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特許7329539ねじ式分配装置を使用して可動面へ粉末を分配する装置を備える付加製造機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】ねじ式分配装置を使用して可動面へ粉末を分配する装置を備える付加製造機
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/55 20210101AFI20230810BHJP
   B22F 12/57 20210101ALI20230810BHJP
   B22F 12/67 20210101ALI20230810BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20230810BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20230810BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20230810BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20230810BHJP
   B29C 64/255 20170101ALI20230810BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230810BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230810BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20230810BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B22F12/55
B22F12/57
B22F12/67
B29C64/153
B29C64/205
B29C64/241
B29C64/321
B29C64/255
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y40/00
B28B1/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020561653
(86)(22)【出願日】2019-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 FR2019051013
(87)【国際公開番号】W WO2019211564
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】1853835
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517160927
【氏名又は名称】アッドアップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサレス アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ゴナール オリヴィエ
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/108868(WO,A1)
【文献】特開2009-279928(JP,A)
【文献】特開2004-137516(JP,A)
【文献】特開2003-033642(JP,A)
【文献】特開平07-025479(JP,A)
【文献】特開2018-024183(JP,A)
【文献】特開2006-205456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00-12/90
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末床溶融付加製造機(10)であって、
製造チャンバ(12)と、該製造チャンバの内側に堆積された付加製造粉末層を選択的に融解するのに使用される少なくとも1つの熱またはエネルギー源(14)と、製造チャンバ内側に位置している製造ゾーン(20)の付近で動くことのできる少なくとも1つの可動式粉末受け面(28)と、前記可動式粉末受け面から製造ゾーンに向かって粉末を拡散することのできる粉末拡散装置(30)と、前記可動式粉末受け面に粉末を分配する少なくとも1つの粉末分配装置(32)と、を備えた粉末床溶融付加製造機において、
前記粉末分配装置が、粉末供給機(42)に連結されているバッファーリザーバ(40)と、その下を可動式受け面(28)が動く粉末分配ポイント(P1)とを有し、
前記粉末分配装置が、前記バッファーリザーバ(40)と粉末分配ポイント(P1)とをつなぐねじ式計量装置(44)を更に有し、前記バッファーリザーバから粉末分配ポイントに向かう粉末の連続流の発生を可能にし、
前記ねじ式計量装置(44)は、バレル(66)と、同一バレル(66)内に並置され該バレル内で回転駆動される2つの粉末運搬ねじ(V1、V2)を有し
前記ねじ式計量装置の2つねじ(V1、V2)は、回転が同調され、時計回り方向または反時計回り方向の、同一方向に回転し、
前記粉末分配装置(32)が、前記バッファーリザーバ内に収容された粉末をほぐす粉末開梱装置(52)を有し、
前記粉末開梱装置(52)が、前記バッファーリザーバ(40)の内側でアクチュエータによって動くように駆動されるブレード(54)の形態をとり、
前記2つの粉末運搬(V1、V2)はギアリング(68)を介して1つの同一のアクチュエータ(56)によって駆動され、
前記2つの粉末運搬ねじ(V1、V2)の回転を駆動させるモータ(56)は、更に、前記ギアリング(68)を介して前記粉末開梱装置(52)のブレード(54)の回転を駆動させることができる、
ことを特徴とする粉末床溶融付加製造機(10)。
【請求項2】
前記計量装置の2つねじ(V1、V2)が、同じ方向のピッチを有する、
請求項に記載の粉末床溶融付加製造機(10)。
【請求項3】
前記計量装置の2つねじ(V1、V2)が、反対方向のピッチを有する、
請求項に記載の粉末床溶融付加製造機(10)。
【請求項4】
前記粉末分配装置(32)が、バッファーリザーバ内の粉末のレベルの検出器(50)を有している、
請求項1ないしのいずれか1項に記載の粉末床溶融付加製造機(10)。
【請求項5】
前記製造チャンバが、
水平の作業平面(18)と、
前記作業平面に位置している少なくとも1つの製造ゾーン(20)と、
前記水平作業平面(18)に固定され流体密の状態で製造チャンバ(12)に連結されているハウジング(39)内に配置された粉末分配ポイント(P1)と、を備えている、
請求項1ないしのいずれか1項に記載の粉末床溶融付加製造機(10)。
【請求項6】
2つの可動式粉末受け面(28)と、2つの粉末分配装置(32)とを備え、各可動式粉末受け面が、少なくとも1つの粉末分配装置から分配された粉末を受ける、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粉末床溶融付加製造機(10)。
【請求項7】
前記可動式受け面(28)が、製造ゾーン(20)に対して横断する水平方向(D36)の並進運動をもたらす能力を備えたスライド(36)の形態を採用している、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粉末床溶融付加製造機(10)。
【請求項8】
前記製造チャンバ(12)が、
水平の作業平面(18)と、
前記作業平面に位置している少なくとも1つの製造ゾーン(20)と、を備え、
各スライド(36)が、前記作業平面(18)に設けられたスロット(38)と、前記作業平面(18)に設けられたスロット(38)の反対側に取り付けられたハウジング(39)との中での並進運動をもたらす能力を備えている、
請求項に記載の粉末床溶融付加製造機(10)。
【請求項9】
前記粉末分配装置(32)が、前記スライド(36)が内部で並進運動するハウジング(39)の上方に取付けられている、
請求項に記載の粉末床溶融付加製造機(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザービーム、及び/または電子及び/またはダイオードのビームのような1または2以上のエネルギー源または熱源の助けを借りて粉末粒を融解させる粉末を使った付加製造の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
より詳細には、本発明は、床への粉末の堆積による付加製造の分野に関し、付加製造粉末が粉末床溶融付加製造機の内に層となるように粉末を装置に供給するものである。
【0003】
より詳細には、更に、本発明は、安定して制御された流量で粉末流を可動式粉末受け面に供給しようとするものである。
【0004】
国際公開WO2017/108868号は、内側に作業平面が存在する製造チャンバと、次々と連続して粉末層が拡散され選択的に固められる少なくとも1つの作業ゾーンとを備える粉末床溶融付加製造機を説明している。
【0005】
製造に有用な種々の粉末層を形成するために、国際公開WO2017/108868号で説明されている機械は、作業ゾーンを動くことができるローラまたはスクレーパーのような粉末拡散機と、作業面上に粉末を堆積させ粉末収容スライドと粉末注入器とを有する粉末堆積機とを備えている。このスライドは、スライドが粉末拡散機の軌跡の外側に伸びる格納位置と、スライドが粉末拡散機の軌跡内に少なくとも部分的に伸びている展開位置との間で、作業平面に対して並進で動くことが可能である。注入器は、粉末収容スライドの上方に位置決めされ、スライドが格納位置と展開位置の間を動くときに収容スライド上に粉末を分配する。
【0006】
国際公開WO2017/108868号は、更に、例えば、可撓性タイプの連結部を介して注入器が粉末リザーバに連結されることや計量ホッパがリザーバと注入器の間に置かれることを示している。
【0007】
しかしながら、国際公開WO2017/108868号は、計量ホッパの正確な配置や粉末を可動式スライド上に分配する手段の正確な配置のどちらも明記していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開WO2017/108868号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、国際公開WO2017/108868号で想定される可動式粉末受け面では、注入器の出口で制御された流量の粉末流を搬送し、スライドが動くとき安定したままにする必要がある。
【0010】
これは、スライドに堆積した粉末流のリボンの質が、製造された構成要素の質に直接繋がるからである。
【0011】
スライドが動いているとき粉末流の流量が減少すると、作業ゾーン上に拡散された特定の粉末層が所々で不十分な厚さを有し、これは、欠陥を有する又は不適合となる部品を製造することになる。
【0012】
更に、スライドの動きの全部または一部の間に粉末流の流量が大きすぎると、一定量の粉末が不必要に過剰に堆積され、固まらない粉末の量が増え、この粉末は、医療用人工関節のような特定の用途では、溶解処理して再度、粉末状態に再生しない限り、再使用することができない。
【0013】
本発明の目的は、少なくとも、作業ゾーン付近に位置決めできる可動式粉末受け面の上方に位置している点で、粉末を安定して制御された流量で運ぶことのできる粉末分配装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの目的は、粉末床溶融付加製造機であり、この付加製造機は、製造チャンバと、製造チャンバの内側に堆積された付加製造粉末層を選択的に融解するのに使用される少なくとも1つの熱またはエネルギー源とを備えている。加えて、付加製造機は、製造チャンバの内側に位置している製造ゾーンの付近で動くことのできる少なくとも1つの可動式粉末受け面と、可動式粉末受け面の粉末を作業ゾーンに向けて拡散することのできる粉末拡散機と、可動式受け面へ粉末を分配する少なくとも1つの粉末分配装置とを備える。
【0015】
本発明によれば、粉末分配装置は、粉末供給機に連結されたバッファーリザーバと、下方で可動式受け面が動く粉末分配ポイントとを備える。
【0016】
本発明によれば、更に、粉末分配装置は、バッファーリザーバに連結されているねじ式計量装置と、バッファーリザーバから粉末分配ポイントに向けて粉末の連続流を生成することのできる粉末分配ポイントとを備える。
【0017】
この粉末分配装置は、以下の特徴の単体またはその組合せによって補完されてもよい。
ねじ式計量装置が、バレルと、このバレルの内側で回転駆動する少なくとも1つの粉末運搬ねじとを備える。
ねじ式計量装置が、1つの同じバレルの内側に並置されバレルの内側で回転駆動する2つの粉末運搬ねじを備える。
計量装置の2つのねじが、同じ向きのピッチを有する。
計量装置の2つのねじが、反対向きのピッチを有する。
計量装置の2つのねじが、同調して回転し、計量装置の2つのねじが、時計回りまたは反時計回りで、同じ方向に回転する。
分配装置が、バッファーリザーバに収容された粉末を解放する粉末開梱装置を備え、この開梱装置が、特に、バッファーリザーバの内側で回転駆動するブレードの形態をとる。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明から明らかになるだろう。
非限定的な例示によって与えられる本説明は、添付の図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による付加製造機の概略正面図である。
図2】本発明による付加製造機の上方からの概略図である。
図3】本発明による付加製造機の粉末分配装置の一部分を透過図とした斜視図である。
図4】本発明による付加製造機の粉末分配装置の縦断面図である。
図5】本発明による付加製造機の粉末分配装置のねじ式計量装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、粉末床溶融付加製造機に関する。粉末床溶融付加製造は、1または2以上の構成要素を、相互に重合わされた種々の付加製造粉末層の選択的な融解によって製造する付加製造手法である。第1粉末層は、プラットフォームのような支持面に堆積され、次いで、1または2以上のエネルギー源あるいは熱源を使用して、製造される構成要素1または複数の構成要素の第1の水平断面に沿って選択的に焼結または融解される。次に、第2粉末層が、融解または焼結されたばかりの第1粉末層の上に堆積され、今度は、この第2粉末層が選択的に焼結または融解され、製造される構成要素1または複数の構成要素の最終水平断面の製造で最終粉末層が使用されるまでこれが繰り返えされる。
【0021】
図1に示すように、構成要素の粉末床溶融付加製造を可能にするため、本発明による付加製造機10は、製造チャンバ12と、1または2以上のビーム16によって製造チャンバ12の内部に堆積された付加製造粉末層を選択的に融解するために使用される少なくとも1つの熱またはエネルギー源14と、を備えている。
【0022】
熱またはエネルギー源、即ち供給源14は、1または2以上の電子ビーム及び/または1または2以上のレーザービームを生成することのできる供給源の形態をとるのがよい。これら供給源は、例えば、1つまたは2つ以上の電子銃及び/またはレーザー源である。選択的溶融を可能にし、その結果エネルギーまたは熱の1または複数のビーム16を動かすことを可能にするために、各供給源14は、1または複数のビーム16を動かし制御することのできる手段を備える。
【0023】
製造チャンバ12は、閉鎖されたチャンバである。この製造チャンバ12の1つの壁は、チャンバ内の製造過程が観察できるように窓を備えるのがよい。この製造チャンバ12の少なくとも1つの壁は、メンテナンスまたはクリーニング作業のためにチャンバの内側へのアクセスを提供する開口部を備え、この開口部は、製造サイクルの間、ドアによってシールされ再度閉じることができる。製造サイクルの間、製造チャンバ12は、付加製造粉末の酸化及び/または爆発の危険を防ぐために窒素のような不活性ガスで満たされているのがよい。製造チャンバ12は、酸素の進入を防ぐために、多少の過剰圧力で維持されてもよく、または、粉末を焼結または溶融するために電子ビームをチャンバの内側で使用する場合には真空に維持されてもよい。
【0024】
本発明による付加製造機10は、製造チャンバ12の内側に、水平作業平面18と、作業平面18に位置している少なくとも1つの製造ゾーン20とを備える。製造ゾーン20は、水平作業平面18に形成された開口部21と、仕上げスリーブ22と、仕上げプラットフォーム24とによって規定されている。スリーブ22は、作業平面18の下方に垂直方向に延び、開口部21を介して作業平面18に開口している。
仕上げプラットフォーム24は、ラムのようなアクチュエータ26で仕上げスリーブ22内側を垂直方向にスライドする。
【0025】
製造された1または複数の構成要素の付加製造で使用される種々の粉末層を生成するため、本発明の付加製造機は、製造チャンバ内側に位置している製造ゾーン20の付近で動くことのできる少なくとも1つの可動式粉末受け面28を備えている。付加製造機は、可動式粉末受け面28から製造ゾーン20に向かって粉末を拡散することのできる粉末拡散装置30と、粉末をこの可動式粉末受け面に分配する粉末分配装置32とを更に備える。
【0026】
拡散装置30は、カートリッジ35に取り付けられたスクレーパー及び/または1又は2以上のローラの形態を採用している。このカートリッジ35は、製造ゾーン20上方の水平方向D35の並進運動をもたらす能力を備えている。水平方向の並進で駆動されるように、カートリッジ35は電動化される、または製造チャンバ12の内側あるいは好ましくは外側に位置しているモータによって、更に、プーリーおよびベルトのような運動伝達システムを介して動くようにされているのがよい。
【0027】
好ましくは、図1及び図2に示すように、本発明による付加製造機は、2つの可動式粉末受け面28と、2つの粉末分配装置32を備え、各可動式粉末受け面は、少なくとも1つの分配装置によって分配された粉末を収容する。より詳細には、1つの可動式受け面と1つの分配装置とが、拡散装置30のカートリッジ35の移動の水平方向D35の製造ゾーン20の各側に提供されている。したがって、移動方向の水平方向D35の両方に粉末を拡散することができるので、粉末拡散装置は、製造ゾーン上で不要な移動を行わない。
【0028】
また好ましくは、可動式受け面28は、スライド36の形態を採用している。スライド36は、製造ゾーン20に対して横断する水平方向D36の並進運動をもたらす能力を備えている。スライド36は、このスライドが粉末拡散装置30の軌道の外側に位置している格納位置と、このスライドが粉末拡散装置30の軌跡の少なくとも一部に伸びている展開位置との間を動く。スライド36が移動する横断水平方向D36は、粉末拡散装置30のカートリッジ35の移動の水平方向D35に対して垂直であるのが理想的である。スライドの並進運動を駆動及びガイドする手段は、製造チャンバを散乱させないために製造チャンバの外側に位置決めされているのが有利である。
【0029】
粉末分配装置32は、各スライド36の上方、即ち各可動式受け面28の上方に設けられている。各スライド36、即ち各可動式受け面28は、横断水平方向D36に細長い形状であり、このスライドが収納位置から展開位置までを通過するとき、粉末分配装置の下を移動する。
【0030】
図2及び図4に示すように、各スライドが、製造チャンバ12の作業平面18に設けられたスロット38と、作業平面18に設けられたこのスロットの反対側に取り付けられたハウジング39との中での並進運動をもたらす能力を備えているのが好ましい。ハウジング39は、作業平面18に当接して保持されている。スライド36は、格納位置ではハウジング39内に、展開位置ではスロット38内に位置決めされるように、スロット38とハウジング39との間を並進的に移動する。スロット38は、スライド36が動く横断水平方向D36に伸びている。ハウジング38は、スライド36が動く横断水平方向D36に伸びている。ハウジング39は、流体密の状態で製造チャンバ12に連結されている。各スロット38は、製造ゾーン20の付近に伸びている。各スロット38は、各スライドによって形成される可動式粉末受け面28が作業平面18内を動くように配置されている。換言すればば、スライド36が展開位置にあるとき、このスライドによって形成される受け面28は、作業平面の上面S18の延長に位置している。ハウジング39は、粉末回収ホッパ41が備えられているのが有利である。
【0031】
製造ゾーン20及び作業平面18の付近に並進運動にもたらす能力を備えることによって、各スライド36は、製造ゾーン20付近にごく少量のスペースしか占有しない。
【0032】
各可動式受け面28が並進的可動式スライドの形態をとるので、製造ゾーン20は、長方形の形状を採用するのが好ましい。しかしながら、製造ゾーン20は、例えば、円形、楕円形、または円環形状のような、製造された構成要素または(複数の)構成要素の形状により優れて適合する他の形状をとってもよい。
【0033】
製造ゾーン20に粉末層を生成するため、粉末分配装置32は、スライドによって形成された可動式粉末受け面28に筋(リボン)の形態で粉末を運び、次いで、粉末拡散装置のスクレーパー及び/またはローラが、筋の形態で堆積された粉末を製造ゾーン20上に拡散する。
【0034】
可動式粉末受け面28に筋の粉末流を生成するため、この受け面は、粉末分配装置32の下を並進的に移動する。可動式受け面28に堆積される粉末の量、即ち粉末の筋の質を可能な限り最良に制御するために、本発明は、可動式受け面が動く真下の少なくとも1つの分配ポイントで、安定して制御された流量の粉末流の運搬を可能にする粉末分配装置を提案する。
【0035】
本発明によれば、図2図3及び図4に示すとおり、このような粉末分配装置32は、粉末供給機42に連結されているバッファーリザーバ40と、その下を可動式受け面28が動く粉末分配ポイントP1とを備える。
【0036】
更に、本発明によれば、この粉末分配装置32は、バッファーリザーバと粉末分配ポイントP1とをつなぐねじ式計量装置44を更に備え、バッファーリザーバ40から粉末分配ポイントP1に向かう粉末の連続流の発生を可能にする。
【0037】
粉末受け面28が動くことができるので、粉末分配装置32は、製造チャンバ12及び機械のフレームに対して固定的に取り付けられているのが好ましい。粉末分配装置32の固定的取付けは、粉末の供給を容易にする。
【0038】
粉末供給機42は、コンテナ45が着脱可能に連結される弁43の形態をとるのが好ましい。コンテナ45は、分配装置32のバッファーリザーバ40に供給されるように意図された粉末を収容する。弁43は、粉末分配装置32に向かう粉末の通行を許容するまたは防ぐことを可能にする。この粉末が空になると、このコンテナは、適当な場所で、粉末が満杯の新しいコンテナと交換される。コンテナは、付加製造サイクル全体のため、数十リットルの粉末の単位で十分な量の粉末を収容しているのが有利である。これは、粉末で満たされたコンテナと空のコンテナを交換するために製造サイクルを中断しないように考えられているからである。これに代えて、粉末供給機42は、また、例えば、粉末を複数の付加製造機に供給することを可能にさせる自動粉末供給回路の形態をとってもよい。
【0039】
図2に示すように、粉末分配装置32のバッファーリザーバ40は、粉末供給機42、パイプ46を介して、特に、弁43に連結されている。機械10が、1つの同一の製造ゾーンの各側に1つずつ設けられた2つの粉末分配装置32を備える場合、これら2つの粉末分配装置32は、同一の粉末供給機42、即ち1つの同一の弁43に連結されるのが好ましい。
【0040】
粉末を粉末供給機42から粉末分配装置32のバッファーリザーバ40まで重力の作用で流すことを可能にするため、パイプ46を水平方向に対して少なくとも5度の傾斜で取り付けるのが好ましい。
【0041】
好ましくは、パイプ46は、金属製で剛体であり、例えば、ステンレス鋼で作られるのが好ましい。
【0042】
バッファーリザーバ40は、ねじ式の計量装置44の入口48を粉末で満たす最低限の質量の粉末を常に収容している。具体例として、バッファーリザーバ40は、約0.5リットルの粉末の容量を有し、製造サイクルの間は常に少なくとも0.1リットルの粉末を収容している。バッファーリザーバ40にこの最小質量の粉末を維持するために、粉末分配装置32は、バッファーリザーバ40内の粉末のレベルの検出器50を備える。この検出器50は、高周波容量センサ、または例えばセラミック粉末のような金属あるいは非金属粉末を検出できる同等の機能のセンサの形態をとる。この検出器50がバッファーリザーバ40内で不十分な量の粉末を計量したとき、弁43を、パイプ46を介してバッファーリザーバ40に粉末を運ぶような方法で作動させる。
【0043】
粉末検出器50を補完するため、粉末分配装置32は、バッファーリザーバ40内の粉末をほぐす粉末開梱装置52を備える。この開梱装置52は、バッファーリザーバ40内に空洞化したアーチの粉末が生成されるのを避けるのを可能にし、したがって、ねじ式計量装置44が、不規則な粉末の供給を受けるのを避ける。開梱装置52は、例えば、バッファーリザーバ40の内側をアクチュエータによる動きで駆動されるブレード54の形態をとる。好ましくは、ブレード54は、バッファーリザーバ40の内側で回転駆動する。更に好ましくは、ブレード54は、回転軸線A54の両側に1つずつ、この回転軸線A54からゼロでない距離まで伸びる2つのアームB1、B2を有する。開梱を促進するため、アームB1の一方は、他のアームB2の一方よりも短い。更に開梱を促進するため、2つのアームB1、B2は、これらの自由端が湾曲している。変形例では、バッファーリザーバ40の内側に開梱ほぐし効果をもたらすために、ブレード54の適当な場所に、振動や超音波を採用するのがよい。
【0044】
前述のとおり、粉末分配装置32は、安定して制御された流量の粉末流を、その下で可動式受け面28が動く分配ポイントP1へ運ぶことを可能にしている。より詳細には、ねじ式計量装置44の出口58は、粉末分配ポイントP1に対応している。図4に示すように、粉末分配装置32は、スライド36が並進運動をもたらすハウジング39の上方に取り付けられている。より詳細には、ねじ式計量装置44は、格納位置でスライド36を収容するハウジング39の上方に取り付けられている。したがって、ねじ式計量装置P1の出口58は、格納位置のスライド36の上方に位置している。
【0045】
粉末の質を保ち酸化のリスクを回避するために、粉末分配ポイントP1は、作業平面18に対してしっかりと保持されているハウジング39内に位置し、流体密の状態で製造チャンバ12に連結されている。図4に示すように、ハウジング39は、このチャンバの壁62に形成されている開口部60を介して製造チャンバ12と連通している。
したがって、製造チャンバ12内に存在する不活性ガスは、粉末分配ポイントP1が位置しているハウジング39内部にも存在する。より詳細には、製造チャンバ12内に存在する不活性ガスは、ねじ式計量装置44、バッファーリザーバ40、1または複数のパイプ46、弁43、コンテナ45内にも存在する。したがって、コンテナ45から製造ゾーン20までの全ての経路で粉末の質は保護される。また、製造チャンバ12、ハウジング39、ねじ式計量装置44、バッファーリザーバ40、パイプ46、弁43、及びコンテナ45は、全て流体密の状態で連結されている。
【0046】
代替案として、製造チャンバの外側への粉末分配装置32のかさばりを制限するために、バッファーリザーバ40が製造チャンバの外側に位置しながら、粉末分配ポイントP1に対応するねじ式計量装置44の出口58が製造チャンバ12の内側に位置してもよい。
【0047】
図4に示すように、バッファーリザーバ40は、ねじ式計量装置44の入口48の上方にしっかりと取り付けられている。粉末の空洞化したアーチまたは塊の生成を防ぐために、バッファーリザーバ40の出口64は、ねじ式計量装置44の入口48の横断面と(形状及び寸法が)ほぼ等しい横断面を有するのが理想的である。同様の理由により、バッファーリザーバ40は、全高H40にわたって一定の横断面を有し、バッファーリザーバ40の出口64は、その全高さH40にわたってバッファーリザーバ40の横断面と(形状及び寸法が)ほぼ等しい断面を有する。
【0048】
本発明では、バッファーリザーバ40とねじ式計量装置44の組合せで、安定して制御された流量の粉末流を分配ポイントP1に運ぶことを可能にしている。
【0049】
より詳細には、ねじ式計量装置44は、バレル66と、このバレル内部で回転駆動される少なくとも1つの粉末運搬ねじV1とを備える。
【0050】
しかしながら、ねじ式計量装置44は、1つの同一バレル66の内側に並置されこのバレルの内側で回転駆動する2つの粉末運搬ねじV1、V2を有するのが好ましい。
2つのねじの使用は、計量装置を出る粉末流の流量をより安定させ続けることを可能にしている。
【0051】
図5に示す第1の変形例を参照すると、計量装置の2つのねじV1、V2は、同じ方向のピッチを有する。同じ方向のピッチを有することによって、2つのねじは、計量装置を出る粉末流の流量をよりよく安定させることを可能にしている。
【0052】
第2の変形例では、計量装置の2つのねじV1、V2は反対方向のピッチを有する。
【0053】
計量装置を出る粉末流の可能なかぎり最も安定した流量を更に得るためには、計量装置の2つのねじV1、V2が、回転が同調され、計量装置の2つのねじV1、V2が、時計回り方向または反時計回り方向に同時に回転する。その目的で、2つのねじV1、V2は、1つの同一のアクチュエータ56によって回転駆動される。より詳細には、2つのねじV1、V2はギアリング68を介して1つの同一のアクチュエータ56によって駆動される。
【0054】
2つのねじV1、V2は、バレル66の内側でお互いに平行に取り付けられている。2つのねじV1、V2は、同一の長さを有し、この長さLは約22センチメートルである。2つのねじV1、V2は、約2センチメートルの同一の外径Dを有する。2つのねじV1、V2は、11ミリメートルのピッチPA及び3ミリメートルの深さPRの同一のねじ山部を有する。2つのねじV1、V2は、ちょうど0.1ミリメートルの間隔を空けて並置され、バレル66内でこれらを分離する。同様に、これらねじとバレル66の内壁67の間にたった0.1ミリメートルの間隔が存在する。2つのねじV1、V2は、湾曲形状のくぼんだ輪郭のような凹状のねじ山部を有し、粉末分配ポイントに向かう粉末の巻き込みを促進する。
【0055】
利点として、2つのねじV1、V2の回転を駆動させるモータ56は、更に、ギアリング68を介して開梱装置52のブレード54の回転を駆動させることができる。
【0056】
粉末の分配中、可動式受け面28、即ちスライド36の移動の速度を変更させることによって、スライド36に堆積される粉末流の高さを変えることができるのが有利である。これは、例えば、製造ゾーン20が円形状である場合に、可動式受け面28に堆積される粉末の質を可能な限り最良に調節することを可能にし、カートリッジ35の並進運動の水平方向D35で少なくとも2つの異なる長さを有する製造ゾーン20を適合させる。
【0057】
分配ポイントP1を介して可動式受け面28に粉末流が堆積されてくると、拡散装置30が、並進運動にセットされ、製造ゾーン20上に粉末を拡散する。
【0058】
コンテナ45、弁43、1又は複数のパイプ46、バッファーリザーバまたは(複数の)リザーバ40、1又は複数のねじ、及び計量装置40のバレルは、金属粉末の磁化を避けるためにステンレス鋼及び非磁性鋼で作られるのが好ましい。
【0059】
理想的には、粉末分配ポイントP1が、可動式受け面28の約2センチメートル上方に位置している。この高さは、粉末流を数ミリメートルの高さで可動式受け面28上に堆積させるのに十分であり、可動式受け面28を超えて粉末が飛び散るのを避ける。
図1
図2
図3
図4
図5