(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】通信判定プログラムおよび通信判定装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
G06K7/10 148
(21)【出願番号】P 2019219249
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000186566
【氏名又は名称】小林クリエイト株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山内 望由季
(72)【発明者】
【氏名】戸次 奏瑛
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 一広
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英斗
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-94890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線識別タグと通信可能に構成された電子計算機において実行されるものであって、前記無線識別タグと前記電子計算機との通信の成否の変化を検知する通信判定プログラムにおいて、
前記電子計算機に前記無線識別タグとの通信の試行を周期的に実行させる試行ステップと、
該試行ステップにより前記電子計算機が実行した通信の試行の成否を、前記通信の試行ごとに取得する取得ステップと、
該取得ステップにより取得された成否が所望の成否である場合に計時を開始する計時開始ステップと、
該計時開始ステップにより計時が開始された以後、前記取得ステップにより取得された通信の成否が前記所望の成否と異なる場合に、計時を中止する計時中止ステップと、
前記計時開始ステップにより開始された計時が所定の時間に亘り継続されたか否かを判定する判定ステップと、を備え、
該判定ステップにより前記計時が前記所定の時間に亘り継続されたと判定されることを条件として、前記無線識別タグと前記電子計算機との通信の前記所望の成否への変化を検知するものであることを特徴とする通信判定プログラム。
【請求項2】
前記計時開始ステップにより計時が開始された場合に、その時点での時刻を保持する時刻保持ステップと、
前記判定ステップにより前記計時が前記所定の時間に亘り継続されたと判定された場合に、前記時刻保持ステップにより保持された時刻を、前記無線識別タグと前記電子計算機との通信の成否が前記所望の成否に変化した時刻として記録する時刻記録ステップと、を備えることを特徴とする請求項1記載の通信判定プログラム。
【請求項3】
無線識別タグと通信可能に構成されるものであって、前記無線識別タグとの通信の成否の変化を検知する通信判定装置において、
前記無線識別タグとの通信の試行を周期的に実行する試行手段と、
該試行手段により実行された通信の試行の成否を、前記通信の試行ごとに取得する取得手段と、
該取得手段により取得された成否が所望の成否である場合に計時を開始する計時開始手段と、
該計時開始手段により計時が開始された以後、前記取得手段により取得された通信の成否が前記所望の成否と異なる場合に、計時を中止する計時中止手段と、
前記計時開始手段により開始された計時が所定の時間に亘り継続されたか否かを判定する判定手段と、を備え、
該判定手段により前記計時が前記所定の時間に亘り継続されたと判定されることを条件として、前記無線識別タグとの通信の前記所望の成否への変化を検知するものであることを特徴とする通信判定装置。
【請求項4】
前記計時開始手段により計時が開始された場合に、その時点での時刻を保持する時刻保持手段と、
前記判定手段により前記計時が前記所定の時間に亘り継続されたと判定された場合に、前記時刻保持手段により保持された時刻を、前記無線識別タグとの通信の成否が前記所望の成否に変化した時刻として記録する時刻記録手段と、を備えることを特徴とする請求項3記載の通信判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線識別タグとの通信の可否を判定する通信判定プログラムおよび通信判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency Identifier)タグに代表される無線識別タグが物流業や製造業において利用されている。無線識別タグは、夫々個別に識別情報を持ち、アンテナ等の受信設備を用いて当該識別情報を受信することができ、ひいては、その識別情報を用いて無線識別タグが貼付等された物品を一意に識別できるものである。
【0003】
このような無線識別タグの利用方法の第一の例として、無線識別タグを貼付等した物品が受信設備に近接したこと、又は、受信設備から離隔したことを検出することで、当該物品の移動等の取り扱いを把握するものがある。これは、受信設備による無線識別タグとの通信が不能な状態から可能な状態に遷移した場合には、無線識別タグが貼付等された物品が受信設備に近接したとみなすことができ、他方、当該通信が可能な状態から不能な状態に遷移した場合には、無線識別タグが貼付等された物品が受信設備から離隔したとみなせることを利用する。特許文献1には、物流分野においてゲートでRFIDタグを貼付した荷物の通過を検知する物流管理方法が記載されている。
【0004】
第二の例として、水中での通信可能距離が大気中での通信可能距離に比べて短い無線識別タグを用いることで、通信が不能であった無線識別タグが通信可能になったことをもって、当該無線識別タグが貼付等された物品が水中から大気中に暴露されたとみなす利用法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した第一の例のように、物品に貼付等された無線識別タグをもって当該物品の近接や離隔を検知しようとする場合、移動する物品自体の振動などによって短時間に当該無線識別タグと受信装置の通信の可否が頻繁に入れ替わるような挙動を示すことがある。また、第二の例にあっては、水面の波動によって一時的には無線識別タグが水中と大気中とを行ったり来たりする状態となり、第一の例と同様に、本来検知したい物品の挙動(水中から大気中への暴露)とは別の要因による無線識別タグの通信可否の変化が検知される。
【0007】
このように、従来の技術には、一時的に生じる通信可否の変化によって状態検知に支障を来たし、誤った情報伝達によって本来意図した検出結果以外も結果として検出してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題等を解決するためになされたものであり、精度よく無線識別タグの通信可否の変化を判定することのできる通信可否判定プログラムまたは通信可否判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した問題点等を解決するために本発明の通信判定プログラムは、無線識別タグと通信可能に構成された電子計算機において実行されるものであって、前記無線識別タグと前記電子計算機との通信の成否の変化を検知する通信判定プログラムにおいて、前記電子計算機に前記無線識別タグとの通信の試行を周期的に実行させる試行ステップと、該試行ステップにより前記電子計算機が実行した通信の試行の成否を、前記通信の試行ごとに取得する取得ステップと、該取得ステップにより取得された成否が所望の成否である場合に計時を開始する計時開始ステップと、該計時開始ステップにより計時が開始された以後、前記取得ステップにより取得された通信の成否が前記所望の成否と異なる場合に、計時を中止する計時中止ステップと、前記計時開始ステップにより開始された計時が所定の時間に亘り継続されたか否かを判定する判定ステップと、を備え、該判定ステップにより前記計時が前記所定の時間に亘り継続されたと判定されることを条件として、前記無線識別タグと前記電子計算機との通信の前記所望の成否への変化を検知するものであることを特徴とする。
【0010】
上述した本発明にあって、前記通信判定プログラムは、前記計時開始ステップにより計時が開始された場合に、その時点での時刻を保持する時刻保持ステップと、前記判定ステップにより前記計時が前記所定の時間に亘り継続されたと判定された場合に、前記時刻保持ステップにより保持された時刻を、前記無線識別タグと前記電子計算機との通信の成否が前記所望の成否に変化した時刻として記録する時刻記録ステップと、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の通信判定装置は、前記無線識別タグと通信可能に構成され、前記無線識別タグとの通信の成否の変化を検知するものであって、前記無線識別タグとの通信の試行を周期的に実行する試行手段と、該試行手段により実行された通信の試行の成否を、前記通信の試行ごとに取得する取得手段と、該取得手段により取得された成否が所望の成否である場合に計時を開始する計時開始手段と、該計時開始手段により計時が開始された以後、前記取得手段により取得された通信の成否が前記所望の成否と異なる場合に、計時を中止する計時中止手段と、前記計時開始手段により開始された計時が所定の時間に亘り継続されたか否かを判定する判定手段と、を備え、該判定手段により前記計時が前記所定の時間に亘り継続されたと判定されることを条件として、前記無線識別タグとの通信の前記所望の成否への変化を検知するものであることを特徴とする。
【0012】
上述した本発明にあって、前記通信判定装置は、前記計時開始手段により計時が開始された場合に、その時点での時刻を保持する時刻保持手段と、前記判定手段により前記計時が前記所定の時間に亘り継続されたと判定された場合に、前記時刻保持手段により保持された時刻を、前記無線識別タグとの通信について前記所望の成否に変化した時刻として記録する時刻記録手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の通信判定プログラムによると、無線識別タグと電子計算機との通信が試行ステップによって反復して試行され、その成否が取得ステップによって取得される。取得ステップにより取得された通信の成否が所望の成否である場合、計時開始ステップによって計時が開始され、その計時が、所定の時間に亘って継続されたと判定ステップにより判定された場合、このことをもって無線識別タグと電子計算機との通信の成否は、所望の成否に変化したものとして検知される。他方、計時開始ステップにより計時が開始された以後、取得ステップにより取得された通信の成否が所望の成否でない場合には、計時中止ステップによって計時が中止されるので、判定ステップによって計時が所定の時間に亘って継続したと判定されることはない。すなわち、一時的に通信の成否が所望の成否に至ったとしても、その後に通信の成否が元に戻る等した場合には、その成否の変化を、所望の成否への変化とはみなさずに無視することができる。従って本発明の通信判定プログラムによれば、短時間における一時的な通信の成否の変化の影響を抑制して、無線識別タグと電子計算機との通信の成否の変化を精度よく検知できるとの効果を奏する。
【0014】
また、本発明の通信判定プログラムにあっては、計時開始ステップによる計時の開始時にその時点の時刻が時刻保持ステップにより保持され、判定ステップにより計時が所定の時間に亘って継続したと判定された場合には、その時刻保持ステップにより保持された時刻が無線識別タグと電子計算機との通信の成否が所望の成否に変化した時刻として記録される。前述した通り、本発明の通信判定プログラムにあっては、判定ステップによる判定を経て無線識別タグと電子計算機との通信の成否の変化を検知するものであるため、当該検知の時点では、実際に通信の成否が変化した時点から所定の時間だけ経過している。しかしながら、時刻保持ステップにおいて保持した時刻を当該成否の変化があった時刻として記録するように構成しているので、通信の成否が変化した時刻として正確な時刻を記録することができるとの効果も奏する。
【0015】
なお、本発明の通信判定装置にあっては、前述した通信判定プログラムと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】受信PC1およびRFIDタグ50の構成を示す模式図である。
【
図2】受信プログラム30aに基づいて受信PC1において実行されるタイマー制御処理S100のフローチャートである。
【
図3】受信プログラム30aに基づいて受信PC1において実行される受信処理S200のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願に係る発明(以下「本発明」と称す)の実施例として、RFIDタグ50との通信が不能な状態から可能な状態へと変化した場合に、当該RFIDタグ50が保持する識別情報(以下「ID」と称す)をデータベース30bに記録する受信プログラム30aを説明する。
【0018】
図1を参照して、受信プログラム30aを備える受信PC1及びこれに関連して用いるRFIDタグ50を説明する。受信PC1は、CPU(中央演算装置)10、RAM(ランダムアクセスメモリー)20、HDD(ハードディスクドライブ)30を備えるコンピューターである。CPU10は、オペレーティングシステム(不図示)や受信プログラム30aを実行する演算装置である。RAM20は情報を一時的に保持するための記憶装置であり、受信プログラム30aがCPU10によって実行される場合に、保持時刻20a、保持ID20b、カウンター20cの記憶領域が動的に確保される。
【0019】
これらの記憶領域は、後述するタイマー制御処理S100等で利用されるものである。保持時刻20aは、あるRFIDタグ50が初めて通信可能となった時刻を保持するために用いられる。保持ID20bは、受信可能となったRFIDタグ50のIDを一時的に保持するために用いられる。カウンター20cは、一のRFIDタグ50について継続して受信可能である時間間隔を計測するために用いられる。
【0020】
HDD30は、情報を半永続的に保持するための補助記憶装置である。HDD30には、CPU10によって実行される受信プログラム30aとデータベース30bとが備えられる。受信プログラム30aは、受信PC1において後述するタイマー制御処理S100および受信処理S200等をCPU10に実行させるためのコンピュータープログラムである。データベース30bは、RFIDタグ50が通信可能となった時刻を、該RFIDタグ50が保持するIDと関連付けて記憶するためのデータベースである。
【0021】
受信PC1は、外部装置としてリーダー40を備える。リーダー40は、所定の距離範囲にある一のRFIDタグ50と通信可能なものであり、RFIDタグ50との通信によって該RFIDタグ50が保持するIDをCPU10等に入力する入力装置として動作する。
【0022】
次に
図2および
図3を参照して、受信プログラム30aに基づいてCPU10が実行する処理を説明する。
図2のフローチャートに示すタイマー制御処理S100は、CPU10が受信プログラム30aを読み込んだ当初に開始される処理であり、もっぱら、後述する受信処理S200が1ミリ秒おきに実行されるように制御するものである。なお、以降のフローチャートを参照した処理の説明において主語を省略した場合、又は、受信PC1を主語として説明した場合、その動作は、受信プログラム30aに基づいてCPU10が実行するものであることを意味する。
【0023】
タイマー制御処理S100では、まず、CPU10は、RAM20上のカウンター20cを「0」に初期化する(S101)。その後、CPU10は、受信処理S200を実行し、1ミリ秒の同期をとりながら(S102)、受信処理S200を反復実行する。ここで、「同期をとる」とは、1回のS101の実行から次のS101の実行までが約1ミリ秒となるように調整することをいい、受信PC1が備えるクロック装置(不図示)などを用いて実現される公知の技術である。
【0024】
ここでは説明を省略するが、タイマー制御処理S100は、所定の割り込み制御(例えばCPU10による受信プログラム30aの実行を終了するための信号)が投入されるまで、継続して受信処理S200を反復実行するように構成されている。
【0025】
次に
図3を参照して、タイマー制御処理S100から呼び出される受信処理S200を説明する。前述した通り、受信処理S200は、タイマー制御処理S100により1ミリ秒おきに反復実行されるものである。
【0026】
受信処理S200においては、CPU10はまず、リーダー40を制御してRFIDタグ50との通信を試行する(S201)。通信の試行の結果、通信が失敗であった場合には(S202:No)、カウンター20cを「0」に初期化して受信処理S200を終了する。
【0027】
一方、通信の試行の結果、その通信が成功した場合には(S202:Yes)、カウンター20cの値が「0」であるか否かを判断する(S203)。詳しくは後述するが、カウンター20cの値は通信の試行(S201)の結果が成功であるごとに「1」ずつ加算されるものであるので、カウンター20cの値が「0」であることは、以前に通信は成功していない状態を意味する。
【0028】
S203の判断においてカウンター20cの値が「0」であると判断した場合(S203:Yes)、すなわち、あるRFIDタグ50との通信に初めて成功した場合、S201の試行時に受信したRFIDタグ50のIDを保持ID20bに記憶させる(S204)とともに、現在時刻を保持時刻20aに記憶させる(S205)。
【0029】
その後、CPU10は、カウンター20cについて「1」を加算して更新する(S208)。この場合、カウンター20cは「0」から「1」に更新されることになり、これは、あるRFIDタグ50について1回、通信に成功したことを意味する。
【0030】
他方、S203の判断においてカウンター20cの値が「0」でないと判断した場合(S203:No)、すなわち、前回以前に受信処理S200が実行されたときから継続して、RFIDタグ50との通信の試行(S201)に成功している場合、当該通信の試行(S201)において受信したRFIDタグ50のIDが保持ID20bの値と同一か否かを判断する(S206)。
【0031】
通信の試行(S201)において受信したIDが保持ID20bの値と同一である場合(S206:Yes)、カウンター20cを「1」加算した値に更新する(S208)。この場合、カウンター20cの値は、あるIDを保持するRFIDタグ50について連続して通信に成功した回数とされることを意味する。受信処理S200が1ミリ秒ごとに反復実行されるものであることを踏まえれば、カウンター20cの値は、あるIDを保持するRFIDタグ50について通信可能な状態が継続した時間(単位:ミリ秒)を示すものであると言える。
【0032】
S206の判断においてRFIDタグ50から受信したIDが保持ID20bの値と異なると判断した場合には(S206:No)、CPU10は、カウンター20cを「0」に初期化して(S207)、S204の処理へと移行する。これは、通信の試行(S201)の結果が、保持ID20bの値と異なるIDを保持するRFIDタグ50とのものである場合、保持ID20bの値をIDとして保持するRFIDタグ50との通信はもはやできなくなったものとみなして、新たに通信可能となったRFIDタグ50について通信可否の判定を試みるための処置である。
【0033】
S208の処理の後、CPU10は、カウンター20cの値が「1000」であるか否かを判断する(S209)。前述した通り、カウンター20cの値はあるIDを保持するRFIDタグ50について通信可能な状態が継続した時間(単位:ミリ秒)を示すものである。カウンター20cの値が「1000」であるか否かを判断するということは、換言すれば、あるIDを保持するRFIDタグ50が1秒間(1000ミリ秒間)に亘って継続して通信可能であったか否かを判定することである。
【0034】
ここで、S209の判定において用いた「1000」の値は、RFIDタグ50との通信が安定的に行えるようになったとみなす継続時間として任意に設定したものである。本実施例においては、1秒間(1000ミリ秒間)に亘って通信が継続的に成功することをもって、当該RFIDタグ50との通信が安定したとみなすようにしている。
【0035】
S209の判断において、カウンター20cの値が「1000」であると判断した場合(S209:Yes)、通信の試行(S201)の対象となったRFIDタグ50が安定して通信可能な状態に至ったものとみなして、データベース30bにその事実を記憶させる(S210)。より詳細には、CPU10は、当該RFIDタグ50が通信可能な状態に至った事実として、保持ID20bと、保持時刻20aとのそれぞれに記憶された値をデータベース30bに追加的に記憶させる。
【0036】
ここで、保持時刻20aに記憶された値とは、保持ID20bの値をIDとして保持するRFIDタグ50との通信に初めて成功した時点の時刻である(S205参照)。本実施例にあっては、S209の判断によりRFIDタグ50と安定的に通信可能となったことが判断されたとき(S209:Yes)には、初めて当該RFIDタグ50と通信できたときからある程度の時間が経過してしまっているが、保持時刻20aの値をデータベース30bに記憶させる構成(S210参照)により、RFIDタグ50と通信可能となった時刻として、「通信可能となった」の意に即した、最も早く通信に成功した時刻をデータベース30bに記憶させることができる。
【0037】
なお、S209の判断において、カウンター20cの値が「1000」でないと判断した場合には(S209:No)、受信処理S200を終了する。ちなみに、カウンター20cの値が「1000」未満である場合には、RFIDタグ50との通信は未だ安定したとは言えない状態を意味し、カウンター20cの値が「1000」を超える場合には、既に当該RFIDタグ50との通信の成功に関する事実がS210の処理によってデータベース30bに記憶された状態であることを意味する。
【0038】
ここまで、実施例に基づいて本発明の通信判定プログラムおよび通信判定装置を説明したが、本発明の実施態様としてはこれに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成を変更できることは言うまでもない。
【0039】
例えば、受信プログラム30aは、RFIDタグ50と受信PC1との通信ができない状態から通信ができる状態へと変化することを検知するものであることを説明したが、通信ができている状態から通信ができなくなったことを検知するようにすることは、本発明の趣旨を逸しない。
【符号の説明】
【0040】
1 受信PC(通信判定装置)
10 CPU
20 RAM
20a 保持時刻
20b 保持ID
20c カウンター
30 HDD
30a 受信プログラム(通信判定プログラム)
30b データベース
40 リーダー
50 RFIDタグ(無線識別タグ)
S100 タイマー制御処理
S200 受信処理