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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】部品搭載装置および部品搭載方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20230814BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 M
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019082369
(22)【出願日】2019-04-24
(65)【公開番号】P2020181859
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 陽祐
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-221130(JP,A)
【文献】特開2019-054077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの保持ノズルを有する搭載ヘッドを備え、前記保持ノズルで部品を基板に搭載する部品搭載装置であって、
部品を一時的に仮置きする部品仮置ステージと、
前記保持ノズルに保持された部品を認識して少なくとも前記保持ノズルに対する前記部品の位置を検出する部品認識部と、
前記部品認識部で検出した部品の位置に基づいて前記搭載ヘッドを基板の上空へ移動させて位置決めする移動機構と、
前記部品認識部で検出した部品の位置に基づいて、前記部品の基板への搭載が可能かどうかを判断し、不可能であれば前記移動機構を制御して前記搭載ヘッドを前記部品仮置ステージの上空へ移動させて前記保持ノズルが保持する部品を前記部品仮置ステージに載置させる部品仮置部と、
前記部品仮置ステージ上の部品を上方から撮像して前記部品仮置ステージにおける部品の位置を検出する仮置部品認識部と、
前記仮置部品認識部で検出した部品の位置に基づいて前記移動機構を制御して前記搭載ヘッドが有する保持ノズルで前記部品仮置ステージ上の前記部品を保持させる制御部と、を備え
前記部品仮置ステージは、光学特性の異なる複数の載置面を有する部品搭載装置。
【請求項2】
記部品仮置部は部品もしくは部品の種類毎に予め定められたいずれかの前記載置面に部品を載置させる請求項1記載の部品搭載装置。
【請求項3】
前記部品仮置ステージは、明るさの異なる二つ以上の載置面を有する請求項2記載の部品搭載装置。
【請求項4】
前記部品仮置ステージは、光の反射率の異なる二つ以上の載置面を有する請求項2記載の部品搭載装置。
【請求項5】
前記部品仮置部は、前記基板への部品の搭載位置別、部品別、もしくは部品の種類別に定めた前記保持ノズルに対する前記部品の位置ずれの許容範囲を超えている場合はその部品の基板への搭載は不可能と判断する請求項1記載の部品搭載装置。
【請求項6】
前記許容範囲は、部品を基板に搭載したときにその部品を保持する保持ノズルが基板に搭載済みの別部品と干渉するおそれの無い範囲である請求項5記載の部品搭載装置。
【請求項7】
前記許容範囲は、部品を基板に搭載したときに前記搭載ヘッドもしくは部品を保持した保持ノズルが部品搭載装置の他の部材と干渉するおそれの無い範囲である請求項5記載の部品搭載装置。
【請求項8】
少なくとも1つの保持ノズルを有する搭載ヘッドを使用して部品を基板に搭載する部品搭載方法であって、
前記保持ノズルに保持された部品を認識して少なくとも前記保持ノズルに対する前記部品の位置を検出する部品保持位置検出工程と、
前記部品保持位置検出工程で検出した部品の位置に基づいて、前記部品の基板への搭載が可能かどうかを判断する搭載可否判断工程と、
搭載可能であれば、前記部品の位置に基づいて前記搭載ヘッドを基板の上空へ移動させて位置決めし、前記保持ノズルを下降させて前記部品を前記基板に搭載する部品搭載工程と、
搭載不可能であれば部品仮置ステージにその部品を載置する部品仮置工程と、
前記部品仮置ステージ上の部品を上方から撮像して前記部品仮置ステージにおける部品の位置を検出する仮置部品認識工程と、
前記仮置部品認識工程で検出した部品の位置に基づいて前記搭載ヘッドが有する保持ノズルで前記部品仮置ステージ上の前記部品を保持する部品再保持工程と、を含み、
前記部品仮置ステージは、光学特性の異なる複数の載置面を有する部品搭載方法。
【請求項9】
記部品仮置工程において部品もしくは部品の種類毎に予め定められたいずれかの前記載置面に部品を載置する請求項8記載の部品搭載方法。
【請求項10】
前記部品仮置ステージは、明るさの異なる二つ以上の載置面を有する請求項9記載の部品搭載方法。
【請求項11】
前記部品仮置ステージは、光の反射率の異なる二つ以上の載置面を有する請求項9記載の部品搭載方法。
【請求項12】
前記搭載可否判断工程において、前記基板への部品の搭載位置別、部品別、もしくは部品の種類別に定めた前記保持ノズルに対する前記部品の位置ずれの許容範囲を超えている場合はその部品の基板への搭載は不可能と判断する請求項8記載の部品搭載方法。
【請求項13】
前記許容範囲は、部品を基板に搭載したときにその部品を保持する保持ノズルが基板に搭載済みの別部品と干渉するおそれの無い範囲である請求項12記載の部品搭載方法。
【請求項14】
前記許容範囲は、部品を基板に搭載したときに前記搭載ヘッドもしくは部品を保持した保持ノズルが他の部材と干渉するおそれの無い範囲である請求項12記載の部品搭載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持ノズルで部品を保持して基板に搭載する部品搭載装置および部品搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品搭載装置は、テープフィーダなどの部品供給装置が供給する部品を搭載ヘッドが有する保持ノズルで保持して取り出し、基板の上空に移動させて位置決めした後に保持ノズルを下降させて基板に搭載する。部品搭載装置は、保持ノズルが部品を保持した位置が位置ずれした場合、搭載ヘッドの停止位置や保持ノズルの回転角度を補正して部品を基板に搭載する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、位置ずれした部品を基板に部品を搭載する際に、部品からはみ出した保持ノズルと基板上に搭載済みの先行装着部品が干渉するか否かをチェックして、干渉しない装着位置がある場合はそこに保持した部品を搭載し、干渉しない装着位置が無い場合は保持した部品を廃棄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-243898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、部品自体には不具合が無いににもかかわらず保持ノズルの位置ずれのために部品を廃棄しており、使用可能な部品を無駄に廃棄するという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、保持ノズルが保持する部品の位置ずれに応じて適切に部品を基板に搭載することができる部品搭載装置および部品搭載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品搭載装置は、少なくとも1つの保持ノズルを有する搭載ヘッドを備え、前記保持ノズルで部品を基板に搭載する部品搭載装置であって、部品を一時的に仮置きする部品仮置ステージと、前記保持ノズルに保持された部品を認識して少なくとも前記保持ノズルに対する前記部品の位置を検出する部品認識部と、前記部品認識部で検出した部品の位置に基づいて前記搭載ヘッドを基板の上空へ移動させて位置決めする移動機構と、前記部品認識部で検出した部品の位置に基づいて、前記部品の基板への搭載が可能かどうかを判断し、不可能であれば前記移動機構を制御して前記搭載ヘッドを前記部品仮置ステージの上空へ移動させて前記保持ノズルが保持する部品を前記部品仮置ステージに載置させる部品仮置部と、前記部品仮置ステージ上の部品を上方から撮像して前記部品仮置ステージにおける部品の位置を検出する仮置部品認識部と、前記仮置部品認識部で検出した部品の位置に基づいて前記移動機構を制御して前記搭載ヘッドが有する保持ノズルで前記部品仮置ステージ上の前記部品を保持させる制御部と、を備え、前記部品仮置ステージは、光学特性の異なる複数の載置面を有する
【0007】
本発明の部品搭載方法は、少なくとも1つの保持ノズルを有する搭載ヘッドを使用して部品を基板に搭載する部品搭載方法であって、前記保持ノズルに保持された部品を認識して少なくとも前記保持ノズルに対する前記部品の位置を検出する部品保持位置検出工程と、前記部品保持位置検出工程で検出した部品の位置に基づいて、前記部品の基板への搭載が可能かどうかを判断する搭載可否判断工程と、搭載可能であれば、前記部品の位置に基づいて前記搭載ヘッドを基板の上空へ移動させて位置決めし、前記保持ノズルを下降させて前記部品を前記基板に搭載する部品搭載工程と、搭載不可能であれば部品仮置ステージにその部品を載置する部品仮置工程と、前記部品仮置ステージ上の部品を上方から撮像して前記部品仮置ステージにおける部品の位置を検出する仮置部品認識工程と、前記仮置部品認識工程で検出した部品の位置に基づいて前記搭載ヘッドが有する保持ノズルで前記部品仮置ステージ上の前記部品を保持する部品再保持工程と、を含み、前記部品仮置ステージは、光学特性の異なる複数の載置面を有する
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保持ノズルが保持する部品の位置ずれに応じて適切に部品を基板に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態の部品搭載装置の構成を示す平面図
図2】本発明の一実施の形態の部品搭載装置が備える搭載ヘッドの構成説明図
図3】本発明の一実施の形態の部品搭載装置が備える部品仮置きステージの平面図
図4】本発明の一実施の形態の部品搭載装置の制御系の構成を示すブロック図
図5】本発明の一実施の形態の部品搭載装置で使用される搭載部品データの例を示す図
図6】本発明の一実施の形態の部品搭載装置において搭載される部品の位置ずれ許容範囲を説明する図
図7】本発明の一実施の形態の部品搭載装置が備える部品認識カメラが撮像した部品認識画像の例を示す図
図8】本発明の一実施の形態の部品搭載装置が備えるヘッドカメラが撮像した仮置認識画像の例を示す図
図9】本発明の一実施の形態の部品搭載方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品搭載装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図2における上下方向)が示される。Z方向は、部品搭載装置が水平面上に設置された場合の上下方向である。
【0011】
まず図1、2を参照して、部品搭載装置1の構成を説明する。図1において、基台1aの中央には、基板搬送機構2がX方向に設置されている。基板搬送機構2は、上流側から搬入された基板3をX方向へ搬送し、以下に説明する搭載ヘッドによる搭載作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品搭載作業が完了した基板3を下流側に搬出する。搭載作業位置における基板搬送機構2の上方には、金属等の鋼材で形成された平板状の押え板2aが配置されている。搭載作業位置に搬送された基板3は、基板保持部2bによって持ち上げられて、上面の側部が押え板2aの下面に押し当てられて保持される。
【0012】
基板搬送機構2の両側方には、それぞれ部品供給部4が設置されている。両方の部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品Dを格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、搭載ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。また、一方の部品供給部4には、部品Dを整列して保持するトレイ6を部品取出し位置に供給するトレイフィーダ7が装着されている。
【0013】
図1において、基台1aの上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル8が配置されている。Y軸テーブル8には、同様にリニア機構を備えたビーム9がY方向に移動自在に結合されている。ビーム9には、搭載ヘッド10がX方向に移動自在に装着されている。
【0014】
図2において、搭載ヘッド10は、昇降駆動機構を有する複数(ここでは4つ)の装着ユニット10aを備えている。装着ユニット10aのそれぞれの下端部にはノズルホルダ10bが配置されており、ノズルホルダ10bの下部には部品Dを真空吸着して保持する保持ノズル11が装着されている。各装着ユニット10aは、昇降駆動機構を駆動することにより、保持ノズル11を昇降させる(矢印a)。保持ノズル11は、鍔部11aの下方から部品Dを吸着する吸引管11bが突出して設けられている。保持ノズル11には、保持する部品Dの大きさや形状などに応じて吸引管11bのノズル径や形状などが異なる複数の種類が用意されており、基板3に搭載する部品Dに適合する保持ノズル11が搭載ヘッド10に装着される。
【0015】
図1において、Y軸テーブル8およびビーム9は、搭載ヘッド10を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる移動機構12を構成する。移動機構12および搭載ヘッド10は、部品供給部4に装着されているテープフィーダ5およびトレイフィーダ7の部品取出し位置に供給される部品Dを保持ノズル11によってピックアップし、基板搬送機構2に保持された基板3の搭載位置に移送して装着する部品搭載作業を実行する。部品搭載作業において搭載ヘッド10は、部品供給部4の上方に移動し、各保持ノズル11で所定の部品Dをそれぞれピックアップし、基板3の上方に移動し、各保持ノズル11が保持する部品Dをそれぞれの搭載位置に装着する一連のターンを繰り返す。
【0016】
図1において、ビーム9には、ビーム9の下面側に位置して搭載ヘッド10とともに一体的に移動するヘッドカメラ13が装着されている。搭載ヘッド10が移動することにより、ヘッドカメラ13は基板搬送機構2の装着作業位置に位置決めされた基板3の上方に移動して、基板3に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像する。また、ヘッドカメラ13は、後述する部品仮置ステージ15の上方に移動して、部品仮置ステージ15に仮置きされた部品Dを上方から撮像する。撮像結果は制御部20(図4参照)に送信されて、認識処理部21(図4参照)によって基板3の位置、部品仮置ステージ15における部品Dの位置が認識される。
【0017】
図1において、部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ14および部品仮置ステージ15が設置されている。部品認識カメラ14は、部品供給部4から部品Dを取り出した搭載ヘッド10が部品認識カメラ14の上方に位置した際に、保持ノズル11に保持された部品Dを下方から撮像する。撮像結果は制御部20に送信されて、認識処理部21によって保持ノズル11に保持された部品Dの位置が認識される。搭載ヘッド10による部品Dの基板3への部品搭載作業では、ヘッドカメラ13による基板3の認識結果と部品認識カメラ14による部品Dの認識結果とを加味して搭載位置の補正が行われる。
【0018】
図1において、部品仮置ステージ15には、後述するように搭載ヘッド10が部品供給部4からピックアップした部品Dのうち、保持ノズル11に対する部品Dの位置ずれなどが所定の条件を満たさない部品Dが一時的に仮置きされる。部品搭載装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル16が設置されている。タッチパネル16は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品搭載装置1の操作を行う。
【0019】
次に図3を参照して、部品仮置ステージ15の詳細について説明する。部品仮置ステージ15には、光の反射率が低くて暗い第1の載置面15aと光の反射率が高くて明るい第2の載置面15bが形成されている。すなわち、部品仮置ステージ15は、明るさや光の反射率などの光学特性の異なる複数(二つ以上)の載置面(第1の載置面15a,第2の載置面15b)を有している。部品Dを仮置きする場合、光の反射率が高くて明るい部品D1は第2の載置面15bに載置され、光の反射率が低くて暗い部品D2は第1の載置面15aに載置される。
【0020】
このように、仮置きされる部品D1,D2は、部品D1,D2と載置面(第1の載置面15a,第2の載置面15b)との光学特性の差(コントラストなど)が大きくなる方の載置面に載置される。これにより、光学特性が異なる複数の種類の部品D1,D2がある場合であっても、ヘッドカメラ13の撮像画像より部品仮置ステージ15における部品D1,D2の位置を容易に認識することができる。なお、部品仮置ステージ15は、LED等の照明を備えて光学特性を変更することができる1つの光学特性可変の載置面で構成してもよい。その場合、光学特性可変の載置面は、仮置きされる部品Dとの光学特性の差が大きくなるように光学特性を変化させる。
【0021】
次に図4を参照して、部品搭載装置1の制御系の構成について説明する。部品搭載装置1が備える制御部20には、基板搬送機構2、部品供給部4、搭載ヘッド10、移動機構12、ヘッドカメラ13、部品認識カメラ14、タッチパネル16が接続されている。制御部20は、認識処理部21、部品仮置部22、部品再保持部23、搭載制御部24、生産データ記憶部25を備えている。生産データ記憶部25は記憶装置であり、部品Dを基板3に装着する際に参照される部品Dの部品名(種類)、搭載位置(XY座標)などを含む搭載部品データ25aを記憶する。
【0022】
ここで図5を参照して、搭載部品データ25aの例について説明する。搭載部品データ25aには、基板3に装着される部品Dを特定する部品番号30毎に、部品名31、搭載位置32、載置位置33、位置ずれ許容範囲34などが含まれている。部品名31は、部品の種類(抵抗、容量、インダクタンス、LED、LSIなど)、特性値(抵抗値、容量値など)などの部品の種別を特定する情報である。
【0023】
搭載位置32は、基板3における部品Dの搭載位置(X座標32x,Y座標32y)である。載置位置33は、部品Dを部品仮置ステージ15に仮置きする際の載置面(第1の載置面15a,第2の載置面15b)を特定する情報である。載置位置33が「1」は第1の載置面15aに仮置きすることを、「2」は第2の載置面15bに仮置きすることを示している。載置位置33は、部品Dの色など光学特性に基づいて決められる。この例では、載置位置33は部品毎(部品番号30)に設定されているが、部品の種類毎(部品名31)に設定するようにしてもよい。
【0024】
位置ずれ許容範囲34は、部品供給部4から部品Dを取り出した保持ノズル11が保持する部品Dを、部品仮置ステージ15に仮置きさせて再保持するか否かを判断する際の基準となる情報である。位置ずれ許容範囲34は、X方向許容範囲34xとY方向許容範囲34yを含んでいる。X方向許容範囲34xとY方向許容範囲34yには、それぞれプラス方向の許容範囲とマイナス方向の許容範囲が含まれている。
【0025】
保持位置ずれは、保持ノズル11が部品Dを保持する際の目標位置からのずれ量である。位置ずれ許容範囲34は、保持ノズル11が部品Dを保持できなかったり、基板3に正常に装着できなかったりする保持位置ずれの限界範囲よりは小さい。位置ずれ許容範囲34が「-」は、その方向の許容範囲が限界範囲より小さくて、仮置きするか否かの判断を行う必要が無いことを示している。
【0026】
ここで図6を参照して、位置ずれ許容範囲34の詳細について説明する。図6は、搭載作業位置に位置決めされた基板3の押え板2aの近傍を示している。基板3には、押え板2aに隣接して比較的大きな部品D3が搭載され、部品D3に隣接して小型の部品D4が搭載される。以下、図5に示す部品番号30に対応して、部品番号30が「3」の部品Dを部品D3のように略記する。部品D3は、基板3におけるXY座標(X3,Y3)に搭載される。部品D4は、基板3におけるXY座標(X4,Y4)に搭載される。
【0027】
部品D3の吸着目標位置Cp3は、部品D3の中央に設定されている。図6に示すように保持ノズル11の吸引管11bが吸着目標位置Cp3からY方向に保持位置ずれΔY1だけずれた位置Aを吸着した場合は、搭載制御部24は搭載位置を補正して、XY座標(X3,Y3+ΔY1)に吸引管11bの中心が位置するように部品D3を基板3に搭載する。これにより、保持位置ずれΔY1が補正される。ところで、部品D3を基板3に搭載する際の保持ノズル11の鍔部11aの高さは、押え板2aに干渉する高さにある。保持位置ずれΔY1の場合、部品D3を基板3に搭載する保持ノズル11の鍔部11aと押え板2aの間隔は間隔ΔY2まで接近する。
【0028】
保持位置ずれΔY1がこれ以上に大きくなると鍔部11aが押え板2aと干渉するおそれがあるため、その状態で部品D3を基板3に搭載させることはできず、部品D3を部品仮置ステージ15に仮置きさせて保持位置を補正する必要がある。そこで、位置ずれ許容範囲34(許容範囲)は、部品D3を基板3に搭載したときに部品D3を保持した保持ノズル11が部品搭載装置1の他の部材(押え板2a)と干渉するおそれの無い範囲に設定される。部品D3は、Y方向のマイナス方向に保持位置ずれしても保持ノズル11と干渉するものは無い。そこで、部品D3の位置ずれ許容範囲34は、プラス方向のY方向許容範囲34yが「E1」と設定されている他は、「-」が設定されている。
【0029】
なお、隣接する部品D4は部品D3の後に基板3に搭載されるため、部品D3の位置ずれ許容範囲34には、部品D4の存在は考慮されない。すなわち、位置ずれ許容範囲34(許容範囲)は、部品D3,D4の搭載順番を考慮して設定される。また、部品D3の搭載位置32が押え板2aから離れている場合は、保持ノズル11と押え板2aの干渉を考慮する必要は無い。すなわち、位置ずれ許容範囲34は、基板3への部品D3の搭載位置32を考慮して設定される。例えば、部品D3と部品名31が同じ「M28」である部品D6は、周囲に干渉する部材が無いため、位置ずれ許容範囲34は全て「-」が設定されている。
【0030】
また、部品D3の搭載位置32が押え板2aに近接している場合でも、部品D3の高さが高い場合は保持ノズル11が押え板2aと干渉しない場合もある。すなわち、位置ずれ許容範囲34は、基板3に搭載される部品D3の高さを考慮して設定される。その他に、ノズルホルダ10bが押え板2aに干渉する場合や、搭載ヘッド10が他の部材と干渉する場合もある。位置ずれ許容範囲34は、これらの条件を考慮して決定される。すなわち、位置ずれ許容範囲34は、部品D3を基板3に搭載したときに搭載ヘッド10が部品搭載装置1の他の部材と干渉するおそれの無い範囲に設定される。
【0031】
図6において、部品D4の吸着目標位置Cp4は、部品D4の中央に設定されている。保持ノズル11の吸引管11bが吸着目標位置Cp4からX方向に保持位置ずれΔX1だけずれた位置Bを吸着した場合は、搭載制御部24はXY座標(X4+ΔX1,Y4)に吸引管11bの中心が位置するように補正して、部品D4を基板3に搭載する。この時、吸引管11bは搭載済みの部品D3に間隔ΔX2まで接近する。これ以上に保持位置ずれΔX1が大きくなると吸引管11bが部品D3と干渉するおそれがあるため、部品仮置ステージ15に仮置きさせて保持位置を補正する必要がある。
【0032】
そこで、位置ずれ許容範囲34(許容範囲)は、部品D4を基板3に搭載したときにその部品D4を保持する保持ノズル11が基板3に搭載済みの別部品D3と干渉するおそれの無い範囲に設定される。部品D4の位置ずれ許容範囲34はプラス方向のX方向許容範囲34xが「E2」と設定されている他は、「-」が設定されている。部品D4と部品名31が同じ「C361」である部品D8は、X方向のマイナス方向にも隣接する部品Dがあり、X方向許容範囲34xのプラス方向に「E2」、マイナス方向に「-E2」が設定されている。このように、位置ずれ許容範囲34は、基板3への部品Dの搭載位置32別、部品(部品番号30)別、もしくは部品Dの種類(部品名31)別に定められている。
【0033】
図4において、認識処理部21は、部品認識カメラ14が撮像した保持ノズル11に保持された部品Dの撮像結果に基づいて、保持ノズル11に対する部品Dの位置を検出する。また、認識処理部21は、ヘッドカメラ13が撮像した部品仮置ステージ15に載置された部品Dの撮像結果に基づいて、部品仮置ステージ15における部品Dの位置を検出する。
【0034】
ここで図7を参照して、部品認識カメラ14が撮像して認識処理部21によって認識処理された保持ノズル11に保持された部品D3の部品認識画像14aについて説明する。部品認識画像14aには、X方向の中心線14xとY方向の中心線14yが重ねて表示されている。X方向の中心線14xとY方向の中心線14yの交点が、部品認識画像14aの中心14cである。部品認識カメラ14の取り付け位置と保持ノズル11の停止位置は、部品認識画像14aの中心14cと保持ノズル11の吸引管11bの中心Cnとが一致するように調整されている。
【0035】
認識処理部21は、部品認識画像14aの部品D3の外形から部品D3の中心Cdを検出する。中心Cdが、本来の吸着目標位置Cp3である。さらに、認識処理部21は、部品認識画像14aの中心14cからの部品D3の中心Cdの位置を保持位置ずれ(Xm,Ym)として算出する。このように、部品認識カメラ14と認識処理部21は、保持ノズル11に保持された部品D3を認識して保持ノズル11に対する部品Dの位置(保持位置ずれ)を検出する部品認識部26(図4)構成する。
【0036】
次に図8を参照して、ヘッドカメラ13が撮像して認識処理部21によって認識処理された部品仮置ステージ15に載置された部品D3の仮置認識画像13aについて説明する。搭載部品データ25aに含まれる部品D3の載置位置33は「1」であり、部品D3は部品仮置ステージ15の第1の載置面15aに載置されている。仮置認識画像13aには、X方向の中心線13xとY方向の中心線13yが重ねて表示されている。X方向の中心線13xとY方向の中心線13yの交点が、仮置認識画像13aの中心13cである。
【0037】
認識処理部21は、仮置認識画像13aの部品D3の外形から部品D3の吸着目標位置Cp3を検出する。さらに、認識処理部21は、仮置認識画像13aの中心13cからの吸着目標位置Cp3の位置を再保持位置(Xn,Yn)として算出する。このように、ヘッドカメラ13と認識処理部21は、部品仮置ステージ15上の部品D3を上方から撮像して部品仮置ステージ15における部品D3の位置(再保持位置)を検出する仮置部品認識部27(図4)を構成する。
【0038】
図4において、部品仮置部22は、部品認識部26で検出した部品Dの位置(保持位置ずれ)に基づいて、部品Dの基板3への搭載が可能かどうかを判断する。具体的には、部品仮置部22は、保持位置ずれ(Xm,Ym)が搭載部品データ25aに含まれる部品Dの位置ずれ許容範囲34を超えるか否かを判断する。部品仮置部22は、保持位置ずれ(Xm,Ym)が位置ずれ許容範囲34を超えている場合、その部品Dの基板3への搭載は不可能と判断する。部品仮置部22は、部品Dの基板3への搭載が不可能であれば移動機構12を制御して、搭載ヘッド10を部品仮置ステージ15の上空へ移動させて保持ノズル11が保持する部品Dを部品仮置ステージ15に載置させる。
【0039】
部品仮置部22は、部品Dを部品仮置ステージ15に載置させる際に、部品Dもしくは部品Dの種類毎に予め定められた搭載部品データ25aに含まれる載置位置33に基づいて、第1の載置面15aまたは第2の載置面15bのいずれかの載置面に部品Dを載置させる。部品再保持部23は、仮置部品認識部27で検出した部品Dの位置(再保持位置)に基づいて移動機構12を制御して、搭載ヘッド10が有する保持ノズル11で部品仮置ステージ15上の部品Dを保持させる。なお、部品仮置ステージ15上の部品Dを保持する保持ノズル11は、その部品Dを部品仮置ステージ15に載置した保持ノズル11と同じである必要はない。
【0040】
図4において、搭載制御部24は、搭載ヘッド10と移動機構12を制御して、保持ノズル11によって部品供給部4に供給される部品Dを取り出し、基板3に装着させる部品搭載作業を実行させる。その際、搭載制御部24は、部品仮置部22が保持ノズル11が保持する部品Dの基板3への搭載が可能と判断した場合は、部品認識部26で検出した保持位置ずれ(Xm,Ym)に基づいて搭載位置を補正して基板3に搭載させる。すなわち、移動機構12は、部品認識部26で検出した部品Dの位置(保持位置ずれ)に基づいて搭載ヘッド10を基板3の上空へ移動させて位置決めする。
【0041】
次に図9のフローに沿って、図5図8を参照しながら部品Dを基板3に搭載する部品搭載方法について説明する。以下は、図5の搭載部品データ25aに含まれる部品D3を基板3に搭載する例で説明する。図9において、まず、移動機構12は搭載ヘッド10を部品D3を供給する部品供給部4の上方に移動させ、保持ノズル11によって部品D3を取り出して保持させる(ST1:部品保持工程)。次いで移動機構12は、搭載ヘッド10を部品認識カメラ14の上方に移動させる。次いで、部品認識部26は、保持ノズル11に保持された部品D3を認識して保持位置ずれ(Xm,Ym)(保持ノズル11に対する部品D3の位置)を検出する(ST2:部品保持位置検出工程)(図7参照)。
【0042】
次いで部品仮置部22は、部品保持位置検出工程(ST2)で検出した部品D3の位置に基づいて、部品D3の基板3への搭載が可能かどうかを判断する(ST3:搭載可否判断工程)。具体的には、部品仮置部22は、検出された保持位置ずれ(Xm,Ym)が搭載部品データ25aに含まれる部品D3の位置ずれ許容範囲34の範囲内の場合は搭載可能と判断し、範囲外の場合は搭載不可能と判断する。すなわち、搭載可否判断工程(ST3)において、基板3への部品D3の搭載位置別、部品別、もしくは部品D3の種類別に定めた保持ノズル11に対する部品D3の位置ずれの許容範囲(位置ずれ許容範囲34)を超えている場合は、その部品D3の基板3への搭載は不可能と判断される。
【0043】
搭載可能であれば(ST3においてYes)、移動機構12は、部品D3の位置に基づいて搭載ヘッド10を基板3の上空へ移動させて位置決めし、保持ノズル11を下降させて部品D3を基板3に搭載させる(ST4:部品搭載工程)。すなわち、移動機構12は、保持位置ずれ(Xm,Ym)に基づいて位置補正して、部品D3を搭載位置(X3,Y3)に搭載させる(図6参照)。搭載不可能であれば(ST3においてNo)、部品仮置部22は、部品仮置ステージ15にその部品D3を載置させる(ST5:部品仮置工程)。
【0044】
その際、部品仮置部22は、搭載部品データ25aに含まれる部品D3の載置位置33(「1」)に基づいて、第1の載置面15aに部品D3を載置させる。すなわち、部品仮置工程(ST5)において、部品もしくは部品の種類毎に予め定められたいずれかの載置面(第1の載置面15a、第2の載置面15b)に部品D3を載置する。
【0045】
次いで、仮置部品認識部27は、部品仮置ステージ15上の部品D3を上方から撮像して、再保持位置(Xn,Yn)(部品仮置ステージ15における部品D3の位置)を検出する(ST6:仮置部品認識工程)(図8参照)。次いで部品再保持部23は移動機構12を制御して、仮置部品認識工程(ST6)で検出した部品D3の位置に基づいて、搭載ヘッド10が有する保持ノズル11で部品仮置ステージ15上の部品D3を保持させる(ST7:部品再保持工程)。具体的には、部品再保持部23は、再保持位置(Xn,Yn)を吸着目標位置Cp3として、保持ノズル11の吸引管11bの中心が再保持位置(Xn,Yn)となるように部品D3を保持させる。
【0046】
次いで部品搭載工程(ST4)が実行されて、部品D3が基板3に搭載される。その際、移動機構12は、位置補正することなく部品D3を搭載位置(X3,Y3)に搭載させる。なお、要求される搭載位置の精度が高い場合は、部品搭載工程(ST4)の前に部品保持位置検出工程(ST2)を実行して、検出された保持位置ずれ(Xm,Ym)に基づいて位置補正して部品D3を搭載位置(X3,Y3)に搭載するようにしてもよい。
【0047】
このように、保持位置ずれ(Xm,Ym)があっても隣接する搭載済みの部品Dなどと干渉しないと判断すると(ST3においてYes)、そのまま部品D3を基板3に搭載している(ST4)。これにより、搭載作業効率の低下を防止することができる。
【0048】
また、そのまま搭載すると隣接する部品Dなどと干渉すると判断すると(ST3においNo)、その部品D3を廃棄せずに部品仮置ステージ15に仮置きし(ST5)、再保持位置(Xn,Yn)を検出した後(ST6)保持ノズル11で再保持して(ST7)基板3に搭載している(ST4)。これにより、他との干渉および無駄な部品D3の廃棄を防止することができる。このことは、発光特性が近い複数のLEDグループを予め準備して同一基板に搭載する場合など、同じ種類の部品Dであっても代替ができないような場合に特に有効である。
【0049】
上記説明したように、本実施の形態の部品搭載装置1は、部品Dを仮置きする部品仮置ステージ15と、保持ノズル11に保持された部品Dを認識して少なくとも保持ノズル11に対する部品Dの位置を検出する部品認識部26と、検出した部品Dの位置に基づいて搭載ヘッド10を基板3の上空に位置決めする移動機構12と、を備えている。
【0050】
さらに、部品搭載装置1は、検出した部品Dの位置に基づいて部品Dの搭載が可能かどうかを判断し、不可能であれば保持ノズル11が保持する部品Dを部品仮置ステージ15に載置させる部品仮置部22と、部品仮置ステージ15上の部品Dを撮像して部品仮置ステージ15における部品Dの位置を検出する仮置部品認識部27と、仮置部品認識部27で検出した部品Dの位置に基づいて保持ノズル11で部品仮置ステージ15上の部品Dを保持させる部品再保持部23と、を備えている。これによって、保持ノズル11が保持する部品Dの位置ずれに応じて適切に部品Dを基板3に搭載することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の部品搭載装置および部品搭載方法は、保持ノズルが保持する部品の位置ずれに応じて適切に部品を基板に搭載することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 部品搭載装置
3 基板
10 搭載ヘッド
11 保持ノズル
12 移動機構
15 部品仮置ステージ
15a 第1の載置面
15b 第2の載置面
26 部品認識部
27 仮置部品認識部
D、D1、D2、D3、D4 部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9