(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】通行状態取得方法及び装置、路側装置、並びに、クラウド制御プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230810BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230810BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230810BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/16 A
G06T7/00 650Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021174000
(22)【出願日】2021-10-25
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】202110288819.2
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521208273
【氏名又は名称】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】APOLLO INTELLIGENT CONNECTIVITY(BEIJING)TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】101, 1st Floor, Building 1, Yard 7, Ruihe West 2nd Road, Beijing Economic and Technological Development Zone, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】リゥ, ブォ
(72)【発明者】
【氏名】フー, シン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジャリン
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038486(JP,A)
【文献】特開2016-206756(JP,A)
【文献】特開2016-014939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G06N 3/00- 3/12、 7/08-99/00
G06Q 10/00-10/30、30/00-30/08、
50/00-50/20、50/26-99/00
G06T 1/00- 1/40、 3/00- 7/90
G06V 10/00-20/90、30/418、
40/16、40/20
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
G16Z 99/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行状態取得装置により実行される通行状態取得方法であって、
目標交差点の異なる道路区間又は同じ道路区間の走行状態を撮影することができるカメラグループ内の
複数のカメラの監視データを取得する
ステップと、
前記各カメラによって取得された監視データに基づいて、前記各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定する
ステップと、
同じ参照オブジェクトの移動軌跡を融合して補完軌跡を取得する
ステップと、
前記補完軌跡に基づいて、前記参照オブジェクトが当該補完軌跡を形成する時の動作状態を判断し、前記判断した動作状態に基づいて、前記補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を
判断する
信号灯表示状態判断ステップと、
前記判断した信号灯の表示状態を用いて、信号灯の表示状態を認識するためのモデルによる同じ時の前記道路上の信号灯の表示状態に対する認識結果を検証する検証ステップと、を含む、
通行状態取得方法。
【請求項2】
前記各カメラによって取得された監視データに基づいて、前記各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定する
ステップは、
各カメラに対応する撮影パラメータを取得することと、
各カメラに対応する監視データ内の参照オブジェクトのピクセル座標をそれぞれ決定することと、
前記各ピクセル座標をワールド座標に変換することと、
前記ワールド座標に基づいて、各カメラに記録された前記参照オブジェクトの移動軌跡を決定することと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
信号灯表示状態判断ステップは、
前記補完軌跡には速度増加変化量が所定の閾値を超える目標点が存在することに応答して、前記目標点が生成される時点を取得することと、
前記補完軌跡が位置する道路の進行方向に対応する道路上の信号灯の表示状態が、前記時点以降に通行可能状態であると判断することと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記
信号灯表示状態判断ステップは、
前記補完軌跡には同じ位置にある静止軌跡点が複数存在することに応答することと、
前記補完軌跡が位置する道路の進行方向に対応する道路上の信号灯の表示状態が、前記静止軌跡点に対応する期間内に通行不能状態であると判断することと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記
信号灯表示状態判断ステップは、
同じ道路上の複数の異なる参照オブジェクトに対応する信号灯の表示状態を取得することと、
数量比率の高い信号灯の表示状態を、その位置する道路の進行方向に基づいて
判断された対応する道路上の信号灯の表示状態として決定することと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
目標信号灯を含む
判断対象画像を取得し、前記
判断対象画像を撮影するカメラに基づいて前記カメラグループを決定することと、
前記目標信号灯の表示内容に基づいて、対応する表示道路を決定することと、をさらに含み、
前記各カメラによって取得された監視データに基づいて、前記各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定することは、
前記各カメラによって取得された監視データに基づいて、前記各カメラに記録された前記表示道路上の参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定することを含
む、
請求項1~5に記載の方法。
【請求項7】
目標交差点の異なる道路区間又は同じ道路区間の走行状態を撮影することができるカメラグループ内の
複数のカメラの監視データを取得するように構成された監視データ取得ユニットと、
前記各カメラによって取得された監視データに基づいて、前記各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定するように構成された移動軌跡決定ユニットと、
同じ参照オブジェクトの移動軌跡を融合して補完軌跡を取得するように構成された補完軌跡生成ユニットと、
前記補完軌跡に基づいて、前記参照オブジェクトが当該補完軌跡を形成する時の動作状態を判断し、前記判断した動作状態に基づいて、前記補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を
判断するように構成された表示状態
判断ユニットと、
前記判断した信号灯の表示状態を用いて、信号灯の表示状態を認識するためのモデルによる同じ時の前記道路上の信号灯の表示状態に対する認識結果を検証するように構成された検証ユニットと、を含む、
通行状態取得装置。
【請求項8】
前記移動軌跡決定ユニットは、
各カメラに対応する撮影パラメータを取得するように構成されたハードウェアパラメータ取得サブユニットと、
各カメラに対応する監視データ内の参照オブジェクトのピクセル座標をそれぞれ決定するように構成されたピクセル座標生成サブユニットと、
前記各ピクセル座標をワールド座標に変換するように構成されたワールド座標変換サブユニットと、
前記ワールド座標に基づいて、各カメラに記録された前記参照オブジェクトの移動軌跡を決定するように構成された移動軌跡決定サブユニットと、を含む、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記表示状態
判断ユニットは、
前記補完軌跡には速度増加変化量が所定の閾値を超える目標点が存在することに応答して、前記目標点が生成される時点を取得するように構成された開始点決定サブユニットと、
前記補完軌跡が位置する道路の進行方向に対応する道路上の信号灯の表示状態が、前記時点以降に通行可能状態であると判断するように構成された第一表示状態
判断サブユニットと、を含む、
請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記表示状態
判断ユニットは、
前記補完軌跡には同じ位置にある静止軌跡点が複数存在することに応答するように構成された静止点決定サブユニットと、
前記補完軌跡が位置する道路の進行方向に対応する道路上の信号灯の表示状態が、前記静止軌跡点に対応する期間内に通行不能状態であると判断するように構成された第二表示状態
判断サブユニットと、を含む、
請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記表示状態
判断ユニットは、
同じ道路上の複数の異なる参照オブジェクトに対応する信号灯の表示状態を取得するように構成された表示状態収集サブユニットと、
数量比率の高い信号灯の表示状態を、その位置する道路の進行方向に基づいて
判断された対応する道路上の信号灯の表示状態として決定するように構成された第三表示状態
判断サブユニットと、を含む、
請求項7に記載の装置。
【請求項12】
目標信号灯を含む
判断対象画像を取得し、前記
判断対象画像を撮影するカメラに基づいて前記カメラグループを決定するように構成された
判断対象画像取得ユニットと、
前記目標信号灯の表示内容に基づいて、対応する表示道路を決定するように構成された表示道路決定ユニットと、をさらに含み、
前記移動軌跡決定ユニットは、前記各カメラによって取得された監視データに基づいて、前記各カメラに記録された前記表示道路上の参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定するようにさらに構成され
る、
請求項7~11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリと、を含み、
前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶し、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1~6のいずれか一項に記載の通行状態取得方法を実行できるように前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される、
電子デバイス。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載の通行状態取得方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
プロセッサによって実行されると、請求項1~6のいずれか一項に記載の通行状態取得方法を実行するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
請求項13に記載の電子デバイスを含む路側装置。
【請求項17】
請求項13に記載の電子デバイスを含むクラウド制御プラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、コンピュータ技術の分野、具体的にはコンピュータービジョン、深層学習、高度道路交通技術分野などの人工知能技術分野、特に通行状態取得方法、装置、電子デバイス、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータプログラム製品、路側装置、及び、クラウド制御プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
人間科学技術の発展に伴い、都市の高度道路交通分野の技術構築に対する需要が高まっており、不合理な交通ルート計画や非科学的なペースによる交通効率の低下の問題を軽減するために、交差点の信号灯の表示状態に基づいて交差点の通行状態を取得して、通行状態に基づいてより科学的な交通計画を実行する必要がある場合が多い。
【0003】
従来技術では、交差点に設置された交通信号灯の表示状態を把握するためには、道路状況監視カメラや路側感知カメラなどの画像収集装置を使用して、交通信号灯の表示状態を含む画像を収集した後、推論モデルを使用してその交通信号灯の表示状態を分析する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例は、通行状態取得方法、装置、電子デバイス、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータプログラム製品、路側装置、及び、クラウド制御プラットフォームを提供する。
【0005】
第一様態では、本願の実施例は、通行状態取得方法を提供する。この方法は、目標交差点の異なる道路区間又は同じ道路区間の走行状態を撮影することができるカメラグループ内の少なくとも1台のカメラの監視データを取得することと、この各カメラによって取得された監視データに基づいて、この各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定することと、同じ参照オブジェクトの移動軌跡を融合して補完軌跡を取得することと、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を予測することと、を含む。
【0006】
第二様態では、本願の実施例は、通行状態取得装置を提供する。この装置は、目標交差点の異なる道路区間又は同じ道路区間の走行状態を撮影することができるカメラグループ内の少なくとも1台のカメラの監視データを取得するように構成された監視データ取得ユニットと、この各カメラによって取得された監視データに基づいて、この各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定するように構成された移動軌跡決定ユニットと、同じ参照オブジェクトの移動軌跡を融合して補完軌跡を取得するように構成された補完軌跡生成ユニットと、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を予測するように構成された表示状態予測ユニットと、を含む。
【0007】
第三様態では、本願の実施例は、電子デバイスを提供する。この電子デバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリと、を含み、このメモリは、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶し、この命令は、少なくとも1つのプロセッサが第一様態の任意の実施形態に記載の通行状態取得方法を実行できるように少なくとも1つのプロセッサによって実行される。
【0008】
第四様態では、本願の実施例は、第一様態の任意の実施形態に記載の通行状態取得方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0009】
第五態様では、本願の実施例は、プロセッサによって実行されると、第一様態の任意の実施形態に記載の通行状態取得方法を実行するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0010】
第六態様では、本願の実施例は、第三様態に記載の電子デバイスを含む路側装置を提供する。
【0011】
第七態様では、本願の実施例は、第三様態に記載の電子デバイスを含むクラウド制御プラットフォームを提供する。
【0012】
本願の実施例によって提供される通行状態取得方法、装置、電子デバイス、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータプログラム製品、路側装置、及びクラウド制御プラットフォームは、目標交差点の異なる道路区間又は同じ道路区間の走行状態を撮影することができるカメラグループ内の少なくとも1台のカメラの監視データを取得することと、各カメラによって取得された監視データに基づいて、各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定することと、さらに、同じ参照オブジェクトの移動軌跡を融合して補完軌跡を取得することと、最後に、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を予測することと、を実行する。
【0013】
本願は、信号灯で表示されたオブジェクトの軌跡情報に基づいて、表示されたオブジェクトの動作状態を決定し、得られた表示されたオブジェクトの動作状態に基づいて、この信号灯の交通信号状態を予測し、これにより、非モデル認識方法を採用して、カメラによって撮影された監視データに基づいて交通信号灯の状態情報を直接取得することができるだけでなく、従来技術の検出アルゴリズム又はモデルによって認識された信号灯の表示結果を検証するための信頼できる検証情報を提供することもできる。
【0014】
このセクションで説明される内容は、本願の実施例の主要又は重要な特徴を特定することを意図するものではなく、また、本願の範囲を限定することを意図するものでもないことを理解されたい。本願の他の特徴は、以下の説明から容易に理解されるであろう。
【0015】
本願の他の特徴、目的及び利点は、以下の図面で行われる非限定的な実施例についての詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願が適用され得る例示的なシステムアーキテクチャである。
【
図2】本願の実施例によって提供される通行状態取得方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例によって提供される別の通行状態取得方法のフローチャートである。
【
図4-1】本願の実施例によって提供される通行状態取得方法のアプリケーションシナリオにおいて、各カメラが参照オブジェクトの移動軌跡及び補完軌跡を決定することを示す効果概略図である。
【
図4-2】本願の実施例によって提供される通行状態取得方法のアプリケーションシナリオにおいて、各カメラが参照オブジェクトの移動軌跡及び補完軌跡を決定することを示す効果概略図である。
【
図4-3】本願の実施例によって提供される通行状態取得方法のアプリケーションシナリオにおいて、各カメラが参照オブジェクトの移動軌跡及び補完軌跡を決定することを示す効果概略図である。
【
図4-4】本願の実施例によって提供される通行状態取得方法のアプリケーションシナリオにおいて、各カメラが参照オブジェクトの移動軌跡及び補完軌跡を決定することを示す効果概略図である。
【
図4-5】本願の実施例によって提供される通行状態取得方法のアプリケーションシナリオにおいて、各カメラが参照オブジェクトの移動軌跡及び補完軌跡を決定することを示す効果概略図である。
【
図5】本願の実施例によって提供される通行状態取得装置の構造ブロック図である。
【
図6】本願の実施例によって提供される通行状態取得方法を実行するのに適した電子デバイスの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願の例示的な実施例は、理解を容易にするための本願の実施例の様々な詳細を含む図面と併せて以下に説明され、単なる例示と見なされるべきである。従って、本願の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に記載の実施例に対して様々な変更及び修正を行うことができることは、当業者に理解されるであろう。同様に、明瞭性と簡潔性の観点から、公知の機能と構造に関する説明は、以下の説明において省略される。なお、本願の実施例及び実施例の特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0018】
図1は、本願の通行状態取得方法、装置、電子デバイス、及びコンピュータ可読記憶媒体の実施例を適用することができる例示的なシステムアーキテクチャ100を示す。
【0019】
図1に示すように、システムアーキテクチャ100は、端末装置101、102、103、ネットワーク104、及び、サーバ105を含み得る。ネットワーク104は、端末装置101、102、103とサーバ105との間の通信リンクを提供するための媒体である。ネットワーク104は、有線、無線通信リンク、又は、光ファイバケーブルなどの様々な接続タイプを含み得る。
【0020】
ユーザは、端末装置101、102、103を使用してネットワーク104を介してサーバ105と対話して、メッセージなどを送受信することができる。端末装置101、102、103及びサーバ105には、交通ナビゲーションアプリケーション、画像分析アプリケーション、インスタントメッセージングアプリケーションなど、両者間の情報通信を実現するための様々なアプリケーションがインストールされ得る。
【0021】
端末装置101、102、103及びサーバ105は、ハードウェアであり得るか、又はソフトウェアであり得る。端末装置101、102、103がハードウェアである場合、それらは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップポータブルコンピュータ、デスクトップコンピュータなどを含むがこれらに限定されない、表示画面を備えた様々な電子デバイスであり得る。端末装置101、102、103がソフトウェアである場合、それらは、複数のソフトウェア又はソフトウェアモジュールとして、又は単一のソフトウェア又はソフトウェアモジュールとして実装され得る上記の電子デバイスにインストールされ得るが、ここでは特に限定されない。サーバ105がハードウェアである場合、それは、複数のサーバからなる分散型サーバクラスタとして実装され得るか、又は単一のサーバとして実装され得る。サーバがソフトウェアである場合、それは、複数のソフトウェア又はソフトウェアモジュールとして実装され得るか、又は単一のソフトウェア又はソフトウェアモジュールとして実装され得るが、ここでは特に限定されない。
【0022】
サーバ105は、様々な組み込みアプリケーションを介して様々なサービスを提供することができる。目標交差点の通行状態を取得できる交通ナビゲーションアプリケーションを例にとると、サーバ105は、この交通ナビゲーションアプリケーションを実行するときに、以下の効果を実現することができる:まず、ネットワーク104を介して、端末装置101、102、103から、ユーザが通行状態を取得したい目標交差点を決定し、さらに、この目標交差点に関して設置されたカメラグループから、目標交差点の異なる道路区間又は同じ道路区間の走行状態を撮影することができる少なくとも1台のカメラの監視データを取得し、監視データの取得後に各カメラによって取得された監視データに基づいて、各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定し、同じ参照オブジェクトの移動軌跡を融合して補完軌跡を取得し、最後に、前記補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を予測する。
【0023】
なお、ネットワーク104を介して端末装置101、102、103から取得され得ることに加えて、目標交差点はまた、実際の必要に応じて様々な方式でサーバ105のローカルに事前に記憶され得る。従って、サーバ105は、これらのデータがローカルに記憶されたことを検出する場合(例えば、特定の領域の既存のナビゲーション情報について、道路計画情報及びリアルタイム通行状態情報を生成する場合)、これらのデータをローカルから直接取得することができる。この場合、例示的なシステムアーキテクチャ100は、端末装置101、102、103及びネットワーク104を含まなくてもよい。
【0024】
監視データに基づいて参照オブジェクトの移動軌跡を決定することが、多くの計算リソース及び強力な計算能力を必要とするので、本願の後続の各実施例によって提供される通行状態取得方法は、一般に、強力な計算能力及び多くの計算リソースを備えたサーバ105によって実行される。同様に、通行状態取得装置は、一般に、サーバ105にも設置される。ただし、端末装置101、102、103も要件を満たす計算能力及び計算リソースを備えている場合、端末装置101、102、103も、それらにインストールされた対応するアプリケーションを使用して、元々サーバ105に割り当てられた上記の様々な計算を完了し、サーバ105と同じ結果を出力することができる。特に、異なる計算能力を備えた端末装置が同時に複数存在するが、採用されたアプリケーションが、端末装置が強力な計算能力及び多くの計算リソースを備えていると判断する場合、端末装置は、上記計算を実行して、サーバ105の計算圧力を適切に低減することができる。同様に、通行状態取得装置は、一般に、端末装置101、102、103にも設置される。この場合、例示的なシステムアーキテクチャ100は、サーバ105及びネットワーク104を含まなくてもよい。
【0025】
図1中の端末装置、ネットワーク、及びサーバの数は、単なる例示であることを理解されたい。実際のニーズに応じて、端末装置、ネットワーク、及びサーバの数が任意に設定され得る。
【0026】
図2を参照すると、
図2は、本願の実施例によって提供される通行状態取得方法のフローチャートであり、プロセス200は、以下のステップを含む。
【0027】
ステップ201:カメラグループ内の少なくとも1台のカメラの監視データを取得する。
【0028】
本実施例では、通行状態取得方法の実行主体(例えば、
図1に示すサーバ105)は、通行状態の取得が望まれる目標交差点を決定した後、この目標交差点を対象としたカメラ又はこの目標交差点を監視できるカメラで構成されるカメラグループから、少なくとも1台のカメラの監視データを取得する。
【0029】
カメラグループがこの目標交差点を対象としたカメラ又はこの目標交差点を監視できるカメラで構成されるため、各カメラは、目標交差点の異なる道路区間又は同じ道路区間の走行状態を撮影することができることを理解されたい。
【0030】
なお、特定の時点で撮影された画像中の信号灯の表示状態を取得する場合など、実際の使用要件に応じて、カメラによって撮影された履歴監視データは、上記実行主体のローカル記憶装置から取得され得るか、又は非ローカル記憶装置又は上記実行主体に接続されたカメラから直接取得され得る。ローカル記憶装置が、サーバのハードディスクなど、上記実行主体に設置されたデータ記憶モジュールであり得る場合、監視データは、ローカルで迅速に読み取られ得る。非ローカル記憶装置が、いくつかのユーザ端末など、データを記憶するように設置された他の任意の電子デバイスでもあり得る場合、上記実行主体は、取得命令をこの電子デバイスに送信することにより、必要な監視データを取得することができる。
【0031】
ステップ202:各カメラによって取得された監視データに基づいて、各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定する。
【0032】
本実施例では、上記のステップ201に基づいて、取得された監視データを分析して、取得された各監視データに同時に存在する参照オブジェクトを決定した後、各監視データの内容に応じて、各監視データ内の参照オブジェクトの移動軌跡を決定する。即ち、各カメラによって記録された参照オブジェクトの移動軌跡を決定する。
【0033】
参照オブジェクトは、通常、交差点を通過する自動車、非自動車、又は歩行者など、信号灯の表示に従って移動するオブジェクトである。これらの参照オブジェクトは、目標交差点に関して設置された信号灯の表示状態に応じて適切に移動する。
【0034】
監視データ内の参照オブジェクトの移動軌跡については、監視データのビデオストリーム内の各フレームの画像に対応する参照オブジェクトの位置を決定した後、決定された参照オブジェクトの位置をつなぎ合わせて、完全な移動軌跡を形成することができることを理解されたい。
【0035】
ステップ203:同じ参照オブジェクトの移動軌跡を融合して補完軌跡を取得する。
【0036】
本実施例では、上記のステップ202で生成された各監視データに対応する参照オブジェクトの移動軌跡を取得した後、これらの移動軌跡を融合して、目標交差点での参照オブジェクトの完全な移動状態を反映できる補完軌跡を取得する。
【0037】
各監視データに対応する参照オブジェクトの移動軌跡を同じ座標系に統合した後、各監視データによって提供される参照オブジェクトの移動状態及び位置変化情報に基づいて、参照オブジェクトの完全な移動状態を決定して、補完軌跡を取得することができる。また、各監視データで生成された移動軌跡を直接つなぎ合わせて、上記補完軌跡を取得することもできる。
【0038】
ステップ204:補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を予測する。
【0039】
本実施例では、取得された補完軌跡に基づいて、この参照オブジェクトの進行道路(即ち、この補完軌跡が位置する道路)を決定し、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、この道路を示すために使用される信号灯の表示状態を予測する。
【0040】
補完軌跡形成の連続性、及び補完軌跡における参照オブジェクトの速度変化に基づいて、この補完軌跡を形成するときの参照オブジェクトの動作状態を判断することができる。例えば、参照オブジェクトが補完軌跡を形成するとき、特定の移動点に対応する速度変化が明らかである場合、即ち、参照オブジェクトの動作状態が静止状態から移動状態に変化したと判断した場合、この参照オブジェクトの速度変化が明らかである移動点に対応する時点で、信号灯の表示状態が通行不能状態から通行可能状態に変化すると判断する。
【0041】
さらに、本実施例では、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、この信号灯で表示された特定の内容(例えば、直進可能、左折可能など)をさらに予測することができるので、補完軌跡に基づいて、補完軌跡が位置する道路の表示状態(直進車線及び左折車線に対応)、及びそれに対応する信号灯の表示形状(信号灯は矢印型の表示灯)を判断して、この信号灯を含む検証対象画像の内容が正しいか否かをより正確に検証することができる。
【0042】
本願の実施例によって提供される通行状態取得方法は、信号灯で表示されたオブジェクトの軌跡情報に基づいて、表示されたオブジェクトの動作状態を決定し、得られた表示されたオブジェクトの動作状態に基づいて、この信号灯の交通信号状態を判断し、これにより、非モデル認識方法を採用して、カメラによって撮影された監視データに基づいて交通信号灯の状態情報を直接取得することができるだけでなく、従来技術の検出アルゴリズム又はモデルによって認識された信号灯の表示結果を検証するための信頼できる検証情報を提供することもできる。
【0043】
本実施例のいくつかの代替的な実施形態では、複数のカメラによって撮影された参照オブジェクトの移動軌跡の統合を容易にして、参照オブジェクトの移動軌跡を取得する効率を向上させるために、上記実行主体は、カメラの監視データを取得した後、それに応じてカメラの外部参照オブジェクト及び内部参照オブジェクトを取得し、カメラの外部参照オブジェクト及び内部参照オブジェクトに基づいて監視データ内の参照オブジェクトのピクセル座標をワールド座標に変換し、各監視データに記録された参照オブジェクトの統一標準座標系を提供し、これにより、各カメラ内の監視データに記録された参照オブジェクトの軌跡を融合する目的を達成することができる。
【0044】
カメラのハードウェアパラメータに基づいて各監視データ内の参照オブジェクトのピクセル座標を決定し、それに応じてこれらのピクセル座標を同じ標準の座標に統合した後、この同じ標準の座標に従って参照オブジェクトの位置及び移動状態を直接復元するという目的を達成して、移動軌跡を取得する効率及び品質を向上させる。
【0045】
本願のいくつかの代替的な実施例では、補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を予測することは、この補完軌跡には速度増加変化量が所定の閾値を超える目標点が存在することに応答して、この目標点が生成される時点を取得することと、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に対応する道路上の信号灯の表示状態が、この時点以降に通行可能状態であると判断することと、を含む。
【0046】
具体的には、補完軌跡を取得した後、この補完軌跡における参照オブジェクトの各位置を取得し、この補完軌跡には速度増加変化量が所定の閾値を超えるこの参照オブジェクトの位置が存在することに応答して、この位置を目標点として決定し、それに応じてこの目標点が生成される時点を取得し、補完軌跡が位置する道路の進行方向に対応する道路上の信号灯の表示状態が、この時点以降に通行可能状態であると判断し、参照オブジェクトの移動傾向の変化を判断することにより、即ち、速度増加変化に基づいて、参照オブジェクトが低速又は静止状態から通常の通行速度状態に変化するか否かを判断することにより、参照オブジェクトが信号灯で表示された通行不能状態から通行可能状態に変化する時点を取得し、信号灯の表示状態を決定し、参照オブジェクトの軌跡情報に基づいて信号灯の表示状態の変化状況を決定し、通行状態に関する多くの情報を取得し、通行状態を取得する参考価値を向上させる。
【0047】
速度増加変化量の所定の閾値を設定する場合、参照オブジェクトの移動状態をより正確に決定するために、参照オブジェクトの種類に応じて適切な設定を行うことができる。
【0048】
本願のいくつかの代替的な実施例では、補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を予測することは、この補完軌跡には同じ位置にある静止軌跡点が複数存在することに応答することと、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に対応する道路上の信号灯の表示状態が、この静止軌跡点に対応する期間内に通行不能状態であると判断することと、を含む。
【0049】
具体的には、参照オブジェクトの補完軌跡を取得した後、この補完軌跡における参照オブジェクトの各位置を取得し、補完軌跡には同じ位置にあるこの参照オブジェクトの点が複数存在すると判断することに応答して、同じ位置にあるこれらの点を静止軌跡点として決定し、それに応じて参照オブジェクトが静止軌跡点にある時間を決定し、最終的に、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に対応する道路上の信号灯の表示状態が、この静止軌跡点に対応する期間内に通行不能状態であると判断し、参照オブジェクトが同じ位置にあるか否かを判断することにより、参照オブジェクトが静止状態にあるか否かを判断し、さらに参照オブジェクトの移動速度を現実的に取得せずに信号灯の表示状態を決定し、信号灯の表示状態を決定するために必要な計算量を低減する。
【0050】
図3を参照すると、
図3は、本願の実施例によって提供される別の通行状態取得方法のフローチャートであり、プロセス300は、以下のステップを含む。
【0051】
ステップ301:予測対象画像を取得し、この予測対象画像を撮影するカメラに基づいてこのカメラグループを決定する。
【0052】
本実施例では、通行状態取得方法の実行主体(例えば、
図1に示すサーバ105)は、信号灯を含む画像を予測したいユーザが使用するユーザ端末(例えば、
図1に示す端末101、102、103)から、信号灯を含む予測対象画像を取得することができるか、又は、実際のニーズに応じて、上記実行主体のローカル記憶装置又は非ローカル記憶装置から、信号灯を含む予測対象画像を取得することができる。この予測対象画像を取得した後、この予測対象画像を撮影するカメラに基づいて、対応するカメラグループを決定し、この予測対象画像内の信号灯を目標信号灯として決定する。
【0053】
ステップ302:目標信号灯の表示内容に基づいて、対応する表示道路を決定する。
【0054】
本実施例では、上記のステップ301で決定された目標信号灯に基づいて、この目標信号灯で表示された道路を決定し、この道路を表示道路として決定する。
【0055】
ステップ303:カメラグループ内の少なくとも1台のカメラの監視データを取得する。
【0056】
ステップ304:各カメラによって取得された監視データに基づいて、各カメラに記録された表示道路上の参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定する。
【0057】
本実施例では、各監視データに同時に表現されたこの表示道路上の参照オブジェクトを各監視データから決定し、各カメラに記録されたこの参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定する。
【0058】
ステップ305:同じ参照オブジェクトの移動軌跡を融合して補完軌跡を取得する。
【0059】
ステップ306:この補完軌跡に基づいて、この目標信号灯の表示状態を予測する。
【0060】
上記のステップ303-306は、
図2に示すステップ201-204に対応する。同じ部分の内容については、前の実施例の対応する部分を参照されたいが、ここでは繰り返さない。
【0061】
前の実施例によって提供される技術的解決手段に基づいて、本実施例は、特定の予測対象画像に含まれる目標信号灯の表示状態をさらに予測し、実際のニーズに応じて予測するための技術的解決手段を提供することにより、ユーザのニーズに応じて通行状態の適切な取得を実行し、データを処理するための計算量を低減し、ユーザエクスペリエンスを向上させることができる。
【0062】
さらに、上記任意の実施例に基づいて、参照オブジェクトの異常動作による誤った信号灯表示状態の取得を回避するために、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を予測することは、同じ道路上の複数の異なる参照オブジェクトに対応する信号灯の表示状態を取得することと、数量比率の高い信号灯の表示状態を、その位置する道路の進行方向に基づいて予測された対応する道路上の信号灯の表示状態として決定することと、を含む。
【0063】
具体的には、異なる参照オブジェクトに対応する信号灯の表示状態を取得した後、所定期間内に同じ道路上の参照オブジェクトを収集し、収集された参照オブジェクトに対応する信号灯の表示状態を取得し、同じ期間内に同じ信号灯の表示状態を示す参照オブジェクトの数量比率が所定の閾値条件を超える場合、この期間内にこの同じ信号灯の表示状態についての結果が正しいと判断し、この同じ信号灯の表示状態を、その位置する道路の進行方向に基づいて予測された対応する道路上の信号灯の表示状態として決定し、それにより、いくつかの又は個々の参照オブジェクトの異常動作による誤った信号灯表示状態の取得を回避し、信号灯表示状態を取得する品質及び精度を向上させる。
【0064】
理解を深めるために、本願は、特定のアプリケーションシナリオと結びつけて、特定の実施形態をさらに提供する。
図4-1に示すように、T字型交差点の形態の目標交差点にはカメラA、B、Cが設けられており、参照オブジェクトaの補完軌跡に基づいて対応する道路上の信号灯Dの表示状態を決定することは、以下のとおりである。
【0065】
カメラA、B、Cで構成されるカメラグループ内の各カメラの監視データを取得する。
【0066】
取得された各カメラの監視データに基づいて、各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定する。カメラAに記録された軌跡は
図4-2のA-軌跡として示され、カメラBに記録された軌跡情報は
図4-3のB-軌跡として示され、カメラCに記録された軌跡は
図4-4のC-軌跡として示される。
【0067】
この参照オブジェクトaの移動軌跡を融合して、
図4-5の補完軌跡として示される補完軌跡を取得し、この補完軌跡を形成するときのこの参照オブジェクトaの速度を決定する。
【0068】
この補完軌跡を形成するときのこの参照オブジェクトaの速度が一定速度であり、特定の値が30km/hであり、所定の閾値速度5km/hよりも大きい場合、対応する予測信号灯Dの表示状態が通行可能状態であると判断する。
【0069】
本願は、信号灯で表示されたオブジェクトの軌跡情報に基づいて、表示されたオブジェクトの動作状態を決定し、得られた表示されたオブジェクトの動作状態に基づいて、この信号灯の交通信号状態を予測し、これにより、非モデル認識方法を採用して、カメラによって撮影された監視データに基づいて交通信号灯の状態情報を直接取得することができるだけでなく、従来技術の検出アルゴリズム又はモデルによって認識された信号灯の表示結果を検証するための信頼できる検証情報を提供することもできる。
【0070】
さらに
図5を参照すると、上記の各図に示す方法の実施形態として、本願は、通行状態取得装置の実施例を提供する。この装置の実施例は、
図2に示す方法の実施例に対応する。この装置は、様々な電子デバイスに特に適用できる。
【0071】
図5に示すように、本実施例の通行状態取得装置500は、監視データ取得ユニット501、移動軌跡決定ユニット502、補完軌跡生成ユニット503、及び表示状態予測ユニット504を含み得る。監視データ取得ユニット501は、目標交差点の異なる道路区間又は同じ道路区間の走行状態を撮影することができるカメラグループ内の少なくとも1台のカメラの監視データを取得するように構成される。移動軌跡決定ユニット502は、この各カメラによって取得された監視データに基づいて、この各カメラに記録された参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定するように構成される。補完軌跡生成ユニット503は、同じ参照オブジェクトの移動軌跡を融合して補完軌跡を取得するように構成される。表示状態予測ユニット504は、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に基づいて、対応する道路上の信号灯の表示状態を予測するように構成される。
【0072】
本実施例では、通行状態取得装置500の監視データ取得ユニット501、移動軌跡決定ユニット502、補完軌跡生成ユニット503、及び表示状態予測ユニット504の具体的な処理とその技術的効果については、それぞれ
図2に対応する実施例のステップ201-204の関連説明を参照されたいが、ここでは繰り返さない。
【0073】
本実施例のいくつかの代替的な実施形態では、移動軌跡決定ユニット502は、各カメラに対応する撮影パラメータを取得するように構成されたハードウェアパラメータ取得サブユニットと、各カメラに対応する監視データ内の参照オブジェクトのピクセル座標をそれぞれ決定するように構成されたピクセル座標生成サブユニットと、この各ピクセル座標をワールド座標に変換するように構成されたワールド座標変換サブユニットと、このワールド座標に基づいて、各カメラに記録されたこの参照オブジェクトの移動軌跡を決定するように構成された移動軌跡決定サブユニットと、を含む。
【0074】
本実施例のいくつかの代替的な実施形態では、表示状態予測ユニット504は、この補完軌跡には速度増加変化量が所定の閾値を超える目標点が存在することに応答して、この目標点が生成される時点を取得するように構成された開始点決定サブユニットと、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に対応する道路上の信号灯の表示状態が、この時点以降に通行可能状態であると判断するように構成された第一表示状態予測サブユニットと、を含む。
【0075】
本実施例のいくつかの代替的な実施形態では、表示状態予測ユニット504は、この補完軌跡には同じ位置にある静止軌跡点が複数存在することに応答するように構成された静止点決定サブユニットと、この補完軌跡が位置する道路の進行方向に対応する道路上の信号灯の表示状態が、この静止軌跡点に対応する期間内に通行不能状態であると判断するように構成された第二表示状態予測サブユニットと、を含む。
【0076】
本実施例のいくつかの代替的な実施形態では、表示状態予測ユニット504は、同じ道路上の複数の異なる参照オブジェクトに対応する信号灯の表示状態を取得するように構成された表示状態収集サブユニットと、数量比率の高い信号灯の表示状態を、その位置する道路の進行方向に基づいて予測された対応する道路上の信号灯の表示状態として決定するように構成された第三表示状態予測サブユニットと、を含む。
【0077】
本実施例のいくつかの代替的な実施形態では、通行状態取得装置500は、目標信号灯を含む予測対象画像を取得し、この予測対象画像を撮影するカメラに基づいてこのカメラグループを決定するように構成された予測対象画像取得ユニットと、この目標信号灯の表示内容に基づいて、対応する表示道路を決定するように構成された表示道路決定ユニットと、をさらに含む。この移動軌跡決定ユニットは、この各カメラによって取得された監視データに基づいて、この各カメラに記録されたこの表示道路上の参照オブジェクトの移動軌跡をそれぞれ決定するようにさらに構成される。この表示状態予測ユニットは、この補完軌跡に基づいてこの目標信号灯の表示状態を予測するようにさらに構成される。
【0078】
本実施例は、上記方法の実施例に対応する装置の実施例として存在する。本実施例によって提供される通行状態取得装置は、信号灯で表示されたオブジェクトの軌跡情報に基づいて、表示されたオブジェクトの動作状態を決定し、得られた表示されたオブジェクトの動作状態に基づいて、この信号灯の交通信号状態を予測し、これにより、非モデル認識方法を採用して、カメラによって撮影された監視データに基づいて交通信号灯の状態情報を直接取得することができるだけでなく、従来技術の検出アルゴリズム又はモデルによって認識された信号灯の表示結果を検証するための信頼できる検証情報を提供することもできる。
【0079】
本願の実施例によれば、本願は、電子デバイス、可読記憶媒体、及びコンピュータプログラム製品をさらに提供する。
【0080】
図6は、本願の実施例を実施するために使用され得る例示的な電子デバイス600の概略ブロック図を示す。電子デバイスは、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームコンピュータ、及びその他の適切なコンピュータなど、様々な形態のデジタルコンピュータを表すことを意図する。電子デバイスは、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、及び他の同様のコンピューティングデバイスなど、様々な形態のモバイルデバイスを表すこともできる。本明細書に示されるコンポーネント、それらの接続と関係、及びそれらの機能は単なる例示であり、本明細書に説明及び/又は請求される本願の実施形態を限定することを意図したものではない。
【0081】
図6に示すように、デバイス600は、リードオンリーメモリ(ROM)602に記憶されたコンピュータプログラム、又は記憶ユニット608からランダムアクセスメモリ(RAM)603にロードされたコンピュータプログラムに従って、各種の適切な動作及び処理を実行することができる計算ユニット601を含む。RAM603には、デバイス600の動作に必要な各種のプログラム及びデータも記憶され得る。計算ユニット601、ROM602、及びRAM603は、バス604を介して互いに接続される。入力/出力(I/O)インターフェース605も、バス604に接続される。
【0082】
デバイス600内の複数のコンポーネントは、I/Oインターフェース605に接続されており、キーボード、マウスなどの入力ユニット606と、各種のディスプレイ、スピーカーなどの出力ユニット607と、磁気ディスク、光ディスクなどの記憶ユニット608と、ネットワークカード、モデム、無線通信トランシーバなどの通信ユニット609と、を含む。通信ユニット609は、デバイス600が、インターネットなどのコンピュータネットワーク、及び/又は様々な通信ネットワークを介して、他の装置との間で情報/データを交換することを可能にする。
【0083】
計算ユニット601は、処理能力及び計算能力を備えた様々な汎用及び/又は専用の処理コンポーネントであり得る。計算ユニット601のいくつかの例は、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、様々な専用の人工知能(AI)計算チップ、機械学習モデルアルゴリズムを実行する様々な計算ユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラなどを含むが、これらに限定されない。計算ユニット601は、上記様々な方法及び処理、例えば、通行状態取得方法を実行する。例えば、いくつかの実施例では、通行状態取得方法は、記憶ユニット608などの機械可読媒体に具体的に含まれるコンピュータソフトウェアプログラムとして実装され得る。いくつかの実施例では、コンピュータプログラムの一部又は全部は、ROM602及び/又は通信ユニット609を介して、デバイス600にロード及び/又はインストールされ得る。コンピュータプログラムがRAM603にロードされ、計算ユニット601によって実行されると、上記通行状態取得方法の1つ又は複数のステップが実行され得る。あるいは、他の実施例では、計算ユニット601は、他の任意の適切な手段(例えば、ファームウェア)を介して、通行状態取得方法を実行するように構成され得る。
【0084】
本明細書に記載のシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、ロードプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実装され得る。これらの様々な実施形態は、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信したり、この記憶システム、この少なくとも1つの入力装置、及びこの少なくとも1つの出力装置にデータ及び命令を送信したりすることができる専用又は汎用のプログラマブルプロセッサであり得る少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムで実行及び/又は解釈され得る1つ又は複数のコンピュータプログラムに実装されることを含み得る。
【0085】
本願の方法を実施するためのプログラムコードは、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれ得る。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供され得るので、プログラムコードがプロセッサ又はコントローラによって実行されると、フローチャート及び/又はブロック図で指定された機能/動作が実行される。プログラムコードは、完全にマシン上で実行され得るか、又は部分的にマシン上で実行され得るか、又は独立したソフトウェアパッケージとして、部分的にマシン上で、部分的にリモートマシン上で実行され得るか、又は完全にリモートマシン又はサーバ上で実行され得る。
【0086】
本願の文脈において、機械可読媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらと組み合わせて使用するためのプログラムを含むか又は記憶することができる有形媒体であり得る。機械可読媒体は、機械可読信号媒体又は機械可読記憶媒体であり得る。機械可読媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体のシステム、装置又はデバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。機械可読記憶媒体のより具体的な例は、1本又は複数本の導線を備えた電気コネクタ、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブル・コンパクト・ディスク・リードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学メモリ、磁気メモリ、又は上記の任意の適切な組み合わせを含む。
【0087】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載のシステム及び技術は、情報をユーザに表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、ユーザが入力をコンピュータに提供することを可能にするキーボードとポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)とを備えたコンピュータに実装され得る。他のタイプの装置は、ユーザとの対話を提供するためにも使用されており、例えば、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバック)をユーザに提供したり、任意の形態(音響入力、音声入力、及び触覚入力を含む形態)を使用してユーザからの入力を受信したりするために使用され得る。
【0088】
本明細書に記載のシステム及び技術は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバ)を含むコンピュータシステム、ミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)を含むコンピュータシステム、フロントエンドコンポーネント(例えば、ユーザが本明細書に記載のシステム及び技術の実施形態と対話することを可能にするグラフィカルユーザインターフェース又はウェブブラウザを備えたユーザコンピュータ)を含むコンピュータシステム、又は、これらバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント又はフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピュータシステムに実装され得る。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体(例えば、通信ネットワーク)を介して互いに接続され得る。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、及びインターネットを含む。
【0089】
コンピュータシステムは、クライアント及びサーバを含み得る。クライアント及びサーバは通常、互いに遠く離れており、通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバとの関係は、対応するコンピュータで実行され、クライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって生成される。サーバは、クラウドコンピューティングサーバ又はクラウドホストとも呼ばれるクラウドサーバであってもよく、クラウドコンピューティングサービスシステムのホスト製品として、従来の物理ホスト及び仮想プライベートサーバ(VPS、Virtual Private Server)のサービスにおける、管理の難しさが高く、サービスの拡張性が低いという欠点を解決する。サーバはまた、分散型システムのサーバ、又はブロックチェーンと組み合わせたサーバに分割され得る。
【0090】
電子デバイスに加えて、路側装置はまた、通信コンポーネントなどを含み得る。電子デバイスは、通信コンポーネントと統合され得るか、又は個別に設置され得る。電子デバイスは、画像及びビデオなど、感知デバイス(例えば、路側ウェブカメラとも呼ばれる路側カメラ)のデータを取得して、画像/ビデオ処理及びデータ計算を実行することができる。任意選択的に、電子デバイス自体はまた、AIカメラなどの感知データ取得機能及び通信機能を有することができ、電子デバイスは、取得された感知データに基づいて画像/ビデオ処理及びデータ計算を直接実行することができる。
【0091】
クラウド制御プラットフォームは、クラウドで処理を実行する。クラウド制御プラットフォームに含まれる電子デバイスは、画像及びビデオなど、感知デバイス(例えば、路側カメラ)のデータを取得して、画像/ビデオ処理及びデータ計算を実行することができる。クラウド制御プラットフォームは、路車協調管理プラットフォーム、エッジコンピューティングプラットフォーム、クラウドコンピューティングプラットフォーム、中央システム、クラウドサーバなどとも呼ばれ得る。
【0092】
本願の実施例の技術的解決手段によれば、信号灯で表示されたオブジェクトの軌跡情報に基づいて、表示されたオブジェクトの動作状態を決定し、得られた表示されたオブジェクトの動作状態に基づいて、この信号灯の交通信号状態を予測し、これにより、非モデル認識方法を採用して、カメラによって撮影された監視データに基づいて交通信号灯の状態情報を直接取得することができるだけでなく、従来技術の検出アルゴリズム又はモデルによって認識された信号灯の表示結果を検証するための信頼できる検証情報を提供することもできる。
【0093】
ステップの並べ替え、追加、又は削除は、上記様々な形態のプロセスによって実行され得ることを理解されたい。例えば、本願に記載の各ステップは、本願に開示された技術的解決手段の所望の結果が達成できる限り、並行して、順次に、又は異なる順序で実行され得るが、本明細書に限定されない。
【0094】
上記特定の実施形態は、本願の保護範囲を限定するものではない。設計要件及び他の要因に応じて、様々な修正、組み合わせ、副次的組み合わせ及び置換を行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。本願の精神と原則の範囲内で行われた修正、同等置換、改良などは、本願の保護範囲に含まれるべきである。