(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】画像表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20230814BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20230814BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20230814BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20230814BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
G09G5/00 510V
G09G5/00 X
G09G5/00 530H
G09G5/00 550C
G06F3/14 350A
G09G5/37 310
G09G5/38
H04N5/66 D
(21)【出願番号】P 2017124319
(22)【出願日】2017-06-26
【審査請求日】2020-06-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2016180675
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】大久保 亮治
(72)【発明者】
【氏名】増谷 健
(72)【発明者】
【氏名】関澤 卓
(72)【発明者】
【氏名】安部 高明
(72)【発明者】
【氏名】谷 和磨
【合議体】
【審判長】岡田 吉美
【審判官】後藤 慎平
【審判官】中塚 直樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0086582(US,A1)
【文献】特開2008-281716(JP,A)
【文献】特開2012-133069(JP,A)
【文献】米国特許第6753907(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0291185(US,A1)
【文献】特開2009-139492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00-5/42
H04N 5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のレイアウトで配置された複数の表示装置と、
複数の入力映像信号が入力され、前記複数の入力映像信号から、前記レイアウトに応じた出力映像信号を前記表示装置毎に生成する画像処理装置と、
複数の異なるテストパターン画像を示すテストパターン信号を生成するテストパターン信号生成部と、
前記出力映像信号及び前記テストパターン信号が入力され、前記出力映像信号及び前記テストパターン信号のいずれかを選択して出力するセレクタと、
前記複数の表示装置に表示された前記テストパターン画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で撮像された撮像画像を解析し、解析結果に基づいて、前記画像処理装置を制御するための制御情報を生成する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記解析結果に基づいて、ユーザーインターフェース画面上での前記複数の表示装置を示す第1のオブジェクトの配置情報であり、前記第1のオブジェクトの位置及び回転角度をそれぞれ示す情報を含む配置情報である第1の配置情報を生成し、
前記複数の入力信号のそれぞれに基づいた複数の映像を示す複数の第2のオブジェクトの配置に基づき、前記ユーザーインターフェース画面上での前記第2のオブジェクトの前記入力映像信号に基づいた映像の配置を示す配置情報であり、前記ユーザーインターフェース画面上での前記第2のオブジェクトの位置、大きさ及び回転角度をそれぞれ示す情報を含む、第2の配置情報を生成し、
前記第1の配置情報及び前記第2の配置情報に基づいて、前記第1のオブジェクトと前記複数の第2のオブジェクトとが表示されたユーザーインターフェース画面を表示し、かつ、
前記ユーザーインターフェース画面上において、一の前記表示装置に前記複数の第2のオブジェクトを配置するユーザーの操作を受け付け、
前記画像処理装置は、制御部
及び画像処理部を有し、
前記
画像処理部は、
前記ユーザーインターフェース画面上での、前記第1のオブジェクトと、前記複数の第2のオブジェクトとの間の相対的な位置関係及び大きさに基づき、前記複数の表示装置に対する前記出力映像信号を生成し、
前記制御部は、前記ユーザーの操作に基づいて前記複数の映像のうち少なくとも1つの映像における
切り出し位置を決定し、
前記画像処理部は、切り出した前記少なくとも1つの映像の信号を前記複数の表示装置のいずれかに出力する、
画像表示システム。
【請求項2】
前記第1の配置情報はユーザーにより変更できる、請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記セレクタから前記出力映像信号及び前記パターン信号が入力され、前記出力映像信号及び前記パターン信号にIPアドレスを付加して送信する画像送信部をさらに備え、
前記表示装置は、前記画像送信部から、前記IPアドレスが付加された出力映像信号及びパターン信号を受信し、前記表示装置のIPアドレスと一致するIPアドレスを有する、受信した前記出力映像信号及び前記パターン信号に基づいた画像を表示する、
請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の第2のオブジェクトの前記第1のオブジェクトに対する位置関係又は大きさの変更を、前記ユーザーインターフェース画面上でのユーザーの操作によって受け付ける、請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記第1のオブジェクトに対する前記複数の第2のオブジェクトのそれぞれの重なり領域から、前記複数の第2のオブジェクトのそれぞれが切り出され、
前記画像処理部は、前記切り出された複数の第2のオブジェクトが対応する表示装置に表示されるように、前記切り出された複数の第2のオブジェクトを合成する、
請求項1に記載の画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の表示装置を利用して1つの画面を構成し、大画面、高解像度の画像を表示可能なマルチディスプレイが知られている(特許文献1等)。例えば、1920×1080の解像度を持つ表示装置を横に4台、縦に4台配置することによって、8K解像度を持つマルチディスプレイを構成することができる。近年、マルチディスプレイを構成する表示装置の数が増加しており、マルチディスプレイがより大画面/高精細化している。
【0003】
このようなマルチディスプレイを構成する個々の表示装置に対して、映像出力装置から映像信号が供給される。個々の表示装置は、映像出力装置からの映像信号を受信するための入力端子(例えば、HDMI(登録商標)端子)を有し、入力端子から受信した映像信号に基づく映像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-281717号公報
【文献】特開2013-153410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マルチディスプレイを構成する各表示装置を設置する際に、映像出力装置の出力端子がどの表示装置の入力端子に接続されるべきかを確認しながら適切に接続する必要がある。
【0006】
また、複数の映像信号を一つのネットワークケーブルに重畳して伝送するネットワークの技術(VoIP(Voice over Internet Protocol))を利用して映像出力装置からの映像信号を、マルチディスプレイを構成する各表示装置に送信する場合も有る。その場合、各表示装置を設置する際に、個々の表示装置のネットワーク設定(IPアドレス)を確認して適切に接続する必要がある。
【0007】
しかしながら、マルチディスプレイを構成する表示装置の数の増加に伴い、映像出力装置の出力端子と表示装置の入力端子間の物理的接続のミスが発生しやすくなる。また、ネットワークケーブルに複数の映像データを重畳して伝送するVoIPにおいても、各表示装置と映像出力装置とのネットワーク設定等のミスが発生しやすくなる。このようなミスにより、マルチディスプレイにおいて、意図しない表示装置に意図しない映像が表示されることになる。そのため所望の表示状態を実現するために接続や設定を修正する作業が必要となる。
【0008】
本開示は、複数の表示装置で表示画面を構成する画像表示システムであって、初期設定が容易となる画像表示システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の画像表示システムは、任意のレイアウトで配置された複数の表示装置と、複数の入力映像信号が入力され、複数の入力映像信号から、レイアウトに応じた出力映像信号を表示装置毎に生成する画像処理部と、複数の異なるテストパターン画像を示すパターン信号を生成するパターン信号生成部と、出力映像信号及びパターン信号が入力され、出力映像信号及びパターン信号のいずれかを選択して出力するセレクタと、複数の表示装置に表示されたテストパターン画像を撮像する撮像装置と、撮像装置で撮像された撮像画像を解析し、解析結果に基づいて、画像処理部を制御するための制御情報を生成する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の画像表示システムによれば、自動で表示装置の配置を認識し、表示装置に対する映像信号の割り当てを行うため、複数の表示装置の設置時における初期設定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1におけるマルチディスプレイシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1におけるマルチウィンドウプロセッサの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1におけるコントローラの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1におけるテストパターン画像の例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1におけるテストパターン画像を各ディスプレイで表示させた場合のマルチディスプレイ全体の表示画面の表示例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1におけるディスプレイオブジェクトが配置されたユーザーインターフェース画面の例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1におけるディスプレイ配置情報の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1におけるディスプレイオブジェクトに入力信号オブジェクトを重ねて配置したユーザーインターフェース画面の例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1における入力信号配置情報の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態1におけるディスプレイ(n)に対する入力映像の割り当て処理を説明するための図である。
【
図11A】
図11Aは、実施の形態1における入力映像信号に基づく入力映像を示す図である。
【
図11B】
図11Bは、実施の形態1における入力映像信号に基づく入力映像を示す図である。
【
図11C】
図11Cは、実施の形態1における入力映像信号に基づく入力映像を示す図である。
【
図11D】
図11Dは、各ディスプレイに入力映像が割り当てられた場合のマルチディスプレイの表示例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2におけるマルチディスプレイシステムの構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2におけるマルチウィンドウプロセッサの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0013】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0014】
(実施の形態1)
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1におけるマルチディスプレイシステム10の構成を示すブロック図である。マルチディスプレイシステム10は、複数の映像出力装置100、マルチディスプレイ110、撮像装置120、マルチウィンドウプロセッサ130及びコントローラ140を備える。なお、本実施の形態において、マルチディスプレイシステム10は、画像表示システムの一例である。
【0015】
映像出力装置100は、マルチディスプレイ110に表示する映像の映像信号を出力する映像信号源である。本実施の形態では、映像出力装置100は複数ある。なお、本実施の形態では、映像出力装置100から出力される映像信号を入力映像信号とよぶ。
【0016】
マルチディスプレイ110は、任意のレイアウトで配置された複数のディスプレイ111で構成される。本実施の形態では、マルチディスプレイ110は、10台のディスプレイ111で構成される。各ディスプレイ111はフルハイビジョン解像度を有する表示装置である。なお、本実施の形態では、ディスプレイ111は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである。
【0017】
マルチウィンドウプロセッサ130は、複数の映像出力装置100から入力される複数の入力映像信号の画像処理を行う。マルチウィンドウプロセッサ130は、複数の入力映像信号からマルチディスプレイ110を構成するディスプレイ111毎に出力映像信号を生成する。生成された出力映像信号は、マルチディスプレイ110に出力される。マルチディスプレイ110におけるディスプレイ111は、マルチウィンドウプロセッサ130から入力された出力映像信号に基づき映像を表示する。次に、マルチウィンドウプロセッサ130の構成について説明する。
【0018】
図2は、実施の形態1におけるマルチウィンドウプロセッサ130の構成を示すブロック図である。マルチウィンドウプロセッサ130は、入力端子131と、フレームメモリ132と、画像処理部133と、制御部134と、テストパターン生成部135と、セレクタ136と、出力端子137とを備える。
【0019】
入力端子131は複数あって、
図2に示すように、本実施の形態では、入力端子131は、m個(m=1、2、・・・)ある。映像出力装置100から入力される入力映像信号は、入力端子131を介してフレームメモリ132に出力される。
【0020】
フレームメモリ132は、入力端子131を介して入力される入力映像信号を一時的に格納する。入力映像信号は、フレームメモリ132に一時的に格納された後、画像処理部133に出力される。フレームメモリ132と画像処理部133とは、m個のケーブル、もしくは回路パターン等で接続されている。
【0021】
画像処理部133は、入力映像信号を処理する。画像処理部133には、フレームメモリ132を介して複数の入力映像信号が入力される。画像処理部133は、入力された複数の入力映像信号からディスプレイ111のレイアウトに応じた出力映像信号をディスプレイ111毎に生成する。画像処理部133で生成された出力映像信号は、セレクタ136に出力される。本実施の形態では、画像処理部133とセレクタ136は、n個(n=1、2・・・)のケーブル、もしくは回路パターン等で接続されている。画像処理部133は、n個の出力映像信号をセレクタ136に出力する。
【0022】
制御部134は、画像処理部133を制御する。制御の詳細については後述する。
【0023】
テストパターン生成部135は、複数の異なるテストパターン画像を示すテストパターン信号を生成する。生成されたテストパターン信号は、セレクタ136に出力される。本実施の形態では、テストパターン生成部135とセレクタ136は、n個のケーブルもしくは回路パターン等で接続されている。テストパターン生成部135は、n個のテストパターン信号を生成し、生成されたn個のテストパターン信号は、セレクタ136に出力される。
【0024】
セレクタ136は、画像処理部133からの出力映像信号及びテストパターン生成部135からのテストパターン信号が入力され、出力映像信号及びテストパターン信号のいずれか一方からの信号を選択的に出力端子137に出力する。
【0025】
出力端子137は、複数あって、セレクタ136から入力される信号を外部に出力する。複数の出力端子137のそれぞれは、ケーブルを介して複数のディスプレイ111のそれぞれに接続される。なお、本実施の形態では、出力端子137はn個ある。
【0026】
本実施の形態では、マルチウィンドウプロセッサ130のテストパターン生成部135、画像処理部133及び制御部134は、それぞれ独立して又は一体的にハードウェア回路(FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等)で構成される。または、それらは、それぞれ独立して又は一体的にプログラムを実行して所定の機能を実現するCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)で構成されてもよい。
【0027】
図1に戻り、撮像装置120は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサのような画像センサを含み、被写体を撮像して画像データを生成する。撮像装置120は、被写体であるマルチディスプレイ110の表示画面を撮像して画像データを生成する。つまり、撮像装置120は、複数のディスプレイ111に表示された、出力映像信号及びテストパターン信号に基づく画像を撮像して画像データを生成する。
【0028】
コントローラ140は、ユーザーの指示を受け付け、ユーザーの指示にしたがいマルチウィンドウプロセッサ130を制御する装置である。コントローラ140は例えばパーソナルコンピュータで構成される。また、コントローラ140は、撮像装置120で撮像された撮像画像を解析し、解析結果に基づいて、画像処理部133を制御するための制御情報を生成する。次に、コントローラ140の構成について説明する。
【0029】
図3は、実施の形態1におけるコントローラ140の構成を示すブロック図である。コントローラ140は、コントローラ140全体の動作を制御する制御部141と、種々の情報を表示する表示部143と、ユーザーが操作を行う操作部145と、RAM(Random Access Memory)146と、データやプログラムを記憶するデータ記憶部147とを備える。
【0030】
表示部143は例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。操作部145は、タッチパネル、キーボード、マウス、ボタン等を含む。
【0031】
RAM146は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の半導体デバイスで構成され、データを一時的に記憶するとともに、制御部141の作業エリアとしても機能する。
【0032】
データ記憶部147は、所定の機能を実現するために必要なパラメータ、データ及び制御プログラム等を記憶する記録媒体である。データ記憶部147は例えばハードディスク(HDD(Hard Disk Drive))や半導体記憶装置(SSD(Solid State Drive))で構成される。
【0033】
制御部141はCPUであり、制御プログラム(ソフトウェア)を実行することで所定の機能を実現する。制御部141は、CPUに限定されず、MPU、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA、ASIC等、所定の機能を実行する種々の電子回路で実現できる。
【0034】
[1-2.動作]
以上の構成を有するマルチディスプレイシステム10の動作を以下に説明する。
【0035】
[1-2-1.映像表示動作]
最初に、マルチディスプレイシステム10における通常の映像表示動作を、
図1及び
図2を用いて説明する。複数の映像出力装置100は、マルチウィンドウプロセッサ130に入力映像信号を出力する。マルチウィンドウプロセッサ130には、複数の入力端子131を介して複数の映像出力装置100の各々から入力映像信号が入力される。複数の入力端子131のそれぞれから入力された入力映像信号は、フレームメモリ132に格納される。
【0036】
画像処理部133は、フレームメモリ132に格納されている、入力端子131毎に入力された入力映像信号を読み出す。また、画像処理部133は、制御部134から制御パラメータを含む制御信号を受信する。制御信号は、コントローラ140から入力される。制御パラメータは、各ディスプレイ111に対する入力映像信号の表示位置や拡大/縮小、切り出し、マルチレイヤ処理における配置優先順位、等の情報を含む。画像処理部133は、入力端子131毎に入力された入力映像信号と、制御部134から受信した制御パラメータとに基づき画像処理を行う。画像処理された入力映像信号は、出力映像信号として画像処理部133からセレクタ136を介して出力端子137毎に出力される。各出力端子137から出力された出力映像信号は、各ディスプレイ111に入力される。各ディスプレイ111は、出力映像信号に基づいた画像を表示する。つまり、画像処理部133は、入力映像信号と制御信号とに基づいてディスプレイ111毎すなわち出力端子137毎に、出力映像信号を生成し、出力端子137毎に出力映像信号を出力する。これにより、マルチディスプレイ110全体で所望の映像が表示される。
【0037】
ここで、マルチディスプレイシステム10において、マルチウィンドウプロセッサ130の映像出力端子(出力端子137)は、所定のディスプレイ111の入力端子に接続される必要がある。所定の出力端子137が、所定のディスプレイ111の入力端子に接続されていない場合、マルチディスプレイ110の表示画面において所望の画像が得られない。また、マルチウィンドウプロセッサ130の出力端子137から出力される出力映像信号は、各ディスプレイ111の相対位置に応じて生成される必要がある。しかしながら、出力端子137と個々のディスプレイ111の入力端子間で接続の不整合が生じると、個々のディスプレイ111間の境界部分で画像のずれが生じる。ここでいう画像のずれとは、所定の画像が表示されるべきディスプレイ111に、異なる画像が表示されることを言う。
【0038】
つまり、マルチウィンドウプロセッサ130の出力端子137と、各ディスプレイ111の入力端子とが正しく接続されていない場合、マルチディスプレイ110に所望の画像が表示されないという不具合が生じる。また、ディスプレイ111は縦向きで設置される場合もあり、その場合、向きに応じた出力映像信号を出力しなければならない。上記不具合を修正するためには、出力端子137とディスプレイ111の入力端子との接続を修正する必要があるが、ディスプレイ111の設置数が増加するに従い、不具合発生箇所の特定及び修正にかかる時間及び労力が増大している。本実施の形態のマルチディスプレイシステム10は上記の問題を解決するために、初期調整機能を有する。本実施の形態に係るマルチディスプレイシステム10は、撮像装置120を備え、接続の不具合発生個所の検出及び修正を自動で行うことができる。そのため、マルチディスプレイシステム10の初期設定、不具合発生箇所の検出及び修正を容易になる。以下、この初期調整機能の実行時の動作を説明する。
【0039】
[1-2-2.初期調整動作]
本開示に係るマルチディスプレイシステム10において、初期調整動作は、例えば、マルチディスプレイ110が新たに設置された場合、または、マルチディスプレイ110におけるディスプレイ111の配置が変更されたときに実施される。以下、初期調整動作の手順について説明する。
【0040】
初期調整動作時において、まず、コントローラ140(すなわち、制御部141)は、ディスプレイ111毎に異なる初期調整用のテストパターン画像を表示させる。そのため、コントローラ140は、マルチウィンドウプロセッサ130に対してテストパターン画像を表示させるための制御信号を出力する。
【0041】
次に、この制御信号を受けて、制御部134は、テストパターン生成部135を制御する。テストパターン生成部135は、制御部134に制御され、出力端子137の数と同数の、互いに異なるテストパターン画像を示す映像信号(以下「テストパターン信号」という)を生成する。テストパターン信号は、外部から入力される映像信号とは独立した信号である。なお、ここで言う外部から入力される映像信号とは、本実施の形態における映像出力装置100から入力される入力映像信号のことである。このとき、セレクタ136は、制御部134からの制御信号に従い、テストパターン生成部135からのテストパターン信号を出力端子137に出力するように経路を切り替える。これにより、初期調整動作時において、各出力端子137から各ディスプレイ111にテストパターン信号が出力される。各ディスプレイ111は、テストパターン信号に基づいて、それぞれ異なるテストパターン画像を表示する。以下、テストパターン画像について説明する。
【0042】
図4は、実施の形態1におけるテストパターン画像の例を示した図である。テストパターン画像は、テストパターン生成部135で生成されるテストパターン信号に基づいて、各ディスプレイ111に表示される。
図4に示すように、テストパターン画像は、出力端子137毎に異なる画像パターンを有する。具体的には、テストパターン画像は、中央に出力端子番号を示す情報41が配置される。また、テストパターン画像は、ディスプレイ111の表示領域の端を認識するための枠43を有する。さらに、テストパターン画像は、ディスプレイ111(画像)の回転方向(向き)を示すための画像45(
図4において、テストパターンの左上端に配置された三角画像)を含む。なお、テストパターン画像は、
図4に示した例に限らず、個々のディスプレイ111の配置情報が検出できる画像パターンであればよい。例えば、ディスプレイ111毎に垂直周波数および水平周波数が異なる画像でもよい。または、コントローラ140からの制御信号にしたがい、出力端子137を切替ることで、同一のテストパターン信号を順次異なる出力端子137から出力するようにしてもよい。この場合、同一のテストパターン画像が、順次各ディスプレイ111に表示される。
【0043】
図5は、実施の形態1におけるテストパターン画像を各ディスプレイ111で表示させた場合のマルチディスプレイ110全体の表示画面の表示例を示す図である。ここで、出力端子nに接続されているディスプレイをディスプレイ(n)とする。
図5に示すように、ディスプレイ111毎に(すなわち出力端子137毎に)異なるテストパターン画像が表示されている。
【0044】
次に、初期調整動作時において、コントローラ140は、各ディスプレイ111にテストパターン画像を表示させた状態で、撮像装置120に対して、マルチディスプレイ110の表示画面を撮像させるための制御信号を出力する。撮像装置120は、コントローラ140からの制御信号にしたがい、テストパターン画像を表示したマルチディスプレイ110の表示画面(例えば、
図5参照)を撮像し、撮像画像のデータをコントローラ140に送信する。つまり、撮像装置120は、マルチディスプレイ110の表示画面を撮像することで、各ディスプレイ111に表示されているテストパターン画像を撮像する。
【0045】
次に、コントローラ140(すなわち、制御部141)は、撮像装置120から受信した撮像画像のデータを解析し、各出力端子137がどのディスプレイ111に接続されているか及びディスプレイ111間の相対的な配置関係を検出する。例えば、コントローラ140は、
図5に示すような表示画面を撮像した撮像画像のデータを受信した場合、出力端子1が左端列の上側のディスプレイ1に接続され、出力端子2が左端列の下側のディスプレイ2に接続されていることを検出できる。また、コントローラ140は、撮像画像のデータから各ディスプレイ111の相対的な位置関係(配置)を認識できる。つまり、コントローラ140は、撮像装置120でマルチディスプレイ110の表示画面を撮像することで、各ディスプレイ111の配置を認識することができる。
【0046】
そして、コントローラ140は、撮像画像のデータの解析結果にしたがい、マルチウィンドウプロセッサ130の画像処理部133を制御するための制御情報を決定する。また、コントローラ140は、撮像画像のデータの解析結果にしたがい、ディスプレイ配置情報50(
図7参照)を設定する。ディスプレイ配置情報50は、コントローラ140のユーザーインターフェース画面上におけるディスプレイ111の位置を規定する情報である。ユーザーは、ユーザーインターフェース画面上において、入力映像信号に基づく映像の配置を設定することができる。
【0047】
ここで、ユーザーインターフェース画面(以下「UI画面」という)について説明する。UI画面は、ユーザーが、入力映像信号による映像を各ディスプレイ111に配置するための画面である。UI画面は、コントローラ140の制御部141によって表示部143に表示される。ユーザーは、表示部143に表示されたUI画面上で、各ディスプレイ111の配置を確認しながら入力映像信号による映像をマルチディスプレイ110上に配置することができる(詳細は後述)。
【0048】
図6は、実施の形態1におけるディスプレイオブジェクト310が配置されたUI画面の例を示す図である。
図6に示すように、UI画面は、所定の面積を有するキャンパス領域300と、ディスプレイオブジェクト310とを含む。ディスプレイオブジェクト310とは、UI画面上において、ディスプレイ111を示すオブジェクトのことである。ディスプレイオブジェクト310は、キャンパス領域300上に、コントローラ140(制御部141)による撮像画像のデータの解析結果(すなわち、ディスプレイの検出結果)に基づき配置される。このようなUI画面を参照することにより、ユーザーは各ディスプレイ111の配置を容易に確認することができる。
【0049】
図7は、実施の形態1におけるディスプレイ配置情報50の構成例を示す図である。ディスプレイ配置情報50は、キャンパス領域300上におけるディスプレイオブジェクト310の配置を規定している。
図7に示すように、複数のディスプレイオブジェクト310それぞれに対するキャンパス領域300上でのX座標、Y座標および回転角度が、撮像画像のデータから検出され、ディスプレイ配置情報50として管理される。ディスプレイ配置情報50は、コントローラ140(制御部141)により、テストパターン画像の撮像画像のデータを解析することにより生成され、データ記憶部147に格納される。つまり、コントローラ140は、テストパターン画像の撮像画像のデータを解析し、各ディスプレイ111の位置(X、Y座標)、回転角度を検出し、検出結果を示す情報をディスプレイ配置情報50としてデータ記憶部147に格納する。マルチウィンドウプロセッサ130は、このディスプレイ配置情報50を、入力映像信号に基づく映像を各ディスプレイ111に配置するための制御パラメータとして使用する。ディスプレイ配置情報50である制御パラメータの値は、ユーザーによって手動で修正されることも可能である。すなわち、ユーザーは、コントローラ140の操作部145を操作することで、ディスプレイ配置情報50である制御パラメータの値を変更することができる。
【0050】
図6に示すように、ディスプレイオブジェクト310が配置されたUI画面を用いて、ユーザーは入力映像信号に基づく映像をディスプレイ111へ配置する(割り当てる)ことができる。以下、UI画面を用いたディスプレイ111に対する入力映像信号に基づく映像の配置について説明する。
【0051】
図8は、実施の形態1におけるディスプレイオブジェクト310に入力信号オブジェクト350を重ねて配置したUI画面の例を示す図である。
図8に示すように、UI画面上で、キャンパス領域300上に配置されたディスプレイオブジェクト310に入力映像信号による映像(すなわち、入力映像1~3)を重ねて配置できる。入力信号オブジェクト350とは、キャンパス領域300上に配置された入力映像1~3のことである。このようにディスプレイオブジェクト310に、入力信号オブジェクト350である入力映像1~3を重ねて配置することにより、マルチディスプレイ110の表示画面上での入力映像1~3の表示位置を設定できる。
【0052】
ユーザーは、入力信号オブジェクト350を、ドラッグアンドドロップのような操作でキャンパス領域300上に配置できる。また、ユーザーは、UI画面上で操作部145を操作して、入力信号オブジェクト350の位置、入力信号オブジェクト350のサイズ(横幅、縦幅)の設定を任意に変更することが可能である。
図8では、入力映像1、入力映像2、入力映像3それぞれに対する入力信号オブジェクト350が、各ディスプレイ111のディスプレイオブジェクト310に重ねて配置されている。
【0053】
図9は、実施の形態1における入力映像配置情報60の構成例を示す図である。入力映像配置情報60は、UI画面に配置された入力信号オブジェクト350のUI画面上における配置位置を示す。また、入力映像配置情報60は、入力信号オブジェクト350すなわち入力映像1~3に関する、キャンパス領域300上のX座標、Y座標、サイズ(横幅、縦幅)および回転情報を含む。
図9は、
図8に示すように、入力映像1~3がキャンパス領域300上に対して配置されたときの入力映像配置情報60の各パラメータの値を示している。入力映像配置情報60は、マルチウィンドウプロセッサ130の画像処理部133において、入力映像を配置するための制御パラメータとして使用される。入力映像配置情報60のパラメータの値はユーザーにより手動で変更されることも可能である。すなわち、ユーザーは、コントローラ140の操作部145を操作することで、入力映像配置情報60である制御パラメータの値を変更することができる。
【0054】
図8に示すように各ディスプレイオブジェクト310に対して入力映像1~3が配置されている場合、ディスプレイ1に該当する位置には入力映像1の一部が切り出されて配置される。ディスプレイ4に該当する位置には、入力映像1と入力映像2それぞれの一部が切り出されて配置される。また、ディスプレイ6に該当する位置には、入力映像2と入力映像3それぞれの一部が切り出されて配置される。
【0055】
ディスプレイ配置情報50と入力映像配置情報60とが設定されると、コントローラ140は、ディスプレイ配置情報50と入力映像配置情報60を含む制御信号を、マルチウィンドウプロセッサ130に送信する。マルチウィンドウプロセッサ130において、制御部134は、コントローラ140からの制御信号に基づき制御パラメータを生成し、画像処理部133に送信する。
【0056】
具体的には、制御部134は、入力信号オブジェクト350の形状、サイズから入力映像1~3に対する拡大率または縮小率を求める。また、制御部134は、ディスプレイオブジェクト310と入力信号オブジェクト350との重なり領域を検出する。
図10は、実施の形態1におけるディスプレイ(n)に対する入力映像1、2の割り当て処理を説明するための図である。例えば、
図10に示すように、ディスプレイ(n)のディスプレイオブジェクト310nの領域に対して、入力映像1の入力信号オブジェクト351と入力映像2の入力信号オブジェクト352が配置されている場合について説明する。まず、制御部134は、ディスプレイオブジェクト310nと入力信号オブジェクト351、352それぞれとの重なり領域R1、R2を検出する。そして、制御部134は、領域R1、R2から、入力映像1,2中の切り出し位置、切り出しサイズを決定する。
【0057】
以上が、ディスプレイ(n)に対する入力映像1、2の割り当て処理である。制御部134は、ディスプレイ毎に、ディスプレイに配置する入力映像について、拡大率/縮小率、切り出し位置、切り出しサイズ、ディスプレイ上の配置位置、入力映像の回転角度、等の情報を、制御パラメータとして画像処理部133に送信する。
【0058】
画像処理部133は、制御部134から受信した制御パラメータを内部に保持する。以上により、マルチディスプレイシステム10における調整動作を終了する。
【0059】
その後の動作については、マルチディスプレイシステム10における通常の映像表示動作において説明したとおりである。すなわち、画像処理部133は、複数の入力端子131を介して入力された入力映像信号と制御パラメータに基づいて各出力端子137(各ディスプレイ111)に出力する出力映像信号を生成する。生成された出力映像信号は、各出力端子137を介して各ディスプレイ111に出力される。これにより、マルチディスプレイ110において、UI画面で設定したような配置で映像が表示される。
【0060】
例えば、
図10に示す例において、画像処理部133は、入力映像1に対する入力映像信号の拡大率/縮小率に基づき入力映像1を拡大/縮小し、拡大/縮小された入力映像1において領域R1に対応する部分を切り出す。同様に、画像処理部133は、入力映像2に対する入力映像信号の拡大率/縮小率に基づき入力映像2を拡大/縮小し、拡大/縮小された入力映像2において領域R2に対応する部分を切り出す。そして、画像処理部133は、領域R1に対応して切り出した映像と、領域R2に対応して切り出した映像とを合成して、ディスプレイ(n)に出力する映像の出力映像信号(すなわち、出力端子nに出力する映像信号)を生成する。
【0061】
図11A~
図11Dは、
図6~
図9に示すようにディスプレイ配置情報50及び入力映像配置情報60が設定された場合の、マルチディスプレイ110における映像の表示結果の一例を示した図である。
【0062】
図11Aは、実施の形態1における入力映像信号1に基づく入力映像1を示す図である。
図11Bは、実施の形態1における入力映像信号2に基づく入力映像2を示す図である。
図11Cは、実施の形態1における入力映像信号3に基づく入力映像3を示す図である。
図11Dは、各ディスプレイ111に入力映像1~3が割り当てられた場合のマルチディスプレイ110の表示例を示す図である。マルチウィンドウプロセッサ130の画像処理部133は、制御部134から入力される制御パラメータに基づき、入力映像1~3の切り出し、拡大/縮小、回転処理を行う。つまり、画像処理部133は、制御部134から入力される制御パラメータに基づき、入力映像信号1~3が示す入力映像1~3の切り出し、拡大/縮小、回転処理を行って、出力映像信号を生成する。生成された出力映像信号は、各ディスプレイ111に出力される。各ディスプレイ111は、入力される出力映像信号に基づき、映像を表示する。これにより、
図11Dに示すように、マルチウィンドウプロセッサ130と、各ディスプレイ111の入力端子との接続に整合性がとれた映像が、マルチディスプレイ110に表示される。つまり、全体としてマルチディスプレイ110上に画像を正規に表示することができる。
【0063】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態のマルチディスプレイシステム10(画像表示システムの一例)は、任意のレイアウトで配置された複数のディスプレイ111(表示装置の一例)と、複数の入力映像信号が入力され、複数の入力映像信号から、レイアウトに応じた出力映像信号をディスプレイ111毎に生成する画像処理部133と、複数の異なるテストパターン画像を示すテストパターン信号を生成するテストパターン生成部135(パターン信号生成部の一例)と、出力映像信号及びテストパターン信号が入力され、出力映像信号及びテストパターン信号のいずれかを選択して出力するセレクタ136(セレクタの一例)と、複数のディスプレイ111に表示されたテストパターン画像を撮像する撮像装置120(撮像装置の一例)と、撮像装置120で撮像された撮像画像を解析し、解析結果に基づいて、画像処理部133を制御するための制御情報を生成するコントローラ140(制御装置の一例)と、を備える。
【0064】
以上の構成により、本実施の形態におけるマルチディスプレイシステム10は、テストパターン画像を撮像した画像に基づき複数のディスプレイ111の配置を認識し、それに応じてディスプレイ111毎に出力映像信号を生成する。つまり、マルチディスプレイシステム10は、自動で各ディスプレイ111の配置を認識し、各ディスプレイ111の配置に応じて入力映像信号を制御し、出力映像信号を生成する。生成された出力映像信号は、各ディスプレイ111に出力される。このような構成によれば、マルチウィンドウプロセッサ130の出力端子137が所定のディスプレイ111に接続されていない場合であっても、自動で所定のディスプレイ111に出力映像信号が出力される。これにより、ユーザーは、ディスプレイ111に対してマルチウィンドウプロセッサ130のケーブルを接続する際に、出力映像信号の接続先を意識する必要がなく、ケーブルの付け替え等の作業を行う必要がない。よって、マルチディスプレイシステム10において各ディスプレイ111の接続に関する設定が容易となる。
【0065】
また、コントローラ140は、解析結果に基づいて、ディスプレイ111を示すディスプレイオブジェクト310(第1のオブジェクトの一例)が表示されたUI画面を表示する(
図8参照)。このUI画面を参照することで、ユーザーは各ディスプレイ111の配置を容易に認識できる。
【0066】
また、コントローラ140は、解析結果に基づいて、UI画面上での各ディスプレイ111の配置を示すディスプレイ配置情報50(第1の配置情報の一例)を生成する。
【0067】
また、ディスプレイ配置情報50は、UI画面上でのディスプレイオブジェクト310(すなわちディスプレイ111)の位置及び回転角度をそれぞれ示す情報を含む。ユーザーは、このようなディスプレイ配置情報50を参照することで、各ディスプレイ111の位置や回転角度を認識できる。
【0068】
また、ディスプレイ配置情報50はユーザーにより変更できる。
【0069】
また、コントローラ140は、ユーザー操作にしたがい、UI画面上において入力映像信号に基づく映像を示す入力信号オブジェクト350(第2のオブジェクトの一例)を配置する。さらに、コントローラ140は、入力信号オブジェクト350の配置に基づき、UI画面上での入力映像信号に基づく映像の配置を示す入力映像配置情報60(第2の配置情報の一例)を生成する。これにより、ユーザーはUI画面上で自由に入力信号オブジェクト350を配置することができる。
【0070】
また、入力映像配置情報60は、UI画面上での入力信号オブジェクト350の位置、大きさ及び回転角度をそれぞれ示す情報を含む。これにより、ユーザーは、この入力映像配置情報60を参照することで、入力映像信号に基づく映像の配置、大きさ、回転角度を認識できる。
【0071】
画像処理部133は、UI画面上でのディスプレイオブジェクト310と、入力信号オブジェクト350との間の相対的な位置関係及び大きさに基づき、各ディスプレイ111に対する出力映像信号を生成する。これにより、ユーザーはUI画面上にディスプレイオブジェクト310と入力信号オブジェクト350を所望の位置に配置するだけで、各ディスプレイ111に対する出力映像を容易に設定できる。
【0072】
(実施の形態2)
図12は、実施の形態2におけるマルチディスプレイシステム10bの構成を示す図である。本実施の形態のマルチディスプレイシステム10bの構成、動作は、基本的に実施の形態1のものと同様である。実施の形態2におけるマルチディスプレイシステム10bは、VoIPのようなネットワーク技術を利用し、複数の出力映像信号を重畳して1つのケーブルを介して各ディスプレイ111に送信する点で、実施の形態1におけるマルチディスプレイシステム10と異なる。具体的には、
図12に示すように、マルチディスプレイ110の各ディスプレイ111と、マルチウィンドウプロセッサ130bとは、通信装置200を介してネットワーク接続される。通信装置200は例えばHUBのようなネットワーク機器である。また、マルチウィンドウプロセッサ130bは、複数の出力映像信号を重畳した1つのケーブルを介して、通信装置200に接続されている。
【0073】
図13は、実施の形態2におけるマルチウィンドウプロセッサ130bの構成を示す図である。マルチウィンドウプロセッサ130bは、セレクタ136から出力された複数の信号(テストパターン信号または出力映像信号)を1つのケーブルに重畳して伝送する画像送信部138を備える。なお、複数のディスプレイ111のそれぞれに対してIPアドレスが割り当てられている。
【0074】
初期調整動作時において、セレクタ136により、テストパターン生成部135からのテストパターン信号が選択され、画像送信部138に出力される。画像送信部138は、入力されたテストパターン信号に対して、各ディスプレイ111のIPアドレスを付加して通信装置200に出力する。通信装置200は、IPアドレスが付加されたテストパターン信号を、各ディスプレイ111にネットワークを介して送信する。各ディスプレイ111は、通信装置200から送信されるテストパターン信号のうち、自己のIPアドレスと一致するIPアドレスを有するテストパターン信号を受信する。これにより、各ディスプレイ111には、テストパターン信号に基づいたテストパターン画像が表示される。
【0075】
撮像装置120は、コントローラ140からの制御信号にしたがい、上記テストパターン画像を表示したマルチディスプレイ110を撮像し、撮像画像のデータをコントローラ140に送信する。コントローラ140は、このテストパターン画像の撮像画像のデータに基づき、ディスプレイ配置情報50を生成する。また、コントローラ140は、UI画面上に配置された入力信号オブジェクト350の配置に基づき、入力映像配置情報60を生成する。
【0076】
その後、コントローラ140は、ディスプレイ配置情報50及び入力映像配置情報60を含む制御信号をマルチウィンドウプロセッサ130bに送信する。
【0077】
通常の映像表示動作時には、マルチウィンドウプロセッサ130bの画像処理部133は、コントローラ140から受信する制御信号に基づき各ディスプレイ111に出力する出力映像信号を生成する。生成された出力映像信号は、セレクタ136に出力される。セレクタ136は、画像処理部133からの出力映像信号を選択し画像送信部138に出力する。
【0078】
画像送信部138は、画像処理部133から入力されたディスプレイ111毎の出力映像信号に対して、各ディスプレイ111のIPアドレスを付加して通信装置200に出力する。通信装置200は、IPアドレスが付加された出力映像信号を、各ディスプレイ111にネットワークを介して送信する。各ディスプレイ111は、通信装置200から送信される出力映像信号のうち、自己のIPアドレスと一致するIPアドレスを有する出力映像信号を受信する。これにより、各ディスプレイ111には、それぞれの出力映像信号に基づいた画像が表示される。
【0079】
以上のように、本実施の形態のマルチディスプレイシステム10bは、セレクタ136から出力映像信号及びテストパターン信号が入力され、入力された出力映像信号及びテストパターン信号にIPアドレスを付加して送信する画像送信部138を備える。ディスプレイ111は、画像送信部138から、IPアドレスが付加された出力映像信号及びテストパターン信号を受信する。そして、ディスプレイ111は、ディスプレイ111のIPアドレスと一致するIPアドレスを有する、受信した出力映像信号及びテストパターン信号に基づいた画像を表示する。
【0080】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1、2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態1、2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0081】
上記の実施の形態において、
図1、
図5では、マルチディスプレイ110における各ディスプレイ111のレイアウトの一例を示しており、ディスプレイ111のレイアウトはこれに限定されない。
【0082】
上記の実施の形態において、制御部134の機能を、画像処理部133またはコントローラ140で実行させるようにしても良い。
【0083】
また、制御装置で作成した制御情報を元に、入力映像信号を自動で補正してもよい。
【0084】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0085】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0086】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示は、複数の表示装置で1つの画面を構成するマルチディスプレイシステムに有用である。
【符号の説明】
【0088】
10,10b マルチディスプレイシステム(画像表示システム)
50 ディスプレイ配置情報
60 入力映像配置情報
100 映像出力装置
110 マルチディスプレイ
111 ディスプレイ(表示装置)
120 撮像装置
130,130b マルチウィンドウプロセッサ
131 入力端子
132 フレームメモリ
133 画像処理部
134,141 制御部
135 テストパターン生成部
136 セレクタ
137 出力端子
138 画像送信部
140 コントローラ(制御装置)
200 通信装置
300 キャンパス領域
310,310n ディスプレイオブジェクト
350,351,352 入力信号オブジェクト