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  • 特許-送風装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/08 20060101AFI20230814BHJP
   F24F 13/072 20060101ALI20230814BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20230814BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20230814BHJP
【FI】
F24F13/08 C
F24F13/072 B
F24F1/0007 401B
F24F11/79
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019162501
(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021042864
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】脇山 雄多
(72)【発明者】
【氏名】小田 一平
(72)【発明者】
【氏名】木下 和美
(72)【発明者】
【氏名】中村 実
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0117818(US,A1)
【文献】特開2013-169234(JP,A)
【文献】特開2009-270801(JP,A)
【文献】特開2013-213641(JP,A)
【文献】特開平03-148559(JP,A)
【文献】米国特許第4253384(US,A)
【文献】特開昭63-148034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/08
F24F 13/072
F24F 13/20
F24F 11/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の第一面に形成され、前記第一面に沿うようにして前記筐体の第一辺に向けて第一気流を吹き出す第一吹出口と、
前記第一面と前記第一辺にて接する前記筐体の第二面に形成され、前記第二面に沿うようにして前記第一辺に向けて第二気流を吹き出す第二吹出口と、
前記第一吹出口より吹き出される前記第一気流の風量を調整する第一風量調整部と、
前記第二吹出口より吹き出される前記第二気流の風量を調整する第二風量調整部と、を備え、
前記第一風量調整部により風量が調整された前記第一気流と、前記第二風量調整部により風量が調整された前記第二気流とが、前記第一辺の付近において衝突することによって、前記第一辺から離れる方向に向けて第三気流を送出することを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記第一吹出口及び前記第二吹出口は、前記第一辺に沿ったスリット状に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記第一風量調整部による前記第一気流の風量の調整と、前記第二風量調整部による前記第二気流の風量の調整とを制御して、前記第三気流が前記第一辺から離れる方向を制御する制御部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記第一吹出口から前記第一辺までの距離と前記第二吹出口から前記第一辺までの距離とが略同一となるように、前記第一吹出口及び前記第二吹出口が形成されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関し、特に気流の吹き出し方向を調整可能な送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機は、気流の吹出口に可動式のルーバを有しており、ルーバの角度を変更することで吹出口から送風される気流の向きが変更される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-193900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、可動式のルーバは、鉛直下向き又は水平方向に向きにまで可動させることはできず、吹出口から吹き出される気流の送風範囲が90度未満に制限されるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、可動式のルーバを用いることなく、気流の吹き出し方向を調整可能な送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の送風装置は、筐体と、第一吹出口と、第二吹出口と、第一風量調整部と、第二風量調整部とを備える。第一吹出口は、筐体の第一面に形成され、第一面に沿うようにして筐体の第一辺に向けて第一気流を吹き出す。第二吹出口は、第一面と第一辺にて接する筐体の第二面に形成され、第二面に沿うようにして第一辺に向けて第二気流を吹き出す。第一風量調整部は、第一吹出口より吹き出される第一気流の風量を調整する。第二風量調整部は、第二吹出口より吹き出される第二気流の風量を調整する。第一風量調整部により風量が調整された第一気流と、第二風量調整部により風量が調整された第二気流とが、第一辺の付近において衝突することによって、第一辺から離れる方向に向けて第三気流を送出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の送風装置によれば、可動式のルーバを用いることなく、気流の吹き出し方向を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る送風装置の概略構成図である。
図2図2は、送風装置の断面を左側面から見た概略断面図である。
図3図3は、送風装置の制御ブロック図である。
図4図4(a)は、送風装置の第一辺から鉛直方向に向けて気流を送出する場合の第一ダンパ及び第二ダンパの開口度を模式的に示した模式図であり、図4(b)は、送風装置の第一辺から水平方向に向けて気流を送出する場合の第一ダンパ及び第二ダンパの開口度を模式的に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。従って、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0010】
まず、図1図3を参照して、本発明の一実施形態に係る送風装置10の概略構成について説明する。図1は、その送風装置10の概略斜視図である。図2は、送風装置10の断面を左側面から見た概略断面図である。図3は、送風装置10の制御ブロック図である。なお、以下の説明において、図1に示す矢印Fから見た送風装置10の面、即ち、後述する第一吹出口12が設けられている面を正面11aとして説明する。
【0011】
送風装置10は、矩形状の筐体11を有して構成され、筐体11の第一辺11cから離れる方向に向けて第三気流23を送出する装置である。具体的には、以下の通りである。
【0012】
送風装置10の筐体11には、正面11a側にスリット状に形成された第一吹出口12が設けられ、正面11aと第一辺11cにて接する底面11b側にスリット状に形成された第二吹出口13が設けられている。第一吹出口12及び第二吹出口13は、スリットの長辺が第一辺11cに沿ってそれぞれ形成されている。また、正面11aと底面11bとは、第一辺11cにて略直交している。なお、正面11aが本発明の第一面に相当し、底面11bが本発明の第二面に相当する。
【0013】
第一吹出口12は、正面11aに沿うようにして筐体11の第一辺11cに向けて第一気流21を吹き出す吹出口である。第二吹出口13は、底面11bに沿うようにして筐体11の第一辺11cに向けて第二気流22を吹き出す吹出口である。
【0014】
ここで、第一吹出口12から第一辺11cまでの距離と、第二吹出口13から第一辺11cまでの距離とが、略同一となるように、第一吹出口12及び第二吹出口13が形成されている。ここで略同一の距離とは、第一吹出口12と第二吹出口13とから同じ風量の気流が吹き出された場合に、第一辺11cにおける第一気流21の強さと第二気流22の強さとが同程度となる距離である。
【0015】
筐体11の上面(平面)と、右側面と、左側面と、背面とには、それぞれ吸込口14が設けられている。また、筐体11の内部には、スクロールケーシング16が備えられており、スクロールケーシング16の中に送風ファン15が設けられている。送風ファン15は、例えばシロッコファンによって構成される。
【0016】
送風ファン15の内側には、吸込口14から吸い込まれた空気が供給される。また、送風ファン15には、送風ファン15を回転させるためのモータ(図示せず)が接続されており、モータを回転させることで、図2において送風ファン15が右回りに回転する。これにより、送風ファン15の内側に供給された空気が送風ファン15の内側から外側に吹き出され、図2において、スクロールケーシング16と送風ファン15との間に形成された空間にて右周りの空気の流れが発生する。
【0017】
筐体11の内部において、スクロールケーシング16の外周には、第一吹出口12と連通する第一空気案内路17が接続されている。第一空気案内路17は、スクロールケーシング16から第一吹出口12へ空気を案内するものでる。第一空気案内路17は、スクロールケーシング16から第一吹出口12へ向かう途中まで底面11bに対して平行に設けられる。そして、第一吹出口12からの第一気流21が正面11aに沿って第一辺11cに向けて吹き出されるように、第一空気案内路17は、第一吹出口12付近で第一辺11c側に向けて曲げられる。
【0018】
また、筐体11の内部において、スクロールケーシング16の外周には、第二吹出口13と連通する第二空気案内路18が接続されている。第二空気案内路18は、スクロールケーシング16から第二吹出口13へ空気を案内するものでる。第二空気案内路18は、スクロールケーシング16から第二吹出口13へ向かう途中まで正面11aに平行に設けられる。そして、第二吹出口13からの第二気流22が底面11bに沿って第一辺11cに向けて吹き出されるように、第二空気案内路18は、第二吹出口13付近で第一辺11c側に向けて曲げられる。
【0019】
スクロールケーシング16と第一空気案内路17との接続箇所には、第一ダンパ19が設けられ、スクロールケーシング16と第二空気案内路18との接続箇所には、第二ダンパ20が設けられている。
【0020】
第一ダンパ19は、スクロールケーシング16から第一空気案内路17へ案内される空気の風量を調整するもので、本発明の第一風量調整部に該当する。即ち、第一ダンパ19の開口度を大きくすると、スクロールケーシング16から第一空気案内路17へ案内される空気の風量が多くなり、第一ダンパ19の開口度を小さくすると、スクロールケーシング16から第一空気案内路17へ案内される空気の風量が少なくなる。
【0021】
第一空気案内路17は、上述した通り第一吹出口12と連通しているので、第一空気案内路17に案内される空気の風量が調整されることによって、第一吹出口12より吹き出される第一気流21の風量が調整されることとなる。即ち、第一ダンパ19は、第一吹出口12より吹き出される第一気流21の風量を調整するものであると言うことができる。
【0022】
第二ダンパ20は、スクロールケーシング16から第二空気案内路18へ案内される空気の風量を調整するもので、本発明の第二風量調整部に該当する。即ち、第二ダンパ20の開口度を大きくすると、スクロールケーシング16から第二空気案内路18へ案内される空気の風量が多くなり、第二ダンパ20の開口度を小さくすると、スクロールケーシング16から第二空気案内路18へ案内される空気の風量が少なくなる。
【0023】
第二空気案内路18は、上述した通り第二吹出口13と連通しているので、第二空気案内路18に案内される空気の風量が調整されることによって、第二吹出口13より吹き出される第二気流22の風量が調整されることとなる。即ち、第二ダンパ20は、第二吹出口13より吹き出される第二気流22の風量を調整するものであると言うことができる。
【0024】
筐体11には、制御部30が設けられている。制御部30は、図3に示す通り、送風ファン15と接続されており、送風ファン15の回転動作を制御する。また、制御部30は、第一ダンパ19及び第二ダンパ20と接続されており、第一ダンパ19の開口度、及び、第二ダンパ20の開口度を制御する。制御部30は、送風ファン15の回転動作、第一ダンパ19の開口度、及び、第二ダンパ20の開口度を制御することで、第一吹出口12より吹き出される第一気流21の風量と、第二吹出口13より吹き出される第二気流22の風量とを制御して、後述の通り、第三気流23が第一辺11cから離れる方向を制御する。
【0025】
続いて、以上のように構成された送風装置10の動作について、図2図4を参照しながら説明する。図4(a)は、送風装置10の第一辺11cから鉛直方向に向けて第三気流23を送出する場合の第一ダンパ19及び第二ダンパ20の開口度を模式的に示した模式図である。図4(b)は、送風装置10の第一辺11cから水平方向に向けて第三気流23を送出する場合の第一ダンパ19及び第二ダンパ20の開口度を模式的に示した模式図である。
【0026】
送風装置10では、図2において、送風ファン15に接続されたモータが駆動されると送風ファン15が右回りに回転する。これにより、吸込口14より送風ファン15の内部に空気が供給され、送風ファン15の内側に供給された空気が送風ファン15の内側から外側に吹き出される。そして、送風ファン15より吹き出された空気によって、スクロールケーシング16と送風ファン15との間に形成された空間にて、右周りの空気の流れが発生する。
【0027】
上述のようにして発生した空気の流れの一部が、第一ダンパ19を介して第一空気案内路17に導かれ、第二ダンパ20を介して第二空気案内路18に導かれる。そして、第一空気案内路17に導かれた空気は、第一吹出口12から第一気流21として吹き出され、第二吹出口13から第二気流22として吹き出される。
【0028】
ここで、上述した通り、第一空気案内路17は、底面11bに対して平行な状態から第一吹出口12付近で第一辺11c側に向けて曲げられるので、第一吹出口12からは正面11aに沿って第一辺11cに向けて第一気流21が吹き出される。第一吹出口12から吹き出された第一気流21は、コアンダ効果による誘引現象(第一気流21と正面11aとの間に負圧領域が発生し、第一気流21が負圧領域側に誘引される現象)によって正面11aに沿って流れる。
【0029】
また、第二空気案内路18は、正面11aに対して平行な状態から第二吹出口13付近で第一辺11c側に向けて曲げられるので、第二吹出口13からは底面11bに沿って第一辺11cに向けて第二気流22が吹き出される。第二吹出口13から吹き出された第二気流22は、コアンダ効果による誘引現象によって底面11bに沿って流れる。
【0030】
第一吹出口12から吹き出された第一気流21と、第二吹出口13から吹き出された第二気流22とは、第一辺11c付近で衝突し、第一辺11cから離れる方向に向かう第三気流23が形成される。この際、第三気流23は、第一気流21の風量と第二気流22の風量とに応じた仰角(底面11bとなす角度)で第一辺11cから離れる方向に送出される。
【0031】
例えば、図2に示すように、制御部30の制御によって、第一ダンパ19の開口度を「中」とし、第二ダンパ20の開口度を「中」とした場合、第一空気案内路17と第二空気案内路18とには、それぞれ同程度の風量で空気が案内される。つまり、第一吹出口12から吹き出される第一気流21の風量と、第二吹出口13から吹き出される第二気流22の風量とは、同程度の風量となる。
【0032】
そして、第一吹出口12から第一辺11cまでの距離と第二吹出口13から第一辺11cまでの距離とは略同一であるので、第一辺11cにおける第一気流21の強さ(風量)と第二気流22の強さ(風量)とは同程度となる。よって、送風装置10は、同程度の強さの第一気流21と第二気流22とが第一辺11c近辺において衝突することで、第一辺11cから仰角45度の方向に第三気流23を送出する。
【0033】
また、図4(a)に示すように、制御部30の制御によって、第一ダンパ19の開口度を「大」とし、第二ダンパ20の開口度を「小」とした場合、第一空気案内路17には大きな風量で空気が案内され、第二空気案内路18には小さな風量で空気が案内される。つまり、第一吹出口12から吹き出される第一気流21の風量は大きくなり、第二吹出口13から吹き出される第二気流22の風量は小さくなる。これにより、第一辺11cにおいても第一気流21の強さ(風量)が大きくなり、第二気流22の強さ(風量)は小さくなる。よって、送風装置10は、強い第一気流21と弱い第二気流22とが第一辺11c近辺において衝突することで、第一辺11cから仰角90度の方向、即ち、略鉛直方向に第三気流23を送出する。
【0034】
なお、第二ダンパ20を完全に閉じて第二吹出口13から吹き出される第二気流22の風量を0にすると、第一吹出口12から吹き出された第一気流21は、第一辺11c近辺で底面11b側に巻き込まれ、第一辺11cから送出される第三気流23は仰角が90度を超えてしまう。よって、第一辺11cから鉛直方向に第三気流23を送出する場合は、第二吹出口13から弱い風量の第二気流22を吹き出すのが好ましい。
【0035】
また、図4(b)に示すように、制御部30の制御によって、第一ダンパ19の開口度を「小」とし、第二ダンパ20の開口度を「大」とした場合、第一空気案内路17には小さな風量で空気が案内され、第二空気案内路18には大きな風量で空気が案内される。つまり、第一吹出口12から吹き出される第一気流21の風量は小さくなり、第二吹出口13から吹き出される第二気流22の風量は大きくなる。これにより、第一辺11cにおいても第一気流21の強さ(風量)が小さくなり、第二気流22の強さ(風量)は大きくなる。よって、送風装置10は、弱い第一気流21と強い第二気流22とが第一辺11c近辺において衝突することで、第一辺11cから仰角0度の方向、即ち、略水平方向に第三気流23を送出する。
【0036】
なお、第一ダンパ19を完全に閉じて第一吹出口12から吹き出される第一気流21の風量を0にすると、第二吹出口13から吹き出された第二気流22は、第一辺11c近辺で正面11a側に巻き込まれ、第一辺11cから送出される第三気流23は仰角が0度を下回る(上向きになる)。よって、第一辺11cから水平方向に第三気流23を送出する場合は、第一吹出口12から弱い風量の第一気流21を吹き出すのが好ましい。
【0037】
このように、送風装置10は、第一ダンパ19により風量が調整された第一気流21と、第二ダンパ20により風量が調整された第二気流22とが、第一辺11c付近において衝突することによって、第一辺11cから離れる方向に向けて第三気流23を送出するものである。この際、送風装置10の制御部30は、第一ダンパ19による第一気流21の風量の調整と、第二ダンパ20による第二気流22の風量の調整とを制御して、第三気流23が第一辺11cから離れる方向を所定の送風範囲の中で制御する。
【0038】
以上、本発明の送風装置10によれば、筐体11の正面11aに第一吹出口12が形成され、正面11aに沿って第一辺11cに向けて第一気流21が吹き出される。また、筐体11の底面11bに第二吹出口13が形成され、底面11bに沿って第一辺11cに向けて第二気流22が吹き出される。そして、送風装置10は、第一吹出口12から吹き出される第一気流21の風量と、第二吹出口13から吹き出される第二気流22の風量とを調整することにより、第一辺11cから離れる方向に向けて所定の送風範囲の中で第三気流23を送出できる。つまり、従来の送付装置で必要であった可動式のルーバを用いることなく、第三気流23の吹き出し方向を調整可能な送風装置10とすることができる。
【0039】
また、送風装置10は、第一吹出口12から吹き出される第一気流21の風量と、第二吹出口13から吹き出される第二気流22の風量とを調整することにより、仰角(底面11bとなす角度)が少なくとも90度の送風範囲の中で、第一辺11cから離れる方向に向けて第三気流23を送出できる。つまり、可動式のルーバを用いた従来の送風装置と比べて吹き出す気流の送風範囲が広い送風装置10を実現できる。
【0040】
また、従来の送風装置で必要であった可動式のルーバでは、吹出口として大きな開口部が必要であったため、吹出口の存在が目立つことで送風による自然観が視覚的に阻害されてしまうという問題点があった。これに対し、送風装置10では、第三気流23が送出される第一辺11c近辺に開口そのものが存在しないため、自然感を感じる送風を行うことができる。また、第一吹出口12及び第二吹出口13もスリット状に形成された開口であるため、さらに吹出口の開口を目立たなくさせることができ、送風の自然感をより高めることができる。
【0041】
なお、この送風装置10は、部屋の天井面に設置したり、上下を反転させて床面に設置したりすることが可能であるが、この場合、上面(平面)に設けられた吸込口14が塞がれる。また、送風装置10の背面側を天井面あるいは床面に着けて設置することも可能であり、この場合は、背面に設けられた吸込口14が塞がれる。また、この送風装置10は、筐体11が直方体状に形成され、複数台の送風装置10を左右方向に並べて設置可能に構成されており、この場合、右側面や左側面に設けられた吸込口14が塞がれる可能性がある。しかしながら、送風装置10は、上面(平面)、左側面、右側面及び背面に吸込口14が設けられているので、少なくともいずれかの吸込口14が塞がれない状態にすることで、外部の空気を送風装置10へ確実に吸い込むことができる。
【0042】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加しあるいはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0043】
上記実施形態では、第一吹出口12からの第一気流21が正面11aに沿って第一辺11cに向けて吹き出されるように、第一空気案内路17は、第一吹出口12付近で第一辺11c側に向けて曲げられて形成されている。また、第二吹出口13からの第二気流22が底面11bに沿って第一辺11cに向けて吹き出されるように、第二空気案内路18は、第二吹出口13付近で第一辺11c側に向けて曲げられている。これに代えて、または、これに加えて、第一吹出口12からの第一気流21が正面11aに沿って第一辺11cに向けて吹き出されるように、第一吹出口12付近に固定式のルーバを設けてもよい。また、第二吹出口13からの第二気流22が底面11bに沿って第一辺11cに向けて吹き出されるように、第二吹出口13付近に固定式のルーバを設けてもよい。これによっても、広い送風範囲を実現できる送風装置を構築可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る送風装置は、可動式のルーバを用いることなく、送出される気流の向きを調整可能な送風装置として有用であり、例えば、気流に対して芳香成分を添加する香り機能付き送風装置に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
10 送風装置
11 筐体
11a 正面
11b 底面
11c 第一辺
12 第一吹出口
13 第二吹出口
14 吸込口
15 送風ファン
16 スクロールケーシング
17 第一空気案内路
18 第二空気案内路
19 第一ダンパ
20 第二ダンパ
21 第一気流
22 第二気流
23 第三気流
30 制御部
図1
図2
図3
図4