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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】ボディブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 9/02 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
A46B9/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021085529
(22)【出願日】2021-05-20
(65)【公開番号】P2022178603
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敏男
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-198854(JP,A)
【文献】特開2012-217544(JP,A)
【文献】特開2010-148732(JP,A)
【文献】登録実用新案第3207092(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部に一体として設けられたブラシ部を備え、該ブラシ部に保持された泡状洗浄料を肌面に届けながら身体を洗浄できるようにしたボディブラシであって、
前記ブラシ部は、ブラシベースと、該ブラシベースに装着された、硬度(ショアA硬度)が10~30の軟質弾性樹脂からなるブラシ本体とを含んで構成されており、
該ブラシ本体は、多数の突起を立設させた立設基面部を備えており、これらの突起は、各々、高さが4~10mmの切頭錐体形状を有する突起となっていると共に、基端部の外径が6~8mm、先端部の外径が1~2mmの大きさの切頭錐体形状を有しており
且つ前記立設基面部における、最外周部分に配置された前記突起の基端部の外側縁部を連ねた仮想の環状線によって囲まれる領域を、突起立設領域として、該突起立設領域における前記突起の立設密度((突起の本数)/(突起立設領域の面積))が、2.0~3.5(本/cm)となるように、多数の前記突起が分散配置されて立設しているボディブラシ。
【請求項2】
多数の前記突起は、各々、切頭円錐体形状を有している請求項1記載のボディブラシ。
【請求項3】
前記ブラシ本体は、円形状の正面形状を有している請求項1又は2記載のボディブラシ。
【請求項4】
多数の前記突起は、前記ブラシ本体の中央部を中心とする複数の同心円に沿うようにして、分散配置されて立設している請求項3記載のボディブラシ。
【請求項5】
前記ブラシベースに装着された前記ブラシ本体の前記立設基面部は、湾曲凸面を形成している請求項1~4のいずれか1項記載のボディブラシ。
【請求項6】
前記ハンドル部は、手で把持した際に背中の中央部に届く長さを備える柄状ハンドル部となっており、前記ブラシ部は、該柄状ハンドル部の先端部分に一体として設けられている請求項1~5のいずれか1項記載のボディブラシ。
【請求項7】
前記柄状ハンドル部は、ブラシ側ハンドル部に柄側ハンドル部を着脱可能に一体として連結することによって形成されている請求項6記載のボディブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディブラシに関し、特に、ブラシ部に保持された泡状洗浄料を肌面に届けながら身体を洗浄できるようにしたボディブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の生活環境の変化や平均寿命の増大に伴う高齢化などによって、例えば人の肌の乾燥化に対する関心が高まっている。また人の肌に対する悩みの要因も、ホコリ、油、泥等の汚れに対するものから、例えば汗や皮脂に対するものや、さらに、PM2.5、花粉、化繊衣料、エアコン等による環境ストレス汚れに対するものに、その比率が増加してきている。これに伴って、人の肌に対する洗浄の習慣として、石鹸と綿タオルを用いたものから、例えばボディソープとナイロンタオルを用いたものに、その比率が増加してきている。
【0003】
一方、上述のような人の肌に対する洗浄の習慣では、未だにごしごしと肌を洗う方法が主流となっているが、特に乾燥肌に対しては、洗い過ぎると却って肌ストレスを生じさせることになるので、肌ストレスを抱え易くなっている多くの現代人とっては、本質的な改善策とはなっていないと考えられる。このようなことから、人の肌を洗い過ぎないようにするといった新たな発想の下、環境の変化や高齢化による乾燥肌に肌ストレスを抱えている現代人にとって、最適な人の肌の洗浄習慣として、好ましくは泡吐出器や泡を生じ易い液体洗浄料による泡タイプの泡状洗浄料を、人の手に取って、摩擦を生じさせないようにしながら柔らく肌に届けるようして、手洗いよって人の肌を優しく洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献1の段落〔0004〕参照)。また、特許文献1の身体洗浄用ブラシでは、平板状の持ち手部から起立させた複数の軸部(突起)の先端部に、接着剤を介して植毛された短繊維が設けられていることにより、身体を洗いながら身体の表面上で、洗浄剤を柔らかでクリーミーな泡に変化させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-175494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の身体洗浄用ブラシでは、身体を洗いながら身体の表面上で、洗浄剤を柔らかいクリーミーな泡に変化させる複数の軸部(突起)は、硬度が高すぎると共に、これらの配置が適切でないため、人の肌を洗い過ぎないようにするといった新たな発想の下で、手に取った泡状洗浄料を、摩擦を生じさせないようにしながら人の肌に柔らく届けるようして、人の肌を手洗いによって洗浄するのと同様の感触を得ることは困難である。
【0006】
また特に、手に取った泡状洗浄料を、摩擦を生じさせないようにしながら人の肌に柔らく届けるようして、人の肌を手洗いによって洗浄する方法では、例えば背中の中央部分等の手の届かない部分の肌を洗浄することは難しいことから、このような手の届かない部分の人の肌に対しても、泡状洗浄料を用いた手洗いによる方法と同様の感触を得つつ、肌ストレスを生じさせないようにしながら洗浄することを可能にする新たな身体洗浄用のブラシの開発が望まれている。
【0007】
本発明は、泡状洗浄料を用いた手洗いによる方法と同様の感触を得つつ、肌ストレスを生じさせないようにしながら人の肌を洗浄することのできるボディブラシに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ハンドル部に一体として設けられたブラシ部を備え、該ブラシ部に保持された泡状洗浄料を肌面に届けながら身体を洗浄できるようにしたボディブラシであって、前記ブラシ部は、ブラシベースと、該ブラシベースに装着された、硬度(ショアA硬度)が10~30の軟質弾性樹脂からなるブラシ本体とを含んで構成されており、該ブラシ本体は、多数の突起を立設させた立設基面部を備えており、これらの突起は、各々、高さが4~10mmの切頭錐体形状を有する突起となっており、且つ前記立設基面部における、最外周部分に配置された前記突起の基端部の外側縁部を連ねた仮想の環状線によって囲まれる領域を、突起立設領域として、該突起立設領域における前記突起の立設密度((突起の本数)/(突起立設領域の面積))が、2.0~3.5(本/cm)となるように、多数の前記突起が分散配置されて立設しているボディブラシである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のボディブラシによれば、泡状洗浄料を用いた手洗いによる方法と同様の感触を得つつ、肌ストレスを生じさせないようにしながら人の肌を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の好ましい一実施形態に係るボディブラシの斜視図である。
図2図2は、本発明の好ましい一実施形態に係るボディブラシの正面図である。
図3図3は、本発明の好ましい一実施形態に係るボディブラシの側面図である。
図4図4(a)は、ブラシ本体を斜め上方から見た斜視図、図4(b)は、ブラシ本体を斜め下方から見た斜視図である。
図5図5(a)は、ブラシベースを斜め上方から見た斜視図、図5(b)は、ブラシベースを斜め下方から見た斜視図である。
図6図6は、ブラシベースにブラシ本体を装着してなるブラシ部の側面図である。
図7図7は、切頭錐体形状を有する突起を例示する拡大側面図である。
図8図8は、ハンドル部のブラシ取付け部にブラシ部を一体として取り付ける状況を説明する分解斜視図である。
図9図9(a)は、ハンドル部に一体として設けられたブラシ部の拡大側面図、図9(b)は、拡大正面図である。
図10】実施例1のボディブラシ、及び比較例1~3のボディブラシの説明図である。
図11】実施例2~4のボディブラシ、及び比較例4~6のボディブラシの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係るボディブラシ10は、例えば公知の泡吐出容器の泡吐出器から吐出された、好ましくは柔らかでクリーミーな泡となっている泡状洗浄料を、ブラシ部11のブラシ本体12に保持させた状態で、保持した泡状洗浄料を人の肌に柔らく届けるようしながら、人の肌を優しく洗浄できるようにするための洗浄用のブラシとして用いられる。本実施形態のボディブラシ10は、泡状洗浄料を保持して人の肌の肌面に届けるブラシ本体12や、これの立設基面部12aから立設する多数の突起13の材質や配置を工夫することによって、泡状洗浄料を用いた手洗いによる方法と同様の感触を得つつ、肌ストレスを生じさせないようにしながら人の肌を洗浄できるようにすると共に、特に背中の中央部分等の手の届かない部分の人の肌を、泡状洗浄料を用いた手洗いによる方法と同様の感触を得つつ、洗浄できるようにする機能を備えている。本実施形態において、泡状洗浄料は、泡体そのものの他、液状の洗浄料をボディブラシ10や肌に塗布し、こする過程で泡状に泡立てたものであっても良い。
【0012】
そして、本実施形態のボディブラシ10は、ハンドル部20に一体として設けられたブラシ部11を備え、このブラシ部11に保持された泡状洗浄料を肌面に届けながら身体を洗浄できるようにした身体洗浄用のブラシであって、ブラシ部11は、ブラシベース14と、このブラシベース14に装着された、硬度(ショアA硬度)が10~30の軟質弾性樹脂からなるブラシ本体12とを含んで構成されている。ブラシ本体12は、多数の突起13を立設させた立設基面部12aを備えている。これらの突起13は、各々、高さが4~10mmの切頭錐体形状を有する突起となっており(図7図9参照)、且つ立設基面部12aにおける、最外周部分に配置された突起13’の基端部13a(図7参照)の外側縁部を連ねた仮想の環状線S(図9(b)参照)によって囲まれる領域を、突起立設領域Rとして、この突起立設領域Rにおける突起13の立設密度((突起の本数)/(突起立設領域の面積))が、2.0~3.5(本/cm)となるように、多数の突起13が分散配置されて立設している。
【0013】
また、本実施形態では、ブラシ本体12は、好ましくは円形状の正面形状を有しており、多数の突起13は、各々、好ましくは切頭円錐体形状を有している。
【0014】
さらに、本実施形態では、ハンドル部20は、手で把持した際に背中の中央部に届く長さを備える柄状ハンドル部となっており、ブラシ部11は、柄状ハンドル部20の先端部分に一体として設けられている。
【0015】
本実施形態では、ブラシ部11は、図4図6に示すように、ブラシベース14(図5(a)、(b)参照)とブラシ本体12(図4(a)、(b)参照)とを含んで構成されており、ブラシベース14は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等からなるプラスチック製の、相当の保形剛性を有する射出成形品となっている。ブラシベース14は、好ましくは円形状の正面形状(平面形状)を備えるように形成されており、好ましくは天面部分14aが、例えば80~250mm程度の曲率半径で緩やかに湾曲する湾曲凸面となっている。また天面部分14aの外周縁部から開口底面側に一体として延設して、環状装着スカート部14bが形成されていると共に、環状装着スカート部14bの開口底面側の端部から径方向外方に張り出すようにして、リング状張出し部14cが設けられている。リング状張出し部14cの内周縁部からさらに開口底面側に延設して、環状嵌込み接合部14dが形成されており、この環状嵌込み接合部14dの先端部の内側領域が、ブラシベース14の開口底面となっている。
【0016】
また、好ましくは円形状の平面形状を備えるブラシベース14の天面部分14aにおける、周方向に等角度間隔をおいた4箇所の周縁部分には、斜辺側を開放させた略直角三角形状の断面形状を有する食込み部14eが形成されている。ブラシベース14の内周面には、この食込み部14eの内側面と連続するようにして、斜辺側を開放させた略直角三角形状の断面形状を有する内側突壁部14fが、開口底面側に向けて、リング状張出し部14cを中間部分に配置した形で、環状装着スカート部14bから環状嵌込み接合部14dにかけて延設して設けられている。この内側突壁部14fの開口底面側の部分によって、斜辺側を開放させた略直角三角形状の断面形状を有する位置決め係合部14gが、ブラシベース14の環状嵌込み接合部14dに、内方に突出して4箇所に形成されている。これらの位置決め係合部14gは、後述するブラシ側ハンドル部21のブラシ取付け部22にブラシ部11を一体として取り付ける際に(図8参照)、ブラシ取付け部22の回転止め係合部22aに係止されることになる。
【0017】
ブラシ本体12は、硬度(ショアA硬度)が10~30の軟質弾性樹脂として、例えばスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS:Thermoplastic Styrenic Elastomer)を用いた射出成形品となっている。またブラシ本体12は、硬度(ショアA硬度)が10~30の軟質弾性樹脂として、好ましくはシリコンゴムによる射出成形品とすることもできる。ここで、ショアA硬度は、例えば株式会社テクロック製のゴム硬度計(GS709N 形式A)を用いて、ASTM D2240A 0-100に準拠して測定された数値である。
【0018】
ブラシ本体12は、ブラシベース14と同様に、好ましくは直径が60~80mm程度の大きさの円形状の正面形状(平面形状)を備えるように形成されており、好ましくは天面部分となる立設基面部12aが、ブラシベース14の天面部分14aと同様に、例えば80~250mm程度の曲率半径で緩やかに湾曲する湾曲凸面を形成している。立設基面部12aには、好ましくは切頭円錐体形状を有する多数の突起13が、分散配置されて立設している。また立設基面部12aの外周縁部から開口底面側に一体として延設して、環状弾性スカート部12bが形成されている。環状弾性スカート部12bにおける立設基面部12aとは反対側の端部の開口周縁部から外方に張り出すようにして、リング状弾性張出し部12cが形成されている。また環状弾性スカート部12bには、ブラシベース14の天面部分14aの周縁部分に形成された4箇所の食込み部14eと対応する部分に、略直角三角形状の断面形状を有する内側係着部12dが、内方に突出して4箇所に設けられている。ブラシ本体12をブラシベース14に一体として装着してブラシ部11を形成する際に(図6参照)、4箇所の内側係着部12dが、ブラシベース14の天面部分14aの食込み部14eに、各々係着されることになる。
【0019】
そして、本実施形態では、ブラシ本体12の立設基面部12aから立設する多数の突起13は、図7及び図9(a)、(b)に示すように、各々、切頭錐体形状を有する突起として、好ましくは切頭円錐体形状を有する突起となっている。多数の突起13は、本実施形態では、好ましくはブラシ本体の中央部を中心とする複数の同心円に沿うようにして、分散配置されて立設している(図9(b)参照)。
【0020】
本実施形態では、多数の突起13は、ブラシ本体12が10~30の硬度の軟質弾性樹脂によって形成されていることで、硬度(ショアA硬度)が10~30となっている。これによって、摩擦感を殆ど感じることなく、且つ肌に負担もなく、適度な洗浄感及び柔らかい肌あたりで、泡状洗浄料を用いて身体を洗浄することか可能になる。このような観点から、突起13の硬度は、10~30であることがより好ましく、13~25であることがさらに好ましい。使用感や洗浄感の観点から、突起13の硬度は、10以上がより好ましく、13以上がさらに好ましい。突起13の硬度が30よりも大きいと、刺激が強くなって痛く感じる場合がある。このような観点から、突起13の硬度は、30以下がより好ましく、25以下がさらに好ましい。
【0021】
また、本実施形態では、多数の突起13は、各々、4~10mmの高さを備えている。これによって、適度の力で変形し易い突起とすることが可能になって、力を強く入れてしまった場合でも肌に優しい感触を得ることが可能になると共に、泡の保持性を向上させることが可能になる。このような観点から、突起13の高さは、4~10mmであることがより好ましく、5~8mmであることがさらに好ましい。突起13の高さが4mmよりも小さいと、泡が無くなった時に、立設基面部12aの表面が直接肌に当たることになって好ましくない。このような観点から、突起13の高さは、4mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましい。適度な刺激感を付与する観点から、突起13の高さは、10mm以下がより好ましく、8mm以下がさらに好ましい。
【0022】
また、本実施形態では、多数の突起13は、立設基面部12aにおける最外周部分に配置された突起13’の基端部13aの外側縁部を連ねた仮想の環状線S(図9(b)参照)によって囲まれる領域を、突起立設領域Rとして、この突起立設領域Rにおける突起13の立設密度((突起の本数)/(突起立設領域の面積))が、2.0~3.5(本/cm)となるように、分散配置されて立設している。これによって、泡保持性を向上させることが可能になって、保持した泡を身体の隅々のまで届かせることが可能になると共に、使用後に洗浄し易く、且つ髪の毛や泡を流し易くなるので、清潔さを保持することが可能になる。またブラシ部11が乾かし易くなって、衛生的に用いることが可能になる。本実施形態では、多数の突起13として、103本の突起が立設基面部12aから立設していることで、立設密度は、103/40=2.6(本/cm)となっている。
【0023】
突起立設領域Rにおける突起13の立設密度は、洗浄面の泡保持性や洗浄効果の向上、または手洗いによる方法と同様の感触を得る観点から2.0(本/cm)以上が好ましく、3.5(本/cm)以下が好ましい。
【0024】
さらに、好ましくは切頭円錐体形状を有する切頭錐体形状の多数の突起13は、上述のような観点から、各々、基端部13aの外径が6~8mm、先端部13bの外径が1~2mmの大きさとなっていることが好ましい。ここで、多数の突起13が、円形以外の横断面形状を備えている場合には、これらの突起13の外径は、当該突起13の断面積が円の面積として換算される場合の直径である。
【0025】
さらにまた、本実施形態では、多数の突起13が、好ましくはブラシ本体の中央部を中心とする複数の同心円に沿うようにして、分散配置されて立設している。これによって、適度な刺激感を肌に与えることが可能になると共に、円形状ブラシ本体12に突起13を効率よく分散配置して立設することが可能になる。
【0026】
上述の構成を備えるブラシ本体12は、例えばこれを適宜弾性変形させながら、天面部分である立設基面部12aをブラシベース14の天面部分14aに、環状弾性スカート部12bをブラシベース14の環状装着スカート部14bに、リング状弾性張出し部12cをブラシベース14のリング状張出し部14cに、各々密着させて重ね合わせた状態で、ブラシベース14に一体として装着することができる。これによって、ブラシ本体12とブラシベース14とからなる、図6に示すようなブラシ部11が形成される。またこれによって、ブラシ本体12の多数の突起13が立設する立設基面部12aは、重ね合わされたブラシベース14の湾曲する天面部分14aによって強固に支持された、湾曲凸面を形成することになる。ブラシ本体12の多数の突起13が立設する立設基面部12aが、緩やかに湾曲する湾曲凸面となっていることにより、例えば背中の中央部分等の手の届かない部分の肌を洗浄するときに、身体負荷を少なくして、突起13を肌にあてやすくすることが可能になる。
【0027】
そして、ブラシ本体12をブラシベース14に一体として装着して得られたブラシ部11は、図8に示すように、柄状ハンドル部20を構成するブラシ側ハンドル部21のブラシ取付け部22に、嵌め込むようにして取り付けられて、当該ブラシ部11が柄状ハンドル部20の先端部分に一体として設けられた、本実施形態のボディブラシ10が形成されることになる(図1参照)。
【0028】
ボディブラシ10を構成するハンドル部である柄状ハンドル部20は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等からなるプラスチック製の、相当の保形剛性を備える射出成形品となっている。また、柄状ハンドル部20は、好ましくは手で把持した際に背中の中央部に届く長さとして、例えば20~40cm程度の長さを備えており、また好ましくは、ブラシ側ハンドル部21に柄側ハンドル部23を着脱可能に一体として連結することによって形成されている(図8参照)。柄状ハンドル部20を、ブラシ側ハンドル部21と柄側ハンドル部23とに2分割して形成したことにより、柄状ハンドル部20を背中の中央部に届く相当の長さとなるように形成した場合でも、販売時におけるボディブラシ10の包装体の長さを、売り場の例えば陳列棚に整然と並べておける長さに、留めることが可能になる。
【0029】
ブラシ側ハンドル部21は、連結ロッド部21aの端部に円形状の正面形状(平面形状)を備えるブラシ取付け部22が設けられた形状を有している。ブラシ取付け部22は、底板部22bの周縁部から円環状の嵌込み壁部22cを立設させた、扁平な受皿形状を備えている。またブラシ取付け部22の嵌込み壁部22cには、周方向に等角度間隔をおいた、ブラシ部11のブラシベース14の位置決め係合部14gと対応する4箇所に、略等脚台形状の断面形状を有する回転止め係合部22aが、内方に突出して設けられている。柄状ハンドル部20の先端部分のブラシ取付け部22に、ブラシ部11を一体として取り付ける際に、回転止め係合部22aにブラシ部11の位置決め係合部14gを、略直角三角形状の両側の辺部を略等脚台形状の両側の脚部に各々沿わせるようにして係止することによって、ブラシ部11を、ブラシ取付け部22に対して回転しないように安定して位置決めすることが可能になる。
【0030】
また、ブラシ取付け部22の嵌込み壁部22cには、各隣接する一対の回転止め係合部22aの間の部分の内側面に、係合段部22dが設けられている。柄状ハンドル部20の先端部分のブラシ取付け部22にブラシ部11を一体として取り付ける際に、これらの係合段部22dに、ブラシベース14の環状嵌込み接合部14dの外側面に設けられた被係合段部14hを無理押しするようにして係合することにより、ブラシ部11を柄状ハンドル部20のブラシ取付け部22に、中空内部を密封した状態で、強固に固定して取り付けることが可能になる。これによって、中空内部に水や洗浄料等の液体が侵入しなくなるため、ボディブラシ10を衛生的に用いることが可能になる。
【0031】
ブラシ側ハンドル部21の連結ロッド部21aは、好ましくは4方の角部が湾曲形状に面取りされた、略矩形状の断面形状を備える細長い棒状部分となっており、ブラシ取付け部22とは反対側の端部には、雌側連結係合部21bが形成されている。この雌側連結係合部21bに、雄側連結係合部23bを係合することによって、柄側ハンドル部23が、ブラシ側ハンドル部21の連結ロッド部21aに、一体として連結されることになる(図1参照)。
【0032】
柄側ハンドル部23は、ブラシ側ハンドル部21の連結ロッド部21aと同様に、好ましくは4方の角部が湾曲形状に面取りされた、略矩形状の断面形状を備える細長い棒状部分となっており、一方の端部には、雄側連結係合部23bが形成されている。柄側ハンドル部23の外周面には、これの軸方向に間隔をおいて、周方向に延設する複数の突リブ23aが横縞状に連設して形成されており、これによって、柄側ハンドル部23は、柄部として把持し易くなっている。柄側ハンドル部23の雄側連結係合部23bとは反対側の端部には、係止穴23cが貫通形成されており、この係止穴23cを介することで、ボディブラシ10を所望の箇所に吊り下げて保管できるようになっている。
【0033】
そして、上述の構成を備える本実施形態のボディブラシ10によれば、泡状洗浄料を用いた手洗いによる方法と同様の感触を得つつ、肌ストレスを生じさせないようにしながら人の肌を洗浄することが可能になる。
【0034】
すなわち、本実施形態によれば、泡状洗浄料を保持するブラシ部11のブラシ本体12は、硬度(ショアA硬度)が10~30の軟質弾性樹脂からなり、立設基面部12aから立設する多数の突起13は、各々、高さが4~10mmの切頭錐体形状を有する突起となっており、且つ立設基面部12aの突起立設領域Rにおける突起13の立設密度((突起の本数)/(突起立設領域の面積))が、2.0~3.5(本/cm)となるように、多数の突起13が分散配置されて立設している。
【0035】
これによって、本実施形態のボディブラシ10によれば、立設基面部12aから立設する多数の突起13が、例えば公知の泡吐出容器の泡吐出器から吐出された、好ましくは柔らかでクリーミーな泡となっている泡を、保持するのに適した形状や配置で設けられることになるので、泡の保持性を効果的に向上させることが可能になると共に、人の肌の肌面に届けられた泡を、各々の突起13の適度な柔らかさによって、人の肌を洗い過ぎないようにするといった新たな発想の下、摩擦を生じさせないように柔らく人の肌に届けるようしつつ、人の肌を手洗いによって洗浄するのと同様の感触を得て、肌ストレスを生じさせないようにしながら、効果的に洗浄することが可能になる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、ブラシ本体は、円形状の正面形状を有している必要は必ずしも無く、長円形状や楕円形状や矩形形状等、その他の種々の正面形状を有していても良い。多数の前記突起は、ブラシ本体の中央部を中心とする複数の同心円に沿うようにして、分散配置されて立設している必要は必ずしも無く、立設密度が2.0~3.5(本/cm)となる範囲で、その他の種々の形態で分散配置されて立設していても良い。
【0037】
以下、実施例及び比較例により、本発明のボディブラシをさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例及び比較例の記載によって何ら制限されるものではない。
【実施例
【0038】
〔実施例1、比較例1~3〕
ハンドル部に一体として設けられるブラシ部のブラシ本体が、図10に示すような形態となっている実施例1のボディブラシ、及び比較例1~3のボディブラシについて、使用感触及び泡保持性を、感応評価により評価した。使用感触及び泡保持性に関して、とても良いを「○」、良いを「△」、悪いを「×」として評価した。評価結果を図10に示す。
【0039】
〔実施例2~4、比較例4~6〕
ハンドル部に一体として設けられるブラシ部のブラシ本体が、図11に示すような形態となっている実施例2~4のボディブラシ、及び比較例4~6のボディブラシについて、使用感触及び泡保持性を、感応評価により評価した。使用感触及び泡保持性に関して、とても良いを「○」、良いを「△」、悪いを「×」として評価した。評価結果を図11に示す。
【0040】
図10及び図11に示す評価結果によれば、本発明に係る実施例1~4のボディブラシは、いずれも使用感触及び泡保持性に優れていることが判明する。
【符号の説明】
【0041】
10 ボディブラシ
11 ブラシ部
12 ブラシ本体
12a 立設基面部
12b 環状弾性スカート部
12c リング状弾性張出し部
12d 内側係着部
13 突起
13’ 最外周部分に配置された突起
13a 基端部
13b 先端部
14 ブラシベース
14a 天面部分
14b 環状装着スカート部
14c リング状張出し部
14d 環状嵌込み接合部
14e 食込み部
14f 内側突壁部
14g 位置決め係合部
14h 被係合段部
20 柄状ハンドル部(ハンドル部)
21 ブラシ側ハンドル部
21a 連結ロッド部
21b 雌側連結係合部
22 ブラシ取付け部
22a 回転止め係合部
22b 底板部
22c 嵌込み壁部
22d 係合段部
23 柄側ハンドル部
23a 突リブ
23b 雄側連結係合部
23c 係止穴
S 仮想の環状線
R 突起立設領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11