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特許7329815抗菌剤、成形体、抗菌方法及び抗菌剤の製造方法
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  • 特許-抗菌剤、成形体、抗菌方法及び抗菌剤の製造方法 図1
  • 特許-抗菌剤、成形体、抗菌方法及び抗菌剤の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】抗菌剤、成形体、抗菌方法及び抗菌剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/16 20060101AFI20230814BHJP
   A01N 25/12 20060101ALI20230814BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
A01N59/16
A01N25/12
A01P3/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019028837
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020132578
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504193837
【氏名又は名称】国立大学法人室蘭工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100111464
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(72)【発明者】
【氏名】平井 伸治
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】飯島 健太
(72)【発明者】
【氏名】須藤 成美
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 翔太
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-255009(JP,A)
【文献】国際公開第2009/028234(WO,A1)
【文献】特開平11-57223(JP,A)
【文献】特開平8-301713(JP,A)
【文献】HUNDAKOVA, Marianna et al.,Antibacterial Cerium-Montmorillonite and Cerium-Vermiculite,CONFERENCE PROCEEDINGS - NANOCON 2014,2015年,pp. 633-638,ISSN 2694-930X
【文献】Journal of Bacteriology,1947年,Vol. 54, No. 4,pp. 417-424
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 59/16
A01N 25/12
A01P 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリウムが担持された粉体からなる抗菌剤であって、
前記粉体は、羊毛、広葉樹、またはベントナイトであり、
前記粉体1gあたり0.3~5.0mgのセリウムが担持されており、
抗菌活性値が2以上である、
ことを特徴とする抗菌剤。
【請求項2】
前記セリウムは、3価の陽イオンである、
ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の抗菌剤を含む成形体。
【請求項4】
セリウムが担持された粉体と、セリウムが担持されていない粉体と、からなる、
ことを特徴とする請求項3に記載の成形体。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の抗菌剤を添加する抗菌方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の抗菌剤の製造方法であって、
羊毛、広葉樹、またはベントナイトである粉体をセリウム硝酸塩水溶液に浸漬し、その後前記粉体を乾燥させることを含む、
ことを特徴とする抗菌剤の製造方法。
【請求項7】
前記セリウム硝酸塩水溶液におけるセリウム濃度は、254~474ppmである、
ことを特徴とする請求項6に記載の抗菌剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤、成形体抗菌方法及び抗菌剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属を抗菌剤に利用する技術が知られている。例えば特許文献1には、中間製品を形成させ、中間製品の少なくとも1つの構成成分を抗菌性金属コロイドで処理し、次いで抗菌性金属の易溶性塩または難溶性塩を添加する工程を含む抗菌性プラスチック製品の製造方法が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ゼオライトを担体とする抗菌性組成物及びその製造方法が開示され、例えば、天然のゼオライトに銀を保持させた抗菌性組成物の実施例が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、殺菌特性等を有する、金属酸化物粒子の担体としてのナノクレイを含むナノ複合体材料が開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、粒子状無機鉱物及び抗菌性金属を含む組成物であって、抗菌性金属が粒子状無機鉱物の粒子内に組み込まれている組成物が開示されている。
【0006】
また、非特許文献1には、セリウムを含むモンモリロナイト及びバーミキュライトが抗菌活性を有することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表2006-509054号公報
【文献】特開昭60-181002号公報
【文献】特表2014-522368号公報
【文献】特表2018-531881号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】NANOCON NOV5th-7th、2014,Brno、Czech Republic,EU,ANTIBACTERIAL CERIUM-MONTMORILLONITE AND CERIUM-VERMICULITE,Marianna HUNDAKOVA et al
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1-3に記載の抗菌性材料の調製方法は、煩雑な操作を要するものであり、また、金属として銀を用いた場合には、羊毛や硫黄含有ポリマーに添加した際に硫化銀が形成され、黒色に変色するという難点を有していた。また、特許文献4及び非特許文献1に記載の抗菌性材料では、抗菌効果の点で課題を残していた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便に調製することができ、かつ成形体に加工しやすい抗菌剤、成形体抗菌方法及び抗菌剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る抗菌剤は、
セリウムが担持された粉体からなる抗菌剤であって、
前記粉体は、羊毛、広葉樹、またはベントナイトであり、
前記粉体1gあたり0.3~5.0mgのセリウムが担持されており、
抗菌活性値が2以上である
ことを特徴とする。
【0012】
例えば、前記セリウムは、3価の陽イオンである。
【0013】
本発明の第2の観点に係る成形体は、
本発明の第1の観点に係る抗菌剤を含む。
【0014】
例えば、セリウムが担持された粉体と、セリウムが担持されていない粉体と、からなる。
【0015】
本発明の第3の観点に係る抗菌方法は、
本発明の第1の観点に係る抗菌剤を添加する。
【0016】
本発明の第4の観点に係る抗菌剤の製造方法は、
本発明の第1の観点に係る抗菌剤の製造方法であって、
羊毛、広葉樹、またはベントナイトである粉体をセリウム硝酸塩水溶液に浸漬し、その後前記粉体を乾燥させることを含む。
例えば、前記セリウム硝酸塩水溶液におけるセリウム濃度は、254~474ppmである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡便に調製することができ、かつ成形体に加工しやすい抗菌剤、成形体抗菌方法及び抗菌剤の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の操作手順を模式的に示す図である。
図2】実施例2の操作手順を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本実施形態による抗菌剤について詳細に説明する。
【0020】
本実施形態による抗菌剤は、セリウムが担持された粉体からなることを特徴とする。
【0021】
本実施形態による抗菌剤に用いられる粉体は、ゼオライト、羊毛、広葉樹及びベントナイトからなる群より少なくとも1つ選択され得る。ゼオライトとしては、例えば、硬質ゼオライトSU(株式会社ZEO製)等を用いることができる。また、羊毛としては、例えば、羊毛をボールミル、ジェットミル等で粉砕して粉末状としたもの(例えば、いずみ染工製の羊毛粉末)を用いることができる。また、広葉樹としては、例えば、サクラ、ケヤキ、ブナなどの広葉樹の幹又は枝をボールミル、ジェットミル等で粉砕して粉末状としたもの(例えば、那賀ウッド製の広葉樹粉末)を用いることができる。また、ベントナイトとしては、例えば、工業用ベントナイト(ホージュンベントナイト穂高、株式会社ホージュン製)、ベンゲル(株式会社ホージュン製)、ベンゲル11K(株式会社ホージュン製)等が例示されるが、ベントナイトの主成分であるモンモリロナイトの含有量が例えば70%以下である天然ベントナイト(例えば、工業用ベントナイト(ホージュンベントナイト穂高、株式会社ホージュン製))が好ましい。なお、粉体を構成する粒子の平均粒径は、例えば、5~180μmである。
【0022】
粉体に担持されたセリウムは、好ましくは、3価の陽イオンである。粉体へのセリウム(Ce)の担持量は、例えば、0.3~5.0mg-Ce/g-粉体(材料)である。本明細書において「担持」とは、特定の理論に縛られることを望むものではないが、粉体中に含まれる陽イオンと3価のセリウムイオンとが交換されることで粉体にセリウムが結合している状態、粉体中に含まれる陰イオンと3価のセリウムイオンがイオン結合している状態等を指す。
【0023】
本実施形態による抗菌剤の抗菌活性は、これに限定されるものではないが、例えば、JIS Z 2801に準拠して、混釈平板培養法にて、試験菌として黄色ぶどう球菌(例えば、Staphylococcus aureus NBRC12732)を用いて評価することができる。この評価方法では、抗菌活性値が2以上であれば、十分な抗菌活性を示すことが知られている。なお、本実施形態による抗菌剤は、抗菌効果の他、抗菌効果に基づく防腐効果、制菌効果、防臭効果等をも有する。
【0024】
本実施形態による抗菌剤の調製方法の一例について説明する。ベントナイト(粉体)を、セリウム(Ce)硝酸塩水溶液(400ppm前後の所定のセリウム濃度)の中に浸漬し、大気圧下、温度25℃で24時間処理する。ここで、ベントナイトとセリウム硝酸塩水溶液との量比は、10g-材料/L-Ce水溶液とする。その後、水洗し風乾等の乾燥をする。このように、本実施形態による抗菌剤は、簡便な操作により調製することができる。
【0025】
次に、本実施形態による成形体について説明する。
【0026】
本実施形態による成形体は、前述の抗菌剤を含む。成形体は、プラスチック、合成木材等であり、本実施形態による抗菌剤を含有させることにより、抗菌活性を有する成形体(プラスチック、合成木材等)を作製することができる。本実施形態による抗菌剤は、銀を含まないため、成形体に添加した場合でも変色することがなく、加工しやすいという点でメリットを有している。
【0027】
また、本実施形態による成形体は、例えば、セリウムが担持された粉体と、セリウムが担持されていない粉体と、からなる。すなわち、該成形体に、例えば、粉体として羊毛が用いられる場合、成形体は主原料の粉体としては羊毛のみから構成され、他の種類の粉体は含まず、羊毛の一部又は全部においてセリウムが担持されている。ここで、主原料の粉体には、例えば紫外線吸収剤や安定化剤、あるいは主に無機物である増量剤等が含まれない。このように、セリウムが担持された粉体と同一種類の粉体とを混合させて成形体としてもよく、この場合、成形体が同一種類の粉体からなるため、該粉体の特性を材料設計通りに十分に発揮させることができる(機械的強度及び弾性の維持等)。なお、成形体を構成する粉体の一部にセリウムを担持させて抗菌性を付与する場合、同一種類の粉体を用いることで、粉体の一部にセリウムを担持させて抗菌性を付与し、その後、セリウムを担持させていない粉体と混合することで成形(樹脂化等)することができる。成形体を構成する粉体の一部にセリウムを担持させる場合、粉体の全部にセリウムを担持させる場合に比べて、少量の粉体の処理で済むため、セリウムの担持のための設備をコンパクトにすることができ、設備費の低減を図ることができる。
【0028】
なお、セリウムが担持された粉体と異なる種類の粉体とを混合させて成形体としてもよい。また、セリウムが担持された粉体に、樹脂材料(例えば、Polymethyl methacrylate)、合成木材等を混合させて成形体としてもよい。
【0029】
本実施形態による成形体は、前述の抗菌剤を含み、該抗菌剤はセリウムが担持された粉体からなる。セリウムは、例えば、3価の陽イオンである。該粉体は、例えば、ゼオライト、羊毛、広葉樹及びベントナイトからなる群より少なくとも1つ選択される。これらの詳細については、前述同様である。
【0030】
本実施形態による成形体の作製方法の一例について説明する。Polymethyl methacrylate(PMMA)と、本実施形態による抗菌剤(例えば、セリウムを担持させたベントナイト)と、を質量比90:10の割合で配合し、乳鉢で5分間混合したものを温度140℃、圧力60MPaで加熱・加圧処理して成形体を得る。
【0031】
次に、本実施形態による抗菌方法について説明する。
【0032】
本実施形態による抗菌方法は、前述の抗菌剤を添加することを特徴とする。該抗菌剤はセリウムが担持された粉体からなる。セリウムは、例えば、3価の陽イオンである。該粉体は、例えば、ゼオライト、羊毛、広葉樹及びベントナイトからなる群より少なくとも1つ選択される。これらの詳細については、前述同様である。
【0033】
以上説明したように、本実施形態による抗菌剤は、煩雑な操作を要することなく簡便かつ低コストで調製することができる。また、成形体に添加した場合でも変色等を生じることなく、成形体に加工しやすいという利点を有している。このように、易加工性を有しつつ簡便に調製できる本実施形態による抗菌剤は、優れた抗菌活性を有する材料として、成形体の加工等において幅広く利用されることが期待される。
【実施例
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
(セリウムを担持させた各種粉体材料の抗菌性評価)
以下の粉体材料にセリウム(Ce)を担持させ、抗菌性を評価した。なお、比較例として、羊毛(織布)及びシルク(織布)を用いた。本実施例の操作手順を図1に示す。
・ゼオライト(株式会社ZEO製、硬質ゼオライトSU 80メッシュアンダー)
・羊毛(粉末)(いずみ染工製、平均粒径6μm)
・広葉樹(那賀ウッド製)
・工業用ベントナイト(ホージュンベントナイト穂高、株式会社ホージュン製):モンモリロナイト含有量60~70%(ベントナイト鉱石を原料とする)
・ベンゲル(株式会社ホージュン製):モンモリロナイト含有量80~90%(ベントナイト鉱石を原料とする)
・ベンゲル11K(株式会社ホージュン製):モンモリロナイト含有量80~90%(ベントナイト鉱石から特殊な分級精製処理プロセスを経て得られたCa型ホワイトベントナイトで、白色度が極めて高く、鉄分含有量が少ないことが特徴である)
【0036】
上記の各粉体材料を、セリウム(Ce)硝酸塩水溶液(400ppm前後の所定のセリウム濃度)の中に浸漬し、大気圧下、温度25℃で24時間担持処理した。ここで、各種粉体材料とセリウム硝酸塩水溶液との量比は、10g-材料/L-Ce水溶液とした。その後、水洗し風乾した。比較例の羊毛(織布)及びシルク(織布)においては、織布の状態で硝酸塩水溶液(400ppm前後の所定のセリウム濃度)の中に浸漬し、大気圧下、温度25℃で24時間担持処理した。
【0037】
各種材料に対するCe担持量を表1に示す。実施例では粉末状態での担持量であり、比較例では織布状態での担持量を表す。実施例の各種粉体材料では、相当量のCeが担持していることが示され、工業用ベントナイトでは、特にCe担持量が高いことがわかった。すなわち、モンモリロナイトの含有量が低いほど、Ce担持量が高いことが示された。また、Ceが担持された各種粉体材料は、後述する抗菌活性を発揮することが示された。
【0038】
【表1】
【0039】
各種粉体の抗菌試験はJIS Z 2801に準拠して行った。各種粉体は、精製水9mLに対して、10%の濃度となるよう調製された。この試験の実施を、一般社団法人ニッセンケン品質評価センターに依頼した。
・試験方法
(1)保存菌を平板培地上に分画し、24時間培養した。
(2)培養後の平板培地よりコロニーを1白金耳とり、新たな平板培地上に植菌し、37℃で24時間培養した。
(3)培養後の平板培地よりコロニーを1白金耳とり、1/500NBに懸濁した。
(4)約10CFU/mLとなるように1/500NB培地で調製し、これを試験菌液とした。
(5)試験試料及び対照試料(PBS)9mLに試験菌液を1mL添加し、37℃で24時間振盪培養を行った。
(6)24時間後、1mLを取り出し、9mLのSCDLP培地と混合し反応を停止した。
(7)その内の1mLを取り出し、9mLの精製水に混合し、順次10倍希釈系列を作製した。
(8)それぞれの希釈系列より1mLをシャーレに採り、寒天培地を加えた。
(9)寒天が固化したら、37℃で48時間培養した。
(10)48時間後コロニー数を計数し、生菌数を求めた。
(参考規格:JIS Z 2801:2010)
・測定方法:混釈平板培養法
・試験菌:黄色ぶどう球菌 Staphylococcus aureus NBRC12732
【0040】
また、比較例(参考例)の抗菌試験を以下の通り行った。JIS L1902による菌液吸収法において、接触直後の生菌数の常用対数値と、18時間培養後の生菌数の常用対数値と、で比較した。この試験の実施を、一般社団法人カケンテストセンターに依頼した。抗菌活性値は、「標準布の18時間後の菌数の常用対数値」-「抗菌加工布の18時間後の菌数の常用対数値」で算出した。また、F値は、「標準布の18時間後の菌数の常用対数値」-「抗菌加工布の18時間後の菌数の常用対数値」で算出した。
【0041】
抗菌活性値を表1に示す。実施例の各種粉体材料では、抗菌活性値が2以上となっており、抗菌効果を有することが示された。
【0042】
(実施例2)
(セリウムを担持させた粉体材料のPMMA混合時の抗菌性評価)
実施例1で得られた、セリウムを担持させたゼオライト及び工業用ベントナイトを、Polymethyl methacrylate(PMMA)に添加し、抗菌性を評価した。なお、比較例として、何も添加していないPMMA並びにセリウム非担持のゼオライト及び工業用ベントナイトを用いた。本実施例の操作手順を図2に示す。
【0043】
PMMA(品番:445746-500G、ロット番号:MKBH8732、アルドリッチ社製、分子量:M<350,000)と、実施例1で得られたセリウムを担持させたゼオライト又はセリウムを担持させた工業用ベントナイトと、を質量比90:10の割合で配合し、乳鉢で5分間混合したものを温度140℃、圧力60MPaで加熱・加圧処理して成形体を得た。比較例の何も添加していないPMMA並びにセリウム非担持のゼオライト及び工業用ベントナイトにおいても同様にPMMAに配合し、同様に成形体を得た。得られた成形体について、抗菌試験を実施例1と同様に行った。
【0044】
結果を表2に示す。実施例の各種粉体材料では、抗菌活性値が2以上となっており、抗菌効果を有することが示された。一方で、何も添加していないPMMA並びにセリウム非担持のゼオライト及び工業用ベントナイトを用いた比較例では、抗菌活性値は2未満であり、抗菌効果を有しないことが示された。
【0045】
【表2】
図1
図2