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特許7329618自動車のタイヤの圧力をチェックする電子システムのためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】自動車のタイヤの圧力をチェックする電子システムのためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
B60C23/04 220A
B60C23/04 190
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021559887
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020056429
(87)【国際公開番号】W WO2020207688
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】1903789
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518046602
【氏名又は名称】アテック
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ボー,ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】モロー,ヴァンサン
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/063061(WO,A1)
【文献】特開2008-155814(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0264160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤセンサを起動する起動手段(31)と、
前記センサから到来する信号を受信する受信手段(33)と、
前記センサによって発信された前記信号が搬送する情報を記憶及び/又は処理するように構成された電子エンティティ(35)と、
前記センサのうちの少なくとも1つからの情報を送信するために、自動車車載コンピュータと通信する通信手段(37)と
第1の電圧V を送達する単一のバッテリ(41)と
を備え、
前記起動手段(31)は、起動信号を前記タイヤセンサに発信するように構成されるアンテナ(19)と、前記第1の電圧V少なくとも第2の電圧VLFに変換するように構成される電気的変換システム(40)とを備え、前記アンテナ(19)の前記起動信号は少なくとも前記第2の電圧V LF に基づいて生成される、自動車のタイヤの圧力をチェックする電子システムのためのデバイス(1)。
【請求項2】
前記電気的変換システム(40)は、前記第2の電圧VLFの2つの別個の値VLF1及びVLF2を送達するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電気的変換システム(40)は、前記第1の電圧Vによって供給されるとともに、少なくとも1つのスイッチと関連付けられるモジュール(401)を備え、該モジュール(401)は、前記スイッチが開放されている場合は第1の電圧値VLF1を送達し、前記スイッチが閉鎖されている場合は第2の電圧値VLF2を送達することを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記モジュール(401)は、電圧上昇回路又は構成要素(501)と、分圧ブリッジとを備えることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記通信手段(37)は、前記デバイス(1)内に収容されるとともに、前記車載コンピュータに接続されるように構成されたOBDモジュールであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記通信手段(37)は、OBDソケット(21)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、ディスプレイデバイス(15)、例えば、LCDスクリーン又はTFTスクリーンを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスは、前記ディスプレイデバイス(15)及び前記OBDソケット(21)が収容されるハウジング(13)を備え、前記OBDソケット(21)及び前記ディスプレイデバイス(15)は、前記ハウジング(13)の対向する端部(14a、14b)に配置されることを特徴とする、請求項6及び7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイス(1)は、バッテリ(41)と通信ポートとを備え、該通信ポートは、前記バッテリ(41)を再充電するために電源に接続されるように構成されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記電子エンティティ(35)は、前記通信ポートによって前記デバイス(1)に接続される前記電源のタイプを検出するように構成されることを特徴とする、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記電子エンティティ(35)は、電子装置によって送信されるメッセージによって及び/又はメッセージが無いことによって前記電源のタイプを検出することを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスは、前記アンテナに到来する前記信号の振幅を変更するとともに、前記センサを起動する前記信号を生成する機能を果たす回路を備えることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タイヤ圧チェックシステム(通常、その略称は「TPMS」である)の分野に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、電子タイヤ圧チェックシステムの1つ以上の要素と通信し、これらを再プログラミングするデバイス(TPMSバルブフォーサ(TPMS valve forcer)とも称されることがあるデバイス)に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、電子タイヤ圧チェックシステムは、車両内に収容される車載コンピュータと、タイヤの内側に配置されるためタイヤの内圧を測定し、この圧力値を車両の車載コンピュータに通信するように構成された1つ以上の圧力センサとを備える。
【0004】
したがって、車載コンピュータは、タイヤのうちの1つが破裂する又は空気が抜け、それらの安全性に対してリスクが発生した場合に、車両のユーザにアラート(alert)することができる。
【0005】
通常、車輪内に収容された圧力センサは取り外し可能ではない。そのため、車輪の交換はセンサの交換を伴い、その場合、新たなセンサは車両の車載コンピュータによって自動的に検出されない。
【0006】
したがって、タイヤ交換の際に、新たなタイヤ内に収容されたセンサを車両の車載コンピュータとマッチングさせる(又は関連付ける)ことが必要である。このマッチングは、本発明によるデバイスによって行われる。当該デバイスは、センサを起動(activate)し、センサによって発信される関連データ(例えば、センサの識別子)を回収及び記録し、これらのデータを車載コンピュータに送信するように構成されており、その結果、車載コンピュータは、新たに設置されたタイヤ内に収容されたセンサを検出し、これらのセンサからの信号を捕捉し、上記タイヤのうちの1つにおいて圧力降下が発生した場合にユーザに警告(warn)するために、ユーザにセンサからの信号を通信することができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、したがって、自動車の電子タイヤ圧チェックシステムのための新規なデバイスであって、
タイヤセンサを起動する手段と、
センサから到来する信号を受信する手段と、
上記センサによって発信された信号が搬送する情報を記憶及び/又は処理するように構成された電子エンティティと、
上記センサのうちの少なくとも1つからの情報を送信するために、自動車の車載コンピュータと通信する手段と
を備える、新規なデバイスである。
【0008】
1つの可能な特徴によれば、デバイスは、圧力センサと協働するが、他のタイプのセンサ、例えば、タイヤ内に収容されるとともに、タイヤ交換の際に車両の車載コンピュータとマッチングさせる必要がある温度センサ、湿度センサ等と協働してもよい。
【0009】
別の可能な特徴によれば、センサを起動する上記少なくとも1つの手段は、アンテナを備える。アンテナをLC共振回路に適合させることができることに留意すべきである(LC回路が発信する信号の電力は、特に注入されるエネルギーの量に依存し、これは特に、可変供給電圧によって及び/又は当該電圧のパルス幅の変調によって制御される)。
【0010】
上記アンテナは、125kHzの周波数等、上記センサに適合された周波数で起動信号を発信するように構成される。
【0011】
別の可能な特徴によれば、上記起動手段は、電気的変換システムを備える。当該システムは、第1の電圧Vを第2の電圧VLFに変換するように構成される。
【0012】
第2の電圧VLFは、センサ起動信号を生成するために直接又は間接的に使用することができる。間接的とは、第2の電圧が上記起動信号を生成するために使用される前に追加の変換/修正を経る場合があることを意味することに留意すべきである。上記少なくとも1つの起動手段によって生成される起動信号の特性は、当該信号を生成するために使用される電圧の特性と相関される。
【0013】
別の可能な特徴によれば、上記電気的変換システムは、上記第2の電圧VLFの2つの別個の(又は異なる)値VLF1及びVLF2を送達するように構成される。
【0014】
センサ起動手段によって発信される起動信号の電力は、当該起動信号を生成するために使用される電圧を二乗した値に実質的に比例することが分かった。さらに、センサの様々なモデルは、起動信号への可変の感度を有する場合がある。したがって、近傍の複数のセンサを意図せず起動し、必要とされるセンサと車両の車載コンピュータとの間のマッチングに齟齬をきたさないように起動信号の電力を変更することができることが有利である。逆に、あまり感度が高くないセンサもあるため、その場合は、こうしたセンサを起動するのに十分高い電力を有する信号を有することが有利である。したがって、第1の電圧値VLF1は、例えば、少なくとも1つのタイプのセンサを起動するための最小値に対応し、第2の電圧値VLF2は、存在するセンサの大多数を起動するための電圧に対応する(さらに、電圧の適合により、信号品質の適合及びセンサの感度への適合が可能になる)。
【0015】
別の可能な特徴によれば、起動手段は、PWMモジュール(PWMは「パルス幅変調」の略語である)等の回路を備え、これにより、アンテナに到来する信号の振幅を変更することが可能になり、当該信号は、センサを起動する信号(例えば、正弦波信号)を生成する機能を果たす。
【0016】
別の可能な特徴によれば、上記電気的変換システムは、第1の電圧Vによって供給されるとともに、少なくとも1つのスイッチと関連付けられるモジュールを備え、当該モジュールは、スイッチが開放されている場合は第1の電圧値VLF1を送達し、スイッチが閉鎖されている場合は電圧値VLF2を送達する。
【0017】
上記スイッチは、例えば、電界効果トランジスタ等のトランジスタである。
【0018】
別の可能な特徴によれば、スイッチは、上記デバイスの電子エンティティによって制御される。
【0019】
別の可能な特徴によれば、上記モジュールは、電圧上昇回路又は構成要素と、分圧ブリッジとを備える。
【0020】
別の可能な特徴によれば、上記通信手段は、上記デバイス内に収容されるとともに、車載コンピュータに接続されるように構成されたOBDモジュールである。
【0021】
別の可能な特徴によれば、デバイスは、ディスプレイデバイス、例えば、LCDスクリーン又はTFTスクリーンを備える。
【0022】
上記ディスプレイデバイスにより、例えば、様々なタイヤ内に収容されたセンサが発信した信号によって受信されるデータを表示することが可能になる。
【0023】
別の可能な特徴によれば、上記通信手段は、OBDソケットを備える。
【0024】
OBDソケットは、OBDケーブルの接続を可能にし、そのようにしてワイヤによって車両の車載コンピュータに接続するように構成される。
【0025】
OBDは、OBD、OBD-II、E-OBD、J-OBD等の規格に準拠する全てのOBDモジュールを意味することに留意すべきである。
【0026】
別の可能な特徴によれば、デバイスは、ディスプレイデバイス及びOBDソケットが収容されるハウジングを備え、OBDソケット及びディスプレイデバイスは、上記ハウジングの対向する端部に配置される。
【0027】
実際、OBDソケット及びディスプレイデバイスを可能な限り互いに離して配置することが、人間工学的レベルで有利である。
【0028】
例えばプラスチック材料から作製された上記ハウジングは、対になって対向する4つの二次面によってともに接続された2つの対向する主面を有する。加えて、上記ハウジングは、細長形状を有するため、2つの対向する長手方向端部を有する。ディスプレイデバイスは、好ましくは、長手方向端部のうちの一方に近接して主面のうちの一方上に配置される一方、OBDソケットは、他方の長手方向端部に近接して又は他方の長手方向端部上の二次面のうちの他方上に配置される。
【0029】
別の可能な特徴によれば、デバイスは、バッテリと通信ポートとを備え、上記通信ポートは、上記バッテリを充電するために電源に接続されるように構成される。
【0030】
上記通信ポートは、例えばUSBタイプのポートである。さらに、電源は電源ソケットとすることができるが、コンピュータ等、バッテリに電気的に供給することができる任意のタイプの電子又は電気装置とすることもできることに留意すべきである。
【0031】
通信ポートによって上記デバイスのバッテリを充電することができることが有利である。なぜなら、これにより、これのために特定の接続を設置すること及び上記デバイスの製造コストが過度に増大することが回避される。
【0032】
別の可能な特徴によれば、電子エンティティは、通信ポートによって上記デバイスに接続される電源のタイプを検出するように構成される。
【0033】
別の可能な特徴によれば、電子エンティティは、電子装置によって送信されるメッセージによって及び/又はメッセージが無いことによって電源のタイプを検出する。
【0034】
実際、上記電子エンティティは、上記通信ポートを通じてメッセージ(又は信号)(一般に上記電源によって送達される電圧及び/又は強度の変動によって符号化されたメッセージ)を受信することによって又はメッセージが無いことによって、電源のタイプを検出する。メッセージが無いことは、電源が例えば電源ソケットであることを本発明によるデバイスに示す一方、メッセージを受信することは、例えば、電源がコンピュータ等の電子装置であることを示す。
【0035】
電源のタイプに応じて、デバイスは、当該デバイスのバッテリを充電するように意図された電流の強度を変更するように構成される。
【0036】
別の可能な特徴によれば、本発明によるデバイスは、必要に応じて当該デバイスのユーザにアラートする機能を果たすバイブレータを備える。
【0037】
添付の図面を参照して本発明の特定の実施形態の以下の説明中に本発明はより良く理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴及び利点がより明確に浮かび上がるであろう。特定の実施形態は、非限定的に例示としてのみ与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】自動車の電子タイヤ圧チェックシステムと協働する本発明によるデバイスの高度に概略的な斜視図である。
図2図1のデバイスの一部の拡大図である。
図3図1のデバイスの詳細正面図である。
図4図3のデバイスの電子回路の一部の概略図である。
図4a図3のデバイスの電子回路の一部の概略図である。
図4b図3のデバイスの電子回路の一部の概略図である。
図5図4の電子回路の下位部分の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、自動車5のタイヤの電子圧力チェックシステム3のデバイス1の高度な概略図を示している(上記デバイス1は、「バルブアクティベータ(valve activator)」又は「バルブフォーサ(valve forcer)」という用語によっても呼称される場合がある)。自動車5は、第1に、圧力センサ等のセンサ9が収容されたタイヤ7を備え、第2に、車載コンピュータ11(電子制御ユニットとも称され、概してECUという略称によって呼称される)を備える。
【0040】
デバイス1は、例えばプラスチック材料から作製されたハウジング13と、ディスプレイデバイス15と、キーパッド17と、センサ起動信号を発信するアンテナ19と、OBDソケット21とを備える。当該OBDソケット21は、例えば、デバイス1を車両の車載コンピュータ11に、特にOBDケーブルによって接続することを可能にするように構成される。
【0041】
より詳細には、ハウジング13は、対になって対向する4つの二次面13bによってともに接続された2つの対向する主面13aを有する。加えて、上記ハウジング13は、細長形状を有するため、2つの対向する長手方向端部14a及び14bを有する。
【0042】
ディスプレイデバイス15は、長手方向端部のうちの一方14a、好ましくはまたアンテナ19に近接して、主面のうちの一方13a上に配置される一方、OBDソケット21は、ハウジング13の他方の長手方向端部14bに近接して二次面のうちの一方上に配置される。
【0043】
デバイス1は、例えば二次面のうちの一方13b上に(より詳細には、図2において見える)、好ましくは、アンテナ19に対向する長手方向端部14bに近接して配置された通信ポート18も備える。当該通信ポート18は、例えば、USBタイプのポートである。
【0044】
図3は、図1のデバイス1の高度な概略詳細図である。
【0045】
したがって、上記デバイス1は、
タイヤセンサを起動する少なくとも1つの手段31であって、例えば、センサ起動信号(連続及び/又は被変調)を生成する手段であり、特に、生成された上記信号をセンサ9まで最も良く伝播することを可能にするアンテナ19を備える、少なくとも1つの手段31と、
センサから到来する信号を受信する手段33であって、概して、ハウジング13内に収容されるとともに、例えば、433.92MHz又は315MHzの周波数を有する信号を受信するように構成された別のアンテナ(センサは、上記起動手段31によって起動された後に信号を発信する)である、手段33と、
上記センサ9によって発信された信号が搬送する情報を記憶及び/又は処理するように構成された電子エンティティ35と、
上記センサ9のうちの少なくとも1つからの情報、すなわち上記センサ9から到来する信号によって受信される情報を送信するために、自動車の車載コンピュータ11と通信する手段37と
を備える。
【0046】
通信手段37は、例えば、OBD通信及び前述したOBDソケット21を管理する回路38を備えるOBDモジュールである。管理回路38は、電子エンティティ35に統合することもできることに留意すべきである。
【0047】
起動信号は、起動手段31によって発信された連続又は被変調の電磁信号であり、この信号は、例えば、125kHzの周波数を有することに留意すべきである。
【0048】
デバイス1は、バッテリ41(好ましくは単一のバッテリ)も備える。当該バッテリ41は、DC電圧値Vを送達するように構成され、この値は、実質的に固定であり、例えば、4.2Vの最大値を有する。したがって、上記起動手段31は、バッテリ41によって受信された電圧Vを変換し、これをアンテナ19に送達するように構成された電気的変換システム40を備える。
【0049】
より詳細には、図4は、上記電気的変換システム40の詳細概略図である。
【0050】
したがって、上記システム40は、モジュール401を備え、その入力部は、モジュール401に電圧Vを供給するバッテリ41に接続され、その出力部は、起動信号を生成する機能を果たす信号の振幅を修正することを可能にするPWMモジュール等の回路403と、抵抗器Rによって当該モジュール401に接続されたスイッチTとに接続される。モジュール401に関して、これは、VLFと表記されるDC電圧を出力として供給するように構成される。
【0051】
したがって、上記電気的変換システム40は、第1の電圧Vを第2の電圧VLFに変換する回路を備える。
【0052】
したがって、PWMモジュール403は、入力としてDC電圧VLFを受信し、出力として、その電圧が選択されたデューティサイクルに従って変動する電気信号をアンテナ19に出力する。
【0053】
さらに、スイッチTは、例えば、電子エンティティ35に接続され、これによって制御される。
【0054】
したがって、以下の図4に示す実施形態において、スイッチTは、トランジスタ(例えば、MOSFET)であり、このトランジスタのゲートは、電子エンティティ35に接続され、このトランジスタは、電子エンティティ35によって当該トランジスタTに送達される電圧によって制御される。さらに、抵抗器Rは、上記デバイス1が起動されたときにスイッチTを適切にバイアスするために、スイッチTがトランジスタである場合にエンティティ35とスイッチTとの間に配置することができる。
【0055】
したがって、スイッチTの位置(開閉)に従って、モジュール401の出力における電圧VLFの値は、2つの異なる値を取ることができる。
【0056】
スイッチTの位置及びその結果が、図4a及び図4bにより詳細に示されている。
【0057】
したがって、図4aに示すようにスイッチTが開放されている場合、抵抗器Rは、短絡されており、モジュール401の出力電圧VLFに影響を与えることはなく、次に、モジュール401の出力電圧は、VLF1と表記される第1の値、例えば、7.2Vの値を取る。
【0058】
したがって、図4bに示すようにスイッチTが閉鎖されている場合、抵抗器Rは、モジュール401の出力電圧VLFに影響を与え、モジュール401の出力電圧は、VLF2と表記される第2の値を取る。VLF1と表記される第1の値は、VLF2と表記される第2の値よりも小さく、当該第2の値VLF2は、例えば、9.5Vの値を有することに留意すべきである。
【0059】
PWMモジュール403は、したがって、2つの異なるDC電圧値VLF1及びVLF2によって供給することができ、そのため、複数の電圧源(DCか否か)を有する必要なしに、可変電力を有することができるセンサ起動信号(アンテナ19によって発信される)を生成することが可能になる。
【0060】
ちなみに、アンテナ19によって起動手段31によって発信された起動信号の電力は、アンテナ19に到来するとともに起動信号を生成する機能を果たす電圧値と関連付けられる。
【0061】
図5は、モジュール401のより詳細な概略図である。したがって、上記モジュール401は、(バッテリ41から到来する)第1の電圧Vによって供給されるとともに、それぞれ、少なくとも第1の抵抗器503及び第2の抵抗器505から構成された分圧ブリッジと関連付けられる回路又は構成要素501を備える。
【0062】
回路又は構成要素501は、第1に、バッテリ41の入力部に接続され、第2に、分圧ブリッジの第1の抵抗器503の出力部に接続され、当該第1の抵抗器503は、回路又は構成要素501の出力端子と並列に配置される。上記回路又は構成要素501は、2つの入力部501a及び501bと、2つの出力部501c及び501d(それぞれ第1の出力部及び第2の出力部)とを更に備える。
【0063】
したがって、第2の抵抗器505は、アースと、第1の抵抗器503によって回路又は構成要素501の第1の出力部501c、構成要素又は回路501の第2の出力部501d、及び、先に詳述した抵抗器R(電気的変換システム40の抵抗器)を接続するノードNとに接続される。抵抗器R及び第2の抵抗器505は、互いに並列に配置される。
【0064】
回路又は構成要素501に関して、これは、バッテリ41から到来して受信された電圧Vを上昇させるように構成され、例えば、出力として送達された電圧VLFを構成要素501が調節することを可能にする出力部501c(特にこれが専用構成要素である場合)を備えることができる。
【0065】
モジュール401は、第1の出力部501cと第1の抵抗器Rとの間に配置されるダイオード507、例えば、ショットキーも備えることができ、これは、還流ダイオード(freewheeling diode)の役割を果たす。
【0066】
さらに、通信ポート18は、上記バッテリ41を充電するように意図された電気エネルギーを受信するように構成される。上記通信ポート18は、したがって、(コンピュータ等の電子装置と通信するように構成されることに加えて)上記バッテリ41を充電するために電源に接続されるように意図される。
【0067】
上記電源は、電源ソケットとすることができるが、コンピュータ等、バッテリ41に電気的に供給することができる任意のタイプの電子又は電気装置とすることもできる。
【0068】
デバイス1の電子エンティティ35は、さらに、通信ポート18によって上記デバイス1に接続される電源のタイプを検出するように構成される。
【0069】
電子エンティティ35は、上記通信ポート18によって、上記デバイス1に接続された電子装置から到来するメッセージ又は信号を受信するように構成される。したがって、電子エンティティ35がメッセージを受信すると、エンティティ35はその後、バッテリ41を充電するように意図された電流の強度を第1の値Iまで制限し、当該第1の値Iは、例えば、最大値が500mAに等しい。
【0070】
電子エンティティ35が信号又はメッセージを受信しない場合、エンティティ35は、バッテリ41を充電するように意図された電流の強度を第2の値Iまで調整し、当該第2の値Iは、当該第1の値Iよりも高い。当該第2の値Iは、例えば、1A~2Aである。
【0071】
好ましくは、電子エンティティ35は、バッテリ41の充電が最初は第1の強度値Iで行われ、時間tの間、例えば、30秒間、電子エンティティ35がメッセージを受信しない場合、バッテリ41を充電する電流の強度は第2の値Iを取るように構成される。
【0072】
したがって、電源から到来する信号の受信の有無により、デバイス1に接続された電源のタイプを検出することと、それに応じて、電源の損傷を回避するためにバッテリ41を充電する電流の強度を適合することとが可能になる。
なお、出願当初の特許請求の範囲の記載は以下の通りである。
請求項1:
タイヤセンサを起動する手段(31)と、
前記センサから到来する信号を受信する手段(33)と、
前記センサによって発信された前記信号が搬送する情報を記憶及び/又は処理するように構成された電子エンティティ(35)と、
前記センサのうちの少なくとも1つからの情報を送信するために、自動車車載コンピュータと通信する手段(37)と
を備え、
前記起動手段(31)は、第1の電圧VBを第2の電圧VLFに変換するように構成される電気的変換システム(40)を備えている、自動車のタイヤの圧力をチェックする電子システムのためのデバイス(1)。
請求項2:
前記電気的変換システム(40)は、前記第2の電圧VLFの2つの別個の値VLF1及びVLF2を送達するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
請求項3:
前記電気的変換システム(40)は、前記第1の電圧VBによって供給されるとともに、少なくとも1つのスイッチと関連付けられるモジュール(401)を備え、該モジュール(401)は、前記スイッチが開放されている場合は第1の電圧値VLF1を送達し、前記スイッチが閉鎖されている場合は電圧値VLF2を送達することを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
請求項4:
前記モジュール(401)は、電圧上昇回路又は構成要素(501)と、分圧ブリッジとを備えることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
請求項5:
前記通信手段(37)は、前記デバイス(1)内に収容されるとともに、前記車載コンピュータに接続されるように構成されたOBDモジュールであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
請求項6:
前記通信手段(37)は、OBDソケット(21)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
請求項7:
前記デバイスは、ディスプレイデバイス(15)、例えば、LCDスクリーン又はTFTスクリーンを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
請求項8:
前記デバイスは、前記ディスプレイデバイス(15)及び前記OBDソケット(21)が収容されるハウジング(13)を備え、前記OBDソケット(21)及び前記ディスプレイデバイス(15)は、前記ハウジング(13)の対向する端部(14a、14b)に配置されることを特徴とする、請求項6及び7に記載のデバイス。
請求項9:
前記デバイス(1)は、バッテリ(41)と通信ポート(18)とを備え、該通信ポート(18)は、前記バッテリ(41)を再充電するために電源に接続されるように構成されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
請求項10:
前記電子エンティティ(35)は、前記通信ポート(21)によって前記デバイス(1)に接続される前記電源のタイプを検出するように構成されることを特徴とする、請求項9に記載のデバイス。
請求項11:
前記電子エンティティ(35)は、電子装置によって送信されるメッセージによって及び/又はメッセージが無いことによって前記電源のタイプを検出することを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
請求項12:
前記デバイスは、前記アンテナに到来する前記信号の振幅を変更するとともに、前記センサを起動する前記信号を生成する機能を果たす回路を備えることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
図1
図2
図3
図4
図4a
図4b
図5