(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】生体検知装置、生体認証装置、コンピュータプログラム及び生体検知方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230814BHJP
G06V 40/40 20220101ALI20230814BHJP
【FI】
G06T7/00 510B
G06V40/40
(21)【出願番号】P 2019117379
(22)【出願日】2019-06-25
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】馬場 昭
(72)【発明者】
【氏名】上松 晴信
(72)【発明者】
【氏名】奥井 宣広
(72)【発明者】
【氏名】三宅 優
(72)【発明者】
【氏名】西垣 正勝
(72)【発明者】
【氏名】大木 哲史
(72)【発明者】
【氏名】杉本 彩歌
【審査官】小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-078039(JP,A)
【文献】特開2015-082195(JP,A)
【文献】Diogo Caetano Garcia et al,Face-Spoofing 2D-Detection Based on Moire-Pattern Analysis,IEEE Transactions on Information Forensics and Security,米国,2015年03月09日,Volume: 10, Issue: 4,p778 - 786,https://ieeexplore.ieee.org/document/7056504
【文献】竹久 達也 他3名,薄型表示装置を用いた偽生体提示攻撃の検出性能評価,電子情報通信学会技術研究報告,Vol.114 No.251,2014年10月09日,p55-59
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06V 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力部と、
前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出部と、
前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定部と、
を備え
、
前記判定部は、前記相関スコアの平均値と前記閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する、
生体検知装置。
【請求項2】
被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力部と、
前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出部と、
前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定部と、
を備える生体検知装置
であって、
前記閾値の決定に使用された撮像画像の取得条件データを記憶する取得条件データ記憶部と、
前記取得条件データに基づいて、前記被写体を撮像する撮像部に対する撮像設定データを供給する撮像制御部と、
をさらに備える生体検知装置。
【請求項3】
前記相関算出対象画像は、前記撮像画像を、水平方向又は垂直方向のいずれか一方向にずらした画像である、
請求項1
又は2のいずれか1項に記載の生体検知装置。
【請求項4】
前記相関算出対象画像は、前記撮像画像を、水平方向と垂直方向の両方向にずらした画像である、
請求項1
又は2のいずれか1項に記載の生体検知装置。
【請求項5】
被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力部と、
前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出部と、
前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定部と、
前記撮像画像を使用して本人認証処理を実行する認証部と、
前記本人認証処理に使用される本人登録画像と前記本人登録画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出し、当該算出した相関スコアに基づいて前記閾値を決定する閾値決定部と、
を備える生体認証装置。
【請求項6】
コンピュータに、
被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力ステップと、
前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出ステップと、
前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム
であって、
前記判定ステップは、前記相関スコアの平均値と前記閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する、
コンピュータプログラム。
【請求項7】
コンピュータに、
被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力ステップと、
前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出ステップと、
前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記閾値の決定に使用された撮像画像の取得条件データを記憶する取得条件データ記憶ステップと、
前記取得条件データに基づいて、前記被写体を撮像する撮像部に対する撮像設定データを供給する撮像制御ステップと、
をさらに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
撮像画像入力部が、被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力ステップと、
相関スコア算出部が、前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出ステップと、
判定部が、前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定ステップと、
を含
み、
前記判定ステップは、前記相関スコアの平均値と前記閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する、
生体検知方法。
【請求項9】
撮像画像入力部が、被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力ステップと、
相関スコア算出部が、前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出ステップと、
判定部が、前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定ステップと、
を含む生体検知方法であって、
取得条件データ記憶部が、前記閾値の決定に使用された撮像画像の取得条件データを記憶する取得条件データ記憶ステップと、
撮像制御部が、前記取得条件データに基づいて、前記被写体を撮像する撮像部に対する撮像設定データを供給する撮像制御ステップと、
をさらに含む生体検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体検知装置、生体認証装置、コンピュータプログラム及び生体検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本人確認に利用される生体認証技術として例えば特許文献1に記載される生体検知装置が知られている。特許文献1に記載される生体検知装置では、撮影手段によって撮影された被検体の時間的に連続する複数の画像の中から被検体を構成する特定の部分を認識し、認識された特定の部分についての特定部分情報と実際の生体における該当部分についての生体情報とを比較し、被検体が生体であるか否かを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の生体検知装置では、被検体を一定時間撮影する必要があるので、生体検知結果が出るまでに時間がかかる。また、複数の画像を処理する必要があるので、情報処理の負荷が大きい、データ保存量が多いなどの問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを簡易に検知することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力部と、前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出部と、前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記相関スコアの平均値と前記閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する、生体検知装置である。
本発明の一態様は、被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力部と、前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出部と、前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定部と、を備える生体検知装置であって、前記閾値の決定に使用された撮像画像の取得条件データを記憶する取得条件データ記憶部と、前記取得条件データに基づいて、前記被写体を撮像する撮像部に対する撮像設定データを供給する撮像制御部と、をさらに備える生体検知装置である。
本発明の一態様は、前記相関算出対象画像は、前記撮像画像を、水平方向又は垂直方向のいずれか一方向にずらした画像である、上記の生体検知装置である。
本発明の一態様は、前記相関算出対象画像は、前記撮像画像を、水平方向と垂直方向の両方向にずらした画像である、上記の生体検知装置である。
【0007】
本発明の一態様は、被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力部と、前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出部と、前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定部と、前記撮像画像を使用して本人認証処理を実行する認証部と、前記本人認証処理に使用される本人登録画像と前記本人登録画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出し、当該算出した相関スコアに基づいて前記閾値を決定する閾値決定部と、を備える生体認証装置である。
【0008】
本発明の一態様は、コンピュータに、被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力ステップと、前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出ステップと、前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記判定ステップは、前記相関スコアの平均値と前記閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する、コンピュータプログラムである。
本発明の一態様は、コンピュータに、被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力ステップと、前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出ステップと、前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータに、前記閾値の決定に使用された撮像画像の取得条件データを記憶する取得条件データ記憶ステップと、前記取得条件データに基づいて、前記被写体を撮像する撮像部に対する撮像設定データを供給する撮像制御ステップと、をさらに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0009】
本発明の一態様は、撮像画像入力部が、被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力ステップと、相関スコア算出部が、前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出ステップと、判定部が、前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記相関スコアの平均値と前記閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する、生体検知方法である。
本発明の一態様は、撮像画像入力部が、被写体が撮像された撮像画像を受付ける撮像画像入力ステップと、相関スコア算出部が、前記撮像画像と前記撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する相関スコア算出ステップと、判定部が、前記相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記被写体が生体であるか否かを判定する判定ステップと、を含む生体検知方法であって、取得条件データ記憶部が、前記閾値の決定に使用された撮像画像の取得条件データを記憶する取得条件データ記憶ステップと、撮像制御部が、前記取得条件データに基づいて、前記被写体を撮像する撮像部に対する撮像設定データを供給する撮像制御ステップと、をさらに含む生体検知方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを簡易に検知することを図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る生体検知システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る生体検知装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る生体検知方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態に係る相関スコア算出方法の説明図である。
【
図5】第1実施形態に係る相関スコア算出方法の説明図である。
【
図6】第2実施形態に係る生体検知装置の構成例を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係る生体検知方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図8】第3実施形態に係る生体認証システムの構成例を示すブロック図である。
【
図9】第3実施形態に係る生体認証装置の構成例を示すブロック図である。
【
図10】第3実施形態に係る生体認証装置の構成例を示すブロック図である。
【
図11】第4実施形態に係る生体認証装置の構成例を示すブロック図である。
【
図12】第5実施形態に係る生体検知装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る生体検知システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、生体検知装置1と、ユーザ端末2a,2bとは、通信ネットワークNWを介して通信を行う。通信ネットワークNWは、例えば、携帯電話ネットワークや無線LAN(Local Area Network)等の無線通信ネットワーク、インターネットなどである。
【0014】
ユーザ端末2a,2b(以下、特に区別しないときは「ユーザ端末2」と称する)は、例えば、スマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯通信端末装置であってもよく、又は、据置き型の通信端末装置(例えば、据置き型のパーソナルコンピュータ等)であってもよい。
【0015】
ユーザ端末2aは、生体撮像画像Paを保持する。生体撮像画像Paは、生体が被写体として撮像された撮像画像である。生体撮像画像Paは、ユーザ端末2aが備えるカメラ(撮像部)で撮像された撮像画像であってもよく、又は、ユーザ端末2aとは別個のカメラ(撮像部)で撮像された撮像画像であってもよい。ユーザ端末2aは、生体撮像画像Paを生体検知装置1へ送信する。
【0016】
ユーザ端末2bは、非生体撮像画像Pbを保持する。非生体撮像画像Pbは、生体ではない物が被写体として撮像された撮像画像である。非生体撮像画像Pbとして、例えば、生体が被写体として撮像された撮像画像(生体撮像画像)が印刷された印刷物が撮像された撮像画像や、生体撮像画像が液晶表示装置等の表示装置に表示された表示画面が撮像された撮像画像などが挙げられる。生体撮像画像Pbは、ユーザ端末2bが備えるカメラ(撮像部)で撮像された撮像画像であってもよく、又は、ユーザ端末2bとは別個のカメラ(撮像部)で撮像された撮像画像であってもよい。ユーザ端末2bは、非生体撮像画像Pbを生体検知装置1へ送信する。
【0017】
生体検知装置1は、ユーザ端末2aから受信した生体撮像画像Paを生体検知対象の撮像画像にして、生体撮像画像Paに写っている被写体が生体であるか否かを検知する。また、生体検知装置1は、ユーザ端末2bから受信した非生体撮像画像Pbを生体検知対象の撮像画像にして、非生体撮像画像Pbに写っている被写体が生体であるか否かを検知する。
【0018】
図2は、第1実施形態に係る生体検知装置の構成例を示すブロック図である。
図2において、生体検知装置1は、撮像画像入力部11と、エッジ強調処理部12と、相関スコア算出部13と、判定部14と、を備える。生体検知装置1の各機能は、生体検知装置1が備えるCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)がコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、生体検知装置1として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、生体検知装置1は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。
【0019】
撮像画像入力部11は、生体検知対象の撮像画像を受付ける。生体検知対象の撮像画像は、生体撮像画像Paや非生体撮像画像Pbである。撮像画像入力部11は、受付けた生体検知対象の撮像画像をエッジ強調処理部12へ出力する。
【0020】
エッジ強調処理部12は、撮像画像入力部11から出力された生体検知対象の撮像画像に対して、エッジ強調処理を実行する。エッジ強調処理部12は、エッジ強調処理として、例えば、ソーベルフィルタ(Sobel filter)を用いたエッジ検出(輪郭検出)を行う。なお、ソーベルフィルタ以外の他のエッジ検出方法を適用してもよい。例えば、「Canny法」、「Laplacian法」、「prewitt法」などのエッジ検出方法を適用してもよい。エッジ強調処理部12は、生体検知対象の撮像画像に対してエッジ強調処理を実行した結果のエッジ強調画像を相関スコア算出部13へ出力する。
【0021】
相関スコア算出部13は、エッジ強調処理部12から出力されたエッジ強調画像に対して、相関スコア算出処理を実行する。相関スコア算出処理では、エッジ強調画像と、当該エッジ強調画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する。
【0022】
本実施形態の一例として、相関スコアは、エッジ強調画像と相関算出対象画像との重複する領域における誤差(輝度差の2乗和)である。この場合、相関スコアが大きい(誤差が大きい)ほど相関が低く、相関スコアが小さい(誤差が小さい)ほど相関が高い。
【0023】
ここで、
図4及び
図5を参照して、相関スコア算出方法を説明する。
図4及び
図5は、本実施形態に係る相関スコア算出方法の説明図である。
図4及び
図5の例は、生体認証として掌紋認証を行う場合の例である。また、生体検知として、掌紋認証において本人確認用の入力画像に使用される撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを検知する場合の例である。
【0024】
図4には、エッジ強調画像Peが示される。
図4の例では、エッジ強調画像Peは、X軸方向(水平方向)のサイズが300ピクセル(pixel)であり、Y軸方向(垂直方向)のサイズが300ピクセル(pixel)である。相関スコア算出部13は、エッジ強調画像Peからテンプレート画像Psを取得する。
図4の例では、テンプレート画像Psは、X軸方向(水平方向)のサイズが50ピクセルであり、Y軸方向(垂直方向)のサイズが50ピクセルである。また、
図4の例では、エッジ強調画像Peの中央部分から、テンプレート画像Psのサイズの画像領域を切り出してテンプレート画像Psとしている。テンプレート画像Psは、エッジ強調画像Peの一部である。
【0025】
図5には、相関スコアを算出する際におけるエッジ強調画像Peと相関算出対象画像Ptとの関係が示されている。
図5の例では、エッジ強調処理部12におけるテンプレート画像Psの元位置(
図5中、0[pixel])からX軸方向(水平方向)に10ピクセルだけテンプレート画像Psをずらした位置(
図5中、10[pixel])のものを最初の相関算出対象画像Pt_10とし、当該元位置からX軸方向(水平方向)に50ピクセルだけずらした位置(
図5中、50[pixel])のものまで、X軸方向(水平方向)に1ピクセルずつずらした各相関算出対象画像を対象にして、エッジ強調画像Peとの相関を示す相関スコアを算出する。したがって、相関算出対象画像Ptとして、相関算出対象画像Pt_10から相関算出対象画像Pt_50まで、X軸方向(水平方向)に1ピクセルずつずれた41個の相関算出対象画像Pt_10,Pt_11,Pt_12,・・・,Pt_49,Pt_50がある。
図5には、41個の相関算出対象画像Ptのうち、テンプレート画像Psを元位置からX軸方向(水平方向)に10ピクセルだけずらした最初の相関算出対象画像Pt_10と、テンプレート画像Psを元位置からX軸方向(水平方向)に20ピクセルだけずらした相関算出対象画像Pt_20と、テンプレート画像Psを元位置からX軸方向(水平方向)に30ピクセルだけずらした相関算出対象画像Pt_30と、テンプレート画像Psを元位置からX軸方向(水平方向)に50ピクセルだけずらした最後の相関算出対象画像Pt_50とが例示されている。
【0026】
相関スコア算出部13は、41個の相関算出対象画像Pt_10,Pt_11,Pt_12,・・・,Pt_49,Pt_50のそれぞれについて、エッジ強調画像Peとの相関を示す相関スコアを算出する。具体的には、相関スコアとして、41個の相関算出対象画像Pt_10,Pt_11,Pt_12,・・・,Pt_49,Pt_50のそれぞれについて、エッジ強調画像Peと重複する領域における誤差(輝度差の2乗和)を算出する。
【0027】
なお、
図5の例では、相関算出対象画像Ptは、テンプレート画像PsをX軸方向(水平方向)にずらした画像であるが、ずらす方向はこれに限定されない。相関算出対象画像Ptは、テンプレート画像PsをY軸方向(垂直方向)にずらした画像であってもよい。又は、相関算出対象画像Ptは、テンプレート画像PsをX軸方向(水平方向)とY軸方向(垂直方向)の両方向にずらした画像であってもよい。
【0028】
また、テンプレート画像Psのサイズ及びエッジ強調画像Peからテンプレート画像Psを切り出す画像領域は、エッジ強調画像Peのサイズに応じて決定してもよい。なお、エッジ強調画像の全部をテンプレート画像としてもよい。
【0029】
説明を
図2に戻す。
相関スコア算出部13は、相関スコア算出処理の実行結果の相関スコアを判定部14へ出力する。
【0030】
判定部14は、相関スコア算出部13から出力された相関スコアと、所定の閾値との比較の結果に基づいて、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを判定する。以下に、判定方法の例を示す。
【0031】
[判定方法の例1]
判定方法の例1では、判定部14は、相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、相関が比較的高い相関スコアの出現が周期性を有する場合に、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体ではないと判定する。具体的に
図5の例では、41個の相関算出対象画像Pt_10,Pt_11,Pt_12,・・・,Pt_49,Pt_50のそれぞれについて相関スコア「誤差(輝度差の2乗和)」が算出される。それら41個の各相関スコアと、所定の閾値との比較の結果から、閾値未満(相関が比較的高い)である相関スコアが一定のピクセル数の間隔で且つ一定の回数以上連続して出現する場合に、相関が比較的高い相関スコアの出現が周期性を有すると判断し、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体ではないと判定する。なお、周期性として多少のゆらぎを許容するために、「(一定のピクセル数)±ゆらぎ幅」の間隔を周期性の判断に適用してもよい。
【0032】
また、判定部14は、相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、相関が比較的高い相関スコアの出現が周期性を有する場合以外の場合には、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体であると判定してもよい。
【0033】
判定方法の例1によれば、相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、相関が比較的高い相関スコアの出現が周期性を有する場合、生体検知対象の撮像画像に干渉縞(モアレ)が存在すると判断することができる。生体が被写体として撮像された生体撮像画像Paには、モアレが発生しない。一方、生体ではない物が被写体として撮像された非生体撮像画像Pbでは、モアレが発生する可能性がある。例えば、印刷物を被写体としてカメラで撮像すると、モアレが発生することがある。これは、印刷物の紙面にはインク粒子が規則正しく並んでおり、またカメラも撮像素子が規則正しく並んでいる構造となっているためである。また、液晶表示装置等の表示装置に表示された表示画面を被写体としてカメラで撮像すると、モアレが発生することがある。これは、表示装置の表示画面上には発光素子が規則正しく並んでおり、またカメラも撮像素子が規則正しく並んでいる構造となっているためである。したがって、撮像画像からモアレが検知された場合には、当該撮像画像に写っている被写体が生体ではないと判定することができる。このことから、判定方法の例1では、相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、相関が比較的高い相関スコアの出現が周期性を有する場合に、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体ではないと判定する。
【0034】
一般に、カメラで撮像された撮像画像を本人確認用の入力画像として使用する生体認証におけるなりすまし攻撃では、攻撃者が、生体撮像画像が印刷された印刷物や、生体撮像画像が液晶表示装置等の表示装置に表示された表示画面をカメラで撮像した撮像画像を使用することが多い。判定方法の例1によれば、そのようななりすまし攻撃に対して、本人確認用の入力画像からモアレを検知することによって生体検知結果「不合格」とすることにより防御することができる。
【0035】
また、判定方法の例1によれば、ユーザ毎や生体検知の機会毎に生体検知対象の撮像画像の品質が異なっていても、モアレの検知によって、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体ではないと判定することができる。このことは、生体検知対象の撮像画像の品質に影響を及ぼすカメラの解像度や撮影時の明るさ(例えば、フラッシュ等の撮影用ライトの点灯の有無)などの撮影環境がユーザ毎や生体検知の機会毎に異なっていても、本実施形態を適用することができるという格別の効果を奏する。
【0036】
[判定方法の例2]
判定方法の例2では、判定部14は、相関が最も高い相関スコアと所定の閾値との比較の結果に基づいて、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを判定する。撮像画像にモアレが存在する場合、相関が最も高い相関スコアは、モアレが存在しない撮像画像よりも顕著に相関の高さを示すと考えられる。このことから、判定方法の例2では、相関が最も高い相関スコアと所定の閾値との比較の結果、両者に一定以上の差があり且つ相関が比較的高い場合には被写体が生体ではないと判定し、そうではない場合には被写体が生体であると判定する。
【0037】
[判定方法の例3]
判定方法の例3では、判定部14は、相関スコアの平均値と所定の閾値との比較の結果に基づいて、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを判定する。撮像画像にモアレが存在する場合、相関スコアの平均値は、モアレが存在しない撮像画像よりも顕著に相関の高さを示すと考えられる。このことから、判定方法の例3では、相関スコアの平均値と所定の閾値との比較の結果、相関が比較的高い場合には被写体が生体ではないと判定し、そうではない場合には被写体が生体であると判定する。
【0038】
以上が判定方法の例の説明である。説明を
図2に戻す。
判定部14は、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かの判定結果を出力する。
【0039】
次に
図3を参照して、本実施形態に係る生体検知方法の手順を説明する。
図3は、本実施形態に係る生体検知方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0040】
(ステップS11) 撮像画像入力部11が、生体検知対象の撮像画像を受付ける。
【0041】
(ステップS12) エッジ強調処理部12が、生体検知対象の撮像画像に対してエッジ強調処理を実行する。
【0042】
(ステップS13) 相関スコア算出部13が、エッジ強調処理部12によるエッジ強調処理の実行結果のエッジ強調画像に対して、エッジ強調画像と、当該エッジ強調画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する。
【0043】
(ステップS14) 判定部14が、相関スコア算出部13による相関スコア算出処理の実行結果の相関スコアと、所定の閾値との比較の結果に基づいて、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを判定する。
【0044】
(ステップS15) 判定部14が、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かの判定結果を出力する。
【0045】
上述した第1実施形態によれば、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを簡易に検知することができるという効果が得られる。具体的には、1個の生体検知対象の撮像画像のみで生体検知を行うことができるので、生体検知に必要な情報(生体検知対象の撮像画像)を得るまでの時間が短くて済む、情報処理の負荷が小さくて済む、データ保存量が少なくて済む等の効果が得られる。このため、情報処理能力が比較的小さい情報処理装置を利用して生体検知装置1を実現することができる。例えば、スマートフォンや組み込み機器などを利用して生体検知装置1を実現してもよい。
【0046】
なお、エッジ強調処理部12は、生体検知対象の撮像画像に対してエッジ強調処理を実行した結果のエッジ強調画像に対して、さらに2値化処理を実行してもよい。この場合、エッジ強調処理部12は、エッジ強調画像に対して2値化処理を実行した結果の2値化画像を相関スコア算出部13へ出力する。相関スコア算出部13は、エッジ強調処理部12から出力された2値化画像に対して、相関スコア算出処理を実行する。2値化画像に対して相関スコア算出処理を実行する場合、相関スコアは、2値化画像と相関算出対象画像との重複する領域における誤差として、輝度差の2乗和であってもよく、又は、輝度差の和であってもよい。
【0047】
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態における生体検知装置1の変形例である。
図6は、第2実施形態に係る生体検知装置の構成例を示すブロック図である。
図6において、
図2の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図6に示される生体検知装置1は、エッジ強調処理部12を備えない。このため、相関スコア算出部13は、撮像画像入力部11から出力された生体検知対象の撮像画像に対して、相関スコア算出処理を実行する。生体検知対象の撮像画像に対して相関スコア算出処理を実行する場合、相関スコアは、生体検知対象の撮像画像と相関算出対象画像との重複する領域における誤差として、例えば輝度差の2乗和である。
【0048】
図7は、本実施形態に係る生体検知方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0049】
(ステップS11) 撮像画像入力部11が、生体検知対象の撮像画像を受付ける。
【0050】
(ステップS13) 相関スコア算出部13が、生体検知対象の撮像画像と、当該撮像画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する。
【0051】
(ステップS14) 判定部14が、相関スコア算出部13による相関スコア算出処理の実行結果の相関スコアと、所定の閾値との比較の結果に基づいて、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを判定する。
【0052】
(ステップS15) 判定部14が、生体検知対象の撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かの判定結果を出力する。
【0053】
上述した第2実施形態によれば、エッジ強調処理が実行されないので、その分、生体検知にかかる時間を短縮することができる。また、情報処理の負荷を小さくすることができるので、情報処理能力がより小さい情報処理装置を利用して生体検知装置1を実現することができる。
【0054】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態に係る生体認証システムの構成例を示すブロック図である。
図8において、
図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図8において、生体認証装置5と、ユーザ端末2a,2bとは、通信ネットワークNWを介して通信を行う。ユーザ端末2aは、生体撮像画像Paを生体認証装置5へ送信する。ユーザ端末2bは、非生体撮像画像Pbを生体認証装置5へ送信する。
【0055】
生体認証装置5は、ユーザ端末2aから受信した生体撮像画像Paを生体検知対象の撮像画像にして、生体撮像画像Paに写っている被写体が生体であるか否かを検知する。また、生体認証装置5は、当該生体撮像画像Paを本人確認用の入力画像として生体認証に使用する。
【0056】
生体認証装置5は、ユーザ端末2bから受信した非生体撮像画像Pbを生体検知対象の撮像画像にして、非生体撮像画像Pbに写っている被写体が生体であるか否かを検知する。また、生体認証装置5は、当該非生体撮像画像Pbを本人確認用の入力画像として生体認証に使用する。
【0057】
図9、
図10は、第3実施形態に係る生体認証装置の構成例を示すブロック図である。
【0058】
[生体認証装置の構成例1]
図9を参照して、本実施形態に係る生体認証装置5の構成例1を説明する。
図9において、
図2の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図9において、生体認証装置5は、認証部51を備える。認証部51は、撮像画像入力部11がユーザ端末2から受付けた撮像画像(受付撮像画像)を本人確認用の入力画像に使用して本人認証処理を実行する。認証部51は、本人認証処理の実行結果の認証結果「本人である」又は「本人ではない」を出力する。
【0059】
図9に示される生体認証装置5では、認証部51には、受付撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かの判定結果が判定部14から入力される。認証部51は、当該判定結果が「生体である」の場合には本人認証処理を実行し、そうではない場合には本人認証処理を実行しない。これにより、認証部51による情報処理の負荷が軽減される。
【0060】
生体認証装置の構成例1によれば、生体検知に要する時間が生体認証に要する時間よりも短い場合に、生体認証の前処理として生体検知を行うことにより、全体的な処理の効率の向上を図ることができる。
【0061】
[生体認証装置の構成例2]
図10を参照して、本実施形態に係る生体認証装置5の構成例2を説明する。
図10において、
図2の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図10において、生体認証装置5は、認証部51を備える。認証部51は、撮像画像入力部11がユーザ端末2から受付けた撮像画像(受付撮像画像)を本人確認用の入力画像に使用して本人認証処理を実行する。認証部51は、本人認証処理の実行結果の認証結果「本人である」又は「本人ではない」を出力する。
【0062】
図10に示される生体認証装置5では、エッジ強調処理部12と相関スコア算出部13と判定部14とには、受付撮像画像を本人確認用の入力画像に使用して実行された本人認証処理の実行結果の認証結果「本人である」又は「本人ではない」が認証部51から入力される。エッジ強調処理部12は、当該認証結果が「本人である」の場合にはエッジ強調処理を実行し、そうではない場合にはエッジ強調処理を実行しない。相関スコア算出部13は、当該認証結果が「本人である」の場合には相関スコア算出処理を実行し、そうではない場合には相関スコア算出処理を実行しない。
【0063】
判定部14は、認証部51からの認証結果が「本人である」の場合には、相関スコア算出部13による相関スコア算出処理の実行結果の相関スコアと、所定の閾値との比較の結果に基づいて、受付撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを判定する。次いで、判定部14は、受付撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かの判定結果を出力する。この判定結果において、受付撮像画像に写っている被写体が生体である場合には最終認証結果「本人である」となり、一方、受付撮像画像に写っている被写体が生体ではない場合には最終認証結果「本人ではない」となる。
【0064】
判定部14は、認証部51からの認証結果が「本人ではない」の場合には、判定結果(最終認証結果)として「本人ではない」を出力する。
【0065】
生体認証装置の構成例2によれば、エッジ強調処理部12、相関スコア算出部13及び判定部14による情報処理の負荷が軽減される。また、生体認証に要する時間が生体検知に要する時間よりも短い場合に、生体認証の後処理として生体検知を行うことにより、全体的な処理の効率の向上を図ることができる。
【0066】
なお、上述した
図9の構成例1と
図10の構成例2とを任意に切り替えられるように、生体認証装置5を構成してもよい。
例えば、過去の生体検知結果や生体認証結果に基づいて、生体検知と生体認証のいずれの処理を先に実行するのかを切り替えてもよい。この一実施例として、前回の生体検知結果「OK(生体である)又はNG(生体ではない)」を記憶しておき、前回の生体検知結果がNGである場合には、生体認証処理よりも先に生体検知処理を実行する。これは、詐称者が何度か同じ方法で不正を繰り返すことが想定されるので、前回の生体検知結果がNGであった場合、再度、生体検知結果がNGになる可能性が高く、生体認証処理よりも先に生体検知処理を実行するほうが効率的であるためである。
【0067】
[第4実施形態]
第4実施形態は、第3実施形態における生体認証装置5の変形例である。
図11は、第4実施形態に係る生体認証装置の構成例を示すブロック図である。
図11において、
図9の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図11に示される生体認証装置5は、さらに閾値決定部71を備える。
【0068】
閾値決定部71は、認証部51において本人認証処理に使用される本人登録画像と当該本人登録画像の一部又は全部を一定間隔でずらした相関算出対象画像との相関を示す相関スコアを算出する。この相関スコアの算出方法は、相関スコア算出部13における相関スコアの算出方法と同じである。本人登録画像は、事前に、認証部51に保持されている。閾値決定部71は、当該算出した相関スコアに基づいて、判定部14が使用する閾値を決定する。例えば、相関が最も高い相関スコアに基づいて閾値を決定してもよい。例えば、相関が最も高い相関スコアを閾値に決定してもよい。例えば、相関スコアの平均値に基づいて閾値を決定してもよい。例えば、相関スコアの平均値を閾値に決定してもよい。
【0069】
なお、
図10に示される生体認証装置5に対しても同様に閾値決定部71を設けてもよい。
【0070】
[第5実施形態]
第5実施形態は、第1実施形態における生体検知装置1の変形例である。
図12は、第5実施形態に係る生体検知装置の構成例を示すブロック図である。
図12において、
図2の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図12に示される生体認証装置5は、さらに取得条件データ記憶部81と撮像制御部82とを備える。
【0071】
取得条件データ記憶部81は、判定部14が使用する閾値の決定に使用された撮像画像の取得条件データを記憶する。取得条件データは、撮像画像の品質に影響を及ぼすカメラの解像度や撮影時の明るさ(例えば、フラッシュ等の撮影用ライトの点灯の有無)などの撮影環境を示すデータである。
【0072】
撮像制御部82は、取得条件データ記憶部81に記憶される取得条件データに基づいて、被写体を撮像するカメラ(撮像部)に対する撮像設定データを供給する。撮像設定データは、例えば、カメラを備えるユーザ端末2へ送信される。これにより、ユーザ端末2は、撮像設定データに基づいて、自己のカメラにおける撮像画像の取得条件を設定する。
【0073】
なお、
図6に示される生体検知装置1に対しても同様に取得条件データ記憶部81及び撮像制御部82を設けてもよい。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0075】
上述した実施形態では、掌紋認証を例に挙げたが、撮像画像を使用する生体認証であれば適用可能である。例えば、指紋認証や顔認証などにも適用可能である。
【0076】
また、上述した実施形態では、掌紋認証等の生体認証において本人確認用の入力画像に使用される撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを検知することを例に挙げて説明したが、これに限定されない。被写体が生体であるか否かを検知する対象の撮像画像は、生体認証に使用される撮像画像に限定されず、任意の撮像画像に適用可能である。
【0077】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0078】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0079】
1…生体検知装置、2a,2b…ユーザ端末、11…撮像画像入力部、12…エッジ強調処理部、13…相関スコア算出部、14…判定部、5…生体認証装置、51…認証部、71…閾値決定部、81…取得条件データ記憶部、82…撮像制御部、NW…通信ネットワーク