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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】集塵装置及び電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/16 20060101AFI20230814BHJP
   A47L 5/28 20060101ALN20230814BHJP
   A47L 9/32 20060101ALN20230814BHJP
【FI】
A47L9/16
A47L5/28
A47L9/32 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019155127
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021029764
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】仲本 博司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 稔之
(72)【発明者】
【氏名】椋本 英治
(72)【発明者】
【氏名】河内 和裕
(72)【発明者】
【氏名】中垣 祐一
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-013262(JP,A)
【文献】特開2012-045257(JP,A)
【文献】特開2016-052513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/16
A47L 5/28
A47L 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機本体と接続可能なサイクロン式の集塵装置であり、
前記集塵装置は、集塵容器と、集塵容器内部に配された内筒と、を有し、
前記集塵容器には、吸引風を入れるための吸引口が形成され、
前記内筒は、中央部と、当該中央部の下方に形成された傘部と、を有し、
前記傘部は、水平方向に突となった部分である水平突部と、当該水平突部より下方に突となった部分である下方突部と、を有し、
前記水平突部には、水平方向に突となった円環状のリブが形成され、
前記下方突部には、前記円環状のリブの下方であり且つ前記吸引口の近傍に塵埃が舞い上がることを防止するための舞上り防止リブが形成されている、集塵装置。
【請求項2】
前記舞上り防止リブは、前記傘部の内、前記集塵容器内部に入った直後の吸引風が通る通路の下方にある部分に形成されている、請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記下方突部は、下方から上方に向けて凹となっている切欠部が形成され、前記舞上り防止リブは、前記切欠部に形成されている、請求項1又は2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記集塵容器は、塵埃を捨てるタイミングであることを示すゴミ捨てラインが印字されており、前記ゴミ捨てラインが印字された部分と対向する位置に前記舞上り防止リブが形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項5】
前記集塵容器は、吸引口の形成された面側に、吸引風を衝突させ吸引風に含まれる塵埃を取り除くための衝突壁を形成した、請求項1~4のいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の集塵装置を有する電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置及び電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機に着脱可能なサイクロン式の集塵装置に関して様々な技術が公開されている。例えば、特許文献1には、集塵装置の内筒内部に仕切板を設け、集塵装置の底部に溜まった塵埃が舞い上がることを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-55980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の集塵装置では、内筒の内部に仕切板を設けてはいるものの、内筒周辺に堆積した塵埃の舞上り防止については十分に考慮されていない。また、吸引風の風速をできるだけ低減させずに効率よく塵埃の舞上り防止を行うことについても十分に考慮されていない。
【0005】
使用者にとって使い勝手の良い電気掃除機を提供するためには、空気の流れをできるだけ妨げることがなく効率的な遠心分離ができるだけでなく、塵埃の舞い上がりをできるだけ少なくするような設計が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電気掃除機本体と接続可能なサイクロン式の集塵装置であり、集塵装置は、集塵容器と、集塵容器内部に配された内筒と、を有し、集塵容器には、吸引風を入れるための吸引口が形成され、内筒は、中央部と、当該中央部の下方に形成された傘部と、を有し、傘部は、水平方向に突となった部分である水平突部と、当該水平突部より下方に突となった部分である下方突部と、を有し、水平突部には、水平方向に突となった円環状のリブが形成され、下方突部には、円環状のリブの下方であり且つ吸引口の近傍に塵埃が舞い上がることを防止するための舞上り防止リブが形成されている、集塵装置である。また、本発明は、このような集塵装置を備えた電気掃除機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、吸引口の近傍に塵埃が舞い上がることを防止するための舞上り防止リブが形成されているため、吸引口から入ってきた風速の早い吸引風による塵埃の舞上りをできるだけ防ぐことが可能である、また、塵埃の舞上りをできるだけ防ぐことにより、効率的な遠心分離と塵埃の収集を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例の電気掃除機の斜視図である。
図2】本実施例の電気掃除機の斜視図である。
図3】本実施例の集塵装置の斜視図である。
図4】本実施例の集塵装置の分解斜視図である。
図5】本実施例の集塵装置の分解斜視図である。
図6】本実施例の集塵装置の斜視図である。
図7】本実施例の集塵装置の斜視図である。
図8】本実施例の集塵装置の断面図である。
図9】本実施例の第1の係合部近傍の断面図である。
図10】本実施例の第2の係合部近傍の断面図である。
図11】本実施例の把手部近傍の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、本実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0010】
第1の実施態様は、電気掃除機本体と接続可能なサイクロン式の集塵装置であり、集塵装置は、集塵容器と、集塵容器内部に配された内筒と、を有し、集塵容器には、吸引風を入れるための吸引口が形成され、内筒には、吸引口の近傍に塵埃が舞い上がることを防止するための舞上り防止リブが形成されている、集塵装置である。
【0011】
このように、吸引口の近傍に塵埃が舞い上がることを防止するための舞上り防止リブが形成されているため、吸引口から入ってきた風速の早い吸引風による塵埃の舞上りをできるだけ防ぐことが可能である、また、塵埃の舞上りをできるだけ防ぐことにより、効率的な遠心分離と塵埃の収集を行うことが可能である。 第2の実施態様は、内筒は、中央部と当該中央部の下方に形成された傘部と、を有し、舞上り防止リブは、傘部の内、集塵容器内部に入った直後の吸引風が通る通路の下方にある部分に形成されている。
【0012】
このように、舞上り防止リブは、傘部の内、集塵容器内部に入った直後の吸引風が通る通路の下方にある部分に形成されているため、吸引口から入ってきた風速の早い吸引風による塵埃の舞上りをできるだけ防ぐことが可能である、また、塵埃の舞上りをできるだけ防ぐことにより、効率的な遠心分離と塵埃の収集を行うことが可能である。
【0013】
第3の実施態様は、傘部は、水平方向に突出した水平突部と、当該水平突部から下方に突出した下方突部と、を有し、舞上り防止リブは、下方突部に形成されている。
【0014】
このように下方突部に舞上り防止リブが形成されているため、集塵容器の内面近傍を通過する、吸引口から入ってきた風速の早い吸引風による塵埃の舞上りをできるだけ防ぐことが可能である、また、塵埃の舞上りをできるだけ防ぐことにより、効率的な遠心分離と塵埃の収集を行うことが可能である。
【0015】
第4の実施態様は、下方突部は、下方から上方に向けて凹となっている切欠部が形成され、舞上り防止リブは、切欠部に形成されている集塵装置である。
【0016】
このような切欠部を設けることにより、集塵容器内部にできるだけ塵埃を溜めることができるだけでなく、吸引風がある程度通りやすくなるため、効率的な塵埃収集を行うことが可能である。
【0017】
第5の実施態様は、集塵容器は、塵埃を捨てるタイミングであることを示すゴミ捨てラインが印字されており、ゴミ捨てラインが印字された部分と対向する位置に舞上り防止リブが形成されているため、使用者は塵埃の舞上りの少ないところで塵埃の溜まり具合を確認することができる。
【0018】
第6の実施態様は、集塵容器は、吸引口の形成された面側に、吸引風を衝突させ吸引風に含まれる塵埃を取り除くための衝突壁を形成している。このため、遠心分離だけでなく、吸引風を衝突壁に衝突させて効率良く塵埃を取り除くことができる。
【0019】
(実施例1)
以下、本実施例における吸込具と電気掃除機について説明する。
【0020】
図1は、本実施例の電気掃除機の斜視図である。
【0021】
図1において、電気掃除機は、使用者が電気掃除機を持つための把手部2を有する本体1と、本体1に着脱可能に装着されている集塵装置3と、本体1に着脱可能に装着されている延長管4と、延長管4に着脱可能に装着されているノズル5と、を有している。
【0022】
尚、図1において、電気掃除機のノズル5側を前側、本体1側を後側、紙面左側を左側、紙面右側を右側としている。
【0023】
本体1内部には、図1には図示していないが、本体1の前側から後側に順に、吸引風を発生するための電動送風機と、この電動送風機を駆動するための例えば二次電池からなるバッテリーが搭載されている。
【0024】
図2は、電気掃除機本体1から集塵装置3を外した状態を示す斜視図である。尚、図2において、図1と同様に電気掃除機のノズル5側を前側、本体1側を後側、紙面左側を左側、紙面右側を右側としている。
【0025】
集塵装置3は例えばサイクロン式の集塵装置であり、ノズル5から吸引された塵埃を遠心分離により分離し、集塵装置3内部に溜めるものである。
【0026】
尚、図1図2で説明した前側、後側、左側、右側と図3以降で説明する前側、後側、左側、右側とは必ずしも一致していない。各図において説明をしやすいように表記しているためである。
【0027】
図3は、集塵装置3の斜視図である。図3に示す集塵装置3の紙面左側を集塵装置3の左側、紙面右側を集塵装置3の右側、紙面手前側を集塵装置3の後側、紙面奥側を集塵装置3の前側、紙面上側を集塵装置3の上側、紙面下側を集塵装置3の下側、としている。
【0028】
集塵装置3は、吸引風から遠心分離された塵埃を溜めるための透明又は半透明な材質(例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂)で形成された集塵容器6と、この集塵容器6に着脱可能に接続された蓋部7と、を有している。また、この集塵容器6の後方には、ノズル5と延長管4を介して吸引した吸引風(図3の矢印)が入るための吸引口8が形成されている。更に、蓋部7には、遠心分離により塵埃が分離された吸引風を掃除機本体1に排出するための排出口9が形成されており、この排出口9には、吸引風に含まれている小さな塵埃を除去するためのフィルタ10が配置されている。尚、フィルタ10としては例えばプリーツフィルタ等が用いられる。
【0029】
蓋部7は、集塵装置3の前方に配置されている第1の係合部11と、集塵装置3の後方に配置されている第2の係合部12により、集塵容器6に着脱可能に係合されている。第1の係合部11は、例えば、使用者が上下にスライド操作することにより、集塵容器6との係合が解除されるものであり、第2の係合部12は、例えば、使用者が押下操作することにより、集塵容器6との係合が解除されるものである。また、蓋部7は、パッキン等(図示せず)を介して集塵容器6へ着脱可能に係合されている。
【0030】
図4は、集塵容器6から蓋部7と内筒13を外した状態を示す斜視図である。図4では、図3と同様に集塵装置3の紙面左側を集塵装置3の左側、紙面右側を集塵装置3の右側、紙面手前側を集塵装置3の後側、紙面奥側を集塵装置3の前側、紙面上側を集塵装置3の上側、紙面下側を集塵装置3の下側、としている。
【0031】
図4に示すように、蓋部7には内筒13が装着されており、内筒13は、複数の開口孔14を有する中央部15と、当該中央部15の下方に傘部16を有している。また、この傘部16の中央部分から下方に向けて突出している筒状の下方筒体17が形成されている。尚、中央部15の開口孔14には、メッシュ状のフィルタが配置されており、このフィルタにより吸引風中の塵埃が除去される。
【0032】
傘部16は、水平方向に突となった部分である水平突部18と、この突となった部分より下方に突となった部分である下方突部19とを有している。水平突部18は、下方突部19が存在する位置よりも水平方向に多少突出している。この突出部分は、集塵容器6に溜まった塵埃が舞上ることを防止することに、多少なりとも貢献している。
【0033】
この傘部16の後方には、略階段状の切欠きを有する階段部20が形成され、傘部16の左側には、略ハの字状の切欠きを有する切欠部21が形成されている。また、この切欠部21には、切欠部21から水平方向に突出した略ハの字状の舞上り防止リブ22が形成されている。この舞上り防止リブ22は、集塵容器6の舞上り防止リブ22下方付近に溜まった塵埃が舞い上がることを防止するためのものである。
【0034】
また、切欠部21は、集塵容器6内部にできるだけ塵埃を溜めるにするため、吸引風が通りやすくするため、等の目的のために下方突部19に形成されている。
【0035】
吸引口8から吸引された吸引風は、集塵容器6に入った直後が特に風速が早い。このため、吸引口8近くに溜まった塵埃が舞上る可能性がある。このような事態をできるだけ回避するために、本実施例では、吸引口8の近傍に舞上り防止リブ22を設けている。より具体的には、この舞上り防止リブ22は、内筒13(より詳細には、内筒13の下方突部19)の内、吸引口8から吸引された直後の吸引風が通る面側に設けている。
【0036】
また、この舞上り防止リブ22は、水平方向に延びた部分(水平部30)と、この面の左右両側に下方に向けて傾斜した部分(傾斜部31)と、を有しており、略ハの字状の形状となっている(図7参照)。水平部30は、吸引口8から入ってきた吸引風の方向と略平行となっており、このような形状とすることにより、吸引風の風速をできるだけ低下させないようにしている。又、傾斜部31は、集塵容器6内で回転する吸引風の風速低下をできるだけ回避するように傾斜している。
【0037】
舞上り防止リブ22は、塵埃の舞上りをできるだけ軽減することができる形状であることが必要であるが、空気の流れを過剰に妨げる形状では効率の良い塵埃の遠心分離ができなくなるため、本実施例では、傾斜部31を有する略ハの字状の形状とすることにより、できるだけ空気の流れを妨げないようにしつつ、塵埃の舞上りもできるだけ発生しないようにしている。
【0038】
図5は、集塵容器6から蓋部7と内筒13を外した状態を示す斜視図である。図5では、図4と同様に集塵容器6の紙面左側を集塵容器6の左側、紙面右側を集塵容器6の右側、紙面手前側を集塵容器6の後側、紙面奥側を集塵容器6の前側、紙面上側を集塵容器6の上側、紙面下側を集塵容器6の下側、としている。尚、実際には集塵容器6に吸引口8が形成されているが、吸引口8の図示は省略している。
【0039】
図5の傘部16後方部分には、下方突部19の内側面から内筒13の中心軸に向かって突となる第1の衝突壁23が形成されている(図5中、第1の衝突壁23は点線で示している)。この第1の衝突壁23に吸引風が当たると、気流に含まれている塵埃が集塵容器6の底部に落ちるようになっている。
【0040】
一方、集塵容器6の後方部分の内側面には、集塵容器6の中心軸に向かって突となる第2の衝突壁24が形成されている(図6中、第2の衝突壁24は実線で示している)。この第2の衝突壁24に吸引風が当たると、気流に含まれている塵埃が集塵容器6底部に落ちるようになっている。
【0041】
第1の衝突壁23と第2の衝突壁24は、図5の示す位置に夫々1か所ずつ形成することが好ましい。この衝突壁の数が多すぎると、吸引風の風速を低下させる恐れがあるためである。
【0042】
図6は、図5に示す蓋部7を集塵容器6に装着した状態を示す斜視図である。尚、実際には集塵容器6に吸引口8が形成されているが、図6中に吸引口8を図示すると、吸引風の流れが不明瞭になる可能性があるため、吸引口8の図示は省略している。しかしながら、図6における吸引口8の位置は図3等から容易に分かる。
【0043】
図6では、図5と同様に集塵容器6の紙面左側を集塵容器6の左側、紙面右側を集塵容器6の右側、紙面手前側を集塵容器6の後側、紙面奥側を集塵容器6の前側、紙面上側を集塵容器6の上側、紙面下側を集塵容器6の下側、としている。
【0044】
図6中、矢印及び矢印と重なっている実線は集塵容器6内における吸引風の流れを示している。吸引口8から集塵容器6に入ってきた吸引風は、集塵容器6内で時計周りに回転し始め、内筒13の周囲を時計周りに、即ち、図6中矢印の示す方向に回転する。
【0045】
吸引風が内筒13の周囲を何度も時計回りに回転すると共に吸引風は徐々に集塵容器6の底面側に移動する。そして、吸引風は第2の衝突壁24の右側面に当たり、その衝撃により、吸引風に含まれている塵埃が第2の衝突壁24の右側に溜まる。
【0046】
尚、図6では図示していないが、下方突部19内部でも吸引風が時計回りに回転しており、吸引風が第1の衝突壁23に当たることにより、塵埃が、第1の衝突壁23から集塵容器6底面に落ち、第2の衝突壁24の右側に溜まる。
【0047】
このようにして、第2の衝突壁24の右側から集塵容器6内を反時計周りに順に塵埃が溜まる。そして塵埃が第2の衝突壁24の左側まで溜まり、集塵容器6に印字されたゴミ捨てライン25の上端まで溜まると、使用者が本体1から集塵装置3を外し、第1の係合部11と第2の係合部12の集塵容器6への係合を解除し、集塵容器6から蓋部7を外した後に、集塵容器6内の塵埃をゴミ箱に捨てることにより、塵埃の廃棄が完了する。
【0048】
尚、このゴミ捨てライン25は、集塵容器6の底面から、切欠部21あたりの高さまで印字されており、より具体的には、切欠部21の略ハの字状の斜面(傾斜部31)まで印字されている。ゴミ捨てライン25の上端まで塵埃が溜まった状態では、図6中、集塵容器6の左側の塵埃の高さと集塵容器6の右側の塵埃の高さは略同じ高さまで溜まっている。これ以上塵埃が積もると、塵埃の高さが切欠部21以上となり、塵埃が舞い上がる可能性があるだけでなく、吸引風が集塵容器6内で回転することが困難になってくる。このため、ゴミ捨てライン25は、切欠部21の略ハの字状の斜面(傾斜部31)まで印字されていることが好ましい。
【0049】
また、仮に第2の衝突壁24がなければ、集塵容器6底部には、集塵容器6の左側から塵埃が溜まる可能性がある。そうなると、集塵容器6の底部全体に塵埃が溜まっていないにも関わらず、集塵容器6の左側に印字されているゴミ捨てライン25の上端付近まで偏って塵埃が溜まり、使用者が集塵容器6内の塵埃をゴミ箱に捨てる作業を行うこともありうる。
【0050】
本実施例では、このような事態をできるだけ回避するために、先ほど説明したように、集塵容器6の右側から順に塵埃が溜まり、集塵容器6のゴミ捨てライン25まで塵埃が溜まった際には、ゴミ捨てライン25までの塵埃が、集塵容器6全体に略まんべんなく溜まっている状態になる。
【0051】
使用者がゴミ捨てライン25まで塵埃が溜まっているのを見てゴミ箱に塵埃を捨てに行く際には、集塵容器6全体に略まんべんなく塵埃が溜まっているため、使用者が塵埃をゴミ箱に捨てに行く回数をできるだけ少なくすることができる。
【0052】
図7は、集塵容器6に塵埃が入った状態を示す斜視図である。図7では、図6と同様に集塵容器6の紙面左側を集塵容器6の左側、紙面右側を集塵容器6の右側、紙面手前側を集塵容器6の後側、紙面奥側を集塵容器6の前側、紙面上側を集塵容器6の上側、紙面下側を集塵容器6の下側、としている。尚、実際には集塵容器6に吸引口8が形成されているが、吸引口8の図示は省略している。しかしながら、図7における吸引口8の位置は図3等から容易に分かる。
【0053】
先ほど図6を用いて説明したように、第2の衝突壁24の右側に塵埃が溜まり、この塵埃が集塵容器6内を反時計周りに順に溜まる。
【0054】
第1の衝突壁23と第2の衝突壁24の間には第1の隙間26が形成されている。この第1の隙間26は、吸引風が第2の衝突壁24の右側から左側に抜けるようにするための隙間であり、仮にこの第1の隙間26がなければ吸引風の回転が妨げられてしまい、効率の良い塵埃の遠心分離ができなくなる可能性がある。
【0055】
また、下方突部19の底部側には階段部20が形成されている。この階段部20の高さ幅は、第1の隙間26と略同じ高さ幅である。この階段部20は、塵埃が集塵容器6内に堆積してゆき、略第2の衝突壁24程度の高さになっても、吸引風が階段部20の隙間と第1の隙間26から通り抜けるようにするためのものである。
【0056】
図7の集塵容器6を、集塵容器6の後方から見ると、集塵容器の左側から右側に順に、吸引口8と舞上り防止リブ22の水平部30と傾斜部31、第1の衝突壁23と第2の衝突壁24、が配置されている。このような位置関係とすることにより、第1の衝突壁23と第2の衝突壁24の右側から順に集塵容器6内を反時計周りに塵埃を溜め、集塵容器6の底部にまんべんなく塵埃を溜めることが可能であり、更に、吸引口8から入って来た風速の早い吸引風による塵埃の舞上りをできるだけ防止することができる。
【0057】
図8は、図7に示す集塵装置3のA-A‘線断面図である。図8において、紙面左側を集塵装置3の前側、紙面右側を集塵装置3の後ろ側、紙面上側を集塵装置3の上側、紙面下側を集塵装置3の下側、紙面手前側を集塵装置3の左側、紙面奥側を集塵装置3の右側、としている。
【0058】
図8に示すように、第1の衝突壁23と第2の衝突壁24は、集塵装置3の上下方向において略同じ位置に存在する。また、吸引風は、図8に示す第1の隙間26~第4の隙間29を抜け、図8中、第1の衝突壁23と第2の衝突壁24の右側から左側に通り抜ける。
【0059】
図8において、第1の隙間26は、第1の衝突壁23と第2の衝突壁24との間の隙間であり、第2の隙間27は、下方筒体17と第1の衝突壁23との間の隙間であり、第3の隙間28は、第1の衝突壁23と、集塵容器6の内側との間の隙間であり、第4の隙間
29は、下方筒体17と第2の衝突壁24との間の隙間である。これらの隙間は、塵埃が集塵容器6内で溜まっていく際に、吸引風が集塵容器6内でできるだけ旋回できるようにするための隙間である。
【0060】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2では、実施例1で説明した電気掃除機の第1の係合部11と第2の係合部12近傍の構造について説明している。
【0061】
図9は、第1の係合部11近傍の拡大断面図である。図9において、紙面右側が集塵装置3の前側、紙面左側が集塵装置3の後側、紙面上側が集塵装置3の上方側、紙面下側が集塵装置3の下方側、である。
【0062】
図9において、第1の係合部11の内側にはフック部材32が配置されており、このフック部材32には第1の弾性部材33と第2の弾性部材34の2つの弾性部材が接続されている。第1の弾性部材33は、第1の係合部11と対向するフック部材32の面に形成された第1突部35に嵌め込まれている。一方、第2の弾性部材34は、フック部材32の上方に形成された第2突部36に嵌め込まれている。このため、第1の弾性部材33により、フック部材32は集塵容器6側に付勢され、第2の弾性部材34により、第1の係合部11が上方に付勢されている。
【0063】
また、第1の係合部11の表面には、使用者が第1の係合部11を下方にスライドするための、スライド突部37が形成されている。
【0064】
図9に示すように、第1の係合部11の第3突部38が、集塵容器6の第1孔部39に係合している状態では、第1の係合部11により集塵容器6に蓋部7が被せられた状態がある程度維持される。一方、使用者がスライド突部37に指をあてて下方に力を入れることにより、第2の弾性部材34の付勢力に抗して第1の係合部11が下方にスライドすると共に、第1の弾性部材33の付勢力に抗して第3突部38と集塵容器6の第1孔部と39の係合が解除される。
【0065】
図10は、第2の係合部12近傍の拡大断面図である。図10において、紙面右側が集塵装置3の前方側、紙面左側が集塵装置3の後側、紙面上側が集塵装置3の上方側、紙面下側が集塵装置3の下方側、である。
【0066】
図10において、第2の係合部12の上側には、表面に指で押下する部分である押下面40が形成されており、この押下面40は、例えば波状の断面形状となっている。このような波状の断面形状とすることにより、使用者の指が滑ることを防止すると共に、使用者に、第2の係合部12の指で押下する部分であることを知らせることが可能である。
【0067】
第2の係合部12の、押下面40の裏面側には、例えばスプリング等である第3の弾性部材41を嵌めこむためのものであり突形状である、第4突部42が形成されている。蓋部7の側面と第2の係合部12との間になる第3の弾性部材41により、第2の係合部12の押下面40が形成された部分は、蓋部7の後方側に向けて付勢されている。
【0068】
第2の係合部12の下側には、集塵容器6側に突出したフック部43が形成されており、使用者が押下面40を押下していない状態では、フック部43が集塵容器6に係合している。このため、図10に示す状態では、第2の係合部12により集塵容器6に蓋部7が被せられた状態がある程度維持される。一方、使用者が第2の係合部12の押下面40を押下すると、第3の弾性部材41の弾性力に抗して第4突部42が蓋部7側に押し込まれると共に、フック部43が集塵容器6から離れる方向に移動する。即ち、第2の係合部1
2の上下方向における略中央部分を軸として第4突部42とフック部43が夫々反対方向に移動する。
【0069】
第2実施例では、第1の係合部11が集塵容器6へ係合し、且つ、第2の係合部12が集塵容器6へ係合することにより、蓋部7が集塵容器6に嵌め込まれた状態が維持される。一方、集塵容器6から蓋部7を外す際には、先ほど説明したように、使用者が第1の係合部11を下方にスライドすると共に第2の係合部12を押下することにより、集塵容器6と第1の係合部11、第2の係合部12との係合が解除され、集塵容器6から蓋部7を外すことができる。このため、使用者が第1の係合部11のみ操作する際に、誤って蓋部7のみを持ち集塵容器6を持っていない場合でも、集塵容器6が床面に落ちることを回避することができる。
【0070】
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。実施例3では、実施例1及び2で説明した電気掃除機の把手部2近傍の構造について説明している。
【0071】
図11は、把手部2の部分を拡大した側面図である。図11において、紙面右側は把手部2の後側、紙面左側は把手部2の前方側、紙面上側は把手部2の上側、紙面下側は把手部2の下側である。
【0072】
図11に示すように把手部2は前方のAの長さの部位と後方のBの長さの部位を有している。また、Aの長さの部位とBの長さの部位との間には、下方に多少突となる部分を有している。更に、Aの長さの部位は略水平方向に延在した形状であり、Bの長さの部位は斜め後方へと傾斜した形状である。
【0073】
尚、Aの長さの部位は約64~66mm程度の長さであり、好ましくは65.7mm程度の長さである。一方、Bの長さの部位は、約62~64mm程度の長さであり、好ましくは63.1mm程度の長さである。このような形状とすることにより、使用者が把手部2を持ちやすくしている。
【0074】
(他の実施の形態)
ゴミ捨てライン25は、メモリ、矢印、線等により塵埃を捨てるタイミングである旨を使用者に報知する形態としても良いし、例えば、「満タン」等のような文字により報知する形態としても良い。
【0075】
本実施例では、ゴミ捨てライン25は、切欠部21の略ハの字状の斜面(傾斜部31)まで印字されているが、切欠部21の水平部30と略同じか或いは傾斜部31の下端までの高さまで印字する構成とすることも考えられる。
【0076】
本実施例では、切欠部21を略ハの字状で形成したが、半円、楕円、三角形状の断面としても良い。但し、吸引風の風速を減速させないために、断面ができるだけ曲面であることが好ましい。
【0077】
本実施例では、第1の衝突壁23と第2の衝突壁24の二つの衝突壁を用いたが、第1の衝突壁23だけ或いは、第2の衝突壁24だけを用いた実施形態も考えられる。
【0078】
本実施例では、第1の衝突壁23と第2の衝突壁24の二つの衝突壁を用いたが、第1の衝突壁23の数を複数個(例えば、2~4個)或いは、第2の衝突壁24の数を複数個(例えば、2~4個)搭載する実施形態も考えられる。
【0079】
本実施例では、集塵容器6の上部で蓋部7を開閉可能とした構成の集塵装置で実施したが、集塵容器6の底部を開閉可能な構成とした場合でも、同様に実施することができる。
【0080】
本実施例では、階段部20を下方突部19の後方側に設けたが、下方突部19の前方側或いは、右側に設けることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の電気掃除機及び集塵装置は、家庭用の電気掃除機、或いはオフィスや工場等で使用される業務用の電気掃除機等広く利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 本体
2 把手部
3 集塵装置
4 延長管
5 ノズル
6 集塵容器
7 蓋部
8 吸引口
9 排出口
10 フィルタ
11 第1の係合部
12 第2の係合部
13 内筒
14 開口孔
15 中央部
16 傘部
17 下方筒体
18 水平突部
19 下方突部
20 階段部
21 切欠部
22 舞上り防止リブ
23 第1の衝突壁
24 第2の衝突壁
25 ゴミ捨てライン
26 第1の隙間
27 第2の隙間
28 第3の隙間
29 第4の隙間
30 水平部
31 傾斜部
32 フック部材
33 第1の弾性部材
34 第2の弾性部材
35 第1突部
36 第2突部
37 スライド突部
38 第3突部
39 第1孔部
40 押下面
41 第3の弾性部材
42 第4突部
43 フック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11