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特許7329552個々の細胞または細胞集団由来の核酸の分析方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】個々の細胞または細胞集団由来の核酸の分析方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20230810BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20230810BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20230810BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20230810BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20230810BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6813 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/04
C12N15/10 100Z
C12N15/10 110Z
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021020743
(22)【出願日】2021-02-12
(62)【分割の表示】P 2016575111の分割
【原出願日】2015-06-26
(65)【公開番号】P2021072863
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-02-12
(31)【優先権主張番号】62/017,558
(32)【優先日】2014-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/061,567
(32)【優先日】2014-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516300726
【氏名又は名称】10エックス ジェノミクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ジェイ. ハインドソン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マーティン ハインドソン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル シュナール-レビン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ディーン ネス
(72)【発明者】
【氏名】ミルナ ヤロシュ
(72)【発明者】
【氏名】サージ サクソノフ
(72)【発明者】
【氏名】ポール ハーデンボル
(72)【発明者】
【氏名】ラジブ バラドワジ
(72)【発明者】
【氏名】シンイン ゼン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ベルグレーダー
【審査官】北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】BioTechniques,2001年,Vol.30, No.4, pp.892-897
【文献】Cell,2015年05月21日,Vol.161, pp.1202-1214
【文献】Cell,2015年05月21日,Vol.161, pp.1187-1201
【文献】Cell Reports,2012年,Vol.2, pp.666-673
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-3/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸配列決定法であって、
(a)複数の液滴中に複数のビーズと複数のプライマーを共区分化することであって、該複数の液滴のうちの1つの液滴が、(i)ポリA3’末端核酸配列を含むメッセンジャーリボ核酸(RNA)分子、(ii)該複数のプライマーからの1つのプライマー、および、(iii)該複数のビーズからの1つのビーズを含み、該ビーズは、該ビーズに結合された核酸バーコード分子を含み、該核酸バーコード分子はバーコード配列を含む、ことと;
(b)該RNA分子の3’末端の領域に該プライマーをハイブリダイズさせることと;
(c)(i)該プライマーを伸長して、該RNA分子の該核酸配列に対応する複合配列を含む核酸生成物を生成、(ii)該核酸生成物の3’末端に該核酸バーコード分子に対して相補的な末端配列を組込む、逆転写酵素を使用することと
(d)該核酸バーコード分子を(c)において生成された該核酸生成物の該末端配列にハイブリダイズさせ、該核酸バーコード分子をテンプレートとして用いて該核酸生成物を伸長して、5’末端から3’末端に、(1)該RNA分子の該核酸配列に対応する該複合配列および(2)該バーコード配列の相補体を含むバーコード化核酸分子を生成することと;
(e)該バーコード化核酸分子またはその相補体を配列決定すること
とを含み、
(a)の後に、該核酸バーコード分子が該ビーズから放出される、方法。
【請求項2】
前記液滴がmRNAの由来する細胞を含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記液滴が1つの細胞のみを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
(b)の前に前記細胞から前記RNA分子を放出させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記ビーズがさらに、該ビーズに結合された複数の核酸分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の核酸分子の各々が前記バーコード配列を含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の核酸分子の各々が、前記複数の核酸分子にわたって変化する追加のバーコード配列を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記追加のバーコード配列が、前記複数の核酸分子の各核酸分子について異なる、請求項に記載の方法。
【請求項9】
(e)の前に、前記バーコード化核酸分子またはその相補体を、核酸増幅に供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記核酸増幅が、前記バーコード化核酸分子またはその相補体を前記液滴から放出させることに続いて行われる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
(b)~(d)が前記液滴内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記バーコード化核酸分子またはその相補体を前記液滴から放出させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記バーコード化核酸分子がさらに、5’末端に向かって、該バーコード化核酸分子またはその相補体が、シーケンサーのフローセルに結合することを可能にするための機能的配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記RNA分子の前記核酸配列に対応する前記複合配列が、前記核酸配列の相補体である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
(e)の前に、前記バーコード化核酸分子またはその相補体と、一対のプライマーとを用いて、標的核酸配列を有するバーコード化核酸分子を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記標的核酸配列を有する前記バーコード化核酸分子またはその相補体が(e)において配列決定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バーコード化核酸分子が生成される前に、前記核酸バーコード分子が前記ビーズから放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記バーコード化核酸分子が生成される間に、前記核酸バーコード分子が前記ビーズから放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記バーコード化核酸分子が生成された後に、前記核酸バーコード分子が前記ビーズから放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ビーズがゲルビーズである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ビーズが、刺激を適用した際に分解可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記刺激が、還元剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記液滴が前記刺激を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ビーズから前記核酸バーコード分子を放出することが、前記ビーズを分解させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記ビーズがジスルフィド結合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記核酸バーコード分子が、ジスルフィド結合を介して前記ビーズに結合している、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年6月26日出願の米国仮特許出願番号第62/017,558号
及び2014年10月8日出願の米国仮特許出願番号第62/061,567号の優先権
を主張し、それらの出願のそれぞれは、全ての目的のために参照によりその全体が本明細
書に組込まれる。
【背景技術】
【0002】
生物学及び生化学の材料及びシステムの分析及び特徴付けの顕著な進歩は、生命、健康
、疾患及び治療のメカニズムの理解における前例のない進歩をもたらしている。これらの
進歩の中で、生物系のゲノム構成を標的として特徴付ける技術は、遺伝子増幅技術の使用
及び実施、ならびに核酸配列決定技術の進歩を含む、最も画期的な結果をいくつかもたら
した。
【0003】
核酸配列決定法は、診断、予後診断、バイオテクノロジー、及び法医学的生物学を含む
幅広い生物医学的状況における情報を得るために使用することができる。配列決定として
は、Maxam-Gilbertシーケンシング及び連鎖停止法を含む基本的な方法、ま
たはショットガンシーケンシング及びブリッジPCRを含むデノボシーケンシング法、ま
たはポロニーシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illuminaシーケン
シング、SOLiDシーケンシング、Ion Torrent半導体シーケンシング、H
eliScope単一分子シーケンシング、SMRT(登録商標)シーケンシングを含む
次世代法等が挙げられる。
【0004】
このような生物学的特徴付けの進歩にもかかわらず、多くの課題は未対処のままであり
、現在提供されている解決策による対処は相対的に不十分である。本開示は、既存の技術
の多くの欠点に対処するための新規な解決策及びアプローチを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、個々の細胞または細胞小集団を分析するための方法、組成物、及びシス
テムが提供され、これには、それらの個々の細胞または細胞集団から核酸を分析すること
と、核酸をそれらの個々の細胞または細胞集団に帰属させることと、が含まれる。
【0006】
本開示の一態様は、細胞から核酸を分析する方法であって、離散区分に個々の細胞に由
来する核酸を提供することと、離散区分内の核酸に由来する1つまたは複数の第1の核酸
配列であって、共通の核酸バーコード配列を含むオリゴヌクレオチドを結合させている1
つまたは複数の第1の核酸配列を生成することと、1つもしくは複数の第1の核酸配列ま
たは1つもしくは複数の第1の核酸配列に由来する1つもしくは複数の第2の核酸配列で
あって、共通のバーコード配列を含む1つもしくは複数の第2の核酸配列の特徴付けを行
うことと、その1つまたは複数の第2の核酸配列は;及び行われた特徴付けにおける共通
の核酸バーコード配列の存在に少なくとも部分的に基づいて、個々の細胞に由来する1つ
もしくは複数の第1の核酸配列または1つもしくは複数の第2の核酸配列を識別すること
と、を含む、方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、離散区分は離散液滴である。いくつかの実施形態では、オリ
ゴヌクレオチドは、個々の細胞に由来する核酸と共に離散区分に区分される。いくつかの
実施形態では、少なくとも10,000、少なくとも100,000、または少なくとも
500,000のオリゴヌクレオチドが、個々の細胞に由来する核酸と共に離散区分に区
分される
【0008】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドをビーズに付着させて提供し、ビーズ上
の各オリゴヌクレオチドは同じバーコード配列を含み、ビーズは離散区分に個々の細胞と
共区分される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはビーズに放出可能に付着
している。いくつかの実施形態では、ビーズは分解性ビーズを含む。いくつかの実施形態
では、本方法は、1つまたは複数の第1の核酸配列の生成の前または最中に、ビーズの分
解をすることによってビーズからオリゴヌクレオチドを放出することを含む。いくつかの
実施形態では、特徴付けを行う前に、本方法は離散区分から1つまたは複数の第1の核酸
配列を放出することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、特徴付けを行うことには、1つもしくは複数の第1の核酸配
列または1つもしくは複数の第2の核酸配列を配列決定することを含む。本方法はまた、
1つもしくは複数の第1の核酸配列または1つもしくは複数の第2の核酸配列の配列から
個々の細胞のゲノムの少なくとも一部の連続核酸配列をアセンブルすることも含み得る。
さらに、本方法は、個々の細胞のゲノムの少なくとも一部の核酸配列に基づいて個々の細
胞を特徴付けることも含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、核酸は離散区分内の個々の細胞から放出される。いくつかの
実施形態では、核酸は、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)などのリボ核酸(R
NA)を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の核酸配列を生成させる
ことは、1つまたは複数の第1の核酸配列をもたらす条件下で核酸を逆転写させることを含
む。いくつかの実施形態では、逆転写は離散区分で生じる。いくつかの実施形態では、オ
リゴヌクレオチドは、離散区分に提供され、ポリT配列を含む。いくつかの実施形態では
、逆転写は、ポリT配列を核酸のそれぞれの少なくとも一部にハイブリダイズさせること
と、ポリT配列をテンプレート指向の様式で伸長させることと、を含む。いくつかの実施
形態では、オリゴヌクレオチドは、ポリT配列のハイブリダイゼーションを促進するアン
カー配列を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば、ランダム六
量体であり得る、ランダムプライミング配列を含む。いくつかの実施形態では、逆転写は
、ランダムプライミング配列を核酸のそれぞれの少なくとも一部にハイブリダイズさせる
ことと、ランダムプライミング配列をテンプレート指向の様式で伸長させることと、を含
む。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の核酸配列のうちの所与の1つは、核
酸の所与の1つの少なくとも一部に対して相補的な配列を有する。いくつかの実施形態で
は、離散区分は、複数の細胞の中で最大でも個々の細胞のみを含む。いくつかの実施形態
では、オリゴヌクレオチドは、固有の分子配列セグメントを含む。いくつかの実施形態で
は、本方法は、固有の分子配列セグメントの存在に少なくとも部分的に基づいて、核酸の
所与の核酸に由来する1つもしくは複数の第1の核酸配列または1つもしくは複数の第2
の核酸配列の個々の核酸配列を識別することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は
、固有の分子配列セグメントの存在に基づいて所与の核酸の量を決定することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は、特徴付けを行う前に、1つまたは複数の第2の配
列を生成するために、1つまたは複数の追加配列を1つまたは複数の第1の配列に追加す
ることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、スイッチオリゴヌクレオチドを用い
て、第1の追加核酸配列を1つまたは複数の第1の核酸配列に追加することを含む。いく
つかの実施形態では、スイッチオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の第1の核酸配列
の少なくとも一部にハイブリダイズし、第1の追加核酸配列を1つまたは複数の第1の核
酸配列に結合させるためにテンプレート指向様式で伸長する。いくつかの実施形態では、
本方法は、第1の追加核酸配列に結合するより多くの第1の核酸配列の1つを増幅させる
ことを含む。いくつかの実施形態では、増幅は離散区分で生じる。いくつかの実施形態で
は、増幅は、第1の追加核酸配列に結合する1つまたは複数の第1の核酸配列を離散区分
から放出した後に生じる。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、増幅後に、1つまたは複数の第2の核酸配列を生
成するために、第1の追加配列に結合する1つまたは複数の第1の核酸配列に1つまたは
複数の第2の追加核酸配列を追加することを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは
複数の第2の追加配列を追加することは、第1の追加核酸配列に結合する1つまたは複数
の第1の核酸配列のそれぞれの一部を除去することと、1つまたは複数の第1の核酸配列
に1つまたは複数の第2の追加核酸配列を結合することと、を含む。いくつかの実施形態
では、除去は、第1の追加核酸配列に結合する(例えば、連結する)1つまたは複数の第
1の核酸配列の剪断によって完了する。
【0014】
いくつかの実施形態では、特徴付けを行う前に、本方法は、1つまたは複数のRNA断
片を生成するために、1つまたは複数の第1の核酸配列を転写させることを含む。いくつ
かの実施形態では、転写は、離散区分からの1つまたは複数の第1の核酸配列の放出後に
生じる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはT7プロモーター配列を含む。
いくつかの実施形態では、特徴付けを行う前に、本方法は、1つまたは複数のRNA配列
のそれぞれの一部を除去することと、1つまたは複数のRNA配列への追加配列を結合さ
せることと、を含む。いくつかの実施形態では、特徴付けを行う前に、本方法は、1つま
たは複数の第2の核酸配列を生成するために、追加配列に結合する1つまたは複数のRN
A配列を逆転写させることを含む。いくつかの実施形態では、特徴付けを行う前に、本方
法は、1つまたは複数の第2の核酸配列を増幅させることを含む。いくつかの実施形態で
は、特徴付けを行う前に、本方法は、1つまたは複数のDNA配列を生成するために、1
つまたは複数のRNA配列を逆転写させることを含む。いくつかの実施形態では、特徴付
けを行う前に、本方法は、1つまたは複数の第2の核酸配列を生成するために、1つまた
は複数のDNA配列のそれぞれの一部を除去することと、1つまたは複数のDNA配列に
1つまたは複数の追加配列を結合させることと、を含む。いくつかの実施形態では、特徴
付けを行う前に、本方法は、1つまたは複数の第2の核酸配列を増幅させることを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、核酸は、個々の細胞からのRNAの逆転写から生成された相
補的(cDNA)を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはプライミング
配列を含み、離散区分に提供される。いくつかの実施形態では、プライミング配列はラン
ダムN量体を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の核酸配列を生成す
ることは、プライミング配列をcDNAにハイブリダイズさせることと、プライミング配
列をテンプレート指向の様式で伸長させることと、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、離散区分は、オリゴヌクレオチドの相補配列を含むスイッチ
オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の核酸配列
を生成することは、スイッチオリゴヌクレオチドを核酸由来の核酸断片の少なくとも一部
にハイブリダイズさせることと、スイッチオリゴヌクレオチドをテンプレート指向の様式
で伸長させることと、を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の核酸配
列を生成することは、オリゴヌクレオチドを1つまたは複数の第1の核酸配列に結合させ
ることを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の核酸配列は、核酸由来
の核酸断片である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の核酸配列を生成す
ることは、オリゴヌクレオチドを核酸に結合させる(例えば、連結させる)ことを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数の区分は離散区分を含む。いくつかの実施形態では、複
数の区分は、1つの区分あたり平均1つ未満の細胞を含む。いくつかの実施形態では、複
数の区分の25%未満の区分は細胞を含まない。いくつかの実施形態では、複数の区分は
、それぞれ少なくとも1つの区分化された細胞を有する離散区分を含む。いくつかの実施
形態では、離散区分の25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、ま
たは1%未満は複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも離散区分のサブ
セットはビーズを含む。いくつかの実施形態では、離散区分の少なくとも75%、少なく
とも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくと
も99%は、少なくとも1つの細胞及び少なくとも1つのビーズを含む。いくつかの実施
形態では、離散区分は、区分化された核酸バーコード配列を含む。いくつかの実施形態で
は、離散区分は、少なくとも1,000、少なくとも10,000、または少なくとも1
00,000の異なる区分化された核酸バーコード配列を含む。いくつかの実施形態では
、複数の区分は、少なくとも1,000、少なくとも10,000、または少なくとも1
00,000の区分を含む。
【0018】
別の態様では、本開示は、複数の異なる細胞タイプの集団における細胞を特徴付ける方
法であって、集団内の個々の細胞からの核酸を離散区分へ提供することと、共通の核酸バ
ーコード配列を含むオリゴヌクレオチドを、離散区分であって、複数の異なる区分が異な
る共通の核酸バーコード配列を含む、離散区分内の核酸の1つまたは複数の断片に結合さ
せることと、複数の離散区分の核酸の1つまたは複数の断片を特徴付けることと、共通バ
ーコード配列の存在に少なくとも部分的に基づいて、1つまたは複数の断片を個々の細胞
に帰属させることと、複数の離散区分における1つまたは複数の断片の特徴付けに基づい
て、集団内の複数の個々の細胞を特徴付けることと、を含む方法を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態では、本方法は、核酸を断片化することを含む。いくつかの実施形
態では、離散区分は液滴である。いくつかの実施形態では、核酸の1つまたは複数の断片
を特徴付けることは、個々の細胞からのリボソームデオキシリボ核酸を配列決定すること
を含み、個々の細胞を特徴付けることは、細胞の属、種、株または変異体を識別すること
を含む。いくつかの実施形態では、個々の細胞は、マイクロバイオームサンプルに由来す
る。いくつかの実施形態では、個々の細胞は、ヒト組織サンプルに由来する。いくつかの
実施形態では、個々の細胞は、哺乳類の循環細胞に由来する。いくつかの実施形態では、
個々の細胞は、法医学的サンプルに由来する。いくつかの実施形態では、核酸は、離散区
分の個々の細胞から放出される。
【0020】
本開示のさらなる態様は、個々の細胞または細胞集団を特徴付ける方法であって、複数
の異なる細胞表面特徴結合基タイプであって、各異なる細胞表面結合基タイプは異なる細
胞表面特徴に結合することができ、かつ存在する場合は、1つまたは複数の細胞表面特徴
結合基とその細胞表面特徴のそれぞれとの間の結合を可能にする条件下で、それに結合し
たレポーターオリゴヌクレオチドを含む、複数の異なる細胞表面特徴結合基タイプを有す
る細胞をインキュベートすることと、細胞を、バーコード配列を含む複数のオリゴヌクレ
オチドを含む区分に区分化することと、バーコード配列を区分に存在するオリゴヌクレオ
チドレポーター基に結合させることと、オリゴヌクレオチドレポーター基及び結合したバ
ーコードを配列決定することと、配列決定されたレポーターオリゴヌクレオチドに基づい
て細胞上に存在する細胞表面特徴を特徴付けることと、を含む方法を提供する。
【0021】
本開示のさらなる態様は、複数の区分を含む組成物であって、複数の区分のそれぞれは
、個々の細胞、及び共通の核酸バーコード配列を含むオリゴヌクレオチドの集団を含む組
成物を提供する。いくつかの実施形態では、複数の区分は、エマルジョン中の液滴を含む
。いくつかの実施形態では、複数の区分のそれぞれの中のオリゴヌクレオチドの集団は、
複数の区分のそれぞれの中に配置されたビーズに結合する。いくつかの実施形態では、個
々の細胞には、それらの細胞表面特徴それぞれに関連する複数の異なる細胞表面特徴結合
基が結合しており、各異なるタイプの細胞表面特徴結合基は、異なるヌクレオチド配列を
含むオリゴヌクレオチドレポーター基を含む。いくつかの実施形態では、複数の異なる細
胞表面特徴結合基は、複数の異なる細胞表面特徴に対する結合親和性を有する複数の異な
る抗体または抗体断片を含む。
【0022】
本開示のさらなる態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示される以下に記
載の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は
、他の異なる実施形態を可能とし、そのいくつかの詳細は、全て開示から逸脱することな
く様々な明白な点において変更可能である。従って、図面及び説明は、本質的に例示的な
ものであり、限定的なものではないと見なされるべきである。
【0023】
参照による組込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、ま
たは特許出願が、具体的にかつ個別に参照により組込まれているかのように示されている
のと同じ程度で、参照により本明細書に組込まれる。参照により組込まれる刊行物及び特
許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲で、本明細書は、そのよう
な任意の矛盾する材料に代わるかつ/または優先することを意図している。
【0024】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の原理
が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、及び以下の添付の図面(本
明細書の「Figure(図面)」及び「FIG.」)を参照することによって、本発明
の特徴及び利点がより良く理解されることになる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
細胞から核酸を分析する方法であって、
(a)個々の細胞に由来する核酸を離散区分に提供することと、
(b)前記離散区分内の前記核酸に由来する1つまたは複数の第1の核酸配列であって
、共通の核酸バーコード配列を含むオリゴヌクレオチドを結合させている前記1つまたは
複数の第1の核酸配列を生成することと、
(c)前記1つもしくは複数の第1の核酸配列または前記1つもしくは複数の第1の核
酸配列に由来する1つもしくは複数の第2の核酸配列であって、共通のバーコード配列を
含む前記1つもしくは複数の第2の核酸配列の特徴付けを行うことと、
(d)(c)で行われた前記特徴付けにおける前記共通の核酸バーコード配列の存在に
少なくとも部分的に基づいて、前記個々の細胞に由来する前記1つもしくは複数の第1の
核酸配列または1つもしくは複数の第2の核酸配列を識別することと、を含む、前記方法

(項目2)
前記離散区分が離散液滴である、項目1に記載の方法。
(項目3)
(a)において、前記オリゴヌクレオチドが、前記個々の細胞に由来する前記核酸と前
記離散区分に共に区分される、項目1に記載の方法。
(項目4)
(a)において、少なくとも10,000の前記オリゴヌクレオチドが、前記離散区分
に前記個々の細胞に由来する前記核酸と共に区分される、項目3に記載の方法。
(項目5)
(a)において、少なくとも100,000の前記オリゴヌクレオチドが、前記離散区
分に前記個々の細胞に由来する前記核酸と共に区分される、項目4に記載の方法。
(項目6)
(a)において、少なくとも500,000の前記オリゴヌクレオチドが、前記離散区
分に前記個々の細胞に由来する前記核酸と共に区分される、項目5に記載の方法。
(項目7)
(a)において、前記オリゴヌクレオチドがビーズに付着されて提供され、ビーズ上の
各オリゴヌクレオチドが同じバーコード配列を含み、前記ビーズが前記離散区分に前記個
々の細胞と共に区分される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記オリゴヌクレオチドが前記ビーズに放出可能に付着している、項目7に記載の方法

(項目9)
前記ビーズが分解性ビーズを含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
(b)の前または最中に、前記ビーズの分解を介して前記ビーズから前記オリゴヌクレ
オチドを放出することをさらに含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
(c)の前に、前記離散区分から前記1つまたは複数の第1の核酸配列を放出すること
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
(c)が、前記1つもしくは複数の第1の核酸配列または前記1つもしくは複数の第2
の核酸配列を配列決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記1つもしくは複数の第1の核酸配列または前記1つもしくは複数の第2の核酸配列
から、前記個々の細胞のゲノムの少なくとも一部の連続核酸配列をアセンブルすることを
さらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記個々の細胞が、前記個々の細胞の前記ゲノムの少なくとも一部の前記核酸配列に基
づいて特徴付けされる、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記核酸が、前記離散区分内の前記個々の細胞から放出される、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記核酸がリボ核酸(RNA)を含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記RNAがメッセンジャーRNA(mRNA)である、項目16に記載の方法。
(項目18)
(b)が、前記1つまたは複数の第1の核酸配列をもたらす条件下で前記核酸を逆転写さ
せることをさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記逆転写が前記離散区分で生じる、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記オリゴヌクレオチドが、前記離散区分に提供され、かつポリT配列をさらに含む、
項目18に記載の方法。
(項目21)
前記逆転写が、前記ポリT配列を前記核酸のそれぞれの少なくとも一部にハイブリダイ
ズさせることと、前記ポリT配列をテンプレート指向の様式で伸長させることと、を含む
、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記オリゴヌクレオチドが、前記ポリT配列のハイブリダイゼーションを促進するアン
カー配列をさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記オリゴヌクレオチドが、ランダムプライミング配列をさらに含む、項目20に記載
の方法。
(項目24)
前記ランダムプライミング配列がランダム六量体である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記逆転写が、前記ランダムプライミング配列を前記核酸のそれぞれの少なくとも一部
にハイブリダイズさせることと、前記ランダムプライミング配列をテンプレート指向の様
式で伸長させることと、を含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記1つまたは複数の第1の核酸配列のうちの所与の1つが、前記核酸の所与の1つの
少なくとも一部に対する配列相補性を有する、項目1に記載の方法。
(項目27)
前記離散区分が、複数の細胞の中で、最大でも前記個々の細胞のみを含む、項目1に記
載の方法。
(項目28)
前記オリゴヌクレオチドが、固有の分子配列セグメントをさらに含む、項目1に記載の
方法。
(項目29)
前記固有の分子配列セグメントの存在に少なくとも部分的に基づいて、前記核酸の所与
の核酸に由来する前記1つもしくは複数の第1の核酸配列、または前記1つもしくは複数
の第2の核酸配列の個々の核酸配列を識別することをさらに含む、項目28に記載の方法

(項目30)
前記固有の分子配列セグメントの存在に基づいて前記所与の核酸の量を決定することを
さらに含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
(c)の前に、前記1つまたは複数の第2の配列を生成するために、1つまたは複数の
追加配列を前記1つまたは複数の第1の配列に追加することをさらに含む、項目1に記載
の方法。
(項目32)
スイッチオリゴヌクレオチドを用いて、第1の追加核酸配列を前記1つまたは複数の第
1の核酸配列に追加することをさらに含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記スイッチオリゴヌクレオチドが、前記1つまたは複数の第1の核酸配列の少なくと
も一部にハイブリダイズさせ、前記第1の追加核酸配列を前記1つまたは複数の第1の核
酸配列に結合させるためにテンプレート指向様式で伸長する、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記第1の追加核酸配列に結合する前記より多くの第1の核酸配列のうちの1つを増幅
させることをさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記増幅が前記離散区分で生じる、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記増幅が、前記第1の追加核酸配列に結合する前記1つまたは複数の第1の核酸配列
を前記離散区分から放出した後に生じる、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記増幅後に、前記1つまたは複数の第2の核酸配列を生成するために、前記第1の追
加配列に結合する前記1つまたは複数の第1の核酸配列に1つまたは複数の第2の追加核
酸配列を追加することをさらに含む、項目34に記載の方法。
(項目38)
前記1つまたは複数の第2の追加配列の追加が、前記第1の追加核酸配列に結合する前
記1つまたは複数の第1の核酸配列のそれぞれの一部を除去することと、前記1つまたは
複数の第1の核酸配列に前記1つまたは複数の第2の追加核酸配列を結合させることと、
を含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記除去が、前記第1の追加核酸配列に結合する前記1つまたは複数の第1の核酸配列
の剪断によって完了する、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記結合が連結によって完了する、項目39に記載の方法。
(項目41)
(c)の前に、1つまたは複数のRNA断片を生成するために、前記1つまたは複数の
第1の核酸配列を転写させることをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目42)
前記転写が、離散区分からの前記1つまたは複数の第1の核酸配列の放出後に生じる、
項目41に記載の方法。
(項目43)
前記オリゴヌクレオチドが、T7プロモーター配列をさらに含む、項目41に記載の方
法。
(項目44)
(c)の前に、前記1つまたは複数のRNA配列のそれぞれの一部を除去することと、
前記1つまたは複数のRNA配列に追加配列を結合させることと、をさらに含む、項目
43に記載の方法。
(項目45)
(c)の前に、前記1つまたは複数の第2の核酸配列を生成するために、前記追加配列
に結合する前記1つまたは複数のRNA配列を逆転写させることをさらに含む、項目44
に記載の方法。
(項目46)
(c)の前に、前記1つまたは複数の第2の核酸配列を増幅させることをさらに含む、
項目45に記載の方法。
(項目47)
(c)の前に、1つまたは複数のDNA配列を生成するために、前記1つまたは複数の
RNA配列を逆転写させることをさらに含む、項目41に記載の方法。
(項目48)
(c)の前に、前記1つまたは複数の第2の核酸配列を生成するために、前記1つまた
は複数のDNA配列のそれぞれの一部を除去することと、前記1つまたは複数のDNA配
列に1つまたは複数の追加配列を結合させることと、をさらに含む、項目47に記載の方
法。
(項目49)
(c)の前に、前記1つまたは複数の第2の核酸配列を増幅させることをさらに含む、
項目48に記載の方法。
(項目50)
前記核酸が、前記個々の細胞からのRNAの逆転写から生成された相補的(cDNA)
を含む、項目1に記載の方法。
(項目51)
前記オリゴヌクレオチドがプライミング配列をさらに含む、離散区分に提供される、項
目50に記載の方法。
(項目52)
前記プライミング配列が、ランダムN量体を含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
(b)が、前記ライミング配列を前記cDNAにハイブリダイズさせることと、前記プ
ライミング配列をテンプレート指向の様式で伸長させることと、を含む、項目51に記載
の方法。
(項目54)
前記離散区分が、前記オリゴヌクレオチドの相補配列を含むスイッチオリゴヌクレオチ
ドを含む、項目1に記載の方法。
(項目55)
(b)が、前記スイッチオリゴヌクレオチドを前記核酸由来の核酸断片の少なくとも一
部にハイブリダイズさせることと、前記スイッチオリゴヌクレオチドをテンプレート指向
の様式で伸長させることと、を含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
(b)が、前記オリゴヌクレオチドを前記1つまたは複数の第1の核酸配列に結合させ
ることを含む、項目1に記載の方法。
(項目57)
前記1つまたは複数の第1の核酸配列が前記核酸由来の核酸断片である、項目1に記載
の方法。
(項目58)
前記(b)が、前記オリゴヌクレオチドを前記核酸に結合させることを含む、項目1に
記載の方法。
(項目59)
前記結合させることが連結させることを含む、項目58に記載の方法。
(項目60)
複数の区分が離散区分を含む、項目1に記載の方法。
(項目61)
前記複数の区分が、1つの区分あたり平均1つ未満の細胞を含む、項目60に記載の方
法。
(項目62)
前記複数の区分の25%未満の区分が細胞を含まない、項目60に記載の方法。
(項目63)
前記複数の区分が、それぞれ少なくとも1つの区分された細胞を有する離散区分を含む
、項目60に記載の方法。
(項目64)
前記離散区分の25%未満が複数の細胞を含む、項目63に記載の方法。
(項目65)
少なくとも離散区分のサブセットがビーズを含む、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記離散区分の少なくとも75%が、少なくとも1つの細胞及び少なくとも1つのビー
ズを含む、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記離散区分が、区分された核酸バーコード配列をさらに含む、項目63に記載の方法

(項目68)
前記離散区分が、少なくとも1,000の異なる区分された核酸バーコード配列を含む
、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記離散区分が、少なくとも10,000の異なる区分された核酸バーコード配列を含
む、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記離散区分が、少なくとも100,000の異なる区分された核酸バーコード配列を
含む、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記複数の区分が、少なくとも1,000の区分を含む、項目60に記載の方法。
(項目72)
前記複数の区分が少なくとも10,000の区分を含む、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記複数の区分が、少なくとも100,000の区分を含む、項目72に記載の方法。
(項目74)
複数の異なる細胞タイプの集団における細胞を特徴付ける方法であって、
(a)前記集団内の個々の細胞からの核酸を離散区分へ提供することと、
(b)共通の核酸バーコード配列を含むオリゴヌクレオチドを、前記離散区分であって
、複数の異なる区分が異なる共通の核酸バーコード配列を含む、前記離散区分内の個々の
細胞からの前記核酸の1つまたは複数の断片に結合させることと、
(c)前記複数の離散区分からの前記核酸の前記1つまたは複数の断片を特徴付けて、
共通バーコード配列の存在に少なくとも部分的に基づいて、前記1つまたは複数の断片を
個々の細胞に帰属させることと、
(d)前記複数の離散区分における前記1つまたは複数の断片の前記特徴付けに基づい
て、前記集団内の複数の個々の細胞を特徴付けることと、を含む、前記方法。
(項目75)
前記核酸を断片化することをさらに含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記離散区分が液滴である、項目74に記載の方法。
(項目77)
前記核酸の前記1つまたは複数の断片を特徴付けることが、前記個々の細胞からのリボ
ソームデオキシリボ核酸を配列決定することを含み、前記個々の細胞を特徴付けることが
、細胞の属、種、株または変異体を識別することを含む、項目74に記載の方法。
(項目78)
前記個々の細胞がマイクロバイオームサンプルに由来する、項目77に記載の方法。
(項目79)
前記個々の細胞がヒト組織サンプルに由来する、項目74に記載の方法。
(項目80)
前記個々の細胞が哺乳類の循環細胞に由来する、項目74に記載の方法。
(項目81)
前記個々の細胞が法医学的サンプルに由来する、項目74に記載の方法。
(項目82)
前記核酸が、前記離散区分の前記個々の細胞から放出される、項目74に記載の方法。
(項目83)
個々の細胞または細胞集団を特徴付ける方法であって、
(a)複数の異なる細胞表面特徴結合基タイプであって、各異なる細胞表面結合基タイ
プは異なる細胞表面特徴に結合することができ、かつ存在する場合は、1つまたは複数の
細胞表面特徴結合基とその細胞表面特徴それぞれとの間の結合を可能にする条件下で、そ
れに結合したレポーターオリゴヌクレオチドを含む、前記複数の異なる細胞表面特徴結合
基タイプを有する細胞をインキュベートすることと、
(b)前記細胞を、バーコード配列を含む複数のオリゴヌクレオチドを含む区分に区分
することと、
(c)前記バーコード配列を前記区分に存在するオリゴヌクレオチドレポーター基に結
合させることと、
(d)前記オリゴヌクレオチドレポーター基及び結合したバーコードを配列決定するこ
とと、
(e)配列決定されたレポーターオリゴヌクレオチドに基づいて前記細胞上に存在する
細胞表面特徴を特徴付けることと、を含む方法。
(項目84)
複数の区分を含む組成物であって、前記複数の区分のそれぞれが、(i)個々の細胞、
及び(ii)共通の核酸バーコード配列を含むオリゴヌクレオチドの集団を含む組成物。
(項目85)
前記複数の区分がエマルジョン中の液滴を含む、項目84に記載の組成物。
(項目86)
前記複数の区分のそれぞれの中の前記オリゴヌクレオチドの集団が、前記複数の区分の
それぞれの中に配置されたビーズに結合される、項目84に記載の組成物。
(項目87)
前記個々の細胞には、それらのそれぞれの細胞表面特徴に関連する複数の異なる細胞表
面特徴結合基が結合しており、各異なるタイプの細胞表面特徴結合基は、異なるヌクレオ
チド配列を含むオリゴヌクレオチドレポーター基を含む、項目84に記載の組成物。
(項目88)
前記複数の異なる細胞表面特徴結合基が、複数の異なる細胞表面特徴に対して結合親和
性を有する複数の異なる抗体または抗体断片を含む、項目87に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】個々の細胞または小グループの細胞を区分化するためのマイクロ流体チャンネル構造を概略的に示す。
図2】細胞及び追加の試薬を含むビーズまたはマイクロカプセルを共に区分化するためのマイクロ流体チャンネル構造を概略的に示す。
図3】細胞の核酸の増幅及びバーコード化のための例示的プロセスを概略的に示す。
図4】配列データを個々の細胞または細胞群に帰属させて、それらを特徴付けるのに使用する際の、細胞の核酸のバーコード化の使用の概略図を提示する。
図5】標識された細胞結合性リガンドに関与する細胞を示す概略図を提示する。
図6】本明細書に記載の方法を用いてRNA分析を実施するための例示的なワークフローの概略図を提示する。
図7】本明細書に記載の方法を用いたリボ核酸(RNA)の分析で使用するための、例示的なバーコード化オリゴヌクレオチド構造の概略図を提示する。
図8】個々のバーコードを有するビーズと共に区分化された個々の細胞の画像を提供する。
図9A】RNAの分析で使用するための例示的なバーコード化オリゴヌクレオチド構造、及びRNA分析を実施するための例示的な操作の概略図を提示する。
図9B】RNAの分析で使用するための例示的なバーコード化オリゴヌクレオチド構造、及びRNA分析を実施するための例示的な操作の概略図を提示する。
図9C】RNAの分析で使用するための例示的なバーコード化オリゴヌクレオチド構造、及びRNA分析を実施するための例示的な操作の概略図を提示する。
図9D】RNAの分析で使用するための例示的なバーコード化オリゴヌクレオチド構造、及びRNA分析を実施するための例示的な操作の概略図を提示する。
図9E】RNAの分析で使用するための例示的なバーコード化オリゴヌクレオチド構造、及びRNA分析を実施するための例示的な操作の概略図を提示する。
図10】RNAの例示的な分析における使用及びインビトロ転写のための配列の使用のための例示的なバーコード化オリゴヌクレオチド構造の概略図を提示する。
図11】RNA分析及びRNA分析を実施するための例示的な操作で使用するための例示的なバーコード化オリゴヌクレオチド構造の概略図を提示する。
図12A】RNAの分析で使用するための例示的なバーコード化オリゴヌクレオチド構造の概略図を提示する。
図12B】RNAの分析で使用するための例示的なバーコード化オリゴヌクレオチド構造の概略図を提示する。
図13A】区分におけるテンプレートスイッチの逆転写及びPCRからの例示的な収率の図を提示する。
図13B】区分におけるテンプレートスイッチの逆転写及びPCRからの例示的な収率の図を提示する。
図13C】区分におけるテンプレートスイッチの逆転写及びPCRからの例示的な収率の図を提示する。
図14A】様々な細胞数を有する区分における逆転写及びcDNA増幅からの例示的な収率の図を提示する。
図14B】様々な細胞数を有する区分における逆転写及びcDNA増幅からの例示的な収率の図を提示する。
図15】様々な入力細胞濃度でのcDNA合成及びリアルタイム定量的PCRからの例示的な収率、及び一定の細胞入力濃度での収率に及ぼすプライマー濃度の変動の影響の図を提示する。
図16】インビトロ転写からの例示的な収率の図を提示する。
図17】本明細書で提供される方法を実施するようにプログラムされるかまたさもなければそのように構成された例示的なコンピュータ制御システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の様々な実施形態が本明細書に示されて説明されているが、当業者には、そのよ
うな実施形態は単なる例示的なものとして提供されることが明らかであろう。当業者は、
本発明から逸脱することなく、多くの変形、変更、及び置換を想到し得る。本明細書に記
載された本発明の実施形態に対する様々な代替物が使用され得ることが理解されるべきで
ある。
【0027】
値が範囲として記載されている場合、そのような開示は、特定の数値または特定のサブ
範囲が明示されているかにかかわらず、そのような範囲内の全ての想定されるサブ範囲、
及びそのような範囲内の特定の数値の開示を含むことが理解されるであろう。
【0028】
I.単一細胞分析
先進的な核酸配列決定技術は、個々の生物及び比較的純粋な生物学的サンプルの実質的
な配列情報を提供することを含む、生物学的材料を配列決定することにおける驚異的な結
果をもたらしている。しかし、これらのシステムは、サンプルの全体的な構成のごく一部
を表し得る、かつ個々の配列情報がさらに有益なものとなり得る生物学的サンプル中の細
胞のサブ集団を識別して特徴付けることにおいて有効であるとは証明されていない。
【0029】
ほとんどの核酸配列技術は、配列決定する核酸を、組織または他のサンプル由来の細胞
の集合から抽出する。細胞集団の平均を表す遺伝物質を抽出するために、細胞を一斉に処
理することができ、その後、これを所与の配列決定技術のために構成された配列決定可能
なDNAライブラリーへと処理することができる。理解されるように、DNAまたは核酸
の観点から議論されることが多いが、細胞由来の核酸は、例えば、様々なRNA-seq
方法の任意のものを用いて、配列決定のためのcDNAを生成するように処理され得る、
例えば、mRNA、全RNAなどを含むDNAまたはRNAを含み得る。この処理後、細
胞特異的マーカーが存在しない場合、サンプル中の細胞のサブセットまたは全ての細胞に
よって寄与されたものとして遺伝子物質を帰属させることは、そのようなアンサンブルア
プローチにおいて事実上不可能である。
【0030】
また、このようなアンサンブルサンプル調製法では、特徴を細胞の集団の特定のサブセ
ットに帰属させることができないことに加えて、最初から、細胞のサンプル中の多数の構
成成分を識別かつ特徴付ける傾向があり、少数成分、例えば、1つの細胞、少数の細胞、
またはサンプル中の全細胞のわずかな割合の細胞によって寄与される遺伝物質を選別する
ことができるようには設計されていない。同様に、例えばmRNAの発現レベルを分析す
る場合、アンサンブルアプローチは、発現レベルの点で不均一である細胞集団からの潜在
的に著しく不正確なデータを提示する傾向があるであろう。いくつかの場合では、発現が
、分析された集団におけるごく少数の細胞において高く、かつ集団の細胞の大部分には存
在しない場合、アンサンブル法は全集団に対して低レベルの発現を示すであろう。
【0031】
この元の多数のバイアスは、これらのサンプルからシーケンンシングライブラリーを構
築する際に使用される処理操作によって、さらに拡大され、さらに圧倒的なものとなる。
特に、ほとんどの次世代配列決定技術は、シーケンシングライブラリーに十分なDNAを
生成するために、ポリメラーゼ連鎖反応などの、核酸断片の幾何学的増幅に依存している
。しかし、そのような幾何学的増幅は、サンプル中の多数の成分の増幅に偏っており、そ
のような少数及び大多数の成分の開始比を保存していない場合がある。例として、サンプ
ルが特定の細胞タイプ、例えば宿主組織細胞由来の95%のDNA、及び別の細胞タイプ
、例えば癌細胞由来の5%のDNAをサンプル中に含む場合、PCRに基づく増幅は、比
較指数関数的増幅(より高い濃度の反復倍加はより小さい画分のものを即座に上回る)及
び増幅試薬及びリソースの隔離の関数(プライマー及び他の増幅試薬を優先的に利用する
場合、より大きな画分が増幅される)の両方として、少数のDNAの代わりに多数のDN
Aを優先的に増幅させることができる。
【0032】
これらの問題のいくつかは、増幅を必要としない単一分子システムなどの様々な配列決
定システムを利用することによって対処することができるが、単一分子システム及び他の
次世代配列決定システムのアンサンブル配列決定方法も十分に大きな入力DNA要件の要
求を有することができる。特に、Pacific Biosciences SMRT
Sequencingシステムのような単一分子配列決定システムは、500ナノグラム
(ng)~10マイクログラム(μg)超のサンプル入力DNA要件を有することができ
、これは個々の細胞または細胞のさらに小さなサブ集団から得ることができるものよりも
はるかに大きい。同様に、他のNGSシステムは、約50ng~約1μgのサンプル中の
サンプルDNAの出発量に合わせて最適化することができる。
【0033】
II.細胞の区画化及び特徴付け
しかし、本明細書で開示されるのは、小さな細胞の集団から、かつ、いくつかの場合に
は、特に細胞の集団がより大きい状況において、個々の細胞からの核酸を特徴付けるため
の方法及びシステムである。この方法及びシステムは、個々の細胞または細胞の小集合か
ら抽出可能な非常に少量の入力核酸を処理して配列決定することができるというさらなる
利点とともに、他の次世代システムのスループットが高い非増幅単一分子法の帰属の利点
を提供する。
【0034】
特に、本明細書に記載の方法は、例えば、個々の細胞または細胞の小グループ由来の核
酸を含む、個々の細胞または細胞の小さな集団の解析を区画化し、次いで、その分析を、
核酸が由来する個々の細胞または細胞の小グループに帰属させることを可能にする。これ
は、細胞集団が、50/50混合の細胞タイプ、90/10混合の細胞タイプ、もしくは
実質的に任意の比率の細胞タイプ、及び完全な不均一混合の異なる様々な細胞タイプ、ま
たはこれらの間の任意の混合物を表すかどうかにかかわらず、達成することができる。異
なる細胞タイプは、個体の異なる組織タイプに由来する、異なる個体に由来する、異なる
属、種、株、変異体、または上記の任意のもしくは全ての任意の組み合わせに由来する細
胞または生物有機体を含み得る。例えば、異なる細胞タイプは、環境の、法医学の、微生
物もしくは他のサンプルまたは細胞タイプの様々な他の混合物の任意のものに由来する個
体、複数の異なる細菌種、株及び/または変異体由来の正常及び腫瘍組織を含み得る。
【0035】
一態様では、本明細書に記載の方法及びシステムは、細胞を含有するサンプル材料由来
の個々の細胞の核酸内容物の区画化、堆積化または区分化を、分散した区画または区分(
本明細書では互換的に区分と呼ばれる)に提供し、ここで個々の区分は、その内容物と他
の区分の内容物との分離を維持する。個々の細胞の特性を特定の区画に後で帰属させるた
めに、固有の識別子、例えばバーコードを、区画化されたまたは区分化された細胞を保持
する区分に、事前に、続けて、または同時に送達させることができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、いくつかの態様では、区分は、コンテナまたは容器(ウェ
ル、マイクロウェル、チューブ、例えば、BioTroveナノアレイなどのナノアレイ
基材の貫通ポート、または他のコンテナ)を指す。しかし、多くのいくつかの態様では、
区画または区分は、流体流内で流動可能な区分を含む。これらの区分は、例えば、内部流
体の中心またはコアを取り囲む外部バリアを有するマイクロカプセルまたはマイクロベシ
クルから構成されてもよく、またはそれらは、そのマトリックス内に材料を搭載かつ/ま
たは保持することができる多孔性マトリックスであってもよい。しかし、いくつかの態様
では、これらの区分は、非水性連続相、例えば油相中に水性流体の液滴を含む。様々な異
なる容器が、例えば、2013年8月13日出願の米国特許出願第13/966,150
号に記載されており、その全開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書
に組込まれる。同様に、非水性または油連続相中で安定な液滴を生成するためのエマルジ
ョンシステムが、例えば、米国特許公開番号第2010/0105112号に詳細に記載
されており、その全開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組込ま
れる。
【0037】
エマルジョン中の液滴の場合、個々の細胞を離散区分に割り当てることは、一般に、水
性流体の細胞の流れを、非水性流体の流れに導入し、それにより2つの流れの合流部で液
滴を生成することによって達成され得る。特定の濃度レベルの細胞の水性細胞含有流を提
供することによって、細胞数の観点から、得られる区分の占有レベルを制御することがで
きる。単一細胞区分が望ましいいくつかの場合では、占有されている区分が主に単独で占
有されることを確実にするために、区分が1区分あたり平均1個未満の細胞を含むように
、流体の相対流速を制御することが望ましい場合がある。同様に、より高い割合の区分が
占有されるように、例えば、占有されていない区分の割合がごく小さなものとなるように
、流速を制御することが望まれる場合がある。いくつかの態様では、流れ及びチャンネル
アーキテクチャーは、所望の数の単一占有区分が、確実に特定のレベルの占有されていな
い区分よりも少なくなり、かつ特定のレベルの複数の占有された区分より少なくなるよう
に制御される。
【0038】
多くの場合、システム及び方法は、占有された区分(1つまたは複数のマイクロカプセ
ルを含む区分)の実質的に大部分が、占有された区分あたり1つ未満の細胞を含むことを
保証するために使用される。いくつかの場合、区分化プロセスは、占有区分の25%未満
が1つ超の細胞を含むように制御され、多くの場合、占有区分の20%未満が1つ超の細
胞を有するが、いくつかの場合では、占有区分の10%未満またはさらに5%未満が区分
あたり1つ超の細胞を含む。
【0039】
追加として、または代替として、多くの場合、過剰な数の空の区分の生成を避けること
が望ましい。これは、十分な数の細胞を区分化領域に提供することによって達成され得る
が、ポアソン分布によると、複数の細胞を含む区分の数が増加することが予想される。従
って、本明細書に記載の態様に従って、多くの場合、生成された区分の50%以下が非占
有となるように、すなわち、1つ未満の細胞を含み、生成された区分の25%以下、生成
された区分の10%以下が非占有となるように、区分化領域に向かう1つまたは複数の細
胞、または他の流体の流れが制御される。さらに、いくつかの態様では、これらのフロー
は、単一の占有区分の非ポアソン分布を提示するが、より低いレベルの非占有区分を提供
するように制御される。言い換えると、いくつかの態様では、上述した任意の単一占有率
を依然として提供しながら、上述の範囲の非占有の区分を得ることができる。例えば、多
くの場合、本明細書に記載のシステム及び方法の使用は、25%未満、20%未満、15
%未満、10%未満~、多くの場合、5%未満~の複数の占有率を有しながら、50%未
満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、及びいくつかの場合、5%未満
~の非占有区分を有する区分を結果的に生成する。
【0040】
理解されるように、上記占有率は、バーコードオリゴヌクレオチドを担持する細胞及び
ビーズの両方を含む区分にも適用可能である。特に、いくつかの態様では、占有された区
分全体の実質的な割合は、ビーズ及び細胞の両方を含むことになる。特に、少なくとも5
0%の区分が少なくとも1つの細胞及び少なくとも1つのビーズによって占有されるか、
または少なくとも75%の区分が同様に占有されるか、または少なくとも80%もしくは
少なくとも90%の区分が同様に占有されると定めることが望ましい場合がある。さらに
、区分内に単一の細胞及び単一のビーズを提供することが所望される場合、少なくとも5
0%の区分が同様に占有され、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%
、またはさらに少なくとも90%の区分が同様に占有され得る。
【0041】
実質的に単一占有区分を提供することに関して説明されているが、特定の場合、例えば
、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の細胞及び/またはビーズを単一の区分内に含む、
複数の占有区分を提供することが望ましい。従って、上述のように、流体及び区分化流体
を含む細胞及び/またはビーズの流動特性を制御して、そのような複数の占有区分を提供
することができる。特に、フローパラメーターは、区分の50%超、75%超、及びいく
つかの場合80%超、90%超、95%超またはそれ以上の所望の占有率を提供するよう
に制御され得る。
【0042】
さらに、多くの場合、単一の区分内の複数のビーズは、それに関連する様々な試薬を含
むことができる。そのような場合、様々なビーズ源、すなわち、様々な関連試薬を含むも
のから、共通チャンネルまたは液滴生成接合部に、その共通チャンネルまたは液滴生成接
合部への様々なチャンネル注入口を介して様々なビーズを導入することが有利であり得る
。そのような場合、チャンネルまたは接合部への様々なビーズの流れ及び頻度は、各源か
らのマイクロカプセルの所望の比率を提供しながら、そのようなビーズが所望の数の細胞
を有する区分に確実に対形成されるか組み合わされるように制御することができる。
【0043】
本明細書に記載の区分は、多くの場合、例えば、10μL未満、5μL未満、1μL未
満、900ピコリットル(pL)未満、800pL未満、700pL未満、600pL未
満、500pL未満、400pL未満、300pL未満、200pL未満、100pL未
満、50pL未満、20pL未満、10pL未満、1pL未満、500ナノリットル(n
L)未満、またはさらには100nL、50nL未満、もしくはさらに低い極めて小さな
体積を有することを特徴とする。
【0044】
例えば、液滴ベースの区分の場合、液滴は、1000pL未満、900pL未満、80
0pL未満、700pL未満、600pL未満、500pL未満、400pL未満、30
0pL未満、200pL未満、100pL未満、50pL未満、20pL未満、10pL
未満、またはさらには1pL未満の、全体積を有することができる。ビーズと共に区分化
される場合、例えば共区分化された細胞を含む、区分内のサンプル流体体積は、上述の体
積の90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30
%未満、20%未満、またはさらには上述の体積の10%未満となる場合がある。
【0045】
本明細書の他の箇所に記載されているように、種を区分化によって、区分の集団が生成
され得る。そのような場合、区分の集団を生成するように、任意の適切な数の区分を生成
することができる。例えば、本明細書に記載の方法では、少なくとも約1,000個の区
分、少なくとも約5,000個の区分、少なくとも約10,000個の区分、少なくとも
約50,000個の区分、少なくとも約100,000個の区分、少なくとも約500,
000個の区分、少なくとも約1,000,000個の区分、少なくとも約5,000,
000個の区分、少なくとも約10,000,000個の区分、少なくとも約50,00
0,000個の区分、少なくとも約100,000,000個の区分、少なくとも約50
0,000,000個の区分、または少なくとも約1,000,000,000個の区分
を含む区分の集団を生成することができる。さらに、区分の集団は、非占有区分(例えば
、空の区分)及び占有区分の両方を含み得る。
【0046】
特定の場合、マイクロ流体チャンネルネットワークは、本明細書に記載の区分を生成す
るのに特に適している。そのようなマイクロ流体デバイスの例には、2014年4月4日
出願の米国特許出願第61/977,804号にて詳細に記載されているものが含まれ、
その全開示は、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組込まれる。細胞の
水性混合物を非水性流体に押出させる多孔質膜を含む、代替の機構も、個々の細胞の区分
化に用いることができる。そのようなシステムは一般に、例えば、Nanomi,Inc
.から入手可能である。
【0047】
個々の細胞を区分化するための単純化されたマイクロ流体チャンネル構造の例を図1
示す。本明細書の他の箇所に記載されているように、いくつかの場合では、占有されてい
る区分の大部分は、占有された区分あたり1つ以下の細胞を含み、いくつかの場合、生成
された区分の一部は占有されていない。しかし、いくつかの場合、占有されている区分の
中には、1超の細胞を含むものもある。いくつかの場合、区分化プロセスは、占有区分の
25%未満が1超の細胞を含むように、多くの場合では、占有区分の20%未満が1超の
細胞を有するように、さらに、いくつかの場合では、占有区分の10%未満またはさらに
5%未満が区分あたり1超の細胞を含むように制御され得る。図示されるように、チャン
ネル構造は、チャンネル接合部110で連通するチャネンルセグメント102、104、
106、及び108を含むことができる。動作中、浮遊細胞114を含む第1の水性流体
112は、チャンネルセグメント102に沿って接合部110に輸送され、一方、水性流
体112と混和しない第2の流体116は、チャンネルセグメント104及び106から
接合部110に送達され、チャンネルセグメント108に流入する個々の細胞114を含
む水性流体の分離液滴118を生成する。
【0048】
いくつかの態様では、第2の流体116は、例えば、得られた液滴の合体を阻害しなが
ら、その液滴を安定化させるためのフルオロ界面活性剤を含む、フッ素化油のような油を
含む。特に有用な区分化流体及びフルオロ界面活性剤の例は、例えば、米国特許公開第2
010/0105112号に記載されており、その全開示は、全ての目的のためにその全
体が参照により本明細書に組込まれる。
【0049】
他の態様では、液滴ベースを区分化することに加えて、またはそれに代えて、細胞は、
1つまたは複数の個々の細胞または細胞の小グループを搭載している外殻または層または
多孔質マトリックスを含み、かつ他の試薬を含み得るマイクロカプセル内に封入されても
よい。細胞のカプセル化は、様々なプロセスによって実施することができる。一般に、そ
のようなプロセスによって、分析される細胞を含む水性流体と、ポリマー前駆体に特定の
刺激を加えたときにゲルまたは他の固体または半固体マトリックスに形成することができ
るポリマー前駆物質とを組み合わせる。そのような刺激としては、例えば、熱刺激(加熱
または冷却のいずれか)、光刺激(例えば、光硬化によるもの)、化学的刺激(例えば、
架橋によるもの、前駆体の重合開始(例えば、開始剤添加によるもの)、などが挙げられ
る。
【0050】
細胞を含むマイクロカプセルの調製は、様々な方法によって行うことができる。例えば
、個々の細胞または小グループの細胞を含むマイクロカプセルを形成するために、エアナ
イフ液滴またはエアロゾル発生器を使用して、前駆体流体の液滴をゲル化溶液中に分散さ
せることができる。同様に、例えばNanomi,Inc.から入手可能なものなどの膜
に基づくカプセル化システムが、本明細書に記載のマイクロカプセルを生成するために使
用され得る。いくつかの態様では、図1に示すようなマイクロ流体システムを、本明細書
に記載のように、細胞をカプセル化するのに容易に使用することができる。特に、かつ図
1を参照すると、細胞及びポリマー前駆体材料を含む水性流体は、チャンネル接合部11
0に流入し、ここで非水性流体116の流れを介して、個々の細胞114を含む液滴11
8に区分化される。カプセル化方法の場合、非水性流体116は、ポリマー前駆体を重合
させかつ/または架橋させて混入した細胞を含むマイクロカプセルを形成させる開始剤も
含むこともできる。特に有用なポリマー前駆体/開始剤の対の例には、例えば、2014
年2月7日出願の米国特許出願第61/940,318号、2014年5月9日出願の第
61/991,018号、及び2014年6月26日出願の米国特許出願第14/316
,383号に記載されたものが含まれ、これらの全開示は、全ての目的のためにその全体
が参照により本明細書に組込まれる。
【0051】
例えば、ポリマー前駆体材料が線状ポリマー材料、例えば線状ポリアクリルアミド、P
EG、または他の線状ポリマー材料を含む場合、活性化剤は架橋剤、または形成された液
滴内の架橋剤を活性化する化学物質を含むことができる。同様に、重合性モノマーを含む
ポリマー前駆体の場合、活性化剤は重合開始剤を含んでもよい。例えば、ポリマー前駆体
がアクリルアミドモノマーとN,N’-ビス-(アクリロイル)シスタミン(BAC)コ
モノマーとの混合物を含む特定の場合には、テトラエチルメチレンジアミン(TEMED
)などの薬剤を、チャンネルセグメント104及び106内の第2の流体流内に供給する
ことができ、これによって、アクリルアミド及びBACの架橋ポリマーネットワークまた
はヒドロゲルへの共重合化が開始する。
【0052】
液滴の形成時に第2の流体流116と第1の流体流112とが接合部110で接触する
と、TEMEDは、第2の流体116から線状ポリアクリルアミドを含む水性の第1の流
体112に拡散し、これによって、液滴内のポリアクリルアミドの架橋が活性化すること
になり、その結果、例えばヒドロゲル、マイクロカプセル118などのゲルが、細胞11
4を混入する固体または半固体のビーズまたは粒子として形成される。ポリアクリルアミ
ドのカプセル化に関して説明されているが、他の「活性化可能な」カプセル化組成物もま
た、本明細書に記載の方法及び組成物との関連で使用することができる。例えば、アルギ
ネート液滴の形成及びそれに続く二価の金属イオン、例えばCa2+への暴露を、記載さ
れたプロセスを用いたカプセル化プロセスとして使用することができる。同様に、アガロ
ース液滴も、例えば、冷却時など、温度ベースのゲル化によってカプセルに変換され得る
。理解されるように、いくつかの場合、カプセル化された細胞は、例えば、時間の経過に
より、または、特定の刺激を適用することにより、細胞またはその内容物を、マイクロカ
プセルから、例えば、液滴などの追加の区分に放出させるのに十分にマイクロカプセルを
分解することで、マイクロカプセルから選択的に放出可能であり得る。例えば、上記のポ
リアクリルアミドポリマーの場合、マイクロカプセルの分解は、ポリマーマトリックスを
架橋するジスルフィド結合を切断するために、DTTなどの適切な還元剤の導入によって
実現することができる(例えば、2014年2月7日出願の米国仮特許出願第61/94
0,318号、2014年5月9日出願の第61/991,018号、及び2014年6
月26日出願の米国特許出願第14/316,383号参照、これらの全開示は、全ての
目的のためにその全体が参照により本明細書に組込まれる)。
【0053】
理解されるように、カプセル化された細胞または細胞集団は、保存可能であり、液滴に
基づいて区分化された細胞よりも運搬が容易であるという特定の潜在的な利点を提供する
。さらに、いくつかの場合、異なる刺激の存在下または不在下のいずれかで、そのような
細胞の経時的変化を特徴付けるために、分析される細胞を選択された時間の間インキュベ
ートすることが望ましい場合がある。そのような場合、個々の細胞のカプセル化すること
によって、エマルジョン液滴中の単純な区分化よりも長いインキュベーションが可能とな
る場合があるが、いくつかの場合、液滴区分化細胞を、異なる時間の間、例えば、少なく
とも10秒、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、
少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、または少
なくとも10時間以上インキュベートすることもできる。以上で示唆したように、細胞の
カプセル化により、他の試薬が共に区分化される細胞の区分化が構成され得る。代替とし
て、カプセル化された細胞を、上記他の区分、例えば液滴に容易に堆積させることができ
る。
【0054】
特定の態様によれば、細胞は、区分内の細胞の内容物を放出させるために、溶解試薬と
ともに区分化されてもよい。そのような場合、溶解剤は、例えば、チャンネル接合部11
0の追加のチャンネルまたはチャンネル上流を介して、区分化結合部/液滴への細胞を導
入するのと同時にまたはその直前に、細胞懸濁液と接触させることができる。溶解剤の例
には、異なる細胞タイプ、例えば、グラム陽性または陰性細菌、植物、酵母、哺乳類など
の溶解に使用される溶解酵素など、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、リゾスタフィン
、ラビアーゼ、キタラーゼ、リチカーゼ、及び例えば、Sigma-Aldrich,I
nc.(St Louis,MO)から入手可能な様々な他の溶解酵素、ならびに他の市
販の溶解酵素などの生物活性試薬が含まれる。他の溶解剤は、追加的にまたは代替的に細
胞と共に区分化されて、細胞の内容物を区分に放出させることができる。例えば、いくつ
かの場合、界面活性剤に基づく溶解溶液を、細胞を溶解するのに用いることができるが、
これらは、界面活性剤が安定なエマルジョンを妨害し得るエマルジョンベースのシステム
ではあまり望ましくない場合がある。いくつかの場合、溶解溶液は、非イオン性界面活性
剤、例えば、TritonX-100及びTween20などを含み得る。いくつかの場
合、溶解溶液は、イオン性界面活性剤、例えば、サルコシル及びドデシル硫酸ナトリウム
(SDS)などを含み得る。同様に、他の方法を用いる溶解方法が使用されてもよく、エ
レクトロポレーション、熱的、音響的、または機械的細胞崩壊なども、例えば、細胞のカ
プセル化封入体の任意の孔径が細胞崩壊後の所望のサイズの核酸断片を保持するのに十分
小さい場合に、液滴区分化に加えてまたはその代わりになり得る、細胞のカプセル化など
の非エマルジョンベースの区分化などの特定の場合に使用されてもよい。
【0055】
上記の細胞と共に区分化された溶解剤に加えて、例えば、プロテイナーゼKなどのDN
ase及びRNase不活性化剤または阻害剤、EDTAなどのキレート剤、及びその後
の核酸の処理における異なる細胞溶解成分の除去またはさもなければその負の活性または
影響の低減に使用される他の試薬を含む、他の試薬も細胞と共に区分化され得る。さらに
、カプセル化された細胞の場合、細胞を適切な刺激に暴露して、共に区分化したマイクロ
カプセルから細胞またはその内容物を放出させることができる。例えば、いくつかの場合
、マイクロカプセルを分解させるために、かつ細胞またはその内容物をより大きな区分へ
放出させるために、カプセル化された細胞とともに化学的刺激を共区分化することができ
る。いくつかの場合、この刺激は、本明細書の他の箇所に記載されている、それぞれのビ
ーズまたは区分からオリゴヌクレオチドを放出するための刺激と同じであってもよい。代
替の態様では、これは、オリゴヌクレオチドが同じ区分へ放出されるのとは異なる時間に
カプセル化された細胞が区分に放出されることを可能にするために、異なる重複しない刺
激であってもよい。
【0056】
細胞のDNAを断片化するためのエンドヌクレアーゼ、細胞の核酸断片を増幅させてそ
の増幅された断片にバーコードオリゴヌクレオチドを結合させるのに使用されるDNAポ
リメラーゼ酵素及びdNTPなどの追加の試薬も、細胞と共に区分化され得る。追加の試
薬は、末端トランスフェラーゼ活性を有する酵素、プライマー及びオリゴヌクレオチド、
ならびにテンプレートスイッチに使用することができるスイッチオリゴヌクレオチド(本
明細書では「スイッチオリゴ」とも呼ばれる)を含む逆転写酵素も含み得る。いくつかの
場合、cDNAの長さを増大させるためにテンプレートスイッチを使用することができる
。テンプレートスイッチの一例では、cDNAは、テンプレート、例えば、細胞のmRN
Aの逆転写から生成することができ、この場合、末端トランスフェラーゼ活性を有する逆
転写酵素は、付加的なヌクレオチド、例えばポリCを、テンプレートによってコード化さ
れていないcDNA、例えばcDNAの末端に添加することができる。スイッチオリゴは
、追加のヌクレオチド、例えばポリGに対して相補的な配列を備え得る。cDNA上の追
加のヌクレオチド(例えば、ポリC)は、スイッチオリゴ上の追加のヌクレオチド(例え
ば、ポリG)に対して相補的な配列にハイブリダイズすることができ、これにより、スイ
ッチオリゴを、逆転写により、cDNAをさらに伸長させるために、テンプレートとして
使用することができる。スイッチオリゴは、デオキシリボ核酸、リボ核酸、ロックド核酸
(LNA)を含む修飾された核酸、または任意の組み合わせを含み得る。
【0057】
いくつかの場合、スイッチオリゴの長さは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、2
4、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37
、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、
51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、6
4、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77
、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、
91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、1
03、104、105、106、107、108、109、110、111、112、1
13、114、115、116、117、118、119、120、121、122、1
23、124、125、126、127、128、129、130、131、132、1
33、134、135、136、137、138、139、140、141、142、1
43、144、145、146、147、148、149、150、151、152、1
53、154、155、156、157、158、159、160、161、162、1
63、164、165、166、167、168、169、170、171、172、1
73、174、175、176、177、178、179、180、181、182、1
83、184、185、186、187、188、189、190、191、192、1
93、194、195、196、197、198、199、200、201、202、2
03、204、205、206、207、208、209、210、211、212、2
13、214、215、216、217、218、219、220、221、222、2
23、224、225、226、227、228、229、230、231、232、2
33、234、235、236、237、238、239、240、241、242、2
43、244、245、246、247、248、249、250ヌクレオチド以上であ
ってよい。
【0058】
いくつかの場合、スイッチオリゴの長さは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22
、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、
36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、4
9、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62
、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、
76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、8
9、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、
102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、
112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、
122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、
132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、
142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、
152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、
162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、
172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、
182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、
192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、
202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、
212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、
222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、
232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、
242、243、244、245、246、247、248、249、または250ヌク
レオチド以上であってよい。
【0059】
いくつかの場合、スイッチオリゴの長さは、最大2、3、4、5、6、7、8、9、1
0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23
、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、
37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、5
0、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63
、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、
77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、9
0、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102
、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112
、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122
、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132
、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142
、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152
、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162
、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172
、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182
、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192
、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202
、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212
、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222
、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232
、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242
、243、244、245、246、247、248、249または250ヌクレオチド
であってよい。
【0060】
細胞の内容物がそれぞれの区分に放出されると、その区分内に含まれる核酸は、区分内
でさらに処理され得る。本明細書に記載の方法及びシステムによると、個々の細胞の核酸
の内容物には、一般に、それらの核酸が、特徴付けられる際、同じ1つの細胞または複数
の細胞に由来するものとして帰属されるように、固有の識別子が付与されている。個々の
細胞または細胞群に特徴を帰属させる能力は、個々の細胞または細胞群に特異的に固有の
識別子を割り当てることによって提供されるが、これは、本明細書に記載の方法及びシス
テムの別の有利な態様となる。特に、細胞の構成要素(及び結果として、その特徴)に固
有の識別子でタグ付けするかまたは標識化するために、例えば、バーコードの形態の固有
の識別子が、個々の細胞または細胞の集団に割り当てられまたはそれと関連付けられる。
次いで、これらの固有の識別子は、細胞の構成要素及び特徴を個々の細胞または細胞群に
帰属させるのに使用される。いくつかの態様では、これは、個々の細胞または細胞群を固
有の識別子と共に区分化することによって行われる。いくつかの態様では、固有の識別子
は、個々の細胞の核酸の内容物に付着するか、さもなければそれと関連付けられるか、ま
たは細胞の他の構成要素、特にこれらの核酸の断片に結合することができる核酸バーコー
ド配列を含むオリゴヌクレオチドの形態で提供される。オリゴヌクレオチドは、所与の区
分内のオリゴヌクレオチドの間では、その中に含まれる核酸バーコード配列は同じである
が、異なる区分の間では、オリゴヌクレオチドは異なるバーコード配列を有することがで
き、かつそれを有するか、または少なくとも所与の分析において全ての区分にわたる多数
の異なるバーコード配列を表すことができるように、区分化される。いくつかの態様では
、所与の区分には1つの核酸バーコード配列のみを関連付けることができるが、いくつか
の場合、複数の異なるバーコード配列が存在してもよい。
【0061】
核酸コード配列は、オリゴヌクレオチドの配列内に6~約20以上のヌクレオチドを含
み得る。いくつかの場合、バーコード配列の長さは、6、7、8、9、10、11、12
、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれ以上であり
得る。いくつかの場合、バーコード配列の長さは、少なくとも6、7、8、9、10、1
1、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれ以
上であり得る。いくつかの場合、バーコード配列の長さは、最大6、7、8、9、10、
11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれ
以下であり得る。これらのヌクレオチドは、完全に隣接していてもよく、すなわち隣接す
るヌクレオチドの単一の区間内にあってもよいか、または1つまたは複数のヌクレオチド
によって分離された複数の別個のサブ配列に分離されてもよい。いくつかの場合、分離さ
れたバーコードサブ配列は、約4~約16ヌクレオチドの長さであってよい。いくつかの
場合、バーコードサブ配列は、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
、15、16ヌクレオチドまたはそれ以上であり得る。いくつかの場合、バーコードサブ
配列は、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、1
6ヌクレオチドまたはそれ以上であり得る。いくつかの場合、バーコードサブ配列は、最
大4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドま
たはそれ以下であり得る。
【0062】
共に区分化されたオリゴヌクレオチドは、共に区分化された細胞由来の核酸の処理にお
いて有用な他の機能配列を含むことができる。これらの配列は、例えば、区分内の個々の
細胞由来のゲノムDNAを増幅させるための標的化またはランダム/ユニバーサル増幅プ
ライマー配列を含みながら、例えば、配列の存在を識別するためのもしくはバーコード化
された核酸をプルダウンするための、関連するバーコード配列、配列決定プライマーもし
くはプライマー認識部位、ハイブリダイゼーションもしくはプローブ配列、または多数の
他の潜在的機能配列のいずれかを結合させる。さらに、オリゴヌクレオチドならびに関連
するバーコード及び他の機能配列を、サンプル材料と共に区分化することは、例えば、2
014年2月7日出願の米国特許出願第61/940,318号、2014年5月9日出
願の第61/991,018号、ならびに2014年6月26日出願の米国特許出願第1
4/316,383号、及び2014年2月7日出願の米国特許出願第14/175,9
35号に記載されており、それらの全開示は、全ての目的のために参照によりその全体が
本明細書に組込まれる。認識されるように、例えば、複数の液滴の合体を含む、オリゴヌ
クレオチドを共に区分化するための他の機構も使用することができ、この場合、1つの液
滴は、オリゴヌクレオチド、または、例えば、マイクロ流体システム内の液滴などの、区
分へのオリゴヌクレオチドのマイクロディスペンシングを含む。
【0063】
簡潔には、一例では、ビーズに放出可能に付着した多数の上記オリゴヌクレオチドをそ
れぞれ含むビーズ、微粒子、またはマイクロカプセルが提供され、この場合、特定のビー
ズに付着したオリゴヌクレオチドの全てが同じ核酸バーコード配列を含むことになるが、
多数の多様なバーコード配列は、使用されるビーズ集団にわたって表される。特に有用な
例では、例えば、ポリアクリルアミドポリマーマトリックスを含むヒドロゲルビーズは、
多数のオリゴヌクレオチド分子を担持することができるので、固体支持体及びオリゴヌク
レオチドを区分へ送達するためのビヒクルとして使用され、かつ本明細書の他の箇所に記
載されているように、特定の刺激に暴露されたときにそれらのオリゴヌクレオチドを放出
するように構成され得る。いくつかの場合、ビーズの集団は、少なくとも1,000個の
異なるバーコード配列、少なくとも5,000個の異なるバーコード配列、少なくとも1
0,000個の異なるバーコード配列、少なくとも少なくとも50,000個の異なるバ
ーコード配列、少なくとも100,000個の異なるバーコード配列、少なくとも1,0
00,000の異なるバーコード配列、少なくとも5,000,000の異なるバーコー
ド配列、または少なくとも10,000,000の異なるバーコード配列を含む多様なバ
ーコード配列ライブラリーを提供することになる。さらに、各ビーズは、多数のオリゴヌ
クレオチド分子が付着された状態で提供され得る。特に、個々のビーズ上のバーコード配
列を含むオリゴヌクレオチド分子の数は、少なくとも1,000個のオリゴヌクレオチド
分子、少なくとも5,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも10,000個の
オリゴヌクレオチド分子、少なくとも50,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なく
とも100,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも500,000個のオリゴ
ヌクレオチド分子、少なくとも1,000,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なく
とも5,000,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも10,000,000
個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも50,000,000個のオリゴヌクレオチド
分子、少なくとも100,000,000個のオリゴヌクレオチド分子、及びある場合に
は少なくとも10億個のオリゴヌクレオチド分子であってよい。
【0064】
さらに、ビーズの集団が区分化される場合、得られる区分の集団は、少なくとも1,0
00個の異なるバーコード配列、少なくとも5,000個の異なるバーコード配列、少な
くとも10,000個の異なるバーコード配列、少なくとも少なくとも50,000個の
異なるバーコード配列、少なくとも100,000個の異なるバーコード配列、少なくと
も1,000,000個の異なるバーコード配列、少なくとも5,000,000個の異
なるバーコード配列、または少なくとも10,000,000個の異なるバーコード配列
を含む、多様なバーコードライブラリーも含むことができる。さらに、集団の各区分は、
少なくとも1,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも5,000個のオリゴヌ
クレオチド分子、少なくとも10,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも50
,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも100,000個のオリゴヌクレオチ
ド分子、少なくとも500,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも1,000
,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも5,000,000個のオリゴヌクレ
オチド分子、少なくとも10,000,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも
50,000,000個のオリゴヌクレオチド分子、少なくとも100,000,000
個のオリゴヌクレオチド分子、及びいくつかの場合には少なくとも10億個のオリゴヌク
レオチド分子を含むことができる。
【0065】
いくつかの場合、区分内の単一または複数のビーズのいずれかに付着している所与の区
分内に、複数の異なるバーコードを組込むことが望ましい場合がある。例えば、いくつか
の場合、例えば、所与の区分にバーコードのより強いアドレスまたは帰属を与えることに
よって、所与の区分からの出力を二重にまたは独立して確認するものとして、混合されて
いるが既知であるバーコード配列セットは、後続の処理において識別がより大きく保証さ
れる場合がある。
【0066】
オリゴヌクレオチドは、ビーズに特定の刺激を加えると、ビーズから放出可能である。
いくつかの場合、刺激は、例えば、オリゴヌクレオチドを放出する光不安定な結合の切断
を介した光刺激であってもよい。他の場合には、熱刺激を使用することができ、この場合
、ビーズ環境の温度の上昇によって、オリゴヌクレオチドの結合がビーズから切断される
か、またはオリゴヌクレオチドがビーズから放出される。さらに他の場合には、オリゴヌ
クレオチドのビーズへの結合を切断するか、またはさもなければビーズからオリゴヌクレ
オチドを放出させる化学的刺激が使用される。このタイプのシステムの例は、2013年
8月13日出願の米国特許出願第13/966,150号、及び2014年2月7日出願
の米国仮特許出願第61/940,318号、2014年5月9日出願の第61/991
,018号、及び2014年6月26日出願の米国特許出願第14/316,383号に
記載されており、その全開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組
込まれる。ある場合には、そのような組成物は、上記の細胞のカプセル化のためのポリア
クリルアミドマトリックスを含み、DTTなどの還元剤へ暴露することにより、付着した
オリゴヌクレオチドを放出するために分解され得る。
【0067】
本明細書に記載の方法及びシステムに従って、付着したオリゴヌクレオチドを含むビー
ズは、単一のビーズ及び単一の細胞が個々の区分内に含まれるように、個々の細胞と共に
区分化される。上記のように、単一細胞/単一ビーズの占有が最も望ましい状態であるが
、複数の占有区分(細胞、ビーズのいずれかまたはその両方を単位とする)または非占有
区分(細胞、ビーズのいずれかまたはその両方を単位とする)が存在することが多いこと
を理解されたい。図2には、バーコードオリゴヌクレオチドを含む細胞及びビーズを共に
区分化するためのマイクロ流体チャンネル構造の例が、概略的に示されている。本明細書
の他の箇所に記載されているように、いくつかの態様では、全占有区分の実質的な割合は
、ビーズ及び細胞の両方を含み、いくつかの場合、生成される区分の一部は非占有となる
。いくつかの場合、区分の一部は、1:1で区分化されていないビーズ及び細胞を有して
もよい。いくつかの場合、例えば、単一の区分内に2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の
細胞及び/またはビーズを含む、複数の占有区分を提供することが望ましい場合がある。
図示のように、チャンネルセグメント202、204、206、208、210は、チャ
ンネル接合部212で流体連通するように設けられている。個々の細胞214を含む水流
は、チャンネルセグメント202を通ってチャンネル接合部212に向かって流れる。上
述のように、これらの細胞は、区分化プロセスの前に、水性流体中に懸濁されていてもよ
いか、または予めカプセル化されてもよい。
【0068】
同時に、バーコード担持ビーズ216を含む水流が、チャンネルセグメント204を通
ってチャンネル接合部212に向かって流れる。非水性の区分化流体216は、側部チャ
ンネル206及び208のそれぞれからチャンネル接合部212に導入され、混合流は流
出チャンネル210に流入する。チャンネル接合部212内で、チャンネルセグメント2
02及び204からの2つの混合水流が合流し、共に区分化された細胞214及びビーズ
216を含む液滴218に区分化される。上述のように、チャンネル接合部212で合流
する各流体の流れ特性を制御すること、及びチャンネル接合部の形状を制御することによ
って、生成された区分218内でビーズ、細胞、またはその両方の所望の占有レベルを達
成するために、合流及び区分化を最適化することができる。
【0069】
いくつかの場合、細胞の溶解が区分化時またはその後にのみ開始するように、溶解剤、
例えば、細胞溶解酵素を、例えば、チャンネルセグメント204を流れるビーズ流を用い
て区分内に導入することができる。細胞のDNAを断片化するためのエンドヌクレアーゼ
、細胞の核酸断片を増幅させて増幅された断片にバーコードオリゴヌクレオチドを結合さ
せるのに使用されるDNAポリメラーゼ酵素及びdNTPなどの追加の試薬も、この構成
において区分に添加えることができる。上記のように、多くの場合、DTTのような化学
的刺激を、それぞれのビーズからバーコードを区分に放出するのに使用することができる
。そのような場合、例えば、区分218内で、2つの流れが合流した後にのみバーコード
が放出されるように、チャンネルセグメント202内に細胞含有流とともに化学刺激を提
供することが特に望ましい場合がある。しかし、細胞がカプセル化されている場合、例え
ば、ビーズからオリゴヌクレオチドを放出し、かつそのマイクロカプセルから細胞を放出
する共通の化学的刺激の導入は一般に、チャンネル接合部212の上流にあるか、または
それに接続する別個の追加の側部チャンネル(図示せず)からもたらされてもよい。
【0070】
理解されるように、例えば、保護試薬、同様のプロテイナーゼK類、キレート剤、核酸
伸長剤、複製剤、ポリメラーゼなどの転写もしくは増幅試薬、逆転写酵素、トランスポゾ
ンに基づく方法(例えば、Nextera)に用いることができるトランスポザーゼ、ヌ
クレオシド三リン酸もしくはNTP類似体、プライマー配列及びそのような反応で使用さ
れる二価金属イオンなどの追加の補因子、リガーゼ酵素及び連結配列などの連結反応試薬
、染料、標識、または他の標識試薬を含む多くの他の試薬を、細胞、ビーズ、溶解剤、及
び化学的刺激とともに共区分化することができる。
【0071】
チャンネルネットワークは、例えば、本明細書で説明されるように、適切な流体構成要
素に流体結合され得る。例えば、入口チャンネルセグメント、例えば、チャンネルセグメ
ント202、204、206、及び208は、チャンネル接合部212に供給すべき材料
の適切な源に流体結合される。例えば、チャネンルセグメント202は、分析される細胞
214の水性懸濁液の源に流体的に結合されることになり、チャンネルセグメント204
は、ビーズ216の水性懸濁液源に流体結合されることになる。次いで、チャンネルセグ
メント206及び208は、非水性流体の1つまたは複数の源に流体結合される。これら
の源は、マイクロ流体デバイスの本体構造内に画定された、またはそれに接続された単純
な容器から、デバイス外の供給源、マニホールドなどから流体を送達する流体導管にわた
る様々な異なる流体構成要素のいずれかを含んでもよい。同様に、出口チャンネルセグメ
ント210は、区分化された細胞のための受容容器または導管に流体結合され得る。さら
に、これは、マイクロ流体デバイスの本体に画定された容器であってもよく、または、区
分化された細胞を後続のプロセス操作、器具、または構成要素に送達するための流体導管
であってもよい。
【0072】
図8は、油中水エマルジョン中の水性液滴中にビーズを含有するバーコードオリゴヌク
レオチドと共に区分化された個々のJurkat細胞の画像を示す。図示されるように、
個々の細胞は、容易に個々のビーズと共に区分化され得る。認識されるように、個々の細
胞投入の最適化は、本明細書の他の箇所に記載されているように、区分あたりの望ましい
細胞投入を達成するために、マイクロ流体システム内で細胞集団の希釈を実現することを
含む多くの方法によって行うことができる。
【0073】
操作では、個々の細胞の核酸内容物は、一旦溶解されると、例えば、断片化、増幅及び
バーコード化、ならびに他の機能配列の添加を含む区分内でさらなる処理を行うのに利用
可能なものとなる。上記のように、断片化は、核酸をより小さな断片に断片化するために
、エンドヌクレアーゼなどの剪断酵素を共に区分化することによって達成され得る。これ
らのエンドヌクレアーゼには、タイプII及びタイプIIの制限エンドヌクレアーゼなら
びにニッキングエンドヌクレアーゼなどの他の核酸切断酵素などを含む、制限エンドヌク
レアーゼが含まれ得る。いくつかの場合、断片化が所望されず、完全長の核酸が区分内に
保持されていてもよく、またはカプセル化された細胞または細胞の内容物の場合には、区
分化の前に、例えば、本明細書に記載の酵素的方法によって、または、例えば、機械的方
法、例えば、機械的、音響的、もしくは他の剪断などによって、断片化を実施することが
できる。
【0074】
細胞が、一旦共に区分化され、溶解されてそれらの核酸を放出すると、ビーズ上に配置
されたオリゴヌクレオチドは、それらの核酸の断片をバーコード化して増幅させるのに使
用され得る。サンプル核酸の断片を増幅かつバーコード化することにおいてこれらのバー
コードオリゴヌクレオチドを使用する特に明確なプロセスは、前に参照により組込まれた
、2014年2月7日出願の米国仮特許出願第61/940,318号、2014年5月
9日出願の第61/991,018号、及び2014年6月26日出願の米国特許出願第
14/316,383号に詳細に記載されている。簡潔には、一態様では、細胞と共に区
分化されたビーズ上に存在するオリゴヌクレオチドは、そのビーズから細胞の核酸を有す
る区分に放出される。オリゴヌクレオチドは、バーコード配列と共に、その5’末端にプ
ライマー配列を含むことができる。このプライマー配列は、細胞の核酸上の多数の異なる
領域をランダムにプライミングすることを意図するランダムオリゴヌクレオチド配列であ
ってもよいか、または細胞のゲノムの特定の標的領域のプライム上流を標的とする特異的
プライマー配列であってもよい。
【0075】
オリゴヌクレオチドのプライマー部分は、一旦放出されると、細胞の核酸の相補的な領
域にアニールすることができる。また、細胞及びビーズと共に区分化された伸長反応試薬
、例えば、DNAポリメラーゼ、ヌクレオシド三リン酸、補因子(例えば、Mg2+また
はMn2+)は、細胞の核酸をテンプレートとして用いてプライマー配列を伸長させて、
プライマーがアニールする細胞の鎖の相補的断片を生成し、その相補的断片は、オリゴヌ
クレオチド及びその関連するバーコード配列を含む。複数のプライマーをアニーリングし
て細胞の核酸の異なる部分にそれを伸長させることにより、核酸の重複した相補的な断片
の大きなプールをもたらされ、それぞれの断片は、それが作製された区分を示す独自のバ
ーコード配列を含む。いくつかの場合、これらの相補的断片は、それ自体が、区分に存在
するオリゴヌクレオチドによってプライミングされたテンプレートとして使用されて、さ
らにバーコード配列を含む相補体の相補体を生成し得る。いくつかの場合、この複製プロ
セスは、第1の相補体が複製されたときに、ヘアピン構造または部分的ヘアピン構造の形
成を可能にするために、その末端またはその付近に2つの相補的配列を生成するように構
成され、分子がさらなる反復コピーを作製するためのベースとなる能力を減少させる。本
明細書に記載される場合、細胞の核酸は、細胞内の任意の所望の核酸を含むことができ、
その核酸には、例えば、細胞のDNA、例えばゲノムDNA、RNA、例えばメッセンジ
ャーRNAなどが含まれる。例えば、いくつかの場合、本明細書に記載の方法及びシステ
ムは、発現mRNAの特徴付け(例えば、そのようなmRNAの存在及び定量化を含む)
に使用することができ、かつ、例えばそのようなmRNAの存在及び定量化を含めて、使
用され、RNA配列決定プロセスを特徴付けプロセスとして含むことができる。代替的に
または追加的に、細胞と友に区分化された試薬は、DNA配列決定が使用される配列決定
プロセスを容易にするために、RNAをcDNAへ変換するための試薬、例えば逆転写酵
素及び試薬を含み得る。特徴付けられる核酸がRNA、例えばmRNAを含むいくつかの
場合において、この一例の概略図が図3に示されている。
【0076】
図示されるように、バーコード配列を含むオリゴヌクレオチオチドは、例えば、エマル
ジョン中の液滴302中に、サンプル核酸304と共に区分化される。本明細書の他の箇
所に記載されているように、オリゴヌクレオチド308は、サンプル核酸304と共に区
分化されたビーズ306に提供されてもよく、そのオリゴヌクレオチドは、パネルAに示
されるように、ビーズ306から放出可能である。オリゴヌクレオチド308は、1つま
たは複数の機能配列、例えば配列310、314、及び316に加えて、バーコード配列
312を含む。例えば、オリゴヌクレオチド308は、バーコード配列312、及び所与
の配列決定システム、例えば、Illumina Hiseq(登録商標)またはMis
eq(登録商標)システムのフローセルにおいて結合のために使用されるP5配列に対す
る結合または固定化配列として機能し得る配列310を含むものとして示されている。図
示のように、オリゴヌクレオチドは、サンプル核酸304の一部のプライミング複製のた
めのランダムまたは標的N量体を含み得るプライマー配列316も含む。オリゴヌクレオ
チド308には、シーケンシングシステムにおける合成反応によるポリメラーゼ媒介性の
テンプレート指向性配列決定をプライミングするのに使用される「read1」すなわち
R1プライミング領域などの配列決定プライミング領域を提供し得る配列314も含まれ
る。理解されるように、機能配列は、様々な異なる配列決定システム、例えば、454
Sequencing、Ion Torrent ProtonまたはPGM、Illu
mina X10など、及びその要求に適合するように選択され得る。多くの場合、バー
コード配列312、固定化配列310、及びR1配列314は、所与のビーズに付着した
オリゴヌクレオチドの全てに共通のものであり得る。プライマー配列316は、ランダム
なN量体プライマーに対して変化し得るか、または特定の標的化された応用のための所定
のビーズ上のオリゴヌクレオチドに共通なものであり得る。
【0077】
理解されるように、いくつかの場合、機能配列は、RNA-seqの応用に有用なプラ
イマー配列を含み得る。例えば、いつかの場合、オリゴヌクレオチドは、RNAまたはR
NA-seqの逆転写をプライミングするためのポリTプライマーを含み得る。さらに他
の場合には、例えば、個々のビーズに含まれる、所与の区分内のオリゴヌクレオチド、例
えば、個々のビーズに含まれるオリゴヌクレオチドは、DNA配列決定プライマー及びR
NA配列決定プライマーの両方、例えば、ビーズに結合したオリゴヌクレオチド内に含ま
れるポリTのプライマー配列などの共通バーコード配列に加えて、複数のタイプのプライ
マー配列を含み得る。そのような場合、単一の区分化された細胞では、DNA及びRNA
配列決定プロセスの両方が行われる。
【0078】
プライマー配列316の存在に基づいて、オリゴヌクレオチドは、パネルBに示される
サンプル核酸をプライミングすることができ、これによって、ポリメラーゼ酵素ならびに
ビーズ306及びサンプル核酸304と共に区分化された他の伸長試薬を用いて、オリゴ
ヌクレオチド308及び308aを伸長させることが可能となる。パネルCに示されるよ
うに、オリゴヌクレオチドを伸長させた後、オリゴヌクレオチドは、ランダムN量体プラ
イマーで、サンプル核酸304の複数の異なる領域にアニールするオリゴヌクレオチドを
伸長させた後、複数の重複する相補体または核酸断片(例えば断片318及び320など
)が作製される。これらの構築物は、サンプル核酸の部分に対して相補的な配列部分、例
えば配列322及び324を含むが、本明細書では概して、バーコード配列が結合したサ
ンプル核酸304の断片を含むものと称される。
【0079】
次いで、パネルDに示されるように、バーコード化された核酸断片では、例えば、配列
分析による特徴付けを行うことができるか、または、それらを、本プロセスにおいてさら
に増幅させることができる。例えば、ビーズ306から放出された、例えば、オリゴヌク
レオチド308bなどの追加のオリゴヌクレオチドも、断片318及び320をプライミ
ングすることができる。これは、断片318で示されている。特に、オリゴヌクレオチド
308b中のランダムN量体プライマー316b(これは、多くの場合、所与の区分内の
他のランダムN量体、例えば、プライマー配列316と異なり得る)の存在に基づいて、
さらにオリゴヌクレオチドは、断片318とアニールして伸長されて、サンプル核酸配列
の一部の複製を含む配列328を含む断片318の少なくとも一部に対する相補体326
を作製する。オリゴヌクレオチド308bの伸長は、それが断片318のオリゴヌクレオ
チド部分308を介して複製するまで継続する。本明細書の他の箇所に記載され、かつパ
ネルDに示されるように、オリゴヌクレオチドは、例えば、断片318内に含まれるオリ
ゴヌクレオチド308の配列316及び314を介した複製の後、所望の点でポリメラー
ゼによる複製の停止を促すように構成することができる。これは、本明細書に記載される
ように、例えば、使用されるポリメラーゼ酵素によって処理され得ない異なるヌクレオチ
ド及び/またはヌクレオチド類似体の組込みを含む、異なる方法によって達成され得る。
例えば、これには、非ウラシル耐性ポリメラーゼがその領域の複製を停止するのを防ぐた
めに、配列領域312内でのヌクレオチドを含むウラシルの含有を含まれ得る。その結果
、バーコード配列312、結合配列310、R1プライマー領域314、及びランダムN
量体配列316bを含む、一端に完全長オリゴヌクレオチド308bを含む断片326が
作製される。配列の他方の末端には、第1のオリゴヌクレオチド308のランダムN量体
に対する相補体316’、及び配列314’として示される、R1配列の全部または一部
に対する相補体が含まれ得る。次いで、R1配列314及びその相補鎖314’は、部分
的ヘアピン構造328を形成するために一緒にハイブリダイズすることができる。理解さ
れるように、ランダムN量体は異なるオリゴヌクレオチド間で異なるため、これらの配列
及びそれらの相補体はヘアピン形成に関与するとは考えられない。例えば、ランダムN量
体316の相補体である配列316’は、ランダムN量体配列316bに相補的であると
は考えられない。これは、他の応用、例えば、N量体が所与の区分内のオリゴヌクレオチ
ド間で共通する、標的化プライマーには当てはまらない。
【0080】
これらの部分的なヘアピン構造を形成することにより、サンプル配列の第1レベルの複
製物をさらなる複製からの除去すること、例えば、コピーの反復コピーを防止することを
可能にする。部分ヘアピン構造は、作製された断片、例えば、断片326のその後の処理
のための有用な構造を提供する。
【0081】
一般に、細胞の核酸の増幅は、区分内のバーコード化された重複断片が、細胞のゲノム
の特定の部分または全部の少なくとも1倍の適用範囲、対象のゲノムまたはその関連部分
の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10
倍、少なくとも20倍、少なくとも40倍、またはそれ以上の適用範囲を構成するまで実
行される。一旦バーコード化断片が生成されると、それらでは適切な配列決定システム、
例えば、Illumina Hiseq(登録商標)、Miseq(登録商標)またはX
10システムで直接配列決定されるか、または、例えば、逆読み取りのための第2の配列
決定プライマー、サンプルインデックス配列などの他の機能配列のさらなる増幅、結合な
どのさらなる処理が行われてもよい。
【0082】
複数の異なる区分からの断片の全てを、本明細書に記載のように高スループットシーケ
ンサー上での配列決定のためにプールすることができるが、この場合、プールされた断片
は、異なる細胞または小さな細胞集団の核酸に由来する多数の断片を含むが、所与の細胞
の核酸由来の断片は同じバーコード配列を共有することになる。特に、各断片はその起源
の区分、ひいてはその単一細胞または細胞の小集団に応じてコード化されるため、その断
片の配列は、そのバーコードの存在に基づいてその細胞またはそれらの細胞に帰属させる
ことができるが、このことは、複数の区分からの様々な配列断片を、異なる細胞の個々の
ゲノムのアセンブリーに適用するのにも役立つ。これは、図4に概略的に示されている。
一例に示されるように、第1の細胞400由来の第1の核酸404及び第2の細胞402
由来の第2の核酸406はそれぞれ、上述のようにそれらの独自のバーコードオリゴヌク
レオチドのセットで区分化される。核酸は、細胞由来の染色体、全ゲノム、または他の大
きな核酸を含み得る。
【0083】
各区分内で、各細胞の核酸404及び406は、第1の断片(複数可)の第2の断片の
重複セット、例えば第2の断片セット408及び410を別々に提供するように処理され
る。また、この処理によって、第2の断片にバーコード配列が提供されるが、特定の第1
の断片由来の第2の断片それぞれのバーコード配列は同じである。図示のように、第2断
片セット408のバーコード配列は「1」で示され、断片セット410のバーコード配列
は「2」で示される。バーコードの多様なライブラリーを、多数の異なる断片セットを差
別的にバーコード化するのに使用することができる。しかし、異なる第1の断片由来の全
ての第2の断片セットが異なるバーコード配列でバーコード化される必要はない。実際、
多くの場合、複数の異なる第1の断片を、同じバーコード配列を含むように同時に処理す
ることができる。多様なバーコードライブラリーが、本明細書の他の箇所に詳細に記載さ
れている。
【0084】
例えば、断片セット408及び410由来のバーコード化断片を、例えば、Therm
o-Fisher,Inc.のIlluminaまたはIon Torrent部門から
入手可能な合成技術による配列を使用する配列決定のためにプールすることができる。配
列は、一旦配列されると、配列読み取りデータ412は、例えば、集約された読み取りデ
ータ414及び416に示されるように、含有されるバーコードに少なくとも部分的に基
づいて、またいくつかの場合には、断片自身の配列に部分的に基づいて、それぞれの断片
セットに帰属させることができる。次いで、各断片セットの帰属させた配列読み取りデー
タは、アセンブルされて、各細胞の核酸のアセンブルされた配列、例えば、配列418及
び420を提供し、これは、個々の細胞、例えば、細胞400及び402に帰属させるこ
とができる。
【0085】
細胞内に存在する遺伝物質を分析することに関して記載されているが、本明細書に記載
の方法及びシステムは、個々の細胞へ試薬の割り当て、かつその試薬に反応するするそれ
らの細胞の帰属分析または特徴付けを提供することによって、個々の細胞または細胞集団
の他の態様を特徴付ける能力を含む、より広範な適用性を有する。これらの方法及びシス
テムは、例えば、研究、診断、病原体識別、及び他の多くの目的のために、細胞を特徴付
けることができることにおいて特に価値がある。例として、例えば、分化のクラスターま
たはCDタンパク質のような細胞表面タンパク質などの、広範囲の異なる細胞表面特徴は
、癌のような疾患の特徴付けにおいて有意な診断関連性を有する。
【0086】
1つの特に有用な応用では、本明細書に記載の方法及びシステムは、例えば、タンパク
質、受容体などの細胞表面特徴といった細胞特徴を特徴付けるのに使用され得る。特に、
本明細書に記載の方法は、上記のように区分化された場合に、例えばDNA配列決定技術
を用いて、個々の細胞または細胞集団内のそのような細胞特徴の存在を確認するために、
また、いくつかの場合には、それらの相対的な存在量または量を確認するために、バーコ
ード化されて分析され得るこれらの細胞特徴にレポーター分子を結合させるのに使用され
得る。
【0087】
特定の例では、潜在的な細胞結合リガンド、例えば、抗体、抗体断片、細胞表面受容体
結合分子などのライブラリーは、例えば、異なるレポーターオリゴヌクレオチド配列が特
定のリガンドと結合し、従って特定の細胞表面特徴に結合することができる場合、第1の
セットの核酸レポーター分子と結合させて提供され得る。いくつかの態様では、ライブラ
リーの異なるメンバーは、異なるオリゴヌクレオチド配列標識の存在によって特徴付けさ
れてもよく、例えば、第1のタイプの細胞表面タンパク質または受容体に対する抗体は、
第1の既知のレポーターオリゴヌクレオチド配列と関連付けられており、第2のレセプタ
ータンパク質に対する抗体は、それと関連付けられている異なる既知のレポーターオリゴ
ヌクレオチド配列を有することになる。細胞は、共に区分化される前に、例えば、受容体
、タンパク質などの異なる細胞表面特徴の広範なパネルに対する抗体を表すことができ、
かつそれらの関連するレポーターオリゴヌクレオチドを含むリガンドのライブラリーとイ
ンキュベートされることになる。結合していないリガンドは細胞から洗浄され、次いで細
胞は上記のバーコードオリゴヌクレオチドと共に区分化される。結果として、区分には、
細胞または細胞(複数)、ならびに結合したリガンド及びそれらの既知の関連レポーター
オリゴヌクレオチドが含まれることになる。
【0088】
区分内で細胞を溶解させる必要なしに、細胞の核酸ではレポーターオリゴヌクレオチド
に対して上記のバーコード化操作を行い、バーコード化されたレポーターオリゴヌクレオ
チドを生成させることができるが、この場合、レポーターオリゴヌクレオチドの存在によ
って特定の細胞表面特徴の存在を示すことができ、また、バーコード配列によって、その
細胞または細胞の集団と共に区分化されたバーコード配列に基づいて、ある範囲の異なる
細胞表面特徴を所与の個々の細胞または細胞集団に帰属させることが可能となる。その結
果、より広範な細胞集団内で細胞表面特徴の細胞ごとのプロファイルを生成することがで
きる。本明細書に記載の方法及びシステムのこの態様は、以下でより詳細に説明される。
【0089】
この例は図5で概略的に示される。図示のように、細胞502及び504によって表さ
れる細胞の集団は、細胞表面結合試薬、例えば抗体、細胞表面結合タンパク質、リガンド
などのライブラリーとインキュベートされるが、この場合、異なるタイプの結合基はそれ
ぞれ、リガンド及び関連レポーター分子506、508、510、及び512(レポータ
ー分子は別に影付き丸で示されている)として示されている、それに付随する関連付けら
れた核酸レポーター分子を含む。細胞がライブラリーによって結合された表面特徴を発現
する場合、リガンド及びそれらに付随するレポーター分子は、細胞表面と結合または連結
することができる。次いで、個々の細胞は、それらの結合したリガンド/レポーター分子
、及び本明細書の他の箇所に記載された個々のバーコードオリゴヌクレオチドビーズ、例
えば、ビーズ522及び524のそれぞれと、別個の区分、例えば液滴514及び516
に区分化される。本明細書中に記載の他の例と同様に、バーコード化オリゴヌクレオチド
はビーズから放出され、所与の区分では共通であるが異なる区分間では大幅に変化するバ
ーコードで各区分内に存在するレポーター分子をバーコード配列に結合させるのに使用さ
れる。例えば、図5に示されるように、区分514の細胞502に結合するレポーター分
子はバーコード配列518でバーコード化され、区分516の細胞504に結合するレポ
ーター分子はバーコード520でバーコード化される。その結果、レポーター分子によっ
て反映されるように細胞の表面リガンドを反映するが、共通のバーコード配列により個々
の細胞に実質的に起因させることができるオリゴヌクレオチドのライブラリーが提供され
、これによって、細胞の表面特性の単一細胞レベルプロファイリングが可能となる。理解
されるように、このプロセスは、細胞表面受容体に限定されず、多様な特定の細胞構造、
化学、または他の特性の存在を識別するのに使用され得る。
【0090】
III.単一細胞分析の応用
特定の個々のエル(ells)の分析、異なる細胞タイプの集団内の異なる細胞タイプ
の分析、環境、ヒトの健康、疫学法医学に関する、細胞の大集団の分析及び特徴付けを含
む、本明細書に記載の単一細胞処理及び分析方法及びシステムの多様な応用が存在する。
【0091】
本明細書に記載される単一細胞分析プロセスの特に有用な応用は、癌細胞の配列決定及
び特徴付けでの応用である。特に、上記で示唆されたアンサンブル配列決定プロセスを含
む従来の分析技術は、特に正常組織細胞の海に存在する癌細胞のゲノム構成の小さな変異
を選別するのに高度には熟達していない。さらに、腫瘍細胞の間でさえも、様々な変異が
存在し、配列決定に対するアンサンブルアプローチによってマスクされ得る(例えば、P
atel,et al.,Single-cell RNA-seq highligh
ts intratumoral heterogeneity in primary
glioblastoma,Science DOI:10.1126/scienc
e.1254257参照(2014年6月12日にオンラインで公開)。癌細胞は、固形
腫瘍、血液悪性腫瘍、細胞系に由来してもよく、また循環腫瘍細胞として得られてもよく
、また、癌細胞に上記の区分化プロセスを行ってもよい。分析時、個々の細胞配列を単一
の細胞または小さな細胞群に由来するものとして識別して、それらを正常組織細胞配列に
対して区別することができる。さらに、その全開示が全ての目的のために参照によりその
全体が本明細書に組込まれる、2014年6月26日出願の同時係属中の米国仮特許出願
第62/017,808号に記載されているように、各細胞から段階的配列情報を得るこ
ともでき、それによって癌細胞内のハプロタイプ変異のより明確な特徴付けを可能にする
。単一細胞分析アプローチは、その全開示が全ての目的のために参照によりその全体が本
明細書に組込まれる、2014年6月26日出願の同時係属中の米国仮特許出願第62/
017,580号に記載されているように、少量の入力核酸を伴うシステム及び方法に特
に有用である。
【0092】
癌細胞分析と同様に、胎児の細胞の分析による胎児の健康または異常の分析及び診断は
、従来の技術を用いた困難な作業である。特に、胎児の細胞試料を採取する羊水穿刺など
の比較的侵襲的な処置がない場合、母体循環からのそれらの細胞の採取を用いることがで
きる。理解されるように、そのような循環胎児細胞は、その循環の全体的な細胞集団の非
常に小さな部分を構成する。その結果、母親の細胞とは対照的に、得られたデータのうち
胎児の細胞に由来する可能性が高いものを特徴付けるために、複雑な分析が行われる。し
かし、本明細書に記載の単一細胞の特徴付け、方法、及びシステムを用いることによって
、個々の細胞に遺伝的構成を帰属させ、それらの細胞を、それぞれの遺伝的構成に基づい
て母親のものまたは胎児のものとして分類することができる。さらに、胎児細胞の遺伝子
配列は、例えば、ダウン症候群、エドワーズ症候群、及びパタウ症候群のような異数性を
含む多くの遺伝的疾患のいずれかを識別するのに使用され得る。
【0093】
より多様な細胞集団から個々の細胞を特徴付ける能力は、環境試験及び法医学分析の両
方において有意な価値があり、サンプルは、サンプルが試験されている細胞、例えば、環
境及び食品安全性試験などのための環境インジケータ生物、毒性生物など、性的暴行、及
び他の暴力犯罪などの法医学分析における犠牲者及び/または加害者細胞に対して、それ
らの性質により、サンプルを「汚染する」細胞及び他の物質の多様な集団から構成され得
る。
【0094】
上記の単一細胞配列決定及び特徴付けプロセスのさらなる有用な応用は、神経科学の研
究及び診断の分野のものである。特に、神経細胞は、各ニューロンをその近傍の細胞とは
異なるものとする、ゲノムの周りを動くことができる長い散在性反復配列(LINE)ま
たは「ジャンプする」遺伝子を含むことができる。研究により、ヒトの脳内のLINEの
数は、80~300個の固有の挿入を有する他の組織、例えば心臓及び肝臓組織の数を超
えることが示されている(例えば、Coufal,N.G.et al.Nature
460,1127-1131(2009)参照)。これらの相違は、神経疾患に対する個
人の感受性に関連すると考えられており(例えば、Muotri,A.R.et al.
Nature 468,443-446(2010)参照)、または課題に応答する多様
性を脳に与える。したがって、本明細書に記載の方法は、個々の神経細胞の配列決定及び
特徴付けにおいて使用され得る。
【0095】
本明細書に記載の単一細胞分析方法は、RNA転写物の識別及びその定量の識別の両方
の点で、上記のような遺伝子発現の分析にも有用である。特に、本明細書に記載の単一細
胞レベル分析法を使用して、個々の細胞、細胞集団、または細胞集団のサブセットに存在
するRNA転写物を単離して分析することができる。特に、いくつかの場合、バーコード
オリゴヌクレオチドは、プライミングし、複製し、結果として個々の細胞からバーコード
化されたRNA断片を得るように構成することができる。例えば、いくつかの場合、バー
コードオリゴヌクレオチドは、mRNA特異的プライミング配列、例えば、逆転写反応ま
たは他の標的プライミング配列においてmRNAのプライミング及び複製を可能にするポ
リTプライマーセグメントを含み得る。代替的にまたは追加的に、バーコードオリゴヌク
レオチドのランダムN量体プライマーセグメントを用いてランダムRNAプライミングを
実施してもよい。
【0096】
図6は、本明細書に記載の方法を用いた個々の細胞におけるRNA発現分析のための一
例示的方法の概略図を提供する。図示のように、操作602において、細胞を含むサンプ
ルが、生存細胞によって選別され、その後の区分化のために定量化されて希釈される。操
作604において、個々の細胞は、本明細書に記載のバーコードオリゴヌクレオチドを有
するゲルビーズと共に別々に区分化される。細胞を溶解し、操作606で、バーコード化
されたオリゴヌクレオチドを区分に放出すると、それらは、例えば、mRNAのポリA尾
部に相補的なポリTプライマー配列によって、操作608でmRNAと相互作用してハイ
ブリダイズする。ポリTバーコードオリゴヌクレオチドをプライミング配列として使用し
て、操作610で逆転写反応を行い、バーコード配列を含むmRNAのcDNA転写物を
合成する。次いで、バーコード化されたcDNA転写物は、cDNA配列及びその関連す
るバーコード配列(複数可)の決定のための生物学的配列決定システムに置かれる前に、
操作612では、例えばPCRプロセスを使用してさらなる増幅されて、操作614では
精製される。いくつかの場合、図示のように、操作602~608は、試薬がそれらの元
の液滴または区分に残っている間に発生し得、一方操作612~616は、バルクで(例
えば、区分の外側で)発生し得る。区分がエマルジョン中の液滴である場合、操作612
~616を完了させるためにエマルジョンを破壊し、液滴の内容物をプールすることがで
きる。いくつかの場合では、バーコードオリゴヌクレオチドは、エマルジョンが破壊され
た後にエキソヌクレアーゼで分解され得る。エキソヌクレアーゼ活性は、プライマー消化
後にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)によって阻害され得る。いくつかの場合、操作
610は、逆転写混合物、例えば逆転写酵素、と関連する試薬とが共に区分化されること
に基づいて、区分内で行うことができるか、またはバルク内で行うことができる。
【0097】
本明細書の他の箇所に記載されているように、バーコードオリゴヌクレオチドの構造は
、オリゴヌクレオチドバーコード配列に加えて多くの配列要素を含むことができる。上記
のRNA分析に使用するためのバーコードオリゴヌクレオチドの一例を図7に示す。図示
のように、全体のオリゴヌクレオチド702は、ジスルフィドリンカーなどの放出可能な
結合706によってビーズ704に結合されている。オリゴヌクレオチドは、1つまたは
複数のシーケンサー特異的フロー細胞付着配列、例えば、Illumina配列決定シス
テムのP5配列、及び配列決定用プライマー配列、例えば、Illumina配列決定シ
ステムのR1プライマーを含み得る機能配列708などの、後続の処理で使用される機能
配列を含んでもよい。バーコード配列710は、サンプルRNAをバーコード化するのに
使用するために構造に含まれる。ポリT配列712などのmRNA特異的プライミング配
列もオリゴヌクレオチド構造に含まれる。ポリT配列がmRNAの配列末端に確実にハイ
ブリダイズするように、アンカー配列セグメント714を含むことができる。このアンカ
ー配列は、ヌクレオチドのランダム短配列、例えば、ポリTセグメントがmRNAのポリ
A尾部の配列端部においてハイブリダイズする可能性を確実に高めることになる1量体、
2量体、3量体、またはそれ以上の配列を含むことができる。追加配列セグメント716
をオリゴヌクレオチド配列内に提供することができる。いくつかの場合、この追加配列は
、例えば、単一のビーズに結合する個々のオリゴヌクレオチドにわたって変化するランダ
ム配列(例えば、ランダムN量体配列など)として、固有の分子配列セグメントを提供す
るが、一方、バーコード配列710は、個々のビーズに繋がれたオリゴヌクレオチドの間
で一定であることができる。この固有の配列は、元の発現されたRNAの数の定量を可能
にするために、捕捉された開始mRNA分子の固有の識別子を提供するのに役立つ。理解
されるように、単一オリゴヌクレオチドはビーズの表面に繋がれているものとして示され
ているが、個々のビーズは、数万~数十万またはさらに数百万の個々のオリゴヌクレオチ
ド分子を含むことができ、ここで、上記のように、バーコードセグメントは、所与のビー
ズに対して一定または比較的一定であることができるが、可変または固有の配列セグメン
トは個々のビーズにわたって変化することになる。この固有の分子配列セグメントは、オ
リゴヌクレオチドの配列内に5~約8個またはそれ以上のヌクレオチドを含み得る。いく
つかの場合、固有の分子配列セグメントは、長さが2、3、4、5、6、7、8、9、1
0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20ヌクレオチ
ドまたはそれ以上であってよい。いくつかの場合、固有の分子配列セグメントは、長さが
少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、1
6、17、18、19、もしくは20ヌクレオチドまたはそれ以上であってよい。いくつ
かの場合、固有の分子配列セグメントは、長さが高々2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20ヌクレオ
チドまたはそれ以下であってよい。
【0098】
操作において、図6及び7を参照して、細胞はバーコード担持ビーズと共に区分化され
て溶解されるが、その間、バーコード化オリゴヌクレオチドをビーズから放出される。次
いで、放出されたバーコードオリゴヌクレオチドのポリT部分は、mRNAのポリA尾部
にハイブリダイズされ。次いで、ポリTセグメントは、mRNAの逆転写をプライミング
して、mRNAのcDNA転写物を生成するが、これには、バーコードオリゴヌクレオチ
ドの配列セグメント708~716のそれぞれを含まれる。さらに、オリゴヌクレオチド
702は、アンカー配列714を含むため、mRNAのポリA尾部の配列末端にハイブリ
ダイズし、そこで逆転写をプライミングする可能性がより高くなる。任意の所与の区分内
で、個々のmRNA分子の全てのcDNA転写物は、共通のバーコード配列セグメント7
10を含むことになる。しかし、固有のランダムN量体配列を含むことによって、所与の
区分内の異なるmRNA分子から作製された転写物は、この固有の配列において変化する
ことになる。これにより、所与の区分の内容物の任意の後続の増幅の後でさえも識別可能
な定量化機能が提供され、例えば、共通のバーコードに関連する固有のセグメントの数は
、単一の区分、したがって単一の細胞から生じるmRNAの量を示すことができる。上記
のように、mRNAのcDNA転写物の配列を識別し、かつバーコードセグメント及び固
有の配列セグメントを配列決定するために、転写物は増幅され、洗浄され、かつ配列決定
される。
【0099】
本明細書の他の箇所で述べたように、ポリTプライマー配列が記載されているが、他の
標的またはランダムプライミング配列も、逆転写反応のプライミングに使用することがで
きる。同様に、溶解した細胞の内容物と共にバーコード化されたオリゴヌクレオチドを区
分に放出するものと記載されているが、いくつかの例では、他の細胞内容物からRNAを
容易に分離するために、ゲルビーズ結合オリゴヌクレオチドを使用してゲルビーズの固相
上のmRNAをハイブリダイズして捕捉することができることを理解されたい。
【0100】
メッセンジャーRNA(細胞から得られたmRNAを含むmRNA)分析を含むRNA
分析に使用するためのバーコードオリゴヌクレオチドのさらなる例を図9Aに示す。図示
のように、オリゴヌクレオチド902全体は、ジスルフィドリンカーなどの放出可能なリ
ンカー906によってビーズ904に結合され得る。オリゴヌクレオチドは、シーケンサ
ー特異的フロー細胞結合配列、例えば、Illumina配列決定システムのP5配列を
含み得る機能配列908、及び配列決定プライマー配列、例えば、Illumina配列
決定システムのR1プライマー結合部位を含み得る機能配列910などの、後続の処理で
使用される機能配列を含んでもよい。バーコード配列912は、サンプルRNAをバーコ
ード化するのに使用するために構造内に含まれる。ポリT配列914などのRNA特異的
(例えば、mRNA特異的)プライミング配列もオリゴヌクレオチド構造に含まれる。m
RNAの配列末端でポリT配列を確実にハイブリダイズさせるために、アンカー配列セグ
メント(図示せず)を含むことができる。追加配列セグメント916をオリゴヌクレオチ
ド配列内に提供することができる。この追加配列は、例えば、単一のビーズに結合する個
々のオリゴヌクレオチドにわたって変化するランダムN量体配列として固有の分子配列セ
グメントを提供することができるが、一方でバーコード配列912は、個々のビーズに繋
がれたオリゴヌクレオチドの間で一定であることができる。本明細書の他の箇所に記載さ
れているように、この固有の配列は、元の発現されたRNAの数の定量、例えば、mRN
A計数を可能にするために、捕捉された開始mRNA分子の固有の識別子を提供するのに
役立つことができる。理解されるように、単一オリゴヌクレオチドがビーズの表面に繋が
れているものとして示されているが、個々のビーズは、数万~数十万またはさらに数百万
の個々のオリゴヌクレオチド分子を含むことができ、この場合、上記のように、バーコー
ドセグメントは、所与のビーズに対して一定または比較的一定であることができるが、可
変または固有の配列セグメントは個々のビーズにわたって変化することになる。
【0101】
細胞RNA(例えば、mRNA)分析の例示的な方法において及び図9Aを参照すると
、細胞は、バーコード担持ビーズ、スイッチオリゴ924、ならびに逆転写酵素、還元剤
、及びdNTPなどの他の試薬と共に、区分(例えば、エマルジョン中の液滴)に区分化
される。操作950において、細胞が溶解される間、バーコード化されたオリゴヌクレオ
チド902は、(例えば、還元剤の作用によって)ビーズから放出され、放出されたバー
コード化オリゴヌクレオチドのポリTセグメント914は、細胞から放出されたmRNA
920のポリA尾部にハイブリダイズする。次に、操作952において、ポリTセグメン
ト914は、mRNAをテンプレートとして用いた逆転写反応で伸長されて、mRNAに
相補的なcDNA転写物922を生成し、またバーコードオリゴヌクレオチドの配列セグ
メント908、912、910、916、及び914のそれぞれも含む。逆転写酵素の末
端トランスフェラーゼ活性は、cDNA転写物(例えば、ポリC)に追加の塩基を添加す
ることができる。次いで、スイッチオリゴ924は、cDNA転写物に添加された追加の
塩基とハイブリダイズして、テンプレートスイッチングを促進し得る。次いで、スイッチ
オリゴ924をテンプレートとして使用して、cDNA転写物922を伸長させることに
よって、スイッチオリゴ配列に相補的な配列をcDNA転写物922に組込むことができ
る。任意の所定の区分内で、個々のmRNA分子の全てのcDNA転写物は、共通のバー
コード配列セグメント912を含むことになる。しかし、固有のランダムN量体配列91
6を含むことによって、所与の区分内の異なるmRNA分子から作製された転写物は、こ
の固有の配列で変化することになる。これによって、本明細書の他の箇所に記載されてい
るように、所与の区分の内容物の後続の任意の増幅の後でさえも識別可能な定量的特徴が
提供され、例えば、共通バーコードに関連する固有のセグメントの数は、単一の区分、従
って単一の細胞から生じるmRNAの量を示すことができる。操作952後、操作954
では、cDNA転写物922はプライマー926(例えば、PCRプライマー)で増幅さ
れる。次に、増幅された生成物は、操作956で、(例えば、固相可逆的固定化(SPR
I)によって)精製される。操作958において、増幅された生成物は剪断され、さらな
る機能配列に連結され、さらに(例えば、PCRを介して)増幅される。機能配列は、シ
ーケンサー特異的フロー細胞結合配列930、例えば、Illumina配列決定システ
ムのP7配列、及び、例えばIllumina配列決定システムのR2プライマーに対す
る配列決定プライマー結合部位を含み得る機能配列928、及びサンプルインデックス、
例えば、Illumina配列決定システムのi7サンプルインデックス配列を含み得る
機能配列932を含み得る。いくつかの場合、操作950及び952は区分内で発生し得
るが、例えば、区分954、956、及び958は、バルク溶液で(例えば、区分外のプ
ールされた混合物において)発生し得る。区分がエマルジョン中の液滴である場合、操作
954、956、及び958を完了させるために、エマルジョンを破壊して、液滴の内容
物をプールすることができる。いくつかの場合、操作954は区分内で完了させることが
できる。いくつかの場合、バーコードオリゴヌクレオチドは、エマルジョンが破壊された
後にエキソヌクレアーゼで分解することができる。エキソヌクレアーゼ活性は、プライマ
ー分解後にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)によって阻害することができる。特定の
配列決定システム、例えば、Illuminaシステムに使用される特定の配列参照に関
して記載されているが、これらの配列への参照は例示のみを目的とするものであり、本明
細書に記載の方法は、例えば、Ion Torrent、Oxford Nanopor
e、Genia、Pacific Biosciences、Complete Gen
omicsなどから入手可能なシステムのようなシステムで使用される特異的プライミン
グ、結合、インデックス、及び他の操作配列を組込む他の配列システムと共に使用される
ように構成され得ることを理解されたい。
【0102】
図9Aに示されるRNA(例えば、細胞RNA)分析に使用するためのバーコードオリ
ゴヌクレクロチドの代替例では、機能配列908はP7配列であってよく、機能配列91
0はR2プライマー結合部位であってよい。さらに、機能配列930はP5配列であって
もよく、機能配列928はR1プライマー結合部位であってもよく、機能配列932はI
llumina配列決定システムのi5サンプルインデックス配列であってもよい。その
ようなバーコードオレオゴクレオチドによって生成された構築物の構成は、配列決定中に
ポリT配列の配列決定を最小限に抑える(または回避する)のに役立つ。
【0103】
図9Bには、細胞mRNA分析を含むRNA分析のための別の例示的な方法が示されて
いる。この方法では、スイッチオリゴ924は、逆転写酵素、還元剤、及びdNTPなど
の試薬と一緒に、個々の細胞及びバーコード化されたビーズと共に区分(例えば、エマル
ジョン中の液滴)へ区分化される。スイッチオリゴ924は、追加のタグ934(例えば
、ビオチン)で標識化され得る。操作951において、細胞が溶解され、その間、バーコ
ード化されたオリゴヌクレオチド902(例えば、図9Aに示される)が(例えば、還元
剤の作用によって)ビーズから放出される。いくつかの場合、配列908はP7配列であ
り、配列910はR2プライマー結合部位である。他の場合、配列908はP5配列であ
り、配列910はR1プライマー結合部位である。次に、放出されたバーコードオリゴヌ
クレオチドのポリTセグメント914は、細胞から放出されるmRNA920のポリA尾
部にハイブリダイズする。次いで、操作953において、ポリTセグメント914は、m
RNAをテンプレートとして用いた逆転写反応で伸長され、mRNAに相補的なcDNA
転写物922を生成し、また、バーコードオリゴヌクレオチドの配列セグメント908、
912、910、916及び914のそれぞれも含む。逆転写酵素の末端トランスフェラ
ーゼ活性は、cDNA転写物(例えば、ポリC)にさらなる塩基を添加することができる
。次いで、スイッチオリゴ924は、cDNA転写物とハイブリダイズし、テンプレート
スイッチングを容易にし得る。次いで、スイッチオリゴ924をテンプレートとして使用
して、cDNA転写物922を伸長させることによって、スイッチオリゴ配列に相補的な
配列をcDNA転写物922に組込むことができる。次に、区分内の試薬及びオリゴヌク
レオチドから、cDNA転写物922を単離するのに、単離操作960を使用することが
できる。追加のタグ934、例えば、ビオチンを、磁性ビーズ938に結合し得る相互作
用タグ936、例えば、ストレプトアビジンと接触させることができる。操作960にお
いて、操作955での増幅(例えば、PCRによるもの)前のプルダウン操作(例えば、
磁気分離、遠心分離によるもの)、その後の操作957での精製(例えば、固相可逆的固
定化(SPRI)によるもの)、及び操作959でのさらなる処理(剪断、配列928、
932、及び930の連結、ならびにその後の増幅(例えば、PCRによるもの))によ
り、cDNAを単離することができる。配列908がP7配列であり、配列910がR2
プライマー結合部位であるいくつかの場合、配列930はP5配列であり、配列928は
R1プライマー結合部位であり、配列932はi5サンプルインデックス配列である。配
列908がP5配列であり、配列910がR1プライマー結合部位であるいくつかの場合
、配列930はP7配列であり、配列928はR2プライマー結合部位であり、配列93
2はi7サンプルインデックス配列である。いくつかの場合、図示のように、操作951
及び953は区分で発生し得るが、操作960、955、957、及び959は、バルク
溶液(例えば、パーティシンの外部のプールされた混合物)で発生し得る。区分がエマル
ジョン中の液滴である場合、エマルジョンは破壊され、液滴の内容物は操作960を完了
させるためにプールされ得る。次いで、処理のために転写物をプールした後、操作960
に続いて、操作955、957、及び959を実行することができる。
【0104】
図9Cには、細胞mRNA分析を含むRNA分析のための別の例示的な方法が示されて
いる。この方法では、スイッチオリゴ924は、逆転写酵素、還元剤、及びdNTPなど
の試薬と一緒に、個々の細胞及びバーコード化されたビーズと共に区分(例えば、エマル
ジョン中の液滴)に共区分化される。操作961において、細胞が溶解され、その間バー
コード化されたオリゴヌクレオチド902(例えば、図9Aに示される)が(例えば、還
元剤の作用によって)ビーズから放出される。いくつかの場合、配列908はP7配列で
あり、配列910はR2プライマー結合部位である。他の場合、配列908はP5配列で
あり、配列910はR1プライマー結合部位である。次に、放出されたバーコードオリゴ
ヌクレオチドのポリTセグメント914は、細胞から放出されるmRNA920のポリA
尾部にハイブリダイズする。次に、操作963において、ポリTセグメント914は、m
RNAをテンプレートとして用いる逆転写反応で伸長され、mRNAに相補的なcDNA
転写物922を生成し、また、バーコードオリゴヌクレオチドの配列セグメント908、
912、910、916及び914のそれぞれも含む。逆転写酵素の末端トランスフェラ
ーゼ活性は、cDNA転写物(例えば、ポリC)にさらなる塩基を添加することができる
。次いで、スイッチオリゴ924は、cDNA転写物とハイブリダイズし、テンプレート
スイッチングを容易にし得る。次いで、スイッチオリゴ924をテンプレートとして使用
して、cDNA転写物922を伸長させることにより、スイッチオリゴ配列に相補的な配
列をcDNA転写物922に組込むことができる。操作961及び操作963に続いて、
操作962でmRNA920及びcDNA転写物922が変性される。動作964におい
て、第2鎖は、追加のタグ942、例えば、ビオチンを有するプライマー940から伸長
され、cDNA転写物922にハイブリダイズする。また、操作964において、ビオチ
ン標識された第2鎖は、磁気ビーズ938に付着し得る相互作用タグ936、例えばスト
レプトアビジンと接触させることができる。操作965での増幅(例えば、ポリメラーゼ
鎖反応(PCR)によるもの)前のプルダウン操作(例えば、磁気分離、遠心分離による
もの)、その後の操作967での精製(例えば、固相可逆的固定化(SPRI)によるも
の)、及び操作969でのさらなる処理(剪断、配列928、932、及び930の連結
、ならびにその後の増幅(例えば、PCRによるもの))によりcDNAを単離すること
ができる。配列908がP7配列であり、かつ配列910がR2プライマー結合部位であ
るいくつかの場合、配列930はP5配列であり、配列928はR1プライマー結合部位
であり、配列932はi5サンプルインデックス配列である。配列908がP5配列であ
り、かつ配列910がR1プライマー結合部位であるいくつかの場合、配列930はP7
配列であり、配列928はR2プライマー結合部位であり、配列932はi7サンプルイ
ンデックス配列である。いくつかの場合、操作961及び963は区分で発生し得るが、
操作962、964、965、967、及び969は、バルク(例えば、パーティシンの
外部)で発生し得る。区分がエマルジョン中の液滴である場合、エマルジョンは破壊され
、液滴の内容物は操作962、964、965、967、及び969を完了させるために
プールされ得る。
【0105】
図9Dには、細胞mRNA分析を含むRNA分析のための別の例示的な方法が示されて
いる。この方法では、スイッチオリゴ924は、逆転写酵素、還元剤、及びdNTPなど
の試薬と一緒に、個々の細胞及びバーコード化されたビーズと共に区分化される。操作9
71において、細胞が溶解され、その間バーコード化されたオリゴヌクレオチド902(
例えば、図9Aに示される)が(例えば、還元剤の作用によって)ビーズから放出される
。いくつかの場合、配列908はP7配列であり、配列910はR2プライマー結合部位
である。他の場合、配列908はP5配列であり、配列910はR1プライマー結合部位
である。次に、放出されたバーコードオリゴヌクレオチドのポリTセグメント914は、
細胞から放出されるmRNA920のポリA尾部にハイブリダイズする。次に、操作97
3において、ポリTセグメント914は、mRNAをテンプレートとして用いた逆転写反
応で伸長され、mRNAに相補的なcDNA転写物922を生成し、また、バーコードオ
リゴヌクレオチドの配列セグメント908、912、910、916及び914のそれぞ
れも含む。逆転写酵素の末端トランスフェラーゼ活性は、cDNA転写物(例えば、ポリ
C)にさらなる塩基を添加することができる。次いで、スイッチオリゴ924は、cDN
A転写物とハイブリダイズし、テンプレートスイッチングを容易にし得る。次いで、スイ
ッチオリゴ924をテンプレートとして使用して、cDNA転写物922を伸長させるこ
とによって、スイッチオリゴ配列に相補的な配列をcDNA転写物922に組込むことが
できる。操作966で、mRNA920、cDNA転写物922、及びスイッチオリゴ9
24を変性させることができ、かつcDNA転写物922を追加のタグ946、例えばビ
オチンで標識された捕捉オリゴヌクレオチド944とハイブリダイズさせることができる
。この操作では、cDNA転写体にハイブリダイズしたビオチン標識された捕捉オリゴヌ
クレオチド944を、磁気ビーズ938に付着し得る、相互作用タグ936、例えば、ス
トレプトアビジンと接触させることができる。プルダウン操作(例えば、磁気分離、遠心
分離によるもの)を使用して他の種(例えば、過剰のバーコード化オリゴヌクレオチド)
から分離させた後、cDNA転写物を、(例えば、PCRによって)、操作975のプラ
イマー926、それに続く操作977での精製(例えば、固相可逆的固定化(SPRI)
によるもの)及び操作979でのさらなる処理(剪断、配列928、932、及び930
の連結、ならびにその後の増幅(例えば、PCRによるもの))によりで増幅させること
ができる。配列908がP7配列であり、かつ配列910がR2プライマー結合部位であ
るいくつかの場合、配列930はP5配列であり、配列928はR1プライマー結合部位
であり、配列932はi5サンプルインデックス配列である。配列908がP5配列であ
り、かつ配列910がR1プライマー結合部位である他の場合、配列930はP7配列で
あり、配列928はR2プライマー結合部位であり、配列932はi7サンプルインデッ
クス配列である。いくつかの場合、操作971及び973は区分で発生し得るが、操作9
66、975、977(精製)、及び979は、バルク(例えば、区分の外部)で発生し
得る。区分がエマルジョン中の液滴である場合、エマルジョンは破壊され、液滴の内容物
は操作966、975、977、及び979を完了させるためにプールされ得る。
【0106】
図9Eには、細胞RNA分析を含むRNA分析のための別の例示的な方法が示されてい
る。この方法では、個々の細胞は、バーコード担持ビーズ、スイッチオリゴ990、なら
びに逆転写酵素、還元剤、及びdNTPなどの試薬と共に区分(例えば、エマルジョン中
の液滴)に区分化される。操作981において、細胞が溶解され、その間、バーコード化
されたオリゴヌクレオチド902(例えば、図9Aに示される902)が(例えば、還元
剤の作用によって)ビーズから放出される。いくつかの場合、配列908はP7配列であ
り、配列910はR2プライマー結合部位である。他の場合、配列908はP5配列であ
り、配列910はR1プライマー結合部位である。次に、放出されたバーコードオリゴヌ
クレオチドのポリTセグメントは、細胞から放出されるmRNA920のポリA尾部にハ
イブリダイズする。次に、操作983において、ポリTセグメントは、次いで、逆転写反
応で伸長されて、mRNAに相補的なcDNA転写物922を生成し、またバーコードオ
リゴヌクレオチドの配列セグメント908、912、910、916、及び914のそれ
ぞれも含む。逆転写酵素の末端トランスフェラーゼ活性は、cDNA転写物(例えば、ポ
リC)にさらなる塩基を添加することができる。次いで、スイッチオリゴ990は、cD
NA転写物とハイブリダイズし、テンプレートスイッチングを容易にし得る。スイッチオ
リゴ配列に相補的であり、かつT7プロモーター配列を含む配列をcDNA転写物922
に組込むことができる。操作968では、第2鎖を合成し、操作970では、T7プロモ
ーター配列を、T7ポリメラーゼによって使用して、インビトロ転写においてRNA転写
物を生成することができる。操作985では、RNA転写産物を(例えば、固相可逆的固
定化(SPRI)により)精製し、逆転写してDNA転写物を形成し、第2鎖をDNA転
写物の各々に合わせて合成することができる。いくつかの場合、精製前に、RNA転写物
をDNase(例えば、DNAase I)と接触させて、残留DNAを分解することが
できる。操作987において、DNA転写物は断片化され、配列928、932、及び9
30などの追加の機能配列に連結され、いくつかの場合、(例えば、PCRにより)さら
に増幅される。配列908がP7配列であり、かつ配列910がR2プライマー結合部位
であるいくつかの場合、配列930はP5配列であり、配列928はR1プライマー結合
部位であり、かつ配列932はi5サンプルインデックス配列である。配列908がP5
配列であり、かつ配列910がR1プライマー結合部位であるいくつかの場合、配列93
0はP7配列であり、配列928はR2プライマー結合部位であり、かつ配列932はi
7サンプルインデックス配列である。いくつかの場合、DNA転写物の一部を除去する前
に、DNA転写物をRNaseと接触させて残留RNAを分解することができる。いくつ
かの場合、操作981及び983は区分内で発生し得るが、操作968、970、985
、及び987はバルクで(例えば区分外で)発生し得る。区分がエマルジョン中の液滴で
ある場合、エマルジョンは破壊され、液滴の内容物は、操作968、970、985、及
び987を完了するためにプールされ得る。
【0107】
メッセンジャーRNA(細胞から得たmRNAを含むmRNA)分析を含む、RNA分
析に使用するバーコードオリゴヌクレオチドの別の例を図10に示す。図示のように、全
体的なオリゴヌクレオチド1002は、ジスルフィドリンカーなどの放出可能なリンケー
ジ1006によってビーズ1004に結合される。オリゴヌクレオチドは、後続の処理に
おいて使用される機能配列、例えば、シーケンサー特異的フロー細胞結合配列、例えばP
7配列を含み得る機能配列1008、及び配列決定プライマー配列、例えば、R2プライ
マー結合部位を含み得る機能配列1010を含み得る。バーコード配列1012は、サン
プルRNAをバーコード化するのに使用するための構造内に含まれる。ポリT配列101
4などのRNA特異的(例えば、mRNA特異的)プライミング配列は、オリゴヌクレオ
チド構造に含まれ得る。ポリT配列がmRNAの配列末端で確実にハイブリダイズするよ
うに、アンカー配列セグメント(図示せず)が含まれ得る。追加配列セグメント1016
が、オリゴヌクレオチド配列内に提供されてもよい。この追加配列は、本明細書の他の箇
所に記載されているように、固有の分子配列セグメントを提供することができる。さらな
る機能配列1020、例えばT7RNAポリメラーゼプロモーター配列が、インビトロ転
写のために含まれ得る。理解されるように、単一オリゴヌクレオチドはビーズの表面に繋
がれているものとして示されているが、個々のビーズは、数万~数十万またはさらに数百
万の個々のオリゴヌクレオチド分子を含むことができるが、この場合、上記のように、バ
ーコードセグメントは、所与のビーズに対して一定または比較的一定であることができる
が、可変または固有の配列セグメントは個々のビーズにわたって変化することになる。
【0108】
細胞RNA分析の例示的な方法において、図10を参照すると、細胞は、バーコード担
持ビーズ、ならびに逆転写酵素、還元剤、及びdNTPなどの試薬と共に、区分(例えば
、エマルジョン中の液滴)に区分化される。操作1050において、細胞が溶解されるが
、その間バーコード化されたオリゴヌクレオチド1002が(例えば、還元剤の作用によ
り)ビーズから放出され、放出されたバーコードオリゴヌクレオチドのポリTセグメント
1014がmRNA1020のポリA尾部にハイブリダイズする。次に、操作1052に
おいて、ポリTセグメントは、mRNAをテンプレートとして用いた逆転写反応で伸長さ
せてmRNAのcDNA転写物1022を生成し、またバーコードオリゴヌクレオチドの
配列セグメント1020、1008、1012、1010、1016、及び、1014の
それぞれも含む。任意の所与の区分内で、個々のmRNA分子のcDNA転写物の全ては
、共通のバーコード配列セグメント1012を含むことになる。しかし、固有のランダム
N量体配列を含むことにより、所与の区分内の異なるmRNA分子から作製された転写物
は、この固有の配列で変化することになる。これは、本明細書の他の箇所に記載されてい
るように、所与の区分の内容物のその後の任意の増幅の後でさえも識別可能な定量的特徴
を提供し、例えば、共通バーコードに関連する固有のセグメントの数は、単一の区分、従
って単一の細胞から生じるmRNAの量を示すことができる。操作1054において、第
2鎖が合成され、操作1056において、T7ポリメラーゼによってT7プロモーター配
列が使用されて、インビトロ転写においてRNA転写物を生成することができる。操作1
058において、転写物は断片化され(例えば、剪断され)、さらなる機能配列に連結さ
れて、逆転写される。機能配列は、シーケンサー特異的フロー細胞結合配列1030、例
えばP5配列、及び配列決定プライマー、例えば、R1プライマー結合配列を含み得る機
能配列1028、及びサンプルインデックス、例えば、i5サンプルインデックス配列を
含み得る機能配列1032を含み得る。操作1060では、RNA転写物はDNAに逆転
写され、そのDNAは(例えば、PCRにより)増幅され、配列決定されて、mRNAの
cDNA転写物の配列を識別し、かつバーコードセグメント及び固有の配列セグメントを
配列決定することができる。いくつかの場合、操作1050及び1052は区分内で発生
し得るが、操作1054、1056、1058、及び1060はバルクで(例えば、区分
外で)発生し得る。区分がエマルジョン中の液滴である場合、エマルジョンは破壊され、
液滴の内容物は、操作1054、1056、1058、及び1060を完了するためにプ
ールされ得る。
【0109】
図10に示すRNA(例えば、細胞RNA)分析に使用するためのバーコードオリゴヌ
クレオチドの代替例では、機能的配列1008はP5配列であってもよく、機能的配列1
010はR1プライマー結合部位あってもよい。さらに、機能配列1030はP7配列で
あってもよく、機能配列1028はR2プライマー結合部位であってもよく、機能配列1
032はi7サンプルインデックス配列であってもよい。
【0110】
メッセンジャーRNA(細胞から得たmRNAを含むmRNA)分析を含む、RNA分
析に使用するバーコードオリゴヌクレオチドのさらなる例を図11に示す。図示のように
、全体的なオリゴヌクレオチド1102は、ジスルフィドリンカーなどの放出可能なリン
ケージ1106によってビーズ1104に結合される。オリゴヌクレオチドは、後続の処
理において使用される機能配列、例えば、シーケンサー特異的フロー細胞結合配列、例え
ばP5配列を含み得る機能配列1108、及び配列決定プライマー配列、例えば、R1プ
ライマー結合部位を含み得る機能配列1110を含み得る。いくつかの場合、配列110
8はP7配列であり、配列1110はR2プライマー結合部位である。バーコード配列1
112は、サンプルRNAをバーコード化するのに使用するための構造内に含まれる。追
加配列セグメント1116は、オリゴヌクレオチド配列内に提供されてもよい。いくつか
の場合、この追加配列は、本明細書の他の箇所に記載されているように、固有の分子配列
セグメントを提供することができる。さらなる配列1114、例えばポリGが、テンプレ
ートスイッチングを促すために含まれてもよい。理解されるように、単一オリゴヌクレオ
チドはビーズの表面に繋がれているものとして示されているが、個々のビーズは、数万~
数十万またはさらに数百万の個々のオリゴヌクレオチド分子を含むことができ、この場合
上記のように、バーコードセグメントは、所与のビーズに対して一定または比較的一定で
あることができるが、可変または固有の配列セグメントは個々のビーズにわたって変化す
ることになる。
【0111】
細胞RNA分析の例示的な方法において、図11を参照すると、細胞は、バーコード担
持ビーズ、ポリT配列、ならびに逆転写酵素、還元剤、及びdNTPなどの他の試薬と共
に、区分(例えば、エマルジョン中の液滴)に区分化される。操作1150において、細
胞が溶解され、その間、バーコード化されたオリゴヌクレオチドが(例えば、還元剤の作
用により)ビーズから放出され、ポリT配列が細胞から放出されたmRNA1120のポ
リA尾部にハイブリダイズする。次に、操作1152において、ポリT配列は、mRNA
をテンプレートとして用いた逆転写反応で伸長されて、mRNAに相補的なcDNA転写
物1122を生成する。逆転写酵素の末端トランスフェラーゼ活性は、cDNA転写物(
例えば、ポリC)にさらなる塩基を添加することができる。次いで、cDNA転写体に添
加された追加の塩基、例えばポリCは、バーコード化されたオリゴヌクレオチドの111
4とハイブリダイズすることができる。これによって、テンプレートスイッチングを容易
にすることができ、バーコードオリゴヌクレオチドに相補的な配列をcDNA転写物に組
込むことができる。転写物は、さらに処理され(例えば、増幅され、部分除去され、追加
配列が追加されるなど)、本明細書の他の箇所に記載されているように、例えば、配列決
定によって特徴付けされ得る。そのような方法によって生成された構築物の構成は、配列
決定中のポリT配列の配列決定を最小限にする(または回避する)のに役立つ。
【0112】
細胞RNA分析を含むRNA分析で使用するためのバーコードオリゴヌクレオチドのさ
らなる例を図12Aに示す。図示のように、オリゴヌクレオチド1202全体は、ジスル
フィドリンカーなどの放出可能なリンケージ1206によってビーズ1204に結合され
ている。オリオゴヌクレオチドは、その後の処理で使用される機能配列、例えば、シーケ
ンサー特異的フロー細胞結合配列、例えば、P5配列を含み得る機能配列1208、及び
配列決定プライマー配列、例えば、R1プライマー結合部位を含み得る機能配列1210
を含み得る。いくつかの場合、配列1208はP7配列であり、配列1210はR2プラ
イマー結合部位である。バーコード配列1212は、サンプルRNAをバーコード化する
のに使用するための構造内に含まれる。追加配列セグメント1216は、オリゴヌクレオ
チド配列内に提供されてもよい。いくつかの場合、この追加配列は、本明細書の他の箇所
に記載されているように、固有の分子配列セグメントを提供することができる。理解され
るように、単一オリゴヌクレオチドはビーズの表面に繋がれているものとして示されてい
るが、個々のビーズは、数万~数十万またはさらに数百万の個々のオリゴヌクレオチド分
子を含むことができ、この場合、上記のように、バーコードセグメントは、所与のビーズ
に対して一定または比較的一定であることができるが、可変または固有の配列セグメント
は個々のビーズにわたって変化することになる。このバーコードを用いた例示的細胞RN
A分析法では、細胞は、バーコード担持ビーズならびにRNAリガーゼ及び還元剤などの
他の試薬と共に区分(例えば、エマルジョン中の液滴)に区分化される。細胞が溶解され
、その間バーコード化されたオリゴヌクレオチドが(例えば、還元剤の作用によって)ビ
ーズから放出される。次いで、バーコード化オリゴヌクレオチドは、区分中にある間に、
RNAリガーゼによってmRNA転写物の5’末端に連結され得る。後続の操作には、精
製(例えば、固相可逆的固定化(SPRI)によるもの)及びさらなる処理(剪断、機能
配列の連結、及び続く増幅(例えばPCRによるもの))を含んでもよく、これらの操作
は、バルクで(例えば、区分外で)発生し得る。区分がエマルジョン中の液滴である場合
、エマルジョンは破壊され、液滴の内容物はさらなる操作のためにプールされ得る。
【0113】
細胞RNA分析を含むRNA分析に使用するためのバーコードオリゴヌクレオチドのさ
らなる例を図12Bに示す。図示のように、オリゴヌクレオチド1222全体は、ジスル
フィドリンカーなどの放出可能なリンケージ1226によってビーズ1224に結合され
ている。オリオゴヌクレオチドは、後続の処理において使用される機能配列、例えば、シ
ーケンサー特異的フロー細胞結合配列、例えばP5配列を含み得る機能配列1228、及
び配列決定プライマー配列、例えば、R1プライマー結合部位を含み得る機能配列123
0などを含み得る。いくつかの場合、配列1228はP7配列であり、配列1230はR
2プライマー結合部位である。バーコード配列1232は、サンプルRNAをバーコード
化するのに使用するために構造内に含まれる。プライミング配列1234(例えば、ラン
ダムプライミング配列)もオリゴヌクレオチド構造、例えば、ランダム六量体に含まれ得
る。さらなる配列セグメント1236は、オリゴヌクレオチド配列内に提供され得る。い
くつかの場合、この追加配列は、本明細書の他の箇所に記載されているように、固有の分
子配列セグメントを提供する。理解されるように、単一オリゴヌクレオチドはビーズの表
面に繋がれているものとして示されているが、個々のビーズは、数万~数十万またはさら
に数百万の個々のオリゴヌクレオチド分子を含むことができ、この場合、上記のように、
バーコードセグメントは、所与のビーズに対して一定または比較的一定であることができ
るが、可変または固有の配列セグメントは個々のビーズにわたって変化することになる。
図12Bのバーコードオリゴヌクレオチドを用いた例示的な細胞 mRNA分析法では、
細胞は、バーコード担持ビーズ、ならびに逆転写酵素、還元剤、及びdNTPなどのさら
なる試薬と共に、区分(例えば、エマルジョン中の液滴)に区分化される。細胞が溶解さ
れ、その間、バーコード化されたオリゴヌクレオチドが(例えば、還元剤の作用により)
ビーズから放出される。いくつかの場合、配列1228はP7配列であり、配列1230
はR2プライマー結合部位である。他の場合、配列1228はP5配列であり、配列12
30はR1プライマー結合部位である。ランダム六量体のプライミング配列1234は、
細胞のmRNAをランダムにハイブリダイズすることができる。ランダム六量体配列は、
細胞からのmRNAをテンプレートとして用いて逆転写反応で伸長させて、mRNAに相
補的なcDNA転写物を生成することができ、またバーコードオリゴヌクレオチドの配列
セグメント1228、1232、1230、1236、及び1234のそれぞれも含む。
その後の操作には、精製(例えば、固相可逆的固定化(SPRI)によるもの)、さらな
る処理(剪断、機能配列の連結、及び続く増幅(例えばPCRによるもの))を含み、こ
れらの操作は、バルクで(例えば、区分外で)発生し得る。区分がエマルジョン中の液滴
である場合、エマルジョンは破壊されて、液滴の内容物はさらなる操作のためにプールさ
れる。バーコード担持ビーズと共に区分化され得る追加の試薬には、細胞由来のゲノムD
NA及びcDNAを分解するためにリボソームRNA(rRNA)及びヌクレアーゼをブ
ロックするオリゴヌクレオチドが含まれ得る。代替として、さらなる処理操作中にrRN
A除去剤を適用してもよい。そのような方法によって生成された構築物の構成は、配列決
定中のポリT配列の配列決定を最小限にする(または回避する)のに役立つ。
【0114】
本明細書に記載の単一細胞分析法は、トランスクリプトーム全体の分析にも有用であり
得る。図12Bのバーコードを再び参照すると、プライミング配列1234は、ランダム
N量体であり得る。いくつかの場合、配列1228はP7配列であり、配列1230はR
2プライマー結合部位である。他の場合、配列1228はP5配列であり、配列1230
はR1プライマー結合部位である。このバーコードを用いた全トランスクリプトーム解析
の例示的方法では、個々の細胞は、バーコード担持ビーズ、ポリT配列、ならびに逆転写
酵素、ポリメラーゼ、還元剤、及びdNTPなどの他の試薬と共に、区分(例えば、エマ
ルジョン中の液滴)に共区分化される。この方法の操作では、細胞が溶解され、その間、
バーコード化されたオリゴヌクレオチドが(例えば、還元剤の作用により)ビーズから放
出され、ポリT配列は細胞mRNAのポリA尾部にハイブリダイズする。テンプレートと
してmRNAを用いた逆転写反応では、細胞mRNAのcDNA転写物を生成することが
できる。次いでRNAをRNaseで分解することができる。次いで、バーコード化され
たオリゴヌクレオチドのプライミング配列1234は、cDNA転写物にランダムにハイ
ブリダイズすることができる。オリオゴヌクレオチドは、図3に示したものと同様のビー
ズ及び細胞と共に区分化されたポリメラーゼ酵素及び他の伸長試薬を用いて伸長させて、
図3(パネルF)に示した例示的な増幅生成物と同様の増幅生成物(例えば、バーコード
化された断片)を生成することができる。バーコード化された核酸断片では、いくつかの
場合、例えば、配列分析により、特徴付けされるさらなる処理(例えば、本明細書の他の
箇所に記載された増幅、さらなる配列の添加、洗浄処理など)を行ってもよい。この操作
では、シーケンシングシグナルは完全長RNAに由来し得る。
【0115】
様々なバーコードデザインの操作が個別に検討されているが、個々のビーズは、同時に
使用することができる様々なデザインのバーコードオリゴヌクレオチドを含むことができ
る。
【0116】
より大きな集団からの個々の細胞または細胞サブ集団を特徴付けることに加えて、本明
細書に記載のプロセス及びシステムは、細胞または他の生物集団の全体的なプロファイル
を提供する方法として個々の細胞を特徴付けるのにも使用され得る。様々な用途では、例
えば、マイクロバイオーム分析及び特徴付け、環境試験、食品安全性試験、例えば、汚染
の追跡における疫学的分析などを含む、細胞集団内の異なる細胞または生物型の存在及び
定量の評価が必要とされる。特に、上記の分析プロセスは、集団内の多数の個々の細胞を
個別に特徴付する、配列決定する、かつ/または識別するのに使用され得る。次いで、こ
の特徴付けを使用して、元の集団の全体的なプロファイルをアセンブルし、それによって
重要な予後及び診断情報を提供することができる。
【0117】
例えば、腸、頬、表皮マイクロバイオームなどを含むヒトのマイクロバイオームのシフ
トは、異なる病態または健康状態の診断及び予後の両方として識別されている。本明細書
に記載の単一細胞分析方法及びシステムを使用して、全体の集団における個々の細胞をさ
らに特徴付けし、配列決定し、かつ識別して、診断集団関連因子を示し得るその集団内の
シフトを識別することができる。例として、バクテリアの分類学的分類のための非常に正
確な方法として、細菌16SリボソームRNA遺伝子の配列決定が用いられてきた。上記
の標的化された増幅及び配列決定プロセスを使用して、細胞の集団内の個々の細胞の識別
を提供することができる。ある集団内の異なる細胞の数をさらに定量化して、現在の状態
または経時的な状態の変化を識別することができる。例えば、Morgan et.al
,PLoS Comput.Biol.,Ch.12,December 2012,8
(12):e1002808、及びRam et al,Syst.Biol.Repr
od.Med.,June 2011,57(3):162-170(それぞれが、全て
の目的のためにその全体が参照により本明細書に組込まれる)を参照されたい。同様に、
感染または潜在的な感染の識別及び診断も、本明細書に記載の単一細胞分析の利益を享受
して、例えば、上記の環境、及び任意の他の診断上関連する環境、例えば、脳脊髄液、血
液、糞便または腸サンプルなどを含む、他の細胞または他の生物学的物質、細胞及び/ま
たは核酸の大きな混合物中に存在する微生物種を識別するものであってよい。
【0118】
前述の分析は、所与のサンプルの細胞集団にわたる異なる耐性マーカー/変異の分布及
びプロファイリングの分析による、異なる細胞、例えば、癌細胞、細菌病原体などの潜在
的薬物耐性の特徴付けにも特に有用であり得る。さらに、これらのマーカー/変異の経時
的変化を特徴付けることによって、そのような薬物耐性の問題によって特徴付けされる様
々な疾患の進行、改変、予防、及び治療についての貴重な洞察を得ることができる。
【0119】
細胞の観点で記載されているが、例えば、細胞、ウイルス、細胞小器官、細胞内封入体
、小胞、小胞体などを含む様々な個々の生物学的生物または生物の構成要素のいずれかは
、本記載に包含されることが理解される。さらに、細胞を参照する場合、そのような参照
には、単細胞に由来するかまたは多細胞生物に由来するかにかかわらず、原核細胞、真核
細胞、細菌、真菌、植物、哺乳類、または他の動物細胞タイプ、マイコプラズマ、正常組
織細胞、腫瘍細胞、もしくは任意の他の細胞タイプを含むがこれらに限定されない、任意
のタイプの細胞が含まれることが理解される。
【0120】
同様に、微生物、ウイルス、またはそのようなサンプル中に存在する他の生物学的汚染
物質をプロファイリングするための異なる環境のサンプルの分析は、疾患の疫学に関する
重要な情報を提供し、疾患の発生、流行及びパンデミックの予測に役立つ可能性がある。
【0121】
上記のように、本明細書に記載の方法、システム、及び組成物は、個々の細胞または細
胞集団の他の態様の分析及び特徴付けにも使用することができる。一例示的プロセスでは
、それらの細胞表面タンパク質に関して分析されて特徴付けされる細胞を含むサンプルが
提供される。また、細胞が特徴付けされる細胞表面タンパク質または抗原(または他の細
胞の特徴)(本明細書では細胞表面特徴結合基とも呼ばれる)に対する結合親和性を有する
抗体、抗体断片、または他の分子のライブラリーも提供される。考察を容易にするために
、これらの親和性基を本明細書では結合基と呼ぶ。結合基は、結合基が結合する細胞表面
の特徴を示すレポーター分子を含むことができる。特に、1つのタイプの細胞表面特徴に
特異的な結合基タイプは第1のレポーター分子を含むことになり、異なる細胞表面特徴に
特異的な結合基タイプはそれと関連する異なるレポーター分子を有することになる。いく
つかの態様では、これらのレポーター分子は、オリゴヌクレオチド配列を含むことになる
。オリゴヌクレオチドベースのレポーター分子は、配列に関する有意な多様性をもたらし
ながら、ほとんどの生体分子、例えば、抗体などに容易に結合することができ、かつ例え
ば、配列決定技術またはアレイ技術を用いて容易に検出することができるという利点を提
供する。例示的プロセスでは、結合基は、それらに結合したオリゴヌクレオチドを含む。
したがって、第1の結合基タイプ、例えば、第1のタイプの細胞表面特徴に対する抗体は
、それと結合する、第1のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを有することに
なる。異なる結合基タイプ、例えば、他の異なる細胞表面特徴に対する結合親和性を有す
る抗体は、それと結合する、異なるヌクレオチド配列、例えば、部分的にまたは完全に異
なるヌクレオチド配列を含むレポーターオリオゴヌクレオチドを有することになる。いく
つかの場合、各タイプの細胞表面特徴結合基、例えば、抗体または抗体断片に関して、レ
ポーターオリオゴヌクレオチド配列は公知のものであり、公知の細胞表面特徴結合基と結
合していると容易に識別することができるものである。これらのオリゴヌクレオチドは、
結合基に直接結合していても、ビーズ、分子格子、例えば、直鎖状、球状、架橋型、また
は他のポリマー、または複数のレポーターオリゴヌクレオチドを単一の結合基と付着させ
る結合基に付着しているかもしくはさもなければそれと結合している他のフレームワーク
に付着していてもよい。
【0122】
単一の結合基に結合した複数のレポーター分子の場合、そのようなレポーター分子は同
じ配列を含むことができるか、または特定の結合基はレポーターオリゴヌクレオチド配列
の公知のセットを含むことになる。例えば、異なる結合基間では異なる細胞表面特徴に特
異的であるため、レポーター分子は異なるものであってよく、かつ特定の結合基に帰属可
能なものであってよい。
【0123】
レポーター基の結合基への結合は、様々な直接的または間接的な、共有結合性または非
共有結合性の結合または付着のいずれかによって達成され得る。例えば、抗体ベースの結
合基に結合したオリゴヌクレオチドレポーター基の場合、そのようなオリゴヌクレオチド
は、化学的コンジュゲーション技術(例えば、Innova Biosciencesか
らから入手可能なLightning-Link(登録商標)抗体標識化キット)、なら
びに例えば、アビジンまたはストレプトアビジンリンカーによるビオチン化抗体及びオリ
ゴヌクレオチド(またはオリゴヌクレオチドに結合した、1つまたは複数のビオチン化リ
ンカーを含むビーズ)を使用した他の非共有結合機構を使用して抗体または抗体断片の一
部に共有結合させてもよい。抗体及びオリゴヌクレオチドビオチニル化技術が利用可能で
ある(例えば、Fang,et al.,Fluoride-Cleavable Bi
otinylation Phosphoramidite for 5’-end-L
abeling and Affinity Purification of Syn
thetic Oligonucleotides,Nucleic Acids Re
s.Jan 15,2003;31(2):708-715、Thermo Scien
tificから入手可能なDNA 3’ End Biotinylation Kit
(これらの全開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組込まれる)
を参照されたい)。同様に、タンパク質及びペプチドのビオチン化技術が開発されており
、容易に利用可能である(例えば、米国特許第6,265,552号(この全開示は、全
ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組込まれる)を参照されたい)。
【0124】
所望のレポーター分子または所与の分析の多様性、使用される配列検出スキームなどに
応じて任意の範囲の異なる長さを有するレポーターオリゴヌクレオチドが提供され得る。
いくつかの場合、これらのレポーター配列は、長さが約5ヌクレオチド超、長さが約10
ヌクレオチド超、長さが約20、30、40、50、60、70、80、90、100、
120、150、またはさらに200ヌクレオチド超であってよい。いくつかの場合、こ
れらのレポーターヌクレオチドは、長さが約250ヌクレオチド未満、約200、180
、150、120、100、90、80、70、60、50、40、またはさらに30ヌ
クレオチド未満であってもよい。多くの場合、レポーターオリゴヌクレオチドは、既にサ
イズ決定されており、かつさもなければ配列決定システムで分析されるように構成された
バーコード化生成物を提供するように選択することができる。例えば、これらの配列は、
理想的には、特定の配列決定システムに対して所望の長さの配列決定可能な生成物を生成
する長さで提供され得る。同様に、これらのレポーターオリゴヌクレオチドは、レポータ
ー配列に加えて、シーケンサー結合配列、シーケンシングプライマー配列、増幅プライマ
ー配列、またはこれらのいずれかに対する相補体などのさらなる配列要素を含み得る。
【0125】
操作中、所望される細胞表面特徴のいずれかを分析するために、細胞含有サンプルを、
結合分子及びその関連するレポーターオリゴヌクレオチドと共にインキュベートする。イ
ンキュベーション後、細胞を洗浄して結合していない結合基を除去する。洗浄後、細胞は
、上述のバーコード担持ビーズとともに、別個の区分、例えば、液滴に区分化されるが、
この場合、それぞれの区分は、限られた数の細胞、例えば、くつかの場合、単一細胞を含
む。ビーズからバーコードを解放すると、それらはレポーターオリゴヌクレオチドの増幅
及びバーコード化をプライミングすることになる。上記のように、レポーター分子のバー
コード化複製物は、プライマー配列、結合配列などの機能配列をさらに含み得る。
【0126】
次いで、バーコード化レポーターオリゴヌクレオチドで、配列分析を行い、どのレポー
ターオリゴヌクレオチドが区分内の細胞に結合しているかを識別する。さらに、関連する
バーコード配列を配列決定することによっても、所与の細胞表面特徴が、そのレポーター
配列が同じバーコード配列を含む、すなわち、同じ区分由来である他の異なる細胞表面特
徴と同じ細胞に由来した可能性が高いことを識別することができる。
【0127】
次いで、バーコード配列の存在に基づく個々の区分から生じるレポーター分子に基づい
て、細胞集団からの個々の細胞の細胞表面プロファイルを作製することができる。個々の
細胞または細胞集団のプロファイルは、診断上関連性のある情報を提供し得る細胞表面特
徴の変化を識別するために、他の細胞、例えば「正常な」細胞からのプロファイルと比較
され得る。特に、これらのプロファイルは、癌及び他の障害などの細胞表面受容体の変化
によって特徴付けされる様々な疾患の診断に特に有用であり得る。
【0128】
IV.装置とシステム
本明細書では、上記のように細胞を区分化するのに使用されるマイクロ流体装置も提供
される。このようなマイクロ流体装置は、図1及び2に示されるような区分化プロセスを
実行するためのチャンネルネットワークを含むことができる。特に有用なマイクロ流体装
置の例は、2014年4月4日に出願された米国仮特許出願第61/977,804号に
記載されており、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組込まれる。簡潔
には、これらのマイクロ流体装置は、細胞を別個の細胞に区分化させるために、かつその
ような細胞を、例えば、ビーズ上に配置されたオリゴヌクレオチドバーコードライブラリ
ーメンバーと共に区分化させるために、本明細書に記載されているものなどのチャンネル
ネットワークを備えることができる。これらのチャンネルネットワークは、固体ボディ、
例えば、チャンネルが画定されるガラス、半導体またはポリマーのボディ構造内に配置す
ることができるが、この場合、それらのチャンネルは、その端部で、例えば、チャンネル
ネットワークの出力から、様々な入力流体を受容するために、かつ区分化された細胞を最
終的に堆積させるために、端部で容器と連通する。例として、図2を参照すると、チャン
ネル202と流体連結する容器には、細胞214の水性懸濁液が提供されてもよく、チャ
ンネル204に連結する容器には、オリゴヌクレオチドを担持するビーズ216の水性懸
濁液が提供されてもよい。チャンネルセグメント206及び208には、非水性溶液、例
えば油が供給されてもよく、この中に水性流体がチャンネル接合部212において液滴と
して区分化される。最終的に、排出容器を、チャンネル210に流体連結させて、そこに
区分化された細胞及びビーズを送達することができ、かつそこからそれらを採取してもよ
い。理解されるように、容器として記載されているが、チャンネルセグメントは、他のシ
ステムの配管、マニホールド、または流体構成要素を含む様々な異なる流体源または受容
構成要素のいずれかに連結され得ることが理解されるであろう。
【0129】
チャンネルネットワークを介して、例えば、加えられた圧力差、遠心力、動電ポンピン
グ、毛細管、または重力流などによって、これらの流体の流れを制御するシステムも提供
される。
【0130】
V.キット
本明細書では、個々の細胞または細胞の小さな集団を分析するためのキットも提供され
る。キットには、水性緩衝液及び非水性区分化流体または油の両方を含む、最大1つ、2
つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の全ての区分化流体、本明細書に記載のようにビ
ーズと放出可能に結合している核酸バーコードライブラリー、マイクロ流体装置、細胞を
破壊し、核酸を増幅させ、かつ細胞の核酸の断片またまたはその複製物にさらなる機能配
列を提供するための試薬、ならびに本明細書に記載の方法で上述のいずれかのものを使用
するための説明書が含まれ得る。
【0131】
VI.コンピュータ制御システム
本開示は、本開示の方法を実施するようにプログラムされているコンピュータ制御シス
テムを提供する。図17は、核酸配列決定方法、核酸配列データの解釈及び細胞核酸、R
NA(例えば、mRNA)などの分析、ならびに配列データから細胞を特徴付けることを
含む、本開示の方法を実施するようにプログラムされているかまたはさもなければ構成さ
れている、コンピュータシステム1701を示す。コンピュータシステム1701は、電
子デバイスに対して遠隔に配置されたユーザーまたはコンピュータシステムの電子デバイ
スであってよい。電子デバイスは、モバイル電子デバイスであってよい。
【0132】
コンピュータシステム1701は、単一コアもしくはマルチコアプロセッサー、または
並列処理のための複数のプロセッサーであってよい中央処理装置(CPU、本明細書では
「プロセッサー」及び「コンピュータプロセッサー」とも記載される)1705を備える
。コンピュータシステム1701は、メモリまたはメモリ場所1710(例えば、ランダ
ムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置1715
(例えば、ハードディスク)、1つまたは複数の他のシステムと通信するための通信イン
ターフェース1720(例えば、ネットワークアダプター)、ならびにキャッシュ、他の
メモリ、データ記憶装置、及び/または電子ディスプレイアダプターなどの周辺装置17
25を備える。メモリ1710、記憶装置1715、インターフェース1720、及び周
辺装置1725は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU1705と通信
する。記憶装置1715は、データを記憶するためのデータ記憶装置(またはデータリポ
ジトリ)であってよい。コンピュータシステム1701は、通信インターフェース172
0を用いてコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)1730に動作可能に連結す
ることができる。ネットワーク1730は、インターネット、インターネット及び/もし
くはエクストラネット、またはインターネットと通信しているイントラネット及び/もし
くはエクストラネットであってよい。ネットワーク1730は、いくつかの場合、電気通
信及び/またはデータネットワークである。ネットワーク1730は、クラウドコンピュ
ーティングなどの分散コンピューティングを有効にすることができる1つまたは複数のコ
ンピュータサーバーを備えることができる。ネットワーク1730は、コンピュータシス
テム1701を用いるいくつかの場合、コンピュータシステム1701に連結するデバイ
スがクライアントまたはサーバーとして動作することを可能にするピアツーピアネットワ
ークを実装することができる。
【0133】
CPU1705は、プログラムまたはソフトウェアで具現化され得る、機械可読命令の
シーケンスを実行することができる。命令は、メモリ1710などのメモリ場所に記憶す
ることができる。命令は、CPU1705を対象として、本開示の方法を実施するように
CPU1705をプログラムするか、さもなければそれを構成することができる。CPU
1705によって実行される動作例には、フェッチ、デコード、実行、及びライトバック
が含まれ得る。
【0134】
CPU1705は、集積回路などの回路の一部であってよい。システム1701の1つ
または複数の他の構成要素を回路に含むことができる。いくつかの場合、回路は特定用途
向け集積回路(ASIC)である。
【0135】
記憶装置1715は、ドライバー、ライブラリー、及び保存されたプログラムなどのフ
ァイルを格納することができる。記憶装置1715は、ユーザーデータ、例えば、ユーザ
ー選択及びユーザープログラムを格納することができる。コンピュータシステム1701
は、いくつかの場合、イントラネットまたはインターネットを介してコンピュータシステ
ム1701と通信するリモートサーバーに位置するような、コンピュータシステム170
1の外部にある1つまたは複数の追加データ記憶装置を含むことができる。
【0136】
コンピュータシステム1701は、ネットワーク1730を介して1つまたは複数のリ
モートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム1
701は、ユーザーのリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモート
コンピュータシステムの例には、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、
スレートまたはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)
、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話機、スマートフォン(例え
ば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android対応デバイス、
Blackberry(登録商標))、またはパーソナルデジタルアシスタントが挙げら
れる。ユーザーは、ネットワーク1730を介してコンピュータシステム1701にアク
セスすることができる。
【0137】
本明細書に記載の方法は、例えばメモリ1710または電子記憶装置1715などのコ
ンピュータシステム1701の電子記憶場所に記憶された機械(例えば、コンピュータプ
ロセッサー)実行可能コードによって実施することができる。機械実行可能コードまたは
機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供され得る。使用中、コードは、プロセッサ
ー1705によって実行することができる。いくつかの場合、コードは、記憶装置171
5から取り出され、プロセッサー1705によって即座にアクセスされるようにメモリ1
710に記憶することができる。いくつかの状況では、電子記憶装置1715を排除する
ことができ、機械実行可能命令がメモリ1710に記憶される。
【0138】
コードを実行するように適合させたプロセッサーを有する機械と共に使用するようにコ
ードをプレコンパイルして構成することができるか、または実行時にコンパイルすること
ができる。コードは、プレコンパイルまたはコンパイルされた方法でコードを実行させる
ように選択することができるプログラミング言語で提供され得る。
【0139】
コンピュータシステム1701などの本明細書で提供されるシステム及び方法の態様は
、プログラミングで具現化され得る。本技術の様々な態様は、典型的には、あるタイプの
機械可読媒体に搭載またはそこで具現化された、機械(またはプロセッサー)実行可能コ
ード及び/または関連データの形式の「製品」または「製造品」と考えることができる。
機械実行可能コードは、メモリ(例えば、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモ
リ、フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの電子記憶装置に格納することができ
る。「記憶」タイプの媒体は、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブ
などのコンピュータ、プロセッサーなどの有形のメモリ、またはそれに関連するモジュー
ルのいずれかまたは全てを含むことができ、これによって、随時、ソフトウェアプログラ
ミングに持続性格納を提供することができる。ソフトウェアの全部または一部は、時々、
インターネットまたは様々な他の電気通信ネットワークを介して通信され得る。そのよう
な通信は、例えば、1つのコンピュータまたはプロセッサーから別のものへと、例えば、
管理サーバーまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバーのコンピュータプ
ラットフォームへとソフトウェアを読み込むことを可能にすることができる。したがって
、ソフトウェア要素を担うことができる別のタイプの媒体には、有線及び光陸線ネットワ
ークならびに様々なエアリンクを介して、ローカルデバイス間のインターフェースにわた
って使用される光波、電波、及び電磁波が含まれる。有線または無線リンク、光リンクな
どのそのような波を搬送する物理的要素も、ソフトウェアを担う媒体と考えることができ
る。本明細書で使用される場合、持続的な有形の「記憶」媒体に限定されない限り、コン
ピュータまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行する命令をプロセッサーへ提供する
ことに関与する任意の媒体を指す。
【0140】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送
波媒体、または物理的伝送媒体を含むが、これらに限定されない多くの形態をとり得る。
不揮発性記憶媒体には、例えば、図面に示されたデータベースなどを実装するために使用
されるものなど、任意のコンピュータ(複数可)などの記憶装置のいずれかなどの光学デ
ィスクまたは磁気ディスクが含まれる。揮発性記憶媒体には、そのようなコンピュータプ
ラットフォームのメインメモリなどの動的メモリが含まれる。有形の伝送媒体には、同軸
ケーブルと、コンピュータシステム内でバスを備えるワイヤを含む銅線及び光ファイバー
と、が含まれる。搬送波伝送媒体は、電気もしくは電磁信号、または無線周波数(RF)
及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなどの音響波もしくは光波の形態をと
り得る。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピー(
登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の
磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチ
カード紙テープ、孔のパターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、P
ROM及びEPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップもしくはカート
リッジ、データもしくは命令を搬送する搬送波、そのような搬送波を搬送するケーブルも
しくはリンク、またはコンピュータがプログラミングコード及び/もしくはデータを読み
取ることができる任意の他の媒体が挙げられる。これらの形態のコンピュータ可読媒体の
多くは、実行のために1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ
ーに搬送することに関与し得る。
【0141】
コンピュータシステム1701は、例えば、核酸配列決定、核酸配列決定データの分析
、核酸配列決定サンプルの特徴付け、細胞特徴付けの結果などを提供するためのユーザー
インターフェース(UI)1740を備える電子ディスプレイ1735を備えるか、また
はそれと通信することができる。UIの例には、グラフィカルユーザーインターフェース
(GUI)及びウェブベースのユーザーインターフェースが含まれるが、これらに限定さ
れない。
【0142】
本開示の方法及びシステムは、1つまたは複数のアルゴリズムによって実装することが
できる。アルゴリズムは、中央処理装置1705による実行時にソフトウェアによって実
施することができる。アルゴリズムは、例えば、核酸配列決定の開始、核酸配列決定デー
タの処理、核酸配列決定結果の解釈、核酸サンプルの特徴付け、及び細胞の特徴付けなど
を行うことができる。
【実施例
【0143】
VII.実施例
実施例I エマルジョンを用いた細胞RNA分析
一例では、図9Aに示す操作で、エマルジョン液滴中で、テンプレートスイッチングに
よる逆転写及びcDNA増幅(PCRによるもの)を行う。逆転写及びcDNA増幅(P
CRによるもの)のために区分化された反応混合物は、1,000の細胞もしくは10,
000の細胞または10ngのRNA、バーコード化オリゴヌクレオチド/0.2%Tx
-100/5倍のKapa緩衝液を含むビーズ、2倍のKapa HS HiFi Re
ady Mix、4μMのスイッチオリゴ、ならびにSmartscribeを含む。細
胞が存在する場合、混合物は、大部分または全ての液滴が単一細胞及び単一ビーズを含む
ように区分化される。操作950のように、細胞が溶解され、その間バーコード化オリゴ
ヌクレオチドがビーズから放出され、バーコード化オリゴヌクレオチドのポリTセグメン
トが、細胞から放出されたmRNAのポリA尾部にハイブリダイズする。ポリTセグメン
トは、操作952のように逆転写反応で伸長され、cDNA転写物は操作954のように
増幅される。熱サイクル条件は42℃で130分間、98℃で2分間、ならびに98℃で
15秒間、60℃で20秒間、及び72℃で6分間の35サイクルである。熱サイクル後
、エマルジョンは破壊され、操作956と同様に転写物はDynabeads及び0.6
倍のSPRIで精製される。
【0144】
図13Aの1,000の細胞、図13Cの10,000細胞、図13Bの10ngのR
NAに対する、エマルジョン中のテンプレートスイッチ逆転写及びPCRからの収率が示
されている(Smartscribe線)。10ngのRNAのエマルジョン中で実施さ
れたRT及びPCRからのcDNA転写物は、操作958と同様に、剪断されて機能配列
に連結され、0.8倍のSPRIで洗浄され、PCRによりさらに増幅される。増幅生成
物は0.8倍のSPRIで洗浄される。この処理からの収率を図13B(SSII線)に
示す。
【0145】
実施例II エマルジョンを用いた細胞RNA分析
別の例では、図9Aに示す操作で、エマルジョン液滴中で、テンプレートスイッチング
による逆転写及びcDNA増幅(PCRによるもの)を行う。逆転写及びcDNA増幅(
PCRによるもの)のために区分化された反応混合物は、Jurkat細胞、バーコード
化オリゴヌクレオチド/0.2% TritonX-100/5倍のKapa緩衝液を含
むビーズ、2倍のKapa HS HiFi Ready Mix、4μMのスイッチオ
リゴ、及びSmartscribeを含む。混合物は、大部分または全ての液滴が単一細
胞及び単一ビーズを含むように区分化される。操作950のように、細胞が溶解され、そ
の間バーコード化されたオリゴヌクレオチドがビーズから放出され、バーコード化された
オリゴヌクレオチドのポリTセグメントが、細胞から放出されたmRNAのポリA尾部に
ハイブリダイズする。ポリTセグメントは、操作952のように逆転写反応で伸長され、
cDNA転写物は操作954のように増幅される。熱サイクル条件は42℃で130分間
、98℃で2分間、ならびに98℃で15秒間、60℃で20秒間、及び72℃で6分間
の35サイクル、である。熱サイクル後、エマルジョンは破壊され、操作956と同様に
転写物はDynabeads及び0.6倍のSPRIで洗浄される。様々な細胞数(62
5の細胞、1,250の細胞、2,500の細胞、5,000の細胞、10,000の細
胞)との反応からの収率を図14Aに示す。これらの収率は、図14Bに示されるGAD
PH qPCRアッセイ結果で確認される。
【0146】
実施例III エマルジョンを用いたRNA分析
別の例では、図9Cに示されるのと同様の方法で、エマルジョン液滴中で逆転写を行い
、バルクでcDNA増幅を行う。逆転写反応のために区分化される反応混合物は、バーコ
ード化されたオリゴヌクレオチドを有するビーズ、10ngのJurkat RNA(例
えばJurkat mRNA)、5倍のFirst-Strand緩衝液、及びSmar
tscribeを含む。バーコード化オリゴヌクレオチドはビーズから放出され、バーコ
ード化オリゴヌクレオチドのポリTセグメントは、操作961のようにRNAのポリA尾
部にハイブリダイズする。ポリTセグメントは、操作963のように逆転写反応において
伸長される。逆転写の熱サイクル条件は、42℃で2時間の1サイクル、及び70℃で1
0分間の1サイクルである。熱サイクル後、エマルジョンは破壊され、操作962のよう
にRNA及びcDNA転写物は変性される。次いで、第2鎖は、操作964のようにビオ
チンタグを有するプライマーでプライマー伸長により合成する。このプライマー伸長の反
応条件は、第1鎖としてのcDNA転写物、及び0.5~3.0μMの濃度範囲のビオチ
ン化伸長プライマーを含む。熱サイクル条件は、98℃で3分間の1サイクル、ならびに
98℃で15秒間、60℃で20秒間、及び72℃で30分間の1サイクルである。プラ
イマーの伸長後、第2鎖をDynabeads MyOne Streptavidin
C1及びT1でプルダウンし、Agilent SureSelect XT緩衝液で
洗浄する。第2鎖は、以下のサイクル条件、すなわち98℃で3分間の1サイクル、なら
びに98℃で15秒間、60℃で20秒間、及び72℃で30分間の1サイクルで、操作
965のようにPCRにより事前に増幅される。様々な濃度のビオチン化プライマー(0
.5μM、1.0μM、2.0μM及び3.0μM)の収率を図15に示す。
【0147】
実施例IV エマルジョンを用いたRNA分析
別の例では、図10に示すように、T7ポリメラーゼによるインビトロ転写がRNA転
写物を生成するのに使用される。逆転写反応のために区分化される反応混合物は、T7R
NAポリメラーゼプロモーター配列も含むバーコード化されたオリゴヌクレオチドを有す
るビーズ、10ngのヒトRNA(例えば、ヒトmRNA)、5倍のFirst-Str
and緩衝液、及びSmartscribeを含む。混合物は、液滴の大部分または全部
が単一のビーズを含むように区分化される。バーコード化オリゴヌクレオチドはビーズか
ら放出され、バーコード化オリゴヌクレオチドのポリTセグメントは、操作1050のよ
うにRNAのポリA尾部にハイブリダイズする。ポリTセグメントは、操作1052のよ
うに逆転写反応において伸長される。熱サイクル条件は、42℃で2時間の1サイクル及
び70℃10分間で1サイクルである。熱サイクル後、エマルジョンは破壊され、残りの
操作はバルクで行われる。次いで、第2鎖が、操作1054のようにプライマー伸長によ
って合成される。このプライマー伸長の反応条件は、テンプレートとしてのcDNA転写
物及び伸長プライマーを含む。熱サイクル条件は、98℃で3分間の1サイクル、ならび
に98℃で15秒間、60℃で20秒間、及び72℃30分間の1サイクルである。この
プライマー伸長後、第2鎖を0.6倍のSPRIで精製する。次いで、操作1056のよ
うに、RNA転写物を生成するためにインビトロ転写が行われる。インビトロ転写を一晩
行い、転写物を0.6倍のSPRIで精製する。インビトロ転写からのRNA収率を図1
6に示す。
【0148】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書に示されて説明されているが、当業者には、そ
のような実施形態は例示のためにのみ提供されていることが明らかであろう。本発明は、
本明細書中に提供された特定の例によって限定されないことが意図されている。本発明を
上述の明細書を参照して説明したが、本明細書の実施形態の説明及び例示は、限定的な意
味で解釈されることを意図するものではない。ここで、当業者は、本発明から逸脱するこ
となく、多くの変形形態、変更形態、及び置換形態に想到するであろう。さらに、本発明
の全ての態様は、様々な条件及び変数によって決定される、本明細書に記載の特定の描写
、構成、または相対的な比率に限定されないことを理解されるであろう。本明細書に記載
された本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明の実施において使用され得るこ
とが理解されるべきである。したがって、本発明は、任意のそのような代替、改変、変形
、または等価物も網羅するものと考えられる。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定
義し、かつこれらの特許請求の範囲内の方法及び構造ならびにそれらの均等物はそれによ
って網羅されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15
図16
図17