(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】検査用面照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230814BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20230814BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230814BHJP
F21V 15/01 20060101ALI20230814BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20230814BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230814BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20230814BHJP
【FI】
F21S2/00 480
H01L33/60
F21V23/00 160
F21V15/01 350
G01N21/84 E
F21Y115:10 500
F21Y105:10
(21)【出願番号】P 2020107364
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】300074101
【氏名又は名称】株式会社レイマック
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】松本 直人
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2011/152082(JP,A1)
【文献】登録実用新案第3142499(JP,U)
【文献】再公表特許第2008/013097(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0146217(US,A1)
【文献】特開2016-076461(JP,A)
【文献】特開2007-279480(JP,A)
【文献】特開2019-021583(JP,A)
【文献】中国実用新案第205118736(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
F21V 23/00-99/00
H01L 33/60
G01N 21/84
F21Y 115/10
F21Y 105/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に複数個の発光素子が2次元配列されて表面実装された発光素子配列部と前記基板に形成された2個の電源端子部を有し、該2個の電源端子部の近傍であって前記基板の端部の一部に第1の切り欠きが形成された発光基板体と、
前記発光素子配列部の周辺に設けられ、下部の一部に第2の切り欠きが形成された反射鏡と、
2本の電源配線コードと、
を備え、
前記2本の電源配線コードは、
前記発光素子配列部から放射され前記反射鏡に反射されようとする光を妨げないように、前記反射鏡の前記第2の切り欠きと前記基板の前記第1の切り欠きを通って前記2個の電源端子部に接続されている検査用面照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査用面照明装置において、
前記第1の切り欠きは、前記基板の角部に形成されている検査用面照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検査用面照明装置において、
少なくとも1本の前記電源配線コードは、前記第1の切り欠きに位置する部分の一部が前記反射鏡の下面に接している検査用面照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を検査するために物品に面状の光を照射する検査用面照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場で生産された物品(製品)について、検査用照明装置により光を照射しカメラにより撮影して検査(欠陥、キズ、汚れ、異物などの外観検査)することが行われてきた。検査用照明装置の中には、複数個の発光素子(通常は、LED)が2次元配列された発光素子配列部を有する発光基板体を備えて、一定の均一性で面状の光を物品に照射するもの(検査用面照明装置)がある。
【0003】
例えば、特許文献1に示される検査用面照明装置は、物品である錠剤の全体に均一に面状の光を照射するものである。錠剤を透過した光は、カメラにより撮影され、それにより、錠剤の形状及び面積が基準データと比較されて欠陥品かどうかが判断される。また、特許文献2の例えば
図6に示される検査用面照明装置は、皮膜が表面に形成された物品に面状の光を照射するものである。物品を反射した光は、カメラにより撮影され、それにより、皮膜の膜厚むらが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-21805号公報
【文献】特開2013-108775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、検査用面照明装置は、それから放射される光の縁部では強度が低下して行くため、発光素子配列部の周辺に反射鏡を設けて一定の均一性が得られる面積を増大させるようにすることも行われる。また、通常は、発光基板体への外部からの電源の配線は、一般的な電源配線コードが用いられる。また、発光素子は、薄型の表面実装型であることも少なくない。こうした場合、光が所定の指向性で放射される高さ(基板上の高さ)が低いため、検査用面照明装置から放射される光の一定の均一性を広い範囲で保つには、電源の配線を行うことが容易ではない場合も起こる。
【0006】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄い表面実装型の発光素子を用いても、放射される光の一定の均一性を広い範囲で保ちつつ、電源の配線を容易に行うことができる検査用面照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の検査用面照明装置は、基板に複数個の発光素子が2次元配列されて表面実装された発光素子配列部と前記基板に形成された2個の電源端子部を有し、該2個の電源端子部の近傍であって前記基板の端部の一部に第1の切り欠きが形成された発光基板体と、前記発光素子配列部の周辺に設けられ、下部の一部に第2の切り欠きが形成された反射鏡と、2本の電源配線コードと、を備え、前記2本の電源配線コードは、前記発光素子配列部から放射され前記反射鏡に反射されようとする光を妨げないように、前記反射鏡の前記第2の切り欠きと前記基板の前記第1の切り欠きを通って前記2個の電源端子部に接続されている。
【0008】
請求項2に記載の検査用面照明装置は、請求項1に記載の検査用面照明装置において、前記第1の切り欠きは、前記基板の角部に形成されている。
【0009】
請求項3に記載の検査用面照明装置は、請求項1又は2に記載の検査用面照明装置において、少なくとも1本の前記電源配線コードは、前記第1の切り欠きに位置する部分の一部が前記反射鏡の下面に接している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の検査用面照明装置によれば、薄い表面実装型の発光素子を用いても、放射される光の一定の均一性を広い範囲で保ちつつ、電源の配線を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る検査用面照明装置の平面図である。
【
図2】同上の検査用面照明装置の
図1のA-Aで示した切断面で切断した断面図である。
【
図3】同上の検査用面照明装置の発光基板体の第1の切り欠きの近傍を拡大して示す斜視図であって、(a)が2本の電源配線コード等の図示を省略していないもの、(b)が2本の電源配線コード等の図示を省略したもの、である。
【
図4】同上の検査用面照明装置の発光基板体の回路構成を示す回路図である。
【
図5】同上の検査用面照明装置の発光基板体の第1の切り欠きの近傍を更に拡大して示す平面図であって、(a)が第1の切り欠きの縁部よりも内側で絶縁体が剥ぎ取られるようにしたもの、(b)が第1の切り欠きの縁部よりも外側で絶縁体が剥ぎ取られるようにしたもの、(c)が絶縁体の一部が反射鏡の下面に接するようにしたもの、である。
【
図6】光の実験結果を示す輝度分布図(電源の配線が行われている角部に対応する部分の輝度分布図)であって、(a)が本発明の実施形態に係る検査用面照明装置によるもの、(b)が比較用検査用面照明装置によるものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る検査用面照明装置1は、
図1に示すように、ハウジング2と発光基板体3と反射鏡4と2本の電源配線コード5A、5Bを備えている。また、検査用面照明装置1は、通常、
図2に示すような拡散板6を備えている。
図1では、図示の都合上、発光基板体3等の手前側に位置する拡散板6を透過して示している。また、
図1及び
図2(及び後述する
図3、
図5)では、後述する電流制限用の抵抗31bは図示を省略している。
【0013】
ハウジング2は、その内部に発光基板体3と反射鏡4が設けられている。ハウジング2は、様々な形状及び構造が可能である。ハウジング2は、側面から2本の電源配線コード5A、5Bを外部被覆体(シース)5C(
図3(a)参照)でまとめたケーブル5が出ている。ケーブル5の端部にはコネクタ5Dが取り付けられている。コネクタ5Dには、検査用面照明装置1の調光を制御する調光電源装置などが接続される。なお、
図3(及び後述する
図5)では、ハウジング2と拡散板6の図示を省略している。
【0014】
発光基板体3は、発光素子配列部31を有している。発光素子配列部31は、複数個の発光素子(通常は、LED)31aが2次元配列(
図1では、横(左右方向)8個で縦9個の2次元配列)されている。発光素子31aは、基板30に表面実装されている。発光素子31aは、その表面から所定の指向性で光を放射する。発光素子31aは、その厚みは特に限定されるものではないが、例えば、約0.25mm~約1mmのものである。なお、発光素子31aの具体的な個数及び配列は、検査用面照明装置1の仕様に合わせて様々なものが可能である。
【0015】
発光素子配列部31では、例えば、
図4に示すように、所定数の発光素子31aが電流制限用の抵抗31bとともに直列に接続され、その直列体が所定列だけ並列に接続される。発光素子31aの数は、特に限定されるものではなく、仕様に応じて決定される。
【0016】
また、発光基板体3は、
図3(b)及び
図4に示すように、基板30に形成された2個の電源端子部32A、32Bを有しており、それらに2本の電源配線コード5A、5Bが接続される。2個の電源端子部32A、32Bは、通常、基板30に形成された
図3(b)に示すようなランド、パッド、又はパターンの一部などである。電流は、一方の電源端子部32A、発光素子配列部31の発光素子31a、他方の電源端子部32Bの順に流れる(
図4参照)。検査用面照明装置1は、通常、この電流が流れる期間が調光電源装置などにより制御されることにより、調光される。
【0017】
また、発光基板体3は、基板30の端部の一部に第1の切り欠き33が形成されている(
図3(b)参照)。第1の切り欠き33は、2個の電源端子部32A、32Bの近傍に設けられている。第1の切り欠き33は、
図1においては、基板30の角部の1つに形成されているが、ここには限定されず、基板30の端部の中央部等でも可能であり、また、ケーブル5が複数個有る場合は、反射鏡4の後述する第2の切り欠き41とともに、複数個形成されるようにすることが可能である。
【0018】
反射鏡4は、発光素子配列部31の周辺に設けられている。詳細には、反射鏡4は、基板30の端部に沿ってその内側に立てられており、発光素子配列部31を囲っている。反射鏡4は、通常、4枚が発光素子配列部31を囲っている。反射鏡4は、光の反射のために銀色や白色などの反射層を有するものが可能である。反射鏡4は、検査用面照明装置1から放射する光の一定の均一性が得られる面積を増大させることができる。
【0019】
また、反射鏡4は、その下部の一部に第2の切り欠き41が形成されている(
図3(b)参照)。第2の切り欠き41は、形状及び大きさは特に限定されるものではないが、ケーブル5の外部被覆体5Cに合わせた形状及び大きさでよい。
【0020】
2本の電源配線コード5A、5Bは、導体5Aa、5Baとそれを被覆する絶縁体5Ab、5Bbが設けられた構造である。2本の電源配線コード5A、5Bの外径(太さ)は、例えば、約1mm~約2mmである。2本の電源配線コード5A、5Bは、通常、反射鏡4の第2の切り欠き41の少し内側まで両方が外部被覆体5Cに被覆されてまとめられている(
図3(a)参照)。2本の電源配線コード5A、5Bは、反射鏡4の第2の切り欠き41と発光基板体3の第1の切り欠き33を通って、2個の電源端子部32A、32Bに接続され、それにより電源の配線が行われている。
【0021】
2本の電源配線コード5A、5Bは、第1の切り欠き33の縁部(輪郭線部)33A、33Bの近傍で絶縁体5Ab、5Bbが剥ぎ取られて、導体5Aa、5Baが2個の電源端子部32A、32Bにハンダ付け等により接続されている。そうすると、2本の電源配線コード5A、5Bは、絶縁体5Ab、5Bbが剥ぎ取られていない状態で基板30の上を長く延びることがないので、基板30から離れて浮き上がることがほぼなくなり、そのため、基板30からの高さを下げ易くなる。
【0022】
絶縁体5Ab、5Bbが剥ぎ取られる位置は、
図5(a)(及び
図5(c))に示すように、第1の切り欠き33の縁部33A、33Bよりも内側(基板30の内側)であってもよいし、
図5(b)に示すように、第1の切り欠き33の縁部33A、33Bよりも外側であってもよい。第1の切り欠き33の縁部33A、33Bよりも外側で絶縁体5Ab、5Bbが剥ぎ取られるようにすると(つまり、絶縁体5Ab、5Bbが基板30上ではすべて剥ぎ取られているようにすると)、基板30上では導体5Aa、5Baだけが残ることになるので、電源配線コード5A、5B全体として、基板30からの高さを下げることが可能である。
【0023】
また、2本の電源配線コード5A、5Bの両方又は片方(
図5(c)では両方)は、第1の切り欠き33に位置する部分の一部(詳しくは、絶縁体5Ab、5Bbの一部)が反射鏡4の下面に接するようにすることで、基板30から離れて浮き上がることが更になくなり、そのため、基板30からの高さを更に下げ易くなる。なお、反射鏡4の下面は、第1の切り欠き33では基板30に接していない(第1の切り欠き33以外では基板30に接している)。
【0024】
以上説明した構成の検査用面照明装置1は、発光素子配列部31から放射される光は、直接に又は反射鏡4に反射されてハウジングから放射する。ここで、2本の電源配線コード5A、5Bは、一般的な電源配線コードを用いて容易に電源の配線を行うことができ、それでも基板30からの高さを下げることができる。そうすると、2本の電源配線コード5A、5Bは、発光素子31aが薄い場合でも発光素子配列部31から放射され反射鏡4に反射されようとする光を妨げないようにすることができ、それにより、検査用面照明装置1から放射される光の一定の均一性を広い範囲で保つことができる。
【0025】
本願発明者は、検査用面照明装置1を試作してそれから放射される光の実験を行った。また、比較のために、第1の切り欠き33を有さない以外は検査用面照明装置1と同様の比較用検査用面照明装置にて同様の実験を行った。使用した発光基板体3は、発光素子31aが横8個で縦9個の2次元配列しているものであり、発光素子31aの厚みが0.65mmで、2本の電源配線コード5A、5Bの外径は、1.05mmである。
【0026】
実験の結果、検査用面照明装置1では、
図6(a)に示すように、電源の配線が行われている角部でも光の一定の均一性を広い範囲で保っている。一方、比較用検査用面照明装置では、
図6(b)に示すように、光は、当該角部では一定の均一性の範囲が狭まっている。
【0027】
以上、本発明の実施形態に係る検査用面照明装置について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。
【0028】
1 検査用面照明装置
2 ハウジング
3 発光基板体
30 基板
31 発光素子配列部
31a 発光素子
31b 抵抗
32A、32B 電源端子部
33 第1の切り欠き
33A、33B 第1の切り欠きの縁部
4 反射鏡
41 第2の切り欠き
5 ケーブル
5A、5B 電源配線コード
5Aa、5Ba 導体
5Ab、5Bb 絶縁体
5C 外部被覆体
5D コネクタ