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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】曲げ機構、曲げ方法、及び食品製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21C 9/06 20060101AFI20230810BHJP
   A23P 20/20 20160101ALI20230810BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20230810BHJP
【FI】
A21C9/06 A
A23P20/20
A23L7/109 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020516499
(86)(22)【出願日】2019-08-26
(86)【国際出願番号】 JP2019033380
(87)【国際公開番号】W WO2020045369
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2018163913
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505126610
【氏名又は名称】株式会社ニチレイフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 竜一
(72)【発明者】
【氏名】本多 政彦
(72)【発明者】
【氏名】平山 卓
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 透
(72)【発明者】
【氏名】間宮 稔
【審査官】石川 輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04516487(US,A)
【文献】実開平07-005376(JP,U)
【文献】特開2006-101719(JP,A)
【文献】特開2015-029505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00-15/04
A23P 20/00-20/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の柔軟食材を曲げる曲げ機構であって、
第1搬送エリアを通過後に第2搬送エリアを通過するように前記柔軟食材を搬送する搬送ユニットと、
前記柔軟食材が前記第1搬送エリアから前記第2搬送エリアに搬送される間の少なくとも一部の区間において、前記柔軟食材の一部分である曲げ基準部分を支持する支持ユニットと、を備え、
前記搬送ユニットは、前記曲げ基準部分を基準として一方側に位置する前記柔軟食材のベース部分を支持する第1構成部と、他方側に位置する前記柔軟食材の曲げ部分を支持する第2構成部と、前記第1構成部を駆動する第1搬送駆動部と、前記第2構成部を駆動する第2搬送駆動部と、を有し、
前記曲げ部分に接する前記第2構成部の支持部が前記ベース部分に接する前記第1構成部の支持部に対して成す角度は、前記第1搬送エリアから前記第2搬送エリアに向けて連続的に変化し、前記第2搬送エリアにおける前記ベース部分に対する前記曲げ部分の角度は、前記第1搬送エリアにおける前記ベース部分に対する前記曲げ部分の角度よりも大きい曲げ機構。
【請求項2】
前記柔軟食材が前記第1搬送エリアから前記第2搬送エリアに搬送される間に前記曲げ部分を支持する前記第2構成部は、複数の紐状支持体を含み、
前記第2構成部の支持部は、前記複数の紐状支持体が前記柔軟食材に接触する部位によって構成され、
前記第2構成部の支持部が前記第1構成部の支持部に対して成す角度が前記第1搬送エリアから前記第2搬送エリアに向けて連続的に変化するように、前記第1搬送エリア及び前記第2搬送エリアの各々における前記複数の紐状支持体の配置が調整される請求項1に記載の曲げ機構。
【請求項3】
前記複数の紐状支持体は、第1回転軸及び第2回転軸に掛け渡されており、
前記複数の紐状支持体のうち前記第1回転軸に掛け渡されている部分の並び方向が、前記第2回転軸に掛け渡されている部分の並び方向と異なる請求項2に記載の曲げ機構。
【請求項4】
前記第1回転軸は、水平方向と平行に延在し、
前記第2回転軸は、水平方向と非平行に延在する請求項3に記載の曲げ機構。
【請求項5】
前記複数の紐状支持体は、前記第1搬送エリアにおいて水平方向に関し前記曲げ基準部分からより遠くに配置される紐状支持体ほど、前記第2搬送エリアにおいて高さ方向に関してより高い位置に配置される請求項2~4のいずれか一項に記載の曲げ機構。
【請求項6】
前記支持ユニットは、前記曲げ基準部分に接触しつつ前記第1構成部から前記第2搬送エリアに向かって走行する支持移動体を有する請求項1~5のいずれか一項に記載の曲げ機構。
【請求項7】
前記支持ユニットは、前記支持移動体が掛け渡される第1支持ローラ及び第2支持ローラを更に有し、
前記支持移動体は、前記第1支持ローラ及び前記第2支持ローラの各々の軸回転に応じて走行する請求項6に記載の曲げ機構。
【請求項8】
前記第1搬送エリア及び前記第2搬送エリアは、水平方向に互いに離れており、
前記第2搬送エリアにおいて前記曲げ部分が水平面に対して成す角度は、前記第1搬送エリアにおいて前記曲げ部分が水平面に対して成す角度よりも大きい請求項1~7のいずれか一項に記載の曲げ機構。
【請求項9】
前記第2構成部は、前記第1構成部を挟むように2つ設けられ、
前記支持ユニットは2つ設けられ、当該2つの支持ユニットは、前記柔軟食材の2箇所に存在する前記曲げ基準部分のそれぞれを支持し、
前記柔軟食材は、前記ベース部分を挟むように位置する2つの前記曲げ部分を有する請求項1~8のいずれか一項に記載の曲げ機構。
【請求項10】
シート状の柔軟食材を曲げる曲げ方法であって、
搬送ユニットによって、第1搬送エリアを通過後に第2搬送エリアを通過するように前記柔軟食材を搬送する工程を含み、
支持ユニットによって、前記柔軟食材が前記第1搬送エリアから前記第2搬送エリアに搬送される間の少なくとも一部の区間において、前記柔軟食材の一部分である曲げ基準部分を支持し、
前記搬送ユニットは、前記曲げ基準部分を基準として一方側に位置する前記柔軟食材のベース部分を支持する第1構成部の支持部と、他方側に位置する前記柔軟食材の曲げ部分を支持する第2構成部の支持部と、前記第1構成部を駆動する第1搬送駆動部と、前記第2構成部を駆動する第2搬送駆動部と、を有し、
前記第2構成部の支持部が前記第1構成部の支持部に対して成す角度は、前記第1搬送エリアから前記第2搬送エリアに向けて連続的に変化し、前記第2搬送エリアにおける前記ベース部分に対する前記曲げ部分の角度は、前記第1搬送エリアにおける前記ベース部分に対する前記曲げ部分の角度よりも大きい曲げ方法。
【請求項11】
請求項10に記載の曲げ方法により曲げられたシート状の柔軟食材を使用する、食品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の柔軟食材を曲げる曲げ機構及び曲げ方法、及び曲げられたシート状の柔軟食材を使用する食品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な加工食品が、一般消費者に対してだけではなく、店舗に対しても広く提供されている。加工食品は、食品加工技術の発展(とりわけ冷蔵及び冷凍の技術の発展)によって、常温食品、冷蔵食品、チルド食品及び冷凍食品などの様々な形態で提供可能である。そのような加工食品の需要は、消費者の嗜好の多様化、利便性のニーズの高まり及び食品安全性に対する意識の向上に伴って、今後益々の高まりが期待されている。特に、加工が容易な加工食品だけではなく、加工が複雑で難しい加工食品も提供されることが望まれている。
【0003】
そのような加工食品として、例えば春巻きやエッグロール等の巻物食品が挙げられる。巻物食品を作るには、小麦粉等で作られた皮によって具材を包んで巻く必要がある。皮によって具材を綺麗且つ適切に巻くには相応の技術及び経験が必要であり、そのような作業は調理に慣れていない者にとって非常に難しく、敬遠されることが多い。また巻物食品を均一の品質で大量に作ることは、調理に慣れている者にとっても難しく、時間及び手間を要する負担の大きい作業である。そのため加工業者は、そのような巻物食品を自動的に作ることができる食品製造装置を使って、大量の巻物食品を作っている。
【0004】
例えば特許文献1は、表皮材に具材を自動的に巻き込む方法及び装置を開示する。特許文献1の装置において、表皮材は、揺動杵の揺動によって持ち上げられ且つ曲げられて、具材に被せられる。このように装置によって具材を皮によって包む際には、部材によって積極的に曲げられた皮が具材の上に載せられる。皮によって具材を被覆するこの処理は、具材が皮に包まれた状態で具材の側方に位置する皮の部分を更に具材に被せる場合にも、同様にして行われる。
【0005】
また特許文献2は、ペーストリー生地を複数回折り曲げて、具材が当該ペーストリー生地によって包まれた食品(春巻きやタコス等)を作る装置を開示する。
【0006】
また特許文献3は、複数のローラを使って具を外皮によって包み込むための巻き食品用の製造装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭50-157578号公報
【文献】米国特許第8,505,445号明細書
【文献】特開2006-101719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献1の装置のように、具材を皮によって包む作業を自動的に行うことができる食品製造装置は既に知られているが、そのような装置及び方法は更なる改良が望まれている。
【0009】
すなわち、より均一且つ高度な品質で、大量の巻物食品を作り出すことができる装置及び方法が求められている。例えば、皮によって具材を包む際に、皮の折り曲げ箇所が皮間でばらついていると、巻物食品の美観が損なわれるだけではなく、食感等の美味しさにも悪影響を与え、所定の基準が満たされずに商品としての価値が完全に損なわれる懸念もある。
【0010】
また限られた時間の中でできるだけ大量の巻物食品を作るためには、加工スピードも大切である。特に、柔軟で破れやすい皮によって具材を包む際には繊細な取り扱いが必要であるが、そのような繊細な取り扱いを高速且つ確実に行うことは容易ではない。また春巻きの生産システムのように、具材を皮で包む作業の前後において他の作業が継続的に行われる生産システムでは、具材を皮で包む作業がボトルネックとなり、システム全体の生産性の向上が阻害される懸念もある。
【0011】
上述の従来の装置のように皮が装置の部材(例えば特許文献2の折り曲げプレート)によって積極的に曲げられる場合、皮を曲げるための専用部材を、皮を搬送するための部材等とは別個に設ける必要がある。また皮を曲げるための専用部材を設ける場合には、その専用部材を駆動するための機構及び動力源を設ける必要がある。さらに、専用部材によって皮を勢いよく曲げると皮の破損等を招くため、皮に及ぼしうるダメージが十分に抑えられるように専用部材の動きをコントロールする必要がある。
【0012】
また特許文献3が開示する製造装置によれば、外皮の左右端部が左右の環状ベルトによりそれぞれ持ち上げられて内側に折られるが、この製造装置では外皮の左右端部を精度良く安定的に折り曲げることが難しい。所望の食感や美味しさを得るとともに美観にも優れた最終的な製品(食品)を安定的に大量に製造するためには、外皮を予め定められた所定の位置で精度良く折り曲げることが非常に重要である。しかしながら特許文献3の装置では、外皮の左右端部の折り曲げ位置が安定せず、装置において連続的に処理された複数の外皮の間で折り曲げ位置がばらついたり、各外皮の左右端部が対称的に折り曲げられなかったりする懸念がある。
【0013】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、皮などのシート状の柔軟食材を高精度且つ高速に曲げることができる曲げ機構、曲げ方法及び食品製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、食品の生産性を向上させることができる曲げ機構、曲げ方法及び食品製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、シート状の柔軟食材を曲げる曲げ機構であって、第1搬送エリアを通過後に第2搬送エリアを通過するように柔軟食材を搬送する搬送ユニットと、柔軟食材が第1搬送エリアから第2搬送エリアに搬送される間の少なくとも一部の区間において、柔軟食材の一部分である曲げ基準部分を支持する支持ユニットと、を備え、搬送ユニットは、曲げ基準部分を基準として一方側に位置する柔軟食材のベース部分を支持する第1構成部と、他方側に位置する柔軟食材の曲げ部分を支持する第2構成部と、を有し、曲げ部分に接する第2構成部の支持部がベース部分に接する第1構成部の支持部に対して成す角度は、第1搬送エリアから第2搬送エリアに向けて連続的に変化し、第2搬送エリアにおけるベース部分に対する曲げ部分の角度は、第1搬送エリアにおけるベース部分に対する曲げ部分の角度よりも大きい曲げ機構に関する。
【0015】
柔軟食材が第1搬送エリアから第2搬送エリアに搬送される間に曲げ部分を支持する第2構成部は、複数の紐状支持体を含み、第2構成部の支持部は、複数の紐状支持体が柔軟食材に接触する部位によって構成され、第2構成部の支持部が第1構成部の支持部に対して成す角度が第1搬送エリアから第2搬送エリアに向けて連続的に変化するように、第1搬送エリア及び第2搬送エリアの各々における複数の紐状支持体の配置が調整されてもよい。
【0016】
複数の紐状支持体は、第1回転軸及び第2回転軸に掛け渡されており、複数の紐状支持体のうち第1回転軸に掛け渡されている部分の並び方向が、第2回転軸に掛け渡されている部分の並び方向と異なっていてもよい。
【0017】
第1回転軸は、水平方向と平行に延在し、第2回転軸は、水平方向と非平行に延在してもよい。
【0018】
複数の紐状支持体は、第1搬送エリアにおいて水平方向に関し曲げ基準部分からより遠くに配置される紐状支持体ほど、第2搬送エリアにおいて高さ方向に関してより高い位置に配置されてもよい。
【0019】
支持ユニットは、曲げ基準部分に接触しつつ第1構成部から第2搬送エリアに向かって走行する支持移動体を有していてもよい。
【0020】
支持ユニットは、支持移動体が掛け渡される第1支持ローラ及び第2支持ローラを更に有し、支持移動体は、第1支持ローラ及び第2支持ローラの各々の軸回転に応じて走行してもよい。
【0021】
第1搬送エリア及び第2搬送エリアは、水平方向に互いに離れており、第2搬送エリアにおいて曲げ部分が水平面に対して成す角度は、第1搬送エリアにおいて曲げ部分が水平面に対して成す角度よりも大きくてもよい。
【0022】
第2構成部は、第1構成部を挟むように2つ設けられ、支持ユニットは2つ設けられ、当該2つの支持ユニットは、柔軟食材の2箇所に存在する曲げ基準部分のそれぞれを支持し、柔軟食材は、ベース部分を挟むように位置する2つの曲げ部分を有していてもよい。
【0023】
本発明の他の態様は、シート状の柔軟食材を曲げる曲げ方法であって、搬送ユニットによって、第1搬送エリアを通過後に第2搬送エリアを通過するように柔軟食材を搬送する工程を含み、支持ユニットによって、柔軟食材が第1搬送エリアから第2搬送エリアに搬送される間の少なくとも一部の区間において、柔軟食材の一部分である曲げ基準部分を支持し、搬送ユニットは、曲げ基準部分を基準として一方側に位置する柔軟食材のベース部分を支持する第1構成部の支持部と、他方側に位置する柔軟食材の曲げ部分を支持する第2構成部の支持部と、を有し、第2構成部の支持部が第1構成部の支持部に対して成す角度は、第1搬送エリアから第2搬送エリアに向けて連続的に変化し、第2搬送エリアにおけるベース部分に対する曲げ部分の角度は、第1搬送エリアにおけるベース部分に対する曲げ部分の角度よりも大きい曲げ方法に関する。
【0024】
本発明の他の態様は、上記の曲げ方法により曲げられたシート状の柔軟食材を使用する、食品製造方法に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、シート状の柔軟食材を高精度且つ高速に曲げることができる。また食品の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A図1Aは、春巻きの製造方法(特に皮の折り曲げ手法)の一例を説明するための図である。
図1B図1Bは、春巻きの製造方法(特に皮の折り曲げ手法)の一例を説明するための図である。
図1C図1Cは、春巻きの製造方法(特に皮の折り曲げ手法)の一例を説明するための図である。
図1D図1Dは、春巻きの製造方法(特に皮の折り曲げ手法)の一例を説明するための図である。
図1E図1Eは、春巻きの製造方法(特に皮の折り曲げ手法)の一例を説明するための図である。
図1F図1Fは、春巻きの製造方法(特に皮の折り曲げ手法)の一例を説明するための図である。
図2図2は、図1A図1Fに示す春巻きの製造方法のフローチャートである。
図3図3は、第3折り及び第4折り工程の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、図3に示す第3折り及び第4折り工程を実施する機構のブロック図である。
図5図5は、曲げ機構の平面図である。
図6図6は、曲げ機構の平面図である。
図7図7は、曲げ機構の平面図である。
図8図8は、曲げ機構の側方図である。
図9図9は、曲げ機構の側方図である。
図10図10は、曲げ機構の側方図である。
図11図11は、曲げ機構の側方図である。
図12図12は、曲げ機構の側方図である。
図13図13は、曲げ機構の側方図である。
図14図14は、制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
図15図15は、食品製造システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の典型的な実施形態を例示する。各図面に示される要素のサイズ及び縮尺は、図示及び理解の便宜上、必ずしも実物と一致せず、また図面間でも一致していない。ただし当業者であれば、本明細書及び特許請求の範囲の記載を考慮し、各図に示されている要素の構成及び作用効果を明確に把握することが可能である。
【0028】
以下の実施形態では、一例として、春巻きを製造するシステムについて説明し、春巻きの皮が「シート状の柔軟食材」として使われている。なお、本発明は以下の実施形態には限定されず、春巻き以外の食品に対しても本発明を応用可能である。典型的には、具材が皮に包まれた巻物食品に対して本発明を好適に適用することができる。ただし、他の食品を製造する装置及び方法に対しても本発明を適用することが可能であり、例えば内側に具材を配置することなく皮のみによって構成される食品(例えばエッグロール等)を製造する装置に対しても本発明を適用することが可能である。
【0029】
[春巻きの製造方法の一例]
図1A図1Fは、春巻きの製造方法(特に皮の折り曲げ手法)の一例を説明するための図である。図2は、図1A図1Fに示す春巻きの製造方法のフローチャートである。
【0030】
まず、図1Aに示すように広げられた皮81の上に具材82が載せられる(準備工程S1)。本例では、四角形(特に正方形)の皮81に含まれる2つの二等辺三角形のうちの一方(図1Aでは下側の三角形)の上に、具材82が載せられる。
【0031】
そして、図1Bに示すように皮81の一部が折り返され、具材82が皮81により覆われて包まれる(第1折り工程S2)。本例では、皮81の4つの頂点のうちの1つ(図1Bでは下側の頂点;以下「第1頂点C1」とも称する)が対向の頂点の側に折り返される。
【0032】
そして、図1Cに示すように皮81が更に折り返され、具材82が皮81によって包まれる(第2折り工程S3)。本例では、第1折り工程S2の直後には具材82の上方に配置されていた皮81の部位の全体又は一部が具材82の下に配置されるように、皮81が折り返される。
【0033】
そして図1Dに示すように、皮81の左右部分が折り返され、具材82がこれらの皮81の左右部分よっても覆われる(第3折り及び第4折り工程(皮曲げ工程)S4)。本例では、第1折り工程S2及び第2折り工程S3において折り返された部分に含まれる第1頂点C1に隣り合って配置される2つの頂点(図1Dでは左右の頂点;以下「第2頂点C2」及び「第3頂点C3」とも称する)が移動させられて、第1折り工程S2及び第2折り工程S3における皮81の折り曲げ方向と垂直を成す方向に、皮81が折られる。
【0034】
そして図1Eに示すように、具材82が、覆われている皮81の部分とともに残りの頂点(図1Dでは上側の頂点:以下「第4頂点C4」とも称する)に向けて更にローリングさせられ、具材82が皮81によって更に巻かれる(第5折り工程S5)。この際、皮81のうち第4頂点C4を含む部分は具材82の外側に位置している。
【0035】
そして図1Fに示すように、皮81のうち第4頂点C4を含む部分が具材82を覆うように折り返される(第6折り工程S6)。この際、皮81のうち第4頂点C4を含む部分は、具材82を既に覆っている皮81の部分に対して貼り付けられてもよい。皮81同士の貼り付けには、小麦粉等のつなぎ成分を含む液体やそのようなつなぎ成分を含まない液体(水等)を糊として使用してもよい。
【0036】
上述の一連の工程(準備工程S1~第6折り工程S6)を実施することによって、長方形の平面形状を有する春巻き80を作ることができる(図1F参照)。上述のように、春巻き80を作るには各工程(特に第1折り工程S2~第6折り工程S6)において皮81が折り曲げられる。美観に優れた春巻き80を最終的に得るためには、各工程において皮81を適切に折り曲げることが大切である。特に第3折り及び第4折り工程S4では、皮81が複数の層状に重ねられた状態で具材82のローリング方向(すなわち図1A図1Fの上下方向)とは異なる方向に皮81が折り曲げられるため、高品質に且つ均一的に皮81を折り曲げることが難しい。
【0037】
そのため本実施形態の第3折り及び第4折り工程S4は、図3及び図4に示すように行われる。
【0038】
図3は、第3折り及び第4折り工程S4の一例を示すフローチャートである。図4は、図3に示す第3折り及び第4折り工程S4を実施する機構のブロック図である。
【0039】
本実施形態の第3折り及び第4折り工程S4は、曲げ基準部分形成工程S11、曲げ工程S12及び巻き工程S13を含む。
【0040】
曲げ基準部分形成工程S11では、曲げ基準部分形成機構71によって、第3折り及び第4折り工程S4における折り曲げの基準部分(以下「曲げ基準部分」とも称する)が皮81に形成される。「曲げ基準部分」の概念は、広義には、皮81の折り曲げの基準部分であればよく、折り目や目印等が曲げ基準部分に付与されていなくてもよい。ただし、皮81の折り曲げを容易にする観点からは、折り目や目印等が曲げ基準部分に対して付与さていることが好ましい。曲げ基準部分の具体的な態様は特に限定されず、典型的には、折り目によって曲げ基準部分を構成することができる(図5の符号「85」参照)。曲げ基準部分を構成する折り目の形成方法は特に限定されない。例えば、実際に皮81を一度折り曲げることによって折り目を付与してもよいし、皮81の曲げ基準部分に相当する部分を局所的に挟んで圧力を加えることによって折り目を付与してもよい。また皮81に切れ込みを入れることによって、曲げ基準部分を構成する折り目を形成してもよい。そのような曲げ基準部分の形成は、具材82が皮81に載せられた状態で行われてもよいし、具材82が皮81に載せられていない状態で行われてもよい。
【0041】
曲げ工程S12では、曲げ機構72によって、曲げ基準部分を基準に皮81が曲げられる。そして巻き工程S13では、巻き機構73によって、皮81の立ち上げられた部分が、具材82に重ねられる。曲げ機構72及び巻き機構73は、共通の機構によって構成されてもよいし、互いに別の機構によって構成されてもよい。
【0042】
このように本実施形態の曲げ機構72は、第3折り及び第4折り工程S4における曲げ工程S12を実施する。以下、曲げ機構72の具体的な構成例について説明する。なお本実施形態では、第3折り及び第4折り工程S4に対して本発明に係る装置(機構を含む)及び方法が適用されているが、皮81の曲げを伴う他の工程(例えば第1折り工程S2、第2折り工程S3、第5折り工程S5及び第6折り工程S6)に対して本発明に係る装置及び方法が適用されてもよい。
【0043】
[曲げ機構]
図5図7は、曲げ機構72の平面図である。図8図13は、曲げ機構72の側方図である。なお理解を容易にするため、図5図13の各図では、曲げ機構72を構成する要素の一部の図示が省略されている。例えば、図5図7では中継ガイド部26や移動体ガイド39の図示が省略されている。また図8図13では第3支持軸36の図示が省略されている。また図5図13に示す皮81の状態は、上述の図1C及び図1Dに示す皮81の状態と必ずしも厳密には一致していないが、図5図13は第3折り及び第4折り工程S4(図2参照)に対応する図面である。
【0044】
本実施形態の曲げ機構72は、春巻き用の皮81を曲げる機構であり、搬送ユニット11及び支持ユニット12を備える。皮81を図1Dに示すように美しく折るために、皮81の両端部分が曲げ機構72によって立ち上げられ、その後に巻き機構73により皮81が折られて両端部分が具材82上に重ねられる。
【0045】
なお搬送ユニット11により搬送される対象物をワークWとも称する。本実施形態において、搬送ユニット11により搬送される皮81には具材82が既に載せられており(図1A図1C参照)、搬送ユニット11は具材82が載せられた状態の皮81を搬送方向D1へ搬送する。したがって搬送ユニット11により搬送される皮81及び具材82は、まとめてワークWとも総称される。なお搬送ユニット11は皮81のみを搬送してもよく、その場合にはワークWは皮81のみによって構成される。
【0046】
曲げ機構72は、搬送ユニット11と各支持ユニット12とにより皮81を挟みつつ当該皮81を搬送方向D1へ搬送することによって、搬送ユニット11に載せられた皮81の位置ずれ(特に搬送方向D1と垂直を成す幅方向D2の位置ずれ)を防ぎながら、皮81の両端部分を精度良く立ち上げる。また立ち上げられた皮81の両端部分は、支持ユニット12で支えられているので、第3折り及び第4折りが実行される前に不用意に皮81の中央部(ベース部分86)上に折り重なることがない。
【0047】
なお本実施形態の搬送方向D1及び幅方向D2は、いずれも重力が作用する鉛直方向と直角を成す水平方向であるが、鉛直方向と平行な高さ方向D3及び水平方向に対して傾斜した方向であってもよい。
【0048】
皮81の2箇所に形成された曲げ基準部分85は、図5に示すように、幅方向D2へ互いに離れた位置に設けられる。これらの曲げ基準部分85の各々が搬送ユニット11と支持ユニット12とにより挟まれつつ、ツイストした紐コンベアにより皮81の幅方向D2の両端部分(すなわち曲げ部分87)が支持された状態で、皮81が上流側から下流側に送られることによって、皮81の両端部分が連続的に徐々に立ち上げられる。
【0049】
曲げ機構72によって所望形状に曲げられた皮81は、後段の巻き機構73(図4参照)に送られ、巻き機構73によって図1Dに示すように綺麗に折られる。
【0050】
[皮(シート状の柔軟食材)]
皮81は、曲げ基準部分85、ベース部分86及び曲げ部分87を有する。
【0051】
曲げ基準部分85は、折り目を形成する皮81の一部分であり、ワークW(皮81及び具材82)が曲げ機構72に送られる前に曲げ基準部分形成機構71(図4参照)によって皮81に形成される。本実施形態では、皮81の2箇所に曲げ基準部分85が形成されている。各曲げ基準部分85は、皮81の搬送方向D1と平行に延在する。
【0052】
ベース部分86は、曲げ基準部分85を基準として一方側に位置する皮81の一部である。本実施形態のベース部分86は、皮81のうち2つの曲げ基準部分85間に位置する部分によって構成されている。すなわち、皮81のうちの幅方向D2に関する中央部分によってベース部分86が構成されている。搬送ユニット11によって皮81が搬送されている間、ベース部分86は、水平方向に延在した状態を維持しつつ上流側から下流側に送られる。
【0053】
曲げ部分87は、曲げ基準部分85を基準として他方側に位置する皮81の一部である。本実施形態の曲げ部分87は、皮81のうちの相互に対向する2つの端部(図5図7の上下端部)によって構成されている。すなわち、皮81のうちの幅方向D2に関する両端部分によって曲げ部分87が構成されている。搬送ユニット11によって皮81が上流側から下流側に向けて搬送されるにつれ、各曲げ部分87は少しずつ立ち上げられる。
【0054】
[搬送ユニット]
搬送ユニット11は、第1搬送エリアA1を通過後に第2搬送エリアA2を通過するように皮81(すなわちワークW)を搬送する。
【0055】
第1搬送エリアA1及び第2搬送エリアA2は、水平方向(特に搬送方向D1)に互いに離れている。本実施形態の第1搬送エリアA1は、各支持ユニット12の上流側端部を基準とした上流側エリアであり、第1回転軸31の近傍のエリアである。本実施形態の第2搬送エリアA2は、各支持ユニット12の下流側端部を基準とした下流側エリアであり、第2回転軸32の近傍のエリアである。本実施形態において、搬送方向D1に関する第1搬送エリアA1の範囲は、第1支持ローラ25(特に第1支持ローラ25の中心軸線)を基準に定められ、搬送方向D1に関する第2搬送エリアA2の範囲は、第2支持ローラ27(特に第2支持ローラ27の中心軸線)を基準に定められる。
【0056】
本実施形態の搬送ユニット11は、全体が複数の紐状支持体23によって構成されている。各紐状支持体23は、搬送方向D1に延在する。
【0057】
搬送ユニット11は、各曲げ基準部分85を基準として一方側に位置する皮81のベース部分86を支持する第1構成部21と、他方側に位置する皮81の曲げ部分87を支持する第2構成部22と、を有する。本実施形態では、上述のように皮81の2つの曲げ部分87が1つのベース部分86を挟むように配置されているので、2つの第2構成部22が1つの第1構成部21を挟むように設けられている。
【0058】
第1構成部21を構成する各紐状支持体23は、無端形状を有し、搬送方向D1と平行に延在する。第1構成部21を構成する各紐状支持体23は、上流側(例えば搬送回転軸33よりも上流側)に配置された回転軸(図示省略)と、下流側(例えば第2支持ローラ27と第1構成部21との間の高さ方向D3の間隔が最小になる位置よりも下流側(図示の例では第2支持軸35よりも下流側))に配置された第3回転軸48(図8図13参照)とに掛け渡され、これらの回転軸の少なくとも一方の軸回転に応じて搬送方向D1に走行する。
【0059】
第1構成部21を構成する各紐状支持体23は、下流側に配置された第3回転軸48において反転され、上流側に配置された回転軸(図示省略)に向かって走行する。また第1構成部21を構成する各紐状支持体23は、上流側に配置された回転軸(図示省略)において反転され、下流側に配置された第3回転軸48に向かって走行する。
【0060】
皮81のベース部分86に接する第1構成部21の支持部は、上流側から下流側に向かって走行する複数の紐状支持体23が皮81に接触する部位によって構成される。上流側から下流側に向かって走行する複数の紐状支持体23は、搬送方向D1へ走行可能なように、下方から移動体ガイド39(図8図13参照)により支持されている。これによりワークW(皮81及び具材82)の重みの影響によって第1構成部21の高さ方向D3の位置が変動することが防がれ、第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2にわたって第1構成部21の支持部がほぼ同じ高さ方向位置に保たれる。
【0061】
なお第1構成部21は、図示の複数の紐状支持体23には限定されず、皮81のベース部分86を上流側から下流側に適切に搬送することが可能な任意の構成を、採用することが可能である。
【0062】
図示の第2構成部22は、第1搬送エリアA1よりも上流側(すなわち第1回転軸31よりも上流側)に配置された複数の紐状支持体23と、第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2にわたって配置された複数の紐状支持体23と、を有する。
【0063】
第1搬送エリアA1よりも上流側には搬送回転軸33が設けられている。搬送回転軸33は幅方向D2に延在する。第1回転軸31は搬送回転軸33から搬送方向D1に離れた位置において、搬送回転軸33と平行に延在する。第1搬送エリアA1よりも上流側の第2構成部22を構成する複数の紐状支持体23は、無端形状を有し、搬送回転軸33よりも上流側に設けられた回転軸(図示省略)と搬送回転軸33とに掛け渡され、これらの回転軸の少なくとも一方の軸回転に応じて搬送方向D1と平行に走行する。
【0064】
一方、皮81が第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2に搬送される間に曲げ部分87を支持する第2構成部22を構成する複数の紐状支持体23は、無端形状を有し、第1回転軸31及び第2回転軸32に掛け渡されている。
【0065】
第1回転軸31は、水平方向と平行に延在する。具体的には、第1回転軸31は、各支持ユニット12の上流側端部の近傍に配置され、幅方向D2に延在する。搬送方向D1に関し、第1回転軸31の中心軸線(すなわち回転軸線)は、第1支持ローラ25の中心軸線よりも上流側又は下流側に配置されてもよいし、第1支持ローラ25の中心軸線と同じ位置であってもよい。第2回転軸32は、水平方向と非平行に延在する。具体的には、第2回転軸32は、各支持ユニット12の下流側端部の近傍に配置され、高さ方向D3と平行に延在する。搬送方向D1に関し、第2回転軸32の中心軸線(すなわち回転軸線)は、第2支持ローラ27の中心軸線よりも上流側又は下流側に配置されてもよいし、第2支持ローラ27の中心軸線と同じ位置であってもよい。本実施形態では、2つの第2回転軸32が設けられている。2つの第2回転軸32が第1構成部21を幅方向D2に挟むように、これらの第2回転軸32が配置されている。
【0066】
このように第1回転軸31の延在方向と各第2回転軸32の延在方向とは互いに異なるため、第2構成部22を構成する複数の紐状支持体23のうち第1回転軸31に掛け渡されている部分の並び方向は、第2回転軸32に掛け渡されている部分の並び方向と異なる。すなわち第2構成部22を構成する複数の紐状支持体23のうち、第1回転軸31に掛け渡されている部分の並び方向は水平方向(特に幅方向D2)であり、第2回転軸32に掛け渡されている部分の並び方向は高さ方向D3である。
【0067】
第2構成部22を構成する各紐状支持体23の走行方向は、掛け渡された回転軸において反転する。例えば第1搬送エリアA1よりも上流側の第2構成部22を構成する複数の紐状支持体23は、搬送回転軸33よりも上流側に配置された回転軸から搬送回転軸33に向かって走行し、搬送回転軸33において反転し、搬送回転軸33から上流側の回転軸に向かって走行し、搬送回転軸33で反転して再び上流側から下流側に向かって走行する。同様に、第1回転軸31と各第2回転軸32とに掛け渡された第2回転軸32の紐状支持体23は、第1回転軸31から対応の第2回転軸32に向かって走行し、対応の第2回転軸32において反転し、対応の第2回転軸32から第1回転軸31に向かって走行し、第1回転軸31で反転して再び上流側から下流側に向かって走行する。
【0068】
したがって皮81の曲げ部分87に接する第2構成部22の支持部は、上流側から下流側に向かって走行する複数の紐状支持体23が皮81に接触する部位によって構成される。
【0069】
このように第2構成部22の支持部が第1構成部21の支持部に対して成す角度が、第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2に向けて連続的に変化するように、第1搬送エリアA1及び第2搬送エリアA2の各々における複数の紐状支持体23の配置が調整されている。
【0070】
ここでいう「第2構成部22の支持部が第1構成部21の支持部に対して成す角度」は、例えば、第2構成部22を構成する複数の紐状支持体23のうちの皮81に接触する部位(特に幅方向D2に並べられた部位)の全体が、第1構成部21を構成する複数の紐状支持体23のうちの皮81に接触する部位(特に幅方向D2に並べられた部位)の全体に対して成す角度である。そのような角度が連続的に変化する場合とは、角度がスムーズに変化する場合であり、角度が急激に変化する場合は除かれる。なお角度が連続的に変化する場合には、継続的に角度が変化する場合だけではなく、角度が変化しない区間が部分的に存在する場合も含まれうる。したがって第1搬送エリアA1と第2搬送エリアA2との間の区間は、「第2構成部22の支持部が第1構成部21の支持部に対して成す角度」が変化する区間のみによって構成されていてもよいし、そのような角度が変化する区間及び変化しない区間の両者によって構成されていてもよい。
【0071】
具体的には、第2構成部22を構成する複数の紐状支持体23は、第1搬送エリアA1において水平方向に関し(特に幅方向D2に関し)、曲げ基準部分85からより遠くに配置される紐状支持体23ほど(すなわち対応の支持ユニット12からより遠くに配置される紐状支持体23ほど)、第2搬送エリアA2において(すなわち対応の第2回転軸32において)高さ方向D3に関してより高い位置に配置されている。
【0072】
このように皮81の各曲げ部分87を立ち上げる手段である第2構成部22の複数の紐状支持体23は、第1回転軸31上では水平方向(特に幅方向D2)に広がるように配置され、第2回転軸32上では高さ方向D3に広がるように配置される。したがって、第2構成部22を構成する複数の紐状支持体23は、第1搬送エリアA1と第2搬送エリアA2との間でねじれた状態になる。
【0073】
上述の構成を有する搬送ユニット11によれば、曲げ部分87に接する第2構成部22の支持部がベース部分86に接する第1構成部21の支持部に対して成す角度が、第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2に向けて連続的に少しずつ変化し、第2搬送エリアA2におけるベース部分86に対する曲げ部分87の角度は、第1搬送エリアA1におけるベース部分86に対する曲げ部分87の角度よりも大きくなる。すなわち、第2搬送エリアA2において曲げ部分87が水平面に対して成す角度は、第1搬送エリアA1において曲げ部分87が水平面に対して成す角度よりも大きい。
【0074】
したがって、ワークW(皮81及び具材82)が第1回転軸31から第2回転軸32に向かって進行するにつれて、皮81の両端部分(すなわち曲げ部分87)は、第2構成部22によって支持されつつ徐々に高い位置へ持ち上げられる。そして皮81の両端部分は、ワークWが第2回転軸32に対応する位置である第2搬送エリアA2に到達したときに最高位置に達する。このようにして、皮81の両端部分が立ち上げ手段によって立ち上げられることで、後段に設けられる巻き機構73によって、皮81を美しく折ることができる(図1D参照)。
【0075】
[支持ユニット]
支持ユニット12は、皮81が第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2に搬送される間の少なくとも一部の区間において、皮81の一部分である曲げ基準部分85を支持する。本実施形態の支持ユニット12は、少なくとも皮81が第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2に搬送される間、皮81の一部分である曲げ基準部分85に接触する。この場合、曲げ基準部分85は支持ユニット12と搬送ユニット11との間に配置されるが、曲げ基準部分85は高さ方向D3に関して、支持ユニット12から力を実質的に受けなくてもよいし、力を受けていてもよい。曲げ基準部分85が支持ユニット12から高さ方向D3に力を受ける場合、曲げ基準部分85は支持ユニット12及び搬送ユニット11に挟まれて曲げ基準部分85の水平方向に関する位置ずれを効果的に防ぐことができる。本実施形態の支持ユニット12は2つ設けられる。2つの支持ユニット12は、皮81の2箇所に存在する曲げ基準部分85のそれぞれを搬送ユニット11に対して僅かに押し付ける。
【0076】
各支持ユニット12は、第1支持ローラ25、中継ガイド部26、第2支持ローラ27及び支持移動体28を有する。
【0077】
第1支持ローラ25は支持ユニット12の上流側端部を構成し、第2支持ローラ27は支持ユニット12の下流側端部を構成し、中継ガイド部26は第1支持ローラ25と第2支持ローラ27との間に設けられる。支持移動体28は、無端形状を有し、第1支持ローラ25、中継ガイド部26及び第2支持ローラ27に掛け渡されており、第1支持ローラ25及び第2支持ローラ27の各々の軸回転に応じて走行する。
【0078】
幅方向D2に互いに離れた位置に設けられる2つの第1支持ローラ25には、幅方向D2に延在する共通の第1支持軸34が固定されている。第1支持軸34は、各第1支持ローラ25の中心軸線上に配置されている。また幅方向D2に互いに離れた位置に設けられる2つの第2支持ローラ27には、幅方向D2に延在する共通の第2支持軸35が固定されている。第2支持軸35は、各第2支持ローラ27の中心軸線上に配置されている。2つの第1支持ローラ25は、第1支持軸34とともに、中心軸線周りに一緒に回転する。また2つの第2支持ローラ27は、第2支持軸35とともに中心軸線周りに一緒に回転する。
【0079】
各支持ユニット12では、第1支持ローラ25及び第2支持ローラ27のうちの少なくともいずれか一方が軸回転させられることによって、支持移動体28が、第1支持ローラ25、中継ガイド部26及び第2支持ローラ27の外周に沿って走行する。特に、支持移動体28のうち搬送ユニット11と対向する部分(すなわち第1支持ローラ25、中継ガイド部26及び第2支持ローラ27よりも下方に位置する部分)が、上流側から下流側に向かって(すなわち第1支持ローラ25から第2支持ローラ27に向かって)走行するように、第1支持ローラ25及び第2支持ローラ27のうちの少なくともいずれか一方が駆動される。
【0080】
このように各支持ユニット12は、対応の曲げ基準部分85に接触しつつ第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2に向かって走行する紐状の支持移動体28を有する。
【0081】
上述のように、ワークW(皮81及び具材82)を搬送する搬送手段(搬送ユニット11)の上方には、左右前後4つのローラ(すなわち2つの第1支持ローラ25及び2つの第2支持ローラ27)を具備する一対の支持ユニット12が設けられている。そして各支持ユニット12よりも幅方向D2に関して外側には、ワークWの皮81の端部分(すなわち曲げ部分87)を立ち上げるための立ち上げ手段(すなわち第2構成部22)が設けられている。
【0082】
曲げ機構72は、その他に必要な機器類を更に備える。
【0083】
例えば、皮81(ワークW)の搬送経路の任意の位置における皮81の通過を検知可能なトリガーセンサ37が設けられてもよい。図5図13には、第1搬送エリアA1と第2搬送エリアA2との間に設けられたトリガーセンサ37が例示されている。このトリガーセンサ37は、搬送ユニット11(特に紐状支持体23)よりも上方において、幅方向D2に延在する第3支持軸36に取り付けられている。このトリガーセンサ37は、直下の位置(すなわち第1搬送エリアA1と第2搬送エリアA2との間の中間位置)における皮81の通過を検知することができる。なお、トリガーセンサ37は他の位置に設置され、搬送経路の他の位置における皮81の通過を検知してもよい。トリガーセンサ37は、フォトセンサ等の任意のデバイスによって構成可能であり、検知結果を制御部40(図14参照)に送信する。
【0084】
図14は、制御部40の機能構成の一例を示すブロック図である。図14に示す制御部40には、センサ類38(例えばトリガーセンサ37)、第1搬送駆動部41及び第2搬送駆動部42が接続されている。なお制御部40は、図14に図示されていないデバイスに接続されていてもよい。
【0085】
第1搬送駆動部41は、制御部40の制御下で第1構成部21を駆動する。第2搬送駆動部42は、制御部40の制御下で第2構成部22を駆動する。図示の曲げ機構72では、第1構成部21を構成する複数の紐状支持体23が掛け渡される回転軸(図示省略)のうちの少なくとも一方が第1搬送駆動部41によって回転させられる。また第1回転軸31及び各第2回転軸32のうちの少なくとも一方が第2搬送駆動部42によって回転させられる。また第2構成部22を構成する複数の紐状支持体23が掛け渡される搬送回転軸33及び上流側回転軸(図示省略)のうちの少なくとも一方が第2搬送駆動部42によって回転させられる。第1搬送駆動部41及び第2搬送駆動部42の各々は、単数又は複数の駆動デバイスを含むことができ、そのような駆動デバイスはモータ等の任意の動力発生装置によって構成可能である。
【0086】
なお第1構成部21を構成する各紐状支持体23は、走行位置が所定位置から幅方向D2にずれないように、任意の形態で図示しない回転軸及び第3回転軸48の各々に掛け渡されている。同様に第2構成部22を構成する各紐状支持体23も、走行位置が所定位置からずれないように、任意の形態で上流側回転軸(図示省略)、搬送回転軸33、第1回転軸31及び第2回転軸32の各々に掛け渡されている。典型的には、各回転軸には複数の溝部(図示省略)が形成され、それぞれの溝部に対応の紐状支持体23を掛け渡すことによって、各紐状支持体23の位置ずれを防ぎつつ各紐状支持体23を走行させることができる。
【0087】
なお、実際には、各紐状支持体23に働く張力、各紐状支持体23の走行速度及びその他の影響を受けて、各紐状支持体23は対応の回転軸に支えられながら走行する。特に、第1回転軸31及び第2回転軸32に掛け渡される複数の紐状支持体23(第2構成部22)に関しては、第1回転軸31と第2回転軸32との間における実際の走行距離、走行方向及び張力が紐状支持体23間で必ずしも一定しない。そのため、第1回転軸31及び第2回転軸32が単純な支持構造を有していると、紐状支持体23が第1回転軸31及び/又は第2回転軸32から脱落しやすい。実際、本件発明者らが試作した装置において、複数の溝部が形成されたシャフトにより第2回転軸32を構成した場合、時間の経過とともに、各紐状支持体23が対応の溝部から脱落してしまった。そのため第2回転軸32は、各紐状支持体23の脱落を防ぐのに有効な構造を有することが好ましい。一例として、第2回転軸32は複数の掛け渡し部(図示省略)を有し、当該複数の掛け渡し部は、お互いに独立して設けられ、お互いから実質的な影響を受けることなく、対応の複数の紐状支持体23を走行自在に支持してもよい。本件発明者は、径の異なる2種類のベアリングを交互に繰り返し並べてこれらのベアリングにシャフトを挿入することによって第2回転軸32を構成し、相対的に径が小さい複数のベアリングのそれぞれに紐状支持体23を掛け渡した。この場合、各ベアリングは他のベアリングから影響を受けることなく独立してシャフトの周りを回転することが可能であり、各紐状支持体23は相対的に径が大きいベアリングに挟まれて配置される。この第2回転軸32を具備する曲げ機構72を作動させたところ、各紐状支持体23は第2回転軸32から脱落することなく長時間にわたって所定の軌道を安定的に走行することができた。
【0088】
また、曲げ機構72から巻き機構73へのワークW(すなわち皮81及び具材82)の移動を促す装置が更に設けられている。なお、曲げ機構72から巻き機構73へワークWを移送する装置は、一般的なデバイスによって構成可能であり、その具体例の詳細な説明は省略する。曲げ機構72から巻き機構73へワークWを移送するそのような装置は、制御部40の制御下で駆動され、例えば図5図13に示すトリガーセンサ37の検出結果に応じて制御されてもよい。
【0089】
[曲げ方法]
次に、上述の構成を有する曲げ機構72によって曲げ部分87を立ち上げて皮81を曲げる方法の全体の流れを説明する。なお、以下に説明する曲げ方法は、制御部40(図14参照)の制御下で実施され、搬送ユニット11によって、第1搬送エリアA1を通過後に第2搬送エリアA2を通過するように皮81(ワークW)を搬送する工程を含む。
【0090】
すなわち、まず搬送ユニット11によって、ワークW(皮81及び具材82)が第1搬送エリアA1よりも上流側に搬送される(図5及び図8参照)。この時点で、皮81には、曲げ基準部分形成機構71(図4参照)によって曲げ基準部分85が既に付与されている。
【0091】
そしてワークWは搬送ユニット11によって更に下流側に送られ、各支持ユニット12の第1支持ローラ25の下方に進入する(図9参照)。この際、各第1支持ローラ25に掛け渡された支持移動体28は、対応の曲げ基準部分85に接触し、当該曲げ基準部分85(すなわち皮81)を上方から搬送ユニット11に対して僅かに押し付ける。
【0092】
そしてワークWは、紐状支持体23及び支持移動体28の搬送方向D1への走行に伴って、第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2に向けて送られる(図6図10及び図11参照)。この際、皮81の曲げ部分87は、対応の第2構成部22によって徐々に持ち上げられ、皮81は曲げ基準部分85を基準にして曲げられる。またワークWがトリガーセンサ37の検知位置を通過する際には、トリガーセンサ37によってワークWの通過が検知される(図10及び図11参照)。
【0093】
そして、ワークWは搬送ユニット11によって更に下流側に送られ、第2搬送エリアA2に到達する(図7及び図12参照)。第2構成部22を構成する複数の紐状支持体23の並び方向は、第2回転軸32に掛け渡される位置において高さ方向D3と平行な方向に最も近づく。したがってワークWが第2回転軸32間を通過する位置において、皮81の各曲げ部分87は概ね高さ方向D3に延在する。
【0094】
そして第2搬送エリアA2から下流側に移動させられたワークWは、巻き機構73(図4参照)に送られる。そして、ワークWの皮81は巻き機構73によって折られ、皮81の両端部分(すなわち2つの曲げ部分87)が具材82上に重ねられる(図1D参照)。
【0095】
以上説明したように本実施形態の曲げ機構72及び曲げ方法によれば、皮81の曲げ部分87を確実且つ安定的に立ち上げることができ、皮81を高精度且つ高速に曲げることができる。特に本実施形態の曲げ機構72では、高さ方向D3へワークWの全体を移動させることなく、ワークW(皮81及び具材82)の全体を水平方向へ移動させることによって、皮81の曲げ部分87のみを高さ方向D3に立ち上げることができる。そのため、複数のワークWを連続的に高速且つスムーズに搬送することができるとともに、ワークWに衝撃力が作用するのを防いでワークWを所望形状に保持することができる。また曲げ部分87は搬送方向D1への皮81の進行とともに少しずつ立ち上げられるため、皮81を無理なく確実且つ綺麗に曲げることができ、曲げ部分87の引っかかり等の不良が生じにくい。このように本実施形態の曲げ機構72によれば、第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2に向けて皮81を搬送することによって、皮81の曲げ部分87は、第2構成部22の紐状支持体23によりガイドされて、受動的に自然且つスムーズに立ち上げられる。また上述の従来装置で用いられるような皮を曲げるための専用部材や専用の動力源が不要であり、そのような専用部材によって皮81が能動的に曲げられることもないため、過度に大きな力が皮81に作用するのを防いで、皮81を適切且つ優しく曲げることができる。
【0096】
一方、皮81の曲げ部分87を立ち上げるためにワークWの全体を高さ方向D3に移動させる必要がある装置及び方法では、ワークWを高さ方向D3に移動させるためにワークWの搬送方向D1への移動を一旦停止する必要がある。そのため、ワークWの高速且つスムーズな搬送が阻害される。またワークWを高さ方向D3へ移動させる際には、相応の衝撃力がワークWに作用し、皮81の位置ずれや形状崩れ等の不良が発生しやすい。また、ワークWを高さ方向D3に移動させて、皮81の曲げ部分87を急激に立ち上げる場合には、皮81が破れたり曲げ部分87が装置に引っかかったりすることがある。特に、全体の処理速度(例えばワークWの搬送速度)を速めるに従って、そのような不良の発生が顕著になる傾向がある。
【0097】
また本実施形態の曲げ機構72は、ワークWを水平方向にのみ移動させる構成を有するため、他の装置に対する接続性に優れている。したがって、上流側及び下流側に設けられる他の装置の設置態様に応じて、曲げ機構72を比較的自由に設計及び設置することが可能であり、曲げ機構72の省スペース設計も可能である。
【0098】
また本実施形態の曲げ機構72は、様々な大きさのワークWに対応可能であり、汎用性に優れる。例えば幅方向D2の大きさが60mm~120mm程度のワークW(特に皮81)に対して、同じ曲げ機構72を使うことが可能である。
【0099】
[応用例]
上述の曲げ機構72及び曲げ方法は、様々な食品製造装置、食品製造システム及び食品製造方法に対して応用可能である。
【0100】
例えば、ブリトー、タコス、クレープ或いはその他のラップフード(すなわち皮によって具材を包む食品)で使用する皮を、上述の曲げ機構72及び曲げ方法によって好適に曲げることが可能である。なお皮に載せられる具材は限定されず、例えば固形食材、液状食材、粘性食材(例えばたれ、ソース、クリーム等)、起泡性食材(例えばホイップクリーム等)、或いはこれらの混合物を具材は含んでいてもよい。また食材以外の物体が皮に載せられていてもよく、例えば食材ではない固形具、シート、液状体及びゲル状体が皮に載せられていてもよい。また具材を含まず皮のみを含む食品(例えばエッグロール)で使用する皮も、上述の曲げ機構72及び曲げ方法によって好適に曲げることが可能である。また皮以外のシート状の柔軟食材も、上述の曲げ機構72及び曲げ方法によって好適に曲げることが可能である。そのようなシート状の柔軟食材の成分、形状及びサイズ(すなわち平面サイズ及び厚み)は特に限定されない。そして、上述の曲げ機構72及び曲げ方法により曲げられたシート状の柔軟食材を、各種の食品製造装置、食品製造システム及び食品製造方法で使用することが可能である。
【0101】
図15は、食品製造システム60の一例を示すブロック図である。図15に示す食品製造システム60は、上述の曲げ機構72を具備する具材包み込み装置64に加え、皮提供装置61及び食材提供装置62を備える。
【0102】
皮提供装置61は、具材を包み込むための皮を準備する装置であり、準備された皮はコンベア等の搬送デバイスによって皮提供装置61から具材包み込み装置64に送られる。皮提供装置61の具体的な構成や機能は限定されない。例えば、皮提供装置61は、皮の製造及び整形(カッティング等)を行ってもよいし、予め作られている皮の整形のみを行ってもよいし、予め整形されている皮を単に具材包み込み装置64に向けて所望の状態で送り出すだけでもよい。また皮提供装置61は他の処理を行ってもよく、例えば皮に対する各種の前処理を行ってもよい。
【0103】
食材提供装置62は、皮に包まれる具材(例えばペースト状食材)を準備する装置であり、準備された具材はコンベア等の搬送デバイスによって食材提供装置62から具材包み込み装置64に送られる。食材提供装置62の具体的な構成や機能は限定されない。例えば、食材提供装置62は、具材のカッティング及び混合を行ってもよいし、予めカッティング等された具材の混合のみを行ってもよいし、予め混合されている具材を具材包み込み装置64に向けて所望の状態で送り出すだけでもよい。また食材提供装置62は他の処理を行ってもよく、例えば具材に対する各種の前処理を行ってもよい。
【0104】
具材包み込み装置64は、皮提供装置61から送られてくる皮によって、食材提供装置62から送られてくる定量具材を包み込む処理を行い、製品(食品)を作る(図1A図1F参照)。この際、曲げ機構72によって上述の曲げ方法により皮が折り曲げられる。なお具材包み込み装置64は、上述の曲げ基準部分形成機構71及び巻き機構73(図4参照)を具備していてもよい。そして具材包み込み装置64によって作られた製品(春巻き80(図1F参照)等の食品)は、コンベア等の搬送デバイスによって後段に送られ、後段では必要に応じた各種の処理が行われる。
【0105】
なお図15に示す食品製造システム60は一例に過ぎず、食品製造システム60では、上述の曲げ機構72に対して任意の装置を組み合わせることが可能である。また食品製造方法では、上述の曲げ方法に対して任意の処理を組み合わせることが可能である。例えば、具材を必要としない食品を製造する食品製造システム60及び食品製造方法では、食材提供装置62が不要である。また具材を手動により具材包み込み装置64に対して直接的に供給する場合には、食材提供装置62は不要である。
【0106】
以上説明したように本実施形態の曲げ機構72を備える食品製造システム60によれば、曲げ機構72によってもたらされうる処理のボトルネックを改善することができ、多数の巻物食品を連続的に安定して高速且つスムーズに製造することができ、生産性を向上させることができる。
【0107】
[変形例]
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。
【0108】
例えば、搬送ユニット11(特に第1構成部21)を構成する各紐状支持体23は、水平方向に対して傾斜する方向に延在していてもよく、搬送ユニット11は、水平方向に対して傾斜する方向(特に水平方向成分及び高さ方向成分の両者を含む方向)にワークWを搬送してもよい。
【0109】
また各第2回転軸32は、高さ方向D3に対して傾斜する方向に延在していてもよい。
【0110】
また各紐状支持体23(特に第1搬送エリアA1から第2搬送エリアA2に向けてワークWを搬送する際に皮81の曲げ部分87を支持する第2構成部22の各紐状支持体23)の断面サイズや断面形状は限定されず、各紐状支持体23は円形断面又は非円形断面を有することができる。
【0111】
また第1構成部21が有する各紐状支持体23及び/又は第2構成部22が有する各紐状支持体23は、ワークWが搬送されている間、停止していてもよい。すなわち第1構成部21及び第2構成部22のうちの一方のみからワークWに推進力が加えられて当該ワークWが搬送方向D1へ搬送されてもよいし、第1構成部21及び第2構成部22の代わりに或いは第1構成部21及び/又は第2構成部22に加え、図示しない他の搬送デバイスからワークWに推進力が加えられて当該ワークWが搬送方向D1へ搬送されてもよい。ワークWの搬送の際に第1構成部21及び/又は第2構成部22が停止している場合、停止している第1構成部21及び/又は第2構成部22はワークWを案内するガイド部として働く。
【0112】
また曲げ機構72は、曲げ基準部分形成機構71及び又は巻き機構73(図4参照等)と必ずしも組み合わされなくてもよく、他の装置と組み合わされてもよいし、単独で使われてもよい。
【0113】
また、上述の構成要素及び/又は方法以外の構成要素及び/又は方法を含む形態も、本発明の実施形態に含まれる。また、上述の構成要素及び/又は方法のうちの一部の要素が含まれない形態も、本発明の実施形態に含まれる。また、本発明のある実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法と、本発明の他の実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法とを含む形態も、本発明の実施形態に含まれる。したがって、上述の実施形態及び変形例、及び上述以外の本発明の実施形態の各々に含まれる構成要素及び/又は方法同士が組み合わされてもよく、そのような組み合わせに係る形態も本発明の実施形態に含まれる。また、本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0114】
11 搬送ユニット
12 支持ユニット
21 第1構成部
22 第2構成部
23 紐状支持体
25 第1支持ローラ
26 中継ガイド部
27 第2支持ローラ
28 支持移動体
31 第1回転軸
32 第2回転軸
33 搬送回転軸
34 第1支持軸
35 第2支持軸
36 第3支持軸
37 トリガーセンサ
38 センサ類
39 移動体ガイド
40 制御部
41 第1搬送駆動部
42 第2搬送駆動部
48 第3回転軸
60 食品製造システム
61 皮提供装置
62 食材提供装置
64 具材包み込み装置
71 曲げ基準部分形成機構
72 曲げ機構
73 巻き機構
80 春巻き
81 皮
82 具材
85 曲げ基準部分
86 ベース部分
87 曲げ部分
A1 第1搬送エリア
A2 第2搬送エリア
C1 第1頂点
C2 第2頂点
C3 第3頂点
C4 第4頂点
D1 搬送方向
D2 幅方向
D3 高さ方向
S1 準備工程
S2 第1折り工程
S3 第2折り工程
S4 第3折り及び第4折り工程
S5 第5折り工程
S6 第6折り工程
S11 曲げ基準部分形成工程
S12 曲げ工程
S13 巻き工程
W ワーク
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15