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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/44 20200101AFI20230814BHJP
【FI】
D06F33/44
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018148960
(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公開番号】P2020022647
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】米田 智亮
(72)【発明者】
【氏名】堀部 泰之
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-159492(JP,A)
【文献】特開2006-075587(JP,A)
【文献】特開平09-276582(JP,A)
【文献】特開2014-183890(JP,A)
【文献】特開2006-247062(JP,A)
【文献】特開2003-181190(JP,A)
【文献】特開2002-320790(JP,A)
【文献】特開2010-042118(JP,A)
【文献】特開2007-068681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 23/06
D06F 33/00
D06F 33/30
D06F 37/38
D06F 37/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽を回転させるモータと、
洗い工程を実行する制御手段と、
洗濯水を加熱する加熱手段と、を備え、
前記制御手段は、前記洗い工程において、洗濯水温度が所定の温度となるまでの間、洗濯水を加熱する弱洗い工程と、前記弱洗い工程の後に設けられ、所定時間が経過すると終了する本洗い工程と、を順に実行し、
前記弱洗い工程において、前記洗濯槽の回転により前記洗濯槽を略150度以上の角度で回動させないように前記モータを制御する弱洗い動作を実行し、
前記本洗い工程において、前記洗濯槽の回転により前記衣類を前記洗濯槽の上部から下部へ落下させるように前記モータを制御する本洗い動作を実行し、
前記弱洗い動作を時間可変に制御する、
洗濯機。
【請求項2】
前記洗濯槽内の布量を検出する布量検出手段と、洗濯水温度を検知する温度検知手段と、を有し、
前記制御手段は、前記布量検出手段により検出した布量と前記温度検知手段により検知した洗濯水温度に基づいて洗い工程の時間を設定し、
前記洗い工程の時間は、前記布量が多いほど長く設定され、
前記本洗い動作は、時間固定である、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記弱洗い工程は、前記弱洗い動作と、前記衣類が前記洗濯槽の上部から下部へ落下させる回転数で間欠的に前記洗濯槽を回転させる攪拌動作と、を含み、
前記制御手段は、前記攪拌動作を時間固定に制御する、
請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記弱洗い動作は、前記洗濯槽を略150度未満の角度で揺動させるゆり攪拌である、
請求項1~のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記洗い工程は、おしゃれ着洗浄コースの一部である、
請求項1~のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等のつけおき洗いを行う洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗濯機は、洗い工程において、給水手段にて給水された洗濯水温度や、洗濯槽へ投入された布量に応じて、温度範囲別の複数段階に撹拌時間を設定する。洗濯槽内の洗濯水温が所定温度以下の場合には、温水ヒータに通電し、洗濯水の温度を上昇させる。洗濯水温度が前記所定温度を超えると、温水ヒータへの通電を停止する。そして、洗濯水温度に応じて予め複数段階の撹拌時間が設定されており、洗濯水温度に応じた撹拌を行なう構成をしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-170687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来構成では、洗濯水温度が低い場合、洗濯水を温水ヒータにより温めながら洗濯槽を回転させている。この構成では、洗濯水の温度が低いほど洗濯水を所定温度まで上昇させるのに時間がかかり、攪拌時間が長くなり、デリケートな衣類を洗う場合には、洗濯槽の回転により衣類に加わる機械力が増加して生地が傷むという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、洗濯水温度の条件によらず衣類の布傷みを抑えて、高い洗浄効果を実現できる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯機は、衣類を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を回転させるモータと、洗い工程を実行する制御手段と、洗濯水を加熱する加熱手段と、を備え、前記制御手段は、前記洗い工程において、洗濯水温度が所定の温度となるまでの間、洗濯水を加熱する弱洗い工程と、前記弱洗い工程の後に設けられ、所定時間が経過すると終了する本洗い工程と、を順に実行し、前記弱洗い工程において、前記洗濯槽を略150度以上の角度で回動させないように前記モータを制御する弱洗い動作を実行し、前記本洗い工程において、前記洗濯槽の回転により前記衣類を前記洗濯槽の上部から下部へ落下させるように前記モータを制御する本洗い動作を実行し、前記弱洗い動作を時間可変に制御するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗濯機は、洗濯条件によらず、安定した洗濯機械力を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるドラム式洗濯機の概略構成図
図2】同ドラム式洗濯機のブロック図
図3】同ドラム式洗濯機のフローチャート
図4】同ドラム式洗濯機のゆり攪拌のタイムチャート
図5】(a)同ドラム式洗濯機の洗い工程のタイムチャート、(b)同洗い工程の他のタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、洗濯槽と、洗濯水温度を検知する温度検知手段と、洗い工程を実行する制御手段を備え、前記温度検知手段で検知した洗濯水温度に基づいて前記洗い工程の時間を可変するとともに、前記洗い工程の時間の長短にかかわらず、洗濯機械力を略同等とし
たものである。
【0010】
これにより、洗濯条件によらず、安定した洗濯機械力を実現できる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明において、布量検出手段を有し、布量と洗濯水温度に基づいて洗い工程の時間を可変するものである。これにより、洗濯条件によらず、安定した洗濯機械力を実現できる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、洗い工程は、洗濯機械力を抑えた弱洗い工程と、洗浄を促進させる本洗い工程を備えるものである。これにより、洗濯条件によらず、安定した洗濯機械力を実現できる。
【0013】
第4の発明は、特に、第3の発明の弱洗い工程は、本洗い工程より先に設けたものである。これにより、高い洗浄効果を実現することができる。
【0014】
第5の発明は、特に、第3または第4の発明において、洗濯水を加熱する加熱手段を有し、弱洗い工程で洗濯水を加熱するものである。これにより、高い洗浄効果を実現することができる。
【0015】
第6の発明は、特に、第5の発明において、弱洗い工程の洗濯水温度が所定温度以上になると、弱洗い工程から本洗い工程へ移行するものである。これにより、高い洗浄効果を実現することができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるドラム式洗濯機の概略構成図、図2は、同ドラム式洗濯機のブロック図である。
【0018】
図1図2において、筐体1内には、水槽3がダンパ2等により弾性支持されている。水槽3内には、有底円筒状のドラム4が回転可能に設けられ、ドラム4の回転軸4aは、角度θで前上がりに傾斜して支持される。本実施の形態では、角度θは、例えば、5~20度に設定している。水槽3底部には、洗濯水を加熱するための温水ヒータ18が配置される。
【0019】
筐体1の前面に開閉自在な扉27を設け、扉27を開くことにより、ドラム4の前面側に設けた開口部7から衣類を出し入れすることができる。
【0020】
ドラム4の周側面には、ドラム4の回転中心に向かって内方へ突出させた複数のバッフル5と、水槽3内と連通する多数の小孔6が設けられ、前面側には、衣類等の洗濯物(以下、衣類という)を出し入れする開口部7が設けられている。開口部7の周囲には、バランサ8が開口部7を取り囲むように環状に形成されており、バランサ8によりドラム4が回転する際に衣類の偏り等によって発生する振動を低減する。
【0021】
水槽3の後面には、ドラム4を回転駆動するモータ9が取り付けられている。モータ9は、ブラシレス直流モータで構成され、インバータ制御によって回転速度を自在に変化させることができる。なお、モータ9がベルトを介してドラム4と連結される構成でも良い。
【0022】
給水手段である給水弁10は、給水配管11に設けられている。給水弁10から給水される洗濯水は、給水配管11に設けた洗剤を投入する洗剤ケース12を経て給水経路13を通り、給水口14から水槽3内に給水する。水槽3内に供給された洗濯水は、小孔6からドラム4内に流入する。
【0023】
水槽3の底部には、排水口17が設けられ、排水口17に排水経路16が接続されている。排水経路16には、排水手段である排水弁15が設けられ、水槽3内の洗濯水は、排水弁15により排水経路16を通して機外へ排出される。
【0024】
洗い工程時は、排水弁15を閉じ、循環ポンプ19を経由して循環経路20と排水経路16を連通し、循環ポンプ19を作動させて洗濯水を吐出口21よりドラム4内に吐出する。吐出口21は、水槽3の周方向に複数形成されている。
【0025】
制御手段22が筐体1内に設けられ、制御手段22は、モータ9、給水弁10、排水弁15、循環ポンプ19、温水ヒータ18等を駆動し、洗い、すすぎ、脱水等の各工程を逐次制御する。
【0026】
制御手段22は、ドラム4内に投入された衣類の量を検知する布量検知手段23の出力と、水槽3内に給水された洗濯水の量を検知する水位検知手段24の出力と、ドラム4の駆動を検知する回転検知手段25の出力と、水槽3内に給水された洗濯水の温度を検知する水温検知手段26等の出力が入力される。
【0027】
水温検知手段26は、本実施の形態では、サーミスタにより構成し、水槽3の底部に設けた排水口17の近傍に設けている。水温検知手段26は、洗い工程の開始時に給水された洗濯水の温度を検知し、電気信号として制御手段22へ出力する。
【0028】
以上のように構成されたドラム式洗濯機について、以下、おしゃれ着洗浄コースの制御について説明する。本おしゃれ着洗浄コースは、洗濯条件によらず衣類の布傷みを抑えて、高い洗浄効果を実現することができる。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態におけるおしゃれ着洗浄コースのフローチャートで、洗い工程を主体的に記載したものである。図4は、同ドラム式洗濯機のゆり攪拌のタイムチャート、図5(a)は、同ドラム式洗濯機の洗い工程のタイムチャート、図5(b)は、同洗い工程の他のタイムチャートである。
【0030】
図3において、まず、使用者がドラム4に衣類を投入してスタートする(ステップS1)。布量検知手段23にてドラム4内の布量を検知(ステップS2)し、操作表示部28に、布量に応じた水位と、水位の水量に対する洗剤量と、洗濯残時間が表示される(ステップS3)。
【0031】
表示された洗剤量が洗剤ケース12に投入されると(ステップS4)、給水弁10が動作して給水が始まり、洗剤ケース12内の洗剤とともに水道水が水槽3内に給水される(ステップS5)。
【0032】
ステップS5において、水温検知手段26により給水される水道水の温度を検出し、ステップS2で検出した布量に応じた水量と水道水の温度により洗い工程の運転時間を設定する。布量が多いほど供給される洗濯水が多く、洗濯水の温度を所定温度まで上昇させるのに時間がかかるため、洗い工程の運転時間は、布量が多いほど長く、布量が少ないほど短く設定される。また、水道水の温度が低いと、洗濯水の温度を所定温度まで上昇させるのに時間がかかるため、洗い工程の運転時間は、水道水の温度が低いほど長く、水道水の
温度が高いほど短く設定される。洗い工程の運転時間は、布量と水道水の温度の両方の組み合わせによって決定される。
【0033】
本実施の形態では、洗い工程の運転時間は、布量に応じた水量と水道水の温度によって設定しているが、給水前に水温検知手段26により槽内温度を検出し、槽内温度と、布量に応じた水量と、水道水の温度により洗い工程の運転時間を設定するようにしてもよい。この構成では、洗い工程の運転時間は、槽内温度の温度が低いと、洗濯水の温度を所定温度まで上昇させるのに時間がかかるため、槽内温度が低いほど長く、槽内温度が高いほど短く設定される。洗い工程の運転時間は、槽内温度と布量に応じた水量と水道水の温度の組み合わせによって決定される。
【0034】
給水工程では、ドラム4内の洗濯物のバランスを良くし、洗剤の溶解を促進するために、ドラム4が低速で回転する(ステップS6)。その後、洗濯物に浸透して低下した水位を補うための給水が行われる(ステップS7)。同時に、循環ポンプ19が間欠的に駆動され、水槽3内の洗濯水が循環水として水槽3の吐出口21よりドラム4内の洗濯物に向かって噴出される。循環ポンプ19は、洗い工程、すすぎ工程で適宜駆動する。所定量の給水が終わると、弱洗い工程に移行する(ステップS8)。
【0035】
弱洗い工程(ステップS8)では、温水ヒータ18をONするための水位ランクに到達すると、温水ヒータ18がONする。弱洗い工程は、ドラム4を略150度未満の角度で揺動させるゆり攪拌を主とし、間欠的にドラム4を1回転以上回転させるタンブル攪拌をする。
【0036】
ここで、タンブル攪拌は、衣類がドラム4の内壁に張り付かない程度の回転数で行われる。すなわち、ドラム4の回転することで、バッフル5によって衣類が持ち上げられ、上部から下部へ落下する叩き洗いがされる回転数で行われる。
【0037】
ゆり攪拌は、衣類を叩き洗いしない程度の角度でドラム4を揺動させる攪拌であり、本実施の形態では、ドラム4を略150度未満の角度で揺動させる。
【0038】
図4は、本実施の形態のゆり攪拌の一例を示すタイムチャートであり、図4に示すように、ドラム4を一方に回転させて(図中時間a)モータ9を停止し、偏荷重となった衣類の自重によりドラム4を衣類が下方位置になる位置にドラム4を回転させる。所定時間(図中時間b)経過後、逆方向にドラム4を回転させて(図中時間a)モータ9を停止し、偏荷重となった衣類の自重によりドラム4を衣類が下方位置になる位置にドラム4を回転させる。
【0039】
ゆり攪拌は、これを繰り返す運転であり、ドラム4を揺動させることにより、衣類に当たる洗濯水により衣類を揉み洗いし、衣類に加わる洗濯機械力を低減することができる。
【0040】
本実施の形態では、図4中のドラム4の回転時間aは、略一定であり、弱洗い工程において、運転時間の長さにかかわらず、ドラム4が揺動される回数とドラム4の回転時間aは略一定である。
【0041】
図4中の静止時間bは、布量と水道水の温度によって設定される弱洗い工程の運転時間によって変更される。すなわち、弱洗い工程の運転時間が長い場合には、静止時間bは運転時間に応じて長く設定され、弱洗い工程の運転時間が短い場合には、静止時間bは運転時間に応じて短く設定される。
【0042】
これにより、弱洗い工程の運転時間の長さにかかわらず、ドラム4が揺動される回数が
一定となるため、衣類に加わる洗濯機械力をほぼ一定にすることができ、衣類へのダメージを一定にすることができる。
【0043】
図5(a)は、本実施の形態の洗い工程の一例を示すタイムチャートで、弱洗い工程をゆり攪拌のみを行う洗い工程を示している。ゆり攪拌のみを行うので、衣類に対する洗濯機械力を低減でき、衣類へのダメージを抑制できる。衣類は、揉み洗い状態となり、洗い工程の運転時間の長さにかかわらず、衣類に加わる洗濯機械力をほぼ一定にすることができ、衣類へのダメージを一定にすることができる。
【0044】
図5(b)は、本実施の形態の洗い工程の他の例を示すタイムチャートで、弱洗い工程の前半にタンブル攪拌を行い、後半にゆり攪拌のみを行う洗い工程を示している。タンブル攪拌を行う前半部分の時間は一定とし、洗い工程の長短は、弱洗い工程の後半で調整する構成である。弱洗い工程の前半にタンブル攪拌を行うことにより、洗剤の溶解性を向上させ、衣類への洗剤成分の浸透性を高めて洗浄性能を向上することができる。この洗い工程では、弱洗い工程の前半にタンブル攪拌を行っているが、タンブル攪拌は、わずかな回数行うので、衣類へのダメージを抑制することができる。この洗い工程においても、洗い工程の運転時間の長さにかかわらず、衣類に加わる洗濯機械力をほぼ一定にすることができ、衣類へのダメージを一定にすることができる。
【0045】
図5(a)、(b)に示すタイムチャートは、本実施の形態の洗い工程の例を示すものであり、本発明を限定するものではない。
【0046】
ここで、洗濯機械力は、本実施の形態のおしゃれ着洗浄コースが対象とする衣類の取扱い絵表示に基づいたJIS L1930に規定の洗濯機械力をいい、洗濯機械力の所定値とは、取扱い絵表示に定められた機械力を指す。
【0047】
なお、図5(a)に示す本実施の形態では、運転時間の長さにかかわらず、ドラム4が揺動される回数と回転時間aは一定にする構成としたが、回転時間aと静止時間bを一定として、運転時間の長さを変えるようにしてもよい。この構成であっても、衣類は、ドラム4の揺動によって洗濯水により揉み洗いされるので、衣類に対する機械力は低減され、衣類のみを抑制できる。また、運転時間が長くなった場合に、ドラム4が揺動される回数と静止時間bがともに増大するようにしてもよい。この構成であっても、同様の効果を奏する。
【0048】
また、ゆり攪拌に替えて、ドラム4を停止させたまま、循環ポンプ19を間欠的に駆動する構成としてもよい。この構成では、循環する洗濯水によって衣類が揉み洗いされるので、ゆり攪拌と同様に、衣類に対する洗濯機力が低減され、衣類のみを抑制できる。ゆり攪拌と循環ポンプ19の駆動を組み合わせる構成としてもよい。
【0049】
これらの洗い工程においても、洗い工程の運転時間の長さにかかわらず、衣類に加わる洗濯機械力をほぼ一定にすることができ、衣類へのダメージを一定にすることができる。
【0050】
水温検知手段26が洗濯水温度が所定温度以上になったことを検知する(ステップS10)と、本洗い工程(ステップS11)へ移行する。本実施の形態では、所定温度は、37℃に設定している。例えば、皮脂は約37℃で90%が融解して液体となり、また、約37℃で洗剤酵素が活性化するため、約37℃で弱洗い工程から本洗い工程へ移行することで、洗濯機械力を抑えて高い洗浄効果が期待できる。
【0051】
本洗い工程(ステップS11)では、温水の効果で皮脂が効果的に落ちやすくなったところで間欠的にタンブル攪拌を行う。洗濯水温度が約40℃に到達すると、間欠的に温水
ヒータをONし、約40℃を維持する(ステップS12)。
【0052】
本洗い工程(ステップS11)を所定時間経過すると、洗い工程を終了する。
【0053】
次工程のすすぎ(1)工程(ステップS13)では、排水弁15が開き、水槽3内の水を排水した後、中間脱水が行われ、洗濯物に遠心力を与えることにより、水分を洗濯物から分離した後、洗いの水位まで給水し、モータ9を駆動し、洗濯物から洗濯液を出すためのすすぎ攪拌が開始される。
【0054】
所定時間、すすぎ攪拌を行った後、水槽3内の水を排水し、脱水を行ってすすぎ(1)工程を終了する。
【0055】
すすぎ(2)工程(ステップS14)、つまり最終すすぎ工程では、すすぎ(1)工程と同様に排水と中間脱水が行われ、それが終わった後に、すすぎ攪拌が開始される。
【0056】
すすぎ(2)工程(ステップS14)終了後、脱水工程(ステップS15)に移行する。
【0057】
脱水工程(ステップS15)では、すすぎ(2)工程終了後、排水弁15を開き、水槽3内の水を排水した後、モータ9を駆動させて、ドラム4を高速回転させ、洗濯物に遠心力を与えて、水分を洗濯物から分離することを所定時間行い、おしゃれ着洗浄コースが終了する。
【0058】
上述した本実施の形態は、ドラム式洗濯機に基づいて説明したが、縦型洗濯機に採用してもよい。縦型洗濯機において、おしゃれ着洗浄コースを行う際には、ゆり攪拌に替えて漬け置き洗い、または、洗濯槽を一方向へ高速で回転させる通過洗浄洗いを行い、また、タンブル攪拌に替えて洗濯槽を正逆反転させる反転攪拌を行うように構成してもよい。
【0059】
また、洗濯水の加熱手段としてヒータを用いているが、ヒータに替えて、IHなどの他の加熱手段を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明にかかる洗濯機は、洗濯水温や布量等の洗濯条件によらず、所定の範囲内の洗濯機械力に抑えるとともに、安定した洗浄を実現することが可能となるので、おしゃれ着コースや浸け置きコースを有する他の洗濯機等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 筐体
2 ダンパ
3 水槽
4 ドラム
5 バッフル
6 小孔
7 開口部
8 バランサ
9 モータ
10 給水弁(給水手段)
11 給水配管
12 洗剤ケース
13 給水経路
14 給水口
15 排水弁(排水手段)
16 排水経路
17 排水口
18 温水ヒータ
19 循環ポンプ
20 循環経路
21 吐出口
22 制御手段
23 布量検知手段
26 水温検知手段
図1
図2
図3
図4
図5