(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】航空エンジンの後縁コアコンパートメント排気口
(51)【国際特許分類】
F02K 1/38 20060101AFI20230814BHJP
B64D 33/04 20060101ALI20230814BHJP
F01D 25/12 20060101ALI20230814BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20230814BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20230814BHJP
F02K 3/06 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
F02K1/38
B64D33/04
F01D25/12 E
F02C7/00 B
F02C7/00 F
F02C7/18 Z
F02K3/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016191366
(22)【出願日】2016-09-29
【審査請求日】2019-09-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-09
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィリー, ロバート エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】トレトウ, ポール アール.
(72)【発明者】
【氏名】セラ, デーヴィッド エフ.
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】水野 治彦
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-523947(JP,A)
【文献】特表2009-508038(JP,A)
【文献】特開2008-38905(JP,A)
【文献】特表2009-512807(JP,A)
【文献】特開2007-285245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02K1/00-1/82
F02K3/00-3/12
F02C7/00,7/18
F01D25/12
B64C27/00-27/26
B64D29/00-29/08
B64D33/00-33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要な外側壁であって、エンジンのコア領域から前記主要な外側壁の終端部である環状壁終端部まで延在し、エンジンのテールコーンを取り囲み、かつ前記テールコーンとの間にコアノズルを形成する、主要な外側壁、及び
シングルエンジンコアカウルであって、前記エンジンのコア領域から前記シングルエンジンコアカウルの終端部である環状カウル終端部まで延在し、前記主要な外側壁を取り囲み、かつ前記主要な外側壁との間にコアコンパートメント排気ノズルを形成する、シングルエンジンコアカウルを備え、
前記コアコンパートメント排気ノズルが、前記シングルエンジンコアカウルと前記主要な外側壁との間の後縁において、コアコンパートメントからの空気を排出し、前記環状壁終端部の全体が前記環状カウル終端部から引っ込んでいて、前記シングルエンジンコアカウル
が、前記エンジンのコア領域から、前記環状壁終端部とほぼ平行に配向された前記環状カウル終端部まで延在している、タービンエンジンノズル。
【請求項2】
前記コアコンパートメント排気ノズルが、前記シングルエンジンコアカウルと前記主要な外側壁との間に環状空間を形成している、請求項1に記載のタービンエンジンノズル。
【請求項3】
ファン気流を排出するためのファン気流出口を備えたダクト内のファンと、
タービンエンジンコアとを備え、前記タービンエンジンコアが、
前記タービンエンジンコアからコア気流を排出するためのコアノズル、及び
コアコンパートメントからコアコンパートメント排気流を排出するためのコアコンパートメント排気ノズルを備え、前記コアコンパートメント排気ノズルは、前記ファン気流と前記コア気流との間の後縁においてコアコンパートメント排気流を排出し、
前記タービンエンジンコアが、
主要な外側壁であって、エンジンのコア領域から前記主要な外側壁の終端部である環状壁終端部まで延在し、エンジンのテールコーンを取り囲み、かつ前記テールコーンとの間に前記コアノズルを形成する、主要な外側壁、及び
シングルエンジンコアカウルであって、前記エンジンのコア領域から前記シングルエンジンコアカウルの終端部である環状カウル終端部まで延在し、前記主要な外側壁を取り囲み、かつ前記主要な外側壁との間に前記コアコンパートメント排気ノズルを形成する、シングルエンジンコアカウルを備え、前記環状壁終端部の全体が前記環状カウル終端部から引っ込んでいて、前記シングルエンジンコアカウル
が、前記エンジンのコア領域から、前記環状壁終端部とほぼ平行に配向された前記環状カウル終端部まで延在している、航空エンジン。
【請求項4】
前記コアコンパートメント排気ノズルが、前記シングルエンジンコアカウルと前記主要な外側壁との間に環状空間を形成している、請求項
3に記載の航空エンジン。
【請求項5】
少なくとも部分的に前記ダクト内のファン及び前記タービンエンジンコアを包囲するエンジンカバーを更に備えている、請求項
3に記載の航空エンジン。
【請求項6】
胴体及び少なくとも1つの翼を備える航空機本体と、
少なくとも1つの航空エンジンとを備え、
前記少なくとも1つの航空エンジンが、
ファン気流を排出するためのファン気流出口を備えたダクト内のファン、及び
タービンエンジンコアを備え、
前記タービンエンジンコアが、
前記タービンエンジンコアからコア気流を排出するためのコアノズル、及び
コアコンパートメントからコアコンパートメント排気流を排出するためのコアコンパートメント排気ノズルであって、前記ファン気流と前記コア気流との間の後縁においてコアコンパートメント排気流を排出する、コアコンパートメント排気ノズルを備え、
前記タービンエンジンコアが、
主要な外側壁であって、エンジンのコア領域から前記主要な外側壁の終端部である環状壁終端部まで延在し、エンジンのテールコーンを取り囲み、かつ前記テールコーンとの間に前記コアノズルを形成する、主要な外側壁、及び
シングルエンジンコアカウルであって、前記エンジンのコア領域から前記シングルエンジンコアカウルの終端部である環状カウル終端部まで延在し、前記主要な外側壁を取り囲み、かつ前記主要な外側壁との間に前記コアコンパートメント排気ノズルを形成する、シングルエンジンコアカウルを備え、前記環状壁終端部の全体が前記環状カウル終端部から引っ込んでいて、前記シングルエンジンコアカウル
が、前記エンジンのコア領域から、前記環状壁終端部とほぼ平行に配向された前記環状カウル終端部まで延在している、航空機。
【請求項7】
前記コアコンパートメント排気ノズルが、前記シングルエンジンコアカウルと前記主要な外側壁との間に環状空間を形成している、請求項
6に記載の航空機。
【請求項8】
少なくとも部分的に前記ダクト内のファン及び前記タービンエンジンコアを包囲するエンジンカバーを更に備えている、請求項
6に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在、航空エンジンのノズルは、後方の環状排気口を通してコアコンパートメントの空気を排出する。通常、コアコンパートメント排気口が、エンジンのコアカウルを前方部分と後方部分に分離する。従来の配置では、主要なノズルの外側壁が、高音速疲労荷重に晒され、高音速疲労荷重に耐えるためにより厚くなることが必要となり得る。更に、後方フェアリング熱シールドが、該後方フェアリング熱シールドと主要なノズルの外側壁との間の隙間を許容するように設計されることが必要であり得る。より長いノズルのために、後方フェアリング及びその熱シールドは、より長くなる必要があり得る。
【発明の概要】
【0002】
本開示の態様は、タービンエンジンノズルに関する。タービンエンジンノズルは、エンジンのコア領域からエンジンのテールコーンを取り囲む環状壁終端部まで延在し、コアノズルを形成する主要な外側壁を含む。タービンエンジンノズルは、エンジンのコア領域から環状カウル終端部まで延在しコアコンパートメント排気ノズルを形成する、シングルエンジンコアカウルも含む。コアコンパートメント排気ノズルは、シングルエンジンコアカウルと主要な外側壁との間の後縁において、コアコンパートメントからの空気を排出する。
【0003】
本開示の態様は、航空エンジンに関する。航空エンジンは、ファンの気流を排出するためのファン気流出口を備えたダクト内のファンと、タービンエンジンコアとを含む。タービンエンジンコアは、該タービンエンジンコアからコア気流を排出するためのコアノズルを含む。タービンエンジンコアは、コアコンパートメントからコアコンパートメント排気流を排出するためのコアコンパートメント排気ノズルも含む。コアコンパートメント排気ノズルは、ファン気流とコア気流との間の後縁からコアコンパートメント排気流を排出する。
【0004】
本開示の態様は、航空機に関する。航空機は、胴体及び少なくとも1つの翼を備えた航空機本体と、少なくとも1つのエンジンとを含む。少なくとも1つの航空エンジンは、ファン気流を排出するためのファン気流出口を備えたダクト内のファンと、タービンエンジンコアとを含む。タービンエンジンコアは、該タービンエンジンコアからコア気流を排出するためのコアノズルを含む。タービンエンジンコアは、コアコンパートメントからコンパートメント排気流を排出するためのコアコンパートメント排気ノズルも含む。コアコンパートメント排気ノズルは、ファン気流とコア気流との間の後縁からコアコンパートメント排気流を排出する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の様々な態様による、航空機の一実施例を示す。
【
図2A】本開示の様々な態様による、航空機のエンジンの三次元(3D)の部分図を示す。
【
図2B】本開示の様々な態様による、航空機のエンジンの三次元(3D)の部分図を示す。
【
図3】本開示の様々な態様による、航空機のエンジンの二次元(2D)の断面図を示す。
【
図4】従来のコアコンパートメント排気口の配置の一実施例を示す。
【
図5】従来のエンジンと本開示の態様との間の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
簡明さと例示を目的として、本教示の原理は、主として様々な実施態様の実施例を参照することによって説明される。しかし、同じ原理が、あらゆるタイプの情報及びシステムに等しく適用可能であり、あらゆるタイプの情報及びシステム内に実装され、そのような任意の変形例が本教示の真の精神及び範囲から逸脱しないことを、当業者は容易に理解するだろう。更に、以下の詳細な説明では、添付の図面が参照され、それらの図面は様々な実施態様の特定の実施例を示す。本教示の精神及び範囲から逸脱することなしに、様々な実施態様の実施例に合理的且つ構造的な変更が行われ得る。したがって、後述の詳細な説明は、限定的な意味で捉えるべきではなく、本教示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって規定される。
【0007】
図1は、コアカウルの後縁をコアコンパートメントの後方環状排気口と組み合わせることによって、エンジン102がより小さくより軽い構成へとパッケージされた構成要素を含む結果として、重量が低減され性能が高められ得る、本開示の態様による航空機100の一実施例を示す。
図1は、航空機100内に含まれた様々な構成要素を示しているが、
図1は、航空機の一実施例を示しているのであり、更なる構成要素が追加され、既存の構成要素が除去され得る。
【0008】
図1で示されるように、航空機100は、エンジン102を含み得る。エンジン102は、航空機100に推力を与え、航空機100の電気システムに動力を提供する。エンジン102は、あらゆるタイプの航空エンジン、例えば、ターボファン(又はファンジェット)エンジンであり得る。
図1は1つのエンジンを示しているが、航空機100は、航空機100によって必要とされる任意の数のエンジンを含み得る。
図1で示されるように、エンジン102は、航空機100の翼に連結され得る。
図1は、翼に連結されているエンジン102を示しているが、エンジン102は、必要に応じて航空機100の任意の場所に配置され得る。
【0009】
ある態様では、エンジン102が、あらゆるタイプの航空エンジン、例えば、ターボファンエンジンであり得る。例えば、ターボファンでは、エンジン102が、(コアとも呼ばれる)タービンエンジンとダクト内のファンとを含み得る。タービンは、燃焼から機械的なエネルギーを取得し、そのエネルギーを推力に変換することができる。ダクト内のファンは、タービンからの機械的なエネルギーを使用して、空気を後方へ加速することができる。この実施例では、エンジン102を通過する空気のファン部分が、コアをバイパスし得る。ファン空気とコア空気との両方が、推力に貢献し得る。エンジン102は、協働するこれらの2つの部分の組み合わせを介して推力を生み出し得る。エンジン102は、コアコンパートメント排気口を介してエンジン102の構成要素を通るように、空気の一部分を通すこともできる。通気流を必要とするこのコンパートメントは、コアコンパートメントと呼ばれ得る。何故ならば、コアコンパートメントは、エンジンのコアを取り囲み、エンジンのコアは、エンジンの動作のために必要とされる多くの構成要素を含むからである。これらの構成要素の多くは、それらのそれぞれの温度制限未満で動作するために、冷却空気の流れを必要とし得る。本開示の態様によれば、コアカウルの後縁をコアコンパートメントの後方環状排気口と組み合わせることによって、該構成要素がより小さくより軽い構成へとパッケージされる結果として、重量が低減され性能が高められ得る。コアコンパートメントの通気は、エンジン102の構成要素に冷却を提供することができる。
【0010】
図2A及び
図2Bは、本開示の態様による、エンジン102の三次元(3D)の部分図を示す。
図2A及び
図2Bは、エンジン102内に含まれる様々な構成要素を示しているが、
図2A及び
図2Bは、航空エンジンの一実施例を示しているのであり、更なる構成要素が追加され、既存の構成要素が除去され得る。更に、
図2A及び
図2Bは、エンジン102の半分のみを示しているが、エンジン102は、示された半分と対称に形成され得る更なる半分を含むことが理解されるだろう。
【0011】
図2Aで示されるように、エンジン102は、一般的にナセルと呼ばれるエンジンカバー104を含み得る。ナセル104は、円筒形状に構成され得る。ナセル104は、エンジン102の構成要素をカバーし得る。ナセル104は、任意の材料から製造され、エンジン102のための構造的な覆いを提供し得る。
【0012】
エンジン102は、コア又はコアコンパートメントを含み得る。コアは、タービンと、タービンを制御しタービンに動力を提供する関連システムとを含み得る。コアは、任意の材料から製造され、コアの機能を提供し得る。コアは、ナセル104の内側に配置され得る。ナセル104とコアとの間の環状空間は、エンジン102のファンからの気流のバイパス通路を形成し得る。ナセル104及びコアは、ナセル104の終端部分においてファン出口112を形成し得る。バイパス通路からの空気は、ファン出口112から出ることができる。
【0013】
エンジン102は、シングルコアカウル106を含み得る。シングルコアカウル106は、コアの終端部に連結され得る。シングルコアカウル106は、エンジン102の設計のために必要とされる任意の形状で形成され得る。例えば、シングルコアカウル106は、円筒形状又は円錐形状で形成され得る。シングルコアカウル106は、任意の材料から製造され、シングルコアカウル106の機能を提供し得る。
【0014】
エンジン102は、主要な外側壁108も含み得る。主要な外側壁108は、エンジン102の設計のために必要とされる任意の形状で形成され得る。例えば、主要な外側壁108は、円筒形状又は円錐形状で形成され得る。主要な外側壁108は、主要な即ちコア空気の気流通路を規定し得る。主要な外側壁108は、任意の材料から製造され、主要な外側壁108の機能を提供し得る。エンジン102は、プラグ(即ちテールコーン)110も含み得る。プラグ110は、任意の材料から製造され、プラグ110の機能を提供し得る。主要な外側壁108及びプラグ110は、コアノズル114を形成し得る。コアノズル114は、タービンからのコア気流をエンジン102の後方に出すように導き得る。
【0015】
ある態様では、シングルコアカウル106と主要な外側壁108との間の環状空間が、コアコンパートメント排気ノズル116を形成し得る。
図2Bで示されるように、コアコンパートメント排気ノズル116は、コアコンパートメントから、ファン気流とコア気流との間の大きな後縁領域を通って、コアコンパートメント排気流を排出するように構成され得る。
図2Bで示されるように、コアコンパートメント排気ノズル116は、エンジン102後方の完全な円周の周りの丸い環状空間を形成する。コアコンパートメント排気流は、エンジンの全体の円周の周りで、ファン気流とコア気流との間の後縁を通って排出され得る。
【0016】
図3は、本開示のある態様による、エンジン102の二次元(2D)の断面図を示す。
図3は、エンジン102内に含まれる様々な構成要素を示しているが、
図3は、航空エンジンの一実施例を示しているのであり、更なる構成要素が追加され、既存の構成要素が除去され得る。
【0017】
図3で示されるように、シングルコアカウル106と主要な外側壁108との間の環状空間が、コアコンパートメント排気ノズル116を形成し得る。コアコンパートメント排気ノズル116は、コアコンパートメントから、ファン気流とコア気流との間の大きな後縁を通って、気流を排出するように構成され得る。ある態様では、シングルコアカウル106の終端部及び主要な外側壁108の終端部が、ほぼ平面的に配向されるように形成され得る。ある態様では、シングルコアカウル106の終端部が、主要な外側壁108の終端部から引っ込んでいるように形成され得る。
【0018】
図4は、従来のエンジン200の従来のコアコンパートメント排気口の配置の一実施例を示す。
図4で示されているように、従来のエンジン200の従来のコアコンパートメント排気口の配置は、前方コアカウル202及び後方コアカウル204を含む。前方コアカウル202及び後方コアカウル20
4は、コアコンパートメント排気ノズル206を形成する。更に、従来のエンジン200の従来のコアコンパートメント排気口は、コウモリの翼のような形の傾斜(batwing ramp)208を含む。従来のエンジン200は、熱シールドギャップ210を形成する熱シールド209も含む。従来のエンジン200は、後方フェアリング212も含む。従来の排気口の配置では、コアノズルの外側壁が、音速疲労問題に晒され、高熱負荷に耐えるためにより厚くなることが必要であり得る。更に、後方フェアリングの熱シールドは、エンジンと(番号を付けられていない)後方フェアリング及び(番号を付けられていない)熱シールドとの間の相対的な動きに適合するために、熱シールドとコアノズルの外側壁との間の隙間を許容するように設計される必要があり得る。より長いノズルのために、後方フェアリング及びそれらの熱シールドは、より長くなる必要があり得る。
【0019】
ある態様では、
図2A、
図2B、及び
図3で上述されたように、コアコンパートメント排気流は、シングルコアカウル106と主要な外側壁108との間の後縁において排出される。
図5A及び
図5Bは、
図5Aで示されるエンジン102内の気流と
図5Bで示される従来のエンジン200内の気流との間の差異の一例を示す。
図5Bで示されるように、従来のエンジンは、前方コアカウル202、後方コアカウル204、及びプラグ205を含み得る。
図5Aで示されるように(且つ、
図3を参照して上述されたように)、エンジン102は、シングルコアカウル106、主要な外側壁108、及びプラグ110を含み得る。エンジン102では、従来のエンジンン200と比較したときに、後方コアカウル204が除去され、コアコンパートメント排気流が、ファン気流及びコア気流の間の大きな後縁を通って排出され得る。更に、後方フェアリングの熱シールドとコアノズルとの間の通常存在する隙間が、シングルコアカウル106と(番号が付けられていない)後方フェアリングとの間の相対的な動きの欠如のために除去され得る。前方コアカウル202から後方コアカウル204へファン空気を遷移させるコウモリの翼のような形の傾斜208は除去され得る。
【0020】
そのようにして、エンジン102は、より短いコアノズル、後方コアカウルの除去、コアノズルから熱シールドまでの隙間の除去、及びコアノズルの単純化を可能にする。例えば、
図5Aで示されるように、後方コアカウル204の除去は、後方コアカウル204と比較して、主要な外側壁108の長さの相違を許容する。すなわち、エンジン102の主要な外側壁108は、従来のエンジン200内の後方コアカウル204よりも短くなり得る。エンジン102では、コアノズル114が晒される熱応力が低減され、コアノズル114がより短くより軽くなり得る。更に、プラグ110が、より短くより軽くなり得る。長さの低減が期待されるので、ノズルはより軽くなり得る。低減された長さのために、後方フェアリングもより短くより軽くなり得る。したがって、エンジン102は、低減された重量、及び低減された表面摩擦損失を介したより高いノズル性能を可能にし得る。
【0021】
条項1
エンジンのコア領域からエンジンのテールコーンを取り囲む環状壁終端部まで延在し、コアノズルを形成する主要な外側壁、及び
前記エンジンのコア領域から環状カウル終端部まで延在し、コアコンパートメント排気ノズルを形成するシングルエンジンコアカウルを備え、
前記コアコンパートメント排気ノズルが、前記シングルエンジンコアカウルと前記主要な外側壁との間の後縁において、コアコンパートメントからの空気を排出する、タービンエンジンノズル。
条項2
前記シングルエンジンコアカウルが、前記エンジンのコア領域から、前記環状壁終端部とほぼ平面的に配向された前記環状カウル終端部まで延在している、条項1に記載のタービンエンジンノズル。
条項3
前記コアコンパートメント排気ノズルが、前記シングルエンジンコアカウルと前記主要な外側壁との間に環状空間を形成している、条項1に記載のタービンエンジンノズル。
条項4
前記シングルエンジンコアカウルが、前記エンジンのコア領域から、前記環状壁終端部から引っ込んだ前記環状カウル終端部まで延在している、条項1に記載のタービンエンジンノズル。
条項5
ファン気流を排出するためのファン気流出口を備えたダクト内のファンと、
タービンエンジンコアとを備え、前記タービンエンジンコアが、
前記タービンエンジンコアからコア気流を排出するためのコアノズル、及び
コアコンパートメントからコアコンパートメント排気流を排出するためのコアコンパートメント排気ノズルを備え、前記コアコンパートメント排気ノズルは、前記ファン気流と前記コア気流との間の後縁においてコアコンパートメント排気流を排出する、航空エンジン。
条項6
前記タービンエンジンコアが、
エンジンのコア領域からエンジンのテールコーンを取り囲む環状壁終端部まで延在し、前記コアノズルを形成する主要な外側壁、及び
前記エンジンのコア領域から環状カウル終端部まで延在し、前記コアコンパートメント排気ノズルを形成するシングルエンジンコアカウルを備えている、条項5に記載の航空エンジン。
条項7
前記シングルエンジンコアカウルが、前記エンジンのコア領域から、前記環状壁終端部とほぼ平面的に配向された前記環状カウル終端部まで延在している、条項6に記載の航空エンジン。
条項8
前記コアコンパートメント排気ノズルが、前記シングルエンジンコアカウルと前記主要な外側壁との間に環状空間を形成している、条項6に記載の航空エンジン。
条項9
前記シングルエンジンコアカウルが、前記エンジンのコア領域から、前記環状壁終端部から引っ込んだ前記環状カウル終端部まで延在している、条項6に記載の航空エンジン。
条項10
少なくとも部分的に前記ダクト内のファン及び前記タービンエンジンコアを包囲するエンジンカバーを更に備えている、条項5に記載の航空エンジン。
条項11
胴体及び少なくとも1つの翼を備える航空機本体と、
少なくとも1つの航空エンジンとを備え、
前記少なくとも1つの航空エンジンが、
ファン気流を排出するためのファン気流出口を備えたダクト内のファン、及び
タービンエンジンコアを備え、
前記タービンエンジンコアが、
前記タービンエンジンコアからコア気流を排出するためのコアノズル、及び
コアコンパートメントからコアコンパートメント排気流を排出するためのコアコンパートメント排気ノズルであって、前記ファン気流と前記コア気流との間の後縁においてコアコンパートメント排気流を排出する、コアコンパートメント排気ノズルを備えている、航空機。
条項12
前記タービンエンジンコアが、
エンジンのコア領域からエンジンのテールコーンを取り囲む環状壁終端部まで延在し、前記コアノズルを形成する主要な外側壁、及び
前記エンジンのコア領域から環状カウル終端部まで延在し、前記コアコンパートメント排気ノズルを形成するシングルエンジンコアカウルを備えている、条項11に記載の航空機。
条項13
前記シングルエンジンコアカウルが、前記エンジンのコア領域から、前記環状壁終端部とほぼ平面的に配向された前記環状カウル終端部まで延在している、条項12に記載の航空機。
条項14
前記コアコンパートメント排気ノズルが、前記シングルエンジンコアカウルと前記主要な外側壁との間に環状空間を形成している、条項12に記載の航空機。
条項15
前記シングルエンジンコアカウルが、前記エンジンのコア領域から、前記環状壁終端部から引っ込んだ前記環状カウル終端部まで延在している、条項12に記載の航空機。
条項16
少なくとも部分的に前記ダクト内のファン及び前記タービンエンジンコアを包囲するエンジンカバーを更に備えている、条項11に記載の航空機。
条項17
前記少なくとも1つの航空エンジンが、前記少なくとも1つの翼に連結されている、条項11に記載の航空機。
【0022】
本教示の例示的な実施態様を参照しながら本教示が説明されたが、当業者は、真の精神及び範囲から逸脱することなしに、説明された実施態様に対する様々な変形を行うことができるだろう。本明細書で使用されている用語及び記述は、説明のみを目的としたもので、限定を意図していない。特に、プロセスは実施例によって説明されているが、プロセスの工程は例示とは異なる順序で、或いは同時に実行されることがある。更に、「含んでいる(including)」、「含む(include)」、「有している(having)」、「有する(have)」、「伴う(with)」という用語又はそれらの変形は、詳細な説明で使用される限りにおいて、そのような用語は、「備える(comprising)」という用語と類似したやり方で包括的であることが企図される。本明細書で使用されるように、例えば、A及びBなどの項目の一覧に関して「の少なくとも1以上」及び「の内の少なくとも1つ」は、Aだけ、Bだけ、又はA及びBを意味する。更に、特に明示されていなければ、「組(set)」という用語は、「1以上」として解釈されるべきである。更に、「連結する(couple)」又は「連結する(couples)」は、間接的又は直接的な連結を意味する。したがって、第1のデバイスが第2のデバイスと連結されるならば、その連結は、直接的な連結、又は他のデバイス、構成要素、及びコネクションを介した間接的な連結であり得る。