(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】管理システムおよび管理方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20230814BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20230814BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
H05K13/08 A
H05K13/02 B
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2018171033
(22)【出願日】2018-09-13
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】前園 尚
(72)【発明者】
【氏名】竹原 裕起
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/135446(WO,A1)
【文献】特開2009-182160(JP,A)
【文献】国際公開第2015/079488(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置による一定期間における実装基板の生産において、部品を移載する実装ヘッドに対して前記部品を供給する複数の部品供給手段毎に必要となる部品数を生産計画から取得する取得部と、
外段取りフロアにおいて前記部品供給手段にセットする第1のリールの部品残数が前記複数の部品供給手段毎に前記生産計画から必要となる部品数を下回る場合に、第1のリールに追加して、第2のリールのテープをスプライシングを行わずに供給するオートローディング方式の前記部品供給手段に対し供給するよう指示する指示部と、
前記部品供給手段を保持し、前記部品実装装置の供給エリアに挿入される台車とを備え、
前記台車が前記供給エリアから外れた状態で、前記第2のリールのテープを前記部品供給手段に対して供給する管理システム。
【請求項2】
前記指示部は、
前記第1のリールのテープ長さが、第2のリールのテープを前記部品供給手段に対し追加して供給可能な供給可能長さを下回る場合に、前記第2のリールのテープを前記部品供給手段に対して供給するよう作業者に指示する、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記供給可能長さを前記部品供給手段毎に記憶する供給可能長さ記憶部を更に備えた、請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記第1のリールのテープ長さまたは部品残数の情報を読み出すリール情報読出部を更に備えた、請求項2または3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記部品供給手段にセットされた前記第1のリールについて、リールIDを読み取るリールID読取部を更に備え、
前記リール情報読出部は、
前記リールID読取部により読み取られた前記リールIDとリンクしたテープ長さまたは部品残数を読み出す、請求項4に記載の管理システム。
【請求項6】
部品を基板に実装して実装基板を生産する部品実装装置において、生産計画から一定期間における前記実装基板の生産に必要な部品の部品数を取得し、
外段取りフロアにおいて前記部品を移載する実装ヘッドに対し前記部品を供給する部品供給手段にセットする第1のリールの部品残数が前記生産計画から必要な部品数を下回る場合に、第1のリールに追加して、第2のリールのテープをスプライシングを行わずに供給するオートローディング方式の前記部品供給手段に対し供給するよう作業者に指示し、
前記部品供給手段を保持し、前記部品実装装置の供給エリアに挿入される台車が前記供給エリアから外れた状態で、前記第2のリールのテープを前記部品供給手段に対して供給する管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置への部品供給を管理する管理システムおよび管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置における部品供給の方法として、部品を収納したキャリアテープをピッチ送りして部品を実装ヘッドによる取り出し位置に供給するテープフィーダが多用されている。このテープフィーダによる部品供給において、実装作業中にテープフィーダで部品切れが発生した場合には、供給リールを新たなものと交換するリール交換作業が行われる。このリール交換作業に際し、従来よりキャリアテープ自体を繋ぎ合わせるいわゆるスプライシング方式が採用されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献例に示す先行技術では、テープフィーダに部品を保持した状態で収容されているキャリアテープの残り長さを示す残テープ長を算出し、この残テープ長がデータ記憶部に記憶されている警告残テープ長まで減少したならば、テープを繋ぎ合わせるスプライシング作業実行時期を予告し、残テープ長が最小テープ長まで減少したならば装置停止するように構成されている。これにより、装置稼働中にスプライシングの実行を失念してしまったような場合にあっても、既装着テープの末尾部の位置がスプライシング作業を行うのに好都合な範囲内にある状態で、スプライシングを良好な作業性で行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の特許文献例を含め、従来技術では部品実装装置においてテープフィーダによる部品供給を継続して実行する上で、新たなキャリアテープの供給について以下のような不都合があった。すなわち、部品実装装置における新たな部品供給の必要性の有無は、厳密には次に生産予定となる基板について必要とされる部品数によって規定されるものである。ところが従来技術では、前述の警告残テープ長に相当する部品数まで減少したタイミングにおいてスプライシングの実行を指示する運用がなされており、それ以前の適切なタイミングでスプライシングを実行することできなかった。
【0006】
そこで本発明は、部品供給を適切なタイミングで行って、生産効率を向上させることができる管理システムおよび管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管理システムは、部品実装装置による一定期間における実装基板の生産において、部品を移載する実装ヘッドに対して前記部品を供給する複数の部品供給手段毎に必要となる部品数を生産計画から取得する取得部と、前記部品供給手段にセットする第1のリールの部品残数が前記複数の部品供給手段毎に必要となる部品数を下回る場合に、第1のリールに追加して、第2のリールのテープを前記部品供給手段に対し供給するよう作業者に指示する指示部とを備えた。
【0008】
本発明の管理方法は、部品を基板に実装して実装基板を生産する前記部品実装装置において、生産計画から一定期間における前記実装基板の生産に必要な部品の部品数を取得し、前記部品を移載する実装ヘッドに対し前記部品を供給する部品供給手段にセットする第1のリールの部品残数が前記部品数を下回る場合に、第1のリールに追加して、第2のリールのテープを前記部品供給手段に対し供給するよう作業者に指示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品供給を適切なタイミングで行って、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態の管理システムが適用される部品実装システムの構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の管理システムが適用される部品実装装置の構成説明図
【
図3】本発明の一実施の形態の管理システムの構成を示すブロック図
【
図4】本発明の一実施の形態の管理システムにおけるキャリアテープのスプライシング可能長さの説明図
【
図5】本発明の一実施の形態の管理システムにおける部品供給の管理方法を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず
図1を参照して、本実施の形態の部品供給の管理システムが適用される部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、テープフィーダなどの部品供給装置によって供給される部品を基板に実装して実装基板を生産する機能を有している。本実施の形態に示す例では、部品実装システム1は基板供給装置M1、基板受渡装置M2、半田印刷装置M3、部品実装装置M4、M5、リフロー装置M6および基板回収装置M7を直列に連結して構成された複数の部品実装ライン4を備えている。各部品実装ライン4にはライン番号L(1)、L(2)、・・が付されており、これらのライン番号によって各部品実装ライン4を個別に特定することができる。
【0012】
各部品実装ライン4を構成する基板供給装置M1~基板回収装置M7の各装置は、通信ネットワーク2を介して管理装置3に接続されている。管理装置3は各部品実装ライン4によって実行される部品実装作業を管理するほか、本実施の形態においては各部品実装ライン4の部品実装装置M4、M5への部品供給を管理する管理システム30(
図3参照)の主体を構成している。管理装置3は、具体的には、コンピュータのCPU、メモリおよび入出力回路等のハードウェア資源により構成され、CPUがデータをメモリまたは入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路等に出力したりすることによって、処理が実行される。
【0013】
各部品実装ライン4による部品実装作業においては、基板供給装置M1によって供給された基板は基板受渡装置M2を介して半田印刷装置M3に搬入され、ここで基板に部品接合用の半田をスクリーン印刷する半田印刷作業が行われる。スクリーン印刷後の基板は部品実装装置M4、M5に順次受け渡され、ここで半田印刷後の基板に対して部品を搭載する部品搭載作業が実行される。部品搭載後の基板はリフロー装置M6に搬入され、ここで所定の加熱プロファイルにしたがって加熱されることにより部品接合用の半田が溶融固化する。これにより電子部品が基板に半田接合されて基板に電子部品を実装した実装基板が完成し、基板回収装置M7に回収される。
【0014】
部品実装システム1には、部品庫5および外段取りフロア6が設けられている。部品庫5は複数の部品棚5aを備えており、各部品棚5aには
図2に示すテープフィーダ15や部品供給用のリール17など、部品実装ライン4における部品実装作業に使用される資材が保管されている。各部品棚5aには棚番号(1)、(2)・・が付されており、これらの棚番号によって各部品棚5aを個別に特定することができる。
【0015】
外段取りフロア6は、部品庫5から出庫された資材を対象として所定の外段取り作業、すなわち部品実装ライン4に搬入される前の段階で部品準備作業を実行するための作業フロアである。例えば部品庫5から個別に出庫されたリール17は、外段取りフロア6にて部品実装ライン4に搬入される前に対応するテープフィーダ15に取り付けられ、さらにリール17と組み合わされたテープフィーダ15は部品供給用の台車6(
図2参照)にセットされる。
【0016】
本実施の形態に示す部品供給の管理システムおよび管理方法では、外段取りフロア6にて実行される部品供給作業において既装着のリール17の残りのキャリアテープ18と新たなリール17のキャリアテープ18とを予め繋ぎ合わせるスプライシング作業を必要に応じて実行する例を示している。
【0017】
部品実装システム1には携帯端末8を携行して作業を行う複数の作業者7が配員されている。作業者7は、部品庫5、外段取りフロア6、部品実装ライン4を作業対象エリアとして、部品実装システム1における部品実装作業に必要な各種の作業を実行する。この作業実行に際しては、作業者7は管理装置3の指示機能によって携帯端末8に表示される作業指示を参照する。本実施の形態においては、部品供給の管理システムとしての管理装置3は、部品実装ライン4の部品実装装置M4、M5に部品を供給する部品供給装置であるテープフィーダによる部品供給を、以下に示す構成によって管理するようにしている。
【0018】
まず
図2を参照して、部品実装ライン4の部品実装装置M4、M5において用いられる部品供給装置としてのテープフィーダ15の構成および機能の概要を説明する。
図2(a)は、部品実装装置M4、M5の部分断面を示しており、
図2(b)は、部品実装装置M4、M5から取り外された状態のテープフィーダ15の側面を示している。
【0019】
図2(a)に示すように、ベース部10上には実装対象の基板13を搬送する基板搬送機構11が配設されており、基板搬送機構11の側方には部品を供給する部品供給部14が配置されている。部品供給部14には、テープフィーダ15が装着されその下方にリール17を保持した台車16が着脱自在にセットされる。すなわち部品供給部14は、部品実装装置M4、M5において台車16が挿入される供給エリアとなっている。
【0020】
台車16には、テープフィーダ15を装着するためのフィーダベース12が設けられている。フィーダベース12の上面には、テープフィーダ15を装着するための複数のフィーダスロット(図示省略)が設けられている。
図2(b)に示すように、テープフィーダ15の本体部15aの下面にはテープフィーダ15の長手方向に沿った装着ガイド15dが凸設されており、装着ガイド15dをフィーダスロットに嵌着させることにより、テープフィーダ15はフィーダベース12にセットされる。
【0021】
それぞれのフィーダスロットにはスロット番号が付されており、これらのスロット番号によって部品実装装置M4、M5に取り付けられたテープフィーダ15を個別に特定することができる。すなわちフィーダベース12には、各フィーダスロットに装着されたテープフィーダ15を個別に識別するフィーダ識別機能が設けられている。このフィーダ識別機能により、台車16にセットされたテープフィーダ15を自動的に識別することができる。
【0022】
このとき、テープフィーダ15と組み合わされたリール17のリールIDとテープフィーダ15のフィーダIDとを、予めデータ上で紐付けておくことにより、テープフィーダ15を台車16に装着することのみによって、各フィーダスロットと当該フィーダスロットと対応するリール17との対応関係を自動的に検出できるようになっている。さらに台車16に設けられた制御装置は、管理装置3との通信機能を有する情報送信部19を備えている。なお、管理装置3との通信機能を有する情報送信部19は必ずしも台車16に設けられる必要はなく、別に設けられてもよい。情報送信部19の機能により、以下に説明するように、台車16にセットされたテープフィーダ15に関する情報を管理装置3に送信することが可能となっている。
【0023】
リール17には、実装対象の部品を収納したキャリアテープ18が巻回状態で収納されている。リール17から引き出されたキャリアテープ18は、
図2(b)に示すテープ挿入口15bからテープフィーダ15に挿入され、本体部15aに内蔵されたテープ送り機構によって実装ヘッド20の吸着ノズル20aによる部品吸着位置15cに搬送される。これによりキャリアテープ18に収納保持された部品は、部品実装装置M4、M5の部品実装機構に供給され、基板13に搭載される。
【0024】
1つのリール17のキャリアテープ18からすべての部品が取り出されて部品切れとなる場合には、部品供給のために新たなリール17が追加してセットされる。本実施の形態においては、部品供給の態様として、既装着のリール17のキャリアテープ18の末尾に、新たなリール17のキャリアテープ18を接続するスプライシング方式を採用している。これにより、リール17の交換のために装置停止することなく、部品供給を行うことが可能となっている。
【0025】
テープフィーダ15には、当該テープフィーダ15および当該テープフィーダ15と関連するデータ項目を記憶するフィーダ記憶部15eが設けられている。フィーダ記憶部15eには、
図3に示すリールID40、フィーダスロット41、フィーダID42、リール情報43が記憶されている。これらのデータ項目は、台車16が備えた情報送信部19を介して必要に応じて管理装置3に送信される。
【0026】
リールID40は当該テープフィーダ15にセットされるリール17を特定する識別符号である。フィーダスロット41は、台車16において当該テープフィーダ15が装着されるフィーダスロットの位置を特定するための情報である。フィーダID42は、当該テープフィーダ15の識別符号であり、後述するように、スプライシング可能長さTL(S)がテープフィーダ15によって異なっている場合に必要とされる。リール情報43は、管理装置3のリール情報記憶部35に記憶されるものと同様のデータ内容であり、いずれか一方に選択的に記憶されていればよい。ここではフィーダ記憶部15e、リール情報記憶部35の双方にリール情報43を記憶させた例を示している。
【0027】
次に
図3を参照して、部品実装装置M4、M5への部品供給を管理する管理システム30の構成および機能について説明する。本実施の形態においては、外段取りフロア6に搬入された台車16を対象として、次生産における必要部品数の過不足を考慮しながら、スプライシングの実行可否を判断するようにしている。
【0028】
すなわち台車16にセットされたリール17に、次生産おいて必要とされる部品数(必要部品数N)を下回る部品数(部品残数N(R))を有するリール17が存在する場合には、当該リール17を対象としてスプライシングが可能か否かを、以下に説明する構成の管理システム30によって判断し、可能であればスプライシング実行を作業者7に対して指示するようにしている。
【0029】
図3において、管理システム30は部品実装システム1の管理装置3、外段取りフロア6を含んで構成される。管理装置3は、部品配置指示部31、情報受信部32、供給可能長さ記憶部33、生産計画部34、リール情報記憶部35、リール情報読出部36、取得部37、指示部38を備えている。
【0030】
部品配置指示部31は、生産対象となる基板の実装データに基づいて当該部品実装装置M4、M5における部品配置を作業者7に指示する機能を有している。作業者7は指示された部品配置に基づき、部品庫5から該当する部品種類のリール17を持ち出して外段取りフロア6に持ち込む。本実施の形態においては、台車16は情報送信部19を備えており、管理装置3への情報伝達が可能に構成されている。さらに外段取りフロア6はID読取部39を備えており、以下に説明するリール17のリールID40、テープフィーダ15のフィーダID42の読み取りができるようになっている。
【0031】
情報受信部32は、外部装置から管理装置3に対して送信される情報を受信する機能を有する。これらの情報には、外段取りフロア6に持ち込まれた台車16から情報送信部19を介して送信されるデータ項目が含まれている。これらのデータ項目は、台車16に装着されたテープフィーダ15のフィーダ記憶部15eに記憶されている。
【0032】
これらのデータ項目には、前述のリールID40、フィーダスロット41、フィーダID42および当該リール17に収納されているキャリアテープ18に関するリール情報43が含まれている。リール情報43には、卷回収納されたキャリアテープ18のその時点における長さを示すテープ長さ43a、この状態のキャリアテープ18に収納された部品数を示す部品残数43bが含まれている。なお、テープ長さ43a、部品残数43bは本質的には同義のデータであり、一方から他方を換算することが可能となっている。本実施の形態では、部品残数43bを用いてスプライシング可否の判断の対象としている。
【0033】
供給可能長さ記憶部33は、上述のスプライシング可否の判断に参照されるスプライシング可能長さ(供給可能長さ)をテープフィーダ15毎に、すなわちフィーダID42毎に記憶する。ここで、
図4を参照して、スプライシング可能長さについて説明する。
【0034】
図4(a)は、外段取りフロア6に持ち込まれた台車16に装着された使用途中の状態のリール17(第1のリール17(1))を示している。第1のリール17(1)には、長さL(残テープ長さTL(R))の残テープ18(R)が使用途中の状態で卷回収納されている。
【0035】
図4(b)は、第1のリール17(1)に追加して供給される予定の第2のリール17(2)を示している。第2のリール17(2)には、新たな新テープ18(N)が、卷回半径rで卷回収納されている。ここで第2のリール17(2)の外径は卷回半径rに対して余裕があり、新テープ18(N)の外周にさらに幾分かのキャリアテープ18を追加して卷回することが可能となっている。
【0036】
すなわち、第2のリール17(2)には、外径より規定される限界卷回半径r*までキャリアテープ18を追加して卷回することができる。そして卷回半径rから限界卷回半径r*まで追加して卷回されるキャリアテープ18はスプライシング可能テープ18(S)であり、スプライシング可能テープ18(S)の長さLは、スプライシングによる追加供給が可能なテープ長さを示すスプライシング可能長さTL(S)である。
【0037】
図4(c)は、残テープ18(R)の残テープ長さTL(R)が、スプライシング可能長さTL(S)を下回る場合に実行されるスプライシング作業を示している。すなわちこの場合には、第1のリール17(1)から巻き解かれた残テープ18(R)の末尾部を第2のリール17(2)に卷回された新テープ18(N)の先頭部に接続してスプライシング部[S]を形成する。
【0038】
そして残テープ18(R)を第2のリール17(2)に卷回された新テープ18(N)の外周に重ねて巻き付けることにより、通常の新テープ18(N)の長さよりも残テープ長さTL(R)だけ長いテープ収納量の第2のリール17(2)が形成される。このようにして形成された第2のリール17(2)が台車16にセットされ、第2のリール17(2)からキャリアテープ18がテープフィーダ15に供給される。
【0039】
すなわち、本実施の形態における部品供給の対象は、テープフィーダ15を保持し部品実装装置M4、M5の部品供給部14(供給エリア)に挿入される台車16を備えている。そして台車16が部品供給部14(供給エリア)からはずれた状態で、第2のリール17(2)のキャリアテープ18をテープフィーダ15に対して供給するようになっている。
【0040】
なお上述例では、部品供給に際してスプライシングを実行することを前提とした例を示したが、スプライシングを行わずに新たなキャリアテープ18を供給する、いわゆるオートローディング方式を採用する場合であってもよい。オートローディング方式のテープフィーダは、残テープ18(R)が供給されている状態で新テープ18(N)を追加することができる。この場合には、供給可能長さ記憶部33に記憶されるデータは、スプライシングを伴わずにキャリアテープ18を追加供給する場合に対応する「供給可能長さ」となる。すなわち第1のリール17(1)から巻き解かれた残テープ18(R)が、新テープ18(N)と繋ぎ合わされることなく、新テープ18(N)がオートローディング方式のテープフィーダに供給される。
【0041】
なお上述のスプライシング可能長さは、使用されるテープフィーダ15によって異なる場合がある。このような場合は、情報受信部32からフィーダID42が指定されることにより、適用されるスプライシング可能長さが特定される。そしてこのようにして特定されたスプライシング可能長さTL(S)は、取得部37によって取得される。ここで、スプライシング可能長さは、予め既定値に固定入力されていてもよく、入力装置(図示省略)によって適宜変更するようにしてもよい。
【0042】
生産計画部34は、部品実装システム1による実装基板の生産計画に関する情報を提供する機能を有している。この機能には、部品実装装置M4、M5による一定期間(例えば指定されたロットを生産するのに必要な期間)における実装基板の生産において、部品を移載する実装ヘッド20に対して部品を供給する複数のテープフィーダ15毎に必要となる必要部品数Nを提供する機能が含まれる。
【0043】
すなわち、情報受信部32からフィーダスロット41が指定されることにより、当該フィーダスロット41に装着されたテープフィーダ15から供給される部品数を取得部37に対して出力する。生産計画部34の機能としては、上位システムなど外部装置から入力されたデータを記憶する記憶装置としての機能でもよく、または何らかの情報に基づいて必要部品数Nを含む生産計画を立案する機能であってもよい。
【0044】
リール情報記憶部35は、外段取りフロア6に持ち込まれた台車16に装着された使用途中の状態のリール17(第1のリール17(1))についてのリール情報、すなわちテープ長さ43a、部品残数43bについての情報を、複数のリール17について記憶する。リール情報読出部36は、リール情報記憶部35に記憶された第1のリール17(1)についてのテープ長さ43a、部品残数43bを読み出して取得部37に提供する。
【0045】
リール情報についてはテープ長さ43a、部品残数43bのいずれかを出力すればよく、ここに示す例では、部品残数43bを用いるようにしている。情報受信部32から個別のリール17を特定するリールID40が指定されることにより、当該リールID40に対応するリール17から供給される部品数が取得部37に対して提供される。なお、リール情報43をリール情報記憶部35に記憶させる代わりに、テープフィーダ15のフィーダ記憶部15eに記憶させるようにしてもよい。
【0046】
またここに示す例では、テープフィーダ15、リール17が単体の状態でフィーダID42、リールID40を読み取るようにしているが、テープフィーダ15にセットされた状態の第1のリール17(1)について、リールID読取部としてのID読取部39によってリールID40を読み取るようにしてもよい。この場合には、リール情報読出部36は、ID読取部39により読み取られたリールID40とリンクしたテープ長さ43aまたは部品残数43bを読み出す。
【0047】
取得部37は、供給可能長さ記憶部33から提供されるスプライシング可能長さTL(S)、生産計画部34から提供される必要部品数Nおよびリール情報読出部36によってリール情報記憶部35から読み出された部品残数N(R)を取得し、指示部38に出力する。すなわち、取得部37は、部品実装装置M4、M5による一定期間における実装基板の生産において、部品を移載する実装ヘッド20に対して部品を供給する複数のテープフィーダ15毎に必要となる必要部品数Nを、生産計画部34から与えられる生産計画から取得する機能を有している。
【0048】
指示部38は、取得部37から提供されるスプライシング可能長さTL(S)、必要部品数N、部品残数N(R)に基づいて、第1のリール17(1)に追加して、第2のリール17(2)のキャリアテープ18をテープフィーダ15に対し供給するよう、作業者7に指示する。この作業指示は、以下に示す条件に基づいて行われる。
【0049】
まず、テープフィーダ15にセットする第1のリール17(1)の部品残数N(R)が複数のテープフィーダ15毎に必要となる必要部品数Nを下回る場合が第1の条件となる。そして第1のリール17(1)のテープ長さが、第2のリール17(2)のキャリアテープ18をテープフィーダ15に対し追加して供給可能な供給可能長さを下回る場合、すなわち
図4に示す残テープ長さTL(R)がスプライシング可能長さTL(S)を下回って、スプライシングが可能な場合が第2の条件となる。
【0050】
そして本実施の形態では、少なくとも第1の条件を満たす場合(望ましくは第1の条件および第2の条件の双方を満たす場合)に、第1のリール17(1)に追加して、第2のリール17(2)のキャリアテープ18をテープフィーダ15に対し供給するよう、作業者7(または作業者7に代わって作業を実行するロボット)に指示する。そして作業者7はこの指示に従って所定の作業を実行する。ロボットは、例えば多関節ロボットで部品棚5aから第2のリール17(2)の取り出しを行ったり、第2のリール17(2)のキャリアテープ18をテープフィーダ15に対し自動に供給する。
【0051】
次に
図5を参照して、部品実装システム1において、部品実装装置M4、M5を対象として実行される部品供給処理について説明する。(ST1)にて処理が開始されると、先ず作業者7に部品庫5から実装の対象となる部品種類のリール17を取り出すように、部品配置指示部31が指示する(ST2)。この指示は作業者7が携行する携帯端末8を介して行われる。取り出したリール17は外段取りフロア6に持ち込まれ、リール17のリールIDとこのリール17と組み合わせて使用されるテープフィーダ15のフィーダIDをID読取部39によって読み取り、データ上で紐付けする(ST3)。
【0052】
次いでリール17と組み合わされたテープフィーダ15を台車16にセットする(ST4)。これにより、テープフィーダ15のフィーダ記憶部15eが台車16に接続され、フィーダ記憶部15eに記憶されたリールID40、フィーダスロット41が情報送信部19から管理装置3に送信される(ST5)。これらのリールID40、フィーダスロット41は、ID読取部39によって読み取られて紐付けされている。そして送信されたリールID40、フィーダスロット41は、管理装置3の情報受信部32によって受信され、これら紐付けされたリールID40、フィーダスロット41に基づいて以下の判断処理が実行される。
【0053】
先ず、セットされたリール17(第1のリール17(1))の部品残数N(R)が、生産計画から必要とされる必要部品数Nを下回るか否かを管理装置3によって判断する(ST6)。必要部品数Nとは、一定期間における実装基板の生産に必要な部品の部品数を云う。すなわち、ここでは前述の第1の条件を満たすか否かを判断する。
【0054】
ここでYESであれば、セットされたリール17(第1のリール17(1))のテープ長さ(残テープ長さTL(R))が、テープフィーダ15毎に設定されたスプライシング可能長さTL(S)を下回るか否かを管理装置3によって判断する(ST7)。すなわち、ここでは前述の第2の条件を満たすか否かを判断する。ここでYESであれば、第1の条件、第2の条件のいずれもが満たされていると管理装置3によって判断して、指示部38が携帯端末8を介して作業者7にスプライシング作業の実行を指示する(ST8)。
【0055】
そして指示を受けた作業者7がスプライシング作業を実行することにより、1組のリール17とテープフィーダ15との組み合わせを対象とした部品供給処理が終了する(ST9)。なお(ST6)、(ST7)にて判断結果がNOであれば、スプライシング実行不可と判断されて、部品供給処理が終了する。
【0056】
上述のフローにて示す部品供給処理は、管理システム30にて実行される部品供給における管理方法を示している。すなわちこの管理方法では、まず、部品を基板に実装して実装基板を生産する部品実装装置M4,M5において、生産計画から一定期間における実装基板の生産に必要な部品の必要部品数Nを取得部37によって取得する。
【0057】
そして部品を移載する実装ヘッド20に対し部品を供給するテープフィーダ15にセットする第1のリール17(1)の部品残数N(R)が必要部品数Nを下回る場合に、第1のリール17(1)に追加して、第2のリール17(2)のキャリアテープ18をテープフィーダ15に対し供給するよう、作業者7に指示部38によって指示する。ここで
図4に示す残テープ長さTL(R)がスプライシング可能長さTL(S)を下回って、スプライシングが可能な場合には、残テープ18(R)を新テープ18(N)に繋ぎ合わせるスプライシングの実行を作業者7に指示する。
【0058】
これにより、部品残数N(R)が必要部品数Nを下回って部品供給を必要とする場合であって、且つ残テープ長さTL(R)がスプライシング可能長さTL(S)を下回ってスプライシングが可能な場合のみに限りスプライシングを実行する運用が可能となる。したがって、部品供給においてスプライシングの実行タイミングの決定を合理的に行って、生産効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の管理システムおよび管理方法は、部品供給を適切なタイミングで行って、生産効率を向上させることができるという効果を有し、テープフィーダにより供給された部品を基板に実装する部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 部品実装システム
4 部品実装ライン
14 部品供給部
17 リール
18 キャリアテープ
19 情報送信部
20 実装ヘッド
30 管理システム
M4,M5 部品実装装置