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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】カラオケシステム
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019233958
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103216
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 光
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者がカラオケ歌唱した楽曲の歌唱区間毎の採点値を含む採点履歴を記憶する履歴記憶部と、
利用者の利用者識別情報の入力に応じて、当該利用者のログインを行うログイン処理部と、
一の楽曲を予約する際に、複数の利用者が交替で楽曲のカラオケ歌唱を行うグループ歌唱が選択された場合、利用者からの指示入力に基づいて、ログインした利用者のうちグループ歌唱を行う利用者である歌唱者を特定する特定部と、
前記履歴記憶部から歌唱者の採点履歴を取得する取得部と、
取得した前記採点履歴に基づいて、前記一の楽曲について各歌唱者が少なくとも一の歌唱区間のカラオケ歌唱が可能となる組み合わせであって、且つその組み合わせの中で、前記一の楽曲の全歌唱区間の採点値の合計値が最も高い組み合わせを決定する決定部と、
前記一の楽曲のカラオケ演奏に伴って、決定された前記組み合わせに基づく歌唱者を歌唱区間毎に提示する提示部と、
を有するカラオケシステム。
【請求項2】
前記一の楽曲のカラオケ歌唱について歌唱区間毎に採点を行い、採点結果を提示する採点処理部を有することを特徴とする請求項1記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記決定部は、各歌唱者の歌唱回数が略均等となる組み合わせを決定することを特徴とする請求項1または2記載のカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ―ルームに設置されている一のカラオケ装置を、複数の利用者で使用することがある。この場合、カラオケルームの利用時間を有効に利用するために、複数の利用者が交替しながら一の楽曲をカラオケ歌唱することがある。
【0003】
しかしながら、カラオケ歌唱の途中で交替するタイミングは、各利用者に委ねられている。その結果、一人の利用者がカラオケ歌唱に夢中になり長時間カラオケ歌唱を行ってしまい、他の利用者がカラオケ歌唱を行う機会を失うといったこともありうる。
【0004】
そこで、特許文献1には、カラオケ楽曲の歌唱時間を、当該カラオケ楽曲の歌唱人数に対応させて、各歌唱者の歌唱範囲として分配する歌唱範囲分配手段、及び分配された各歌唱者の歌唱範囲に対応させて、それぞれ異なる歌詞文字の表示色を設定する歌詞文字配色設定手段を備えるカラオケ歌詞表示配色システムが開示されている。このようなシステムによれば、複数の歌唱者が交替でカラオケ歌唱する際に、各歌唱者の歌唱時間に偏りが生じることがないように、各歌唱者の歌唱範囲を指示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-128138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、複数の利用者が一の楽曲を交替でカラオケ歌唱する際、各利用者がカラオケ歌唱を行う機会が得られ、且つ良い採点結果を目指すことを可能とする新規なカラオケシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一の発明は、利用者がカラオケ歌唱した楽曲の歌唱区間毎の採点値を含む採点履歴を記憶する履歴記憶部と、利用者の利用者識別情報の入力に応じて、当該利用者のログインを行うログイン処理部と、一の楽曲を予約する際に、複数の利用者が交替で楽曲のカラオケ歌唱を行うグループ歌唱が選択された場合、利用者からの指示入力に基づいて、ログインした利用者のうちグループ歌唱を行う利用者である歌唱者を特定する特定部と、前記履歴記憶部から歌唱者の採点履歴を取得する取得部と、取得した前記採点履歴に基づいて、前記一の楽曲について各歌唱者が少なくとも一の歌唱区間のカラオケ歌唱が可能となる組み合わせであって、且つその組み合わせの中で、前記一の楽曲の全歌唱区間の採点値の合計値が最も高い組み合わせを決定する決定部と、前記一の楽曲のカラオケ演奏に伴って、決定された前記組み合わせに基づく歌唱者を歌唱区間毎に提示する提示部と、を有するカラオケシステムである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の利用者が一の楽曲を交替でカラオケ歌唱する際、各利用者がカラオケ歌唱を行う機会が得られ、且つ良い採点結果を目指すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るカラオケシステムの概略を示す図である。
図2】実施形態に係るサーバ装置を示す図である。
図3】実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
図4】実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
図5】実施形態に係る歌唱者毎及び歌唱区間毎の採点値を示す図である。
図6】実施形態に係る合計値と、各歌唱区間の採点値として採用された歌唱者との組み合わせを示した図である。
図7】実施形態に係るカラオケシステムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図7を参照して、実施形態に係るカラオケシステムについて説明する。
【0011】
==カラオケシステム==
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、サーバ装置S及びカラオケ装置Kを備える。サーバ装置S及びカラオケ装置Kは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。ネットワークNは、たとえば公衆電話回線網やインターネット回線等の伝送路である。
【0012】
==サーバ装置==
サーバ装置Sは、各種情報の管理や処理を実行するコンピュータである。図2はサーバ装置Sの構成を示す図である。サーバ装置Sは、記憶手段10、通信手段20、及び制御手段30を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0013】
[記憶手段]
記憶手段10は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。本実施形態において、記憶手段10の記憶領域の一部は、第1の記憶部10a及び第2の記憶部10bとして機能する。
【0014】
(第1の記憶部)
第1の記憶部10aは利用者毎に利用者情報を記憶する。
【0015】
利用者情報は、カラオケシステム1を利用する利用者に関する様々な情報である。利用者情報は、利用者識別情報、パスワード、利用者名、利用者の顔写真やアバターを含む。
【0016】
利用者識別情報は、たとえば利用者IDのような、利用者毎に設定された固有の情報である。パスワードは、利用者毎に設定された、カラオケシステム1にログインするための文字、数字、記号の組み合わせである。アバターは、カラオケシステム1の利用時にカラオケ装置Kの表示画面等に表示される、利用者毎に固有のキャラクターである。
【0017】
たとえば、ある利用者は、カラオケシステム1を初めて利用する際、カラオケ装置Kを介して利用者情報の登録を行う。カラオケ装置Kは、登録されたある利用者の利用者情報をサーバ装置Sに送信する。サーバ装置Sは、受信した利用者情報を第1の記憶部10aに記憶させる。
【0018】
(第2の記憶部)
第2の記憶部10bは利用者毎に採点履歴を記憶する。第2の記憶部10bは「履歴記憶部」の一例である。
【0019】
採点履歴は、利用者が行ったカラオケ歌唱の採点に関する様々な情報である。採点履歴は、利用者識別情報、カラオケ歌唱を行った楽曲の楽曲識別情報、カラオケ歌唱を行った年月日や時刻、及び採点結果を含む。
【0020】
楽曲識別情報は、たとえば楽曲IDのような、楽曲毎に設定された固有の情報である。採点結果は、カラオケ歌唱に対する採点値や、歌唱技法に関する評価等である。本実施形態において、採点結果は、利用者がカラオケ歌唱した楽曲の歌唱区間毎の採点値を含む。採点値は、たとえば100点を満点とする数値で示される。歌唱区間は、カラオケ演奏される区間のうち、歌詞が付与されている区間である。たとえば、歌唱区間は、複数のフレーズから構成されるAメロ、Bメロ、サビ等である。なお、歌詞が付与されてない区間としては、前奏、間奏、後奏がある。また、歌唱区間はフレーズ単位でもよいし、歌いやすく区分された連続するフレーズの組み合わせでもよい。
【0021】
カラオケ装置Kは、ある利用者がカラオケ歌唱を行って得られた採点結果を、当該ある利用者の利用者IDや楽曲IDと紐付けてサーバ装置Sに送信する。サーバ装置Sは、受信した採点結果をある利用者の採点履歴として第2の記憶部10bに記憶させる。なお、第2の記憶部10bは、既にある利用者の採点履歴を記憶している場合もありうる。この状態において、ある利用者が新たなカラオケ歌唱を行った場合、サーバ装置Sは、新たなカラオケ歌唱に基づく採点結果を、第2の記憶部10bに記憶させることにより、既に記憶されている採点履歴を更新する。また、カラオケ装置Kは、サーバ装置Sに採点結果を送信する際、利用者IDや楽曲IDに加え、カラオケ歌唱を行った年月日や時刻と紐付けて送信してもよい。この場合、ある利用者が一の楽曲を歌唱する度に、利用者ID、楽曲ID、歌唱年月日、歌唱時刻をキーとした採点結果が追加で記憶されることとなり、その結果、ある利用者について一の楽曲の採点結果が複数存在することとなる。
【0022】
[通信手段]
通信手段20は、カラオケ装置Kとの通信を行うためのインターフェースを提供する。
【0023】
[制御手段]
制御手段30は、サーバ装置Sにおける各種の制御を行う。制御手段30は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0024】
たとえば、制御手段30は、カラオケ装置Kからある利用者のログイン要求を受けた場合、当該ある利用者の利用者IDを記憶手段10に記憶させることにより、カラオケシステム1に対する当該ある利用者のログインを完了させる(後述)。
【0025】
また、制御手段30は、カラオケ装置Kからある利用者の採点履歴の送信要求を受けた場合、第2の記憶部10bからある利用者の採点履歴を読み出し、カラオケ装置Kに送信する(後述)。
【0026】
==カラオケ装置==
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。図3に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体40、スピーカ50、表示装置60、マイク70、及びリモコン装置80を備える。
【0027】
カラオケ本体40は、選曲された楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク70を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ50は、カラオケ本体40からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置60は、カラオケ本体40からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク70は、歌唱者の歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体40に入力するための構成である。リモコン装置80は、カラオケ本体40に対する各種操作をおこなうための装置である。
【0028】
図4に示すように、カラオケ本体40は、記憶手段40a、通信手段40b、入力手段40c、及び制御手段40dを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0029】
[記憶手段・通信手段・入力手段]
記憶手段40aは、カラオケ演奏を行うための楽曲データ等、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。各楽曲は、楽曲識別情報が設定されている。通信手段40bは、サーバ装置Sとの通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段40cは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段40cは、カラオケ本体40に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置80が入力手段40cとして機能してもよい。
【0030】
[制御手段]
制御手段40dは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段40dは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0031】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段40dは、ログイン処理部100、特定部200、取得部300、決定部400、提示部500、及び採点処理部600として機能する。
【0032】
(ログイン処理部)
ログイン処理部100は、利用者識別情報の入力に応じて、当該利用者のログインを行う。
【0033】
たとえば、利用者U1、利用者U2、利用者U3、及び利用者U4の4名でカラオケ装置Kを利用するとする。この場合、利用者U1~利用者U4は、それぞれリモコン装置80を介して、自己の利用者ID及びパスワードを入力する。ログイン処理部100は、入力された利用者ID及びパスワードをログイン要求としてサーバ装置Sに送信する。サーバ装置Sの制御手段30は、カラオケ装置Kから受信した利用者U1~利用者U4のログイン要求に基づいて、各利用者の利用者IDを記憶手段10に記憶させることにより、カラオケシステム1に対する利用者U1~利用者U4のログインを完了させる。
【0034】
なお、サーバ装置Sは、ログインした各利用者の利用者ID及びパスワードに対応する利用者情報を第1の記憶部10aから読み出し、カラオケ装置Kに送信してもよい。この場合、ログイン処理部100は、受信した利用者情報を記憶手段40aに記憶させる。
【0035】
(特定部)
特定部200は、一の楽曲を予約する際にグループ歌唱が選択された場合、利用者からの指示入力に基づいて歌唱者を特定する。グループ歌唱は、複数の利用者が交替で楽曲のカラオケ歌唱を行う方法である。歌唱者は、ログインした利用者のうちグループ歌唱を行う利用者である。歌唱者は少なくとも2名、特定される。
【0036】
カラオケシステム1にログインした利用者は、リモコン装置80を介して楽曲の予約を行う。たとえば、利用者U1がリモコン装置80を介して、楽曲X1を選曲したとする。
【0037】
この際、リモコン装置80は、表示画面に予約転送用のアイコン及びグループ歌唱選択
用のアイコンを表示させる。
【0038】
利用者U1が予約転送用のアイコンを選択した場合、リモコン装置80は、楽曲X1の楽曲IDをカラオケ装置Kに送信する。カラオケ装置Kは、受信した楽曲X1の楽曲IDを予約待ち行列に登録することにより楽曲X1の予約を行う。
【0039】
一方、予約転送用のアイコンが選択される以前に、利用者U1によりグループ歌唱選択用のアイコンが選択されていた場合、リモコン装置80は、カラオケ装置Kに対して楽曲X1の楽曲IDを送信する際に、ログインしている全ての利用者の利用者ID及びグループ歌唱を行う旨のフラグ情報を送信する。
【0040】
利用者ID及びフラグ情報を受信した場合、特定部200は、カラオケシステム1にログインしている利用者U1~利用者U4を歌唱者として特定する。特定部200は、各歌唱者に対応する利用者ID及びフラグ情報を楽曲X1の楽曲IDに紐付けて予約待ち行列に登録する。利用者U1によるグループ歌唱選択用のアイコンの選択は、「利用者からの指示入力」に相当する。
【0041】
なお、上記例ではログインしている利用者全てが歌唱者として特定される例について述べたが、ログインしている利用者のうち、一部の利用者のみを歌唱者として特定することも可能である。
【0042】
たとえば、グループ歌唱選択用のアイコンが選択された場合、リモコン装置80は、現在カラオケシステム1にログインしている利用者の利用者名を表示画面に表示させる。利用者U1は、表示された利用者の中から少なくとも2名を選択する。この場合、リモコン装置80は、カラオケ装置Kに対して楽曲X1の楽曲IDを送信する際に、選択された利用者の利用者ID及びグループ歌唱を行う旨のフラグ情報を送信する。
【0043】
利用者ID及びフラグ情報を受信した場合、特定部200は、カラオケシステム1にログインしている利用者U1~利用者U4のうち、選択された利用者を歌唱者として特定する。
【0044】
(取得部)
取得部300は、履歴記憶部から歌唱者の採点履歴を取得する。
【0045】
特定部200が歌唱者を特定した場合、取得部300は、サーバ装置Sに対し、特定した歌唱者の採点履歴(すなわち、歌唱者の採点履歴)の送信要求を行う。送信要求は、歌唱者のID(すなわち利用者ID)及び採点履歴を送信する旨の指示信号を含む。送信要求を受けた場合、サーバ装置Sの制御手段30は、受信した利用者IDを含む採点履歴を第2の記憶部10bから読み出し、カラオケ装置Kに送信する。取得部300は、カラオケ装置Kから採点履歴を取得し、記憶手段40aに記憶させる。
【0046】
なお、取得部300は選曲された楽曲の楽曲IDを送信要求に含めてもよい。この場合、制御手段30は、受信した利用者IDを含む採点履歴の中から当該楽曲IDに対応する採点結果のみを読み出し、採点履歴としてカラオケ装置Kに送信する。
【0047】
(決定部)
決定部400は、取得した採点履歴に基づいて、一の楽曲について各歌唱者が少なくとも一の歌唱区間のカラオケ歌唱が可能となる組み合わせであって、且つその組み合わせの中で、一の楽曲の全歌唱区間の採点値の合計値が最も高い組み合わせを決定する。また、本実施形態において、決定部400は、各歌唱者の歌唱回数が略均等となる組み合わせを決定する。
【0048】
歌唱者と歌唱区間との組み合わせは、予め設定されている基準に基づいて決定される。たとえば、各歌唱者の歌唱回数を均等とする場合、「(1)歌唱者1人あたり、p個の歌唱区間を歌唱する組み合わせ」、且つ「(2)(1)の組み合わせのうち、一の楽曲の全歌唱区間の採点値の合計値が最も高い組み合わせ」という基準を設定することができる。なお、歌唱者の人数及び歌唱区間の数によっては、歌唱区間が均等にならない可能性(pが整数にならない可能性)もありうる。この場合、歌唱区間の個数「p」に関する基準を「(m/N)-1≦p≦(m/N)+1」とすることができる。
【0049】
なお、一の楽曲の歌唱区間の総数を「m」とし、歌唱者の数を「N」とした場合、一の楽曲における歌唱区間毎に歌唱者を割り当てる組み合わせは、Nm通りとなる。また、歌唱回数を均等とする場合、p=m/Nとなる。
【0050】
具体例として、予約された楽曲X1が8つの歌唱区間S1~S8から構成されているとする。また、利用者U1~利用者U4が歌唱者として特定されたとする。更に、組み合わせ決定の基準は、「(1)歌唱者1人あたり、p個の歌唱区間を歌唱する(各歌唱者の歌唱回数が略均等となる)組み合わせ」、且つ「(2)(1)の組み合わせのうち、一の楽曲の全歌唱区間の採点値の合計値が最も高い組み合わせ」であるとする。
【0051】
この場合、決定部400は、楽曲X1の歌唱区間の総数「8」と、歌唱者の数「4」から、各歌唱者の歌唱回数(歌唱区間)として「2回(2区間)」を決定する。
【0052】
次に、決定部400は、利用者U1~利用者U4の採点履歴に基づいて、各利用者の楽曲X1の歌唱区間毎の採点値を決定する。図5は、決定部400が決定した、歌唱者毎及び歌唱区間毎の採点値である。
【0053】
なお、ある利用者について一の楽曲の採点結果が複数存在する場合、決定部400は、歌唱区間毎に最も高い値を、各歌唱区間の採点値として採用することができる。或いは、決定部400は、歌唱区間毎の採点値の平均値を、各歌唱区間の採点値として採用してもよい。
【0054】
次に、決定部400は、楽曲X1における歌唱区間毎に歌唱者を割り当てる場合の全ての組み合わせ(48通り=65536通り)について、全歌唱区間の採点値の合計値を求める。
【0055】
そして、決定部400は、65536通りのうち、各歌唱者の歌唱区間が2回となる組み合わせの中から、採点値の合計値が最も高い組み合わせを特定する。
【0056】
図6は、合計値と、各歌唱区間の採点値として採用された歌唱者(利用者)との組み合わせを示した図である。図6は、合計値の高い順に示している。
【0057】
たとえば、最も大きい合計値(782点)の場合、歌唱者は、利用者U1~利用者U3のみとなっている。よって、上記基準を満たさない。
【0058】
一方、次に大きい合計値(777点)の場合、歌詞者は、利用者U1~利用者U4である。しかし、利用者U1の採点値が採用された歌唱区間は1区間しかない。よって、上記基準を満たさない。
【0059】
その次に大きい合計値(765点)の場合、歌唱者は、利用者U1~利用者U4である。また、各利用者の採点値が採用された歌唱区間は2つずつである。
【0060】
よって、決定部400は、合計値が765点の組み合わせを採用する。すなわち、決定部400は、楽曲X1の歌唱区間S1及びS5については利用者U1が割り当てられ、歌唱区間S2及びS6については利用者U2が割り当てられ、歌唱区間S3及びS7については利用者U3が割り当てられ、歌唱区間S4及びS8については利用者U4が割り当てられた組み合わせを、上記基準を満たす組み合わせとして決定する。
【0061】
なお、各歌唱者は、少なくとも一の歌唱区間に対して割り当てられればよい。すなわち、決定部400は、各歌唱者が少なくとも一の歌唱区間のカラオケ歌唱が可能となるような組み合わせを決定することでもよい。
【0062】
また、決定部400による組み合わせ決定の処理は一例である。一の楽曲について各歌唱者が少なくとも一の歌唱区間のカラオケ歌唱が可能となる組み合わせであって、且つその組み合わせの中で、一の楽曲の全歌唱区間の採点値の合計値が最も高い組み合わせを決定することができれば上記処理に限られない。
【0063】
(提示部)
提示部500は、一の楽曲のカラオケ演奏に伴って、決定された組み合わせに基づく歌唱者を歌唱区間毎に提示する。
【0064】
カラオケ装置Kは、予約待ち行列に登録されている順に楽曲のカラオケ演奏を行う。ここで、予約待ち行列にフラグ情報が含まれている場合、提示部500は、カラオケ演奏に伴って、カラオケ装置Kを利用する利用者に対し、決定された組み合わせに基づく歌唱者を歌唱区間毎に提示する。具体的に、提示部500は、ある歌唱区間のカラオケ演奏が行われる際、決定された組み合わせにおいて、当該ある歌唱区間に割り当てられている歌唱者を提示する。
【0065】
歌唱者の提示は、様々な方法により行うことができる。たとえば、提示部500は、表示装置60に歌唱者の名前やアバターを表示させることにより、カラオケ演奏されている歌唱区間を歌唱すべき歌唱者を提示することができる。なお、提示部500は、現在カラオケ演奏中の歌唱区間に割り当てられた歌唱者だけでなく、次にカラオケ演奏される歌唱区間に割り当てられた歌唱者が分かるように提示してもよい。また、歌唱者の提示の態様も様々である。たとえば、特許文献1のように、予め歌唱者毎の異なる歌詞文字の色を設定しておき、カラオケ演奏に伴って歌詞文字の色を変えることにより間接的に歌唱者の提示を行ってもよい。
【0066】
(採点処理部)
採点処理部600は、一の楽曲のカラオケ歌唱について歌唱区間毎に採点を行い、採点結果を提示する。
【0067】
採点処理部600は、グループ歌唱の有無に関わらず、歌唱区間毎に採点を行う。採点処理の方法は、公知の手法を用いることができる。採点結果の提示は、たとえば表示装置60の表示画面に合計値として表示することができる。或いは、グループ歌唱が選択されている場合、採点処理部600は、歌唱区間毎の採点結果を歌唱した利用者の名前等と併せて表示させてもよい。
【0068】
==カラオケシステムにおける処理について==
次に、図7を参照して本実施形態に係るカラオケシステム1における処理の具体例について述べる。図7は、カラオケシステム1における処理例を示すフローチャートである。この例では、複数の利用者でカラオケ装置Kを利用する。また、第2の記憶部10bは、利用者がカラオケ歌唱した楽曲の歌唱区間毎の採点値を含む採点履歴を記憶している。
【0069】
ログイン処理部100は、各利用者の利用者識別情報の入力に応じて、各利用者のログインを行う(複数の利用者のログイン。ステップ10)。
【0070】
一の楽曲を予約する際に、グループ歌唱が選択された場合(ステップ11でYの場合)、特定部200は、利用者からの指示入力に基づいて、ログインした利用者のうちグループ歌唱を行う利用者である歌唱者を特定する(歌唱者の特定。ステップ12)。なお、グループ歌唱が選択されなかった場合(ステップ11でNの場合)、カラオケシステム1は、通常のカラオケ演奏等を行うため、ステップ12以降の処理は実行しない。
【0071】
取得部300は、サーバ装置Sに対し、ステップ12で特定した歌唱者の採点履歴の送信要求を行う(歌唱者の採点履歴を要求。ステップ13)。
【0072】
サーバ装置Sは、第2の記憶部10bから歌唱者の採点履歴を読み出し、カラオケ装置Kに送信する(歌唱者の採点履歴を送信。ステップ14)。
【0073】
取得部300は、歌唱者の採点履歴を取得する(採点履歴の取得。ステップ15)。
【0074】
割り当て部400は、ステップ15で取得した採点履歴に基づいて、一の楽曲について各歌唱者が少なくとも一の歌唱区間のカラオケ歌唱が可能となる組み合わせであって、且つその組み合わせの中で、一の楽曲の全歌唱区間の採点値の合計値が最も高い組み合わせを決定する(歌唱者と歌唱区間の組み合わせを決定。ステップ16)。
【0075】
カラオケ装置Kは、予約された一の楽曲のカラオケ演奏を開始する(カラオケ演奏の開始。ステップ17)。
【0076】
提示部500は、一の楽曲のカラオケ演奏に伴って、決定された組み合わせに基づく歌唱者を歌唱区間毎に提示する(歌唱区間毎に歌唱者を提示。ステップ18)。
【0077】
カラオケ演奏が終了した後(ステップ19でYの場合)、採点処理部600は、一の楽曲のカラオケ歌唱について歌唱区間毎に採点を行い、採点結果を提示する(採点結果の提示。ステップ20)。
【0078】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、利用者がカラオケ歌唱した楽曲の歌唱区間毎の採点値を含む採点履歴を記憶する第2の記憶部10bと、利用者の利用者識別情報の入力に応じて、当該利用者のログインを行うログイン処理部100と、一の楽曲を予約する際に、複数の利用者が交替で楽曲のカラオケ歌唱を行うグループ歌唱が選択された場合、利用者からの指示入力に基づいて、ログインした利用者のうちグループ歌唱を行う利用者である歌唱者を特定する特定部200と、第2の記憶部10bから歌唱者の採点履歴を取得する取得部300と、取得した採点履歴に基づいて、一の楽曲について各歌唱者が少なくとも一の歌唱区間のカラオケ歌唱が可能となる組み合わせであって、且つその組み合わせの中で、一の楽曲の全歌唱区間の採点値の合計値が最も高い組み合わせを決定する決定部400と、一の楽曲のカラオケ演奏に伴って、決定された歌唱者を歌唱区間毎に提示する提示部500と、を有する。
【0079】
このようなカラオケシステム1によれば、グループ歌唱を行う場合に、特定された歌唱者については少なくとも一の歌唱区間が割り当てられ、歌唱区間毎に歌唱すべき歌唱者が提示される。よって、各歌唱者は、必ずカラオケ歌唱の機会が得られ、また自分が歌唱区間すべき歌唱区間を把握できるため、一部の利用者だけがカラオケ歌唱を行うことを抑制できる。また、割り当てられる歌唱区間は、歌唱者にとって高得点を得やすい区間である。よって、グループ歌唱を行う場合であっても高得点を狙うといった新たなカラオケ歌唱の楽しみ方ができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケシステム1によれば、複数の利用者が一の楽曲を交替でカラオケ歌唱する際、各利用者がカラオケ歌唱を行う機会が得られ、且つ良い採点結果を目指すことができる。
【0080】
また、本実施形態に係るカラオケシステム1は、一の楽曲のカラオケ歌唱について歌唱区間毎に採点を行い、採点結果を提示する採点処理部600を有する。採点処理部600により、歌唱者はグループ歌唱を行った際の実際の採点結果を把握することができる。なお、採点処理部600は、本発明の課題を解決するために必須の構成では無い。
【0081】
また、本実施形態に係る決定部400は、各歌唱者の歌唱回数が略均等となる組み合わせを決定することができる。このように歌唱回数を設定することにより、各歌唱者が公平にカラオケ歌唱を行う機会を得ることができる。
【0082】
<その他>
実施形態では、サーバ装置Sが第1の記憶部10a、及び第2の記憶部10bを有する例について説明した。一方、カラオケ装置Kがこれらの記憶部を有する構成であってもよい。この場合、カラオケ装置K自体がカラオケシステムとして機能する。
【0083】
また実施形態において、サーバ装置Sは、各利用者がカラオケシステム1にログインした時点において、利用者情報と併せて採点履歴をカラオケ装置Kに送信してもよい。カラオケ装置Kは、受信した採点履歴を記憶手段40aに記憶させる。更に、取得部300は、予め受信した複数の利用者の採点履歴の中から、特定された歌唱者の採点履歴を抽出することにより、採点履歴の取得を行う。
【0084】
また、実施形態におけるカラオケ本体40が実施する機能の一部、たとえば特定部200の機能をリモコン装置80が備えていてもよい。
【0085】
また、特定された歌唱者の人数が多い場合、歌唱者を複数のグループに分け、同じ楽曲を複数回カラオケ演奏するようにしてもよい。この場合であっても、カラオケ装置Kは、それぞれのグループについて、歌唱者の採点履歴に基づいて最適な歌唱者と歌唱区間の組み合わせを決定し、歌唱区間毎に歌唱者を提示することができる。
【0086】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1 カラオケシステム
10a 第1の記憶部
10b 第2の記憶部(履歴記憶部)
100 ログイン処理部
200 特定部
300 取得部
400 決定部
500 提示部
600 採点処理部
K カラオケ装置
S サーバ装置
図1
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図7