジュールアレイにおいて、第1柱部材210の撓みの大きさを示している。
図4に示すように、本実施形態では、太陽電池モジュールアレイ10が、互いに隣接する第2柱部材220どうしの間の中心付近で間隔G1を開けて配置されている。したがって、本実施形態における第1柱部材210の撓みは、第2柱部材220どうしの間の中心において、参考例における第1柱部材210の撓みよりも緩和される。これにより、第1柱部材210の耐久性を維持することができる。
【0031】
次に、本実施形態において、各々の太陽電池モジュールアレイ10の設置領域について、詳細に説明する。本願の発明者は、屋根200を支える柱部材のうち比較的強度の低い第1柱部材210の耐久性という観点から、太陽電池モジュールアレイ10の望ましい設置領域を見出した。
【0032】
まず、第1柱部材210にかかる曲げモーメントについて検討する。第1柱部材210が単純梁であるとし、第1柱部材210の、互いに隣接する第2柱部材220によって支えられた箇所を支点とし、両支点からそれぞれ距離a,bのところに下向きの偏芯荷重Pがかかった場合を想定する(
図2参照)。ここで、支点間の距離、すなわち互いに隣接する第2柱部材220どうしの間の距離を「l」とする。この場合、「a+b=l」であることに留意されたい。この場合、偏芯荷重Pの位置で第1柱部材210にかかる曲げモーメントMは、以下の式1によって算出される。
M=(P×a×b)/l (式1)
【0033】
一方、第1柱部材210の許容曲げモーメントMc、すなわち許容される最大の曲げモーメントは、第1柱部材210の横座屈を考慮した許容曲げ応力度fbと第1柱部材210の断面係数Zを用いて、以下の式2によって表される。
Mc=fb×Z (式2)
【0034】
ここで、断面係数Zは、第1柱部材210の断面形状に応じて定まる。第1柱部材210の横座屈を考慮した許容曲げ応力度fbは、例えば日本建築学会による鋼構造許容応力度設計規準によって定められる計算式によって算出されればよい。
【0035】
第1柱部材210に付加される曲げモーメントMは、許容曲げモーメントMc未満になることが望まれる。すなわち、以下の式3で表される不等式が満たされることが望まれる。
M<Mc (式3)
【0036】
上記の式3に、前述の式1及び式2を代入すると、以下の式4によって表される不等式が得られる。
P×a×b/l<fb×Z (式4)
【0037】
「b=l-a」を式4に代入し、式を整理すると、以下の式5によって表される不等式が得られる。
a×(l-a)<fb×Z×l/P (式5)
【0038】
式5は、第1柱部材210の安全性が維持される条件を表す。本実施形態では、太陽電池モジュールアレイ10のX方向における端の位置(
図2の位置A)に、偏芯荷重Pがかかると仮定する。ここで、偏芯荷重Pは、ある太陽電池モジュールアレイ10を構成する複数の太陽電池モジュール110の全荷重であると仮定すればよい。なお、前述の全荷重は、太陽電池モジュール110を設置するための固定具300の荷重を含むものであることが好ましい。ここで、全荷重がX方向における端の位置(
図2の位置A)に偏芯荷重Pとしてかかるという仮定は、等分布荷重の場合よりも高い負荷が第1柱部材210の位置Aにかかることを意味する。すなわち、前述した仮定は、実際の負荷よりも高い負荷が第1柱部材210の位置Aにかかることを意味しており、これにより式5は、第1柱部材210の安全性をより確保することができる条件を表すものとなることに留意されたい。
【0039】
本実施形態では、太陽電池モジュールアレイ10は、第2柱部材(支点)220から、「a×(l-a)<fb×Z×l/P」の不等式を満たすような距離aの範囲内に設けられる。これにより、第1柱部材210の耐久性をより確実に維持することができる。
【0040】
より好ましくは、各々の太陽電池モジュールアレイが、各々の第2柱部材220に対して設けられており、当該第2柱部材220から前述した距離aの範囲内に設けられていてよい。
【0041】
次に、前述した横座屈を考慮した許容曲げ応力度fbの設計の一例について検討する。例えば曲げ材の横座屈を考慮した許容曲げ応力度fbは、曲げ材の細長比λbに応じて、以下の式6~式8により表されることが知られている(日本建築学会「鋼構造設計規準(2005)」参照)。本実施形態では、曲げ材は、第1柱部材210である。
【0042】
(1)「λb≦pλb」の条件を満たす場合
fb=F/ν (式6)
(2)「pλb<λb≦eλb」の条件を満たす場合
fb=((1-0.4×((λb-pλb)/(eλb-pλb))×F)/ν(式7)
(3)「eλb<λb」の条件を満たす場合
fb=(1/λb2)×(F/2.17) (式8)
【0043】
式6~式8中に表記されたパラメータは以下のとおりである。
pλb:第1柱部材210の塑性限界細長比
eλb:第1柱部材210の弾性限界細長比
F :第1柱部材210の長期応力に対する許容応力度
ν :安全率
【0044】
弾性限界細長比eλbは、以下の式9により得られる。
eλb=1/(0.6)1/2 (式9)
【0045】
安全率νは、以下の式10により得られる。
ν=3/2+(2/3)×(λb/eλb)2 (式10)
【0046】
細長比λbは、(My/Me)1/2によって表される。ここで、「My」は、第1柱部材210の降伏モーメントであり、「Me」は第1柱部材210の弾性横座屈モーメントである。ここで、降伏モーメントMyは、以下の式11によって得られる。
My=F×Z (式11)
【0047】
弾性横座屈モーメントMeは、以下の式12によって得られる。
Me=C×(π4×E2×Iy×Iw/l4+(π2×E×Iy×G×J)/l2)1/2
(式12)
【0048】
ここで、式12中に表われる各記号は以下のとおりである。
C:許容曲げ応力度の補正係数
π:円周率
E:第1柱部材210のヤング係数
Iy:第1柱部材210の弱軸まわりの断面二次モーメント
Iw:第1柱部材210の曲げねじり定数
l:支点間の距離
G:第1柱部材210のせん断弾性係数
J:第1柱部材210のサンブナンのねじり定数
【0049】
したがって、式5中の「fb」は、式6~式8に式9~式12を代入することよって算出することができる。ここで、式6~式12中に記載のパラメータは、第1柱部材210の材質や形状に応じて決まることに留意されたい。
【0050】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0051】
10 太陽電池モジュールアレイ構造
100 太陽電池モジュールアレイ
110 太陽電池モジュール
200 屋根
210 第1柱部材
220 第2柱部材