(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】バッチ編成計画作成装置および方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2020068159
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2019078788
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】梅田 豊裕
(72)【発明者】
【氏名】井筒 理人
(72)【発明者】
【氏名】福田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康平
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-123870(JP,A)
【文献】特開2003-256020(JP,A)
【文献】特開2005-307318(JP,A)
【文献】特開2001-134313(JP,A)
【文献】特開2013-084046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
C21D 9/00
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッチ処理装置及び前記バッチ処理装置に対応して設置された送風ファンを用いて、複数のワークをバッチ処理するバッチ処理工程に投入する前記ワークのバッチ編成計画を作成するバッチ編成計画作成装置であって、
前記送風ファンの全体能力であるファン能力を含むバッチ処理装置情報を記憶するバッチ処理装置情報記憶部と、
前記バッチ処理装置から取り出された後で前記複数のワークそれぞれが必要とする前記送風ファンの能力であるファン負荷を含む前記複数のワークそれぞれのワーク情報を記憶するワーク情報記憶部と、
前記複数のワークのうち、前記バッチ処理装置情報及び前記ワーク情報に基づき、前記バッチ処理装置に割り当てられた前記ワークの前記ファン負荷の合計が前記ファン能力以下となるように、前記ワークを前記バッチ処理装置に割り当てる割当部と、
前記バッチ処理装置に割り当てられた全ての前記ワークをバッチ編成として登録するバッチ登録部と、
を備えるバッチ編成計画作成装置。
【請求項2】
前記送風ファンは、複数台あり、
前記割当部は、前記複数のワークの中から前記複数の送風ファンのそれぞれに前記ワークを割り当てており、
前記割当部は、前記複数の送風ファンのそれぞれに割り当てた前記ワークの前記ファン負荷の合計が、前記複数の送風ファンのそれぞれのファン個別能力以下となるようにすることで、前記バッチ処理装置に割り当てられた前記ワークの前記ファン負荷の合計が、前記ファン能力以下となるようにする、請求項1に記載のバッチ編成計画作成装置。
【請求項3】
前記バッチ処理装置情報は、前記複数の送風ファンのそれぞれに割り当てることができる前記ワークの最大数を含み、
前記割当部は、前記複数の送風ファンのそれぞれに割り当てられた前記ワークの数が前記最大数以下となるように、前記複数のワークの中から前記複数の送風ファンのそれぞれに前記ワークに割り当てる、請求項2に記載のバッチ編成計画作成装置。
【請求項4】
前記バッチ処理装置情報は、前記バッチ処理装置で前記ワークを同時に処理可能な上限を表す最大容量を含み、
前記ワーク情報は、前記複数のワークそれぞれの個別容量を含み、
前記割当部は、さらに、前記バッチ処理装置に割り当てられた前記ワークの前記個別容量の合計が前記最大容量以下となるように、前記ワークを前記バッチ処理装置に割り当てる、
請求項1~3のいずれかに1項に記載のバッチ編成計画作成装置。
【請求項5】
前記バッチ処理装置情報は、前記バッチ処理装置において前記バッチ処理が開始される開始時点を表す情報を含み、
前記ワーク情報は、前記複数のワークそれぞれが前記バッチ処理装置に到着する到着時点を表す情報を含み、
前記割当部は、さらに、前記ワークの前記到着時点が、前記開始時点より前である前記ワークを前記バッチ処理装置に割り当てる、
請求項1~4のいずれか1項に記載のバッチ編成計画作成装置。
【請求項6】
前記バッチ処理装置は、前記ワークを加熱する熱処理炉であり、
前記ワーク情報は、前記複数のワークそれぞれの熱処理条件を含み、
前記割当部は、さらに、前記ワークの熱処理条件が互いに一致するように、前記ワークを前記バッチ処理装置に割り当てる、
請求項1~5のいずれか1項に記載のバッチ編成計画作成装置。
【請求項7】
前記バッチ処理装置情報は、前記バッチ処理装置で前記ワークを同時に処理可能な下限を表す最小容量を含み、
前記ワーク情報は、前記複数のワークそれぞれの個別容量を含み、
前記バッチ登録部は、前記バッチ処理装置に割り当てられた前記ワークの個別容量の合計が、前記最小容量以上である場合にのみ、前記バッチ処理装置に割り当てられた全ての前記ワークを前記バッチ編成として登録する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のバッチ編成計画作成装置。
【請求項8】
バッチ処理装置及び前記バッチ処理装置に対応して設置された送風ファンを用いて、複数のワークをバッチ処理するバッチ処理工程に投入する前記ワークのバッチ編成計画を作成するバッチ編成計画作成方法であって、
前記複数のワークのうち、前記送風ファンの全体能力であるファン能力を含むバッチ処理装置情報と、前記バッチ処理装置から取り出された後で前記複数のワークそれぞれが必要とする前記送風ファンの能力であるファン負荷を含む前記複数のワークそれぞれのワーク情報と、に基づき、前記バッチ処理装置に割り当てられた前記ワークの前記ファン負荷の合計が前記ファン能力以下となるように、前記ワークを前記バッチ処理装置に割り当てる割当ステップと、
前記バッチ処理装置に割り当てられた全ての前記ワークをバッチ編成として登録するバッチ登録ステップと、
を備えるバッチ編成計画作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を生産する工場において、半製品であるワークを複数同時にバッチ処理するバッチ処理工程におけるワークの編成計画を作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば熱処理条件が同じワークについては、複数のワークがまとめて熱処理炉内に入れられて、一括して熱処理される。例えば特許文献1に記載の技術では、バッチ処理が実行されるバッチ炉の容量が予め定義され、この容量が1回のバッチ編成の上限値とされている。そして、この上限値まで同じ熱処理条件のワークが追加されて、1回のバッチが編成される。これによって、生産性の高いバッチ処理が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば熱処理、塗装、コーティング、洗浄などのバッチ処理工程では、ワークを次工程に搬送する前に、バッチ炉の近傍に設置された送風ファンを用いて、ワークが冷却又は乾燥される。しかしながら、上記特許文献1では、設置されている送風ファンの全体能力であるファン能力、及び、バッチ炉から取り出された後で各ワークが必要とする送風ファンの能力であるファン負荷が、考慮されていない。このため、バッチ炉の容量と熱処理条件とに基づけば、1回のバッチに編成可能なワーク群であっても、各ワークのファン負荷の合計が、ファン能力を超える場合には、このワーク群を1つのバッチに編成すると、バッチに含まれるワーク群が十分に冷却又は乾燥されない、という事態が生じることもあり得る。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、バッチに編成された各ワークを送風ファンにより十分に冷却又は乾燥することが可能なバッチ編成計画作成装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様にかかるバッチ編成計画作成装置は、
バッチ処理装置及び前記バッチ処理装置に対応して設置された送風ファンを用いて、複数のワークをバッチ処理するバッチ処理工程に投入する前記ワークのバッチ編成計画を作成するバッチ編成計画作成装置であって、
前記送風ファンの全体能力であるファン能力を含むバッチ処理装置情報を記憶するバッチ処理装置情報記憶部と、
前記バッチ処理装置から取り出された後で前記複数のワークそれぞれが必要とする前記送風ファンの能力であるファン負荷を含む前記複数のワークそれぞれのワーク情報を記憶するワーク情報記憶部と、
前記複数のワークのうち、前記バッチ処理装置情報及び前記ワーク情報に基づき、前記バッチ処理装置に割り当てられた前記ワークの前記ファン負荷の合計が前記ファン能力以下となるように、前記ワークを前記バッチ処理装置に割り当てる割当部と、
前記バッチ処理装置に割り当てられた全ての前記ワークをバッチ編成として登録するバッチ登録部と、
を備えるものである。
【0007】
本発明の第2態様にかかるバッチ編成計画作成方法は、
バッチ処理装置及び前記バッチ処理装置に対応して設置された送風ファンを用いて、複数のワークをバッチ処理するバッチ処理工程に投入する前記ワークのバッチ編成計画を作成するバッチ編成計画作成方法であって、
前記複数のワークのうち、前記送風ファンの全体能力であるファン能力を含むバッチ処理装置情報と、前記バッチ処理装置から取り出された後で前記複数のワークそれぞれが必要とする前記送風ファンの能力であるファン負荷を含む前記複数のワークそれぞれのワーク情報と、に基づき、前記バッチ処理装置に割り当てられた前記ワークの前記ファン負荷の合計が前記ファン能力以下となるように、前記ワークを前記バッチ処理装置に割り当てる割当ステップと、
前記バッチ処理装置に割り当てられた全ての前記ワークをバッチ編成として登録するバッチ登録ステップと、
を備えるものである。
【0008】
第1態様又は第2態様では、バッチ処理装置に割り当てられたワークのファン負荷の合計がファン能力以下となるように、ワークがバッチ処理装置に割り当てられる。したがって、第1態様又は第2態様によれば、バッチに編成された各ワークのファン負荷の合計が、ファン能力を超えるような事態が回避される。その結果、バッチに編成された各ワークを送風ファンにより十分に冷却又は乾燥することが可能になる。なお、ファン能力とは、送風ファンが複数台のとき、複数の送風ファンのそれぞれのファン個別能力を合わせたものであり、送風ファンが一台のとき、当該送風ファンのファン個別能力である。
【0009】
上記第1態様において、例えば、
前記送風ファンは、複数台あり、
前記割当部は、前記複数のワークの中から前記複数の送風ファンのそれぞれに前記ワークを割り当てており、
前記割当部は、前記複数の送風ファンのそれぞれに割り当てた前記ワークの前記ファン負荷の合計が、前記複数の送風ファンのそれぞれのファン個別能力以下となるようにすることで、前記バッチ処理装置に割り当てられた前記ワークの前記ファン負荷の合計が、前記ファン能力以下となるようにしてもよい。
【0010】
本態様は、バッチ処理装置に割り当てられたワークのファン負荷の合計が、ファン能力以下にすることを実現する手法の一つである。
【0011】
バッチ処理装置に割り当てられたワークのファン負荷の合計が、ファン能力以下となる条件が満たされても、ファン負荷が大きいワークの組み合わせが割り当てられた送風ファンの場合、これらのワークのファン負荷の合計が当該送風ファンのファン個別能力を超えることがある。このようなことが発生すると、これらのワークについて、十分に冷却又は乾燥することができない。
【0012】
本態様では、複数の送風ファンのそれぞれについて、送風ファンに割り当てられたワークのファン負荷の合計が、当該送風ファンのファン個別能力以下にしている。この結果、複数の送風ファンのそれぞれには、ファン負荷が小さいワークの組み合わせ又はファン負荷が小さいワークとファン負荷が大きいワークの組み合わせが割り当てられることになり、ファン負荷が大きいワークの組み合わせが一つの送風ファンに割り当てられることを防止できる。
【0013】
上記第1態様において、例えば、
前記バッチ処理装置情報は、前記複数の送風ファンのそれぞれに割り当てることができる前記ワークの最大数を含み、
前記割当部は、前記複数の送風ファンのそれぞれに割り当てられた前記ワークの数が前記最大値以下となるように、前記複数のワークの中から前記複数の送風ファンのそれぞれに前記ワークに割り当ててもよい。
【0014】
ファン負荷が小さいワークの組み合わせが割り当てられた送風ファンの場合、ワークの数が多くても、ファン負荷の合計が当該送風ファンのファン個別能力以下にできる。しかし、当該送風ファンに割り当てられるワークの数が多いので、当該送風ファンが送風可能なエリアに配置できないワークが発生することがある。この場合、当該エリア外に配置されたワークについては、十分に冷却又は乾燥することができない。
【0015】
本態様では、複数の送風ファンのそれぞれに割り当てることができるワークの最大数を、バッチ処理装置情報に含めており、複数の送風ファンのそれぞれに割り当てられたワークの数が最大値以下となるようにしている。従って、複数の送風ファンのそれぞれについて、送風可能なエリアに配置できないワークが発生することを防止できる。
【0016】
上記第1態様において、例えば、
前記バッチ処理装置情報は、前記バッチ処理装置で前記ワークを同時に処理可能な上限を表す最大容量を含み、
前記ワーク情報は、前記複数のワークそれぞれの個別容量を含み、
前記割当部は、さらに、前記バッチ処理装置に割り当てられた前記ワークの前記個別容量の合計が前記最大容量以下となるように、前記ワークを前記バッチ処理装置に割り当ててもよい。
【0017】
本態様では、さらに、バッチ処理装置に割り当てられたワークの個別容量の合計が最大容量以下となるように、ワークがバッチ処理装置に割り当てられる。したがって、本態様によれば、バッチ編成に含まれるワークの個別容量の合計が、バッチ処理装置でワークを同時に処理可能な最大容量を超えたことに起因して、バッチ処理が正常に実行されない、という事態を避けることができる。
【0018】
上記第1態様において、例えば、
前記バッチ処理装置情報は、前記バッチ処理装置において前記バッチ処理が開始される開始時点を表す情報を含み、
前記ワーク情報は、前記複数のワークそれぞれが前記バッチ処理装置に到着する到着時点を表す情報を含み、
前記割当部は、さらに、前記ワークの前記到着時点が、前記開始時点より前である前記ワークを前記バッチ処理装置に割り当ててもよい。
【0019】
本態様では、さらに、ワークの到着時点が、開始時点より前であるワークがバッチ処理装置に割り当てられる。したがって、本態様によれば、バッチ編成に含まれるワークが、バッチ処理の開始時点にバッチ処理装置に到着しないことに起因して、バッチ処理が正常に実行されない、という事態を避けることができる。
【0020】
上記第1態様において、例えば、
前記バッチ処理装置は、前記ワークを加熱する熱処理炉であり、
前記ワーク情報は、前記複数のワークそれぞれの熱処理条件を含み、
前記割当部は、さらに、前記ワークの熱処理条件が互いに一致するように、前記ワークを前記バッチ処理装置に割り当ててもよい。
【0021】
本態様では、さらに、ワークの熱処理条件が互いに一致するように、ワークがバッチ処理装置に割り当てられる。したがって、本態様によれば、バッチ編成に含まれる各ワークの熱処理条件が互いに一致しないことに起因して、熱処理が正常に実行されない、という事態を避けることができる。
【0022】
上記第1態様において、例えば、
前記バッチ処理装置情報は、前記バッチ処理装置で前記ワークを同時に処理可能な下限を表す最小容量を含み、
前記ワーク情報は、前記複数のワークそれぞれの個別容量を含み、
前記バッチ登録部は、前記バッチ処理装置に割り当てられた前記ワークの個別容量の合計が、前記最小容量以上である場合にのみ、前記バッチ処理装置に割り当てられた全ての前記ワークを前記バッチ編成として登録してもよい。
【0023】
本態様では、バッチ処理装置に割り当てられたワークの個別容量の合計が、最小容量以上である場合にのみ、バッチ処理装置に割り当てられた全てのワークが、バッチ編成として登録される。仮バッチに含まれるワークの個別容量の合計が、最小容量未満のときでも各ワークがバッチ編成として登録されると、生産性が低下してしまう。しかし、本態様によれば、生産性が低下する事態を避けることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、バッチに編成された各ワークを送風ファンにより十分に冷却又は乾燥することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】バッチ編成計画作成装置の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図2】バッチ炉情報の一例を概略的に示す図である。
【
図4】バッチ編成計画作成装置の動作手順の一例を概略的に示すフローチャートである。
【
図5】バッチ編成計画作成装置の動作手順の一例を概略的に示すフローチャートである。
【
図6】ワークリストの一例を概略的に示す図である。
【
図7】バッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図8】バッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図9】バッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図10】バッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図11】バッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図12】バッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図13】作成されたバッチ編成の一例を概略的に示す図である。
【
図14】
図2と異なるバッチ炉情報を概略的に示す図である。
【
図15】
図14のバッチ炉情報を用いた場合の動作例を概略的に示す図である。
【
図17】
図16のバッチ炉情報を用いた場合の動作例を概略的に示す図である。
【
図18】本実施形態における熱処理工程を概略的に示す図である。
【
図19】本実施形態における熱処理工程を概略的に示す図である。
【
図20】各ワークのファン負荷の一例を概略的に示す図である。
【
図21】本実施形態の変形例において、複数の冷却ファンのそれぞれに割り当てられたワークのファン負荷の合計及びワークの数の一例を概略的に示す図である。
【
図22】本実施形態の変形例におけるバッチ編成計画作成装置の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図23】変形例におけるバッチ炉情報の一例を概略的に示す図である。
【
図24】変形例におけるワーク情報の一例を概略的に示す図である。
【
図25】変形例におけるワークリストの一例を概略的に示す図である。
【
図26】変形例におけるバッチ編成計画作成装置の動作手順の一例を概略的に示すフローチャートである。
【
図27】変形例におけるバッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図28】変形例におけるバッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図29】変形例におけるバッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図30】変形例におけるバッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図31】変形例におけるバッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図32】変形例におけるバッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図33】変形例におけるバッチ編成計画作成装置の具体的な動作例を概略的に示す図である。
【
図34】変形例を用いて作成されたバッチ編成の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態が、図面を参照しながら説明される。なお、各図面において、同じ構成要素については同じ符号が用いられ、適宜、詳細な説明は省略される。
【0027】
図18、
図19は、本実施形態における熱処理工程を概略的に示す図である。
図18は、昇温中の状態を示し、
図19は、冷却中の状態を示す。
図20は、冷却ファンにより冷却される各ワークのファン負荷の一例を概略的に示す図である。
図18~
図20を用いて、本実施形態における熱処理工程の概要が説明される。
【0028】
図18、
図19に示されるように、ワーク10A~10Eは、移動可能に構成された炉床5に配置される。炉床5に配置可能なワークの数及び重量には制限がある。
図18、
図19の例では、ワーク10A~10Eの5個のワークが、炉床5に配置されている。ワーク10A~10Eが配置された炉床5は、
図18に示されるように、熱処理炉15(バッチ炉の一例に相当)の内部に移動し、所定時間に亘って所定温度で昇温する。一般に、熱処理温度は、ワークの種類によって異なる。そこで、1つのバッチでは、同じ熱処理温度のワークがまとめられて熱処理が実行される。
【0029】
所定時間の経過後、
図19に示されるように、炉床5は熱処理炉15の外部に移動し、熱処理炉15に対応して設置されている冷却ファン20A,20B(送風ファンの一例に相当)を用いて、ワーク10A~10Eが冷却される。
図19の例では、冷却ファン20A,20Bは、熱処理炉15の近傍に設置されており、ワーク10A~10Eは、熱処理炉15から取り出された後、直ぐに空冷される。
【0030】
ワークの種類によって、冷却方法が異なるため、ワークそれぞれが必要とする冷却ファンの個別能力であるワークのファン負荷は一様ではない。
図19の例では、ワーク10A,10Bは冷却ファン20Aにより、ワーク10D,10Eは冷却ファン20Bにより、それぞれ空冷されている。また、ワーク10Cは、冷却ファンを用いずに、自然冷却されている。
図19から分かるように、炉床5に配置されているワークのファン負荷の合計が、熱処理炉15の近傍に設置されている冷却ファンの全体能力を超える場合には、各ワークを正常に冷却することができない。
【0031】
そこで、本実施形態では、ワーク毎にファン負荷が設定されている。
図20の例では、同じ能力を有する4台の冷却ファン20P~20S(送風ファンの一例に相当)が、それぞれ設置されている。また、炉床5には、7個のワーク10P~10Vが、それぞれ配置されている。ワーク10P~10Vのファン負荷FLは、それぞれ、0[台]又は0.5[台]又は1.5[台]に設定されている。
【0032】
図20の例では、冷却ファン20Pは、ファン負荷が0.5[台]のワーク10P,10Qを同時に冷却している。冷却ファン20Sは、ファン負荷が0.5[台]のワーク10U,10Vを同時に冷却している。また、冷却ファン20Qは、ファン負荷が1.5[台]のワーク10Pのみを冷却し、冷却ファン20Rは、ファン負荷が1.5[台]のワーク10Pと、ファン負荷が0.5[台]のワーク10Qとを同時に冷却している。また、ファン負荷が0[台]のワーク10Rは、自然冷却されている。
【0033】
図20の例では、ワーク10P~10Vのファン負荷FLの合計は4[台]であり、4台の冷却ファン20P~20Sが設置されている。したがって、冷却ファン20P~20Sによって、ワーク10P~10Vを正常に冷却することが可能になっている。このように、本実施形態では、ファン負荷の合計が、設置されている冷却ファンの全体能力(
図20の例では台数)を超えないことが、バッチ編成における制約とされている。
【0034】
図1は、本実施形態におけるバッチ編成計画作成装置100の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図1に示されるように、バッチ編成計画作成装置100は、ディスプレイ105、記録媒体インターフェース(記録媒体IF)110、プリンタ115、入力部120、記憶装置130、及び制御回路140を備える。制御回路140は、メモリ150、中央演算処理装置(CPU)160、及び周辺回路(図示省略)を含む。
【0035】
記憶装置130は、例えばハードディスク又は半導体不揮発性メモリ等により構成される。記憶装置130は、バッチ炉情報記憶部131、ワーク情報記憶部132、バッチ編成記憶部133を含む。バッチ炉情報記憶部131は、バッチ処理が実行されるバッチ炉(
図18の例では熱処理炉15)の仕様等を表すバッチ炉情報(
図2)を予め記憶する。ワーク情報記憶部132は、ワークの仕様等を表すワーク情報(
図3)を予め記憶する。バッチ編成記憶部133は、作成されたバッチ編成(後述)を記憶する。バッチ炉は、バッチ処理装置の例であり、バッチ炉情報は、バッチ処理装置情報の例であり、バッチ炉情報記憶部は、バッチ処理装置情報記憶部の例である。
【0036】
図2は、バッチ炉情報記憶部131に記憶されているバッチ炉情報200の一例を概略的に示す図である。
図2に示されるように、バッチ炉情報200は、炉識別情報(炉ID)欄201、開始日欄202、最小バッチ量欄203、最大バッチ量欄204、ファン能力欄205を含む。炉ID欄201には、バッチ炉を特定する識別情報である炉IDが登録されている。
図2のバッチ炉情報200は、炉ID「FU1」のバッチ炉情報である。
【0037】
開始日欄202には、対応する炉IDのバッチ炉においてバッチ処理が開始される開始日(開始時点の一例に相当)が登録されている。
図2のバッチ炉「FU1」では、バッチ処理が2019年9月1日に開始される。最小バッチ量欄203には、対応する炉IDのバッチ炉において、1回にバッチ処理できるワークの下限を表す最小バッチ量(最小容量の一例に相当)が登録されている。
図2のバッチ炉「FU1」では、最小バッチ量は15[トン]である。最小バッチ量未満のワークでバッチ処理が実行されると、生産性が低下してしまう。そこで、本実施形態では、生産性の低下を避けるために、最小バッチ量が定められている。
【0038】
最大バッチ量欄204には、対応する炉IDのバッチ炉において、1回にバッチ処理できるワーク全体の上限を表す最大バッチ量(最大容量の一例に相当)が登録されている。
図2のバッチ炉「FU1」では、最大バッチ量は25[トン]である。最大バッチ量は、例えばバッチ炉のサイズ、加熱能力等に基づき定められる。ファン能力欄205には、対応する炉IDのバッチ炉の近傍に設置されている冷却ファンの全体能力が登録されている。
図2のバッチ炉「FU1」では、ファン能力は4[台]である。
【0039】
図3は、ワーク情報記憶部132に記憶されているワーク情報300の一例を概略的に示す図である。
図3に示されるように、ワーク情報300は、ワーク識別情報(ワークID)欄301、重量欄302、熱処理温度欄303、納期欄304、ファン負荷欄305、到着日欄306を含む。ワークID欄301には、ワークを特定する識別情報であるワークIDが登録されている。
図3のワーク情報300は、ワークID「P01」~「P16」の16個のワークに関する情報を含む。
【0040】
重量欄302には、対応するワークIDのワークの重量(個別容量の一例に相当)が登録されている。
図3のワーク情報300には、重量が3,4,5,6[トン]のワークが含まれている。熱処理温度欄303には、対応するワークIDのワークが熱処理炉で処理される熱処理温度が登録されている。
図3のワーク情報300には、熱処理温度が700,800,900[℃]のワークが含まれている。納期欄304には、ワークを出荷する期日が登録されている。
図3のワーク情報300には、納期が9月10日から9月16日までのワークが含まれている。
【0041】
ファン負荷欄305には、熱処理炉で昇温された後に、対応するワークIDのワークを冷却するために必要とする冷却ファンの能力が登録されている。ワークの種類によって、ファン負荷は異なる。例えばファン負荷が「0.4」であれば、1台の冷却ファンの40%の能力が必要であることを表す。また、例えばファン負荷が「1.5」であれば、1台の冷却ファン及び別の冷却ファンの50%の能力が必要であることを表す。また、例えばファン負荷が「0」であれば、冷却ファンが用いられずに自然冷却されることを表す。
図3のワーク情報300には、ファン負荷が0~1.5[台]のワークが含まれている。
【0042】
到着日欄306には、対応するワークIDのワークが熱処理工程に到着する到着日(到着時点の一例に相当)が登録されている。到着日には、将来に到着する予定の予定日も含まれる。
図3のワーク情報300では、最も早い到着日は8月25日であり、最も遅い到着日は9月2日である。
【0043】
図1に戻って、メモリ150は、例えば半導体メモリ等により構成される。メモリ150は、例えばリードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的に消去書き換え可能なROM(EEPROM)などを含む。CPU160は、メモリ150の例えばROMに記憶された本実施形態の制御プログラムにしたがって動作することによって、データ取得部161、割当部162、バッチ登録部163として機能する。データ取得部161は、バッチ炉情報記憶部131、ワーク情報記憶部132から、バッチ炉情報200、ワーク情報300をそれぞれ取得し、所定のデータ形式でメモリ150に保存する。割当部162は、所定のワークをバッチ炉に割り当てる。割当部162は、ワークリスト作成部170、到着時点判断部171、熱処理条件判断部172、炉容量判断部173、ファン能力判断部174、仮バッチ生成部175を含む。バッチ登録部163は、割当部162によりバッチ炉に割り当てられた所定のワークをバッチ編成として登録する。CPU160の各部の機能については、後に詳述される。
【0044】
ディスプレイ105は、例えば液晶ディスプレイパネルを含む。ディスプレイ105は、CPU160により制御されて、例えば作成されたバッチ編成(後述)を表示する。なお、ディスプレイ105は、液晶ディスプレイパネルに限られない。ディスプレイ105は、有機EL(electroluminescence)パネルなどの他のパネルを含んでもよい。
【0045】
記録媒体IF110は、CPU160により制御されて、書き込み可能な光ディスク(例えば追記型コンパクトディスク(CD-R)、記録型DVD(DVD-RAM))、半導体メモリ(例えばユニバーサルシリアルバス(USB)メモリ)等の持ち運び可能な記録媒体に、例えば作成されたバッチ編成を記録する。プリンタ115は、CPU160により制御されて、例えば作成されたバッチ編成を紙に印刷する。
【0046】
入力部120は、例えばマウス又はキーボードを含む。入力部120は、ユーザにより操作されると、その操作内容を示す操作信号を制御回路140に出力する。なお、ディスプレイ105がタッチパネル式ディスプレイの場合には、マウス又はキーボードに代えて、タッチパネル式ディスプレイが入力部120を兼用してもよい。
【0047】
図4、
図5は、バッチ編成計画作成装置100の動作手順の一例を概略的に示すフローチャートである。
図6は、ワークリストの一例を概略的に示す図である。
図1~
図6を用いて、バッチ編成計画作成装置100の動作が説明される。
【0048】
図4のステップS1000において、データ取得部161は、今回バッチ編成を検討するワーク情報をワーク情報記憶部132から取得し、取得したワーク情報を所定のデータ形式でメモリ150に保存する。本実施形態では、データ取得部161は、例えば
図3に示される形式でワーク情報300をメモリ150に保存する。
【0049】
ステップS1005において、ワークリスト作成部170は、メモリ150に保存されたワーク情報において、優先度の高い順にソートして、ワークリストを作成する。
図6に示されるように、ワークリスト600は、優先度欄601、ワークID欄602を含む。優先度欄601には、優先度が「1」から順に登録されている。ワークID欄602には、優先度の順に並べられたワークのワークIDが登録されている。
図6のワークリスト600では、ワーク情報300の納期が早いワークの優先度が高くされている。これによって、納期遅れを防止できる。
【0050】
なお、
図6のワークリスト600では、納期が同じワークについては、ワーク情報300の到着日欄306に登録されている到着日が早いワークの優先度が高くされている。これによって、ワーク置場におけるワークの滞留時間を短縮できる。例えば
図3のワークID「P02」、「P03」、「P04」のワークについては、納期「9月12日」は同じであるが、それぞれの到着日は、「8月25日」、「8月26日」、「8月28日」と異なっている。したがって、
図6のワークリスト600では、ワークID「P02」、「P03」、「P04」のワークの優先度は、到着日順に、それぞれ、優先度「2」、「3」、「4」とされている。
【0051】
図4に戻って、ステップS1010において、データ取得部161は、使用するバッチ炉のバッチ炉情報をバッチ炉情報記憶部131から取得し、取得したバッチ炉情報を所定のデータ形式でメモリ150に保存する。本実施形態では、データ取得部161は、
図2に示される形式でバッチ炉情報200をメモリ150に保存する。ステップS1015において、仮バッチ生成部175は、仮バッチを初期化する。仮バッチは、ワークがバッチ炉に割当て可能か否かを判断した結果、割当て可能と判断されたワークを仮に登録するためのものである。
【0052】
ステップS1020において、割当部162は、ワークリストの先頭から1つのワークを抽出する。ステップS1020が最初に実行されたときは、割当部162は、ワークリスト600からワークID「P01」を抽出する。割当部162の各部は、以下のステップS1025~S1040において、抽出されたワークがバッチ炉に割当て可能か否かを判断する。ステップS1025において、到着時点判断部171は、ステップS1020で抽出されたワークが到着時点条件を満たすか否かを判断する。すなわち、到着時点判断部171は、メモリ150に保存されているバッチ炉情報200とワーク情報300とを照合し、バッチ処理の開始日よりワークの到着日の方が早ければ、到着時点条件を満たすと判断する。
【0053】
到着時点条件を満たすと判断されると(ステップS1025でYES)、処理はステップS1030に進む。一方、到着時点条件を満たさないと判断されると(ステップS1025でNO)、処理はステップS1050に進む。バッチ処理では、全ワークが同時に処理開始されるため、この到着時点条件が判断される。例えばワークID「P01」は、バッチ処理の開始日である9月1日より早い8月29日に到着しているので、到着時点判断部171は、ステップS1025でYESと判断する。
【0054】
ステップS1030において、熱処理条件判断部172は、ステップS1020で抽出されたワークが熱処理条件を満たすか否かを判断する。すなわち、熱処理条件判断部172は、ステップS1020で抽出されたワークの熱処理条件が、仮バッチに設定された熱処理条件と同じであれば、熱処理条件を満たすと判断する。
【0055】
熱処理条件を満たすと判断されると(ステップS1030でYES)、処理はステップS1035に進む。一方、熱処理時刻条件を満たさないと判断されると(ステップS1030でNO)、処理はステップS1050に進む。なお、最初に抽出されたワークは熱処理条件を満たすと判断される。したがって、最初に抽出されたワークID「P01」については、熱処理条件判断部172は、ステップS1030でYESと判断する。
【0056】
ステップS1035において、炉容量判断部173は、ステップS1020で抽出されたワークが炉容量条件を満たすか否かを判断する。すなわち、炉容量判断部173は、ステップS1020で抽出されたワークを仮バッチに新たに登録した場合の仮バッチのワークの総量を算出する。炉容量判断部173は、メモリ150に保存されているバッチ炉情報200を参照して、算出されたワークの総量が最大バッチ量以下であれば炉容量条件を満たすと判断する。
【0057】
炉容量条件を満たすと判断されると(ステップS1035でYES)、処理はステップS1040に進む。一方、炉容量条件を満たさないと判断されると(ステップS1035でNO)、処理はステップS1050に進む。最初に抽出されたワークID「P01」の重量は3[トン]であり、バッチ炉ID「FU1」の最大バッチ量は25[トン]であるので、炉容量判断部173は、ステップS1035でYESと判断する。
【0058】
ステップS1040において、ファン能力判断部174は、ステップS1020で抽出されたワークがファン能力条件を満たすか否かを判断する。すなわち、ファン能力判断部174は、ステップS1020で抽出されたワークを仮バッチに新たに登録した場合の仮バッチのファン負荷の合計を算出する。ファン能力判断部174は、メモリ150に保存されているバッチ炉情報200を参照して、算出されたファン負荷の合計がバッチ炉のファン能力以下であれば、ファン能力条件を満たすと判断する。
【0059】
ファン能力条件を満たすと判断されると(ステップS1040でYES)、処理はステップS1045に進む。一方、ファン能力条件を満たさないと判断されると(ステップS1040でNO)、処理はステップS1050に進む。最初に抽出されたワークID「P01」のファン負荷は0.5[台]であり、バッチ炉ID「FU1」のファン能力は4[台]であるので、ファン能力判断部174は、ステップS1040でYESと判断する。
【0060】
ステップS1045において、仮バッチ生成部175は、ステップS1020で抽出されたワークを仮バッチに新たに登録して仮バッチを更新する。ステップS1050において、割当部162は、ワークリストに含まれている全てのワークが抽出されたか否かを判断する。全てのワークが抽出されていれば(ステップS1050でYES)、処理はステップS1100に進む。一方、抽出されていないワークがワークリストに残っていれば(ステップS1050でNO)、処理はステップS1020に戻って、残っているワークのうちワークリストの先頭のワークが、割当部162によって抽出される。
【0061】
図5のステップS1100において、バッチ登録部163は、仮バッチがバッチ編成として登録可能か否かを判断する。すなわち、バッチ登録部163は、仮バッチに登録されているワークの総量を算出し、メモリ150に保存されているバッチ炉情報200を参照して、算出されたワークの総量が最小バッチ量以上であるか否かを判断する。バッチ登録部163は、ワークの総量が最小バッチ量以上であれば仮バッチが登録可能と判断し、ワークの総量が最小バッチ量未満であれば仮バッチが登録不可能と判断する。仮バッチが登録可能であれば(ステップS1100でYES)、処理はステップS1105に進む。一方、仮バッチが登録不可能であれば(ステップS1100でNO)、処理はステップS1110に進む。
【0062】
ステップS1105において、バッチ登録部163は、仮バッチに基づき、バッチ編成情報1300(後述の
図13)を作成して、バッチ編成記憶部133に登録する。ステップS1105において、バッチ登録部163は、さらに、バッチ編成情報1300をディスプレイ105に表示してもよい。ステップS1105において、バッチ登録部163は、さらに、記録媒体IF110を用いて、バッチ編成情報1300を持ち運び可能な記録媒体に保存してもよい。ステップS1105において、バッチ登録部163は、さらに、プリンタ115を用いて、バッチ編成情報1300を紙に印刷してもよい。
【0063】
ステップS1110において、バッチ登録部163は、登録可否の判断(ステップS1100)が未だ行われていないワークが、ワークリストに残っているか否かを判断する。登録可否が未判断のワークがワークリストに残っていれば(ステップS1110でYES)、処理はステップS1010(
図4)に戻る。一方、登録可否が未判断のワークがワークリストに残っていなければ(ステップS1110でNO)、
図4、
図5の動作は終了する。
【0064】
図7~
図12は、バッチ炉情報200(
図2)、ワーク情報300(
図3)、ワークリスト600(
図6)を用いた場合におけるバッチ編成計画作成装置100の具体的な動作例を概略的に示す図である。
図13は、作成されたバッチ編成の一例を概略的に示す図である。
図14は、
図2と異なるバッチ炉情報200Aを概略的に示す図である。
図15は、
図2のバッチ炉情報200に代えて
図14のバッチ炉情報200Aを用いた場合の動作例を概略的に示す図である。
図16は、
図2、
図14と異なるバッチ炉情報200Bを概略的に示す図である。
図17は、
図14のバッチ炉情報200Aに代えて
図16のバッチ炉情報200Bを用いた場合の動作例を概略的に示す図である。
【0065】
図7~
図12、
図15、
図17には、それぞれ、ワークリスト600及び仮バッチ700が示されている。仮バッチ700は、例えば
図7に示されるように、ワークID欄701、重量欄702、ファン負荷欄703を含む。ワークID欄701には、仮バッチ700に登録されるワークのワークIDが登録されている。重量欄702には、対応するワークIDの重量が登録されている。ファン負荷欄703には、対応するワークIDのファン負荷が登録されている。
図4、
図5のフローチャートを参照しつつ、
図7~
図17を用いて、バッチ編成計画作成装置100の具体的な動作例が説明される。
【0066】
図7において、まず、ワークリスト600の先頭のワークID「P01」が抽出される(
図4のステップS1020)。最初のワークID「P01」については、上述のように、ステップS1025,S1030,S1035,S1040でYESと判断される。その結果、
図7に示されるように、仮バッチ700に登録される(
図5のステップS1105)。これによって、仮バッチ700の熱処理温度は、ワークID「P01」の800[℃]に設定される。ワークリスト600には、登録可否が未判断のワークが残っているので(
図5のステップS1110でYES)、
図4のステップS1020に戻る。
【0067】
図8において、未抽出のワークリスト600の先頭のワークID「P02」が抽出される(
図4のステップS1020)。ワークID「P02」の熱処理温度は700[℃]であり、仮バッチ700に設定された熱処理温度800[℃]と異なるので、ステップS1030でNOとなる。その結果、
図8に示されるように、ワークID「P02」は仮バッチ700に登録されない。ワークリスト600には、登録可否が未判断のワークが残っているので(
図5のステップS1110でYES)、
図4のステップS1020に戻る。
【0068】
図9において、未抽出のワークリスト600の先頭のワークID「P03」が抽出される(
図4のステップS1020)。ワークID「P03」の到着日8月26日(
図3のワーク情報300)は、バッチ処理の開始日9月1日(
図2のバッチ炉情報200)より早いので、到着時点条件は満たされる(ステップS1025でYES)。ワークID「P03」の熱処理温度は800[℃]で、仮バッチ700の熱処理温度と同じであるので、熱処理条件は満たされる(ステップS1030でYES)。
【0069】
ワークID「P03」、「P01」の総量は、7[トン]であり(
図3のワーク情報300)、最大バッチ量25「トン」(
図2のバッチ炉情報200)以下であるので、炉容量条件は満たされる(ステップS1035でYES)。ワークID「P03」、「P01」のファン負荷の合計は、0.5[台]であり(
図3のワーク情報300)、ファン能力の4「台」(
図2のバッチ炉情報200)以下であるので、ファン能力条件は満たされる(ステップS1040でYES)。その結果、
図9に示されるように、ワークID「P03」は、仮バッチ700に登録される(
図5のステップS1105)。ワークリスト600には、登録可否が未判断のワークが残っているので(
図5のステップS1110でYES)、
図4のステップS1020に戻る。
【0070】
ワークリスト600の4~6番目のワークID「P04」、「P05」、「P06」の熱処理温度(
図3のワーク情報300)は、それぞれ、仮バッチ700の熱処理温度800[℃]と異なる。その結果、
図4のステップS1030でNOとなり、これらは仮バッチ700に登録されない。ワークリスト600には、登録可否が未判断のワークが残っているので(
図5のステップS1110でYES)、
図4のステップS1020に戻る。
【0071】
図10において、未抽出のワークリスト600の先頭のワークID「P07」が抽出される(
図4のステップS1020)。ワークID「P07」の到着日8月25日(
図3のワーク情報300)は、バッチ処理の開始日9月1日(
図2のバッチ炉情報200)より早いので、到着時点条件は満たされる(ステップS1025でYES)。ワークID「P07」の熱処理温度は800[℃]で、仮バッチ700の熱処理温度と同じであるので、熱処理条件は満たされる(ステップS1030でYES)。
【0072】
ワークID「P07」、「P03」、「P01」の総量は、10[トン]であり(
図3のワーク情報300)、最大バッチ量25「トン」(
図2のバッチ炉情報200)以下であるので、炉容量条件は満たされる(ステップS1035でYES)。ワークID「P07」、「P03」、「P01」のファン負荷の合計は、1[台]であり(
図3のワーク情報300)、ファン能力4「台」(
図2のバッチ炉情報200)以下であるので、ファン能力条件は満たされる(ステップS1040でYES)。その結果、
図10に示されるように、ワークID「P07」は仮バッチ700に登録される(
図5のステップS1105)。ワークリスト600には、登録可否が未判断のワークが残っているので(
図5のステップS1110でYES)、
図4のステップS1020に戻る。
【0073】
その後、ワークリスト600の8,11,12番目のワークID「P08」、「P11」、「P12」の熱処理温度(
図3のワーク情報300)は、それぞれ、仮バッチ700の熱処理温度800[℃]と異なるので、これらは仮バッチ700に登録されない。
【0074】
一方、ワークリスト600の9,10番目のワークID「P09」、「P10」は、ステップS1025,S1030,S1035,S1040でYESと判断される。その結果、ワークID「P09」、「P10」は、仮バッチ700に登録される。
【0075】
図11において、未抽出のワークリスト600の先頭のワークID「P13」が抽出される(
図4のステップS1020)。ワークID「P13」の到着日8月29日(
図3のワーク情報300)は、バッチ処理の開始日9月1日(
図2のバッチ炉情報200)より早いので、到着時点条件は満たされる(ステップS1025でYES)。ワークID「P13」の熱処理温度は800[℃]で、仮バッチ700の熱処理温度と同じであるので、熱処理条件は満たされる(ステップS1030でYES)。
【0076】
ワークID「P13」、「P10」、「P09」、「P07」、「P03」、「P01」の総量は、21[トン]であり(
図3のワーク情報300)、最大バッチ量25「トン」(
図2のバッチ炉情報200)以下であるので、炉容量条件は満たされる(ステップS1035でYES)。一方、ワークID「P13」、「P10」、「P09」、「P07」、「P03」、「P01」のファン負荷の合計は、4.5[台]であり(
図3のワーク情報300)、ファン能力4「台」(
図2のバッチ炉情報200)を超える。したがって、ファン能力条件は満たされない(ステップS1040でNO)。その結果、
図11に示されるように、ワークID「P13」は仮バッチ700に登録されない。ワークリスト600には、登録可否が未判断のワークが残っているので(
図5のステップS1110でYES)、
図4のステップS1020に戻る。
【0077】
その後、ワークリスト600の14番目のワークID「P14」の熱処理温度(
図3のワーク情報300)は、仮バッチ700の熱処理温度800[℃]と異なるので、ワークID「P14」は仮バッチ700に登録されない。
【0078】
図12において、未抽出のワークリスト600の先頭のワークID「P15」が抽出される(
図4のステップS1020)。ワークID「P15」の到着日8月31日(
図3のワーク情報300)は、バッチ処理の開始日9月1日(
図2のバッチ炉情報200)より早いので、到着時点条件は満たされる(ステップS1025でYES)。ワークID「P15」の熱処理温度は800[℃]で、仮バッチ700の熱処理温度と同じであるので、熱処理条件は満たされる(ステップS1030でYES)。
【0079】
ワークID「P15」、「P10」、「P09」、「P07」、「P03」、「P01」の総量は、25[トン]であり(
図3のワーク情報300)、最大バッチ量25「トン」(
図2のバッチ炉情報200)以下であるので、炉容量条件は満たされる(ステップS1035でYES)。ワークID「P15」、「P10」、「P09」、「P07」、「P03」、「P01」のファン負荷の合計は、4[台]であり(
図3のワーク情報300)、ファン能力4「台」(
図2のバッチ炉情報200)以下であるので、ファン能力条件は満たされる(ステップS1040でNO)。その結果、
図12に示されるように、ワークID「P15」は仮バッチ700に登録される。ワークリスト600には、登録可否が未判断のワークが残っているので(
図5のステップS1110でYES)、
図4のステップS1020に戻る。
【0080】
未抽出のワークリスト600の先頭のワークID「P16」が抽出される(
図4のステップS1020)。ワークID「P16」の到着日9月2日は、バッチ処理の開始日9月1日より遅い(
図4のステップS1025でNO)。このため、ワークID「P16」は仮バッチ700に登録されない。ワークID「P16」が抽出されたので、ワークリスト600に含まれている全てのワークが抽出された(ステップS1050でYES)。
【0081】
仮バッチ700に登録されたワークID「P15」、「P10」、「P09」、「P07」、「P03」、「P01」の総量は、25[トン]であり(
図12)、最小バッチ量15「トン」(
図2のバッチ炉情報200)以上であるので、仮バッチ700は登録可能と判断される(ステップS1100でYES)。よって、バッチ登録部163は、
図12に示される仮バッチ700に基づき、バッチ編成を表すバッチ編成情報1300を作成して、バッチ編成記憶部133に登録する(ステップS1105)。
【0082】
図13に示されるように、バッチ編成情報1300は、全体情報1310と、個別情報1320とを含む。全体情報1310は、
図13に示されるように、バッチ処理の開始日と、バッチに含まれるワークの総重量と、熱処理温度と、バッチに含まれるワークの総ファン負荷と、を含む。個別情報1320は、
図13に示されるように、ワーク情報300(
図3)と同じ情報をバッチ編成に含まれるワークについて含む。
【0083】
図15のワークリスト600は、バッチ編成情報1300に含まれずに残っているワークIDを示す。
図15において、ワークリスト600に残っているワークID「P02」、「P04」~「P06」、「P08」、「P11」~「P14」、「P16」については、ステップS1100(
図5)の登録可否が判断されていない。そこで、ステップS1110でYESと判断されて、ステップS1010(
図4)に戻る。
【0084】
ステップS1010(
図4)において、本実施形態では、
図14の形式でバッチ炉情報200Aがメモリ150に保存される。最初に使用された
図2のバッチ炉情報200が炉ID「FU1」のバッチ炉の情報であったのに対して、次に使用される
図14のバッチ炉情報200Aは、炉ID「FU2」のバッチ炉の情報である。
【0085】
ステップS1015(
図4)において、
図12の状態になっている仮バッチ700が初期化される。
図15において、ワークリスト600に残っているワークのうち先頭のワークID「P02」が抽出される(
図4のステップS1020)。最初のワークID「P02」は、仮バッチ700に登録される。ワークID「P02」の熱処理温度は700[℃]であるので、仮バッチ700の熱処理温度は、700[℃]に設定される。
【0086】
次に、ワークID「P04」が抽出されるが(
図4のステップS1020)、熱処理温度が900[℃]であり、700[℃]ではない。このため、ワークID「P04」は、仮バッチ700に登録されない。続いて、ワークID「P05」が抽出され(
図4のステップS1020)、熱処理温度が700[℃]であって同じであり、他の条件も満たされる。このため、ワークID「P05」は、仮バッチ700に登録される(
図4のステップS1045)。続いて、ワークID「P06」が抽出され(
図4のステップS1020)、熱処理温度が700[℃]であって同じであり、他の条件も満たされる。このため、ワークID「P06」は、仮バッチ700に登録される(
図4のステップS1045)。
【0087】
これ以降のワークリスト600に残っているワークIDが抽出されると、熱処理温度が700[℃]ではないので、いずれも仮バッチ700に登録されない。したがって、仮バッチ700には、
図15に示されるように、ワークID「P02」、「P05」、「P06」が登録される。仮バッチ700に登録されたワークID「P02」、「P05」、「P06」の総重量は、
図15から分かるように、12[トン]である。一方、炉ID「FU2」の最小バッチ量は、13[トン]である(
図14のバッチ炉情報200A)。したがって、仮バッチ700の総重量は、最小バッチ量未満である(
図5のステップS1100でNO)。したがって、
図15の仮バッチ700は、バッチ編成として登録されない。
【0088】
図17のワークリスト600は、登録可否が未判断のワークを示す。すなわち、
図17において、ワークリスト600に残っているワークID「P04」、「P08」、「P11」~「P14」、「P16」については、ステップS1100(
図5)の登録可否が判断されていない。そこで、ステップS1110(
図5)でYESと判断されて、ステップS1010(
図4)に戻る。
【0089】
ステップS1010(
図4)において、本実施形態では、
図16のバッチ炉情報200Bの形式でメモリ150に保存される。
図16のバッチ炉情報200Bは、炉ID「FU3」のバッチ炉の情報である。ステップS1015(
図4)において、
図15の状態になっている仮バッチ700が初期化される。
図17において、ワークリスト600に残っているワークのうち先頭のワークID「P04」が抽出される(
図4のステップS1020)。最初のワークID「P04」は、仮バッチ700に登録される。ワークID「P04」の熱処理温度は900[℃]であるので、仮バッチ700の熱処理温度は、900[℃]に設定される。
【0090】
続いて、ワークID「P08」、「P11」、「P12」が順に抽出され(
図4のステップS1020)、それぞれ熱処理温度が900[℃]であって同じであり、他の条件も満たされる。このため、ワークID「P08」、「P11」、「P12」は、仮バッチ700に登録される(
図4のステップS1045)。
【0091】
ワークID「P13」、「P16」については、熱処理温度が800[℃]であって、仮バッチ700の熱処理温度900[℃]ではない。よって、ワークID「P13」、「P16」は、仮バッチ700に登録されない。
【0092】
ワークID「P14」については、到着時点条件、熱処理条件、炉容量条件は、それぞれ満たされる。しかし、ワークID「P14」が仮バッチ700に登録されると、仮バッチ700の総ファン負荷が、3.75[台]になって、炉ID「FU3」のファン能力3[台]を超える。このため、ワークID「P14」は、仮バッチ700に登録されない。以上で、ワークリスト600から全てのワークが抽出された(
図4のステップS1050でYES)。
【0093】
次に、仮バッチ700が登録可能であるか否かが判断される(
図5のステップS1100)。現在の仮バッチ700の総重量は、
図17から分かるように、21[トン]であるので、バッチ炉情報200B(
図16)の最小バッチ量である15[トン]以上であることから、登録可能であると判断される(ステップS1100でYES)。そこで、仮バッチ700がバッチ編成情報として、バッチ編成記憶部133に登録される。以上で登録可否が未判断のワークは残っていない(ステップS1110でNO)。よって、
図5の動作は終了する。
【0094】
以上説明されたように、本実施形態では、バッチ炉情報200は、バッチ炉の近傍に設置されている冷却ファンの全体能力であるファン能力が登録されたファン能力欄205を含む。ワーク情報300は、ワークを冷却するために必要とする冷却ファンの能力であるファン負荷が登録されたファン負荷欄305を含む。ファン能力判断部174は、新たに抽出されたワークを仮バッチに新たに登録した場合の仮バッチのファン負荷の合計を算出し、算出されたファン負荷の合計がファン能力以下であれば、ファン能力条件を満たすと判断する。
【0095】
したがって、本実施形態によれば、バッチに編成された各ワークのファン負荷の合計がファン能力を超えるような事態が回避される。その結果、バッチに編成された各ワークを冷却ファンにより十分に冷却又は乾燥することが可能になる。また、ワークの仕様により冷却方法が異なるような多品種少量生産工場での熱処理を行うバッチ編成計画を、より精度良く、より短時間で作成することが可能になる。
【0096】
実施形態の変形例を説明する。
図21は、変形例において、複数の冷却ファンのそれぞれに割り当てられたワークのファン負荷の合計及びワークの数の一例を概略的に示す図である。変形例の割当部162(後述の
図22)は、ワークをバッチ炉(バッチ処理装置の例)に割り当てる際に、複数の冷却ファンのそれぞれにワークを割り当てる。割当部162は、条件1及び条件2を満たすように、冷却ファンにワークを割り当てる。
【0097】
(条件1)
複数の冷却ファンのそれぞれについて、冷却ファンに割り当てられたワークのファン負荷の合計が、当該冷却ファンのファン個別能力以下にする。
【0098】
(条件2)
複数の冷却ファンのそれぞれについて、冷却ファンに割り当てられたワークの数が、当該冷却ファンに割り当てることができるワークの最大数以下にする。
【0099】
条件1は、バッチ炉に割り当てられたワークのファン負荷の合計が、ファン能力以下にすることを実現する手法の一つである。
【0100】
ファン能力は、複数の冷却ファン20H、20I、20Jの台数の合計とする(3[台])。従って、冷却ファン20H、20I、20Jのそれぞれのファン個別能力は、1[台]となる。冷却ファン20H、20I、20Jのそれぞれに割り当てることができるワークの最大数は、2、3、2とする。ワーク10H、10I、10J、10K、10L、10Mのそれぞれのファン負荷は、0.25[台]、0.5[台]、0.25[台]、0.75[台]、0.25[台]、0.25[台]とする。
【0101】
冷却ファン20Hに割り当てられたワーク10H、10Iのファン負荷の合計は、0.75[台]である。この合計は、冷却ファン20Hのファン個別能力より小さいので、ファン個別能力の点からは余裕がある。しかし、冷却ファン20Hに割り当てることができるワークの最大数は2なので、最大数の点からは余裕がない。従って、冷却ファン20Hにさらにワークは割り当てられない。
【0102】
冷却ファン20Iに割り当てられたワーク10J、10Kの数は2である。これは、冷却ファン20Iに割り当てることができるワークの最大数より小さいので、最大数の点からは余裕がある。しかし、冷却ファン20Iに割り当てられたワーク10J、10Kのファン負荷の合計は、1[台]である。この合計は、冷却ファン20Iのファン個別能力に到達しているので、ファン個別能力の点からは余裕がない。従って、冷却ファン20Iにさらにワークは割り当てられない。
【0103】
冷却ファン20Jに割り当てられたワーク10L、10Mのファン負荷の合計は、0.5[台]である。この合計は、冷却ファン20Jのファン個別能力より小さいので、ファン個別能力の点からは余裕がある。しかし、冷却ファン20Jに割り当てることができるワークの最大数は2なので、最大数の点からは余裕がない。従って、冷却ファン20Jにさらにワークは割り当てられない。
【0104】
冷却ファン20H、20I、20Jのそれぞれに割り当てることができるワークの最大数を足した値は、7であり、ファン能力は3[台]である。これに対して、変形例を適用したとき、冷却ファン20H、20I、20Jのそれぞれに割り当てたワークの数を足した値は6であり、ワーク10H~10Mのファン負荷の合計は2.25[台]である。ワークの最大数を足した値の点からも、ファン能力の点からもまだ余裕がある。変形例は、条件1及び条件2を適用することにより、このような余裕が生じてしまうが、以下の効果を有する。
【0105】
バッチ炉に割り当てられたワークのファン負荷の合計が、ファン能力以下となる条件が満たされても、ファン負荷が大きいワークの組み合わせが割り当てられた冷却ファンの場合、これらのワークのファン負荷の合計が当該冷却ファンのファン個別能力を超えることがある。このようなことが発生すると、これらのワークについて、十分に冷却することができない。
【0106】
変形例では、複数の冷却ファンのそれぞれについて、条件1を満たすように、ワークを割り当てる。この結果、複数の冷却ファンのそれぞれには、ファン負荷が小さいワークの組み合わせ又はファン負荷が小さいワークとファン負荷が大きいワークの組み合わせが割り当てられることになり、ファン負荷が大きいワークの組み合わせが一つの冷却ファンに割り当てられることを防止できる。従って、変形例によれば、複数の冷却ファンのそれぞれに割り当てられたワークを、十分に冷却することができる。
【0107】
ファン負荷が小さいワークの組み合わせが割り当てられた冷却ファンの場合、ワークの数が多くても、ファン負荷の合計が当該冷却ファンのファン個別能力以下にできる。しかし、当該冷却ファンに割り当てられるワークの数が多いので、当該冷却ファンが送風可能なエリアに配置できないワークが発生することがある。この場合、当該エリア外に配置されたワークについては、十分に冷却することができない。
【0108】
変形例では、複数の冷却ファンのそれぞれについて、条件2を満たすように、ワークを割り当てる。これにより、複数の冷却ファンのそれぞれについて、送風可能なエリアに配置できないワークが発生することを防止できる。従って、変形例によれば、複数の冷却ファンのそれぞれに割り当てられたワークを、十分に冷却することができる。
【0109】
図22は、本実施形態の変形例におけるバッチ編成計画作成装置100aの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図1に示すバッチ編成計画作成装置100と相違する点を説明し、共通する点は説明を省略する。
【0110】
バッチ編成計画作成装置100aに備えられるバッチ炉情報記憶部131(バッチ処理装置情報記憶部の例)には、バッチ炉情報200a(バッチ処理装置情報の例)が記憶されている。
図23は、バッチ炉情報200aの一例を概略的に示す図である。バッチ炉情報200aは、
図2に示すバッチ炉情報200のファン能力欄205の替りに、ワーク最大数欄206を含む。この欄には、複数の冷却ファンのそれぞれに割り当てることができるワークの最大数が登録されている。詳しくは、冷却ファンの台数は4であり、冷却ファンID「A」、「B」、「C」、「D」のそれぞれに割り当てることができるワークの最大数は、2、3、3、2である。
【0111】
図22を参照して、割当部162は、ファン能力判断部174(
図1)を含んでおらず、その替りに、ファン個別能力判断部176、最大数判断部177を含む。ファン個別能力判断部176は、割当部162が条件1を実行するために用いられ、複数の冷却ファンのそれぞれについて、冷却ファンに割り当てられたワークのファン負荷の合計が、当該冷却ファンのファン個別能力以下か否かを判断する。最大数判断部177は、割当部162が条件2を実行するために用いられ、複数の冷却ファンのそれぞれについて、冷却ファンに割り当てられたワークの数が、当該冷却ファンに割り当てることができるワークの最大数以下か否かを判断する。
【0112】
バッチ編成計画作成装置100aに備えられるワーク情報記憶部132には、ワーク情報300aが記憶されている。
図24は、ワーク情報300aの一例を概略的に示す図である。ワーク情報300aを構成する欄は、
図3に示すワーク情報300を構成する欄と同じである。但し、変形例の説明の便宜上、これらの欄に登録されている内容が異なる。例えば、ワーク情報300aの熱処理温度欄303は、全て、800℃にされている。
【0113】
バッチ編成計画作成装置100aに備えられるワークリスト作成部170は、ワークリスト600aを生成する。
図25は、ワークリスト600aの一例を概略的に示す図である。ワークリスト600aは、
図6に示すワークリスト600の優先度欄601、ワークID欄602に加えて、さらに、ファン負荷欄603、重量欄604を含む。ファン負荷欄603には、
図24に示すワーク情報300aのファン負荷欄305の内容が登録されている。重量欄604には、
図24に示すワーク情報300aの重量欄302の内容が登録されている。
【0114】
図26は、バッチ編成計画作成装置100aの動作手順の一例を概略的に示すフローチャートである。
図26に示すフローチャートが
図4に示すフローチャートと異なる点を主に説明する。
図26に示すフローチャートは、
図4に示すフローチャートのステップS1040、S1045を含まず、その替りにこれらのステップの箇所に、ステップS1115、S1120、S1125、S1130が組み込まれている。
図26に示すフローチャートの「1」、「2」は、
図5に示すフローチャートの「1」、「2」とつながる。
【0115】
図27~
図33は、バッチ炉情報200a(
図23)、ワーク情報300a(
図24)、ワークリスト600a(
図25)を用いた場合におけるバッチ編成計画作成装置100aの具体的な動作例を概略的に示す図である。
図34は、作成されたバッチ編成の一例を概略的に示す図である。
【0116】
図27~
図33には、それぞれ、ワークリスト600a及び仮バッチ700aが示されている。仮バッチ700aは、例えば
図27に示されるように、
図7に示すワークID欄701、重量欄702、ファン負荷欄703に加えて、さらに、ファンID欄704、最大数欄705を含む。ファンID欄704、最大数欄705には、それぞれ、
図23に示すバッチ炉情報200aのワーク最大数欄206に登録されている冷却ファンのID、最大数が登録されている。
【0117】
ワークリスト600a(
図25)に登録されている全てのワークは、到着時点条件(ステップS1025)及び熱処理条件(ステップS1030)を満たすとする。
【0118】
図22、
図26及び
図27を参照して、ステップS1020から説明する。割当部162は、ワークリスト600aの先頭から順にワークを抽出する(ステップS1020)。優先度欄601の順番に従って、ワークが抽出される。ここでは、ワークID「P01」が抽出される。ワークID「P01」が仮バッチ700aに割り当てられても、最大バッチ量を超えない。よって、炉容量判断部173は、炉容量条件を満たすと判断する(ステップS1035でYES)。
【0119】
割当部162は、冷却ファンを順番に一台選択する(ステップS1115)。ここでは、冷却ファンID「A」が選択される。冷却ファンID「A」、「B」、「C」、「D」について、ワークの割り当てが完了していないので、割当部162は、冷却ファンが残っていると判断する(ステップS1120でYES)。なお、例えば、
図33に示すように、全ての冷却ファンについて、ワークの割り当てが完了している場合、冷却ファンが残っていないと判断され(ステップS1120でNO)、割当部162は、ステップS1050へ進む。
【0120】
割当部162は、ワークID「P01」を冷却ファンID「A」に割り当てが可能か否かを判断する(ステップS1125)。条件1及び条件2が満たされる場合、この割り当てが可能となる。ワークID「P01」が冷却ファンID「A」に割り当てられても、ファン負荷の合計が冷却ファンID「A」のファン個別能力(1[台])以下となる。よって、条件1(ファン個別能力)は、満たされる。冷却ファンID「A」に割り当てられることになるワークは、一つ(ワークID「P01」)なので、冷却ファンID「A」に割り当てられるワークの最大数(2)以下となる。よって、条件2(ワークの最大数)は、満たされる。
【0121】
従って、割当部162は、ワークID「P01」を冷却ファンID「A」に割り当て可能と判断する(ステップS1125でYES)。そして、割当部162は、ワークID「P01」を冷却ファンID「A」に割り当てて、仮バッチを更新する(ステップS1130)。
【0122】
図22、
図26及び
図28を参照して、割当部162は、ワークリスト600aからワークID「P02」を抽出する(ステップS1020)。ワークID「P02」が仮バッチ700aに割り当てられても、最大バッチ量を超えない。よって、炉容量判断部173は、炉容量条件を満たすと判断する(ステップS1035でYES)。
【0123】
割当部162は、冷却ファンを順番に一台選択する(ステップS1115)。ここでは、冷却ファンID「A」が選択される。冷却ファンID「A」、「B」、「C」、「D」について、ワークの割り当てが完了していないので、割当部162は、冷却ファンが残っていると判断する(ステップS1120でYES)。
【0124】
割当部162は、ワークID「P02」を冷却ファンID「A」に割り当てが可能か否かを判断する(ステップS1125)。ワークID「P02」が冷却ファンID「A」に割り当てられても、ファン負荷の合計が冷却ファンID「A」のファン個別能力(1[台])以下となる。よって、条件1は、満たされる。冷却ファンID「A」に割り当てられることになるワークは、二つ(ワークID「P01」、ワークID「P02」)なので、冷却ファンID「A」に割り当てられるワークの最大数(2)以下となる。よって、条件2は、満たされる。
【0125】
従って、割当部162は、ワークID「P02」を冷却ファンID「A」に割り当て可能と判断する(ステップS1125でYES)。そして、割当部162は、ワークID「P02」を冷却ファンID「A」に割り当てて、仮バッチを更新する(ステップS1130)。
【0126】
図22、
図26及び
図29を参照して、割当部162は、ワークリスト600aからワークID「P03」を抽出する(ステップS1020)。ワークID「P03」が仮バッチ700aに割り当てられても、最大バッチ量を超えない。よって、炉容量判断部173は、炉容量条件を満たすと判断する(ステップS1035でYES)。
【0127】
割当部162は、冷却ファンを順番に一台選択する(ステップS1115)。冷却ファンID「A」は、ワークの割り当てが完了しているので、冷却ファンID「B」が選択される。冷却ファンID「B」、「C」、「D」について、ワークの割り当てが完了していないので、割当部162は、冷却ファンが残っていると判断する(ステップS1120でYES)。
【0128】
割当部162は、ワークID「P03」を冷却ファンID「B」に割り当てが可能か否かを判断する(ステップS1125)。ワークID「P03」が冷却ファンID「B」に割り当てられても、ファン負荷の合計が冷却ファンID「B」のファン個別能力(1[台])以下となる。よって、条件1は、満たされる。冷却ファンID「B」に割り当てられることになるワークは、一つ(ワークID「P03」なので、冷却ファンID「B」に割り当てられるワークの最大数(3)以下となる。よって、条件2は、満たされる。
【0129】
従って、割当部162は、ワークID「P03」を冷却ファンID「B」に割り当て可能と判断する(ステップS1125でYES)。そして、割当部162は、ワークID「P03」を冷却ファンID「B」に割り当てて、仮バッチを更新する(ステップS1130)。
【0130】
図22、
図26及び
図30を参照して、割当部162は、ワークリスト600aからワークID「P04」を抽出する(ステップS1020)。ワークID「P04」は、ワークID「P03」と同様の判断がされて、冷却ファンID「B」に割り当てられて、仮バッチ700aが更新される(ステップS1130)。
【0131】
割当部162は、ワークリスト600aからワークID「P05」を抽出する(ステップS1020)。ワークID「P05」が仮バッチ700aに割り当てられても、最大バッチ量を超えない。よって、炉容量判断部173は、炉容量条件を満たすと判断する(ステップS1035でYES)。
【0132】
割当部162は、冷却ファンを順番に一台選択する(ステップS1115)。冷却ファンID「A」は、ワークの割り当てが完了しているので、冷却ファンID「B」が選択される。しかし、冷却ファンID「B」にワークID「P05」を割り当てることができないと判断される(ステップS1125でNO)。条件1が満たされないからである。よって、冷却ファンID「C」が選択される。冷却ファンID「B」、「C」、「D」について、ワークの割り当てが完了していないので、割当部162は、冷却ファンが残っていると判断する(ステップS1120でYES)。
【0133】
割当部162は、ワークID「P05」を冷却ファンID「C」に割り当てが可能か否かを判断する(ステップS1125)。ワークID「P05」が冷却ファンID「C」に割り当てられても、ファン負荷の合計が冷却ファンID「C」のファン個別能力(1[台])以下となる。よって、条件1は、満たされる。冷却ファンID「C」に割り当てられることになるワークは、一つ(ワークID「P05」)なので、冷却ファンID「C」に割り当てられるワークの最大数(3)以下となる。よって、条件2は、満たされる。
【0134】
従って、割当部162は、ワークID「P05」を冷却ファンID「C」に割り当て可能と判断する(ステップS1125でYES)。そして、割当部162は、ワークID「P05」を冷却ファンID「C」に割り当てて、仮バッチを更新する(ステップS1130)。
【0135】
図22、
図26及び
図31を参照して、割当部162は、ワークリスト600aからワークID「P06」を抽出する(ステップS1020)。ワークID「P06」が仮バッチ700aに割り当てられても、最大バッチ量を超えない。よって、炉容量判断部173は、炉容量条件を満たすと判断する(ステップS1035でYES)。
【0136】
割当部162は、冷却ファンを順番に一台選択する(ステップS1115)。冷却ファンID「A」は、ワークの割り当てが完了しているので、冷却ファンID「B」が選択される。冷却ファンID「B」、「C」、「D」について、ワークの割り当てが完了していないので、割当部162は、冷却ファンが残っていると判断する(ステップS1120でYES)。
【0137】
割当部162は、ワークID「P06」を冷却ファンID「B」に割り当てが可能か否かを判断する(ステップS1125)。ワークID「P06」が冷却ファンID「B」に割り当てられても、ファン負荷の合計が冷却ファンID「B」のファン個別能力(1[台])以下となる。よって、条件1は、満たされる。冷却ファンID「B」に割り当てられることになるワークは、三つ(ワークID「P03」、ワークID「P04」、ワークID「P06」)なので、冷却ファンID「B」に割り当てられるワークの最大数(3)以下となる。よって、条件2は、満たされる。
【0138】
従って、割当部162は、ワークID「P06」を冷却ファンID「B」に割り当て可能と判断する(ステップS1125でYES)。そして、割当部162は、ワークID「P06」を冷却ファンID「B」に割り当てて、仮バッチを更新する(ステップS1130)。
【0139】
図22、
図26及び
図32を参照して、
図26に示すフローチャートに従って、ワークID「P07」は、冷却ファンID「C」に割り当てられ、ワークID「P08」、ワークID「P09」は、冷却ファンID「D」に割り当てられて、仮バッチ700aが更新される(ステップS1130)。ワークID「P08」、ワークID「P09」が冷却ファンID「C」に割り当てられないのは、条件1が満たされないからである。
【0140】
図22、
図26及び
図33を参照して、割当部162は、ワークリスト600aからワークID「P10」を抽出する(ステップS1020)。ワークID「P10」が仮バッチ700aに割り当てられた場合、炉容量条件(ステップS1035)が満たされない。よって、ワークID「P10」は、仮バッチ700aの割り当て対象から除外される。
【0141】
割当部162は、ワークリスト600aからワークID「P11」を抽出する(ステップS1020)。ワークID「P11」が仮バッチ700aに割り当てられても、最大バッチ量を超えない。よって、炉容量判断部173は、炉容量条件を満たすと判断する(ステップS1035でYES)。
【0142】
割当部162は、冷却ファンを順番に一台選択する(ステップS1115)。ワークの割り当てが完了していないのは、冷却ファンID「C」なので、冷却ファンID「C」が選択される。冷却ファンID「C」について、ワークの割り当てが完了していないので、割当部162は、冷却ファンが残っていると判断する(ステップS1120でYES)。
【0143】
割当部162は、ワークID「P11」を冷却ファンID「C」に割り当てが可能か否かを判断する(ステップS1125)。ワークID「P11」が冷却ファンID「C」に割り当てられた場合、条件1が満たされない。よって、ワークID「P11」は、仮バッチ700aの割り当て対象から除外される。
【0144】
割当部162は、ワークリスト600aからワークID「P12」を抽出する(ステップS1020)。ワークID「P12」が仮バッチ700aに割り当てられても、最大バッチ量を超えない。よって、炉容量判断部173は、炉容量条件を満たすと判断する(ステップS1035でYES)。
【0145】
割当部162は、冷却ファンを順番に一台選択する(ステップS1115)。ワークの割り当てが完了していないのは、冷却ファンID「C」なので、冷却ファンID「C」が選択される。冷却ファンID「C」について、ワークの割り当てが完了していないので、割当部162は、冷却ファンが残っていると判断する(ステップS1120でYES)。
【0146】
割当部162は、ワークID「P12」を冷却ファンID「C」に割り当てが可能か否かを判断する(ステップS1125)。ワークID「P12」が冷却ファンID「C」に割り当てられた場合、条件1及び条件2が満たされる。従って、割当部162は、ワークID「P12」を冷却ファンID「C」に割り当て可能と判断する(ステップS1125でYES)。そして、割当部162は、ワークID「P12」を冷却ファンID「C」に割り当てて、仮バッチを更新する(ステップS1130)。
【0147】
以上の結果、バッチ登録部163は、
図5のステップS1100において、
図33の仮バッチ700aに登録されているワークの総量を算出し、算出されたワークの総量が最小バッチ量以上であるか否かを判断する。バッチ登録部163は、算出されたワークの総量(24トン)が最小バッチ量(5トン)以上なので(ステップS1100でYES)、ステップS1105に進む。
【0148】
ステップS1105において、バッチ登録部163は、仮バッチ700aに基づき、バッチ編成情報1300a(
図34)を作成して、バッチ編成記憶部133に登録する。ステップS1105において、バッチ登録部163は、さらに、バッチ編成情報1300aをディスプレイ105に表示してもよいし、記録媒体IF110を用いて、バッチ編成情報1300aを持ち運び可能な記録媒体に保存してもよいし、プリンタ115を用いて、バッチ編成情報1300aを紙に印刷してもよい。
【0149】
図34に示されるように、バッチ編成情報1300aは、全体情報1310a、冷却ファン情報1330aを含む。全体情報1310aを構成する欄は、
図13に示す全体情報1310を構成する欄と同じである。冷却ファン情報1330aは、各ワークに割り当てられた冷却ファンが示されている。
【0150】
(その他)
(1)上記実施形態では、バッチ処理工程は熱処理工程であって、例えば
図19に示されるように、熱処理炉15の近傍に冷却ファン20A,20Bが設けられているが、これに限られない。バッチ処理工程は、例えば、塗装工程、コーティング工程、洗浄工程でもよい。塗装工程の場合、塗装炉(バッチ炉の一例に相当)の近傍に、ワークを乾燥させるための乾燥ファン(送風ファンの一例に相当)が設けられている。コーティング工程の場合、コーティング炉(バッチ炉の一例に相当)の近傍に、ワークを乾燥させるための乾燥ファン(送風ファンの一例に相当)が設けられている。洗浄工程の場合、洗浄炉(バッチ炉の一例に相当)の近傍に、ワークを乾燥させるための乾燥ファン(送風ファンの一例に相当)が設けられている。変形例でも同じことが言える。
【0151】
(2)上記実施形態の
図2、
図14、
図16では、最小バッチ量、最大バッチ量は、ワークの重量で表されているが、ワークの個数で表されてもよい。上記実施形態の
図2、
図14、
図16では、ファン能力は、冷却ファンの台数で表されているが、冷却ファンの出力[kW]の合計で表されてもよい。上記実施形態の
図3では、ファン負荷は、冷却ファンの台数で表されているが、冷却ファンの出力[kW]で表されてもよい。変形例でも同じことが言える。
【0152】
(3)上記実施形態の
図6に示されるワークリスト600では、ワーク情報300の納期が早いワークの優先度が高くされ、納期が同じワークについては、ワーク情報300の到着日が早いワークの優先度が高くされているが、これに限られない。例えば、ワーク情報300の到着日が早いワークの優先度が高くされ、到着日が同じワークについては、ワーク情報300の納期が早いワークの優先度が高くされてもよい。この実施形態によれば、ワーク置場におけるワークの滞留時間短縮を優先した上で、納期遅れの防止を図ることができる。変形例でも同じことが言える。
【0153】
(4)上記実施形態の
図2には炉ID「FU1」のバッチ炉情報200が示され、
図14には炉ID「FU2」のバッチ炉情報200Aが示され、
図16には炉ID「FU3」のバッチ炉情報200Bが示されているが、バッチ炉情報記憶部131には、工場内に設けられている他のバッチ炉の情報も保存されている。変形例でも同じことが言える。
【0154】
(5)上記実施形態の
図3には、ワークID「P01」~「P16」のワーク情報300が示されているが、ワーク情報記憶部132には、例えば数か月分の膨大なワークの情報が保存されている。データ取得部161は、今回必要な、例えば1週間分のワーク情報をワーク情報記憶部132から取得して、メモリ150に保存する。変形例でも同じことが言える。
【符号の説明】
【0155】
100、100a バッチ編成計画作成装置
131 バッチ炉情報記憶部
132 ワーク情報記憶部
162 割当部
163 バッチ登録部
170 ワークリスト作成部
171 到着時点判断部
172 熱処理条件判断部
173 炉容量判断部
174 ファン能力判断部
175 仮バッチ生成部