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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/08 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
E02F9/08 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019231541
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021098985
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内丸 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】近藤 悠介
(72)【発明者】
【氏名】奥田 孝造
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/029821(WO,A1)
【文献】特開平11-093206(JP,A)
【文献】特開2010-168739(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0225926(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械本体と、
空気流れを形成するファンと、前記ファンを収容する筐体とを有し、前記作業機械本体上に設けられる冷却装置とを備え、
前記筐体は、前記空気流れの上流側に配置される第1側面と、前記空気流れの下流側に配置される第2側面と、前記第1側面および前記第2側面を接続する第3側面とを有し、
前記作業機械本体には、前記第1側面側に位置する第1通路と、前記第2側面側に位置し、上面視における前記作業機械本体の外側に配置される第2通路と、前記第3側面側に位置し、前記第1通路および前記第2通路を接続する第3通路とが設けられ
前記冷却装置は、流体が流れる流路を形成し、前記筐体に収容されるコアをさらに有し、
前記コアは、前記ファンよりも前記空気流れの上流側に配置される、作業機械。
【請求項2】
前記第1通路上の空間は、少なくとも、上方、および、前記第3通路が配置される方向において開放される、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記作業機械本体には、前記冷却装置に対して前記第3通路の反対側に配置される第4通路がさらに設けられ、
前記第1通路は、前記第3通路および前記第4通路を接続する、請求項1または2に記載の作業機械。
【請求項4】
上面視において前記第1側面と対向して配置されるキャブをさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項5】
前記第1側面と対向して配置される油圧機器をさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記冷却装置に対して前記第3通路の反対側に配置される作動油タンクをさらに備え、
前記第1通路および前記第2通路は、上面視において前記作動油タンクと対向する位置まで延びる、請求項1からのいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項7】
前記冷却装置は、前記筐体に収容され、前記ファンから前記第2側面に向けて突出するモータをさらに有し、
前記第2側面は、前記ファンの回転軸に直交する平面形状を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項8】
作業機械本体と、
空気流れを形成するファンと、前記ファンを収容する筐体とを有し、前記作業機械本体上に設けられる冷却装置とを備え、
前記筐体は、前記空気流れの上流側に配置される第1側面と、前記空気流れの下流側に配置される第2側面と、前記第1側面および前記第2側面を接続する第3側面とを有し、
前記作業機械本体には、前記第1側面側に位置する第1通路と、前記第2側面側に位置し、上面視における前記作業機械本体の外側に配置される第2通路と、前記第3側面側に位置し、前記第1通路および前記第2通路を接続する第3通路とが設けられ、
前記第2側面は、前記第1側面と平行に配置され、
前記第2側面には、前記ファンからの空気を前記第2通路上に排出するための通気孔が設けられる、作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開平11-93206号公報(特許文献1)には、上部旋回体と、上部旋回体上のチャンバ内に収容されたオイルクーラとを備える油圧ショベルが開示されている。上部旋回体上には、通行路を構成するフェンダが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-93206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示される油圧ショベルでは、オイルクーラの稼働に伴って、空気中の塵埃がオイルクーラ内部のファンまたはコア等に付着するため、オイルクーラの清掃作業を定期的に行なう必要がある。しかしながら、オイルクーラの周囲に設けられる通路のレイアウトによっては、オイルクーラの清掃時の作業性が大きく損なわれる可能性がある。
【0005】
また、オイルクーラは、油との熱交換により高温となった空気を排出する。この場合に、オイルクーラからの空気の排出位置によっては、高温の空気が油圧ショベルの性能に悪影響を与える可能性がある。
【0006】
そこで本開示の目的は、冷却装置の清掃時の作業性に優れ、かつ、冷却装置から排出される高温の空気に起因した性能低下を防ぐことが可能な作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った作業機械は、作業機械本体と、冷却装置とを備える。冷却装置は、ファンと、筐体とを有する。ファンは、空気流れを形成する。筐体は、ファンを収容する。冷却装置は、作業機械本体上に設けられる。筐体は、第1側面と、第2側面と、第3側面とを有する。第1側面は、空気流れの上流側に配置される。第2側面は、空気流れの下流側に配置される。第3側面は、第1側面および第2側面を接続する。作業機械本体には、第1通路と、第2通路と、第3通路とが設けられる。第1通路は、第1側面側に位置する。第2通路は、第2側面側に位置する。第2通路は、上面視における作業機械本体の外側に配置される。第3通路は、第3側面側に位置する。第3通路は、第1通路および第2通路を接続する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に従えば、冷却装置の清掃時の作業性に優れ、かつ、冷却装置から排出される高温の空気に起因した性能低下を防ぐことが可能な作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態における油圧ショベルを示す斜視図である。
図2】本開示の実施の形態における油圧ショベルを示す別の斜視図である。
図3図1中の旋回体上の構造物を示す断面図である。
図4図2中のオイルクーラの周辺の油圧ショベルを示す斜視図である。
図5図4中のV-V線上の矢視方向に見た油圧ショベルを示す断面図である。
図6図4中のVI-VI線上の矢視方向に見た油圧ショベルを示す断面図である。
図7図6中の筐体の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
図1および図2は、本開示の実施の形態における油圧ショベルを示す斜視図である。図1および図2に示されるように、油圧ショベル100は、車両本体11と、作業機12とを有する。車両本体11は、旋回体13と、走行装置15と、旋回装置38とを有する。
【0012】
旋回体13は、走行装置15上に設けられている。旋回装置38は、走行装置15および旋回体13の間に介挿されている。旋回装置38は、走行装置15に対して旋回体13を旋回させる。旋回体13の旋回中心軸210は、上下方向に延びる軸である。旋回体13は、キャブ31を有する。キャブ31には、オペレータが着座する運転席32が設けられている。オペレータは、キャブ31内に搭乗し、運転席32に着座して油圧ショベル100を操作する。
【0013】
なお、本明細書において、前後方向とは、運転席32に着座したオペレータの前後方向である。運転席32に着座したオペレータの正面方向が、前方であり、運転席32に着座したオペレータの背後方向が、後方である。左右方向(側方)とは、運転席32に着座したオペレータの左右方向である。運転席32に着座したオペレータが正面を向いたときの右側が、右方であり、運転席32に着座したオペレータが正面を向いたときの左側が、左方である。上下方向とは、前後方向および左右方向を含む平面に直交する方向である。地面のある側が、下方であり、空のある側が、上方である。
【0014】
走行装置15は、走行フレーム35と、左右一対の履帯36と、走行モータ37とを有する。
【0015】
走行フレーム35は、走行装置15の土台をなすフレーム体であり、履帯36および走行モータ37を支持している。走行フレーム35は、左右一対の履帯36の間に配置されている。走行フレーム35には、旋回装置38が取り付けられている。油圧ショベル100は、履帯36の回転により走行可能である。走行モータ37は、走行装置15における駆動源として設けられている。走行モータ37は、作動油が供給されることによって駆動される油圧モータである。なお、走行装置15が、車輪(タイヤ)を有してもよい。
【0016】
作業機12は、旋回体13の前端部に取り付けられている。作業機12は、車両本体11(旋回体13)により支持されている。作業機12は、地面の掘削などの作業を行なう。作業機12は、ブーム16と、アーム17と、バケット18とを有する。
【0017】
ブーム16は、ブームピン23を介して、車両本体11(旋回体13)に回動可能に連結されている。アーム17は、アームピン24を介して、ブーム16に回動可能に連結されている。バケット18は、バケットピン25を介して、アーム17に回動可能に連結されている。
【0018】
作業機12は、ブームシリンダ20(20L,20R)と、アームシリンダ21(21L,21R)と、バケットシリンダ22(22L,22R)とをさらに有する。ブームシリンダ20、アームシリンダ21およびバケットシリンダ22は、作動油が供給されることによって駆動される油圧シリンダである。
【0019】
ブームシリンダ20Lおよびブームシリンダ20Rは、左右一対に設けられている。ブームシリンダ20Lおよびブームシリンダ20Rは、互いに同期して伸縮駆動することにより、ブーム16を回動させる。アームシリンダ21Lおよびアームシリンダ21Rは、左右一対に設けられている。アームシリンダ21Lおよびアームシリンダ21Rは、互いに同期して伸縮駆動することにより、アーム17を回動させる。バケットシリンダ22Lおよびバケットシリンダ22Rは、左右一対に設けられている。バケットシリンダ22Lおよびバケットシリンダ22Rは、互いに同期して伸縮駆動することにより、バケット18を回動させる。
【0020】
図3は、図1中の旋回体上の構造物を示す断面図である。図1から図3に示されるように、旋回体13は、旋回フレーム41と、プラットフォーム46と、カウンターバランス14とを有する。
【0021】
旋回フレーム41は、旋回体13の土台をなすフレーム体であり、旋回装置38に連結されている。プラットフォーム46は、旋回フレーム41により支持されている。プラットフォーム46は、旋回フレーム41の左右の両端部に設けられている。カウンターバランス14は、旋回体13の後端部に設けられている。
【0022】
図2および図3に示されるように、旋回フレーム41は、複数の縦板42(42a,42b,42c,42d)を有する。縦板42は、左右方向に直交する方向に広がる板形状を有する。複数の縦板42は、左右方向において互いに間隔を設けて配置されている。縦板42a、縦板42b、縦板42cおよび縦板42dは、挙げた順に、右側から左側に並んで設けられている。
【0023】
ブーム16は、縦板42aおよび縦板42bの間と、縦板42cおよび縦板42dの間とに挿入された状態で、旋回フレーム41に対して回動可能に連結されている。旋回フレーム41に対するブーム16の回動中心軸220は、左右方向に延びる軸であり、ブームピン23は、回動中心軸220の軸上に配置されている。ブームシリンダ20R(ピストンロッド側の端部)は、縦板42aおよび縦板42bの間で延びるピン部材を介して、旋回フレーム41に対して回動可能に連結されている。ブームシリンダ20L(ピストンロッド側の端部)は、縦板42cおよび縦板42dの間で延びるピン部材を介して、旋回フレーム41に対して回動可能に連結されている。旋回フレーム41に対するブームシリンダ20の回動中心軸230は、左右方向に延びる軸である。
【0024】
ブームシリンダ20の回動中心軸230は、ブーム16の回動中心軸220よりも前方に位置している。ブームシリンダ20の回動中心軸230は、ブーム16の回動中心軸220よりも下方に位置している。旋回体13の旋回中心軸210は、ブームシリンダ20の回動中心軸230およびブーム16の回動中心軸220よりも後方に位置している。
【0025】
縦板42は、ブーム16の回動中心軸220が配置される位置が頂部となり、ブーム16の回動中心軸220が配置される位置から前方および後方に向かって斜め下方向に延びる山形の形状を有する。
【0026】
図3に示されるように、車両本体11(旋回体13)は、上面110を有する。上面110は、上方を向いている。上面110は、旋回フレーム41およびプラットフォーム46により構成されている。上面110は、全体として、左右方向に延びる一対の端辺と、前後方向に延びる一対の端辺とを有する矩形形状を有する。
【0027】
図1から図3に示されるように、地面を1階と称する場合に、上面110は、油圧ショベル100における2階の床面を構成している。1階の地面と、2階の上面110との間には、第1ラダー86が掛けられている。第1ラダー86は、地面から離れた位置に収容可能な折り畳み式である。第1ラダー86は、上面110の左端部に設けられている。オペレータは、第1ラダー86を用いることによって、1階の地面と、2階の上面110との間で昇降することができる。
【0028】
図3中には、旋回体13の旋回中心軸210を通り、前後方向に延びる中心線200が示されている。
【0029】
油圧ショベル100は、ラジエータ56と、エンジン55と、動力取り出し装置(PTO:Power Take-off)57と、オイルポンプ58と、オイルクーラ61と、作動油タンク81と、旋回用油圧モータ82(82A,82B)と、燃料タンク84とをさらに有する。
【0030】
ラジエータ56、エンジン55、PTO57、オイルポンプ58、オイルクーラ61、作動油タンク81、旋回用油圧モータ82および燃料タンク84は、車両本体11(上面110)上に設けられている。
【0031】
ラジエータ56、エンジン55、PTO57およびオイルポンプ58は、車両本体11(上面110)における後方寄りの位置に設けられている。ラジエータ56、エンジン55、PTO57およびオイルポンプ58は、複数の縦板42よりも後方に設けられている。ラジエータ56、エンジン55、PTO57およびオイルポンプ58は、カウンターバランス14の前方に設けられている。
【0032】
ラジエータ56、エンジン55、PTO57およびオイルポンプ58は、左右方向に並んでいる。ラジエータ56、エンジン55、PTO57およびオイルポンプ58は、挙げた順に、左側から右側に並んでいる。ラジエータ56、エンジン55、PTO57およびオイルポンプ58の並び方向は、左右逆であってもよい。
【0033】
エンジン55は、クランク軸55sを有する。クランク軸55sは、エンジン55におけるピストンの往復運動を回転運動に変換する軸体である。エンジン55は、クランク軸55sが左右方向に延びるように設けられている。
【0034】
オイルポンプ58は、PTO57を介して、エンジン55に接続されている。PTO57は、エンジン55から出力される回転運動をオイルポンプ58に伝達する。オイルポンプ58は、PTO57からの回転運動を受けることにより駆動する。オイルポンプ58は、後述の作動油タンク81に貯留された作動油を、ブームシリンダ20、アームシリンダ21、バケットシリンダ22および旋回用油圧モータ82等の各種の油圧機器に向けて供給する。
【0035】
ラジエータ56は、エンジン55の冷却水を冷却する。ラジエータ56は、ファン(不図示)を有する。ファンは、エンジン55から出力される回動運動を受けることにより回転し、冷却水を冷却するための空気流れを形成する。
【0036】
オイルクーラ61および作動油タンク81は、車両本体11(上面110)における前方寄りの位置に設けられている。オイルクーラ61および作動油タンク81は、オイルポンプ58の前方に設けられている。オイルクーラ61および作動油タンク81は、複数の縦板42(縦板42a)の右側に設けられている。オイルクーラ61および作動油タンク81は、複数の縦板42(縦板42a)から右方に離れた位置に設けられている。
【0037】
旋回体13の上面視を示す図3中において、オイルクーラ61は、ブーム16の回動中心軸220を左右方向に延長した直線と交わる位置に設けられている。オイルクーラ61は、旋回体13の旋回中心軸210を通り、左右方向に延びる直線と交わる位置に設けられている。オイルクーラ61は、ブームシリンダ20の回動中心軸230を左右方向に延長した直線よりも後方に設けられている。
【0038】
作動油タンク81は、前後方向においてオイルクーラ61と並んで設けられている。作動油タンク81は、オイルクーラ61の後方に設けられている。
【0039】
オイルクーラ61は、オイルポンプ58から各種の油圧機器に向けて供給された作動油を冷却する。作動油タンク81は、オイルクーラ61によって冷却された作動油を貯留する。
【0040】
旋回用油圧モータ82は、左右方向において、複数の縦板42(縦板42a)と、オイルクーラ61および作動油タンク81との間に設けられている。旋回用油圧モータ82Aおよび旋回用油圧モータ82Bは、前後方向において並んで設けられている。旋回用油圧モータ82Aは、左右方向において、複数の縦板42(縦板42a)と、オイルクーラ61との間に設けられている。旋回用油圧モータ82Bは、左右方向において、複数の縦板42(縦板42a)と、作動油タンク81との間に設けられている。旋回用油圧モータ82Aは、旋回体13の旋回中心軸210よりも前方に設けられている。旋回用油圧モータ82Bは、旋回体13の旋回中心軸210よりも後方に設けられている。
【0041】
旋回用油圧モータ82は、オイルポンプ58から作動油が供給されることにより回転運動を出力する。旋回用油圧モータ82は、前述の旋回装置38における駆動源として設けられている。
【0042】
燃料タンク84は、上面110における前方寄りの位置に設けられている。燃料タンク84は、エンジン55およびラジエータ56の前方に設けられている。燃料タンク84は、複数の縦板42(縦板42d)の左側に設けられている。燃料タンク84は、エンジン55に供給する燃料を貯留している。
【0043】
油圧ショベル100は、エンジン室51と、電気室83とをさらに有する。エンジン室51および電気室83は、車両本体11(上面110)上に設けられている。
【0044】
エンジン室51は、エンジン55を収容する室内空間を形成している。エンジン室51には、ラジエータ56、PTO57およびオイルポンプ58がさらに収容されている。旋回体13の上面視を示す図3中において、エンジン室51は、前後方向に延びる一対の端辺と、左右方向に延びる一対の端辺とを有する矩形形状を有する。エンジン室51は、左右方向が長手方向となり、前後方向が短手方向となる矩形形状を有する。
【0045】
図3に示されるように、エンジン室51は、前側面51fと、右側面51rと、左側面51hとを有する。前側面51fは、前方を向いて設けられている。右側面51rは、右方を向いて設けられている。左側面51hは、左方を向いて設けられている。前側面51fの右端部は、右側面51rの前端部に接続されている。前側面51fの左端部は、左側面51hの前端部に接続されている。
【0046】
図1から図3に示されるように、エンジン室51には、開閉可能な第1扉52および第2扉53が設けられている。第1扉52は、左側面51hに設けられている。第1扉52は、左側面51hの後方寄りの位置に設けられている。第2扉53は、右側面51rに設けられている。第2扉53は、右側面51rの後方寄りの位置に設けられている。オペレータは、第1扉52または第2扉53が開状態とされた時に生じる開口部を通じて、エンジン55等を収容する室内空間と、外部との間を行き来することができる。
【0047】
電気室83は、蓄電装置または電力制御装置等の各種の電気機器を収容する室内空間を形成している。電気室83は、車両本体11(上面110)において前方寄りの位置に設けられている。電気室83は、燃料タンク84の前方に設けられている。電気室83は、複数の縦板42(縦板42d)の左側に設けられている。電気室83は、旋回体13の上面視を示す図3中において、前後方向に延びる一対の端辺と、左右方向に延びる一対の端辺とを有する矩形形状を有する。
【0048】
車両本体11(旋回体13)は、天井面85をさらに有する。天井面85は、油圧ショベル100における3階の床面を構成している。天井面85は、エンジン室51、電気室83、オイルクーラ61および作動油タンク81の天井を用いて形成されている。
【0049】
キャブ31は、天井面85上に設けられている。キャブ31は、電気室83の上方に設けられている。2階の上面110と、3階の天井面85との間には、第2ラダー87が設けられている。第2ラダー87は、燃料タンク84の左側に設けられている。オペレータは、第2ラダー87を用いることによって、2階の上面110と、3階の天井面85との間で昇降することができる。
【0050】
図3に示されるように、車両本体11(上面110)には、第1通路121と、第2通路122と、第3通路123と、第4通路124と、第5通路125と、第6通路126と、第7通路127と、第8通路128とが設けられている。第1通路121、第2通路122、第3通路123、第4通路124、第5通路125、第6通路126、第7通路127および第8通路128は、各通路上にオペレータが進入可能な空間を形成している。第1通路121、第2通路122、第3通路123、第4通路124、第5通路125、第6通路126、第7通路127および第8通路128は、各通路上にオペレータが歩行可能な空間を形成している。
【0051】
第1通路121は、オイルクーラ61および作動油タンク81の左側に設けられている。第1通路121は、前後方向に延びている。第2通路122は、オイルクーラ61および作動油タンク81の右側に設けられている。第2通路122は、前後方向に延びている。第3通路123は、オイルクーラ61の前方に設けられている。第3通路123は、左右方向に延びている。作動油タンク81は、オイルクーラ61に対して第3通路123の反対側に配置されている。
【0052】
なお、第1通路121、第2通路122および第3通路123については後で詳細に説明する。
【0053】
第4通路124は、エンジン室51の前側面51f側に位置している。第4通路124は、エンジン室51の前側面51fに沿って延びている。第4通路124は、左右方向に延びている。第4通路124は、左右方向に延びる間、作動油タンク81、複数の縦板42および燃料タンク84と、エンジン室51との間を通っている。第4通路124は、オイルクーラ61に対して第3通路123の反対側に配置されている。
【0054】
第5通路125は、エンジン室51の右側面51r側に位置している。第5通路125は、エンジン室51の右側面51rに沿って延びている。第5通路125は、前後方向に延びている。第6通路126は、エンジン室51の左側面51h側に位置している。第6通路126は、エンジン室51の左側面51hに沿って延びている。第6通路126は、前後方向に延びている。第4通路124は、第5通路125および第6通路126を接続している。第4通路124の右端部は、第5通路125の前端部に接続されている。第4通路124の左端部は、第6通路126の前端部に接続されている。
【0055】
第7通路127は、エンジン室51の室内に設けられている。第7通路127は、エンジン55、ラジエータ56、PTO57およびオイルポンプ58の後方に設けられている。第7通路127は、左右方向に延びている。第7通路127は、第5通路125および第6通路126を接続している。第7通路127の右端部は、第2扉53が開状態とされた時に生じる開口部を通じて、第5通路125の後端部に接続されている。第7通路127の左端部は、第1扉52が開状態とされた時に生じる開口部を通じて、第6通路126の後端部に接続されている。
【0056】
第4通路124、第5通路125、第7通路127および第6通路126は、エンジン室51内のエンジン55、ラジエータ56、PTO57およびオイルポンプ58の周りを取り囲む周回路を形成している。
【0057】
第8通路128は、上面110における第1ラダー86および第2ラダー87の昇降口の間で延びている。第8通路128は、燃料タンク84の左側に設けられている。第8通路128は、第4通路124および第6通路126に接続されている。
【0058】
第7通路127以外の通路は、屋外に設けられている。第2通路122および第3通路123の高さは、他の通路の高さよりも低い。第2通路122と、第4通路124および第5通路125との間には、踏み板88が設けられている。
【0059】
続いて、オイルクーラ61の構造について説明する。図4は、図2中のオイルクーラの周辺の油圧ショベルを示す斜視図である。図5は、図4中のV-V線上の矢視方向に見た油圧ショベルを示す断面図である。図6は、図4中のVI-VI線上の矢視方向に見た油圧ショベルを示す断面図である。
【0060】
図4から図6に示されるように、オイルクーラ61は、筐体66と、コア62(62P,62Q)と、ファン63(63P,63Q)と、モータ64(64P,64Q)とを有する。
【0061】
筐体66は、オイルクーラ61の外観をなしている。筐体66は、直方体形状を有する。オイルクーラ61の上面視を示す図6中において、筐体66は、矩形形状を有する。筐体66は、前後方向に延びる一対の端辺と、左右方向に延びる一対の端辺とを有する矩形形状を有する。筐体66は、前後方向が長手方向となり、左右方向が短手方向となる矩形形状を有する。
【0062】
筐体66は、第1側面71と、第2側面72と、第3側面73と、第4側面74とを有する。第1側面71、第2側面72、第3側面73および第4側面74は、水平方向を向いて設けられている。
【0063】
第1側面71は、左方を向いて設けられている。第1側面71は、左右方向に直交する平面からなる。第1側面71は、左右方向において、縦板42aと対向している。第2側面72は、右方を向いて設けられている。第2側面72は、左右方向に直交する平面からなる。第2側面72は、第1側面71と平行に配置されている。
【0064】
第3側面73は、前方を向いて設けられている。第3側面73は、前後方向に直交する平面からなる。第3側面73は、第1側面71および第2側面72を接続している。第3側面73の左端部は、第1側面71の前端部に接続されている。第3側面73の右端部は、第2側面72の前端部に接続されている。
【0065】
第4側面74は、後方を向いて設けられている。第4側面74は、前後方向に直交する平面からなる。第4側面74は、第3側面73と平行に配置されている。第4側面74は、前後方向において、作動油タンク81と対向している。第4側面74は、第1側面71および第2側面72を接続している。第4側面74の左端部は、第1側面71の後端部に接続されている。第4側面74の右端部は、第2側面72の後端部に接続されている。
【0066】
筐体66は、枠部67と、複数の第1蓋部68と、複数の第2蓋部69とを有する。
枠部67は、筐体66が有する直方体形状の端辺に沿って延びるフレーム形状を有する。第1蓋部68および第2蓋部69は、通気孔が設けられた板材からなる。複数の第1蓋部68は、第1側面71に設けられている。複数の第1蓋部68は、枠部67に対して着脱可能に取り付けられている。複数の第1蓋部68は、上下方向に並んで設けられている。複数の第2蓋部69は、第2側面72に設けられている。複数の第2蓋部69は、枠部67に対して着脱可能に取り付けられている。複数の第2蓋部69は、上下方向に並んで設けられている。
【0067】
コア62、ファン63およびモータ64は、筐体66の内部に収容されている。コア62は、オイル(作動油)が流通する流路を形成している。コア62は、作動油と空気との間で熱交換する。
【0068】
一例として、コア62は、互いに間隔を設けて配列された複数枚のフィンと、オイルが流通する流路を形成し、複数枚のフィンを貫きながら延びるチューブとから構成されている。オイルは、チューブにより形成された流路を流通する間、複数枚のフィンを介して空気に放熱する。コア62は、オイルが下方に向けて流れるダウンフロー式であってもよいし、オイルが水平方向に流れるサイドフロー式であってもよい。
【0069】
ファン63は、空気流れを形成する。ファン63は、コア62に対して、空気を冷却風として供給するように構成されている。ファン63は、プロペラファンである。ファン63の回転中心軸260は、左右方向に延びる軸である。モータ64は、ファン63に接続されている。モータ64は、ファン63を回転駆動させる。モータ64は、作動油が供給されることによって駆動される油圧モータである。油圧モータに替わって、電気モータが用いられてもよい。
【0070】
ファン63は、第1側面71から第2側面72に向かう空気流れを形成する。ファン63の駆動に伴って、空気が、第1蓋部68に設けられた通気孔を通って筐体66の内部に流入する。筐体66内に流入した空気は、左側から右側に向けて流れ、この間、コア62においてオイルと熱交換を行なう。オイルとの熱交換によって高温となった空気は、第2蓋部69に設けられた通気孔を通って筐体66の外部に排出される。
【0071】
コア62は、左右方向において、第1側面71(第1蓋部68)と対向して設けられている。ファン63は、左右方向(回転中心軸260の軸方向)において、コア62と対向して設けられている。ファン63は、左右方向において、コア62および第2側面72の間に設けられている。モータ64は、ファン63の回転中心軸260の軸上に設けられている。モータ64は、左右方向において、第2側面72(第2蓋部69)と対向して設けられている。モータ64は、左右方向において、ファン63および第2側面72の間に設けられている。
【0072】
このような構成において、第1側面71は、ファン63により形成される空気流れの上流側に配置されている。第2側面72は、ファン63により形成される空気流れの下流側に配置されている。コア62は、ファン63よりも、ファン63により形成される空気流れの上流側に配置されている。
【0073】
図3に示されるように、左右方向における中心線200および第1側面71の間の距離L1は、左右方向における中心線200および第2側面72の間の距離L2よりも小さい(L1<L2)。オイルクーラ61において第1側面71から第2側面72に向かう空気の流れ方向は、上面視における車両本体11の中央部から、上面視における車両本体11の周縁部(油圧ショベル100の機外)に向かう方向に対応している。
【0074】
図5に示されるように、コア62Pおよびコア62Qは、上下方向に並んで設けられている。ファン63Pおよびファン63Qは、上下方向に並んで設けられている。モータ64Pおよびモータ64Qは、上下方向に並んで設けられている。コア62P、ファン63Pおよびモータ64Pは、左右方向に並んで設けられている。コア62Q、ファン63Qおよびモータ64Qは、左右方向に並んで設けられている。
【0075】
なお、オイルクーラ61には、1組のコア62、ファン63およびモータ64が設けられてもよいし、2組以外の複数組のコア62、ファン63およびモータ64が設けられてもよい。コア62、ファン63およびモータ64の各組において、複数のコア62が、左右方向に並んで設けられてもよい。
【0076】
続いて、オイルクーラ61の周囲に設けられる第1通路121、第2通路122、第3通路123および第4通路124のレイアウトについて説明する。
【0077】
図4から図6に示されるように、第1通路121は、第1側面71側に位置している。第1通路121は、第1側面71に沿って延びている。第1通路121は、縦板42aに沿って延びている。第1通路121は、左右方向において、第1側面71および縦板42aの間に設けられている。第1側面71は、左右方向において、第1通路121およびコア62(62P,62Q)の間に設けられている。
【0078】
第2通路122は、第2側面72側に位置している。第2通路122は、第2側面72に沿って延びている。第2側面72は、左右方向において、ファン63(63P,63Q)および第2通路122の間に設けられている。第2側面72は、左右方向において、モータ64(64P,64Q)および第2通路122の間に設けられている。
【0079】
第3通路123は、第3側面73側に位置している。第3通路123は、第3側面73に沿って延びている。第3通路123は、第1通路121および第2通路122を接続している。第3通路123の左端部は、第1通路121の前端部に接続されている。第3通路123の右端部は、第3通路123の前端部に接続されている。
【0080】
第2通路122は、上面視における車両本体11の外側に配置されている。上面視における車両本体11の外側は、油圧ショベル100の機外との境界をなす、上面視における車両本体11の周縁領域に対応している。第2通路122は、上面110の周縁に配置されている。第2通路122は、上面110の右端辺に沿って延びる帯状の領域に配置されている。第3通路123は、上面視における車両本体11の外側に配置されている。第3通路123は、上面110の周縁に配置されている。第3通路123は、上面110の前端辺に沿って延びる帯状の領域に配置されている。第2通路122および第3通路123は、上面110の周縁の角部で交わっている。
【0081】
第1通路121、第2通路122および第3通路123は、オイルクーラ61を、左方、右方および前方の三方向から取り囲むように設けられている。
【0082】
旋回用油圧モータ82(82A,82B)は、第1通路121に設けられている。旋回用油圧モータ82(82A,82B)は、第1通路121から上方に向けて突出している。旋回用油圧モータ82Aは、第1側面71と対向して配置されている。旋回用油圧モータ82Bは、作動油タンク81と対向して配置されている。旋回体13の上面視を示す図3中において、キャブ31は、第1側面71と対向して配置されている。キャブ31は、ブーム16越しに第1側面71と対向して配置されている。
【0083】
油圧ショベル100においては、オイルクーラ61の周囲に、空気流れの上流側に配置される第1側面71側に位置して第1通路121が設けられ、空気流れの下流側に配置される第2側面72側に位置して第2通路122が設けられ、第1通路121および第2通路122を接続する第3通路123が設けられている。このため、オペレータは、第3通路123を通って第1通路121および第2通路122を行き来しながら、オイルクーラ61を空気流れの上流側および下流側の両側から清掃することができる。これにより、オペレータは、第1通路121の側から、第1蓋部68を取り外してコア62を清掃したり、第2通路122の側から、第2蓋部69を取り外してファン63を清掃したりすることが可能となるため、オイルクーラ61の清掃時の作業性を向上させることができる。
【0084】
また、空気流れの下流側の第2側面72側に位置する第2通路122は、上面視における車両本体11の外側に配置されている。このため、オイルクーラ61からの空気は、第2通路122が配置される上面視における車両本体11の外側から油圧ショベル100の機外へと排出される。これにより、オイルクーラ61から排出される高温の空気が、上面視において第1側面71と対向して配置されるキャブ31内に進入するということがないため、キャブ31におけるオペレータの快適性を良好に保つことができる。また、オイルクーラ61から排出される高温の空気が、第1側面71と対向して配置される旋回用油圧モータ82Aを温度上昇させるということがないため、旋回用油圧モータ82Aが本来の性能を発揮することができる。
【0085】
コア62は、パイプと、複数枚のフィンとが交差した細孔(編み目)構造を有するため、空気が筐体66の内部を通過する時に、空気中の塵埃はコア62に付着し易い。また、空気中の塵埃は、空気がコア62と衝突した時にコア62に付着し易いため、コア62のうちでも空気流れの上流側の部位が最も汚れる。これに対して、油圧ショベル100では、コア62が、ファン63よりも空気流れの上流側に配置されている。このため、オペレータは、第1通路121の側からオイルクーラ61を清掃する際に、ファン63に邪魔されることなく、オイルクーラ61において最も汚れ易いコア62の部位を容易に清掃することができる。
【0086】
図6に示されるように、第1通路121は、第3通路123および第4通路124を接続している。第1通路121は、第1側面71に沿って延びる前端部において、第3通路123に接続されている。第1通路121は、第1側面71に沿って延びる後端部において、第4通路124に接続されている。第1通路121は、第3通路123および第4通路124の間において、前後方向に直線状に延びている。第1通路121は、上面視において作動油タンク81と対向する位置まで延びている。
【0087】
第2通路122は、第3通路123および第4通路124を接続している。第2通路122は、第1側面71に沿って延びる前端部において、第3通路123に接続されている。第2通路122は、第2側面72に沿って延びる後端部において、第4通路124に接続されている。第2通路122は、第3通路123および第4通路124の間において、前後方向に直線状に延びている。第2通路122は、上面視において作動油タンク81と対向する位置まで延びている。
【0088】
第1通路121、第2通路122、第3通路123および第4通路124は、オイルクーラ61および作動油タンク81の周りを取り囲む周回路を形成している。
【0089】
油圧ショベル100においては、第1通路121が、第3通路123および第4通路124を接続している。このため、オペレータは、第2通路122から第3通路123を通って第1通路121に進入するほか、第4通路124から直接、第1通路121に進入することもできる。これにより、第1通路121へのアクセスが容易となるため、オイルクーラ61の清掃時の作業性をさらに向上させることができる。
【0090】
また、第1通路121および第2通路122は、上面視において作動油タンク81と対向する位置まで延びている。これにより、オペレータは、第1通路121または第2通路122の側から作動油タンク81の点検を行なうことが可能となるため、作動油タンク81の点検時の作業性も向上させることができる。また、作動油タンク81がオイルクーラ61と近接して配置されるため、オイルクーラ61および作動タンク81間の配管が短くなるという効果も奏される。
【0091】
図4に示されるように、第1通路121上の空間は、少なくとも、上方、および、第3通路123が配置される方向に開放されている。第1通路121の上方には、天井が設けられていない。第1通路121および第3通路123の間には、第1通路121上の空間と、第3通路123上の空間とを遮る壁部材が設けられていない。第1通路121上の空間は、さらに第4通路124が配置される側において開放されている。第1通路121および第4通路124の間には、第1通路121上の空間と、第4通路124上の空間とを遮る壁部材が設けられていない。第1通路121上の空間は、上方、前方および後方の三方向に開放されている。
【0092】
オペレータは、オイルクーラ61の清掃時に、ブラシ、バケツまたは水を噴射する噴水ノズルなどの清掃道具を用いる。油圧ショベル100では、第1通路121上の空間が、少なくとも、上方、および、第3通路123が配置される方向に開放されているため、オペレータは、これらの清掃道具を第1通路121に持ち込み易くなったり、オイルクーラ61の清掃時に清掃道具の取り回しが容易になったりする。これにより、オイルクーラ61の清掃時の作業性をさらに向上させることができる。
【0093】
図7は、図6中の筐体の変形例を示す断面図である。図7に示されるように、本変形例は、第2側面72が、基部72kと、突出部72gとを有する。突出部72gは、左右方向において、モータ64に対向する位置に設けられている。基部72kは、第2側面72を平面視した場合に、突出部72gの周りに設けられている。突出部72gは、基部72kから第2通路122に向けて突出している。
【0094】
一方、油圧ショベル100においては、図6に示されるように、第2側面72は、ファン63の回転中心軸260に直交する平面形状を有する。複数の第2蓋部69は、ファン63の回転中心軸260に直交する平面上に配置されている。この場合、第2側面72にモータ64の形状に対応した突出部72gが設けられないため、図7中に示される変形例と比較して、オペレータが、第2側面72側に位置する第2通路122を通り易くなる。
【0095】
続いて、オイルクーラ61の支持構造について説明する。図4および図5に示されるように、筐体66は、リブ91(91A,91B)をさらに有する。
【0096】
リブ91は、第1側面71に設けられている。リブ91は、第1側面71から左方に向けて突出している。リブ91は、第1側面71における枠部67から第1通路121に向けて突出している。
【0097】
リブ91は、第1側面71の下端部寄りの位置に設けられている。リブ91は、ブーム16の回動中心軸220よりも下方に設けられている。リブ91は、ブームシリンダ20の回動中心軸230よりも上方に設けられている。リブ91Aおよびリブ91Bは、前後方向に間隔を設けて配置されている。リブ91Aは、第1側面71の前端部に配置されている。リブ91Bは、第1側面71の後端部に配置されている。
【0098】
旋回フレーム41は、張り出し部43をさらに有する。張り出し部43は、縦板42aから右方に向けて張り出している。張り出し部43は、縦板42aからオイルクーラ61に向けて張り出している。張り出し部43は、頂面43tを有する。頂面43tは、水平面からなる。
【0099】
リブ91(91A、91B)は、上方から張り出し部43(頂面43t)と組み合わされている。張り出し部43は、オイルクーラ61の重量を受けている。頂面43tは、第1通路121を構成している。
【0100】
筐体66は、底部92をさらに有する。底部92は、筐体66の底部分を構成している。底部92は、コア62の直下に配置されている。底部92は、第1通路121(頂面43t)よりも低い位置に設けられている。第2通路122および第3通路123は、第1通路121よりも低い位置に設けられている。第3通路123および第1通路121の間には、段差が存在する。
【0101】
以上に説明した、本実施の形態における油圧ショベル100の構成および効果についてまとめて説明する。
【0102】
作業機械としての油圧ショベル100は、作業機械本体としての車両本体11と、冷却装置としてのオイルクーラ61とを備える。オイルクーラ61は、ファン63と、筐体66とを有する。ファン63は、空気流れを形成する。筐体66は、ファン63を収容する。オイルクーラ61は、車両本体11上に設けられる。筐体66は、第1側面71と、第2側面72と、第3側面73とを有する。第1側面71は、空気流れの上流側に配置される。第2側面72は、空気流れの下流側に配置される。第3側面73は、第1側面71および第2側面72を接続する。車両本体11には、第1通路121と、第2通路122と、第3通路123とが設けられる。第1通路121は、第1側面71側に位置する。第2通路122は、第2側面72側に位置する。第2通路122は、上面視における車両本体11の外側に配置される。第3通路123は、第3側面73側に位置する。第3通路123は、第1通路121および第2通路122を接続する。
【0103】
このような構成によれば、オイルクーラ61の周囲には、空気流れの上流側に配置される第1側面71側に位置して第1通路121が設けられ、空気流れの下流側に配置される第2側面72側に位置して第2通路122が設けられ、第1通路121および第2通路122を接続する第3通路123が設けられている。このため、オペレータは、第3通路123を通って第1通路121および第2通路122を行き来しながら、空気流れの上流側および下流側の両側からオイルクーラ61を清掃することができる。これにより、オイルクーラ61の清掃時の作業性を良好にできる。
【0104】
また、空気流れの下流側に設けられる第2通路122は、上面視における車両本体11の外側に配置される。このため、オイルクーラ61からの空気は、第2通路122が配置される上面視における車両本体11の外側から油圧ショベル100の機外に向けて排出される。これにより、オイルクーラ61から排出される高温の空気に起因した油圧ショベル100の性能低下を防ぐことができる。
【0105】
また、オイルクーラ61は、コア62をさらに有する。コア62は、流体としてのオイル(作動油)が流れる流路を形成する。コア62は、筐体66に収容される。コア62は、ファン63よりも空気流れの上流側に配置される。
【0106】
このような構成によれば、オペレータは、第1通路121からオイルクーラ61を清掃する際に、ファン63に邪魔されることなく、オイルクーラ61において最も汚れ易いコア62の部位を容易に清掃することができる。
【0107】
また、第1通路121上の空間は、少なくとも、上方、および、第3通路123が配置される方向に開放される。
【0108】
このような構成によれば、第1通路121上の空間の周囲が広く開放されているため、オペレータは、第1通路121からオイルクーラ61を清掃し易くなる。
【0109】
また、車両本体11には、第4通路124がさらに設けられる。第4通路124は、オイルクーラ61に対して第3通路123の反対側に配置される。第1通路121は、第3通路123および第4通路124を接続する。
【0110】
このような構成によれば、オペレータは、第3通路123を通って第1通路121にアクセスしたり、第4通路124を通って第1通路121にアクセスしたりすることができる。これにより、オペレータが第1通路121からオイルクーラ61を清掃する際の作業性をさらに向上させることができる。
【0111】
また、油圧ショベル100は、キャブ31をさらに備える。キャブ31は、上面視において第1側面71と対向して配置される。
【0112】
このような構成によれば、オイルクーラ61からの空気は、第2通路122が配置される上面視における車両本体11の外側から油圧ショベル100の機外へと排出されるため、高温の空気がキャブ31に向かうことを防止できる。これにより、キャブ31内におけるオペレータの快適性を良好に保つことができる。
【0113】
また、油圧ショベル100は、油圧機器としての旋回用油圧モータ82Aをさらに備える。旋回用油圧モータ82Aは、第1側面71と対向して配置される。
【0114】
このような構成によれば、オイルクーラ61からの空気は、第2通路122が配置される上面視における車両本体11の外側から油圧ショベル100の機外へと排出されるため、高温の空気が旋回用油圧モータ82Aに向かうことを防止できる。これにより、旋回用油圧モータ82Aの意図しない温度上昇を防いで、旋回用油圧モータ82Aの性能を十分に発揮させることができる。
【0115】
また、油圧ショベル100は、作動油タンク81をさらに備える。作動油タンク81は、オイルクーラ61に対して第3通路123の反対側に配置される。第1通路121および第2通路122は、上面視において作動油タンク81と対向する位置まで延びる。
【0116】
このような構成によれば、オペレータは、第1通路121または第2通路122から作動油タンク81の点検を行なうことができる。これにより、作動油タンク81の点検時の作業性も向上させることができる。
【0117】
また、オイルクーラ61は、モータ64をさらに有する。モータ64は、筐体66に収容される。モータ64は、ファン63から第2側面72に向けて突出する。第2側面72は、ファン63の回転軸としての回転中心軸260に直交する平面形状を有する。
【0118】
このような構成によれば、筐体66の第2側面72にモータ64の形状に対応した凸形状が設けられないため、オペレータは、第2側面72側に位置する第2通路122を通り易くなる。
【0119】
なお、本開示における冷却装置は、オイルクーラに限られず、たとえば、ラジエータ、燃料クーラ、エンジンにおける吸気用クーラ、エアコンコンデンサ、または、PTOにおける潤滑油用のオイルクーラ等であってもよい。また、本開示は、冷却装置を備える各種の作業機械に適用される。本開示における作業機械は、たとえば、ブルドーザ、ホイールローダ、モータグレーダ、クレーンまたは林業機械等であってもよい。
【0120】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0121】
11 車両本体、12 作業機、13 旋回体、14 カウンターバランス、15 走行装置、16 ブーム、17 アーム、18 バケット、20,20L,20R ブームシリンダ、21,21L,21R アームシリンダ、22,22L,22R バケットシリンダ、23 ブームピン、24 アームピン、25 バケットピン、31 キャブ、32 運転席、35 走行フレーム、36 履帯、37 走行モータ、38 旋回装置、41 旋回フレーム、42,42a,42b,42c,42d 縦板、43 張り出し部、43t 頂面、46 プラットフォーム、51 エンジン室、51f 前側面、51h 左側面、51r 右側面、52 第1扉、53 第2扉、55 エンジン、55s クランク軸、56 ラジエータ、58 オイルポンプ、61 オイルクーラ、62,62P,62Q コア、63,63P,63Q ファン、64,64P,64Q モータ、66 筐体、67 枠部、68 第1蓋部、69 第2蓋部、71 第1側面、72 第2側面、72g 突出部、72k 基部、73 第3側面、74 第4側面、81 作動油タンク、82,82A,82B 旋回用油圧モータ、83 電気室、84 燃料タンク、85 天井面、86 第1ラダー、87 第2ラダー、88 踏み板、91,91A,91B リブ、92 底部、100 油圧ショベル、110 上面、121 第1通路、122 第2通路、123 第3通路、124 第4通路、125 第5通路、126 第6通路、127 第7通路、128 第8通路、200 中心線、210 旋回中心軸、220,230 回動中心軸、260 回転中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7