(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】太陽電池装置の不整合を処理する方法と、これによって形成される装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20230814BHJP
H01L 31/18 20060101ALI20230814BHJP
H02S 50/15 20140101ALI20230814BHJP
【FI】
H01L31/04 262
H01L31/04 420
H02S50/15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018063680
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-03-25
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レーダー, エリック
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-520259(JP,A)
【文献】米国特許第07989729(US,B1)
【文献】特表2015-505167(JP,A)
【文献】特開2013-084751(JP,A)
【文献】特開平06-151908(JP,A)
【文献】特開2015-050295(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002927(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池装置(8)を処理する方法であって、
内部に形成された太陽電池の動作領域を有する半導体基板(10)の表面において、少なくとも1つの不整合(14、16)を検出すること(プロセス30)と、
前記少なくとも1つの不整合(14、16)の場所に基づいて堆積パターンを決定すること(プロセス32)
であって、
前記太陽電池装置(8)のための初期の配線案を提供することと、
前記初期の配線案の第1の部分を実行した結果、導電線(24)が前記不整合(16)と重なると判定することと、
前記少なくとも1つの不整合(16)を回避する変更された配線案を決定することと
を含む、堆積パターンを決定することと、
前記堆積パターンに従って前記基板上に材料を選択的に堆積させること(プロセス34)と
を含み、前記材料を選択的に堆積させることは、前記不整合を回避する
前記導電線(24)を堆積させることを含み、前記導電線(24)は、不整合に近接するがその上に位置しないように位置づけされる、方法。
【請求項2】
前記材料を選択的に堆積させることは、
前記少なくとも1つの不整合(14、16)を回避するように構成された前記導電線(24)を選択的に堆積させることを含み、前記導電線により、前記太陽電池装置(8)上の表面配線(12)の一部が形成される、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電線(24)は、アルミニウム、金、銀、銅及びニッケルから選択された一または複数の金属を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記材料を選択的に堆積させることは、パターン形成されたマスク(50)を選択的に堆積させることを含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パターン形成されたマスク(50)によって保護されていない前記基板(10)のエリア上に前記導電線(24)を堆積させることを更に含み、前記導電線は、電気めっきによって選択的に堆積される、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記パターン形成されたマスク(50)によって保護されていない前記基板(10)のエリア上に前記導電線(24)を堆積させることを更に含み、前記導電線(24)は、金属インク堆積プロセスによって選択的に堆積され、前記パターン形成されたマスクにより、前記導電線の寸法が制御される、請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記パターン形成されたマスク(50)が前記少なくとも1つの不整合(14、16)をカバーする、請求項
4から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記パターン形成されたマスク(50)の上に金属層(52)を堆積させることと、次に前記金属層をパターン形成するために、前記半導体基板(10)から前記パターン形成されたマスクを除去することを更に含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記半導体基板(10)の上にフォトレジスト層(60)を堆積させることを更に含み、前記材料を選択的に堆積させることは、パターン形成された放射線マスク(62)を前記フォトレジスト層の上に選択的に堆積させることを含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト層(60)と前記パターン形成された放射線マスク(62)とを放射線にさらすことと、フォトレジストパターン(60a、60b)を形成するために前記フォトレジスト層(60)を現像することとを更に含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記材料を選択的に堆積させることは、前記少なくとも1つの不整合(14、16)の上に絶縁層(70)を選択的に堆積させることを含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記絶縁層(70)は、電気絶縁性ポリマー及び酸化物セラミックから選択された少なくとも1つの材料を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの不整合(14、16)を検出することと、前記基板(10)上に前記材料を選択的に堆積させることとはいずれも、単一の装置を使用して行われる、請求項1から
12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不整合を含む半導体基板上に太陽電池の配線を形成する方法と、この方法によって形成される装置を対象とする。
【0002】
ほとんどの太陽電池は、太陽電池装置によって生成される電流を収集するための表面配線を含む。表面配線は、バスバーで終端する長くて細い金属のグリッド線を有するように構成される。バスバーは、グリッド線から大量の電流を収集し、接触領域までそれを運ぶ。配線が形成される太陽電池の表面にある不整合は、金属配線が半導体層内の不整合と重なる原因となり、その結果、電池性能が低下しうる。例えば、不整合により、短絡が起きうる、及び/又は配線の抵抗が好ましくないレベルまで増加しうる。
図1に、半導体基板10上に形成された太陽電池装置8の一例を示す。
図2に示すように、半導体基板10は、ゲルマニウム又はシリコンを含む支持基板10aと、III/V単結晶素子層10b(例:GaAs及び/又はInGaP)と、表面配線12とを含む。半導体基板10は、図示したように、不整合14及び16を有しうる。不整合14は半導体基板10上にあるが、表面配線12に接触していないため、性能に対する影響はわずか、あるいはまったくない。不整合16はしかしながらグリッド線の下にあるため、太陽電池の性能を低下させる可能性がありうる。バスバー18、接触領域20又はグリッド線22の下に位置する不整合を含む、表面配線12のいずれかの部分に接触する不整合は、性能を低下させる可能性がありうる。
【0003】
図2に、不整合14、16a及び16bを有する半導体基板10上の表面配線12を示す。不整合には、様々な原因からくるさまざまな種類のものがありうる。ある種類の不整合16aは、例えば太陽電池材料の堆積中に落下した粒子等の粒子の形態であり、高い非平面的な表面特徴の原因となり、その上に形成される全ての配線の抵抗を増加させる可能性がありうる。別の不整合16bは、半導体基板の穴のように見える非成長領域として発生する場合があり、抵抗を増加させる、及び/又は装置の動作領域間の電気的短絡を発生させる可能性があり得、これにより装置の性能が低下しうる。
【0004】
太陽電池装置の表面金属配線の製造には、さまざまな方法が知られている。ある一般的な方法では、金属線をパターン形成するリフトオフ技術が採用される。このプロセスには、半導体基板上にパターン形成されたポリマーリフトオフマスクを形成することを含む。リフトオフマスクは、当該技術分野で周知の技術を使って所望の太陽電池の配線構成を形成するために、パターン形成される。パターン形成されたリフトオフマスクは、基板の下層部分が露出する隙間を有する。金属層は、例えば蒸着等の指向性プロセスから、パターン形成されたリフトオフマスクに、及び半導体基板の露出エリアに全体的に堆積される。装置は次に、半導体基板のリフトオフマスク上に形成されていない金属を残しながら、パターン形成されたリフトオフマスク及び覆っている金属層を「はく離(lift off)」させる溶剤にひたされ、配線が形成される。表面配線を製造するための別の従来の方法では、電解(本書では電気めっきとも称される)によって、パターン形成されたマスク自体にではなく、パターン形成されたマスクを貫通して露出している基板のエリアに、金属を選択的に堆積させる。パターン形成されたマスクはその後取り除かれ、選択的に堆積された金属が導電配線として残りうる。
【0005】
表面配線を形成するための別の既知のプロセスには、最初に、例えば蒸着あるいは電気メッキ等のいずれかの適切なプロセスを使用して、金属層を全体的に堆積させ、次に、既知のフォトリソグラフィー技術を使用して金属層をパターン形成することが含まれる。上記フォトリソグラフィー技術には、フォトレジスト層を堆積させ、現像して金属層にパターン形成されたフォトレジストを形成することが含まれうる。次に金属層は、既知のエッチングプロセスを使用して、パターン形成されたフォトレジストによって保護されていない金属のエリアを除去することによって、パターン形成されうる。エッチングの後、パターン形成されたフォトレジストが次に除去されて、基板上にパターン形成された金属配線が残る。
【0006】
太陽電池上に表面配線を形成するための上述したプロセスには、フォトレジストパターンを形成することが含まれる。当該技術分野において周知であるように、上記フォトレジストパターンを形成することには一般に、フォトマスクを通してフォトレジストを放射線にさらすことが伴う。上記フォトマスクは製造するのに長い時間及び高い費用がかかり、何千又は何百万もの同じ太陽電池装置を大量生産するために基本的に同じフォトレジストパターンを形成するのに繰り返し使用される。フォトマスクは簡単に変更できないため、個々の装置用に異なる表面配線パターンを製造するために、フォトレジストパターンを容易に変更することはできない。
【0007】
当該技術分野において、特定の半導体基板の不整合に基づいて、太陽電池及び他の膜の表面配線を変更することを可能にしうるプロセスは重要な一歩である。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、太陽電池装置を処理する方法を対象とする。本方法は、内部に形成された太陽電池の動作領域を有する半導体基板の表面において、少なくとも1つの不整合を検出することを含む。堆積パターンは、少なくとも1つの不整合の場所に基づいて決定される。材料は、堆積パターンに従って、基板上に選択的に堆積される。
【0009】
本開示は、太陽電池装置も対象とする。太陽電池装置は、内部に形成された太陽電池の動作領域を有する半導体基板の表面において、少なくとも1つの不整合を含む。導電線は、少なくとも1つの不整合を避けるように構成される。
【0010】
本開示は更に、太陽電池装置を対象とする。太陽電池装置は、内部に形成された太陽電池の動作領域を有する半導体基板の表面において、少なくとも1つの不整合を含む。半導体基板の表面上には、太陽電池装置によって発生する電流を収集するための表面配線がある。表面配線は、少なくとも1つの不整合のうちの一または複数の上に位置づけされた導電線を含む。太陽電池装置は更に、導電線を一または複数の不整合から分離する、パターン形成された絶縁層を含む。
【0011】
特許請求の範囲に示すように、先述の一般的な記載及び後述の詳細な説明はいずれも例示及び説明に過ぎず、本教示を制限するものでないと理解すべきである。
【0012】
本明細書に組み込まれ、かつ、この明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の態様を例示しており、説明部分と共に、本教示の原理を説明する役割を果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】太陽電池装置に実行される、従来の配線案を示す上面図である。
【
図2】不整合の上に形成された配線を含む、例示的な従来の太陽電池装置を示す断面図である。
【
図3】本開示に係る、太陽電池装置を処理する方法を示す例示的な処理フローである。
【
図4】本開示に係る、導電線が不整合を回避するように、初期の配線案が変更されている、例示的な堆積パターンを示す上面図である。
【
図5A】本開示に係る、次に堆積される導電線が不整合に近接するが接触せずに堆積されるように、不整合をカバーする上記のパターン形成されたマスクの一例を示す断面図である。
【
図5B】本開示に係る、次に堆積される導電線が不整合に近接するが接触せずに堆積されるように、不整合をカバーする上記のパターン形成されたマスクの一例を示す断面図である。
【
図6】A、B及びCは、本開示に係る、マスクの選択的堆積を使用して金属層をパターン形成する方法の一例を示す図である。
【
図7】A及びBは、本開示に係る、不整合上に絶縁材料を選択的に堆積させるプロセスを示す図である。
【
図8】本開示に係る、不整合の上に位置づけされたパターン形成された絶縁層を含む太陽電池装置を示す断面図である。
【
図9】本開示に係る、不整合を検出するために使用される検査装置として同じスキャンヘッドに一体化された、選択的堆積のためのプリントヘッドを含む装置を示す概略図である。
【0014】
図面の幾つかの細部は、厳密な構造的精度、細部、及び縮尺を維持するよりむしろ、理解を促すために簡略化されて図示されていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここから、実施例が添付図面に例示されている本教示を詳しく参照することになる。図面においては、全体を通して同一の要素を指定するのに同じ参照番号が用いられる。以下の説明において、説明の一部を形成し且つ本開示の実行の例示的具体例を示す添付の図面が参照される。したがって、以下の説明は単なる例示である。
【0016】
上述したように、太陽電池は、表面不整合を含みうる半導体基板を使用して形成される。本開示は、不整合上に導電配線を形成することに関連する特定の問題を改善しうる、太陽電池装置を処理する方法を対象とする。本方法を使用して、半導体装置上の不整合の位置が特定される。次に、不整合を回避するように導電配線が形成される。不整合を回避するように配線を形成する代わりに、あるいはそれに加えて、配線を形成する前に絶縁層を使用して不整合をカプセル封止する、及び/又は埋めることにより、配線を不整合から分離させることができる。開示の方法は、太陽電池装置上の配線を変更する及び/又は調整することによって、太陽電池の配線による電流収集の改善、装置の電力発生量の潜在的な改善、及び/又は太陽電池の出力の増加を可能にしうる。
【0017】
図3に、本方法の例示のプロセスフローを示す。
図3のプロセスエレメント30に示すように、本方法は、内部に形成された太陽電池の動作領域を有する半導体基板の表面において、少なくとも1つの不整合の場所を検出し決定することを含む。本書で使用する「不整合」という語は、全ての表面欠陥、非平面的な表面特徴、又は短絡を発生させうる、及び/又は表面配線12がその上に形成された場合に、不整合が存在しなかった場合の配線抵抗と比較して表面配線12の抵抗を増加させうる、他の表面の凹凸を意味している。上記不整合の例は、
図2に関して上述されている。不整合を検出し位置を特定するための技術及び装置は当該技術分野において周知であり、以下により詳しく説明する。プロセスエレメント32にあるように、不整合の場所に基づいて堆積パターンが決定される。次に、プロセスエレメント34にあるように、決定された堆積パターンに従って基板上の材料を選択的に堆積させるために、選択的堆積技術が採用されうる。
【0018】
図4及び5を参照すると、半導体基板10は、太陽電池装置の製造に好適ないずれかの半導体材料を含みうる。例えば、半導体基板は、ゲルマニウム単結晶又はシリコン単結晶を含む支持基板10aを含みうる。例えばGaAs及び/又はInGaP等の一または複数のIII/V単結晶材料を、支持基板10a上でエピタキシャル成長させる。III/V材料は、当該技術分野において周知のように、例えば上部の太陽電池が形成されるInGaPを含むIII/V単結晶素子層10b、及び例えば接触抵抗と表面再結合を低減しうるGaAsを含むIII/V単結晶キャッピング層10c等の多重層を含みうる。半導体基板10は、当該技術分野において周知のように、p-n接合を含みうる太陽電池の少なくとも1つの動作領域を形成するために、一または複数のn型又はp型ドーパントが注入されうる。例示の動作領域64a及び64bを
図5に示したが、いかなる好適な種類又は数の動作領域も採用することができる。
【0019】
図4を参照すると、配線案が実行される半導体基板10は、不整合14、16についてスキャンされる。半導体基板10の全部又は一部がスキャンされうる。半導体基板をスキャンして不整合が見つかった場合、半導体基板10上の不整合の位置が決定される。半導体基板の表面において不整合を検出することは、いずれかの好適な不整合検出システムを使用して行うことができる。不整合検出システムは、半導体基板上の不整合をスキャンして位置を特定するために利用可能である。好適な検出システムの例には、全てカリフォルニア州ミルピタスのKLA Tencor社製造のICOS WI-2280シリーズ、Candela CSxx及びCS9920シリーズ、Surfscanシリーズが含まれる。別の例は、ニュージャージー州フランダーズのルドルフ・テクノロジーズ社製造のAWX(商標)シリーズである。
【0020】
好適な検出システムは、反射光、透過光、フォトルミネセンス、エレクトロルミネセンス又はそれらの組み合わせを用いて、不整合を検出しうる。フォトルミネセンスでは、太陽電池装置の上部セルから放射した光を使用して、不整合を検出することが可能でありうる。例えば、GaAsキャッピング層は、InGaP素子層を励起するのに使用される光を吸収することができ、材料を励起するフォトルミネセンスを吸収する。GaAsキャッピング層は、フォトルミネセンスの検査を実現するために、例えば約5nm~約200nm等の比較的薄くできていてよい。
【0021】
コントラストを上げるために、不整合の検出中に、ノマルスキー干渉コントラスト又はノマルスキー顕微鏡法としても知られる微分干渉コントラスト顕微鏡法を用いることも可能である。微分干渉コントラスト顕微鏡法は、当該技術分野において周知のように、偏光子がサンプルの高さの変化に対してより高い感度を有するように配置され、不整合のコントラストと可視性が高められた光学顕微鏡を採用する。
【0022】
図3のプロセスエレメント32を参照すると、不整合の場所に基づいて堆積パターンを決定することは、オプションとして、太陽電池装置の初期の配線案を提供することを含みうる。一般に、初期の配線案は、製造される太陽電池装置の配線を形成するためのいずれかの所望のパターンを含みうる。一例として、初期の配線案は、
図1に示すように、太陽電池装置8に表面配線12を堆積させるためのパターンを含みうる。本開示の目的において、初期の配線案は、例えば材料を選択的に堆積させて、太陽電池装置8上に表面配線12の所望のパターンを形成するように印刷装置を案内することに対応したソフトウェア命令のセット等の、いずれかの好適な方法で提供されうる。当業者は、本開示を前提として、簡単に好適な初期の配線案を提供することができるであろう。
【0023】
プロセスエレメント30の間に決定される不整合の既知の位置を使用して、半導体基板10に初期の配線案の一部を実行することにより、結果的に、例えば
図1の不整合16の場合のように、導電線24が不整合と重なるか否かが判定されうる。初期の配線案の一部を実行した結果、導電線24が不整合と重なると判定された場合、初期の配線案に不整合を回避する変更が行われうる。本書に記載されるように、不整合を回避することで、短絡の危険性を低下させる、及び/又は表面配線の抵抗の好ましくない増加を避けることができ、これにより太陽電池の配線による電流収集の改善、装置の電力発生量の改善、及び/又は太陽電池の出力の増加を得ることが可能である。
【0024】
図4に、導電性24が不整合16を回避するように、
図1の表面配線12の初期の配線案が変更されている、例示の堆積パターンを示す。この例では、変更された配線案は、導電線24が不整合を回避することで、不整合に近接するが、その上に位置しないように位置づけされる導電線24を含む。不整合を回避するように導電線を位置づけすることに関する「近接する」という語は本書において、隣接する導電線と重ならないように導電線に不整合を回避させる全ての距離と定義される。例えば、導電線は、導電線の不整合に最も近い点において、不整合から0.001ミクロン~5ミクロン、例えば0.01ミクロン~2ミクロンの距離に位置づけされうる。本書において全て導電線24と称されうる、バスバー18、接触領域20又はグリッド線22等の不整合上に位置づけされうる、初期の配線案のいかなる部分にも変更を行うことが可能である。堆積パターンは上述したように決定されうるが、不整合を回避する堆積パターンを決定するための他のいずれかの好適な技術を採用することが可能である。
【0025】
堆積パターンが決定した後で、いずれかの好適な選択的堆積技術を使用して、堆積パターンをガイドとして使用しながら半導体基板に材料が堆積されうる。本書で使用する「上に」という語は、直接の物理的接触を要求するものではないため、半導体基板と、半導体基板上に形成された堆積パターンとの間に介在層を許容するものである。更に、本書で用いられる「上に」という語は常に層間の関係を表し、可能なオプションとして直接の物理的接触が考えられる。「上に直接」という語は、直接の物理的接触が行われることを意味すると定義される。
【0026】
材料の選択的な堆積の一例として、導電配線自体が半導体基板10上に決定された堆積パターンで選択的に堆積される。あるいは、マスクパターンを選択的に堆積させ、導電線を所望の堆積パターンに形成するのに使用することが可能である。
【0027】
配線を選択的に堆積させる場合、導電線を選択的に堆積させるための、いずれかの好適な従来の、又は後に開発された方法が採用されうる。例えば、当該技術分野において周知のように、インクジェットプリントヘッドを使用して、導電性インクを選択的に堆積させて導電線を形成することができる。ドライ、ペースト状、液体中に分散した状態、又は液体であるミクロサイズの、あるいはナノサイズの材料を含む、さまざまな導電性材料を選択的に堆積させるための更に別の技術が知られている。
【0028】
結果として得られた導電線は、選択的に堆積されうる、例えばアルミニウム、金、銀、銅及びニッケルから選択された一または複数の金属等のいずれかの好適な導電性材料を含みうる。ここで使用する「含む(comprise)」という語は、列記された金属、又はこれらのいずれかの金属の合金(例:アルミニウム合金、金合金、銀合金又は銅合金)等の純物質又はほぼ純物質だけでなく、太陽電池の表面配線に好適な多層金属構造の両方を含むことを意味する。太陽電池の配線に好適なこれらの金属の合金の例は、当該技術分野において周知である。これらの金属及びその合金は、当該技術分野において周知であるように、低い表面配線の抵抗、及び/又は良好な基板の接着性を提供する。導電線24の多層構造の一例は、例えばニッケル又はニッケル合金層等の基板に良く接着する導電性材料を含む、比較的薄い接着層を含みうる。接着層の厚さは、例えば0.01ミクロン~1ミクロンであってよい。例えばアルミニウム、金、銀、銅又はこれらのいずれかの材料の合金等の厚い金属の導電性材料が、接着層上に堆積されうる。厚い金属層は、導電線24の大部分を形成し、例えば1ミクロン~100ミクロンの厚さであってよい。上記接着層により、導電線24の半導体基板10への接着が改善される。多層導電線24はまた、オプションとして一または複数の追加の層、例えば導電線を劣化させる可能性がありうる金属の混合を防止する拡散バリア、導電線と半導体基板との間で低抵抗の接触が得られる、金属/半導体接合の接触層、及び酸化を制限する、及び/又は粗度を制御することによって外部の導体との接続しやすくする、導電線上部のキャッピング層も含んでいてよい。接着層、拡散層、接触層、及びキャッピング層は一般に、当該技術分野において導電線での使用が知られている。具体例では、導電線24は、比較的薄く(例:0.01ミクロン~1ミクロン、例えば0.1ミクロン等)、接触層、拡散バリア及び接着層として機能する、半導体基板/導電線の界面におけるニッケルを含む第1の層と、例えばニッケル層上の比較的厚い(例:1ミクロン~100ミクロン、例えば6ミクロン等)アルミニウム、銅又は銀を含みうる導電層と、導電層上のキャッピング層であって、例えば導電層と比べて比較的薄い(例:0.01ミクロン~1ミクロン、例えば0.1ミクロン)金を含むキャッピング層とを含みうる。本開示に記載される全ての導電線は、この段落で明記したいずれかの導電性材料を含んでいてよく、オプションとして、接着層、拡散層、接触層及びキャッピング層から選択される一または複数の層を含みうる。
【0029】
図5Aを参照する。材料の選択的堆積の別の例は、次に所望のパターンの表面配線12を半導体基板10上に形成するのに使用される、パターン形成されたマスク50を選択的に堆積させることを含む。いずれかの好適な種類の選択的に堆積されたマスクを、パターン形成されたマスク50として採用することが可能である。上記マスクを選択的に堆積させるための技術は、当該技術分野において周知である。パターン形成されたマスク50は、例えばポリアミド、ポリイミド、又はフォトレジスト等のいずれかの好適なポリマー材料を含みうる。パターン形成されたマスク50は、あるパターンのマスク材料を半導体基板10上に選択的に堆積させる、例えばインクジェット印刷等の印刷プロセスを使用して堆積されうる。
図5に、次に堆積される導電線24が不整合に近接するが接触せずに堆積されるように、不整合16等の一または複数の不整合をカバーするパターン形成されたマスク50を用いたリフトオフプロセスの一例を示す。金属層52は次に、パターン形成されたマスク50と、パターン形成されたマスク50によって保護されていない下層基板のエリアの両方の上に堆積される。オプションの接着層(図示せず)は、上記に詳しく説明したように、半導体基板10上に金属層52を形成する前に形成されうる。次に、パターン形成されたマスク50をその上に形成された金属層52の一部とともに半導体基板から除去することによって、導電線24が形成される。金属層52とオプションの接着層(堆積された場合)のパターン形成されたマスク50の上に堆積されていない部分は、導電線24を含むパターン形成された配線として残される。
【0030】
図5Bに、金属層52がパターン形成されたマスク50全体の上に堆積されず、代わりに、パターン形成されたマスク50によって保護されていない半導体基板10上のみに、あるいはその周囲部分にのみ選択的に堆積される以外は、上述したリフトオフプロセスと同様の代替プロセスを示す。このプロセスでは、パターン形成されたマスク50は、
図5Aのリフトオフプロセスにおいて上述したように、例えばマスクが不整合16等の一または複数の不整合をカバーするように、選択的に堆積されうる。パターン形成されたマスク50が形成された後に、例えば電気めっきプロセス等のいずれかの好適な選択的堆積技術を使用して、あるいは、例えばインクジェットタイプのプリンタを使用して金属インクを選択的に印刷することによって、金属層52が堆積されうる。オプションの接着層53も、上述したように図示されており、金属層52を選択的に堆積させるのに使用されるプロセスと同じあるいは異なる場合がある、いずれかの好適な選択的堆積技術によって堆積されうる。電気めっきプロセスは、パターン形成されたマスク50によって保護されていない基板のエリアのみに金属層52とオプションの接着層53を形成できる可能性がある。金属インク印刷プロセスはその一方で、パターン形成されたマスク50によって保護されていない基板のエリア、及びオプションとして、パターン形成されたマスク50の保護されていないエリアを囲む部分に金属層52とオプションの接着層53とを堆積させうる。パターン形成されたマスク50は次に、全ての金属層52と、その上に形成されている場合があるオプションの接着層53とともに除去されうる。したがって、パターン形成されたマスクを使用して、例えば電気めっき、又は金属インク堆積プロセス等の選択的堆積プロセスによって堆積される金属グリッドの寸法を制御することが可能である。パターン形成されたマスク50を除去した後に、半導体基板10上の金属層52及びオプションの接着層53の残りの部分により導電線24が形成される。このように、導電線24に、半導体基板10上の全ての不整合を迂回させることができる。上述したように、不整合の回避により、短絡の危険性を低下させる、及び/又は配線の抵抗の好ましくない増加を回避することができ、これにより太陽電池の配線による電流収集の改善、装置の電力発生量の改善、及び/又は太陽電池の出力の増加を得ることが可能である。
【0031】
図6A~6Cによって示すプロセスは、マスクを選択的に堆積させることによって金属層52をパターン形成する方法の更に別の例である。プロセスの一部として、フォトレジスト層60が、
図6Aに示すように、半導体基板10の上に全体的に堆積される。次に、パターン形成された放射線マスク62が、フォトレジスト層60の上に選択的に堆積される。以下に説明するように、パターン形成された放射線マスク62を使用して、フォトレジスト層60の一部を放射線に選択的にさらすことができ、したがって、フォトリソグラフィプロセスにおける従来のフォトマスクの代わりになりうる。しかしながら、従来のフォトマスクと違い、パターン形成された放射線マスク62は、製造される各装置に対して変更が可能である。したがって、パターン形成された放射線マスク62は、
図6Cに示すように、独特の堆積パターンで選択的に堆積され、その結果、不整合16を回避する配線構成が得られうる。
【0032】
この方法、及び本書に開示される配線パターンを堆積させるための他のいずれかの方法では、当業者によって理解されるように、不整合がエンジニアリングによって設定された許容誤差を超えた場合にのみ不整合が問題となる。したがって、例えば本開示のプロセスはオプションとして、検出された不整合が許容誤差内にあり、したがって配線の問題が生じる可能性が低いか、あるいは許容誤差外であり、したがって本書に説明したように、短絡が生じる、あるいは抵抗が増加する可能性があるか否かを判定することを含みうる。不整合が許容誤差内にあると判定された場合、堆積パターンを調節して不整合を回避する理由がない場合があり、配線パターンは、不整合と接触するように形成されうる。一方で、不整合が設定された許容誤差外である場合、本書に記載されるプロセスのいずれかを使用して、不整合を回避することができる。
【0033】
パターン形成された放射線マスク62が選択的に堆積された後に、
図6Aの矢印によって示すように、次にフォトレジスト層60のパターン形成された放射線マスク62によって保護されていないエリアが放射線にさらされて、潜在的なフォトレジストパターン60aが形成される。フォトレジスト層60は次に、
図6Bに示すように、化学処理を使用して現像され、フォトレジストパターン60bが形成される。フォトレジストマスクを堆積させて現像するための、いずれかの好適な従来の又は後に開発された技術を用いることが可能である。
【0034】
金属層52のフォトレジストパターン60bによって保護されていない部分が次に、従来の、又は後に開発されたエッチング技術を使用してエッチングされ、導電線24を含む配線構成が得られうる。本書に記載したように、導電線24は、不整合16に近接するが、接触はしないようにパターン形成されうる。代替プロセスでは、選択的に堆積されたパターン形成された放射線マスク62を用いて、
図5A及び5Bに関連して本書に記載したプロセスにおいて使用されるパターン形成されたマスク50をパターン形成することができる。
図6A、6B及び6Cに関連して本書に記載したプロセスでは、上記に詳しく説明したように、半導体基板10上に金属層52を形成する前に、オプションの接着層も形成することが可能である。
【0035】
図6Aを再び参照すると、パターン形成された放射線マスク62は、選択的に堆積させることができ、フォトレジスト層60をさらすのに使用される放射線を効果的に阻害しうるいずれかの材料を含みうる。例えば、パターン形成された放射線マスク62は、フォトレジスト層60をさらすために使用される放射線を阻害できる黒インク、又は他の色のインクを含みうる。
【0036】
別の例では、プロセスエレメント32及び34(
図3)に示すように、堆積パターンの決定及び材料の選択的堆積のプロセスエレメントはそれぞれ、不整合16上に形成される絶縁材料の堆積パターンを決定することと、次に不整合16上に絶縁層70を選択的に堆積させることとを含みうる。上記例を、
図7A、7B及び
図8に示す。不整合16上に絶縁層70を堆積させることによって、装置の性能をほぼ低下させることなく、不整合をその上に配線を形成するのに好適なものにすることができる。選択的に堆積可能ないかなる好適な絶縁材料も採用することができる。一例として、絶縁層は、電気絶縁性ポリマー及び酸化物セラミックから選択された少なくとも1つの材料を含んでいてよく、この材料は、不整合を表面配線から電気的に絶縁することができる。更に、絶縁層70は、いずれかの好適な方法で堆積させることができる。例えば、インクジェット技術で使用されるもの等のプリントヘッド72を用いて、絶縁性材料を選択的に堆積させることができる。絶縁層70は、不整合全体をカバーするように堆積させることができ、これにより、不整合16がカプセル封止され、次にその上に形成される導電線との物理的接触が防止される。あるいは、不整合16の、その上に次に堆積される導電線が形成される部分のみを、絶縁層70によってカバーしてもよい。本書に記載されるように絶縁層70を用いることは、表面配線の不整合との接触を回避させるための別の方法であり、この方法により、短絡の危険性を低下させる、及び/又は配線の抵抗の好ましくない増加を回避することができ、これにより太陽電池の配線による電流収集の改善、装置の電力発生量の改善、及び/又は太陽電池の出力の増加を得ることが可能である。
【0037】
不整合をカプセル封止する絶縁層70が堆積された後に、オプションとして、導電線24を形成するための上述したプロセスのいずれかを実行することが可能である。
図5A又は5Bに関連して上述したプロセス等において導電線24に不整合を迂回させることができ、これにより不整合が原因で起きた全ての非平面的な表面トポグラフィにより、不整合が存在しなかった場合の抵抗に比べて表面配線の抵抗が増加する危険性が更に低下しうる。
【0038】
あるいは、パターン形成されたフォトレジストマスク51(
図7Aに示す)が導電線24を形成するためのリフトオフプロセスの一部として形成される前又は後のいずれかに、絶縁層70が堆積されうる。パターン形成されたフォトレジストマスク51を、従来のフォトマスクを使用して所望のパターンに形成してフォトレジスト層を露出させることができ、これにより、
図7Aに示すように、パターン形成されたフォトレジストマスク51は不整合16をカバーしていない。金属層52が次に、
図5Aにおいて上記したように、全体的に堆積され、次にフォトレジストと、その上に形成された金属層52の一部が除去されて、
図7Bに示すように、導電線24が形成される。このリフトオフプロセスでは、金属層は不整合の上に形成されているが、そうでない場合に不整合16上に直接導電線24を形成することが原因で起こりうる装置への好ましくない影響を、絶縁層70により減らす又は防ぐことができる。
図7A、7B及び
図8に関連して説明したプロセスでは、上記で詳しく説明したように、導電線24を形成することの一部として、オプションの接着層が形成されうる。
【0039】
本書に記載のプロセスは、不整合を検出するための装置、及び材料を選択的に堆積させるための別の装置を使用して実行されうる。上記プロセスは、半導体基板をスキャンして不整合の位置を特定することを含みうる。半導体基板の全体的なスキャンプロセスが完了した後に、不整合の場所に基づいて材料を選択的に堆積させるために別の装置が採用される。
【0040】
あるいは、単一の装置を、不整合の検出と選択的堆積の両方に使用することができる。上記装置の一例を
図9に示す。
図9には、不整合を検出するために使用される検査装置92と同じスキャンヘッド90上に一体化された、選択的堆積のためのプリントヘッド72が示される。半導体基板10上での不整合の検出、材料の選択的な堆積の両方に同じ装置を使用する利点がありうる。例えば、
図9に示す一体化された配置により、材料を堆積させるためのプリントヘッド72の精度及び/又は正確さが潜在的に改善され、ミクロンあるいはナノメートルの大きさでさえあるサイズを有する可能性がありうる不整合を回避する、又はカプセル封止することができる。
【0041】
本開示はまた、
図4及び6Cに例を示す、太陽電池装置も対象とする。太陽電池装置は、内部に形成された太陽電池の動作領域を有する半導体基板10の表面に少なくとも1つの不整合を含む。不整合16は、本書に記載のいずれかの不整合を含む、いかなる種類の不整合であってもよい。導電線24は、不整合を回避するように構成される。「不整合を回避するように構成された」あるいは「少なくとも1つの不整合を回避するように構成された」という表現は、本書において、不整合を回避するために、導電線24の経路が導電線の直線経路、あるいは導電線が不整合と接触する原因となるメタライゼーションの規則的なパターン全体のいずれかから逸脱することを意味するとして定義される。
図1の従来の例に示すように、太陽電池装置8の表面配線12は一般に、直線又は非直線グリッド線を有する他の規則的なパターンも採用することができるが、例えば規則的に間隔を置いたグリッド線22を含みうる規則的なパターンで形成される。
図4を参照すると、本開示の装置の一例では、導電線(例:グリッド線又はバスバー)は、ほぼ直線(例:その長さの50%以上延びている直線の縦軸を有する)の主部24aを含む。導電線24は更に、導電線がほぼ直線のままである(例えば、主要な縦軸にずっと沿っている)と、それが原因で導電線24の補足部分24bが不整合16と交差することになる補足部分24bを含む。補足部分24bは、不整合16を回避するように、主部24aのほぼ直線の経路から逸脱する(例えば、導電線は、導電線がそれ以上主部24aの縦軸に沿って位置づけされないように、逸脱する)。これにより、例えば
図4に示すように、導電線の補足部分は、不整合に近接して位置づけされるが、その上には位置づけされないようにすることができる。導電線24は、本書に記載されるいずれかの金属又は他の導電性材料を含む、太陽電池の配線に好適ないずれかの金属又は導電性材料を含みうる。導電線24は、本書にも記載されるように、オプションの接着層を含みうる。
【0042】
本開示はまた、例えば
図8に示すように、太陽電池装置も対象とする。太陽電池装置は、内部に形成された太陽電池の動作領域を有する半導体基板10の表面に、不整合14、16a及び16bのうちの少なくとも1つを含む。パターン形成された絶縁層70a、70bは、一又は複数の不整合16a及び16bの上に位置づけされる。一例では、絶縁層は、不整合の上に、またオプションとして不整合を囲んでいる分離エリアにのみ形成される。絶縁層70は、太陽電池装置の永久的な部分であってよい。不整合16bが半導体基板10の穴である一例では、穴は少なくとも部分的にパターン形成された絶縁層70bによって埋められる。不整合16aが粒子である別の例では、粒子は、パターン形成された絶縁層70aによってカプセル封止される。別の例では、絶縁層70は、基板の上の、導電線24が形成され、且つ例えば不整合とバスバー、接触領域又はグリッド線との間等に不整合を有するであろうエリア上にのみ、あるいはほぼその上にのみ形成されうる。本書で使用する「ほぼ上にのみ」という語は、絶縁層が位置する点におけるメタライゼーションの幅寸法Wmの50%ほどの長さだけ、絶縁層がメタライゼーションから横方向距離Do(
図7B)に延びていることを意味するとして定義される。
図8に示す導電線24は、本書に記載のいずれかの金属、又は他の導電性材料のいずれかを含む、太陽電池の配線に好適ないずれかの金属又は導電性材料を含みうる。導電線24は、本書にも記載されるように、オプションの接着層を含みうる。
【0043】
更に、本開示は以下の条項による例を含む。
【0044】
条項1.太陽電池装置を処理する方法であって、
内部に形成された太陽電池の動作領域を有する半導体基板の表面において、少なくとも1つの不整合を検出することと、少なくとも1つの不整合の場所に基づいて堆積パターンを決定することと、堆積パターンに従って基板上に材料を選択的に堆積させることと
を含む方法。
【0045】
条項2.少なくとも1つの不整合の場所に基づいて堆積パターンを決定することは、太陽電池装置のための初期の配線案を提供することと、初期の配線案の第1の部分を実行した結果、導電線が不整合と重なると判定することと、少なくとも1つの不整合を回避する変更された配線案を決定することとを含む、条項1に記載の方法。
【0046】
条項3.材料を選択的に堆積させることは、少なくとも1つの不整合を回避するように構成された導電線を選択的に堆積させることを含み、導電線により、太陽電池装置上の表面配線の一部が形成される、条項1に記載の方法。
【0047】
条項4.導電線は、アルミニウム、金、銀、銅及びニッケルから選択された一または複数の金属を含む、条項3に記載の方法。
【0048】
条項5.材料を選択的に堆積させることは、パターン形成されたマスクを選択的に堆積させることを含む、条項1に記載の方法。
【0049】
条項6.パターン形成されたマスクによって保護されていない基板のエリア上に導電線を堆積させることを更に含み、導電線は、電気めっきによって選択的に堆積される、条項5に記載の方法。
【0050】
条項7.パターン形成されたマスクによって保護されていない基板のエリア上に導電線を堆積させることを更に含み、導電線は、金属インク堆積プロセスによって選択的に堆積され、パターン形成されたマスクにより、導電線の寸法が制御される、条項5に記載の方法。
【0051】
条項8.パターン形成されたマスクが少なくとも1つの不整合をカバーする、条項5に記載の方法。
【0052】
条項9.パターン形成されたマスクの上に金属層を堆積させることと、次に金属層をパターン形成するために、半導体基板からパターン形成されたマスクを除去することを更に含む、条項8に記載の方法。
【0053】
条項10.半導体基板の上にフォトレジスト層を堆積させることを更に含み、材料を選択的に堆積させることは、パターン形成された放射線マスクをフォトレジスト層の上に選択的に堆積させることを含む、条項1に記載の方法。
【0054】
条項11.フォトレジスト層とパターン形成された放射線マスクとを放射線にさらすことと、フォトレジストパターンを形成するためにフォトレジスト層を現像することを更に含む、条項10に記載の方法。
【0055】
条項12.材料を選択的に堆積させることは、少なくとも1つの不整合の上に絶縁層を選択的に堆積させることを含む、条項1に記載の方法。
【0056】
条項13.絶縁層は、電気絶縁性ポリマー及び酸化物セラミックから選択された少なくとも1つの材料を含む、条項12に記載の方法。
【0057】
条項14.少なくとも1つの不整合を検出することと、基板上に材料を選択的に堆積させることはいずれも、単一の装置を使用して行われる、条項1に記載の方法。
【0058】
条項15.内部に形成された太陽電池の動作領域を有する半導体基板の表面における少なくとも1つの不整合と、少なくとも1つの不整合を回避するように構成された導電線とを含む、太陽電池装置。
【0059】
条項16.導電線は、ほぼ直線である主部と、少なくとも1つの不整合を回避するように、ほぼ直線である状態から逸脱する副部とを含む、条項15に記載の太陽電池装置。
【0060】
条項17.内部に形成された太陽電池の動作領域を有する半導体基板の表面における少なくとも1つの不整合と、太陽電池装置によって生成される電流を収集するための、半導体基板の表面上の表面配線とを含み、表面配線は、少なくとも1つの不整合の一または複数の上に位置づけされた導電線と、導電線を一または複数の不整合から分離させるパターン形成された絶縁層とを含む、太陽電池装置。
【0061】
条項18.絶縁層は、一または複数の不整合の上に、またオプションとして一または複数の不整合を囲んでいる分離エリアにのみ形成される、条項17に記載の太陽電池装置。
【0062】
条項19.一または複数の不整合は、半導体基板の穴を含み、パターン形成された絶縁層により、穴が少なくとも部分的に埋められる、条項17に記載の太陽電池装置。
【0063】
条項20.一または複数の不整合は粒子を含む、条項17に記載の太陽電池装置。
【0064】
本開示の広範囲を明記している数値範囲及びパラメータは概算であるにも関わらず、具体例に明記された数値は出来る限り正確なものが報告されている。しかしながら、全ての数値には、それぞれの試験測定に含まれる標準偏差から必然的に生じる多少の誤差が本質的に含まれる。更に、本書に開示される全ての範囲は、本書に組み込まれる任意の及び全ての部分範囲を包含するとして理解すべきである。
【0065】
本教示を一または複数の実行形態に関連して示したが、特許請求の範囲の主旨及び範囲から逸脱せずに、示された例に変更及び/又は修正を行うことが可能である。加えて、本教示の特定の特徴は、幾つかの実行形態のうちの1つのみに関連して開示されている場合があるが、上記特徴を、必要に応じて、またいずれかの所定の又は特定の機能において有利に、他の実行形態の一または複数の他の特徴と組み合わせることが可能である。更に、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「とともに、又は有する(with)」という語又はそれらの変形が詳細説明及び特許請求の範囲のいずれかで使用される範囲において、上記の語は、「含む、備える(comprising)」という語と同様に包含的な意味で使われる。更に、本書の説明及び特許請求の範囲では、「約(about)」という語は、結果的なプロセス又は構造が本書に記載される本来の目的に不適合なものとならない限り、列記された値をある程度変えることができることを示す。最後に、「例示の(exemplary)」は、説明が、それが理想であることを暗示するものではなく、一例として用いられることを示す。
【0066】
上記に開示した変形例と、他の特徴及び機能、又はそれらの代替例を、その他多数の異なるシステム又は用途に組み合わせることができることを認識すべきである。その内の、さまざまな現在予測できない、又は予期せぬ代替、修正、変形、又は改善を、当業者が後に行うことは可能であり、これらはまた、以下の特許請求の範囲によっても包含されるべきものである。