(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】グラップル
(51)【国際特許分類】
B66C 3/16 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
B66C3/16
(21)【出願番号】P 2020541636
(86)(22)【出願日】2018-10-08
(86)【国際出願番号】 NZ2018050138
(87)【国際公開番号】W WO2019074379
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-08
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】520129735
【氏名又は名称】エスイーシー エンジニアリング アンド デザイン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】コルブラン グラント ダイソン
(72)【発明者】
【氏名】ライト マレー グレイム
(72)【発明者】
【氏名】ナム レ フー
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06244643(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第104444795(CN,A)
【文献】特開2003-146575(JP,A)
【文献】米国特許第03631995(US,A)
【文献】特開昭48-047051(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03009392(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00- 3/20
B66F 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームクレーンのブームに取り付けることのできるグラップルであって、前記グラップルが、
前記ブームクレーンのブームの端部に取り付けることのできる本体部材であって、ベースと、前記ベースから延びる第1のウィング部材及び第2のウィング部材とを有する本体部材と、
対向する第1及び第2のジョー部材と、を備え、
前記第1のジョー部材は前記本体部材にヒンジ動作可能に連結され、前記第1のジョー部材は第1端及び第2端を有する第1の油圧シリンダの動作によって前記本体部材に対してヒンジ動作し、前記第1の油圧シリンダの前記第1端が前記第1のジョー部材に連結され、前記第1の油圧シリンダの前記第2端が、前記本体部材と前記第1のジョー部材の間の前記ヒンジ動作可能な連結部の遠位側で前記第1のウィング部材の一部分に連結され、
前記第2のジョー部材は前記本体部材にヒンジ動作可能に連結され、前記第2のジョー部材は第1端及び第2端を有する第2の油圧シリンダの動作によって前記本体部材に対してヒンジ動作し、前記第2の油圧シリンダの前記第1端が前記第2のジョー部材に連結され、前記第2の油圧シリンダの前記第2端が、前記本体部材と前記第2のジョー部材の間の前記ヒンジ動作可能な連結部の遠位側で前記第2のウィング部材の一部分に連結され、
前記第1及び第2のウィング部材が、前記第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの前記第2端を前記ブームクレーンのブームの一端または前記本体部材と前記ブームクレーンのブームとの間の連結部の後方に位置決めするように伸び、
前記第1及び第2のウィング部材が、前記ベースから後方向横方向外方に伸び、前記第1及び第2のジョー部材が完全に閉じた位置と完全に開いた位置との間の全範囲で移動できるように、前記第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの前記第2端を前記第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの前記第1端の横方向外側に位置決めし、前記第1及び第2の油圧シリンダは前記第1及び第2の油圧シリンダの前記第1端から前記第1及び第2の油圧シリンダの前記第2端へ外方に拡がり、
前記完全に開いた位置では、前記第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの前記第1端が、前記第1及び第2のジョー部材のそれぞれと前記本体部材との間の前記ヒンジ動作可能な連結部の後方にあり、
前記完全に開いた位置で、前記第1及び第2のジョー部材の先端部が前記本体部材の先端部よりも後方に
あり、前記第1及び第2のジョー部材は、前記本体部材の前記先端部を実質的に超えて延びない、
ことを特徴とするグラップル。
【請求項2】
前記本体部材が、1次本体部材と2次本体部材とを備え、前記1次本体部材は前記ブームクレーンのブームの端部に固定して取り付けることができ、前記2次本体部材は連結部によって前記1次本体部材に関節連結され、前記第1及び第2のジョー部材が前記2次本体部材にヒンジ動作可能に連結され、前記2次本体部材は前記第1及び第2のウィング部材を有する、
請求項1に記載のグラップル。
【請求項3】
前記2次本体部材が、前記連結部によって前記1次本体部材にヒンジ動作可能に連結されている、
請求項2に記載のグラップル。
【請求項4】
前記第1及び第2のジョー部材が、それぞれ、前記1次本体部材と前記2次本体部材との間の前記ヒンジ動作可能な連結部の枢動軸に直交する枢動軸を中心にヒンジ動作可能に前記本体部材に連結されている、
請求項3に記載のグラップル。
【請求項5】
第1端及び第2端を有する第3の油圧シリンダを備え、前記第3の油圧シリンダの前記第1端が前記2次本体部材に連結され、前記第3の油圧シリンダの前記第2端が前記2次本体部材の遠位側で前記1次本体部材または前記ブームクレーンのブームに連結するように構成され、これによって、前記2次本体部材が、前記第3の油圧シリンダの動作によって前記1次本体部材に対してヒンジ動作する、
請求項2ないし4の何れか1項に記載のグラップル。
【請求項6】
前記第1及び第2のウィング部材が、前記第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの前記第2端を前記1次本体部材と前記2次本体部材との間の前記連結部の後方に位置決めするように前記2次本体部材から伸びる、
請求項5に記載のグラップル。
【請求項7】
前記第1及び第2のウィング部材が、前記第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの前記第2端を前記1次本体部材の後方に位置決めするように前記2次本体部材から伸びる、
請求項2ないし6の何れか1項に記載のグラップル。
【請求項8】
前記1次本体部材が、第1のベアリング部材と第2のベアリング部材とを有し、前記2次本体部材が前記1次本体部材に対してヒンジ動作するとき、前記第1のウィング部材が、前記第1のベアリング部材上をスライドし、前記第2のウィング部材が、前記第2のベアリング部材をスライドする、
請求項4ないし7の何れか1項に記載のグラップル。
【請求項9】
前記2次本体部材が、U字形状ベースを備え、前記第1及び第2のウィング部材のそれぞれが、前記U字形状ベースの外側から伸び、前記U字形状ベースの内側が、前記1次本体部材の前記第1及び第2のベアリング部材上をスライドする、
請求項8に記載のグラップル。
【請求項10】
前記完全に開いた位置では、前記第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの前記第1端が、前記1次本体部材と前記2次本体部材との間の連結部の後方にある、
請求項2ないし9の何れか1項に記載のグラップル。
【請求項11】
前記ブームが、吊り上げ要素を取り付けるためのブームアイを備え、前記第1及び第2のウィング部材が、前記第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの前記第2端を前記ブームアイの後方に位置決めする、
請求項10に記載のグラップル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<対応する出願の記述>
本出願は、引用によって全体の内容が組み込まれるニュージーランド特許出願第736408号に関連して出願された仮明細書に基づく。
【0002】
本発明は、ブームクレーンと共に使用するためのグラップルに関する。特に、本発明は、ナックルブームクレーンと共に使用するのに適し、ポール、支柱、丸太などを挟持することを可能にするグラップルを提供する。
【背景技術】
【0003】
荷を移動するために利用可能な多くの種類のクレーンが存在する。この様なクレーンの一般的な例は、ブームクレーンであり、移動式または固定式である。移動式ブームクレーンの具体例は、ナックルブームクレーンであり、そうでなければ、ローダークレーン、関節連結クレーン、またはピッカークレーンとして知られる。
【0004】
ナックルブームクレーンは、メインブームと外側ブームとの2つのブームを有し、それらの間に指関節のように曲げ戻す機能を提供する関節(ナックル)がある。関節の程度が、クレーンにかなりの程度の作動範囲を提供し、他のブームクレーンの設計と比較して、クレーンをコンパクトに折り畳むことを可能にする。外側ブームは、略単体構造であるのがよいが、複数のブーム部材、典型的には、入れ子式ブーム部材(「ブーム延長部」と称されることもある)で形成されてもよい。入れ子式ブーム部材は、油圧シリンダ、ロープ、チェーン、ケーブルなどの作動によって入れ子式に伸び縮みするのがよい。入れ子式ブーム部材の最も外方は、末端ブーム部材と称される場合があり、典型的には、荷を取り付けることができるようにチェーン/ストロップを取り付けるためのブームアイを有する。
【0005】
ナックルブームクレーンのコンパクトな設計及び範囲は、ナックルブームクレーンがトラックの荷台上のような車載状態での使用に理想的に適合するようにしている。ナックルブームクレーンは、比較的軽量の材料から作ることも可能である。事実、これらは、強度を犠牲にすることなく可能な限り軽量であることが理想的であるが、一方で、キャリヤ(例えばトラック)の荷が、最軽量の荷を除き、クレーンの設計を超え、ナックルブームクレーン全体を使えない状態にしてしまう。
【0006】
種々のアタッチメントを、ブームクレーンに取り付けることができ、種々の目的にブームクレーンを適合させている。アタッチメントは、典型的には、外側ブームに取り付けられ、そこで末端ブーム部材となる。このようなアタッチメントの例は、バケット、パレットフォーク、ブリック/ブロックグラブ、スクラップメタルグラップル、ポール/丸太グラップルを含む。利用可能なアタッチメントの多用性とナックルブームクレーン自身の操縦性とが、このオペレーティングシステムの使用の普及を導いてきた。
【0007】
これらタイプのクレーンは、特に、運輸業、建設業、林業、鉱業、海運業、石油産業で使用されてきた。
【0008】
しかしながら、現在では、特に、ナックルブームクレーンのサイズが縮小された場合に、ポール/支柱/丸太を動かすために見ているオペレータは、限られた選択肢しか持たない。特に、現時点で利用可能なポール/支柱/丸太グラップルは、次の欠点に苦しめられている。グラップルは重く、したがってブーム及びアタッチメントの重量も計上しなければならない最大吊り上げ重量制限を有するクレーンの吊り上げ能力を妥協する。グラップルは、典型的には、外側ブームの端部から垂れ下がり、したがって、ポール/丸太を直立配向に安全に操作するオペレータの能力を制限する。グラップルは、典型的に、グラップルのジョーのもつ性質のためにポール/支柱/丸太(特に、コンクリートポール)を損傷する。グラップルは、標準的なクレーンフックのアクセスを妨害し、及び/またはグラップルがブームから突出すときブームの範囲を妨害するので、標準的なクレーンフックが使用されている間、ブームの端部につけたままにすることができない。
【0009】
上述された多くの問題により、多くのオペレータが、ブームクレーンからポール/支柱を吊り下げるのにストロップ/チェーンを単純に使用することを選び、ブームアタッチメントを交換する休止時間を削減し、軽量アタッチメントを使用することによって、吊り上げ能力を最大化させる。
【0010】
しかしながら、ポール/支柱/丸太を持ち上げるためのストロップ/チェーンの使用は、次のいくつもの欠点を有する。典型的に、特に、強風で、荷が周囲に揺れるので、オペレータを危険にさらす。ストロップ/チェーンは、ストロップ/チェーンが作られた材料に固有の荷重制限を有する。ストロップ/チェーンを、各ポール/支柱/丸太に手動で固定し、そして、一度、扱いにくく労働集約的な位置になったときは手動で固定解除しなければならない。
【0011】
また、保線作業員がラインポールまたは、ラインポールによって支持された保線上で作業することを求められたとき、保線即ちポールの頂部へのアクセスは、ラインポールに対して配置される梯子を介するのが典型的である。これは、保線作業員が梯子を上っている間、もしラインポールが十分でないと保線作業員を落下の危険にさらす。したがって、保線作業員がラインポールにたてかけられた梯子を有するとき、ポール支持のいくつかの形態を提供できるなら、ラインポールを保持及び/または支持することは、有利である。
【0012】
本発明の目的は、使用中に上述の欠点を克服し、及び/または取付けしやすく、及び/または時間を節約し、及び/またはコストを削減し、及び/またはラインポールあるいはラインポールによって設けられた保線上で動く保守作業員のための安全を改善したブームクレーン、特に、ナックルブームクレーン用のアタッチメントを提供することである。
【0013】
本発明の目的は、1つまたは2つ以上の前述の問題を解決、または少なくとも有益な選択肢を社会に与えることである。
【0014】
本明細書全体を通して、「備える」、「備えている」などの単語は、定められた要素、完全体あるいは段階、または要素の完全体もしくはステップのグループの包含を意味するが、任意の他の要素、完全体あるいはステップ、または要素、完全体、あるいはステップのグループを除くものではないことは理解されるだろう。
【0015】
本発明の更なる形態及び利点は、単なる例示として与えられる後述する説明から明確になるだろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
一形態では、本発明は、ブームクレーンのブームに取り付けることのできるグラップルを提供し、グラップルは、
i)ブームクレーンのブームの端部に取り付けることのできる本体部材であって、第1のウィング部材と第2のウィング部材とを有する本体部材と、
ii)対向する第1及び第2のジョー部材と、を備え、
a)第1のジョー部材は本体部材にヒンジ動作可能に連結され、第1のジョー部材は第1端及び第2端を有する第1の油圧シリンダの動作によって本体部材に対してヒンジ動作し、第1の油圧シリンダの第1端が第1のジョー部材に連結され、第1の油圧シリンダの第2端が、本体部材と第1のジョー部材の間のヒンジ動作可能な連結部の遠位側で第1のウィング部材の一部分に連結され、
b)第2のジョー部材は本体部材にヒンジ動作可能に連結され、第2のジョー部材は第1端及び第2端を有する第2の油圧シリンダの動作によって第2のウィング部材に対してヒンジ動作し、第2の油圧シリンダの第1端が第2のジョー部材に連結され、第1の油圧シリンダの第2端が、本体部材と第2のジョー部材の間のヒンジ動作可能な連結部の遠位側で第2のウィング部材の一部分に連結され、
第1及び第2のウィング部材が、第1及び第2のシリンダのそれぞれの第2端をブームクレーンのブームの一端または本体部材とブームクレーンのブームとの間の連結部の後方に位置決めするように伸びる。
【0017】
本発明のグラップルは、軽量構造設計と、対向するジョー部材を退避させてグラップルがブームの端部から過度に突き出さないようにする性能とを提供することができるのが有利である。理論によって縛られることを望むわけではないが、第1及び第2のウィング部材は、対向するジョーをそれらができるかなりの程度まで退避させることができるように最適なクレアランスとてこの作用を提供すると考えられる。また、ウィングは、しっかり閉じた位置からかなりの程度までジョーを退避させた状態の完全に開いた位置までの改善された動きの範囲を達成すると考えられる。
【0018】
好ましい実施形態では、第1及び第2のウィング部材は、ブームから横方向外方に伸び、第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第2の端部を第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第1端の横方向外側に位置決めし、第1及び第2の油圧シリンダは第1及び第2の油圧シリンダの第1端から第1及び第2の油圧シリンダの第2端へ分かれて拡がっている。
【0019】
第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第2端が、第1及び第2のジョーの動きが完全に閉じた位置と完全に開いた位置との間での完全範囲となるように第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第1端の横方向外側に位置決めされるのが好ましい。
【0020】
グラップルの動きの範囲及び/または操縦性が、本体部材を関節連結することによって大きくなるのが好ましく、そのため、本体部材は、ブームに固定された1次本体部材と、連結部によって1次本体部材に関節連結された2次本体部材とを有し、第1及び第2のジョー部材が2次本体部材にヒンジ動作可能に連結され、2次本体部材は、第1及び第2のウィング部材を有する。
【0021】
好ましくは、2次本体部材が、連結部によって1次本体部材にヒンジ動作可能に連結されている。
【0022】
好ましくは、第1及び第2のジョー部材が、それぞれ、1次本体部材と2次本体部材との間のヒンジ動作可能な連結部の枢動軸に直交する枢動軸を中心にして本体部材に対してヒンジ動作可能である。
【0023】
好ましくは、グラップルが、第1端及び第2端を有する第3の油圧シリンダを備え、第3の油圧シリンダの第1端が2次本体部材に連結され、第3の油圧シリンダの第2端が2次本体部材の遠位側で1次本体部材、即ちブームクレーンのブームに連結するように構成され、その結果、2次本体部材が、第3の油圧シリンダの動作によって1次本体部材に対してヒンジ動作する。
【0024】
好ましくは、第1及び第2のウィング部材が、第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第2端を1次本体部材と2次本体部材との間の連結部の後方に位置決めするように2次本体部材から伸びる。
【0025】
好ましくは、第1及び第2のウィング部材が、第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第2端を1次本体部材の後方に位置決めするように2次本体部材から伸びる。
【0026】
好ましくは、1次本体部材が、第1のベアリング部材と第2のベアリング部材とを有し、2次本体部材が1次本体部材に対してヒンジ動作するとき、第1のウィング部材が、第1のベアリング部材上をスライドし、第2のウィング部材が、第2のベアリング部材をスライドする。
【0027】
好ましくは、2次本体部材が、U字形状ベースを備え、第1及び第2のウィング部材のそれぞれが、U字形状ベースの外側から伸び、U字形状ベースの内側が、1次本体部材の第1及び第2のベアリング部材上をスライドする。
【0028】
好ましくは、完全に開いた位置では、第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第1端が、第1及び第2のジョーのそれぞれと本体部材との間のヒンジ動作可能な連結部の後方にある。
【0029】
好ましくは、ブームが、吊り上げ要素を取り付けるためのブームアイを備え、第1及び第2のウィングが、第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第2端をブームアイの後方に位置決めする。
【0030】
第2形態では、本発明は、ブームクレーンのブームに取り付けることのできるグラップルを提供し、グラップルは、
i)ブームクレーンのブームの端部に取り付けることのできる本体部材であって、第1のウィング部材と第2のウィング部材とを有する本体部材と、
ii)対向する第1及び第2のジョー部材と、を備え、
a)第1のジョー部材は本体部材にヒンジ動作可能に連結され、第1のジョー部材は第1及び第2の端部を有する第1の油圧シリンダの動作によって本体部材に対してヒンジ動作し、第1の油圧シリンダの第1端が第1のジョー部材に連結され、第1の油圧シリンダの第2端が、本体部材と第1のジョー部材との間のヒンジ動作可能な連結部の遠位側で第1のウィング部材の一部分に連結され、
b)第2のジョー部材は本体部材にヒンジ動作可能に連結され、第2のジョー部材は第1及び第2の端部を有する第2の油圧シリンダの動作によって第2のウィング部材に対してヒンジ動作し、第2の油圧シリンダの第1端が第2のジョー部材に連結され、第1の油圧シリンダの第2端が、本体部材と第2のジョー部材との間のヒンジ動作可能な連結部の遠位側で第2のウィング部材の一部分に連結され、
第1及び第2のウィング部材が、第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第2端を第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第1端の横方向外側に位置決めするようにブームから横方向外方に伸び、その結果、第1及び第2の油圧シリンダが、第1及び第2の油圧シリンダの第1端から第1及び第2の油圧シリンダの第2端に拡がって分かれる。
【0031】
好ましくは、第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第2端は、第1及び第2のジョーの動きの全体範囲が完全に閉じた位置と完全に開いた位置との間となるように第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第1端の横方向外側に位置決めされている。
【0032】
第3の形態では、本発明は、ブームクレーンの外側ブームに取り付けることのできるグラップルを提供し、グラップルは、
i)ブームクレーンのブームの端部に固定して取り付けることのできる1次本体部材と、
ii)1次本体部材に関節連結する2次本体部材であって、第1のウィング部材と第2のウィング部材とを有する2次本体部材と、
iii)対向する第1及び第2のジョー部材と、を備え、
a)第1のジョー部材は2次本体部材にヒンジ動作可能に連結され、第1のジョー部材は第1及び第2の端部を有する第1の油圧シリンダの動作によって2次本体部材に対してヒンジ動作し、第1の油圧シリンダの第1端が第1のジョー部材に連結され、第1の油圧シリンダの第2端が、2次本体部材と第1のジョー部材との間のヒンジ動作可能な連結部の遠位側で第1のウィング部材の一部分に連結され、
b)第2のジョー部材は2次本体部材にヒンジ作動可能に連結され、第2のジョー部材は第1及び第2の端部を有する第2の油圧シリンダの動作によって第2のウィング部材に対してヒンジ動作し、第2の油圧シリンダの第1端が第2のジョー部材に連結され、第1の油圧シリンダの第2端が、2次本体部材と第2のジョー部材との間のヒンジ動作可能な連結部の遠位側で第2のウィング部材の一部分に連結され、
第1及び第2のウィング部材が、第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第2端をブームクレーンのブームの端部、または1次本体部材と2次本体部材の間の連結部の後方に位置決めするように伸びる。
【0033】
好ましくは、2次本体部材が、連結部によって1次本体部材にヒンジ動作可能に連結している。
【0034】
好ましくは、2次本体部材が、第1端及び第2端を有する第3の油圧シリンダの動作によって1次本体部材に対してヒンジ動作し、第3の油圧シリンダの第1端が2次本体部材に連結され、第3の油圧シリンダの第2端が、2次本体部材の遠位側に取り付けられたブームクレーンのブームの一部分に連結するように構成されている。
【0035】
したがって、第4の形態では、本発明は、ブームクレーンの外側ブームに取り付けることのできるグラップルを提供し、グラップルは、
i)ブームクレーンのブームの端部に固定して取り付けることのできる1次本体部材と、
ii)1次本体部材にヒンジ連結される2次本体部材であって、第1のウィング部材と第2のウィング部材とを有する2次本体部材と、
iii)対向する第1及び第2のジョー部材であって、
a)第1のジョー部材は2次本体部材にヒンジ動作可能に連結され、第1のジョー部材は第1端と第2端とを有する第1の油圧シリンダの作動によって2次本体部材に対してヒンジ動作し、第1の油圧シリンダの第1端が第1のジョー部材に連結され、第1の油圧シリンダの第2端が、2次本体部材と第1のジョー部材との間のヒンジ動作可能な連結部の遠位側で第1のウィング部材の一部分に連結され、
b)第2のジョー部材は2次本体部材にヒンジ動作可能に連結され、第2のジョー部材は第1端と第2端とを有する第2の油圧シリンダの動作によって第2のウィング部材に対してヒンジ動作し、第2の油圧シリンダの第1端が第2のジョー部材に連結され、第1の油圧シリンダの第2端が、2次本体部材と第2のジョー部材との間のヒンジ動作可能な連結部の遠位側で第2のウィング部材の一部分に連結された対向する第1及び第2のジョー部材と、
iv)第1端と第2端とを有する第3の油圧シリンダを備え、第3の油圧シリンダの第1端は2次本体部材に連結され、第3の油圧シリンダの第2端は2次本体部材の遠位側のブームクレーンのブームの一部分に連結されるように構成され、その結果、2次本体部材が、第3の油圧シリンダの動作によって1次本体部材に対してヒンジ動作し、第1及び第2のウィング部材は、第1及び第2の油圧シリンダのそれぞれの第2端をブームクレーンのブームの一端または、1次本体部材と2次本体部材との間の連結部の後方に位置決めするように伸びる。
【0036】
本発明の第2、第3、第4形態は、本発明の第1形態に関して上述したどの1つまたは2つ以上の特徴を含んでもよい。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲において、文脈がそうでないと示唆しない限り、「油圧シリンダ」という用語は、シリンダ内に受け入れられたピストンを有するピストンロッドを備えた油圧式アクチュエータを示して使用される良く知られた用語である。
【0038】
全ての新しい形態で考慮されるべき本発明の更なる形態は、単なる例示として与えられる以下の説明から明らかになるだろう。
【0039】
本発明の例を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】対向するジョーが退避させられ、各油圧シリンダが取り除かれた状態の上方位置からのグラップルの斜視図である。
【
図2】対向するジョーが退避させられ、各油圧シリンダが取り除かれた状態の下方位置からのグラップルの斜視図である。
【
図3】対向するジョーが退避させられ、各油圧シリンダが取り除かれた状態の上方位置からのグラップルの平面図である。
【
図4】対向するジョーが退避させられ、各油圧シリンダが取り除かれた状態の下方位置からのグラップルの平面である。
【
図5】対向するジョーが退避させられ、第1及び第2の油圧シリンダが取り除かれた状態の上方位置からのグラップルの斜視図である。
【
図6】対向するジョーが退避させられ、第1及び第2の油圧シリンダが取り除かれた状態の外側ブームに取り付けられたグラップルの上方位置からの斜視図である。
【
図7】外側ブームに取り付けられ対向するジョーが退避させられ、油圧シリンダが取り除かれた状態のグラップルの下方位置からの斜視図である。グラップルは約10度で傾けられている。
【
図8】ブームに取り付けられたチェーン及びフックを有する外側ブームに取り付けられ対向するジョーが退避させられ、油圧シリンダが取り除かれた状態のグラップルの下方位置からの斜視図である。グラップルは約10度傾けられている。
【
図9】外側ブームに取り付けられ対向するジョーが半分退避させられ、油圧シリンダが示された状態のグラップルの上方位置からの斜視図である。グラップルは約10度傾けられている。
【
図10】対向するジョーが半分退避させられ、油圧シリンダが示された状態のグラップルの上方位置からの斜視図である。グラップルは中立傾斜位置にある。
【
図11】ブームに取り付けられたチェーン及びフックを有する外側ブームに取りつけられ対向するジョーが退避させられた状態のグラップルの受け入れ端部の図である。グラップルは約10度傾けられている。
【
図12】ブームに取り付けられたチェーン及びフックを有する外側ブームに取りつけられ対向するジョーが退避させられた状態のグラップルの側面図である。グラップルは約10度傾けられている。
【
図13】ブームに取り付けられたチェーン及びフックを有する外側ブームに取りつけられ対向するジョーが閉じられた状態のグラップルの側面図である。グラップルは約10度傾けられている。
【
図14】ブームに取り付けられたチェーン及びフックを有する外側ブームに取りつけられ対向するジョーが閉じられた状態のグラップルの側面図である。グラップルは約30度傾けられている。
【
図15】外側ブームに取りつけられ対向するジョーが完全に退避させられ、油圧シリンダが取り除かれた状態のグラップルの上方位置からの平面図である。グラップルは約10度傾けられている。
【
図16】ブームに取り付けられたチェーン及びフックを有する外側ブームに取りつけられ対向するジョーが完全に退避させられた状態のグラップルの上方位置からの平面図である。グラップルは約10度傾けられている。
【
図17】第1のウィング部材と第2のウィング部材とを有する2次本体部材の上方位置からの斜視図である。
【
図18】第1のウィング部材と第2のウィング部材とを有する2次本体部材の下方位置からの斜視図である。
【
図19】1次本体部材の上方位置からの斜視図である。
【
図20】対向する第1及び第2の両ジョー部材の斜視図である。
【
図21】取付穴の位置を示す、ブームに取り付けられたチェーン及びフックを有する外側ブームの斜視図である。
【
図22】ブームに取り付けられたチェーン及びフックを有する外側ブームに取り付けられ対向するジョーが完全に閉じられた状態のグラップルの上方位置からの平面図である。グラップルは約10度傾けられている。
【
図23】外側ブームに取り付けられ対向するジョーが半分退避させられた状態のもう1つのグラップルの上方位置からの斜視図である。
【
図24】、外側ブームに取り付けられ対向するジョーが完全に退避させられた、即ち開いた状態の
図23のグラップルの上方位置からの平面図である。
【
図25】外側ブームに取り付けられ対向するジョーが完全に閉じられた状態の
図23のグラップルの上方位置からの平面図である。
【
図26】ブームに取り付けられたチェーン及びフックを有する外側ブームに取り付けられ対向するジョーが閉じられた状態の
図23のグラップルの側面図である。グラップルは約10度上方に傾けられている。
【
図27】ブームに取り付けられたチェーン及びフックを有する外側ブームに取り付けられ対向するジョーが閉じられた状態の
図23のグラップルの側面図である。グラップルは約30度下方に傾けられている。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明を、本体部材が、2次本体部材に枢動可能に連結された1次本体部材を有する例示のグラップルを参照して説明する。例示の実施形態では、1次本体部材が、2次本体部材にヒンジ連結される。グラップルが、種々の幅広い他の状況で使用可能なことは認められるだろう。
【0042】
図1は、本発明の例示のグラップル(1)の斜視図であり、第1の油圧シリンダ及び第2の油圧シリンダは、明確化のために取り除かれている。グラップルは、ブームクレーン(
図6の4)の外側ブームの端部に固定して取り付けることのできる1次本体部材(2)を有する。グラップル(1)は、1次本体部材(2)にヒンジ動作可能に連結された(
図2の3)2次本体部材(6)を更に有する。このようなヒンジ動作可能な連結部(3)は、2次本体部材に対する1次本体部材(2)の動きが、ヒンジ動作可能な連結部(3)の枢動軸を中心に2次元になること、即ちヒンジ動作可能な連結部(3)が1自由度の動きを提供することを可能にすることは理解されるだろう。他の実施形態では、2次本体部材が、例えば、スイベル継手または3自由度の動きを提供するボール継手を介する別の方法で1次本体部材に関節連結される。1次部材がブームの端部に固定された状態で、連結部3がブームと2次本体部材との間にあり、ブームと2次本体部材との間に関節連結を提供する。本明細書中で使用されるとおり、2次元の動き、即ち(即ち、枢動ピンまたは枢動軸を中心とした)1自由度の動きは、ブームに関連したジョー部材の「傾斜」と称される。
【0043】
2次本体部材(6)は、ベース(6a)と、ベースから伸びる第1のウィング部材(8)及び第2のウィング部材(10)と、を有する。この例では、第1及び第2のウィング部材のそれぞれが、主要平面が略平行である一対の略同一の平面部材(8a、8b、10a、10b)を有する。この設計が好ましいが、ウィング部材は、2次本体部材のベースの遠位側に油圧シリンダ取付点を提供するように働き(以下に概説する)、どの設計も、この機能を本発明の範囲内で実施することが可能であることは理解されるだろう。グラップルの全体重量を、必須でない要素をグラップルから取り除くことによって削減するのがよく、これは第1及び第2のウィング部材に穴(12)を形成する、刻み込む、ドリルで空けるなどの方法を含む。
【0044】
また、グラップル(1)は、対向する第1及び第2のジョー部材(14)、(16)を有する。対向するジョー部材は、ポール/支柱/丸太などを挟持する機能を提供し、どの設計も、この想定された機能を実行する。一般に使用されるグラップルは、湾曲した対向する内表面(18、20)を有し、内表面は、ポールまたは丸太のような湾曲した物体を固定して挟持するためにジョーが閉じるにしたがって一様に減少する寸法の挟持形状を形成する。更には、ジョーの内表面(18、20)がプラスチック、ゴム(図示せず)のようなコンクリートポールのようなデリケートな物体を挟持するために好ましい特性を有する柔らかい材料を備えるのがよい。例えば、5~50mm(10~30mm、20mmのような)ゴムライニングが、ジョーの内側表面(18、20)を内張りするように使用されてもよい。湾曲した内側表面(18、20)が好ましいが、直線輪郭の使用を含む他の形状が採用されてもよい。内側表面(18、20)は、把持された物体への損傷が懸念されない場合、鋸刃のような把持要素を輪郭に備えてもよい。
【0045】
更に、示した例示のグラップルでは、対向するジョー(14、16)は、広範囲の寸法の物体を固定して挟持する能力を対向するジョーに提供するインターリービング(
図22の22)を可能にする。インターリービング機構は、第1のジョー部材が掴み要素即ちタインの間で閉じるように複数の掴み要素即ちタインと共に第2のジョー部材を構成することによって提供されるのがよい。
図1に示すグラップルでは、第1のジョー部材は1つの主要ジョータインで構成され、第2のジョー部材は、2つのジョータインで構成されるが、本発明は、片方または両方のジョー部材に複数のタインを設けた任意の設計も想定する。
【0046】
第1のジョー部材(14)は、2次本体部材(6)のベース(6a)にヒンジ動作能に連結(24)されている。このようなヒンジ動作可能な連結、または連結部(24)が、2次本体部材に対する第1のジョー部材の枢動軸を中心とした2次元、例えば、1自由度の動きを可能にすることは理解されるだろう。例示の実施形態では、第1のジョー部材が、1次本体部材(2)と2次本体部材(6)との間のヒンジ作動可能な連結部(3)の枢動軸に直交するヒンジ動作可能な連結部(24)の枢動軸を中心にヒンジ動作する。
【0047】
グラップル(1)は、第1端(
図10の28)と第2端(
図10の30)とを有する第1の油圧シリンダ(
図10の26)を有する。第1の油圧シリンダ(26)の第1端(28)は、典型的には、油圧シリンダに取り付けて使用するのに適したヒンジ動作可能な連結部(ブッシング、ベアリング、ピンなど)を介して、第1のジョー部材(14)に連結され、第1のジョー部材に形成された取付穴(
図1の31)を使用するのがよい。第1の油圧シリンダ(26)の第2端(30)は、(典型的には、油圧シリンダに取り付けるのに適して使用されるヒンジ動作可能な連結部、ブッシング、ベアリング、ピンなどを介して)2次本体部材(6)と第1ジョー部材(14)との間のヒンジ動作可能な連結部(24)の遠位側で第1のウィング部材の一部分(32)に連結される。取付穴(
図1の35a、35b)が、一部分32に形成されるのがよい。使用中、第1の油圧シリンダが膨張するにしたがって、第1のジョー部材が(32)から離され、第1のジョー部材(14)を閉じるように、ヒンジ動作可能な連結部(24)を中心にヒンジ動作する。従来では、第1の油圧シリンダが収縮するにしたがって、第1のジョー部材が、(32)に向かって押しやられ、第1のジョー部材(14)を開くように、ヒンジ動作可能な連結部(24)を中心にヒンジ動作する。
【0048】
同様に、第2のジョー部材(16)が、2次本体部材(6)のベース(6a)にヒンジ動作可能に連結(34)される。このようなヒンジ動作可能な連結部(34)は、2次本体部材に対する第1のジョー部材の枢動軸を中心とした2次元、即ち1自由度の動きを可能にする。例示の実施形態では、第2のジョー部材が、1次本体部材(2)と2次本体部材(6)との間のヒンジ動作可能な連結部(3)の枢動軸に直交するヒンジ動作可能な連結部(34)の枢動軸を中心にヒンジ動作する。
【0049】
グラップル(1)は、第1端(図示せず)と第2端(図示せず)とを有する第2の油圧シリンダ(
図9の36)を備える。第2の油圧シリンダ(36)の第1端(図示せず)は、典型的には、油圧シリンダを取り付けるのに使用されるヒンジ動作可能な連結部を介して第2のジョー部材(16)に連結される。第2の油圧シリンダ(36)の第2端(図示せず)は、(典型的には、油圧シリンダに取り付けるために使用されるヒンジ動作可能な連結部を介して)2次本体部材(6)と第2のジョー部材(16)との間のヒンジ動作可能な連結部の遠位側で第2ウィング部材の一部分(
図9の38)に連結される。取付穴(
図1の39a(図示せず)、39b)が、部分(38)に形成されるのがよい。使用中、第2の油圧シリンダが伸びるにしたがって、第2のジョー部材が(38)から離され、第1のジョー部材(16)を閉じるように、ヒンジ動作可能な連結部(34)を中心にヒンジ動作する。従来では、第2の油圧シリンダが収縮するにしたがって第2のジョー部材が(38)に向かって押しやられ、第1のジョー部材(16)を開くように、ヒンジ動作可能な連結部(34)を中心にヒンジ動作する。
【0050】
第1及び第2の油圧シリンダが、独立して作動し、異なる速度で異なる方向(即ち、収縮、膨張)に作動してもよいことは理解されるだろう。しかしながら、第1及び第2の油圧シリンダは、典型的には、第1及び第2のジョー部材が揃って動くように調和して作動され、即ち、これらは同じ速度で離れる、または近づくように動く。
【0051】
ウィング(8、10)は、ベースから後方即ちブーム方向、即ちブームに沿ってジョー(14、16)及びヒンジ動作可能な連結部(24、34)から離れる方向に伸び、各油圧シリンダの第2端30が、ブームの端部または本体部材とブームの間の連結部の後方及び/または1次本体部材の後方に配置されている。ブームがブームアイ(
図7の44)を有するとき、ウィングは、各油圧シリンダの第2端をブームアイの後方に位置決めするのがよい。利点として、本発明は、第1及び第2のジョー部材を離すように動かすことを可能にし、その結果、第1及び第2のジョー部材(40、42)の末端が、ヒンジ動作可能な連結部(24)、(34)を介して平面の後方(ブームの方向)に退避させられる。本発明は、第1及び第2のジョー部材が、離れて完全に開いた位置まで動くことを可能にし、ジョーがブームの端部に取り付けられた本体部材2、6の端部を実質的に超えて伸びないようにしている。この動きの範囲によってもたらされる根本的な利点は、ブーム端部でのグラップルが、周囲の物体に近接して操作され、それにより、ブームへの標準取付点であり、典型的には、外側ブームと一体化したブームアイ(
図7の44)が、周囲の物体の近くで使用され続けることができる。ブームアイの1つの特定の用途は、フック(48)などで終端をなすチェーンリンク(46)を取り付けることである。ヒンジ動作可能な連結部(24)、(34)の平面のブーム方向への、またはジョーが本体部材2、6を実質的に超えて伸びないような位置までの収縮を可能にすることによって、本発明のグラップルは、ブームの端部及びブームアイを超えて最小限に突出し(
図16)、したがって、ブームアイの同時/順次の使用に対する実質的な妨害を提供しない。特に、グラップルアタッチメントを備えるブームクレーンを提供する従来のアプローチと比較して、典型的に、ブームアイを使用するためにグラップルを取り外すニーズは存在しない。
【0052】
説明したように、1次及び2次本体部材の間のヒンジ動作可能な連結部(3)は、2次本体部材(6)に対する1次本体部材(2)の2次元の動きを可能にする。本明細書で使用されるとおり、2次元の動きは、ブーム(4)に対するグラップルジョー(14、16)の「傾斜」と称される。
【0053】
典型的に、第1端(52)及び第2端(54)を有する第3の油圧シリンダ(50)の動作によって2次本体部材(6)は、1次本体部材(2)に対してヒンジ動作し、第3の油圧シリンダ(50)の第1端(52)は2次本体部材(6)に連結され、第3の油圧シリンダ(50)の第2端(54)は、2次本体部材(6)の遠位側で取り付けられたブームクレーンの外側ブーム(4)の一部分に連結されている(図示せず)。取付穴(
図6の58a、58b(図示せず))が、外側ブーム(4)に形成されているのがよい。
【0054】
例示の実施形態に示すように、ウィング(8、10)は、1次及び2次本体部材の間の枢動連結部(3)の後方に各油圧シリンダの第2端を位置決めする。したがって、ウィング(8、10)は、ジョー(14、16)及びシリンダ(26、36)と共に傾く。
【0055】
特に、
図15及び
図22の図に示すように、ウィング(8、10)がブーム(4)の横方向外方に伸び、シリンダの第2端をシリンダの第1端の横方向外側に位置決めする。
図15は、シリンダが完全に収縮した状態の完全に開いた位置のジョーを示し、
図22は、シリンダが完全に膨張した状態の完全に閉じた位置のジョーを示す。ウィング(8、10)は、ジョー(14、16)の動きの全体範囲のためにシリンダの第2端をシリンダの第1端の横方向外側に位置決めする。ウィングが、シリンダをV字配置、即ちジョーの位置に関係なくシリンダの第2端に向かって外方に広がる配置をもたらす。シリンダの第2端の間の横方向距離は、ジョーの位置に関係なく、シリンダの第1端の横方向距離より長い。シリンダの第2端の横方向位置は、動きのより広い範囲を提供する。ジョーの間に小さいギャップのある完全に閉じた位置が達成される一方、完全に開いた位置では、本体部材(2、6)を実質的に超えて伸びないようにジョーが退避させられる。
【0056】
より大きい曲げ強度をグラップル(1)に提供するため、1次本体部材(2)は、傾斜したスキッドプレートまたはベアリング部材(60、62)を備えるのがよく、これによって、グラップルジョーが傾斜するにしたがって、第1及び第2のウィング部材のそれぞれのベースが、それぞれのスキッドプレート上をスライドし、挟持された物体がジョー部材に拘束されると、共にスキッドプレートを付勢する。この付勢を和らげるため、スキットプレートが支持部材(64)で支えられるのがよい。したがって、各スキッドプレートは、ウィングのベースに対して作用し、ジョーの間で物体を把持したときに、ウィングが油圧シリンダによってスキッドプレートに対して内方に押し付けられると、ウィングのベースを支持する。スキッドプレートが、ウィングに作用するシリンダによって引き起こされる2次本体部材の変形がスキッドプレートによって防止されるので、2次本体部材をより軽量にすることを可能にする。
【0057】
図17及び
図18は、分離した例示の2次本体部材を示す。
図17及び
図18に示すように、2次本体部材のベースは、U字形状に形成され、ウィング(8、10)がU字形状部材の側部から伸びる。U字形状ベースの各側部は、各ウィング(8、10)のためのベースを形成する。各スキッドプレートは、U字形状ベースの内側に作用し、したがって各ウィング(8、10)のベースに作用する。ベアリングまたは摩耗プレートが、各スキッドプレート及び/またはU字形状の2次本体部材6の各側部の内側に設けられるのがよい。ベアリングまたは摩耗プレートが摩耗すると、それを交換することができる。例えば、ベアリングまたは摩耗プレートは、真鍮のプレートまたはストリップでもよい。
【0058】
傾斜の角度は、例えば、基準水平位置からプラス10度から(ブームが水平である
図13に図示)、同じ基準水平位置からマイナス30度(
図9、14に図示)までの範囲がよいが、これは、限定されるべきではない。
【0059】
図19は、分離した例示の1次本体部材(2)を示す。例示された本発明の好ましい実施形態では、ヒンジ動作可能な連結部(3)は、1次本体部材(2)から伸びるサイドプレート(66、68)に取付穴を有する。サイドプレート(66、68)は、スキッドプレート(60、62)の内方にあるのが好ましい。
【0060】
図20は、例示の第1及び第2のジョー部材(14、16)を示す。
【0061】
図21は、本発明のグラップルが取り付けられるのがよい例示のブーム(4)を示す。ブームは、1つまたは2つ以上の取付穴(58a)を組み入れるために変形を必要としてもよい。図示されたブーム(4)は、1次本体部材の一部として永続的に1次本体部材に取り付けられたブーム延長片である。例えば、ブーム延長片は、1次本体部材に溶接されてもよい。ブーム延長片(4)が、ブームクレーンのブームの端部に連結されている。例えば、インサート部材がブームの端部またはボルトまたは他の締結具が、ブーム延長部の端部に受け入れられ、ブーム延長部と挿入部とを貫通しでブームと挿入部の間を延び、及び/または溶接されている。このような実施形態では、クレーンブームに取り付けられると、ブーム延長片(4)は、本体部材(2)と一体化しているにも関わらず、クレーンのブームの一部となる。図示したブーム延長片(4)は、ブーム延長片(4)の端部のところに、またはその端部に隣接してブームアイを備える。
【0062】
図23ないし
図25は、本発明の更なる例示のグラップル(100)を示す。
図23ないし
図25の実施形態は、各ウィング(8、10)の遠位側端部に内方突起(101)を有する。内方突起(101)は、ウィングの遠位側端部の間の横方向距離(102)を小さくする。これは、グラップルによってまたはブームアイから持ち上げられているか、または持ち上げられる丸太などの物体が、ウィングの間に、またはウィング(8、10)とブーム(4)の間に入り込み、詰まり、または引っ掛かっている可能性を低減するのに効果的である。本例では、第1及び第2のウィング部材(8、10)の各々が、一対の略同一の平面部材(8a、8b、10a、10b)を有し、それらの主要平面は、略平行である。ウィングは、平面部材(8a、8b)(10a、10b)の2つの内方突起(101)の間に取り付けられた横方向部材(103)をそれぞれ備え、各ウィング(8、10)に更なる剛性を加える。
【0063】
グラップル(100)は、1次本体部材に永続的に取り付けられたブーム延長片(4)を備える。上述したように、延長片(4)は、ブームクレーンのブームに取り付けられ、クレーンブームの一部になる。
【0064】
他の実施形態では、グラップルは、1次本体部材と2次本体部材の間に関節を備えなくてよい。ジョー(14、16)が、ブームクレーンのブームの端部に固定して取り付けられた本体部材(2)にヒンジ動作可能に連結されている。
【0065】
本発明は、本出願の明細書中で、引用または指し示した部位、要素、及び特徴での構成が、個別にまたはまとめられて、2つまたは3つ以上の前記部品、要素、あるいは特徴のいずれかのまたは全ての組合せからなるものとして幅広く捉えられてもよい。
【0066】
本発明の概念は、単なる例示として説明されたにすぎず、添付の特許請求の範囲で定義した範囲から離れることなく、変形や追加がなされる場合があることは認められるべきである。