(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】低障害物を乗り越えるために自動車両を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20230810BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 D
(21)【出願番号】P 2020541348
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2019051774
(87)【国際公開番号】W WO2019149618
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-10-19
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マルタン, ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ク, ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】セネ, パーフ-アブドゥライ
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/169069(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03219582(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G05D 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
速度コントローラを含んで自動車両の駐車を支援するためのメインコントローラ(2)と相互作用して、低障害物を乗り越えるために自動車両を制御するためのシステムであって、
駐車支援コントローラの動作中に低障害物の存在を判定し、前記メインコントローラ(2)の動作を一時中断するように構成された、低障害物検出手段(6)と、
前記メインコントローラ(2)の前記速度コントローラに送信される前記低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求を、前記低障害物検出手段(6)からの低障害物検出信号の受信時に判定し、前記低障害物の乗り越えの成功を判定するように構成された、低障害物を乗り越えるための制御手段(7)と、
前記低障害物の前記乗り越えの成功を指し示すメッセージの受信時に、前記メインコントローラ(2)の再初期化、前記低障害物を乗り越えるための前記エンジントルク要求の取り消し、および前記メインコントローラ(2)の前記動作の再開を命令するように構成された、前記メインコントローラ(2)を初期化するための手段(8)と
を含むことを特徴とする、自動車両を制御するためのシステム。
【請求項2】
前記低障害物検出手段(6)が、
前記車両の推定速度が閾値速度よりも低くなるときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、速度検出手段(6a)と、
前記メインコントローラ(2)から受信された移動することになる残り距離が距離閾値よりも大きいときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、残り距離を検出するための手段(6b)と、
前記メインコントローラ(2)の現在の動作ステップが前記車両の速度を制御するステップであるときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、状態条件を検出するための手段(6c)と、
前記車両が静止していることをオドメトリデータが指し示すときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、オドメトリ条件を検出するための手段(6d)と、
ギアを入れた方向に運転手または前記システムが前記車両を前進させることを要望するかどうかを確かめるために、前記メインコントローラ(2)から受信されたホイールトルク要求がホイールトルク要求閾値を上回るときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、トルク要求条件を検出するための手段(6e)と、
第1の値が、前記オドメトリ条件検出手段(6d)から、および前記トルク要求条件検出手段(6e)から同時に受信されたときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、AND論理ゲート(6f)と、
あらかじめ決められた時間間隔の間に、前記第1の値が前記AND論理ゲート(6f)から受信されているかどうかを判定し、受信されている場合に、第1の値をその出力から送信するように構成された、タイミング手段(6g)と、
第1の値が、前記速度検出手段(6a)、前記残り距離検出手段(6b)、前記状態条件検出手段(6c)、および前記タイミング手段(6g)から同時に受信されたときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、第2のAND論理ゲート(6h)と、
あらかじめ決められた時間間隔の間に、前記第1の値が前記第2のAND論理ゲート(6h)から受信されているかどうかを判定し、受信されている場合に、前記低障害物検出信号をその出力から送信するように構成された、第2のタイミング手段(6i)と
を含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
低障害物を乗り越えるための前記制御手段(7)が、
前記低障害物検出信号をその入力で受信するマスターコントローラ(7a)と、
前記車両の停止を制御するための手段(7b)と、
距離を推定するための手段(7c)と、
前記低障害物を乗り越えるための前記エンジントルク要求を判定するように構成された、エンジントルク計算手段(7d)と
を含み、
前記マスターコントローラ(7a)が、ブレーキコマンドを送信する目的のために、前記車両停止制御手段(7b)、前記距離推定手段(7c)、および前記エンジントルク計算手段(7d)を制御すること、移動した距離を判定すること、前記移動した距離に基づいて前記低障害物が乗り越えられているかどうかを判定すること、前記
低障害物が乗り越えられていない場合にホイールトルク要求を判定すること、ならびに前記
低障害物が乗り越えられている場合にメインコントローラ(2)再初期化メッセージを判定することが可能である、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
速度制御と共に自動車両の駐車のための支援を制御する方法と相互作用して、低障害物を乗り越えるために自動車両を制御するための
コンピュータシステムによる方法であって、
駐車支援制御方法の動作の一時中断と合わせて、前記車両がそこで停止する低障害物の存在が検出されるステップと、
前記低障害物を乗り越えるためのトルク要求を判定することによって、前記低障害物の乗り越えが命令されるステップと、
前記低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求の取り消し、および前記駐車支援制御方法の前記動作の再開と合わせて、前記駐車支援制御方法の再初期化が命令されるステップと
を含む
、方法。
【請求項5】
前記車両がそこで停止する低障害物の前記存在を検出するために、
第1のグループの条件のすべての条件が検証された場合に、第1の変数が第1の値に等しいことが判定されるステップと、
あらかじめ決められた時間間隔の間に、第2のグループの条件のすべての条件が検証された場合に、第2の変数が第1の値に等しいことが判定されるステップと、
あらかじめ決められた時間間隔の間に、前記第1の変数および前記第2の変数が前記第1の値を取る場合に、前記車両が前記低障害物を通過していることが判定されるステップと
が実行され、
前記第1のグループの条件が、
前記車両の推定速度が閾値速度を下回るかどうかを判定すること、
前記駐車支援制御方法から受信された前記車両によって移動することになる残り距離が、移動することになる残り距離の閾値を上回るかどうかを判定すること、
前記駐車支援制御方法の現在の状態が、前記車両の速度を制御するステップに等しいかどうかを判定すること
を含み、
前記第2のグループの条件が、
オドメトリデータを閾値の値と比較することによって、前記車両が静止しているかどうかを判定すること、
前記駐車支援制御方法から受信されたホイールトルク要求が、ホイールトルク要求閾値を上回るかどうかを判定すること
を含む、請求項4に記載
の方法。
【請求項6】
前記低障害物の前記乗り越えを制御するために、
ブレーキコマンドが送信され、
移動した距離が判定され、
前記移動した距離に基づいて、前記低障害物が乗り越えられているかどうかが判定され、
乗り越えられていない場合に、前記低障害物を乗り越えるためのトルク要求が判定され、
乗り越えられている場合に、前記駐車支援制御方法が再初期化される、
請求項4に記載
の方法。
【請求項7】
前記低障害物を乗り越えるための前記エンジントルク要求が、乗り越え時に車両のホイールにかかる低障害物の力の数学的モデルに基づいて、およびアクチュエータの動力学に基づいて判定される、請求項6に記載
の方法。
【請求項8】
前記低障害物を乗り越えるための前記エンジントルク要求が、前記
低障害物が検出されるときに判定される第1の成分と、前記
低障害物の検出の瞬間から起算したあらかじめ決められた時間間隔の後に判定される第2の成分とを含む、請求項7に記載
の方法。
【請求項9】
前記低障害物を乗り越えるため
のホイールトルク要求が、前記トルク要求の水平成分のみを考慮することによって、勾配を見越すために補償される、請求項7に記載
の方法。
【請求項10】
前記低障害物を乗り越えるための判定されたトルク要求が、なおも前記低障害物が横断されるのを可能にしない場合に、
ブレーキによる前記車両の停止が命令され、前記
低障害物を横断することができないことを指し示すメッセージが前記駐車支援制御方法に送信されて、
前記駐車支援制御方法の現在の動作が取り消されるようにする、請求項6から9のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項11】
前記低障害物の前記乗り越えが成功した場合に、メインコントローラを再初期化するためのメッセージが送信され、前記低障害物を乗り越えるための前記エンジントルク要求が取り消される、請求項6に記載
の方法。
【請求項12】
前記低障害物の乗り越えの成功が、前記車両によって前記移動した距離の推定があらかじめ決められた閾値を上回るときに検出される、請求項6から11のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項13】
前記あらかじめ決められた閾値が、前記車両と前記低障害物との間の距離を推定するために使用される知覚システムの検出能力よりも大きい距離に等しい、請求項12に記載
の方法。
【請求項14】
前記低障害物の乗り越えの成功が、前記車両の縦加速度の測定値を較正された閾値と比較することによって検出される、請求項6から11のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項15】
前記閾値が、前記車両の動きの方向に基づいて計算される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、自動車両を駐車する目的のための前記車両の制御である。
【背景技術】
【0002】
自動または半自動の駐車システムは、超音波センサおよび/またはカメラに基づいて作動する環境検出システム(空きスペースおよび障害物の検出)を基礎としている。
【0003】
第1の技術的難点は、この知覚システムが、歩道などの低障害物の検出に関して、目下、多くの制限を受けていることである。スペース探索の段階中に、知覚システムが検出することができる障害物の高さには、閾値がある。この低障害物がこの閾値を上回る場合、障害物の乗り越えを回避することになる軌道による操作が行われる。たとえば、縦列駐車操作の場合、車両は、内側ホイールが障害物に対して平行であるようなやり方で駐車する。そのような軌道が不可能である場合、そのスペースは、システムによって与えられないことになる。したがって、システムの目下の実装は、とりわけ、歩道と車道とにまたがる駐車スペースの場合に問題となる状況を招く。
【0004】
第2の技術的難点は、閉ループの速度コントローラが提供されて、所与の位置から、運転手または駐車システムによって選択された駐車スペースに向けて車両を動かすことを担っている、という事実に関連付けられる。結果として、歩道タイプの低障害物が検出されない場合、システムはブロックされ、コントローラは、速度設定値に応答するために、飽和のために許容された値の制限内でエンジンにトルク要求を送る。制御ループのそのような飽和は、操作の安全性に関連付けられた制約のあらゆる違反を防ぐために必要であり、車両は、そのような歩道タイプの低障害物に対して事実上停止する。
【0005】
1つの解決策は、飽和上限を引き上げることである。この解決策のリスクは、低障害物を越えて移動する間に車両が跳ね上がることであり、それにより、車両まわりの物体との衝突を招くことがある。
【0006】
そのようなリスクは許容できない。よって、操作中、知覚システムにより計算された軌道に存在する歩道タイプの低障害物で車が停止されたことを検出するための、確実な仕方で障害物を乗り越えるための、次いで、知覚システムによって計算された初期の軌道を再開するための、堅牢な戦略の必要性がある。
【0007】
先行技術においては、自動駐車の精度を改善する目的のために、駐車スペース上の歩道の検出、および歩道の形状の認識を提供する駐車支援システムを説明する、文献KR20130089502が知られている。
【0008】
ユーザの音声コマンドを介して車両の自律操作を実行する方法を説明する、文献米国特許出願第公開2016207528もまた知られている。システムに情報を供給するセンサによって検出されていない(歩道タイプの)垂直障害物に、車両の少なくとも1つのホイールが遭遇したとき、支援システムは、操作中の速度設定値を増加させる動作モードに入り、その結果、障害物に対処するためにより好都合となる。
【0009】
引用した文献は、上で説明された技術的問題を解決するものではない。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、速度コントローラを含んで自動車両の駐車を支援するためのメインコントローラと相互作用して、低障害物を乗り越えるために自動車両を制御するためのシステムである。制御システムは、
駐車支援コントローラの動作中に低障害物の存在を判定し、メインコントローラの動作を一時中断するように構成された、低障害物検出手段と、
メインコントローラの速度コントローラに送信される低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求を、低障害物検出手段からの低障害物検出信号の受信時に判定し、低障害物の乗り越えの成功を判定するように構成された、低障害物を乗り越えるための制御手段と、
低障害物の乗り越えの成功を指し示すメッセージの受信時に、メインコントローラの再初期化、低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求の取り消し、およびメインコントローラの動作の再開を命令するように構成された、メインコントローラ初期化手段と
を含む。
【0011】
低障害物検出手段は、車両の推定速度が閾値速度よりも小さくなるときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、速度検出手段と、メインコントローラから受信された移動することになる残り距離が距離閾値よりも大きいときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、残り距離検出手段と、メインコントローラの動作の現在のステップが車両の速度を制御するステップであるときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、状態条件検出手段と、車両が静止していることをオドメトリデータが指し示すときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、オドメトリ条件検出手段と、ギアを入れた方向に車両を前進させる運転手のまたはシステムの要望の確信を得るために、メインコントローラから受信されたホイールトルク要求がホイールトルク要求閾値よりも大きいときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、トルク要求条件検出手段と、第1の値が、オドメトリ条件検出手段から、およびトルク要求条件検出手段から同時に受信されたときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、AND論理ゲートと、あらかじめ決められた時間間隔の間に、第1の値がAND論理ゲートから受信されているかどうかを判定し、受信されている場合に、第1の値をその出力から送信するように構成された、タイミング手段と、第1の値が、速度検出手段、残り距離検出手段、状態条件検出手段、およびタイミング手段から同時に受信されたときに、第1の値をその出力から送信するように構成された、第2のAND論理ゲートと、あらかじめ決められた時間間隔の間に、第1の値が第2のAND論理ゲートから受信されているかどうかを判定し、受信されている場合に、低障害物検出信号をその出力から送信するように構成された、第2のタイミング手段とを含むことができる。
【0012】
低障害物を乗り越えるための制御手段は、低障害物検出信号をその入力で受信するマスターコントローラと、車両の停止を制御するための手段と、距離推定のための手段と、低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求を判定するように構成された、エンジントルク計算手段とを含むことができ、
マスターコントローラは、ブレーキコマンドを送信する目的のために、車両停止制御手段、距離推定手段、およびエンジントルク計算手段を制御すること、移動した距離を判定すること、移動した距離に基づいて低障害物が乗り越えられているかどうかを判定すること、障害物が乗り越えられていない場合にホイールトルク要求を判定すること、ならびに障害物が乗り越えられている場合にメインコントローラ再初期化メッセージを判定することが可能である。
【0013】
本発明のさらなる目的は、速度制御と共に自動車両の駐車のための支援を制御する方法と相互作用して、低障害物を乗り越えるために自動車両を制御するための方法である。方法は、
駐車支援制御方法の動作の一時中断と合わせて、車両がそこで停止する低障害物の存在が検出されるステップと、
低障害物を乗り越えるためのトルク要求を判定することによって、低障害物の乗り越えが命令されるステップと、
低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求の取り消し、および駐車支援制御方法の動作の再開と合わせて、駐車支援制御方法の再初期化が命令されるステップと
を含む。
【0014】
車両がそこで停止する低障害物の存在を検出するために、
第1のグループの条件のすべての条件が検証された場合に、第1の変数が第1の値に等しいことが判定されるステップと、
あらかじめ決められた時間間隔の間に、第2のグループの条件のすべての条件が検証された場合に、第2の変数が第1の値に等しいことが判定されるステップと、
あらかじめ決められた時間間隔の間に、第1の変数および第2の変数が第1の値を取る場合に、車両が低障害物を通過していることが判定されるステップと
が実行されてよく、
第1のグループの条件が、
車両の推定速度が閾値速度を下回るかどうかを判定すること、
駐車支援制御方法から受信された車両によって移動することになる残り距離が、移動することになる残り距離の閾値を上回るかどうかを判定すること、
駐車支援制御方法の現在の状態が、車両の速度を制御するステップに等しいかどうかを判定すること
を含み、
第2のグループの条件が、
オドメトリデータを閾値の値と比較することによって、車両が静止しているかどうかを判定すること、
駐車支援制御方法から受信されたホイールトルク要求が、ホイールトルク要求閾値を上回るかどうかを判定すること
を含む。
【0015】
低障害物の乗り越えを制御するために、
ブレーキコマンドが送信され、
移動した距離が判定され、
移動した距離に基づいて、低障害物が乗り越えられているかどうかが判定され、
乗り越えられていない場合に、低障害物を乗り越えるためのトルク要求が判定され、
乗り越えられている場合に、駐車支援制御方法が再初期化される
ステップを実行することが可能である。
【0016】
低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求は、乗り越え時に車両のホイールにかかる低障害物の力の数学的モデルに基づいて、およびアクチュエータの動力学に基づいて決定されてよい。
【0017】
低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求は、障害物が検出されるときに決定される第1の成分と、障害物の検出の瞬間から起算したあらかじめ決められた時間間隔の後に判定される第2の成分とを含むことができる。
【0018】
低障害物を乗り越えるためのホイールトルク要求は、トルク要求の水平成分のみを考慮することによって、勾配を見越すために補償されてよい。
【0019】
低障害物を乗り越えるための判定されたトルク要求が、なおも低障害物が横断されるのを可能にしない場合に、ブレーキによる車両の停止が命令されてよく、障害物を横断することができないことを指し示すメッセージが駐車支援制御方法に送信されて、現在の操作が取り消されるようにする。
【0020】
低障害物の乗り越えが成功した場合に、メインコントローラを再初期化するためのメッセージが送信されてよく、低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求が取り消される。
【0021】
低障害物の乗り越えの成功は、車両によって移動した距離の推定があらかじめ決められた閾値を上回るときに検出されてよい。
【0022】
あらかじめ決められた閾値は、車両と低障害物との間の距離を推定するために使用される知覚システムの検出能力よりも大きい距離に等しくてもよい。
【0023】
低障害物の乗り越えの成功は、車両の縦加速度の測定値を較正された閾値と比較することによって検出されてもよい。
【0024】
閾値は、車両の動きの方向に基づいて計算されてよい。
【0025】
駐車支援のための適格性のシナリオを増やすことに加えて、この解決策は、あらかじめ存在するアーキテクチャと両立できるという利点を有する。この解決策は、したがって、あらかじめ存在するアーキテクチャによる車両における処理リソースまたは固有受容センサの存在のおかげで、それらのいずれかに関して追加のリソースをほとんど要さない。
【0026】
検出はまた、とりわけ勾配を有する車道の、車道のタイプに堅牢である。
【0027】
本発明の他の目的、特性、および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ提供される以下の説明を読むことから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】先行技術によるメインコントローラの主な動作ステップを示す図である。
【
図2】低障害物を乗り越えるための制御システムの主な要素を示す図である。
【
図4】歩道の乗り越えを制御する手段の主な要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、半自動または自動の駐車操作中に、低障害物に対する車両の停止を検出するための戦略に関する。「低障害物」とは、とりわけ、車両によって乗り越えられてよい歩道または任意の障害物を意味するように受け取られる。この検出に続いて、前記低障害物を乗り越える方法が開始される。このモジュールは、多状態適応コントローラを基礎とした制御法則に統合される。このコントローラは、開ループ制御から閉ループ制御に切り替える段階からなる。
【0030】
主な技術的難点は、誤った検出を回避するための、操作中の低障害物に対する実際の停止の検出である。検出戦略は、したがって、このタイプの状況に堅牢でなければならない。検出戦略は、運転手によって決定された車両停止を、意図しない停止から区別することを可能にしなから、勾配を有する車道で操作が行われるときには、低障害物に対する停止を、車両のスリップから区別することもまた可能にしなければならない。その他の難点は、明らかに、障害物を乗り越えることであり、これは迅速かつ安全でなければならない。衝突を招くことがある、横断終了時のいかなる跳ね上がりも回避することが必要である。最後に、駐車操作中の低障害物の検出および乗り越えは、操作中に車両の縦速度を制御するためのより一般的な制御法則に統合されなければならない。したがって、本発明において説明されるコントローラとモジュールとの間に、良好な同期および良好な切り替えを提供することが必要である。
【0031】
速度制御についてのそのような制御法則は、RENAULT s.a.s.に代わって2017年3月8日に出願された仏国特許出願FR1751873に説明されている。この出願は、低障害物を乗り越えるための自動車両制御システムがその中に組み入れられる、自動車両を駐車する支援のための多状態コントローラを説明している。コントローラは、
図1に示されたE
1からE
5で表される5つの主な状態を含む。
【0032】
低障害物を乗り越えるための制御システム1は、ステップE3に対応した、車両の速度の制御中のみアクティブであり、ステップE3は、加速設定値の完全な取り消しの終了時、または駐車支援システムが車両の動きを検出したときに始まる。これ以降の説明において、用語「メインコントローラ」は、この特許出願による多状態コントローラを指すために使用される。
【0033】
低障害物を乗り越えるための制御システム1の動作は、仏国特許出願FR1751873に説明されるように、メインコントローラ2の動作の一時停止を要する。
【0034】
図2に示された低障害物を乗り越えるための制御システム1は、低障害物の乗り越えを制御するための手段7に接続された、低障害物を検出するための手段6を含み、低障害物の乗り越えを制御するための手段7それ自体は、メインコントローラを初期化するための手段8に接続されている。メインコントローラを初期化するための手段8は、メインコントローラを一時停止する機能、および現在の操作を再開するために同コントローラを初期化する機能を提供する。メインコントローラ初期化手段8は、SidewalkDetectedで表される低障害物検出信号を、その入力で受信する。初期化手段8は、歩道タイプの低障害物で車が止まるときに、この信号の第1の値への切り替えを検出し、それにより、メインコントローラの一時停止を起動する。その後、低障害物の乗り越えの成功の検出に続いて、第1の値を取るResetPIDFFD/TakeOff信号の受信時に、初期化手段8によるメインコントローラの再初期化が行われる。
【0035】
低障害物を乗り越えるための制御システム1は、車両のオドメトリVeh_odo、車両の推定速度Veh_speed、ならびにメインコントローラの状態RegulatorState、メインコントローラによって計算されたホイールトルク要求PWTRequestedTrq、および停止距離StoppingDistanceなどのメインコントローラに関する情報を、その入力で受信する。
【0036】
低障害物検出手段6は、歩道タイプの低障害物で車が止まるときに第1の値を取る、SidewalkDetectedで表される低障害物検出信号を生成する。この信号は次いで、同期を提供し、低障害物を横断するために送達されることになるエンジントルクを計算し、最終的に低障害物の乗り越えの成功および現在の操作を再開するためのメイン速度コントローラの再初期化を判定する目的のために、メインコントローラ2に含まれる速度コントローラを初期化する機能を有する、低障害物を乗り越えるための制御手段7によって使用される。同期は、メインコントローラによって実行される動作ステップ、低障害物を乗り越えるための制御システム1をアクティブにするためのメインコントローラの一時停止、および低障害物を乗り越えるための制御システム1がその処理を完了したときの再開の、検証によって提供される。
【0037】
図3に示された低障害物検出手段6は、車両の速度Veh_speed、オドメトリVeh_odo、ホイールトルク要求PWTRequestedTrq、およびメインコントローラの状態RegulatorStateを受信する。「オドメトリ」とは、ホイール上の固定されたマーカーが固定された検出器を通過するたびにパルスを送信する、「ホイールトップ」タイプの車両の動きセンサを意味するように受け取られる。ホイール周囲長は知られているので、2つのパルス間のホイール回転を通じて移動した距離が知られる。オドメトリはまた、動きが車両の前面に向かうのか、それとも背後に向かうのかを判定するために使用されてよい方向センサを含む。車両の静止状態の維持は、車両の動きが、実質的にゼロであるとき、すなわち、あらかじめ決められた時間間隔の間に閾値の値を下回るときに判定される。
【0038】
最後に、メインコントローラ2の状態RegulatorStateは、
図1に示されたステップE
0からE
4の中での、メインコントローラ2の現在の状態に対応する。
【0039】
低障害物検出手段6は、複数の検出手段6a、6b、6c、6d、6eを含む。
【0040】
速度検出手段6aは、以下の条件が満たされるかどうかを判定するために、車両の推定速度Veh_speedを、閾値速度Vthと比較する。
Veh_speed<Vth (式1)
【0041】
このように、推定速度Veh_speedが閾値速度Vthよりも小さくなる(低くなるように選ばれる)とき、速度検出手段6aは、第1の値をその出力から送信する。
【0042】
推定速度は、少なくとも1つのホイール上の位置インジケータの通過に対応するホイールトップを含む、車両のCANバス上に存在するオドメトリデータに基づいて計算される。本原理は、2つのホイールトップの出現の間で経過した時間T2topsの計算を基礎としている。車両ごとに、2つの連続したホイールトップを隔てる距離Dist2topsは、正確に知られている。推定速度はこれから、以下の計算によって推測される。
Veh_speed=(Dist2tops)/T2tops (式2)
【0043】
残り距離検出手段6bは、知覚および軌道計算システムから受信された、車両によって移動することになる残り距離StoppingDistanceを、その入力で受信し、以下の条件が満たされるかどうかを検査するために、StoppingDistanceを、移動することになる残り距離の閾値RemainingDistThと比較する。
StoppingDistance>RemainingDistTh (式3)
【0044】
このように、移動することになる残り距離StoppingDistanceが、距離閾値RemainingDistThよりも大きくなるとき、残り距離検出手段6bは、第1の値をその出力から送信する。よって、スペースの終わりに到達し、距離閾値RemainingDist_Thよりも小さい、または距離閾値RemainingDist_Thに等しい距離だけが移動するために残っているときに、歩道タイプの低障害物のあらゆる検出が区別される。
【0045】
低障害物がシステムによって検出されず、距離閾値RemainingDist_Th(m)よりも小さい、または距離閾値RemainingDist_Th(m)に等しい距離が移動するために残っている場合、残り距離検出手段6bは、この方向における動きを続行することが不可能であることを、メインコントローラ2に通知する。その結果として、メインコントローラは次いで、これが不可能であることを知覚および軌道計算システムに通知し、この場合、反対方向の操作の続行が知覚および軌道計算システムによって評価される。
【0046】
状態条件検出手段6cは、RegulatorStateで表されるコントローラの現在のステップを、その入力で受信する。状態条件検出手段6cは次いで、メインコントローラ2が
図1に示されたステップE
3にあるかどうかを判定する。ステップE
3にある場合、状態条件検出手段6cは、第1の値をその出力から送信する。
【0047】
この条件を用いて、コントローラが車両の速度を制御する状態の外で、障害物の検出および乗り越えがアクティブにはならないことが保証される。
【0048】
オドメトリ条件検出手段6dは、CANバス上で利用可能なオドメトリデータを、あらかじめ定義された値と比較する。オドメトリデータは、それぞれの動きが実行される方向(前方または後方)を判定する目的のために、移動した距離および動きの方向を判定するために使用されるホイールトップを含む。比較の結果に基づいて、車両が静止しているかどうか、したがって、潜在的に障害物に対して停止しているかどうかが判定される。停止している場合に、オドメトリ条件検出手段6dは、第1の値をその出力から送信する。
【0049】
トルク要求条件検出手段6eは、メインコントローラ2から受信されたホイールトルク要求PWTRequestedTrqを、その入力で受信し、ギアを入れた方向に運転手またはシステムが車両を前進させることを要望するかどうかを確かめるために、ホイールトルク要求PWTRequestedTrqが、ホイールトルク要求閾値を上回るかどうかを判定する。上回る場合に、トルク要求条件検出手段6eは、第1の値をその出力から送信する。
【0050】
一実施形態において、トルク要求の水平成分に等しい、補償されたホイールトルク要求が判定される。その場合、トルク閾値を選ぶことがより容易になる。
【0051】
6fで表されるAND論理ゲートは、オドメトリ条件検出手段6dおよびトルク要求条件検出手段6eによって送信された値を、その入力で受信する。6fで表されるAND論理ゲートは、第1の値が、オドメトリ条件検出手段6dから、およびトルク要求条件検出手段6eから同時に受信されたときに、第1の値をその出力から送信する。その他の場合、6fで表されるAND論理ゲートは、第2の値をその出力から送信する。
【0052】
AND論理ゲート6fの出力に接続されたタイミング手段6gは、AND論理ゲートから受信された信号が、あらかじめ決められた時間間隔の間に、オドメトリ条件およびトルク要求条件の同時検証に対応するかどうかを判定する。言い換えれば、タイミング手段6gは、第1の値が、あらかじめ決められた時間間隔の間に、AND論理ゲート6fから受信されたかどうかを判定する。
【0053】
受信された場合に、タイミング手段6gは、第1の値をその出力から送信する。そうでない場合、タイミング手段6gは、第2の値を送信する。
【0054】
6hで表される第2のAND論理ゲートは、速度検出手段6a、残り距離検出手段6b、状態条件検出手段6c、およびタイミング手段6gによって送信された値を、その入力で受信する。
【0055】
6hで表される第2のAND論理ゲートは、第1の値が、速度検出手段6a、残り距離検出手段6b、状態条件検出手段6c、およびタイミング手段6gから同時に受信されたときに、第1の値をその出力から送信する。その他の場合、6hで表される第2のAND論理ゲートは、第2の値をその出力から送信する。
【0056】
第2のAND論理ゲート6hの出力に接続された第2のタイミング手段6iは、第2のAND論理ゲート6hから受信された信号が、あらかじめ決められた時間間隔の間に、第1の値に対応するかどうかを判定する。
【0057】
対応する場合に、第2のタイミング手段6iは、第1の値をその出力から送信する。そうでない場合、第2のタイミング手段6iは、第2の値を送信する。
【0058】
第2のタイミング手段6iの出力における信号は、低障害物検出信号SidewalkDetectedに対応する。
【0059】
これより、低障害物検出手段6の出力に接続されて、低障害物検出信号SidewalkDetectedを受信する、低障害物を乗り越えるための制御手段7を、
図4を参照して説明することにする。
【0060】
低障害物を乗り越えるための制御手段7は、低障害物検出信号SidewalkDetectedを介した低障害物検出手段6による障害物の存在の確認後に、すべてのアクションをスケジュールする。
【0061】
この目的のために、低障害物を乗り越えるための制御手段7は、低障害物検出手段6から生じる低障害物検出信号SidewalkDetectedをその入力で受信するマスターコントローラ7aを含む。
【0062】
低障害物検出信号SidewalkDetectedが第1の値を取る場合、マスターコントローラ7aは、ブレーキコマンドを送信するように、車両停止制御手段7bを制御する。車両停止制御手段7bはまた、CANからの情報を介して、車両のブレーキ状態、とりわけ、車両が静止条件に維持されているかどうかについて検証する。
【0063】
マスターコントローラ7aは次いで、移動した距離、およびマスターコントローラ7aによって送信された初期化値Crosseddistance_initialisationに基づいて、低障害物の乗り越えの成功を判定するように、距離推定手段7cを制御する。
【0064】
それに応答して、距離推定手段7cは、成功の場合に、低障害物の乗り越えを指し示すメッセージsidewalk_crossedを、マスターコントローラ7aに送信する。
【0065】
推定手段7cの初期化と並行して、マスターコントローラ7aは、メインコントローラ2の速度コントローラを初期化するように、エンジントルク計算手段7dを制御する。低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求SidewalkTrqReqが、判定され、次いで同期のコンテキストにおいてメインコントローラの速度コントローラに送信される。言い換えれば、低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求SidewalkTrqReqは、メインコントローラの動作が一時停止されている間に、メインコントローラの速度コントローラに送信される。この目的のために、エンジントルク計算手段7dは、乗り越え時に車両のホイールにかかる低障害物の力の数学的モデルを利用することによって、低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求SidewalkTrqReqを判定する。歩道タイプの低障害物は、数ある要因の中でも特に、そのサイズおよび車両動力学に比例した、ホイールの抵抗力を生成する。したがって、車両に負荷がかかるときにより高くなければならないこの抵抗トルクを克服するためのエンジントルク設定値を生み出すことが必要である。調整パラメータを使用することによって、アクチュエータの動力学もまた考慮に入れられる。低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求SidewalkTrqReqの数式は、その場合、以下の通りである。
【0066】
ここで、
α:所望のトルクレベルが到達される速さを定義する、トルク設定値の速さの係数。これは時定数であり、
k:サンプリング瞬間、
Te:サンプリング期間、
K_swk:到達されるべきトルクレベルを定義する、設定値のゲイン
である。
【0067】
別の実施形態において、低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求SidewalkTrqReqは、障害物が検出されるときと、障害物がまだ乗り越えられていない間の時間遅延の後とで、異なって計算される。
【0068】
検出中の低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求SidewalkTrqReq_bfは、以下の式によって定義される。
【0069】
時間遅延の後の低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求SidewalkTrqReq_afは、以下の式によって定義される。
【0070】
ここで、
K1swk:到達されるべきトルクレベルを定義する、第1の部分でのトルク設定値のゲイン、
K2swk:到達されるべきトルクレベルを定義する、第2の部分でのトルク設定値のゲイン
である。
【0071】
このやり方で計算されたトルク要求が、なおも低障害物が横断されるのを可能にしない場合に、エンジントルク計算手段7dは、失敗メッセージSidewalkFailureをマスターコントローラ7aに送る。このメッセージを受信すると、マスターコントローラ7aは、ブレーキコマンドStopVehicleを車両停止制御手段7bに送り、障害物を横断することができないことを指し示すメッセージCancel_impをメインコントローラ2に送信して、現在の操作の取り消しをもたらす。
【0072】
低障害物が成功のうちに乗り越えられた場合、マスターコントローラ7aは、距離推定手段7cから、Sidewalk_Crossedで表される、低障害物の乗り越えを指し示すメッセージを受信する。マスターコントローラ7aは次いで、ResetPIDFFD/TakeOffで表される、メインコントローラを再初期化するためのメッセージを、メインコントローラを初期化するための手段8に送信する。
【0073】
一実施形態において、距離推定手段7cによる乗り越えの成功の検出は、車両によって移動した距離の推定を、知覚システムの検出能力をわずかに上回る閾値と比較することによって遂行される。これは、障害物が特に低く、トルクに著しい変動を引き起こさない場合に、現在の操作を制限することを可能にする。
【0074】
別の実施形態において、低障害物の乗り越えの検出は、すべての生産車両に取り付けられているセンサから取得される車両の縦加速度を、較正された閾値と比較することによって遂行されてもよい。この閾値は、車両の動きの方向に基づいて計算される。測定された加速度が閾値を上回り次第すぐに、横断推定手段7cが、第1の値を持つ、低障害物の乗り越えを指し示すメッセージ「SidewalkCrossed」を送信する。障害物を乗り越えている間、車両は、距離論理を基礎とした推定手段7cによっては解釈されにくい、前方および後方の短い動きをすることがあるので、乗り越えの成功を検出するこの方法が、より堅牢である。そのような状況において、距離論理を基礎とした推定手段7cは、通常、一方向に前進があり、次いでもう一方の方向に前進があると想定し、そのために、距離条件が達成されるのを妨げる。
【0075】
メインコントローラ初期化手段8は次いで、再初期化メッセージResetPIDFFD/TakeOffを受信し、
図2にSwkTrqResetで表されるメッセージをメインコントローラ2に送信して、メインコントローラ2の再初期化、低障害物を乗り越えるためのエンジントルク要求SidewalkTrqReqの取り消し、および
図1に示されるようなメインコントローラ2の動作の再開を命令する。メインコントローラ初期化手段8による再初期化メッセージResetPIDFFD/Takeの処理は、SidewalkDetectedおよびResetPIDFFD/TakeOffが第1の値に切り替えられた瞬間にのみ、メインコントローラ2を一時停止および再初期化するこのステップ全体を遂行するための必要性によって解説されており、継続的なものではない。