(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】電源システム及び電源システムの制御ユニット
(51)【国際特許分類】
H02J 9/00 20060101AFI20230814BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230814BHJP
B60R 16/033 20060101ALI20230814BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
H02J9/00 120
H02J7/00 302C
B60R16/033 C
B60R16/02 645C
(21)【出願番号】P 2018220848
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】栗田 康章
(72)【発明者】
【氏名】川合 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ヴィオム カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】垣東 和弘
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-028772(JP,A)
【文献】特開2017-141012(JP,A)
【文献】特開2000-312444(JP,A)
【文献】特開2018-129965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00 -11/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 7/14 - 7/32
B60R 16/033
B60R 16/02
B60R 16/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源(10)と、
電気二重層コンデンサ又は電気二重層キャパシタからなる副電源(20)と、
前記主電源(10)又は前記副電源(20)から供給される電力を用いて駆動される複数の被保護負荷(40)と、
前記主電源(10)と前記副電源(20)及び前記複数の被保護負荷(40)との間の電気的な接続を断接するメインスイッチ(510)と、
前記副電源(20)と前記複数の被保護負荷(40)の各々との接続状態を
半導体スイッチにより切り替える切替部(520)と、
前記メインスイッチ(510)及び前記切替部(520)の動作を制御する制御装置(530)と、
を備える電源システム(1)であって、
前記副電源(20)及び前記複数の被保護負荷(40)は、前記主電源(10)とそれぞれ並列に接続されている
とともに、前記副電源(20)の容量は、走行中の車両を安全に停止させることができる程度に前記複数の被保護負荷(40)に十分に電力を供給させ得る値に設定されており、
前記副電源(20)、前記メインスイッチ(510)、前記切替部(520)及び前記制御装置(530)は、同一の制御ユニット(50)に備えられ、
前記複数の被保護負荷(40)は、前記主電源(10)の異常時に安定した電力供給が要求される負荷であって、前記複数の被保護負荷(40)は、走行中の車両を制動させるために用いられる負荷、車両を操舵するために用いられる負荷、及び車両の周囲の状況を監視するために用いられる負荷を含んでおり、
前記制御装置(530)は、前記主電源(10)の異常時に、前記メインスイッチ(510)を開き、前記切替部(520)の動作を制御することによって前記副電源(20)と前記複数の被保護負荷(40)の各々との接続状態を制御する、電源システム(1)。
【請求項2】
前記副電源(20)は、前記制御ユニット(50)に取り外し可能に接続される、請求項1に記載の電源システム(1)。
【請求項3】
前記副電源(20)は、前記制御ユニット(50)に内蔵される、請求項1に記載の電源システム(1)。
【請求項4】
前記制御装置(530)は、前記主電源(10)の電圧又は電流の少なくともいずれかに基づいて、前記主電源(10)が異常であるか否かを判定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電源システム(1)。
【請求項5】
前記制御装置(530)は、前記主電源(10)の異常時に、前記切替部(520)の動作を制御することによって前記複数の被保護負荷(40)のうちの所定の被保護負荷(40a)と前記副電源(20)との接続を解除する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電源システム(1)。
【請求項6】
前記電源システム(1)は、車両に搭載され、
前記所定の被保護負荷(40a)は、前記複数の被保護負荷(40)のうち前記車両の安全性との関係が基準より弱い被保護負荷である、請求項
5に記載の電源システム(1)。
【請求項7】
前記制御装置(530)は、前記主電源(10)の異常時に、前記副電源(20)の残存容量に応じて前記所定の被保護負荷(40a)と前記副電源(20)との接続を解除する、請求項5又は6に記載の電源システム(1)。
【請求項8】
前記制御装置(530)は、前記主電源(10)の異常時に、前記残存容量が閾値を下回った場合に、前記所定の被保護負荷(40a)と前記副電源(20)との接続を解除する、請求項7に記載の電源システム(1)。
【請求項9】
主電源(10)と、
電気二重層コンデンサ又は電気二重層キャパシタからなる副電源(20)と、
前記主電源(10)又は前記副電源(20)から供給される電力を用いて駆動され
、前記主電源(10)の異常時に安定した電力供給が要求される負荷であって、走行中の車両を制動させるために用いられる負荷、車両を操舵するために用いられる負荷、及び車両の周囲の状況を監視するために用いられる負荷を含んだ複数の被保護負荷(40)と、
を備える電源システム(1)の制御ユニット(50)であって、
前記副電源(20)及び前記複数の被保護負荷(40)は、前記主電源(10)とそれぞれ並列に接続されて
いるとともに、前記副電源(20)の容量は、走行中の車両を安全に停止させることができる程度に前記複数の被保護負荷(40)に十分に電力を供給させ得る値に設定されており、
前記制御ユニット(50)は、
前記主電源(10)と前記副電源(20)及び前記複数の被保護負荷(40)との間の電気的な接続を断接するメインスイッチ(510)と、
前記副電源(20)と前記複数の被保護負荷(40)の各々との接続状態を
半導体スイッチにより切り替える切替部(520)と、
前記メインスイッチ(510)及び前記切替部(520)の動作を制御する制御装置(530)と、
を備え、
前記制御装置(530)は、前記主電源(10)の異常時に、前記メインスイッチ(510)を開き、前記切替部(520)の動作を制御することによって前記副電源(20)と前記複数の被保護負荷(40)の各々との接続状態を制御する、電源システム(1)の制御ユニット(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システム及び電源システムの制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主電源と、副電源と、当該主電源又は当該副電源から供給される電力を用いて駆動される被保護負荷とを備える電源システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。ここで、被保護負荷とは、主電源の異常時(例えば、主電源の電圧が過度に低い時)に安定した電力供給が要求される負荷であり、一般に電源システムには複数の被保護負荷が備えられている。このような電源システムでは、主電源の異常時には被保護負荷と主電源とが切り離され、副電源から被保護負荷へ電力が供給されるため、主電源の異常時であっても被保護負荷へ安定的に電力を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電源システムにおいて、副電源として電気二重層コンデンサ(eDLC:electric Double Layer Capacitor)等の比較的容量が小さい電源が用いられることがある。このような場合、全ての被保護負荷への電力供給を1つの副電源で賄うことは困難であった。そこで、従来、このような副電源は、被保護負荷の各々に対して設けられていた。つまり、被保護負荷の個数だけ副電源を設ける必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、主電源の異常時に被保護負荷に適切に電力を供給可能としつつ、副電源の個数を低減することが可能な、新規かつ改良された電源システム及び電源システムの制御ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、主電源と、電気二重層コンデンサ又は電気二重層キャパシタからなる副電源と、前記主電源又は前記副電源から供給される電力を用いて駆動される複数の被保護負荷と、前記主電源と前記副電源及び前記複数の被保護負荷との間の電気的な接続を断接するメインスイッチと、前記副電源と前記複数の被保護負荷の各々との接続状態を半導体スイッチにより切り替える切替部と、前記メインスイッチ及び前記切替部の動作を制御する制御装置と、を備える電源システムであって、前記副電源及び前記複数の被保護負荷は、前記主電源とそれぞれ並列に接続されているとともに、前記副電源の容量は、走行中の車両を安全に停止させることができる程度に前記複数の被保護負荷に十分に電力を供給させ得る値に設定されており、前記副電源、前記メインスイッチ、前記切替部及び前記制御装置は、同一の制御ユニットに備えられ、前記複数の被保護負荷は、前記主電源の異常時に安定した電力供給が要求される負荷であって、前記複数の被保護負荷は、走行中の車両を制動させるために用いられる負荷、車両を操舵するために用いられる負荷、及び車両の周囲の状況を監視するために用いられる負荷を含んでおり、前記制御装置は、前記主電源の異常時に、前記メインスイッチを開き、前記切替部の動作を制御することによって前記副電源と前記複数の被保護負荷の各々との接続状態を制御する、電源シテムが提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、主電源と、電気二重層コンデンサ又は電気二重層キャパシタからなる副電源と、前記主電源又は前記副電源から供給される電力を用いて駆動され、前記主電源の異常時に安定した電力供給が要求される負荷であって、走行中の車両を制動させるために用いられる負荷、車両を操舵するために用いられる負荷、及び車両の周囲の状況を監視するために用いられる負荷を含んだ複数の被保護負荷と、を備える電源システムの制御ユニットであって、前記副電源及び前記複数の被保護負荷は、前記主電源とそれぞれ並列に接続されているとともに、前記副電源の容量は、走行中の車両を安全に停止させることができる程度に前記複数の被保護負荷に十分に電力を供給させ得る値に設定されており、前記制御ユニットは、前記主電源と前記副電源及び前記複数の被保護負荷との間の電気的な接続を断接するメインスイッチと、前記副電源と前記複数の被保護負荷の各々との接続状態を半導体スイッチにより切り替える切替部と、前記メインスイッチ及び前記切替部の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記主電源の異常時に、前記メインスイッチを開き、前記切替部の動作を制御することによって前記副電源と前記複数の被保護負荷(40)の各々との接続状態を制御する、電源システムの制御ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、主電源の異常時に被保護負荷に適切に電力を供給可能としつつ、副電源の個数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る電源システムの構成を示す模式図である。
【
図2】主電源の正常時における電力の流れを示す模式図である。
【
図3】制御装置が行う第1の動作例での処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】主電源の異常時における電力の流れを示す模式図である。
【
図5】制御装置が行う第2の動作例での処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】主電源の異常時における第2の動作例での副電源の残存容量が閾値を下回っていない場合の電力の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。
【0012】
<1.電源システムの構成>
図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る電源システム1の構成について説明する。なお、以下の説明では、電源システム1が自動車等の車両に搭載される例について説明するが、本発明の電源システムの適用先はかかる例に限定されない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る電源システム1の構成を示す模式図である。電源システム1は、主電源10と、副電源20と、複数の被保護負荷40と、メインスイッチ510と、切替部520と、制御装置530とを備える。被保護負荷40は、被保護負荷40a、被保護負荷40b及び被保護負荷40cを含む。
【0014】
メインスイッチ510、切替部520及び制御装置530は、同一の制御ユニット50に搭載されている。切替部520は、サブスイッチ522、サブスイッチ524、サブスイッチ526及びサブスイッチ528を含む。
【0015】
さらに、電源システム1は、ジェネレータGと、スタータSと、ヒューズFと、一般負荷30と、主電源センサ12と、残存容量センサ22と、第1電源ライン80と、第2電源ライン82とを備える。
【0016】
副電源20及び複数の被保護負荷40は、主電源10とそれぞれ並列に接続されている。詳細には、主電源10は、第1電源ライン80と接続されている。第1電源ライン80にはジェネレータGが接続されている。また、第1電源ライン80にはスタータSが接続されている。また、第1電源ライン80にはヒューズFを介して一般負荷30が接続されている。副電源20は、サブスイッチ522を介して第2電源ライン82と接続されている。第2電源ライン82にはサブスイッチ524を介して被保護負荷40aが接続されている。また、第2電源ライン82にはサブスイッチ526を介して被保護負荷40bが接続されている。また、第2電源ライン82にはサブスイッチ528を介して被保護負荷40cが接続されている。第1電源ライン80と第2電源ライン82とは、メインスイッチ510を介して接続されている。
【0017】
主電源10は、電源システム1の主たる電力供給源として機能する蓄電装置である。主電源10の正常時には、主電源10から電源システム1内の各機器へ電力が供給される。主電源10としては、例えば、リチウムイオン電池や鉛蓄電池等の二次電池が用いられる。
【0018】
主電源センサ12は、主電源10の電圧及び電流を検出し、検出結果を制御装置530へ出力する。主電源センサ12は、例えば、主電源10の近傍に設けられる。
【0019】
ジェネレータGは、車両のエンジン等の駆動源の動力を用いて発電を行う。ジェネレータGにより発電された電力は、図示しないインバータ及び第1電源ライン80を介して主電源10に充電される。なお、ジェネレータGは、車両の駆動輪の回転力を用いて回生発電を行うものであってもよい。なお、ジェネレータGに代えて、又はジェネレータGとともに、主電源10に充電される電力の供給源として、主電源10より高圧の電力を出力する図示しない高圧バッテリが設けられてもよい。高圧バッテリから出力される電力は、DC/DCコンバータを介して主電源10に充電される。
【0020】
スタータSは、主電源10から供給される電力を用いてエンジンの始動時にクランキングを行う。
【0021】
一般負荷30は、主電源10の異常時に安定した電力供給が要求されない負荷である。換言すれば、一般負荷30は、主電源10の異常時に電力供給が不安定になることを許容する負荷である。一般負荷30は、例えば、車両の空調装置、音響装置又はカーナビゲーション装置である。
【0022】
副電源20は、主電源10の異常時に電力供給源として機能する蓄電装置である。副電源20としては、例えば、電気二重層コンデンサ(eDLC:electric Double Layer Capacitor)等の比較的容量が小さい電源が用いられる。ここで、副電源20の容量は、走行中の車両を安全に停止させることができる程度に被保護負荷40に十分に電力を供給させ得る値に設定される。ここで、電源システム1に含まれる被保護負荷40が必要とする電力量や被保護負荷40の個数に応じて副電源20を容易に取り換えることを可能にする観点では、副電源20は、制御ユニット50に取り外し可能に接続されるのが好ましい。一方、例えば、電源システム1の一層の小型化を図る観点では、副電源20は、制御ユニット50に内蔵されてもよい。副電源20が制御ユニット50に内蔵されることにより、副電源20と制御装置530とを接続する配線の本数を低減することができる。また、副電源20が制御ユニット50に内蔵されることにより、副電源20と制御装置530とを接続する配線の長さが短くなり、配線抵抗を低減することができる。本実施形態では、副電源20は、制御ユニット50に取り外し可能に接続される。
【0023】
残存容量センサ22は、副電源20の残存容量(充電量)を検出し、検出結果を制御装置530へ出力する。残存容量センサ22は、例えば、副電源20の近傍に設けられる。
【0024】
被保護負荷40は、主電源の異常時に安定した電力供給が要求される負荷である。被保護負荷40は、主電源10又は副電源20から供給される電力を用いて駆動される。被保護負荷40は、被保護負荷40aと、被保護負荷40bと、被保護負荷40cとを含む。被保護負荷40b及び被保護負荷40cは、被保護負荷40aより車両の安全性との関係が強い負荷である。ここで、車両の安全性との関係が強い負荷とは、走行中の車両を制動させるために用いられる負荷(例えば、電動ブレーキブースター)、車両を操舵するために用いられる負荷(例えば、電動パワーステアリング)、及び車両の周囲の状況を監視するために用いられる負荷(例えば、レーダやカメラ)等をいう。車両の安全性との関係は、例えば、車両の安全性要求レベル(ASIL:Automotive Safety Integrity Level)等に基づいて決定される。したがって、主電源10の異常時に被保護負荷40b及び被保護負荷40cが駆動されない場合、車両の制動、操舵、又は周囲の状況の監視等に悪影響が及ぼされるおそれがある。一方、主電源10の異常時に被保護負荷40aが駆動されない場合であっても、車両の制動、操舵、又は周囲の状況の監視等に悪影響が及ぼされる程度は比較的低い。被保護負荷40aは、例えば、車両のヘッドライトである。被保護負荷40bは、例えば、車両の電動ブレーキブースターである。被保護負荷40cは、例えば、電動パワーステアリングである。なお、被保護負荷40a、被保護負荷40b及び被保護負荷40cが本発明に係る複数の被保護負荷の一例に相当し、被保護負荷40aが本発明に係る所定の被保護負荷の一例に相当する。
【0025】
メインスイッチ510は、主電源10と副電源20及び複数の被保護負荷40との間の電気的な接続を断接する。メインスイッチ510としては、例えば、半導体スイッチが用いられる。メインスイッチ510が閉じた状態では、第1電源ライン80と第2電源ライン82とが電気的に接続される。一方、メインスイッチ510が開いた状態では、第1電源ライン80と第2電源ライン82との電気的な接続が解除される。具体的には、サブスイッチ522、サブスイッチ524、サブスイッチ526及びサブスイッチ528が閉じている場合、メインスイッチ510が閉じられることにより主電源10と副電源20及び複数の被保護負荷40とが電気的に接続され、メインスイッチ510が開かれることにより主電源10と副電源20及び複数の被保護負荷40との電気的な接続が解除される。
【0026】
切替部520は、副電源20と複数の被保護負荷40の各々との接続状態を切り替える。切替部520に含まれるサブスイッチ522、サブスイッチ524、サブスイッチ526及びサブスイッチ528としては、例えば、半導体スイッチが用いられる。サブスイッチ522が閉じた状態では、副電源20と第2電源ライン82とが電気的に接続される。一方、サブスイッチ522が開いた状態では、副電源20と第2電源ライン82との電気的な接続が解除される。同様に、サブスイッチ524の開閉状態に応じて被保護負荷40aと第2電源ライン82との電気的な接続が断接される。また、同様に、サブスイッチ526の開閉状態に応じて被保護負荷40bと第2電源ライン82との電気的な接続が断接される。また、同様に、サブスイッチ528の開閉状態に応じて被保護負荷40cと第2電源ライン82との電気的な接続が断接される。つまり、サブスイッチ522、サブスイッチ524、サブスイッチ526及びサブスイッチ528の開閉状態に応じて副電源20と被保護負荷40aとの電気的な接続状態、副電源20と被保護負荷40bとの電気的な接続状態、及び副電源20と被保護負荷40cとの電気的な接続状態が切り替えられる。
【0027】
制御装置530は、メインスイッチ510及び切替部520の動作を制御する。制御装置530は、例えば、メインスイッチ510に対してメインスイッチ510を開閉するための制御信号を出力する。また、制御装置530は、例えば、切替部520に対して切替部520の各サブスイッチを開閉するための制御信号を出力する。制御装置530は、メインスイッチ510及び切替部520の動作を適切に制御することによって、主電源の異常時に被保護負荷に適切に電力を供給可能としつつ、副電源の個数を低減することを可能とする。このような制御装置530による制御については詳細に後述する。
【0028】
制御装置530の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されている。また、制御装置530の一部又は全ては、例えば、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。制御装置530は、例えば、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。
【0029】
<2.電源システムの動作>
続いて、本実施形態に係る電源システム1の動作について説明する。
【0030】
まず、
図2を参照しながら、主電源10の正常時における電源システム1の動作について説明する。
図2は、主電源の正常時における電力の流れを示す模式図である。
図2に示される白抜きの矢印は、主電源10から出力される電力の流れを表す。
【0031】
図2に示すように、制御装置530は、主電源10の正常時にはメインスイッチ510、サブスイッチ524、サブスイッチ526及びサブスイッチ528を閉じる。したがって、白抜きの矢印で示されるように、主電源10から出力される電力は、第1電源ライン80を介して一般負荷30へ供給され、第1電源ライン80及び第2電源ライン82を介して被保護負荷40a、被保護負荷40b及び被保護負荷40cへ供給される。それにより、一般負荷30、被保護負荷40a、被保護負荷40b及び被保護負荷40cが駆動される。
【0032】
ここで、制御装置530は、副電源20の残存容量(充電量)に応じてサブスイッチ522を開閉してよい。制御装置530は、例えば、副電源20の残存容量が判定値を上回った場合にサブスイッチ522を開けることにより副電源20の充電を停止することができる。また、制御装置530は、例えば、副電源20の残存容量が判定値を下回った場合にサブスイッチ522を閉じることにより副電源20の充電を実行することができる。判定値は、例えば、100%等に適宜設定される。
【0033】
このように、電源システム1では、副電源20の充電は、制御装置530により制御される。また、後述するように、電源システム1では、副電源20の放電も制御装置530により制御される。つまり、電源システム1では、副電源20の充放電が制御装置530により制御されるため、副電源20内に別の制御装置を設ける必要がない。したがって、副電源20内の部品の個数を減らすことができる。
【0034】
続いて、主電源10の異常時における電源システム1の動作について説明する。以下では、主電源10の異常時における電源システム1の動作について2つの例を示して説明する。
【0035】
(2-1.第1の動作例)
図3及び
図4を参照しながら、主電源10の異常時における電源システム1の第1の動作例について説明する。
図3は、制御装置が行う第1の動作例での処理の流れを示すフローチャートである。
図3に示す制御フローは、例えば、電源システム1の起動後に開始される。
図4は、主電源10の異常時における電力の流れを示す模式図である。
図4に示される白抜きの矢印は、副電源20から出力される電力の流れを表す。
【0036】
図3に示す制御フローが開始されると、制御装置530は、主電源センサ12から出力される主電源10の電圧及び電流を取得する(ステップS101)。
【0037】
次に、制御装置530は、主電源10が異常であるか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、制御装置530は、主電源10の電圧又は電流の少なくともいずれかに基づいて主電源10が異常であるか否かを判定する。
【0038】
例えば、制御装置530は、主電源10の電圧が第1電圧基準値より低い場合に主電源10が異常であると判定する。また、例えば、制御装置530は、主電源10の電圧が第2電圧基準値より高い場合に主電源10が異常であると判定する。第1電圧基準値は、例えば、被保護負荷40の正常な駆動が保障される電圧の下限値である。また、第2電圧基準値は、例えば、被保護負荷40の正常な駆動が保障される電圧の上限値である。なお、第1電圧基準値及び第2電圧基準値は、上記の例に限定されない。第1電圧基準値及び第2電圧基準値は、例えば、上記の例の値に対してさらに裕度を考慮した値に設定されてもよい。
【0039】
また、例えば、制御装置530は、主電源10の電流が第1電流基準値より低い場合に主電源10が異常であると判定する。また、例えば、制御装置530は、主電源10の電流が第2電流基準値より高い場合に主電源10が異常であると判定する。第1電流基準値は、例えば、被保護負荷40の正常な駆動が保障される電流の下限値である。また、第2電流基準値は、例えば、被保護負荷40の正常な駆動が保障される電流の上限値である。なお、第1電流基準値及び第2電流基準値は、上記の例に限定されない。第1電流基準値及び第2電流基準値は、例えば、上記の例の値に対してさらに裕度を考慮した値に設定されてもよい。
【0040】
具体的には、主電源10に物理的な障害が発生することにより主電源10の電圧が第1電圧基準値を下回ることがある。また、主電源10の充電が長時間行われないにも関わらず主電源10の放電が長時間行われることにより主電源10の電圧が第1電圧基準値を下回ることがある。また、ジェネレータG又は図示しないインバータに物理的な障害が発生することにより主電源10の電圧が第2電圧基準値を上回ることがある。また、一般負荷30が短絡したことに起因して、ヒューズFが溶断する程の大きな電流が電源システム1内を流れた場合、主電源10の電圧が第1電圧基準値を下回ることがある。
【0041】
ここで、一般負荷30が短絡することに起因して、ヒューズFが溶断する程の大きな電流が電源システム1内を流れた場合、主電源10の電圧が第1電圧基準値を下回るよりも早く主電源10の電流が第2電流基準値を上回る。したがって、このような場合には、主電源10の電流に基づいて主電源10が異常であるか否かを判定することによって、主電源10の電圧に基づいて主電源10が異常であるか否かを判定する場合より早く主電源10が異常であるか否かを判定することができる。
【0042】
主電源10が異常でないと判定された場合(ステップS103/NO)、ステップS101に戻る。一方、主電源10が異常であると判定された場合(ステップS103/YES)、制御装置530は、メインスイッチ510を開き(ステップS105)、切替部520の動作を制御することによって複数の被保護負荷40(被保護負荷40a、被保護負荷40b及び被保護負荷40c)のうちの所定の被保護負荷と副電源20との接続を解除する(ステップS111)。ここで、所定の被保護負荷とは、複数の被保護負荷40のうち車両の安全性との関係が基準より弱い被保護負荷である。本実施形態において、車両の安全性との関係が基準より強い被保護負荷は、被保護負荷40b及び被保護負荷40cであり、車両の安全性との関係が基準より弱い被保護負荷は、被保護負荷40aである。したがって、制御装置530は、サブスイッチ524を開くことにより被保護負荷40aと副電源20との接続を解除する。
【0043】
なお、制御装置530は、主電源10が異常であると判定された際にサブスイッチ522が開いている場合、サブスイッチ522を閉じる制御を行う。
【0044】
上記の一連の処理が行われた後、
図3に示す制御フローは終了する。
【0045】
このように、本実施形態に係る電源システム1の第1の動作例では、主電源10の異常時にメインスイッチ510が開かれることにより、主電源10と副電源20及び複数の被保護負荷40との電気的な接続が解除される。つまり、電源システム1の電力供給源が主電源10から副電源20へ切り替えられる。また、サブスイッチ524が開いた状態となり、サブスイッチ522、サブスイッチ526及びサブスイッチ528が閉じた状態となることにより、副電源20と被保護負荷40aとの電気的な接続が解除され、副電源20と被保護負荷40b及び被保護負荷40cとが電気的に接続される。
【0046】
したがって、
図4において白抜きの矢印で示されるように、副電源20から出力される電力は、被保護負荷40b及び被保護負荷40cのみへ供給される。つまり、副電源20から出力される電力は、車両の安全性との関係が強い負荷のみへ供給される。
【0047】
上述したように、副電源20の容量は、走行中の車両を安全に停止させることができる程度に被保護負荷40に十分に電力を供給させ得る値に設定される。具体的には、副電源20の容量は、走行中の車両を安全な場所に停止させるまで被保護負荷40b及び被保護負荷40cを駆動させることができる容量が選定されている。一方、副電源20の容量は、走行中の車両を安全な場所に停止させるまで被保護負荷40の全てを駆動させることができる容量より小さい。
【0048】
かかる場合、もし主電源10の異常時に副電源20から被保護負荷40の全てへ電力供給が行われると、車両が停止する前に副電源20の残存容量が不足し、被保護負荷40への電力供給が行われなくなる。つまり、車両が停止する前に、車両の安全性との関係が強い負荷である被保護負荷40b及び被保護負荷40cを駆動させることができなくなる。
【0049】
一方、本実施形態に係る電源システム1において、主電源10の異常時に副電源20から出力される電力は、被保護負荷40b及び被保護負荷40cのみへ供給される。したがって、車両が停止する前に副電源20の残存容量が不足することが抑制される。つまり、車両が停止するまで車両の安全性との関係が強い負荷である被保護負荷40b及び被保護負荷40cを駆動させることができる。
【0050】
(2-2.第2の動作例)
図5及び
図6を参照しながら、主電源10の異常時における電源システム1の第2の動作例について説明する。第2の動作例において、制御装置530は、主電源10の異常時に副電源20の残存容量に応じて所定の被保護負荷(被保護負荷40a)と副電源20との接続を解除する。具体的には、制御装置530は、主電源10の異常時に副電源20の残存容量が閾値を下回った場合に、所定の被保護負荷(被保護負荷40a)と副電源20との接続を解除する。以下では、基本的に、第1の動作例と重複する内容は省略し、第1の動作例との相違点について説明する。
【0051】
図5は、制御装置が行う第2の動作例での処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示す制御フローは、例えば、電源システム1の起動後に開始される。
図6は、主電源の異常時における第2の動作例での副電源の残存容量が閾値を下回っていない場合の電力の流れを示す模式図である。
図6に示される白抜きの矢印は、副電源20から出力される電力の流れを表す。
【0052】
図5に示す制御フローが開始されてからステップS105までの処理は、第1の動作例で説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。第2の動作例においてステップS105の処理が行われた後、制御装置530は、残存容量センサ22から出力される副電源20の残存容量を取得する(ステップS107)。
【0053】
次に、制御装置530は、副電源20の残存容量が閾値を下回っているか否かを判定する(ステップS109)。残存容量の閾値は、例えば、走行中の車両を安全な場所に停止させるために最低限必要とされる副電源20の残存容量(以下、最低残存容量とも称する)に設定される。最低残存容量は、走行中の車両を安全な場所に停止させるまで被保護負荷40b及び被保護負荷40cを駆動させるために必要とされる副電源20の残存容量である。例えば、最低残存容量は、車両が高速道路の追い越し車線を150km/hで走行している場合に、運転者が車線を2つ跨いで側道に車両を停止させるまで被保護負荷40b及び被保護負荷40cを駆動させるために必要とされる副電源20の残存容量であってよい。なお、残存容量の閾値は、上記の例に限定されず、例えば、上記の例の値に対してさらに裕度を考慮した値に設定されてもよい。
【0054】
副電源20の残存容量が閾値を下回っていないと判定された場合(ステップS109/NO)、ステップS107に戻る。副電源20の残存容量が閾値を下回っていると判定された場合(ステップS109/YES)、ステップS111の処理へ移行する。ステップS111において、制御装置530は、切替部520の動作を制御することによって被保護負荷40aと副電源20との接続を解除する。
【0055】
このように、本実施形態に係る電源システム1の第2の動作例では、第1の動作例と同様に、主電源10の異常時にメインスイッチ510が開かれることにより、主電源10と副電源20及び複数の被保護負荷40との電気的な接続が解除される。つまり、電源システム1の電力供給源が主電源10から副電源20へ切り替えられる。一方、本実施形態に係る電源システム1の第2の動作例では、第1の動作例と異なり、主電源10の異常時に副電源20の残存容量が閾値を下回るまではサブスイッチ522、サブスイッチ524、サブスイッチ526及びサブスイッチ528が閉じた状態となる。それにより、副電源20と被保護負荷40a、被保護負荷40b及び被保護負荷40cとが電気的に接続された状態が維持される。
【0056】
したがって、
図6において白抜きの矢印で示されるように、副電源20から出力される電力は、被保護負荷40a、被保護負荷40b及び被保護負荷40cへ供給される。つまり、副電源20から出力される電力は、車両の安全性との関係が強い負荷(例えば、被保護負荷40b及び被保護負荷40c)に加えて、車両の安全性との関係が比較的弱い負荷(例えば、被保護負荷40a)へ供給される。
【0057】
したがって、主電源10の異常時に副電源20の残存容量が最低残存容量を下回るまでは車両の安全性との関係が強い負荷に加えて、車両の安全性との関係が比較的弱い負荷を駆動させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る電源システム1の第2の動作例では、第1の動作例と同様に、主電源10の異常時に副電源20の残存容量が閾値を下回るとサブスイッチ524が開いた状態となり、サブスイッチ522、サブスイッチ526及びサブスイッチ528が閉じた状態となる。したがって、副電源20と被保護負荷40aとの電気的な接続が解除され、副電源20と被保護負荷40b及び被保護負荷40cとが電気的に接続される。
【0059】
したがって、
図4において白抜きの矢印で示されるように、副電源20から出力される電力は、被保護負荷40b及び被保護負荷40cのみへ供給される。つまり、副電源20から出力される電力は、車両の安全性との関係が強い負荷のみへ供給される。
【0060】
それにより、第2の動作例においても第1の動作例と同様に、車両が停止する前に副電源20の残存容量が不足することが抑制される。つまり、車両が停止するまで車両の安全性との関係が強い負荷である被保護負荷40b及び被保護負荷40cを駆動させることができる。
【0061】
このように、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置530は、主電源10の異常時に、メインスイッチ510を開き、切替部520の動作を制御することによって副電源20と複数の被保護負荷40の各々との接続状態を制御する。それにより、被保護負荷40の各々に副電源20を設けることなく被保護負荷40に適切に電力を供給することができる。つまり、主電源10の異常時に被保護負荷40に適切に電力を供給可能としつつ、副電源20の個数を低減することができる。
【0062】
<3.効果>
本実施形態に係る電源システム1により得られる効果について説明する。本実施形態に係る電源システム1は、副電源20と複数の被保護負荷40の各々との接続状態を切り替える切替部520を備える。また電源システム1では、制御装置530は、主電源10の異常時に、メインスイッチ510を開き、切替部520の動作を制御することによって副電源20と複数の被保護負荷40の各々との接続状態を制御する。それにより、主電源10の異常時に電源システム1の電力供給源が主電源10から副電源20へ切り替えられる。また、主電源10の異常時に副電源20から出力される電力の供給先となる被保護負荷40を適切に切り替えることができる。したがって、電源システム1では、被保護負荷40の各々に対して副電源20を設けることなく被保護負荷40に適切に電力を供給することができる。したがって、主電源10の異常時に被保護負荷40に適切に電力を供給可能としつつ、副電源20の個数を低減することができる。
【0063】
好ましくは、電源システム1では、制御装置530は、主電源10の電圧又は電流の少なくともいずれかに基づいて主電源10が異常であるか否かを判定する。それにより、主電源10が異常であるか否かを適切に判定することができる。したがって、主電源10の電圧又は電流の少なくともいずれかが異常である場合に、被保護負荷40に一層適切に電力を供給することができる。
【0064】
好ましくは、電源システム1では、制御装置530は、主電源10の異常時に切替部520の動作を制御することによって複数の被保護負荷40のうちの所定の被保護負荷40aと副電源20との接続を解除する。それにより、例えば各被保護負荷40へ電力を供給する必要性に基づいて、主電源10の異常時に副電源20から出力される電力の供給先となる被保護負荷40を一層適切に切り替えることができる。したがって、主電源10の異常時に被保護負荷40に一層適切に電力を供給することができる。
【0065】
好ましくは、電源システム1では、所定の被保護負荷40aは、複数の被保護負荷40のうち車両の安全性との関係が基準より弱い被保護負荷である。つまり、複数の被保護負荷40のうち車両の安全性との関係が基準より弱い被保護負荷40aが主電源10の異常時に副電源20との接続を解除される。それにより、各被保護負荷40の車両の安全性との関係に基づいて、主電源10の異常時に副電源20から出力される電力の供給先となる被保護負荷40を一層適切に切り替えることができる。したがって、主電源10の異常時に被保護負荷40に一層適切に電力を供給することができる。
【0066】
好ましくは、電源システム1では、制御装置530は、主電源10の異常時に副電源20の残存容量に応じて所定の被保護負荷40aと副電源20との接続を解除する。それにより、例えば、主電源10の異常時に副電源20の残存容量が比較的多い場合には、副電源20から出力される電力は、電力を供給する必要性が高い被保護負荷40(例えば、被保護負荷40b及び被保護負荷40c)に加えて、電力を供給する必要性が比較的低い被保護負荷40(例えば、被保護負荷40a)へ供給される。一方、例えば、主電源10の異常時に副電源20の残存容量が比較的少ない場合には、副電源20から出力される電力は、電力を供給する必要性が高い被保護負荷40(例えば、被保護負荷40b及び被保護負荷40c)のみへ供給される。したがって、主電源10の異常時に副電源20から出力される電力の供給先となる被保護負荷40を一層適切に切り替えることができる。したがって、主電源10の異常時に被保護負荷40に一層適切に電力を供給することができる。
【0067】
好ましくは、電源システム1では、制御装置530は、主電源10の異常時に、副電源20の残存容量が閾値を下回った場合に、所定の被保護負荷40aと副電源20との接続を解除する。それにより、主電源10の異常時に所定の被保護負荷40aと副電源20との接続を解除するタイミングを副電源20の残存容量に応じて適正化することができる。したがって、主電源10の異常時に副電源20から出力される電力の供給先となる被保護負荷40を一層適切に切り替えることができる。したがって、主電源10の異常時に被保護負荷40に一層適切に電力を供給することができる。
【0068】
好ましくは、電源システム1では、メインスイッチ510、切替部520及び制御装置530は、同一の制御ユニット50に搭載され、副電源20は、制御ユニット50に取り外し可能に接続される。それにより、例えば、電源システム1に含まれる被保護負荷40が必要とする電力量や被保護負荷40の個数に応じて副電源20を容易に取り換えることができる。
【0069】
好ましくは、電源システム1では、メインスイッチ510、切替部520及び制御装置530は、同一の制御ユニット50に搭載され、副電源20は、制御ユニット50に内蔵される。それにより、例えば、電源システム1の一層の小型化を図ること、副電源20と制御装置530とを接続する配線の本数を低減すること、及び配線抵抗を低減することができる。
【0070】
<4.むすび>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
例えば、上記実施形態における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理される必要はない。例えば、上記実施形態の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0072】
また、例えば、上記実施形態の第2の動作例では、制御装置530は、副電源20の残存容量が閾値を下回った場合に車両の安全性との関係が比較的弱い被保護負荷と副電源20との接続を解除する例について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。具体的には、副電源20の残存容量との比較に用いられる閾値が複数設けられてもよい。例えば、車両の安全性との関係が強い被保護負荷と、車両の安全性との関係が中程度の被保護負荷と、車両の安全性との関係が比較的弱い被保護負荷との3種類の負荷が存在する場合、副電源20の残存容量の閾値を2つ設けることにより、制御装置530は、副電源20の残存容量が1つ目の閾値を下回った場合に車両の安全性との関係が比較的弱い被保護負荷と副電源20との接続を解除し、副電源20の残存容量が2つ目の閾値を下回った場合に車両の安全性との関係が中程度の被保護負荷と副電源20との接続を解除することができる。
【0073】
また、例えば、上記実施形態では、一般負荷30が1個であり、被保護負荷40が3個である例について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。一般負荷30及び被保護負荷40の個数は、適宜変更されてよい。
【0074】
また、例えば、上記実施形態では、車両の安全性との関係が強い被保護負荷40bが電動ブレーキブースターであり、被保護負荷40cが電動パワーステアリングである例について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、電源システム1が搭載される車両が自動運転車両である場合、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)が車両の安全性との関係が強い負荷に含まれてもよい。
【0075】
また、例えば、上記実施形態では、車両の安全性との関係が被保護負荷40b及び被保護負荷40cより弱い被保護負荷40aがヘッドライトである例について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、被保護負荷40aは、車両のウィンカーやワイパー等であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1・・・電源システム、10・・・主電源、12・・・主電源センサ、20・・・副電源、22・・・残存容量センサ、30・・・一般負荷、40,40a,40b,40c・・・被保護負荷、50・・・制御ユニット、510・・・メインスイッチ、520・・・切替部、522,524,526,528・・・サブスイッチ、530・・・制御装置、F・・・ヒューズ、G・・・ジェネレータ、S・・・スタータ