(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】根菜類洗浄システム、加工根菜類の製造方法、及び根菜類洗浄方法
(51)【国際特許分類】
A23N 12/02 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
A23N12/02 N
(21)【出願番号】P 2019111127
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2021-11-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104113
【氏名又は名称】カゴメ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500000762
【氏名又は名称】イワセ鉄工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】羽石 典昭
(72)【発明者】
【氏名】河合 克典
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼宮 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 潤二
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 健治
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-010770(JP,A)
【文献】特開2007-300922(JP,A)
【文献】特開2016-208914(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109549218(CN,A)
【文献】実開昭63-080997(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 12/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工根菜類の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である: 第1の放水:放たれるのは、圧縮水であり、その放水先は、根菜類であり、
反転:反転されるのは、放水された根菜類の面であり、かつ、
第2の放水:放たれるのは、圧縮水であり、その放水先は、反転された根菜類であり、
前記圧縮水の放水基点が描く軌跡は、円であ
り、
前記圧縮水の圧力は、1.5MPa乃至2.5MPaである。
【請求項2】
請求項1の製造方法であって、
前記反転する手段は、落下である。
【請求項3】
請求項1又は2の製造方法であって、それを構成するのは、更に、以下の工程である:
加工:加工されるのは、放水された根菜類であり、その時期は、前記第2の放水後であ る。
【請求項4】
請求項3の製造方法であって、
前記加工は、切断又は剥皮である。
【請求項5】
洗浄システムであって、それを構成するのは、少なくとも、以下である:
搬送装置:それを構成するのは、少なくとも、第1の搬送面及び第2の搬送面であり、 前記第2の搬送面が設けられているのは、前記第1の搬送面よりも下流であり、かつ、前記第1の搬送面よりも低位置であり、前記第1の搬送面及び前記第2の搬送面が形成するのは、段差であり、かつ、
放水装置:それが設けられているのは、前記搬送装置よりも上方であり、かつ、 それで放たれるのは、圧縮水であり、
前記圧縮水の圧力は、1.5MPa乃至2.5MPaであり、
前記放水装置が回転するのは、平面内であり、この平面と略平行をなすのは、前記第1の搬送面及び前記第2の搬送面である。
【請求項6】
請求項5のシステムであって
前記放水装置を構成するのは、第1の回転体及び第2の回転体であり、
前記第1の回転体が設けられているのは、前記第1の搬送面より上方であり、
前記第2の回転体が設けられているのは、前記第2の搬送面より上方である。
【請求項7】
請求項5又は6のシステムであって、それを更に構成するのは、以下の工程である:
加工装置:それが設けられているのは、前記搬送装置よりも下流である。
【請求項8】
請求項7のシステムであって、
前記加工装置を構成するのは、少なくとも、刃である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が関係するのは、根菜類洗浄システム、加工根菜類の製造方法、及び根菜類洗浄方法である。
【背景技術】
【0002】
根菜類は、加工されて、流通する。根菜類を例示すると、ニンジン、ダイコン、サツマイモ等である。加工方法は、様々であり、具体的には、剥皮、切断、破砕等である。
【0003】
加工にあたり、根菜類は、洗浄され、それで除去されるのは、異物である。異物を例示すると、土、泥、石、樹脂シート等である。洗浄方法は、様々であり、具体的には、研磨、ブラシング、シャワー、バブリング等である。特許文献1が開示するのは、野菜、果実等の噴射洗浄機であり、その目的は、野菜、果実等の艶出しである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、異物除去率の向上である。根菜類に付着しているのは、様々な異物である。特に、根菜類の割れ目に挟まっているのは、硬質物(例えば、石など)である。従来、そのような異物は、上手く除去されていない。残った異物が引き起こすのは、加工器具の故障である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当該課題を解決するために、本発明者らが見出したのは、根菜類に対して高圧放水し、かつ、この根菜類を反転することである。そのような観点から、本発明を定義すると、以下のとおりである。
【0007】
加工根菜類の製造方法を構成するのは、少なくとも、第1の放水、反転、及び、第2の放水である。すなわち、圧縮水を放つ先は、根菜類である。放水された根菜類は、反転される。その後、圧縮水を放つ先は、反転された根菜類である。
【0008】
洗浄システムを構成するのは、少なくとも、搬送装置、及び放水装置である。この搬送装置を構成するのは、少なくとも、第1の搬送面及び第2の搬送面である。この第2の搬送面が設けられているのは、当該第1の搬送面よりも下流である。また、当該第2の搬送面が設けられているのは、当該第1の搬送面よりも低位置である。当該放水装置が設けられているのは、当該搬送装置よりも上方である。この放水装置で放たれるのは、圧縮水である。
【発明の効果】
【0009】
本発明が奏する効果は、異物除去率の向上である。異物が除去されると、加工装置の運転率が上がる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る加工根菜類の製造方法流れ図である。
【
図2】本実施の形態に係る放水前の試料の外観図である。
【
図3】本実施の形態に係る放水後の試料の外観図である。
【
図4】本実施の形態に係る洗浄システムの概略斜視図である。
【
図5】本実施の形態に係る洗浄システムの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本実施の形態に係る加工根菜類の製造方法の流れ>
図1で示されるのは、本実施の形態に係る加工根菜類の製造方法(以下、「本製法」という。)の流れ図である。本製法を構成するのは、第1の放水(S1)、反転(S2)、第2の放水(S3)、及び、加工(S4)である。ここで、加工根菜類とは、加工された根菜類をいう。根菜類を例示すると、例示すると、人参、イモ、ダイコン等である。
【0012】
<第1の放水(S1)>
圧縮水を放つ先は、載置された根菜類であり、圧縮水を放つことで、石が除去される。石が挟まっているのは、根菜類の割れ目である。挟まった石が原因で、刃が欠損する。当該圧縮水の放水基点が描く軌跡は、円である。そのような軌跡を採用する目的は、節水である。圧縮水の圧力は、後述する。
【0013】
<反転(S2)>
放水された根菜類は、反転される。第1の放水において、根菜類は、載置され、放水される。根菜類の載置されている面(載置面)は、放水されない。そこで、根菜類を反転することで、載置面も放水される。放水された根菜類を反転する手段の一つは、落下であるが、それ以外を排除しない。反転に必要な落差は、150mm乃至200mmである。
【0014】
<第2の放水(S3)>
圧縮水を放つ先は、反転された根菜類である。すなわち、圧縮水を放水する先は、根菜類の表面のうち、第1の放水(S1)で放水されなかった部分である。その他の詳細は、第1の放水(S1)と同様である。
【0015】
<加工(S4)>
放水された根菜類は、加工される。根菜類が加工されるのは、当該第2の放水後である。加工で使用されるのは、少なくとも、刃である。この場合、加工態様を例示すると、切断、剥皮等である。放水された根菜類から除去されているのは、石である。この根菜類を切っても、刃が欠けない。
【0016】
<圧縮水の圧力>
表1で示されるのは、圧縮水の圧力と残石数との関係である。圧縮水の圧力(水圧)を決める一つの要素は、石の除去率である。
図2で示されるのは、放水前の試料の外観である。各試験において、人参に挟まれていたのは、10個の石である。
図3で示されるのは、放水後の試料の外観である。この試験から明らかなとおり、圧縮水の圧力が2.0MPa以上であれば、石がほぼ確実に除去される。本発明で許容される圧力は、1.5MPa乃至2.5MPaである。
【0017】
【0018】
<本実施の形態に係る洗浄システム>
図4で示されるのは、本実施の形態に係る洗浄システム(以下、「本システム」という。)の概略斜視図である。本システム1で放水され、かつ、加工されるのは、根菜類Aである。本システム1を構成するのは、搬送装置10、放水装置20、加工装置30である。ここで、X軸方向が示すのは、搬送装置10の搬送方向である。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交している。
【0019】
<搬送装置>
搬送装置10で搬送されるのは、根菜類Aである。根菜類Aに時々挟まっているのは、異物Bである。異物Bを例示すると、石である。搬送装置10を構成するのは、搬送ベルト11及び搬送ローラ12、並びに、搬送ベルト13及び搬送ローラ14である。搬送ベルト11が有するのは、搬送面11aである。搬送ベルト11に形成されているのは、スリットである。このスリットが通水する。搬送ローラ12を回転させるのは、図示しない動力源である。他方、搬送ベルト13が有するのは、搬送面13aである。搬送ベルト13は、網状であり、そのような網が通水する。搬送ローラ14を回転させるのは、図示しない動力源である。
【0020】
<搬送面の位置関係>
図5で示されるのは、本システムの概略側面図である。搬送面13aが設けられているのは、搬送面11aよりもX軸方向下流側であり、かつ、搬送面11aよりも低位置である。搬送面11a及び搬送面13aが形成するのは、段差である。すなわち、搬送面13aに対する搬送面11aの高さは、Hである。高さHは、150mm乃至200mmである。そのような段差で回転させるのは、根菜類Aである。
【0021】
<放水装置>
放水装置20で放たれるのは、圧縮水Cである。放水装置20を構成するのは、第1の回転体21及び噴射ノズル22、並びに、第2の回転体23及び噴射ノズル24である。回転体21が設けられているのは、搬送面11aよりも上方である。噴射ノズル22が噴射すると、回転体21が回転するのは、平面内であり、この平面と略平行をなすのは、搬送面11aである。回転体21の回転速度は、200rpm乃至300rpmである。回転体21に設けられているのは、1又は2以上の噴射ノズル22である。他方、回転体23が設けられているのは、搬送面13aよりも上方である。噴射ノズル22が噴射すると、回転体22が回転するのは、平面内であり、この平面と略平行をなすのは、搬送面13aである。回転体22の回転速度は、200rpm乃至300rpmである。噴射ノズル22及び噴射ノズル24に接続されているのは、図示しないポンプである。このポンプで圧縮されるのは、水である。そのような回転放水方式で可能にするのは、節水である。圧縮水Cの圧力は、前述のとおり、2.0MPa以上である。前述の放水基点に相当するのは、噴射ノズル22及び噴射ノズル24である。以上において、第1の回転体21及び噴射ノズル22、並びに、第2の回転体23及び噴射ノズル24を例示すると、コンベア洗浄用回転ノズル「ニューロータリーアームジェットV型」(スプレーイングシステムズ株式会社製)であるが、これに限られない。
【0022】
<加工装置>
加工装置30で加工されるのは、放水された根菜類Aである。ここで、加工とは、根菜類Aの形状を変えることをいい、とりわけ、その手段が刃であるものをいう。例えば、切断、剥皮等である。加工装置30が設けられているのは、搬送装置10よりもX軸方向下流側である。
【0023】
<本実施の形態の効果>
根菜類に放たれるのは、圧縮水である。また、根菜類は、反転される。根菜類の全面が高圧放水されるから、異物がほぼ確実に除去される。異物がほぼ確実に除去されと、加工装置の運転率が上がる。とりわけ、石による刃欠けは、ほぼ確実に解消される。