IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ナイルワークスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】ドローンシステム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
G05D1/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020559956
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2019047371
(87)【国際公開番号】W WO2020116495
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2018227827
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019134996
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】和氣 千大
(72)【発明者】
【氏名】柳下 洋
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-021757(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0015985(KR,A)
【文献】国際公開第2018/109903(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンと、前記ドローンを積載して移動可能であって前記ドローンが離着陸可能な移動体と、が協調して動作するドローンシステムであって、
前記ドローンは、前記ドローンの飛行を制御する飛行制御部を有し、
前記移動体は、前記ドローンの飛行制御の命令を前記ドローンに送信する介入操作部を有し、
前記飛行制御部は、
前記ドローンに異常が生じたことが検知された場合に、前記飛行制御部自身の制御により前記移動体への帰還が可能であるかを判定し、
前記飛行制御部自身の制御により帰還可能である場合には前記飛行制御部により自律的に前記ドローンを前記移動体に帰還させ、
前記飛行制御部による帰還が不可能である場合には、前記介入操作部からの前記命令によって前記ドローンが前記移動体に帰還可能であるかを判定し、
前記介入操作部からの前記命令によって帰還可能である場合には前記介入操作部は前記ドローンを前記移動体に帰還させ、
前記飛行制御部自身の制御によっても前記介入操作部からの前記命令によっても帰還が不可能であると判定される場合には、前記飛行制御部は前記ドローンをその場で着陸又は緊急停止させる、
ドローンシステム。
【請求項2】
前記介入操作部は、前記ドローンの位置座標、速度、加速度、機首の向きの少なくともいずれかを操作する信号を前記ドローンに送信する、
請求項1記載のドローンシステム。
【請求項3】
前記介入操作部は、前記移動体のナビゲーションシステムの入出力部に入力される操作に応じて前記ドローンを制御する、
請求項1又は2記載のドローンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ドローンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にドローンと呼ばれる小型ヘリコプター(マルチコプター)の応用が進んでいる。その重要な応用分野の一つとして農地(圃場)への農薬や液肥などの薬剤散布が挙げられる(たとえば、特許文献1)。欧米と比較して農地が狭い日本においては、有人の飛行機やヘリコプターではなくドローンの使用が適しているケースが多い。
【0003】
準天頂衛星システムやRTK-GPS(Real Time Kinematic - Global Positioning System)などの技術によりドローンが飛行中に自機の絶対位置をセンチメートル単位で正確に知ることができるようになったことで、日本において典型的な狭く複雑な地形の農地でも、人手による操縦を最小限として自律的に飛行し、効率的かつ正確に薬剤散布を行なえるようになっている。
【0004】
その一方で、農業用の薬剤散布向け自律飛行型ドローンについては安全性に対する考慮が十分とは言いがたいケースがあった。薬剤を搭載したドローンの重量は数10キログラムになるため、人の上に落下する等の事故が起きた場合に重大な結果を招きかねない。また、通常、ドローンの操作者は専門家ではないためフールプルーフの仕組みが必要であるが、これに対する考慮も不十分であった。今までに、人間による操縦を前提としたドローンの安全性技術は存在していたが(たとえば、特許文献2)、特に農業用の薬剤散布向けの自律飛行型ドローンに特有の安全性課題に対応するための技術は存在していなかった。
【0005】
ドローンを圃場で飛行させるにあたり、圃場周辺の所定位置まで運搬する移動体が必要とされている。また、ドローンが所定位置から発着するにあたり、ドローンと移動体とが情報を送受信し、互いに協調して動作するドローンシステムが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許公開公報 特開2001-120151
【文献】特許公開公報 特開2017-163265
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドローンと、ドローンを積載して移動可能であってドローンの離着陸が可能な移動体と、が協調して動作し、自律飛行時であっても高い安全性を維持できるドローンシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係るドローンシステムは、ドローンと、前記ドローンを積載して移動可能であって前記ドローンが離着陸可能な移動体と、が協調して動作するドローンシステムであって、前記移動体は、前記ドローンの飛行制御の命令を前記ドローンに送信する介入操作部を有し、前記介入操作部は、前記ドローンに異常が生じたことを検知して前記ドローンの飛行を制御する。
【0009】
前記介入操作部は、前記ドローンに異常が生じたことを検知した場合に、前記ドローンに帰還命令を送信するものとしてもよい。
【0010】
前記ドローンの前記移動体への帰還が、前記ドローン自身の制御によっては不可能であるとき、前記ドローンは前記介入操作部からの命令により前記移動体に帰還するものとしてもよい。
【0011】
前記介入操作部は、前記ドローンの位置座標、速度、加速度、機首の向きの少なくともいずれかを操作する信号を前記ドローンに送信するものとしてもよい。
【0012】
前記介入操作部は、前記移動体のナビゲーションシステムの入出力部に入力される操作に応じて前記ドローンを制御するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
ドローンと、ドローンを積載して移動可能であってドローンの離着陸が可能な移動体とが協調して動作し、自律飛行時であっても高い安全性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願発明に係るドローンシステムの第1実施形態を示す平面図である。
図2】上記ドローンシステムが有するドローンの正面図である。
図3】上記ドローンの右側面図である。
図4】上記ドローンの背面図である。
図5】上記ドローンの斜視図である。
図6】上記ドローンが有する薬剤散布システムの全体概念図である。
図7】上記ドローンシステムの制御機能を表した模式図である。
図8】本願発明にかかる移動体に、上記ドローンが積載されている様子を示す概略斜視図である。
図9】上記移動体に、上記ドローンが積載されている状態において、上記ドローンが載置される上面板が後方にスライドしている様子を示す概略斜視図である。
図10】上記ドローンおよび上記移動体の、上記移動体から情報を送信し、上記ドローンが受信する動作に関する機能ブロック図である。
図11】上記ドローンおよび上記移動体の、上記ドローンから情報を送信し、上記移動体が受信する動作に関する機能ブロック図である。
図12】上記ドローンが上記移動体上の発着地点に着陸するフローを示すフローチャートである。
図13】上記ドローンからの上方に基づいて、上記移動体に保有される資源の量を確保するフローチャートである。
図14】上記ドローンに異常が検知されたときのフローチャートである。
図15】上記移動体に異常が検知されたときのフローチャートである。
図16】本願発明の第2実施形態にかかる移動体と、上記ドローンの様子を示す全体概念図である。
図17】本願発明の第3実施形態にかかる移動体と、上記ドローンの様子を示す全体概念図である。
図18】本願発明の第4実施形態にかかる移動体と、上記ドローンの様子を示す全体概念図である。
図19】本願発明の第5実施形態にかかる移動体と、上記ドローンの様子を示す全体概念図である。
図20】本願発明の第6実施形態にかかる移動体と、上記ドローンの様子を示す全体概念図である。
図21】本願発明の第7実施形態にかかる移動体と、上記ドローンの様子を示す全体概念図である。
図22】本願発明の第8実施形態にかかる移動体と、上記ドローンの様子を示す全体概念図である。
図23】本願発明の第1実施形態にかかる移動体の、図9の様子を別の角度から見た斜視図である。なお、上記移動体が有する上面板上の構成は、適宜省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しながら、本願発明を実施するための形態について説明する。図はすべて例示である。以下の詳細な説明では、説明のために、開示された実施形態の完全な理解を促すために、ある特定の詳細について述べられている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細に限られない。また、図面を単純化するために、周知の構造および装置については概略的に示されている。
【0016】
まず、本発明にかかるドローンシステムが有する、ドローンの構成について説明する。本願明細書において、ドローンとは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、および、自律飛行型であるか手動操縦型であるか等)を問わず、複数の回転翼を有する飛行体全般を指すこととする。
【0017】
図1乃至図5に示すように、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4b(ローターとも呼ばれる)は、ドローン100を飛行させるための手段であり、飛行の安定性、機体サイズ、および、電力消費量のバランスを考慮し、8機(2段構成の回転翼が4セット)備えられている。各回転翼101は、ドローン100の本体110からのび出たアームにより本体110の四方に配置されている。すなわち、進行方向左後方に回転翼101-1a、101-1b、左前方に回転翼101-2a、101-2b、右後方に回転翼101-3a、101-3b、右前方に回転翼101-4a、101-4bがそれぞれ配置されている。なお、ドローン100は図1における紙面下向きを進行方向とする。回転翼101の回転軸から下方には、それぞれ棒状の足107-1,107-2,107-3,107-4が伸び出ている。
【0018】
モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bは、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4bを回転させる手段(典型的には電動機だが発動機等であってもよい)であり、一つの回転翼に対して1機設けられている。モーター102は、推進器の例である。1セット内の上下の回転翼(たとえば、101-1aと101-1b)、および、それらに対応するモーター(たとえば、102-1aと102-1b)は、ドローンの飛行の安定性等のために軸が同一直線上にあり、かつ、互いに反対方向に回転する。図2、および、図3に示されるように、ローターが異物と干渉しないよう設けられたプロペラガードを支えるための放射状の部材は水平ではなくやぐら状の構造である。衝突時に当該部材が回転翼の外側に座屈することを促し、ローターと干渉することを防ぐためである。
【0019】
薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4は、薬剤を下方に向けて散布するための手段であり4機備えられている。なお、本願明細書において、薬剤とは、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種、および、水などの圃場に散布される液体または粉体を一般的に指すこととする。
【0020】
薬剤タンク104は散布される薬剤を保管するためのタンクであり、重量バランスの観点からドローン100の重心に近い位置でかつ重心より低い位置に設けられている。薬剤ホース105-1、105-2、105-3、105-4は、薬剤タンク104と各薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4とを接続する手段であり、硬質の素材から成り、当該薬剤ノズルを支持する役割を兼ねていてもよい。ポンプ106は、薬剤をノズルから吐出するための手段である。
【0021】
図6に本願発明に係るドローン100の薬剤散布用途の実施例を使用したシステムの全体概念図を示す。本図は模式図であって、縮尺は正確ではない。同図において、ドローン100、操作器401、および基地局404は、営農クラウド405にそれぞれ接続されている。また、小型携帯端末401aは、基地局404に接続されている。これらの接続は、Wi-Fiや移動通信システム等による無線通信を行ってもよいし、一部又は全部が有線接続されていてもよい。
【0022】
操作器401は、使用者402の操作によりドローン100に指令を送信し、また、ドローン100から受信した情報(たとえば、位置、薬剤量、電池残量、カメラ映像等)を表示するための手段であり、コンピューター・プログラムを稼働する一般的なタブレット端末等の携帯情報機器によって実現されてよい。本願発明に係るドローン100は自律飛行を行なうよう制御されるが、離陸や帰還などの基本操作時、および、緊急時にはマニュアル操作が行なえるようになっていてもよい。携帯情報機器に加えて、緊急停止専用の機能を有する非常用操作機(図示していない)を使用してもよい(非常用操作機は緊急時に迅速に対応が取れるよう大型の緊急停止ボタン等を備えた専用機器であってもよい)。さらに、操作器401とは別に、操作器401に表示される情報の一部又は全部を表示可能な小型携帯端末401a、例えばスマートホンがシステムに含まれていてもよい。また、小型携帯端末401aから入力される情報に基づいて、ドローン100の動作が変更される機能を有していてもよい。小型携帯端末401aは、例えば基地局404と接続されていて、基地局404を介して営農クラウド405からの情報等を受信可能である。
【0023】
圃場403は、ドローン100による薬剤散布の対象となる田圃や畑等である。実際には、圃場403の地形は複雑であり、事前に地形図が入手できない場合、あるいは、地形図と現場の状況が食い違っている場合がある。通常、圃場403は家屋、病院、学校、他作物圃場、道路、鉄道等と隣接している。また、圃場403内に、建築物や電線等の障害物が存在する場合もある。
【0024】
基地局404は、Wi-Fi通信の親機機能等を提供する装置であり、RTK-GPS基地局としても機能し、ドローン100の正確な位置を提供できるようになっていてもよい(Wi-Fi通信の親機機能とRTK-GPS基地局が独立した装置であってもよい)。また、基地局404は、3G、4G、およびLTE等の移動通信システムを用いて、営農クラウド405と互いに通信可能であってもよい。基地局404は、本実施の形態においては、発着地点406と共に移動体406aに積載されている。
【0025】
営農クラウド405は、典型的にはクラウドサービス上で運営されているコンピュータ群と関連ソフトウェアであり、操作器401と携帯電話回線等で無線接続されていてもよい。営農クラウド405は、ドローン100が撮影した圃場403の画像を分析し、作物の生育状況を把握して、飛行ルートを決定するための処理を行ってよい。また、保存していた圃場403の地形情報等をドローン100に提供してよい。加えて、ドローン100の飛行および撮影映像の履歴を蓄積し、様々な分析処理を行ってもよい。
【0026】
通常、ドローン100は圃場403の外部にある発着地点406から離陸し、圃場403に薬剤を散布した後に、あるいは、薬剤補充や充電等が必要になった時に発着地点406に帰還する。発着地点406から目的の圃場403に至るまでの飛行経路(侵入経路)は、営農クラウド405等で事前に保存されていてもよいし、使用者402が離陸開始前に入力してもよい。
【0027】
図7に本願発明に係る薬剤散布用ドローンの実施例の制御機能を表したブロック図を示す。フライトコントローラー501は、ドローン全体の制御を司る構成要素であり、具体的にはCPU、メモリー、関連ソフトウェア等を含む組み込み型コンピュータであってよい。フライトコントローラー501は、操作器401から受信した入力情報、および、後述の各種センサーから得た入力情報に基づき、ESC(Electronic Speed Control)等の制御手段を介して、モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの回転数を制御することで、ドローン100の飛行を制御する。モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの実際の回転数はフライトコントローラー501にフィードバックされ、正常な回転が行なわれているかを監視できる構成になっている。あるいは、回転翼101に光学センサー等を設けて回転翼101の回転がフライトコントローラー501にフィードバックされる構成でもよい。
【0028】
フライトコントローラー501が使用するソフトウェアは、機能拡張・変更、問題修正等のために記憶媒体等を通じて、または、Wi-Fi通信やUSB等の通信手段を通じて書き換え可能になっている。この場合において、不正なソフトウェアによる書き換えが行なわれないように、暗号化、チェックサム、電子署名、ウィルスチェックソフト等による保護が行われている。また、フライトコントローラー501が制御に使用する計算処理の一部が、操作器401上、または、営農クラウド405上や他の場所に存在する別のコンピュータによって実行されてもよい。フライトコントローラー501は重要性が高いため、その構成要素の一部または全部が二重化されていてもよい。
【0029】
フライトコントローラー501は、Wi-Fi子機機能503を介して、さらに、基地局404を介して操作器401とやり取りを行ない、必要な指令を操作器401から受信すると共に、必要な情報を操作器401に送信できる。この場合に、通信には暗号化を施し、傍受、成り済まし、機器の乗っ取り等の不正行為を防止できるようにしておいてもよい。基地局404は、Wi-Fiによる通信機能に加えて、RTK-GPS基地局の機能も備えている。RTK基地局の信号とGPS測位衛星からの信号を組み合わせることで、フライトコントローラー501により、ドローン100の絶対位置を数センチメートル程度の精度で測定可能となる。フライトコントローラー501は重要性が高いため、二重化・多重化されていてもよく、また、特定のGPS衛星の障害に対応するため、冗長化されたそれぞれのフライトコントローラー501は別の衛星を使用するよう制御されていてもよい。
【0030】
6軸ジャイロセンサー505はドローン機体の互いに直交する3方向の加速度を測定する手段(さらに、加速度の積分により速度を計算する手段)である。6軸ジャイロセンサー505は、上述の3方向におけるドローン機体の姿勢角の変化、すなわち角速度を測定する手段である。地磁気センサー506は、地磁気の測定によりドローン機体の方向を測定する手段である。気圧センサー507は、気圧を測定する手段であり、間接的にドローンの高度も測定することもできる。レーザーセンサー508は、レーザー光の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段であり、IR(赤外線)レーザーであってもよい。ソナー509は、超音波等の音波の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段である。これらのセンサー類は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよい。また、機体の傾きを測定するためのジャイロセンサー(角速度センサー)、風力を測定するための風力センサーなどが追加されていてもよい。また、これらのセンサー類は、二重化または多重化されていてもよい。同一目的複数のセンサーが存在する場合には、フライトコントローラー501はそのうちの一つのみを使用し、それが障害を起こした際には、代替のセンサーに切り替えて使用するようにしてもよい。あるいは、複数のセンサーを同時に使用し、それぞれの測定結果が一致しない場合には障害が発生したと見なすようにしてもよい。
【0031】
流量センサー510は薬剤の流量を測定するための手段であり、薬剤タンク104から薬剤ノズル103に至る経路の複数の場所に設けられている。液切れセンサー511は薬剤の量が所定の量以下になったことを検知するセンサーである。マルチスペクトルカメラ512は圃場403を撮影し、画像分析のためのデータを取得する手段である。障害物検知カメラ513はドローン障害物を検知するためのカメラであり、画像特性とレンズの向きがマルチスペクトルカメラ512とは異なるため、マルチスペクトルカメラ512とは別の機器である。スイッチ514はドローン100の使用者402が様々な設定を行なうための手段である。障害物接触センサー515はドローン100、特に、そのローターやプロペラガード部分が電線、建築物、人体、立木、鳥、または、他のドローン等の障害物に接触したことを検知するためのセンサーである。カバーセンサー516は、ドローン100の操作パネルや内部保守用のカバーが開放状態であることを検知するセンサーである。薬剤注入口センサー517は薬剤タンク104の注入口が開放状態であることを検知するセンサーである。これらのセンサー類はドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。また、ドローン100外部の基地局404、操作器401、または、その他の場所にセンサーを設けて、読み取った情報をドローンに送信してもよい。たとえば、基地局404に風力センサーを設け、風力・風向に関する情報をWi-Fi通信経由でドローン100に送信するようにしてもよい。
【0032】
フライトコントローラー501はポンプ106に対して制御信号を送信し、薬剤吐出量の調整や薬剤吐出の停止を行なう。ポンプ106の現時点の状況(たとえば、回転数等)は、フライトコントローラー501にフィードバックされる構成となっている。
【0033】
LED107は、ドローンの操作者に対して、ドローンの状態を知らせるための表示手段である。LEDに替えて、または、それに加えて液晶ディスプレイ等の表示手段を使用してもよい。ブザー518は、音声信号によりドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるための出力手段である。Wi-Fi子機機能519は操作器401とは別に、たとえば、ソフトウェアの転送などのために外部のコンピューター等と通信するためのオプショナルな構成要素である。Wi-Fi子機機能に替えて、または、それに加えて、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の他の無線通信手段、または、USB接続などの有線通信手段を使用してもよい。また、Wi-Fi子機機能に替えて、3G、4G、およびLTE等の移動通信システムにより相互に通信可能であってもよい。スピーカー520は、録音した人声や合成音声等により、ドローンの状態(特にエラー状態)を知らせる出力手段である。天候状態によっては飛行中のドローン100の視覚的表示が見にくいことがあるため、そのような場合には音声による状況伝達が有効である。警告灯521はドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるストロボライト等の表示手段である。これらの入出力手段は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。
【0034】
図10に示すように、ドローンシステム500は、大別してドローン100と、移動体406aとがネットワークNWを通じて接続されて構成されている。ドローン100および移動体406aは、互いに情報の送受信を行い、協調して動作する。移動体406a上には、図6における発着地点406が形成されている。ドローン100は、ドローン100の飛行を制御する飛行制御部21の他、移動体406aと情報を送受信するための機能部を有している。ドローン100が有する各機能部は、例えば図7に示すフライトコントローラー501に備えられている。なお、ドローン100と移動体406aとは、ネットワークNWを通じて接続される構成に代えて、有線で接続されていてもよい。
【0035】
ドローンシステム500は、ドローン100と移動体406aに加えて、スマートホン等の携帯端末が含まれていてもよい。携帯端末の表示部には、ドローン100の運転に関し予測される動作の情報、より具体的にはドローン100が発着地点406に帰還する予定時刻や、帰還時に使用者402が行うべき作業の内容等の情報が適宜表示される。また、携帯端末からの入力に基づいて、ドローン100および移動体406aの動作を変更してもよい。携帯端末は、ドローン100および移動体406aのいずれからでも情報を受信可能である。また、ドローン100からの情報は、移動体406aを介して携帯端末に送信されてもよい。
【0036】
●移動体の構成
図8および図9に示す移動体406aは、ドローン100が有する情報を受信して、使用者402に適宜通知し、又は使用者402からの入力を受け付けてドローン100に送信する装置である。また、移動体406aは、ドローン100を積載して移動可能である。移動体406aは、使用者402により運転可能である他、自律的に移動可能であってもよい。なお、本実施形態における移動体406aは自動車等の車両、より具体的には軽トラックを想定しているが、電車等の陸上走行可能な適宜の移動体であってもよいし、船舶や飛行体であってもよい。移動体406aの駆動源は、ガソリン、電気、燃料電池等、適宜のものであってよい。
【0037】
移動体406aは、進行方向前方に乗車席81、後方に荷台82が配置されている車両である。移動体406aの底面側には、移動手段の例である4個の車輪83が、駆動可能に配置されている。乗車席81には、使用者402が乗り込むことが可能である。荷台82の上面は、ドローン100の発着地点である発着領域となっている。
【0038】
乗車席81には、移動体406aおよびドローン100の様子を表示する表示部65が配置されている。表示部65は、画面を有する装置であってもよいし、フロントガラスに情報を投影する機構により実現されていてもよい。また、この表示部65に加えて、乗車席81を覆う車体810の背面側にも背面表示部65aが設置されていてもよい。この背面表示部65aは、車体810に対する角度が左右に変更可能であり、荷台82の後方および左右側方で作業している使用者402が画面を見て情報を取得することができる。
【0039】
移動体406aの荷台82前部左端には、丸棒の上方に円盤状の部材が連結された形状をしている基地局404が、乗車席81より上方に伸び出ている。なお、基地局404の形状および位置は、任意である。基地局404が荷台82の乗車席81側にある構成によれば、荷台82の後方にある構成と比較して、基地局404がドローン100の離着陸の妨げになりづらい。
【0040】
荷台82は、ドローン100のバッテリ502や、ドローン100の薬剤タンク104に補充される薬剤を格納する荷室821を有する。荷室821は、乗車席81を覆う車体810と、後方板822と、1対の側方板823、823と、上面板824とに囲まれた領域である。後方板822および側方板823は、「あおり」とも呼ばれる。後方板822の上部両端それぞれには、レール825が、側方板823の上端に沿って乗車席81背面側の車体810まで配設されている。上面板824は、ドローン100が載置され、離着陸することが可能な発着地点406となっており、レール825に沿って進行方向前後に摺動可能になっている。レール825は、上面板824の平面より上方に突出するリブとなっていて、上面板824上に乗っているドローン100が移動体406aの左右端から滑り出てしまうことを防いでいる。また、上面板824の後方にも、レール825と同程度上面側に突出するリブ8241が形成されている。
【0041】
車体810上部および後方板822の進行方向後ろ側には、ドローンシステム500が作業中である旨を表示する警告灯830が配置されていてもよい。警告灯830は、配色又は明滅等で作業中と作業中以外とを区別する表示器であってもよいし、文字又は絵柄等が表示可能であってもよい。また、車体810上部の警告灯830は、車体810上方まで伸びあがって両面に表示することが可能であってもよい。この構成によれば、荷台82にドローン100が配置されている場合であっても、後方から警告を視認することができる。また、移動体406aの進行方向前方からも、警告を視認することができる。
【0042】
上面板824は、手動で摺動可能であってもよいし、ラックアンドピニオン機構などを利用して自動で摺動してもよい。上面板824を後方に摺動させると、荷台82の上方から荷室821に物品を格納したり、物品を取り出したりすることができる。また、上面板824が後方に摺動している形態においては、上面板824と車体810とが十分離間するため、ドローン100が発着地点406に離着陸可能である。
【0043】
上面板824には、ドローン100の足が固定可能な足受部826が4個配設されている。足受部826は、例えばドローン100の4本の足107-1,107-2,107-3,107-4に対応する位置に1個ずつ設置されている、上面が円錐台状に凹んでいる円盤状の部材である。足受部826上に着陸しているとき、ドローン100の足107-1,107-2,107-3,107-4は、足受部826の円錐面に沿って滑り、円錐台の底部に足107-1,107-2,107-3,107-4の先端が誘導される。ドローン100は適宜の機構により足受部826に自動又は手動で固定可能であり、移動体406aがドローン100を載せて移動する際にも、ドローン100が過度に振動したり落下することなくドローン100を安全に輸送することができる。また、移動体406aは、後述する搭載状態取得部322により、ドローン100が足受部826に固定されているか否かを検知可能である。なお、足受部826の底部およびドローン100の足107-1,107-2,107-3,107-4は、互いに嵌合するような形状になっていてもよい。
【0044】
上面板824の、略中央部には、ドローン100の離着陸の位置の目安を表示する円周灯850が配置されている。円周灯850は、略円状に配設される発光体群により形成されていて、発光体群は個別に明滅可能である。本実施形態では、円周上に約90度ごとに配置される4個の大きな発光体850aと、大きな発光体850aの間に2個ずつ等間隔に配置される小さな発光体850bとで、1の円周灯850を構成している。円周灯850は、発光体群850a、850bのうち1又は複数が点灯することで、ドローン100の離陸後の飛行方向、又は着陸する際に飛来する方向を表示する。なお、円周灯850は、部分的に明滅可能な1個の円環状の発光体により構成されていてもよい。
【0045】
1対の側方板823は、底部の辺が荷台82にヒンジで連結されていて、側方板823を外側に倒すことが可能である。図9では、進行方向左側の側方板823が外側に倒れている様子を示している。側方板823が外側に倒れると、移動体406aの側方から格納物を格納および取り出しが可能になる。側方板823は荷室821の底面と略平行に固定され、側方板823を作業台としても使用することができる。
【0046】
1対のレール825は、形態切替機構を構成する。また、側方板823と荷台82を連結するヒンジも、形態切替機構に含まれていてもよい。上面板824が荷室821の上方を覆って配置され、側方板823が起立して荷室821の側面を覆っている形態において、移動体406aは移動する。移動体406aが静止しているとき、上面板824が後方に摺動している形態、又は側方板823が倒れている形態に切り替えられ、使用者402は荷室821の内部にアプローチできる。
【0047】
ドローン100は、発着地点406に着陸している状態において、バッテリ502の補充を行うことができる。バッテリ502の補充とは、内蔵されているバッテリ502の充電、およびバッテリ502の交換を含む。荷室821にはバッテリ502の充電装置が格納されていて、荷室821に格納されているバッテリ502の充電が可能である。また、ドローン100は、バッテリ502に代えてウルトラキャパシタの機構を備え、荷室821内にはウルトラキャパシタ用の充電器が格納されていてもよい。この構成においては、ドローン100が足受部826に固定されている際に、ドローン100の足を介して、ドローン100に搭載されているバッテリ502を急速充電することができる。
【0048】
ドローン100は、発着地点406に着陸している状態において、薬剤タンク104に貯留される薬剤の補充を行うことができる。荷室821には、薬剤を希釈混合するための希釈混合タンク、撹拌機構、ならびに希釈混合タンクから薬剤を吸い上げて薬剤タンク104に注入せしめるポンプおよびホース等の希釈混合を行う適宜の構成要素が格納されていてもよい。また、荷室821から上面板824の上方へ伸び出て、薬剤タンク104の注入口に接続可能な補充用ホースが配管されていてもよい。
【0049】
上面板824の上面側には、薬剤タンク104から排出される薬剤を誘導する廃液溝840および廃液孔841が形成されている。廃液溝840および廃液孔841は、それぞれ2個ずつ配置されていて、ドローン100が移動体406aの左右どちらを向いて着陸しても、薬剤ノズル103の下方に廃液溝840が位置するようになっている。廃液溝840は、薬剤ノズル103の位置に沿って、移動体406aの長さ方向に沿って略真っ直ぐに形成されている、所定の幅を有する溝であり、乗車席81側に向かってわずかに傾斜している。廃液溝840の乗車席81側の端部には、それぞれ上面板824を貫通して荷室821の内部に薬液を誘導する廃液孔841が形成されている。廃液孔841は、荷室821内であって廃液孔841の略真下に設置されている廃液タンク842に連通している。
【0050】
薬剤タンク104に薬剤を注入する際、薬剤タンク104内に充満する気体、主に空気を外部に排出するエア抜き動作を行う。このとき、薬剤タンク104の排出口から薬剤が排出する動作が必要になる。また、ドローン100が作業終了後に、薬剤タンク104から薬剤を排出する動作が必要になる。上面板824に廃液溝840および廃液孔841が形成されている構成によれば、ドローン100を上面板824に配置した状態で、薬剤タンク104への薬剤注入および排出を行う際、廃液を廃液タンク842に誘導することができ、安全に薬剤注入および排出を行うことができる。
【0051】
●移動体およびドローンが有する機能ブロックの概要
図10に示すように、移動体406aは、移動体406a自体が移動するための構成として、移動制御部30を備える。また、移動体406aは、移動体406aに関する情報を取得してドローン100に送信するための構成として、移動体送信部31と、介入操作部35と、入力部36と、を備える。さらに、図11に示すように、移動体406aは、ドローン100に関する情報をドローン100から受信して、情報に基づいて適宜判断し、必要な情報を使用者402に通知するための構成として、移動体受信部60、表示部65、および移動体制御部66を備える。
【0052】
また、図10に示すように、ドローン100は、ドローン100の飛行を自律的に制御可能な飛行制御部21を備える。また、ドローン100は、移動体406aからの情報を受信するための構成として、ドローン受信部20を備える。さらに、図11に示すように、ドローン100は、ドローン100に関する情報を取得して移動体406aに送信するための構成として、ドローン送信部40を備える。
【0053】
●移動体の機能ブロック
図10に示すように、移動体送信部31は、着陸情報送信部311と、移動体状態送信部32と、資源情報送信部33と、を備える。
【0054】
着陸情報送信部311は、ドローン100が移動体406a上の発着地点406に着陸するために必要な情報を、ドローン100のドローン受信部20に伝達する機能部である。着陸情報送信部311は、位置取得部311aと、向き取得部311bと、角度取得部311cと、周辺環境取得部311dと、を備える。着陸情報送信部311は、位置取得部311a、向き取得部311b、角度取得部311cおよび周辺環境取得部311dにより取得される以下の各情報を、ドローン受信部20に伝達する。
【0055】
位置取得部311aは、発着地点406の位置座標を取得する機能部である。位置座標は、3次元座標である。発着地点406は、移動体406aが静止している場合は、現在の移動体406aの位置座標である。移動体406aが移動している場合は、ドローン100が発着地点406の近傍所定範囲に到達するときにおける発着地点406の到達予定位置を示す座標であってもよい。
【0056】
向き取得部311bは、移動体406aの向きを取得する機能部である。移動体406aの向きを検知するにあたっては、移動体406aが有する地磁気センサの値を参照してもよい。
【0057】
角度取得部311cは、移動体406aのロール角度およびピッチ角度を取得する機能部である。
【0058】
周辺環境取得部311dは、ドローン100が発着地点406に着陸するにあたって障害になりえる、周辺環境に関する情報を取得する機能部であり、例えば風の強さおよび向き、雨又は雪等の降水の有無を取得する。また、周辺環境取得部311dは、発着地点406が振動している場合は、その情報を取得する。発着地点406の振動は、地震であってもよいし、交通量の多い道路の近傍において発生する振動であってもよい。発着地点406の振動は、移動体406aが備える6軸ジャイロセンサにより測定可能である。さらに、周辺環境取得部311dは、RTK-GPSが通信する衛星の情報、通信状態、および地磁気の情報を取得してもよい。周辺環境取得部311dからの情報を受信したドローン100は、周辺環境に関する情報に基づいて着陸の可否を判定する。
【0059】
さらに、周辺環境取得部311dは、周辺環境に関する情報の1つとして、移動体406a周辺に存在する障害物を検知する。障害物は、例えば家屋やガードレール、電線等の構造物、および人や動物などの生き物、車等の移動体等、ドローン100が着陸するにあたり衝突の危険があるものである。周辺環境取得部311dは、例えば可視光又は赤外線によるカメラを備えていて、移動体406a周辺の障害物を検知する。また、障害物の検知は、カメラに替えて、又は加えて、Rader/Liderを用いて行うことができ、例えば移動体406aの例である自動車に一般的に備えられている障害物検知のシステムを使用することができる。この構成によれば、ドローン100が検知しきれない障害物の情報を、ドローン100に伝達することができる。したがって、ドローン100が障害物に衝突する危険を、より低減することができる。
【0060】
着陸情報送信部311は、位置取得部311a、向き取得部311b、角度取得部311cおよび周辺環境取得部311dにより取得される情報の少なくともいずれかに基づいて、ドローン100が安全に着陸できるか否かを判定し、判定結果をドローン受信部20に送信してもよい。なお、当該判定は、ドローン100の飛行制御部21が行ってもよい。
【0061】
移動体状態送信部32は、移動体406aの状態をドローン受信部20に伝達する機能部である。移動体状態送信部32は、特に、移動体406aが発着地点406としての機能を発揮できる状態であるかの情報を取得し、ドローン受信部20に伝達する。発着地点406としての機能とは、ドローン100が上面板824に離着陸できること、ドローン100のバッテリ502および薬液を補充可能であること、等を含む。
【0062】
移動体状態送信部32は、形態取得部321と、搭載状態取得部322と、運転状態取得部323と、作業状態取得部324と、システム状態取得部325と、を備える。移動体状態送信部32は、形態取得部321、搭載状態取得部322、運転状態取得部323、作業状態取得部324、およびシステム状態取得部325により取得される以下の各情報を、ドローン受信部20に伝達する。
【0063】
形態取得部321は、移動体406aの形態を取得する機能部である。移動体406aは、前述の形態切替機構により、少なくとも、移動体406aが移動するときの走行形態と、移動体406aからドローン100が離着陸するときの離発着基地形態とが切替可能である。また、本実施形態においては、側方板823が倒れている作業台形態にも切替可能である。形態取得部321は、移動体406aが、走行形態、離発着基地形態、および作業台形態のいずれの形態になっているかの情報を取得する。形態取得部321は、レール825のラックアンドピニオン機構を駆動するモータ等、形態切替機構を駆動する適宜の構成の駆動状態に基づいて、移動体406aの形態を取得してもよい。また、形態取得部321は、タッチスイッチ等、移動体406aの形態を機構的に検知する構成を有していてもよい。
【0064】
作業台状態においては、使用者402が移動体406aの近傍に存在している蓋然性が高いため、ドローン100を離着陸させることができない。したがって、移動体送信部31が、ドローン100の離着陸を禁止する信号又は離着陸を許可する信号をドローン受信部20に送信することで、使用者402に対する安全性が担保される。
【0065】
搭載状態取得部322は、ドローン100が発着地点406に積載されているか否かの情報を取得する機能部である。また、搭載状態取得部322は、ドローン100が発着地点406に固定され、移動体406aが安全に移動可能な状態になっているか否かの情報を取得可能である。搭載状態取得部322は、移動体406aが安全に移動可能な状態であるか否かに基づいて、移動体406aの移動許可および不許可を判定し、当該判定結果を、表示部65を通じて使用者402に伝達してもよい。
【0066】
運転状態取得部323は、移動体406aが移動中又は移動可能な状態にあるか否かを示す運転情報を取得する。また、運転状態取得部323は、移動体406aのさらに詳細な運転状態を取得可能であり、移動中であるか、停車しているが移動可能なアイドル状態であるかを区別して取得可能である。また、運転状態取得部323は、移動体406aが移動不可能な状態においてさらに詳細な運転状態を取得可能であり、停車中である情報の他、形態取得部321からの情報を参照して、作業台形態での作業中、又は形態の変形中である旨の情報を取得してもよい。
【0067】
作業状態取得部324は、ドローン100に補充するバッテリ502および薬液の状態を取得する機能部である。作業状態取得部324は、バッテリ502に対する補充作業の状況を示すバッテリ補充情報をドローン受信部20に伝達する。バッテリ補充情報は、現在移動体406aが荷室821内のバッテリ502を充電中であるか否かの情報、移動体406aの荷室821でバッテリ502の準備をしている状態、移動体406a上でバッテリ502を交換中、又は交換が完了した状態のいずれであるかの情報を含む。また、作業状態取得部324は、薬剤の補充作業の状況を示す薬剤補充情報をドローン受信部20に伝達する。薬剤補充情報は、荷室821で薬剤の準備をしている状態、移動体406a上で薬剤を補充中、又は補充が完了した状態のいずれであるかの情報を含む。また、薬剤補充情報は、荷室821内又は近傍で行われる、薬剤の希釈および混合の進行状況を示す情報を含む。
【0068】
システム状態取得部325は、移動体406aが有するシステムがおかれている状態(以下、「システム状態」ともいう。)の情報を取得する機能部である。システム状態の情報は、移動体406aの異常の有無、基地局404の異常の有無の情報を含む。なお、本説明においてドローン100、基地局404、および移動体406aの「異常」とは、外部環境が異常な状態の他、内部の故障も含む。
【0069】
移動体406aの異常においては、発生している異常の内容に基づいて、ドローン100がすぐに帰還すべきか否かの情報も含む。移動体406aの異常の程度が軽微であったり、ドローン100の作業に大きな影響のない種類の異常である場合には、ドローン100を帰還させる必要がない場合もあるためである。ドローン100の帰還が必要な異常とは、移動体406aの燃料が所定以下になった場合等が考えられる。システム状態の情報は、移動体406aを駆動する駆動源の、駆動エネルギー容量の残量を含む。システム状態取得部325は、移動体406aを駆動する燃料の残量が所定以下であるとき、その旨を通知可能である。移動体406aの駆動源は、ガソリン、電気、燃料電池等、適宜のものであってよい。
【0070】
なお、基地局404に異常が生じている旨の情報は、移動体送信部31からドローン受信部20に伝達されてもよいし、移動体送信部31を介さず、基地局404からドローン受信部20に伝達されてもよい。
【0071】
資源情報送信部33は、ドローン100に補充可能な移動体406aに準備されている資源の量を示す資源情報を、ドローン受信部20に送信する機能部である。資源情報は、充電済みのバッテリ502の個数や薬剤量を含む。また、資源情報は、バッテリ502を充電する設備の充電余力であってもよい。ドローン100が燃料電池で駆動する構成の場合は、ドローン100に貯留可能な燃料ガス、例えば水素ガスの量であってもよい。移動体406aに準備されている資源の量は、使用者402による手入力によって取得されてもよいし、自動で取得する構成であってもよい。自動で取得する構成の例としては、薬剤量を取得するために荷室821の所定範囲の重量を計測する構成を有していてもよい。また、充電済みのバッテリ502の個数を取得するために、荷室821の所定範囲の重量に加えて、バッテリ502の容量を測定する構成を有していてもよい。
【0072】
介入操作部35は、ドローン100の飛行制御の命令をドローン受信部20に送信する機能部である。ドローン100は、通常時にはドローン100自体が有する飛行制御部21により自律的に動作するが、ドローン100に異常が生じた場合等には、移動体406aからの命令が介入して、ドローン100を操作することができる。移動体406aの入力部36を通じて、使用者402からの命令をドローン100に伝達することもできる。特に、介入操作部35は、使用者402がドローン100の作業を中止して発着地点406に帰還させたい場合に、帰還する旨の命令をドローン100に送信することができる。また、介入操作部35は、ドローン100の3次元位置座標、速度、加速度、機首の向きを個別に操作する信号をドローン100に送信可能であってもよい。介入操作部35は、ドローン100からの異常情報を受け取ると、ドローン100の飛行の制御を開始してもよい。
【0073】
介入操作部35は、移動体406aのナビゲーションシステムの入出力部に入力される操作に応じてドローン100を制御してもよい。移動体406aのナビゲーションシステムは、移動体406aの周辺地図、移動体406aの現在位置、移動体406aの移動目標地点、および現在位置から移動目標地点までの推奨経路等を出力するシステムである。ナビゲーションシステムは、例えば乗車席82内に設置され、運転席又は助手席から操作し、表示を見ることができる。介入操作部35は、少なくとも介入操作時において移動体406aのナビゲーションシステムの表示部に表示される地図上に、ドローン100の位置を表示させてもよい。この構成によれば、移動体406aに乗車した状態で、ドローン100の介入操作を容易に行うことができる。また、介入操作部とナビゲーションシステムとで、ハードウェア構成を共有することができる。
【0074】
入力部36は、使用者402からの入力を受け付ける機能部である。入力部36は、例えばドローン100の飛行を開始する旨の命令や、ドローン100を発着地点406に帰還させる旨の命令が入力可能である。入力部36は、表示部65と同様の機構で構成されるタブレットであってもよい。
【0075】
図11に示すように、移動体406aは、移動体受信部60、表示部65、および移動体制御部66をさらに有する。
【0076】
移動体受信部60は、ドローン送信部40からの情報を受信する機能部である。移動体受信部60が受信する情報に関しては、ドローン100の機能ブロックの説明と共に後述する。
【0077】
表示部65は、使用者402に伝達すべき情報を適宜表示するための機能部である。
【0078】
移動体制御部66は、移動体受信部60により受信される情報に基づいて、移動体406aの動作を決定する機能部である。移動体406aの動作は、使用者402への通知要否の判定や、移動体406aの形態を変更する動作を含む。移動体制御部66の動作の詳細は、移動体受信部60が受信する情報、およびドローン100の機能ブロックの説明と共に後述する。
【0079】
●ドローンの機能ブロック
図11に示すように、ドローン送信部40は、機体情報送信部41と、予測情報送信部42と、異常検知部43と、要求指令送信部44と、を備える。
【0080】
機体情報送信部41は、ドローン100の現在の状況に関する情報を、移動体受信部60に送信する機能部である。機体情報送信部41は、位置取得部411と、向き取得部412と、作業情報取得部413と、通信環境取得部414と、資源情報取得部415と、運転経路取得部416と、搭載状態取得部417と、を備える。
【0081】
位置取得部411は、ドローン100の3次元位置座標を取得する機能部である。3次元位置座標は、RTK-GPSの情報に基づいて取得される。本構成によれば、ドローン100の現在の位置を表示部65に表示することができる。また、ドローン100が発着地点406に着陸している際にドローン100の3次元座標を取得して、ドローン100自体および移動体406aに、着陸可能な座標として記憶しておくことも可能である。ドローン100は、着陸時のドローン100の3次元座標に基づいて、着陸する位置を決定するように構成されていてもよい。この構成によれば、着陸するために取得する発着地点406の位置座標をドローン100の構成により取得することができるため、移動体406aにRTK-GPSの構成を搭載する必要がなく、構成が簡素にできる。また、移動体制御部66は、ドローン100が着陸している際の座標に基づいて、ドローン100が帰還可能となるように移動体406aを誘導することも可能である。
【0082】
向き取得部412は、ドローン100の機首の向きを取得する機能部である。機首の向きは、ドローン100に搭載されている地磁気センサの値、又はGPSコンパスの値を参照して取得される。
【0083】
作業情報取得部413は、ドローン100が行っている作業状態に関する情報を取得する機能部である。ドローン100の作業状態とは、離陸中、着陸中、ホバリング待機中の状態を含む。また、ドローン100が圃場に進入中の状態、および圃場外を飛行中の状態を含む。さらに、ドローン100が薬剤散布又は監視等の作業を行っている状態、および当該作業を行っていない状態を含む。作業状態に関する情報は、表示部65を通じて適宜表示されてもよい。この構成によれば、使用者402は、自動運転のドローン100の状態を略リアルタイムで知ることができ、使用者402に安心感を与える。
【0084】
通信環境取得部414は、衛星との通信、および移動体406aその他ドローンシステム500が有する構成との通信の状態を取得する機能部である。
【0085】
資源情報取得部415は、ドローン100が積載している資源量、すなわちバッテリ502の残量や薬剤タンク104の残量を取得する機能部である。
【0086】
運転経路取得部416は、あらかじめ定められているドローン100の圃場内の運転経路の情報を取得する機能部である。ドローン100は、当該運転経路の情報に基づいて圃場内を飛行し、監視や薬剤散布等の所定の作業を行う。また、運転経路取得部416は、ドローン100が圃場に進入又は圃場から退出する入退出点と、発着地点406とを結ぶ発着経路の情報と、を取得し、ドローン送信部40を介して移動体406aに送信してもよい。
【0087】
搭載状態取得部417は、ドローン100が移動体406aに積載されているか否かの情報を取得する機能部である。また、搭載状態取得部417は、ドローン100が移動体406aの発着地点406に固定され、移動体406aが安全に移動可能な状態になっているかを示す搭載情報を取得可能であってもよい。搭載状態取得部417は、ドローン100が安全に固定されている場合には、移動体406aの移動を許可する旨の信号を、ドローン送信部40を介して移動体406aに送信してもよい。また、搭載状態取得部417は、ドローン100が固定されていない場合には、移動体406aの移動を許可しない旨の信号を、ドローン送信部40を介して移動体406aに送信してもよい。
【0088】
予測情報送信部42は、ドローン100が発着地点406に帰還して行う、資源の補充に関する情報を予測し、移動体受信部60に送信する機能部である。予測情報送信部42は、帰還時刻取得部421と、帰還回数取得部422と、必要補充量取得部423と、を備える。
【0089】
帰還時刻取得部421は、ドローン100が圃場等の対象エリアにあらかじめ定められる運転予定経路上の作業を完了させるにあたり、作業の開始からドローン100が資源の補充のために発着地点406に帰還する作業中断点に到達するまでの所要時間を算出する機能部である。帰還時刻取得部421は、当該所要時間および現在時刻を参照して、作業を中断する予定時刻、およびドローン100が発着地点406に帰還する予定時刻を取得可能であってもよい。
【0090】
帰還回数取得部422は、ドローン100が資源の補充のために発着地点406に帰還する予定回数を取得する機能部である。
【0091】
必要補充量取得部423は、ドローン100に補充が必要な資源の量を取得する機能部である。必要な資源の量は、例えば充電済みバッテリの個数や、薬剤量である。充電済みバッテリの個数は、運転予定経路の長さや、過去の消費電力の実績値等を勘案して算出可能である。薬剤量は、圃場の総面積と、薬剤の種類に応じて定められる散布濃度に基づいて算出可能である。
【0092】
異常検知部43は、ドローン100に生じている異常を検知し、ドローン送信部40を通じて移動体受信部60に送信する機能部である。ドローン100に異常が生じている場合、ドローン100は発着地点406に帰還する。移動体制御部66は、ドローン100の異常を受信すると、異常検知部43からの情報に基づいて、ドローン100が帰還可能な位置に、帰還可能な形態となっているかを判定し、必要に応じて位置又は形態を変更する。また、移動体制御部66は、使用者402に位置又は形態を変更するよう表示部65を通じて通知する。さらに、移動体制御部66は、使用者402に移動体406aから所定以上離れるよう、表示部65を通じて通知する。
【0093】
要求指令送信部44は、移動体406aの状態に関する要求指令を、移動体受信部60に送信する機能部である。特に、要求指令送信部44は、ドローン100が帰還を予定している場合において、移動体406aの位置、向き、および形態を着陸可能な状態にする旨の要求を、移動体受信部60に送信してもよい。移動体制御部66は、当該要求に基づいて自動で着陸可能な状態に変更してもよいし、使用者402に適宜の通知をすることで着陸可能な状態になるよう使用者402を誘導してもよい。また、要求指令送信部44は、移動体406aが着陸可能な状態にある場合には、移動体406aの移動を禁止する指令、および移動体406aの形態の変更を禁止する指令を送信してもよい。
【0094】
●ドローンが移動体上の発着地点に着陸するフローチャート
図12に示すように、まず、移動体受信部60は、ドローン100の着陸予定座標、機首の向き、および着陸予定時刻を、機体情報送信部41および予測情報送信部42から受信する(S11)。
【0095】
移動体制御部66は、移動体406aの位置、向き、および角度が、ドローン100が帰還可能な範囲になっているか否かを判定する(S12)。帰還可能でない場合には、移動体制御部66は、移動制御部30を駆動させて、移動体406aをドローン100が帰還可能な位置、向き、および角度になるよう移動させる(S13)。又は、移動体制御部66は、表示部65を通じて移動体406aの移動要求を使用者402に通知し、ステップS12に戻る。
【0096】
移動体406aの位置、向き、および角度が帰還可能な範囲になっている場合、移動体406aを移動させないよう表示部65を通じて使用者402に通知する(S14)。また、移動体406aの位置、向き、および角度をドローン100に送信する。
【0097】
次いで、移動体制御部66は、周辺環境取得部311dにより取得される、衛星又はドローンシステム500上の他の構成との通信状態が適切か否かを判定する(S15)。通信状態が適切でない場合、所定時間待機する(S16)。また、通信状態に起因して待機している旨を使用者402に通知する。さらに、待機を予定している時間を通知するように構成されていてもよい。また、待機に代えて、移動体406aの位置を移動させるような要求を使用者402に通知してもよい。移動体406aが電波障害を引き起こす構造物の近傍に配置されている場合や、衛星との通信にあたって、移動体406aから見た衛星の位置が誤認識されてしまうような場合には、移動体406aの移動が有用である。
【0098】
次いで、移動体制御部66は、形態取得部321により取得される移動体406aが、ドローン100が帰還可能な形態になっているか否かを判定する(S17)。ドローン100が帰還可能な形態ではない場合、移動体制御部66は、ドローン100の形態を変更する(S18)。また、移動体制御部66は、移動体406aの形態を変更するよう、表示部65を通じて使用者402に通知してもよい。
【0099】
次いで、移動体制御部66は、移動体406aの運転状態が、ドローン100が帰還可能な状態になっているか否かを判定する(S19)。ドローン100が帰還可能な運転状態ではない場合、移動体制御部66は、運転状態を変更する(S20)。また、移動体制御部66は、移動体406aの運転状態を変更するよう、表示部65を通じて使用者402に通知してもよい。
【0100】
表示部65は、ドローン100が帰還予定であるため、荷台82に近づかないよう使用者402に通知する(S21)。このとき、周辺環境取得部311dにより取得される情報に基づいて、移動体406a周辺に人や障害物が存在していないことを確認した上で、ドローン100に着陸許可を出すよう構成されていてもよい。着陸許可が受信されると、ドローン100は、発着地点406に着陸する(S22)。
【0101】
●移動体が保有する、ドローンに補充すべき資源を管理するフローチャート
図13に示すように、移動体受信部60は、ドローン100のバッテリ502の必要個数、薬剤の必要量、帰還予定時刻、および帰還回数等の情報を、ドローン100の予測情報送信部42からを受信する(S31)。移動体制御部66は、資源情報送信部33により取得される資源量を参照し、移動体406aが保有しているバッテリ502の個数、および薬剤量が、充分であるか否かを判定する(S32)。移動体406aの保有するバッテリ502の個数又は薬剤量が充分ではない場合、移動体制御部66は、補充する必要がある旨、および必要な補充量を使用者402に通知する(S33)。また、移動体制御部66は、次の帰還までに必要な量と、圃場の作業終了までに必要な総量とを区別して使用者402に通知してもよい。
【0102】
●ドローンに異常が生じた場合のフローチャート
図14に示すように、まず、ドローン100の異常検知部43が異常を検知する(S41)。次いで、ドローン送信部40は、ドローン100が移動体406aに帰還する旨の情報を移動体受信部60に送信する(S42)。
【0103】
ドローン100の飛行制御部21は、飛行制御部21自身の制御により帰還が可能であるかを判定し(S43)、帰還可能である場合には飛行制御部21による帰還をするものとして、図12のステップS11に進む。
【0104】
飛行制御部21自身の制御により帰還が不可能であると判定される場合、移動体制御部66は、移動体406aの介入操作部35が行う介入操作により、ドローン100が帰還可能であるかを判定する(S45)。帰還可能である場合は、移動体406aからの介入操作に切り替え(S46)、図12のステップ11に進む。ステップS45において、介入操作によっても帰還が不可能であると判定される場合、ドローン100はその場で着陸するか、回転翼の動作を停止させてその場で落下させるといった、緊急停止を行う(S47)。
【0105】
●移動体に異常が生じた場合のフローチャート
図15に示すように、まず、移動体406aのシステム状態取得部325は、移動体406aにおいてドローン100の帰還が必要な異常が発生していることを検知する(S51)。ついで、移動体送信部31は、ドローン100を帰還させる旨の指令をドローン受信部20に送信する(S52)。
【0106】
●移動体(2)
図16を用いて、本発明にかかる移動体の第2の実施形態に関して、先に説明した形態と異なる部分を中心に説明する。以下、他の実施形態と同様の構成に関しては、同一の符号を付した。第2実施形態の移動体406bは、上面板824の下側に第2上面板824bが配置されている点において、第1実施形態の移動体と異なっている。この構成によれば、上面板824が摺動しても、荷室821内部の上方が開放されることがなく、積載物を保護することができる。また、移動体406bは、側方のあおり823bの下端が、荷室821の端部とヒンジで連結されていて、あおり823bを倒して荷室821の底面と略平行に固定することができる。この構成によれば、荷室821内部の積載物にアプローチできると共に、あおり823bを作業台としても利用することができる。
【0107】
●移動体(3)
図17を用いて、本発明にかかる移動体の第3の実施形態に関して、先に説明した形態と異なる部分を中心に説明する。第3実施形態の移動体406cは、側方のあおり823cの上端が、レール825cとヒンジで連結されていて、あおり823cを回動させて上面板824と略平行に固定することができる点において、第1実施形態の移動体と異なっている。この構成によれば、あおり823cにより着陸可能な面を拡張することができる。また、本実施形態では、第2上面板824aが配置されている。
【0108】
●移動体(4)
図18を用いて、本発明にかかる移動体の第4の実施形態に関して、先に説明した形態と異なる部分を中心に説明する。第4実施形態の移動体406dは、荷室821内に摺動荷室821dが収容されてなる入れ子構造になっていて、あおり823dの下端は摺動荷室821dとヒンジで接続され、あおり823dと摺動荷室821dとが上面板824の下方から側方へ向かって引き出せるようになっている。本構成によれば、積載物を摺動荷室821dごと引き出せるため、作業性が向上する。また、本実施形態では、第2上面板824aが配置されている。
【0109】
●移動体(5)
図19を用いて、本発明にかかる移動体の第5の実施形態に関して、先に説明した形態と異なる部分を中心に説明する。第5実施形態の移動体406eは、側方のあおり823eが荷台82の端部とヒンジで連結され、摺動荷室821eが荷室821から引き出されるようになっている。この構成によれば、摺動荷室821eが引き出されたときに、摺動荷室821eがあおり823eによって支持されるので、摺動荷室821eをより安定して引き出すことができる。また、本実施形態では、第2上面板824aが配置されている。
【0110】
●移動体(6)
図20に示す第6実施形態の移動体406fは、第4実施形態の移動体406dの第2上面板824aを取り外した形状である。
【0111】
●移動体(7)
図21に示す第7実施形態の移動体406gは、第5実施形態の移動体406eの第2上面板824aを取り外した形状である。
【0112】
●移動体(8)
図22に示す第8実施形態の移動体406hは、第3実施形態のあおり823cが配置され、あおり823cの下方から摺動荷室821eが引き出される形状である。また、本実施形態では、第2上面板824aが配置されている。
【0113】
なお、本説明においては、農業用薬剤散布ドローンを例に説明したが、本発明の技術的思想はこれに限られるものではなく、撮影・監視用など他の用途のドローン全般に適用可能である。特に、自律的に動作する機械に適用可能である。また、移動体は、車両に限らず適宜の構成であってもよい。
【0114】
(本願発明による技術的に顕著な効果)
本発明にかかるドローンシステムにおいては、ドローンと、ドローンを積載して移動可能であってドローンの離着陸が可能な移動体とが協調して動作し、ドローンが自律飛行する場合であっても高い安全性を維持できる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23