(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】押出成形用ダイ
(51)【国際特許分類】
B29C 48/31 20190101AFI20230814BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20230814BHJP
【FI】
B29C48/31
B29C48/08
(21)【出願番号】P 2019198242
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591136883
【氏名又は名称】株式会社城北精工所
(74)【代理人】
【識別番号】100124327
【氏名又は名称】吉村 勝博
(72)【発明者】
【氏名】前島 康浩
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-077623(JP,U)
【文献】特開2001-293767(JP,A)
【文献】特開2016-036926(JP,A)
【文献】特開平05-293872(JP,A)
【文献】特開昭63-246223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部を有する一対のブロックを、当該平面部同士を対向させるとともに離間配置して構成し、当該離間配置した平面部同士の間を通過した溶融樹脂をフィルム状に吐出させるリップ部と、当該平面部同士の離間距離であるリップ幅を調整するリップ幅調整手段とを備え、当該リップ幅を調整して当該リップ部から吐出して得られる樹脂フィルムの厚さを制御する押出成形用ダイであって、
当該リップ幅調整手段は、てこの原理を用いて当該リップ部に対し押し引きする荷重を付与し、当該ブロックに弾性変形を起こさせて当該リップ幅の拡幅又は減幅を行うアーム部材と、
当該アーム部材を支点を中心に回動させる駆動力を発生するモータと、
当該モータの駆動力により回転し、このときの回転力を当該アーム部材の回動力に変換するリップ幅調整用ボルトと、
当該モータと当該ブロックとの間に配置される
、当該ブロックから発せられる熱から当該モータを保護するための断熱構造とを備え
、
当該モータ及び当該リップ幅調整用ボルトは、連結プレートを介して当該ブロックに接続していることを特徴とする押出成形用ダイ。
【請求項2】
前記断熱構造は、断熱機能を有する部材を備えた請求項1に記載の押出成形用ダイ。
【請求項3】
前記断熱構造は、冷媒通路を備えた請求項1又は請求項2に記載の押出成形用ダイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、樹脂フィルムを製造する際に用いられる押出成形用ダイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂フィルムを製造する際には、押出成形用ダイが用いられている。この押出成形用ダイは、供給された溶融樹脂をマニホールドを介してその幅方向に広げ、下部の対向する平面部の間から溶融した樹脂をフィルム状にして押し出す構成になっている。例えば、押し出された溶融樹脂は、原反ロールから巻き出されたフィルム基材と貼り合わされ、この貼り合わされた状態のものを冷却ロールで圧着して固めることでラミネートフィルムとなる。このようにして得られるラミネートフィルムは、主に包装用途や防湿用途として利用され、高い密閉性が要求される。そのため、押出成形用ダイを用いて製造される樹脂フィルムは、その厚みが均一であることが望ましい。
【0003】
押出成形用ダイは、製造する樹脂フィルムの膜厚を均一にするために、対向する平面部の離間距離を調整する必要がある。ここで、押出成形用ダイは、その下部の先端に設けられて溶融樹脂を吐出するリップ部のリップ幅を変更することで、当該樹脂フィルムの膜厚の調整を行うことができる。
【0004】
例えば特許文献1には、ダイスリット間隙の巾方向にほぼ等間隔に複数本設けたダイボルトを押引きし、可動リップのネック部を曲げるとともに、このダイボルト接触点のリップの一部に円弧状又はこれに類似した形状の溝を設けて肉薄部と成し、ダイボルト接触点相互間の剛性を低下させながらリップを変形させ、ダイスリット間隙を調整するプラスチック成形用Tダイにおいて、所定部位の寸法を定めることが開示されている。特許文献1の押出成形用Tダイによれば、操作するボルト以外のボルトに影響が出ず、相互干渉効果が弱められることにより、きめ細かい精密なプラスチックフィルム等の成形が可能になるとされる。
【0005】
ただし、特許文献1に開示の技術では、ダイスリット間隙を調整するに際し、多数あるダイボルトを押引きする作業に多大な労力がかかっていた。さらに、リップ部の間隙を調整するために複数あるダイボルトを1本ずつ調整しなければならず、樹脂フィルムの膜厚を均一にする調整作業に多くの時間が費やされていた。
【0006】
このような問題に対して、特許文献2には、「モータと、該モータにより駆動される駆動軸と、該駆動軸上に複数設けられたウォームと、該ウォームの各々の近辺に複数設けられたリップ幅調整用ボルト駆動シャフトと、該リップ幅調整用ボルト駆動シャフトの一端に設けられたウォームホイルと、任意の位置のウォームとウォームホイルとを連結・解除するためのクラッチを具備」するTダイ用リップ幅調整装置が開示されている(特許文献2の請求項1を参照のこと)。特許文献2のTダイ用リップ幅調整装置によれば、モータの駆動力を用いてリップ幅を変更することで、樹脂フィルムの膜厚の調整作業を短時間且つ高精度で自動的に行うことが可能になるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭61-291117号公報
【文献】特開昭63-246223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2に開示の技術では、Tダイ本体から発せられる高熱からモータを十分に保護することができない。特許文献2には、モータをTダイの長手方向の両脇に離間配置する旨記載がされているが(特許文献2の第3頁左下欄第1~9行目を参照のこと。)、この場合モータを長時間安定して動作させるには不十分であり、また、ダイの大型化を招くことにもなる。
【0009】
そこで、本件発明は、リップ部の間隙の調整をより簡単且つ迅速に行うことができ、しかもダイを大型化させずに樹脂フィルムの膜厚を長時間安定して均一且つ高精度に制御することのできる押出成形用ダイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下の押出成形用ダイを採用することで上記課題を達成するに到った。
【0011】
本件発明に係る押出成形用ダイ: 本件発明に係る押出成形用ダイは、平面部を有する一対のブロックを、当該平面部同士を対向させるとともに離間配置して構成し、当該離間配置した平面部同士の間を通過した溶融樹脂をフィルム状に吐出させるリップ部と、当該平面部同士の離間距離であるリップ幅を調整するリップ幅調整手段とを備え、当該リップ幅を調整して当該リップ部から吐出して得られる樹脂フィルムの厚さを制御する押出成形用ダイであって、当該リップ幅調整手段は、てこの原理を用いて当該リップ部に対し押し引きする荷重を付与し、当該ブロックに弾性変形を起こさせて当該リップ幅の拡幅又は減幅を行うアーム部材と、当該アーム部材を支点を中心に回動させる駆動力を発生するモータと、当該モータと当該ブロックとの間に配置される断熱構造とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本件発明に係る押出成形用ダイにおいて、前記断熱構造は、断熱機能を有する部材を備えたことが好ましい。
【0013】
本件発明に係る押出成形用ダイにおいて、前記断熱構造は、冷媒通路を備えたことが好ましい。
【0014】
本件発明に係る押出成形用ダイにおいて、前記リップ幅調整手段は、前記モータの駆動力により回転し、このときの回転力を前記アーム部材の回動力に変換するリップ幅調整用ボルトを備えたことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本件発明に係る押出成形用ダイは、リップ部の間隙の調整をより簡単且つ迅速に行うことができ、しかもダイを大型化させずに樹脂フィルムの膜厚を長時間安定して均一且つ高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本件発明を適用した第1の実施形態としての押出成形用ダイ構成を示した図である。
【
図2】本件発明を適用した第2の実施形態としての押出成形用ダイ構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本件発明を適用した第1の実施形態としての押出成形用ダイ構成を示した図である。また、
図2は、本件発明を適用した第2の実施形態としての押出成形用ダイ構成を示した図である。以下、図を用いながら、本件発明に係る押出成形用ダイについて説明する。
【0018】
本件発明に係る押出成形用ダイ1、30は、平面部を有する一対のブロック2,3、31,32(Tダイ本体)を、当該平面部同士を対向させるとともに離間配置して構成し、当該離間配置した平面部同士の間を通過した溶融樹脂(不図示)をフィルム状に吐出させるリップ部4、33と、当該平面部同士の離間距離であるリップ幅Wを調整するリップ幅調整手段8、37とを備え、リップ幅Wを調整してリップ部4、33から吐出して得られる樹脂フィルム(不図示)の厚さを制御するものである。
【0019】
図1,2に示すように、一対のブロック2,3、31,32は、下部に位置するリップ部4、33に近づくに従い肉薄となる形状を呈することで、リップ幅調整手段8、37によるリップ部4、33の弾性変形を容易にし、リップ幅Wの微調整を可能にする。得られる樹脂フィルムの厚さは、リップ部4、33から吐出される溶融樹脂の量に相関する。
【0020】
ここで、少なくとも弾性変形させるブロック2、31の下部に切り欠き部(以下、「減厚スリット6、35」と称す)を設けることで、リップ幅調整手段8、37によるリップ部4、33の弾性変形をさらに容易にすることができる。その結果、リップ部4、33から吐出される溶融樹脂の厚みを安定して均一なものとすることができる。ちなみに、本件発明において、ブロック2、3、31、32の形状は、
図1,2に示すものに限定されない。また、用いる溶融樹脂の種類やリップ部4、33の材質に関しても特段の制限はない。
【0021】
次に、本件発明のリップ幅調整手段8、37について説明する。本件発明のリップ幅調整手段8、37は、アーム部材9、38と、モータ17、46と、断熱構造とを備えることで、上述した本件発明の効果を奏することができる。以下に、本件発明のリップ幅調整手段8、37について、構成要素毎に説明する。
【0022】
アーム部材: 本件発明のアーム部材9、38は、てこの原理を用いてリップ部4、33に対し押し引きする荷重を付与し、ブロック2、31に弾性変形を起こさせてリップ幅Wの拡幅又は減幅を行うものである。本件発明のアーム部材9、38は、てこの原理を用いてリップ部4、33を弾性変形させるため、小さな力でリップ部4、33の間隙を変化させることができ、リップ幅Wの調整を正確に行うことができる。ちなみに、本件発明において、アーム部材9、38の形状は、
図1,2に示すものに限定されない。また、用いるアーム部材9、38の材質に関しても特段の制限はない。
【0023】
図1,2に示すように、本件発明のアーム部材9、38は、長手方向の一端部をブロック2、31のリップ部4、33付近に形成した取付溝7、36に嵌合させて固定することが好ましい。この状態でリップ部4、33に対して荷重をかける方向にアーム部材9、38を回転させると、アーム部材9、38の一端部がブロック2、31に支持されて、ブロック2、31の減厚スリット6、35が形成された部分を支点として回動する。そのため、てこの原理によりリップ幅Wの調整を容易に行うことが可能となる。ちなみに、アーム部材9、38は、
図1,2中のX方向に回動した場合にリップ幅Wが減幅し、
図1,2中のY方向に回動した場合にリップ幅Wが拡幅する。
【0024】
ここで、リップ幅Wの調整量をさらに大きくしたい場合には、アーム部材9、38の支点と力点との間の距離を長くして、アーム部材9、38に付与する回転力を大きくすればよい。そうすることで、リップ部4、33がより変形しやすくなり、リップ部4、33に付与する力をより正確に調整することができるようになるため、樹脂フィルムの厚みを均一にする上で好ましい。さらに、この場合、モータ17、46をブロック2、3、31、32から離間させて、ブロック2、3、31、32から発せられる熱がモータ17、46に伝わるのを抑制することができる。
【0025】
また、本件発明に係るリップ幅調整手段8、37は、モータ17、46の駆動力により回転し、このときの回転力をアーム部材9、38の回動力に変換するリップ幅調整用ボルト18、47を備えたことが好ましい。アーム部材9、38を回動させる手段としてボルト式を採用することで、押出成形用ダイ1,30の構造の簡素化やメンテナンスの容易化を図ることができる。さらに、ボルト式を採用した場合、ねじ山のピッチを小さくし、ねじ山の螺旋角度を緩くすることで、リップ幅Wの調整を細かく高精度に行うことが可能となる。なお、本件発明のリップ幅調整用ボルト18、47は、その構造に関して特に限定されるものではなく、従来公知の構造を採用することができる。
【0026】
ちなみに、リップ幅調整用ボルト18、47は、その外周の少なくとも一部をリップ幅調整用ボルト18、47自身にかかる負荷を軽減するための負荷軽減部材に接触させることが好ましい。これは、アーム部材9、38の回動時において、リップ幅調整用ボルト18、47と相手締結部材との締結角度が変化することで、リップ幅調整用ボルト18、47に負荷がかかり、アーム部材9、38の回動動作をスムーズに行えなくなる不都合が生じるのを防ぐためである。ここで、負荷軽減部材としては、円柱形状を呈してアーム部材9、38の回動方向に回動可能なナット部材22,51を好適に採用することができる。リップ幅調整用ボルト18、47は、ナット部材22,51と螺合接続させるに際し、ナット部材22,51の回動外周面に対して略直交する方向に貫通螺合させることで、アーム部材9、38の回動時に締結角度の変化が吸収されてリップ幅調整用ボルト18、47自身にかかる負荷を小さくすることができる。なお、負荷軽減部材としてナット部材22,51を用いる場合、本件発明係る押出成形用ダイ1、30は、上述した効果を長期間得るために、ナット部材22,51の回動外周面にグリスを供給するためのグリス注入路23、52を備えることがより好ましい。
【0027】
そして、本件発明に係るリップ幅調整手段8、37において、リップ幅調整用ボルト18、47を備えた場合、
図1,2に示すように連結プレート12、41を介してブロック2、31に接続する構成を採用することで、ブロック2、3、31、32から発せられる高熱がモータ17、46に伝わるのをさらに抑制することができる。そのため、この構成は、押出成形用ダイを長時間安定して稼働させる上で好ましい。
【0028】
ところで、
図2に示す実施形態では、リップ幅Wの調整を行う手段としてリップ幅調整補助用ボルト53をさらに備え、両方のブロック31、32にリップ幅Wの調整を行う手段を備えた構成としている。本件発明に係る押出成形用ダイ1,30は、リップ幅調整用ボルト18、47に加え、リップ幅調整補助用ボルト53を備えることで、リップ幅Wの調整をより細かく高精度に行えるようになる。ここで、リップ幅調整補助用ボルト53は、手動によりボルトを回転させる構造であることが、リップ幅の微調整を行う上で好ましい。
【0029】
モータ: 本件発明のモータ17、46は、アーム部材9、38を回動させる駆動力を発生させるものである。本件発明のリップ幅調整手段8、37は、モータ17、46を用いてアーム部材9、38を回動させ、アーム部材9、38の作用点に働く力の方向に向けてリップ幅Wの調整を行うことで、リップ幅Wの調整を短時間で且つ高精度に行うことができる。
【0030】
また、本件発明のリップ幅調整手段8、37は、モータ17、46を用いることで、リップ幅Wの調整を自動的に行い、製造する樹脂フィルムの膜厚の均一化を図ることも可能となる。例えば、リップ幅Wを制御するための制御手段(不図示)を備え、当該制御手段が、膜厚検出器により測定された製造後の樹脂フィルムの厚み値に基づき、予めデータ化された樹脂フィルムの膜厚とリップ幅Wとの関係からリップ幅Wを所望の幅となるようモータ制御する構成とすることもできる。このときに、当該制御手段が、複数あるリップ幅調整用ボルト18、47を個別に作動させることも可能である。リップ幅Wの調整をモータ17、46を用いて自動的に行うことができるようになれば、製造された樹脂フィルムの厚みが予め設定した値から外れた場合でも素早く対応することができ、当該樹脂フィルムの膜厚をリップ部4、33の長手方向に亘って高精度で均一にすることができる。
【0031】
なお、本件発明のモータ17、46は、
図1,2に示すように、その周囲をカバー19、48で囲い、冷気吹き出し口21、50を備えた冷気循環管20、49をカバー19、48内に配する構成とすることもできる。このような構成とすることで、モータ17、46が加熱されて動作不良が生じるのをより効果的に抑制することができる。
【0032】
断熱構造: 本件発明の断熱構造は、モータ17、46とブロック2、31との間に配置されるものである。押出成形用ダイ1,30のブロック2、3、31、32は、ヒータを保持し、且つマニホールド5、34に高温の溶融樹脂が供給されるために高温となりやすい。しかし、本件発明のリップ幅調整手段8、37は、断熱構造を備えることで、ブロック2、3、31、32から発せられる高熱からモータ17、46を保護することができ、モータ17、46の動作不良が生じるのを抑制することができる。また、本件発明に係るリップ幅調整手段8、37は、断熱構造を備えることで、押出成形用ダイ1,30が大型化するのを防ぐことができる。
【0033】
ここで、断熱構造は、断熱部材15、16、44、45を備えたことが好ましい。本件発明の断熱構造に用いる断熱部材15、16、44、45には耐熱性に優れたものが好ましく、ガラス繊維含有セメント部材(例えば、ニチアス株式会社の商品名「ヘミサル15」、「ヘミサル20」)や化学結合セラミックス部材(例えば、ニチアス株式会社の商品名「ネオアーク」)を好適に用いることができる。
【0034】
また、断熱構造は、冷媒通路11、14、40、43を備えたことも好ましい。本件発明の断熱構造は冷媒通路11、14、40、43を備えることで、高熱によるモータ17、46の動作不良が生じるのをより効果的に抑制することができる。この冷媒通路11、14、40、43に流す冷媒としては、水や空気等を用いることができる。これら冷媒は、冷媒供給口10、13、39、42を介して冷媒通路11、14、40、43に通すことができる。また、冷媒通路11、14、40、43への経路には、冷却装置(不図示)を備えることで、冷媒を常にモータ17、46を熱から保護する温度に保持することができる。なお、冷媒通路11、14、40、43は、その配置について、モータ17、46とブロック2、31との間である限り特に限定されない。
【0035】
以上で本件発明に係る押出成形用ダイ1、30について説明したが、本件発明では、アーム部材9、38と、モータ17、46と、断熱構造とが備えられることで、リップ幅Wの調整をより簡単且つ迅速に行うことができ、しかも押出成形用ダイ1、30を大型化させずに樹脂フィルムの膜厚を長時間安定して均一且つ高精度に制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本件発明に係る押出成形用ダイは、高品質な樹脂フィルムを製造できるため、包装用途や防湿用途等の様々な用途の樹脂フィルムを製造するに際して好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1、30・・・押出成形用ダイ
2、3、31、32・・・ブロック(Tダイ本体)
4、33・・・リップ部
5、34・・・マニホールド
6、35・・・減厚スリット
7、36・・・取付溝
8、37・・・リップ幅調整手段
9、38・・・アーム部材
10、13、39、42・・・冷媒供給口
11、14、40、43・・・冷媒通路
12、41・・・連結プレート
15、16、44、45・・・断熱部材
17、46・・・モータ
18、47・・・リップ幅調整用ボルト
19、48・・・カバー
20、49・・・冷気循環管
21、50・・・冷気吹き出し口
22、51・・・ナット部材(負荷軽減部材)
23、52・・・グリス注入路
53・・・リップ幅調整補助用ボルト
W・・・リップ幅