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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】物品仕分け装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
B65G1/137 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019113706
(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公開番号】P2020203786
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】古賀 直幸
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】添田 勉
(72)【発明者】
【氏名】清水 慎一
(72)【発明者】
【氏名】有田 博紀
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-135170(JP,A)
【文献】特開2001-048323(JP,A)
【文献】特開2018-188235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容している複数の種類の段ボール箱を供給する梱包箱供給手段と、
前記段ボール箱を開封する開封手段と、
前記開封手段で開封された前記段ボール箱に収容されている前記物品を、段ボール箱とは異なる専用箱に詰め替える詰替手段と、
前記梱包箱供給手段と同一階層に設けられ、前記専用箱を、詰替えられた物品の種類ごとに分離して移送する専用箱移送ラインと、
前記専用箱移送ラインで移送された複数の種類の前記専用箱から、必要となる種類と個数の物品(以下、「物品セット」という)を、ピッキングするピッキング手段と、
前記ピッキング手段でピッキングされた前記物品セットを、配送ケースに詰める詰め込み手段と、を備え、
少なくとも、前記開封手段および前記詰替手段を人力での開封作業者が行い、
前記開封作業者は、前記梱包箱供給手段により供給される段ボール箱を開封して、収容されている前記物品を前記専用箱に詰替えることでピッキング可能な状態として、前記専用箱移送ラインに投入し、
前記専用箱移送ラインは、複数の移送ラインを備えており、
前記専用箱は、物品の種類ごとに対応しており、
前記開封作業者は、前記物品の種類ごとに異なる詰替え後の前記専用箱を、前記複数の移送ラインの内、異なる移送ラインに区別して投入し、
前記ピッキング手段は、前記専用箱から、前記物品セットに必要となる種類と個数の物品をピッキングする、ピッキング装置を含み、
前記物品セットが複数の種類の物品を含む場合には、前記ピッキング装置は、異なる種類に対応する異なる前記専用箱のそれぞれから、対応する前記物品をピッキングし、
前記ピッキング手段がピッキングした前記物品セットを、一時的に載置する載置台を更に備え、
前記詰め込み手段は、前記載置台に載置されている前記物品セットを、対応する前記配送ケースに詰め込み、
前記詰め込み手段は、人力による詰め込み作業者を含む、物品仕分け装置。
【請求項2】
前記ピッキング手段に、前記物品セットを構成する種類と個数の物品を指示する、ピッキング指示部を、更に備える、請求項記載の物品仕分け装置。
【請求項3】
前記ピッキング指示部は、前記物品セットに対応する前記配送ケースが変わると、指示内容を変更する、請求項記載の物品仕分け装置。
【請求項4】
前記詰め込み手段の元に、前記配送ケースを供給する配送ケースラインを更に備える、請求項記載の物品仕分け装置。
【請求項5】
前記ピッキング手段でピッキングされて空になった前記専用箱を返却する返却ラインを、更に備える、請求項記載の物品仕分け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品棚に種類ごとに分けて収容されている物品をピッキングして必要な物品セットとして仕分ける物品仕分けにおいて使用される物品仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットショッピングが隆盛である。顧客が、従来の店舗型商店(スーパーマーケットや百貨店)などに直接訪問して商品を購入して持ち帰るスタイルから、インターネット上で商品を発注して電子決済するようになっている。このようなインターネットショッピングでも、注文・決済された商品が、購入者へ配送される必要がある。
【0003】
このようなインターネットショッピングでは、様々な種類の物品が売買される。このため、配送業者の配送施設においては、非常に多くの種類の物品を用意しておいて、配送先の注文に応じた複数の種類の物品が組み合された物品セットを構成する必要がある。例えば、配送先Xに対して、3個の物品A、2個の物品B、4個の物品Cを物品セットとして配送する必要があることがある。
【0004】
この場合には、配送施設において、物品A~物品Cをはじめとして、多くの種類の物品をあらかじめ用意しておく必要がある。例えば、物品棚にこれらの商品が用意されている(ストックされている)。作業者が、これらの物品棚から、必要となる種類と個数の物品を取り出して(ピッキングして)、配送用ケースに詰める。この配送用ケースの中に、3個の物品A、2個の物品B、4個の物品Cが物品セットとしてつめられる。この配送用ケースが、上述したように配送先Xに配送される。
【0005】
すなわち、配送施設において、複数の種類、個数の物品を、配送先に必要となる組み合わせである物品セットに仕分ける処理が必要となる。
【0006】
なお、物品セットとして仕分けられた物品は、上述のように配送ケースに詰められる。配送ケースは、配送先あるいは出荷先に向けて出荷状態とされる。このとき、配送ケースは配送先あるいは出荷先に合わせて紐付けされている。このため、ある配送ケースに詰められている物品セットは、紐付けされた配送先へ配送される。この配送ケースは、ピッキング作業の背後などに設置されている配送ケースラインにおいて運搬される。このため、物品棚からピッキングされた物品は、配送ケースラインで運搬される配送ケースに詰められて、配送用に流れていく。
【0007】
このように、インターネットショッピングや通信販売に対応する配送施設においては、多数の種類と個数の物品を用意する物品棚があり、これから必要な物品をピッキングして配送用の物品セットを作ることが行われている。
【0008】
あるいは、ある製造業者においては、多数の種類の物品を製造している。この製造業者から、仲介業者や小売店などに、複数の種類で複数の個数の物品の組み合わせを、物品セットとして配送することが行われる。すなわち、複数の種類の物品を、配送先に必要となる組み合わせの物品セットに仕分ける処理が必要となる。
【0009】
このように、製造業者においても、複数の種類、個数の物品を、配送先に必要となる組み合わせである物品セットに仕分ける処理が必要となる。上述の配送施設や製造業者に限られず、このような仕分け処理は、様々な場所、場面で必要となっている。
【0010】
この場合も、物品棚から物品セットの組み合わせに対応する物品がピッキングされる工程と、ピッキングされた物品が配送ケースに詰められる工程と、物品セットが詰められた配送ケースが、配送状態として移動される工程とが実施される。
【0011】
このような中で、スタッカクレーンを用いて物品を仕分ける自動倉庫の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2009-46242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1は、主コンベヤの途中のピッキングステーションに設けられる流動棚と、流動棚の各間口に設けられるピッキング数の表示器と、ピッキング後の満杯容器又は仕分け完了容器を入出庫する自動倉庫と、仕掛容器を段積みしたコラムを一時貯留するストレージコンベヤと、ストレージコンベヤから切り出されたコラムを主コンベヤへ戻す戻しコンベヤと、コラムをばらす段バラシ装置と、コラムをストレージコンベヤの始端に戻すコラムバイパスコンベヤと、ばらした仕掛容器を段積み装置へ送る仕掛容器バイパスコンベヤと、自動倉庫から出庫した満杯容器又は仕分け完了容器を店舗別に段積みする出荷用段積み装置と、各機器を制御する管理コンピュータとを備える仕分け設備を開示する。
【0014】
しかしながら、近年のインターネットショッピングや通信販売においては、ネット社会の広がりに応じて、きわめて多数の種類の物品が売買されるようになってきている。このため、配送施設における物品の仕分け処理に必要となる物品の種類が多大となっている現状がある。
【0015】
同様に、製造業者において製造される物品の種類数も非常に多くなってきている。例えば、洗剤を製造する製造業者で製造される洗剤も、その種類が非常に多くなってきている。このため、製造業者から出荷される物品の種類が非常に多くなってきている現状がある。
【0016】
ここで、物品の仕分け処理おいては、複数の区画に分割された物品棚と、この物品棚からの物品のピッキングが用いられることがある。複数の区画のそれぞれには、種類ごとに異なる物品が保管されている。例えば、区画Aには物品Aが、区画Bには物品Bが、区画Cには物品Cが保管されている。ここで、物品A、物品B、物品Cは、物品の種類を表す。
【0017】
作業者は、物品棚の区画の前においてピッキング作業する。例えば、配送先Xに対して、3個の物品A、2個の物品B、4個の物品Cを物品セットとして仕分ける必要があるとする。作業者は、区画Aから3個の物品Aをピッキングし、区画Bから2個の物品Bをピッキングし、区画Cから4個の物品Cをピッキングする。
【0018】
更に、作業者は、これらの物品を物品セットとして、配送先Xに対応する配送ケースに詰める。このようにして、物品の仕分け処理を完了する。
【0019】
しかしながら、上述したように物品の種類が非常に増えている現状がある。また、種類に加えて、ある仕分け作業時間帯において、仕分けしなければならない物品の個数も非常に増えている現状がある。このような増加の中で、作業者の負担が増加している問題がある。
【0020】
物品の種類や個数が増えることで、物品棚に収容しなければならない物品の種類や個数が増加している。このため、物品棚の大型化や、種類に対応するための物品棚の区画の数などの増加の問題が生じている。このような物品棚に収容されている物品を、ピッキング装置や作業者が正確かつ多量にピッキングをしなければならない中での負担が増加している問題がある。
【0021】
また、物品の種類や個数の増加に伴い、ある種類の複数の物品が梱包されている箱から物品を取り出して、これらを配送先に合わせた物品セットとしてピッキングする、といった手順のそれぞれが複雑化する問題がある。ある部分では、ピッキング作業者のような人的作業が行われるが、人的作業の問題としては、ミスが生じる可能性がある。
【0022】
一方で、機械化による自動化作業を導入する場合には、機械化によるコスト増加や、物品仕分け作業全体のライン構築のフレキシビリティがなくなるといった問題がある。さらには、機械が苦手な作業も存在する。
【0023】
物品仕分け作業の作業要素を整理すると、(1)ある種類の複数の物品が梱包されている梱包箱の供給、(2)梱包箱の開封、(3)開封された梱包箱からピッキングしやすいように物品をコンテナへの入れ替え、(4)入れ替えられたコンテナから、必要となる種類と個数の物品のピッキング、(5)ピッキングした配送先に必要となる種類と個数の物品である物品セットを、配送ケースに詰める作業、(6)物品セットが詰められた配送ケースを出荷用にセットする作業、とが含まれる。
【0024】
物品の種類と個数の増加によって、このような物品仕分け作業に含まれる個々の作業要素の複雑化や、個々の作業要素の組み合わせの複雑化が生じている。従来技術では、これに適切に対応するのが難しかったり、効率化するのが難しかったりする問題があった。
【0025】
このように、従来技術においては、多数の種類と個数の物品をピッキングして、ある配送先に合わせた物品セット(種類と個数のセット)を作るのが、次第に困難となってきているのに対応できない問題があった。
【0026】
本発明は、上記の課題に鑑み、種類と個数の増加する物品の仕分け作業において、人的作業と機械化とを最適に組み合わせて効率的に物品仕分けを行う、物品仕分け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題に鑑み、本発明の物品仕分け装置は、
物品を収容している複数の種類の段ボール箱を供給する梱包箱供給手段と、
段ボール箱を開封する開封手段と、
開封手段で開封された段ボール箱に収容されている物品を、段ボール箱とは異なる専用箱に詰め替える詰替手段と、
梱包箱供給手段と同一階層に設けられ、専用箱を、詰替えられた物品の種類ごとに分離して移送する専用箱移送ラインと、
専用箱移送ラインで移送された複数の種類の専用箱から、必要となる種類と個数の物品(以下、「物品セット」という)を、ピッキングするピッキング手段と、
ピッキング手段でピッキングされた物品セットを、配送ケースに詰める詰め込み手段と、を備え、
少なくとも、開封手段および詰替手段を人力での開封作業者が行い、
開封作業者は、梱包箱供給手段により供給される段ボール箱を開封して、収容されている物品を専用箱に詰替えることでピッキング可能な状態として、専用箱移送ラインに投入し、
専用箱移送ラインは、複数の移送ラインを備えており、
専用箱は、物品の種類ごとに対応しており、
開封作業者は、物品の種類ごとに異なる詰替え後の専用箱を、複数の移送ラインの内、異なる移送ラインに区別して投入し、
ピッキング手段は、専用箱から、物品セットに必要となる種類と個数の物品をピッキングする、ピッキング装置を含み、
物品セットが複数の種類の物品を含む場合には、ピッキング装置は、異なる種類に対応する異なる専用箱のそれぞれから、対応する物品をピッキングし、
ピッキング手段がピッキングした物品セットを、一時的に載置する載置台を更に備え、
詰め込み手段は、載置台に載置されている物品セットを、対応する配送ケースに詰め込み、
詰め込み手段は、人力による詰め込み作業者を含む

【発明の効果】
【0028】
本発明の物品仕分け装置は、物品仕分け作業に含まれる作業要素を適切に分割することで、物品仕分け作業を効率化できる。また、作業要素において、人力での対応要素、機械化による対応要素とを、適切に組み合わせることで、物品仕分け作業の効率化を促進できる。特に、人力が得意な作業要素と、機械が得意な作業要素とに適切に組み分けることで、物品仕分け作業の正確性を高めることができる。
【0029】
また、人力と機械化とを適切に組み合わせることで、より大量の種類と個数の物品の仕分け作業が可能となる。また、人力作業の効率化と正確性が高まることで、作業時間帯における作業者の集中度が高まり、作業能力が高まる。また、これに伴い、仕分け作業時間の拡大も図ることができ、大量処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】物品の種類が増加することで、物品棚が巨大化する問題を説明する模式図を示す。
図2】物品棚と配置エリアとを備える仕分け処理を説明する模式図である。
図3】ピッキング作業者による物品のピッキングと配送ケースの到着とのタイムラグを示す模式図である。
図4】本発明の実施の形態1における物品仕分け装置のブロック図である。
図5】本発明の実施の形態1におけるピッキング手段の周辺のブロック図である。
図6】本発明の実施の形態1における載置台の周辺のブロック図である。
図7】本発明の実施の形態2における物品仕分け方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の第1の発明に係る物品の仕分け装置は、
物品を収容している複数の種類の物品梱包箱を供給する梱包箱供給手段と、
物品梱包箱を開封する開封手段と、
開封手段で開封された物品梱包箱に収容されている物品を、専用箱に詰め替える詰替手段と、
専用箱を、詰替えられた物品の種類ごとに分離して移送する専用箱専用箱移送ラインと、
専用箱専用箱移送ラインで移送された複数の種類の専用箱から、必要となる種類と個数の物品(以下、「物品セット」という)を、ピッキングするピッキング手段と、
ピッキング手段でピッキングされた物品セットを、配送ケースに詰める詰め込み手段と、を備え、
少なくとも、開封手段および詰替手段を人力での開封作業者が行う。
【0032】
この構成により、物品梱包箱に入っている物品を、配送先に必要となる物品セットとして仕分ける作業を、効率的かつ正確に行うことができる。
【0033】
本発明の第2の発明に係る物品の仕分け装置では、第1の発明に加えて、開封作業者は、梱包箱供給手段により供給される物品梱包箱を開封して、収容されている物品を専用箱に詰替えることでピッキング可能な状態として、専用箱専用箱移送ラインに投入する。
【0034】
この構成により、開封作業者による開封作業により、開封の効率化が図られる。
【0035】
本発明の第3の発明に係る物品の仕分け装置では、第2の発明に加えて
専用箱移送ラインは、複数の移送ラインを備えており、
専用箱は、物品の種類ごとに対応しており、
開封作業者は、物品の種類ごとに異なる詰替え後の専用箱を、複数の移送ラインの内、異なる移送ラインに区別して投入する。
【0036】
この構成により、ピッキング手段は、異なる種類の物品を、異なる移送ラインによって移送される物品梱包箱からピッキングできる。このため、種類の違いを間違えるミスを生じさせにくい。
【0037】
本発明の第4の発明に係る物品の仕分け装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、ピッキング手段に、物品セットを構成する種類と個数の物品を指示する、ピッキング指示部を、更に備える。
【0038】
この構成により、ピッキング手段は、必要となる種類と個数の物品を、スムーズにピッキングできる。
【0039】
本発明の第5の発明に係る物品の仕分け装置では、第4の発明に加えて、ピッキング指示部は、物品セットに対応する配送ケースが変わると、指示内容を変更する。
【0040】
この構成により、ピッキング手段によるピッキング作業の効率化を実現できる。
【0041】
本発明の第6の発明に係る物品の仕分け装置では、第5の発明に加えて、
ピッキング手段は、専用箱から、物品セットに必要となる種類と個数の物品をピッキングする、ピッキング装置を含み、
物品セットが複数の種類の物品を含む場合には、ピッキング装置は、異なる種類に対応する異なる専用箱のそれぞれから、対応する物品をピッキングする。
【0042】
この構成により、必要となる種類と個数の物品を、確実かつ効率的にピッキングできる。
【0043】
本発明の第7の発明に係る物品の仕分け装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、ピッキング手段がピッキングした物品セットを、一時的に載置する載置台を更に備える。
【0044】
この構成により、ピッキングと詰め込みとのタイムラグを吸収して、作業の停滞を防止できる。
【0045】
本発明の第8の発明に係る物品の仕分け装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、詰め込み手段は、載置台に載置されている物品セットを、対応する配送ケースに詰め込み、
詰め込み手段は、人力による詰め込み作業者を含む。
【0046】
この構成により、詰め込み処理が効率よく行われる。
【0047】
本発明の第9の発明に係る物品の仕分け装置では、第8の発明に加えて、詰め込み手段の元に、配送ケースを供給する配送ケースラインを更に備える。
【0048】
この構成により、詰め込みを行う配送ケースが、詰め込み手段に次々と供給されて、詰め込み処理が効率的に行われる。
【0049】
本発明の第10の発明に係る物品の仕分け装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、ピッキング手段でピッキングされて空になった専用箱を返却する返却ラインを、更に備える。
【0050】
この構成により、空となった物品梱包箱が、次のピッキングの邪魔とならないようにできる。
【0051】
本発明の第11の発明に係る物品の仕分け装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、
梱包箱供給手段、開封手段、詰替手段、専用箱移送ライン、ピッキング手段、詰め込み手段およびピッキング指示部の少なくとも一つを制御する制御部を更に備え、
制御部は、ある配送ケースに対応する物品セットを軸として、制御を行う。
【0052】
この構成により、物品仕分け全体の正確性と効率化を高めることができる。
【0053】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0054】
(実施の形態1)
【0055】
(発明者による分析)
発明者は、物品棚の区画から物品をピッキングして仕分ける処理についての問題を次のように分析した。
【0056】
(物品棚の無制限な巨大化)
従来技術で説明したように、配送施設が取り扱う物品の種類や製造業者が製造する物品の種類は、消費者の嗜好の多様化によって増加している。このため、配送施設での出荷や製造業者での出荷において、出荷用の物品の組み合わせの物品セットを作るのに、多くの種類の物品を取り扱わないといけない状態となっている。
【0057】
配送施設や製造業者においては、複数の種類の物品が物品棚に収容されている。この物品棚には、供給クレーンなどが次々と物品を供給する。この物品棚に収容されている物品をピッキングして、配送先ごとに異なる物品セットを作る必要がある。例えば、配送先Xには、3個の商品A、2個の商品B、4個の商品Cの組み合わせを、物品セットとして作る必要がある。ただ、この物品の種類が増加しており、物品A~物品Zなどのように、その物品の種類が多くなっている状態がある。
【0058】
ここで、物品セットは、配送先に必要となる種類と個数による、物品の組み合わせをいう。このように物品棚から必要となる種類と個数の物品をピッキングして物品セットを作る。物品セットは、例えば、配送先Xに合わせた配送ケースに詰められる。このように、物品棚を基準とした物品の仕分けが行われる。仕分けられた物品セットを詰めた配送ケースは、その後、実際に出荷されたり配送されたりする。
【0059】
図1は、物品の種類が増加することで、物品棚が巨大化する問題を説明する模式図を示す。物品棚100は、複数の区画101を備えている。複数の区画101のそれぞれに、同一種類の物品200が収容されている。例えば、ある区画101には種類Aの物品200が、別の区画101には種類Bの物品200が、他の区画には種類Cの物品200が収容されている。
【0060】
配送先に送る物品セットを作るためには、物品棚100から必要となる種類の物品200をピッキングする必要がある。しかしながら、物品200の種類が増加しすぎると、図1のように物品棚100が巨大化してしまう。ピッキング作業を作業者が人力で行う場合には、巨大化した物品棚100から必要となる種類の物品200をピッキングすることが困難である。ピッキング作業を機械であるピッキング装置が行う場合でも同様の問題が生じる。
【0061】
また、物品棚100に複数の作業者やピッキング装置が配置される場合でも、必要となる種類の物品200が身近にないこともあり得る。この場合には、作業者やピッキング装置が、物品棚100に平行に移動する移動工程を必要として、仕分け作業が非効率的となる問題がある。
【0062】
また、多数の種類の物品200の中には、物品セットを作るときに頻繁に選択される物品200と、たまにしか選択されない物品200とが存在する。図1の物品棚100に、このような頻繁に選択される物品200とたまにしか選択されない物品200とが混在して収容されているとする。この場合で、複数の作業者で物品棚100から物品200をピッキング作業する際には、頻繁に選択される物品200の区画101を担当する作業者と、たまにしか選択されない物品200の区画101を担当する作業者とで、作業量が偏るという問題がある。
【0063】
(低頻度物品の別配置による問題)
このような、頻繁に選択される物品200とたまにしか選択されない物品200とが混在することに対応するために、図2のように、物品棚100以外に配置エリア150を利用することも行われる。図2は、物品棚と配置エリアとを備える仕分け処理を説明する模式図である。
【0064】
物品棚100には、頻繁に選択される物品200が収容されている。これに対して、配置エリア150には、たまにしか選択されない物品200が設置されている。物品棚100は、複数が組み合されており、全体として仕分け倉庫300が構成されている。
【0065】
複数の物品棚100の前には、複数の作業者400がピッキング作業を行うように配置されている。また、作業者400の後ろ(物品棚100と逆側)には、配送ケースライン160が備わっており、この上を配送ケース170が流れている。作業者400は、物品セットとして必要となる種類と個数の物品200をピッキングしたら、この配送ケース170に詰める。配送ケースのそれぞれは、出荷先や配送先を示しており、ある配送ケース170に詰められた物品セット(必要な種類と個数の物品200の組み合わせ)は、配送ケース170に定義された出荷先や配送先に配送される。
【0066】
後述する実施の形態においても、作業者が物品棚100から必要となる種類と個数の物品200(これらの組み合わせが物品セットである)をピッキングして、配送ケースライン160を流れる配送ケース170に詰める。これが仕分け装置や仕分け倉庫での仕分け作業である。
【0067】
ここで、図2では、たまにしか選択されない物品200は、物品棚100に収容せずに、配置エリア150に置かれている。高い頻度で選択される種類の物品200は、作業者400の作業効率を考えて物品棚100に収容されているが、たまにしか選択されない種類の物品は、物品棚100の巨大化を防止するために、配置エリア150に置かれる。
【0068】
物品棚100の巨大化を防止できるが、物品セットによっては、この配置エリア150に物品200を取りに行く必要が生じることもある。この場合には、作業者400は、物品棚100の前から配置エリア150に移動する必要がある。この移動は、仕分け作業の効率を下げる問題を生じさせる。もちろん、作業者400ではなく機械のピッキング装置である場合にも、ピッキング装置が移動するあるいはピッキング機構を配置エリア150まで延伸させる必要があり、現実的でない問題がある。
【0069】
(配送ケースの到着とピッキング作業とのタイムラグの問題)
図3は、ピッキング作業者による物品のピッキングと配送ケースの到着とのタイムラグを示す模式図である。仕分け倉庫300は、図2と同様に複数の物品棚100を備えている。物品棚100に物品200が収容されており、ピッキング作業を行う作業者400が、それぞれの物品棚100から必要となる種類と個数の物品200をピッキングする。ある配送ケース170に詰め込むのに必要な種類と個数の物品200をピッキングする作業が終了しても、配送ケースライン160で運搬される配送ケース170がまだ到着していないことがある。図3はこの状態を示している。
【0070】
このため、作業者400の背面に仮置き台500を設置しておくことも考えられる。仮置き台500に、作業者400は、ピッキング作業の終わった種類と個数の物品200を一時的においておくことができる。しかしながら、仮置き台500のスペースが不足して、必要な物品200を置いておくことができない問題もあり得る。
【0071】
また、作業者400によるピッキング作業は、次々と行われる必要がある。このため、ある配送ケース170ではない別の配送ケース170に詰める必要のある種類と個数の物品200をピッキングする必要がある。このため、仮置き台500にある配送ケース170に詰めるための物品200以外に、次にピッキングした物品200を載せる必要も生じる。こうなると、仮置き台500には、異なる配送ケース170に詰めるための物品200も混在して置かれることになる。
【0072】
こうなってしまうと、作業者400は、仮置き台500に置いてある物品200を間違えて別の配送ケース170に詰めてしまうミスを犯してしまう問題もある。加えて、作業者400は、ピッキング、仮置き台500、配送ケース170へのつめこみなど様々に対応する必要があるが、混乱をきたしてしまう問題もある。
【0073】
発明者は、これらの分析を経て、本発明を行った。
【0074】
(全体概要)
図4は、本発明の実施の形態1における物品仕分け装置のブロック図である。図4を用いて、実施の形態1における物品仕分け装置の全体概要について説明する。
【0075】
物品仕分け装置1は、梱包箱供給手段4、開封手段5、詰替手段55、専用箱移送ライン6、ピッキング手段7、詰め込み手段8とを備える。また、梱包箱供給手段4に複数の種類の梱包箱を供給する物品棚2が、さらに備わってもよい。物品棚2に物品を収容している複数の種類の物品梱包箱50(図4においては、種類による違いを示すために、物品梱包箱50A、50Bなどのような符号で示している。物品梱包箱50は、種類の違いに関わらない物品梱包箱を示している。物品梱包箱50の種類を区別する場合には、必要に応じて物品梱包箱50A、50Bなどのようなアルファベットの追加符号で区別している)が、梱包箱供給手段4に供給されることから、物品仕分け装置1の動作が開始される。もちろん、広く見れば、物品棚2からの物品梱包箱50の供給や、物品棚2への物品梱包箱50の設置も、物品仕分け装置1の動作の一つとみなせる。
【0076】
物品梱包箱50は、物品200を収容する。ここで、基本的に同じ種類の物品200を収容する。図4では、ある種類の物品200Aが物品梱包箱50Aに収容されており、別の種類の物品200Bが物品梱包箱50Bに収容されている。物品梱包箱50は、ある種類の物品200であって複数の数の物品200を収容している。このため、物品梱包箱50との名称である。物品梱包箱50を開封すると、ある種類で複数の数の物品200を取り出すことができる。例えば、物品梱包箱50Aを開封すると物品200Aを取り出すことができる。物品梱包箱50Bを開封すると物品200Bを取り出すことができる。他の種類の物品200を収容している物品梱包箱50も同様である。
【0077】
梱包箱供給手段4は、物品棚2からの物品梱包箱50を、開封手段5に供給する。図4のように、開封手段5に向けて、物品梱包箱50が移送されて供給される。この移送では、例えば、ベルトコンベア機構などが利用されればよい。物品棚2から物品梱包箱50が、梱包箱供給手段4によって、開封手段5に供給される。このとき、上述のように物品梱包箱50は、収容する物品の種類ごとに異なる種類としてみなされてもよい。このため、物品200Aを収容している物品梱包箱50Aが供給されたり、物品200Bを収容している物品梱包箱50Bが供給されたりする。
【0078】
開封手段5は、供給された物品梱包箱50を開封する。物品梱包箱50は、例えば段ボール箱のような態様である。このため、中の物品200を取り出し可能にするには、開封する必要がある。例えば、段ボール箱であれば、閉じているテープを外したり切ったりする必要がある。開封することで、内部に収容されている物品200が取り出し可能になる。
【0079】
ここで、開封手段5は、物品梱包箱50の種類に関わらず、開封作業を行う。
【0080】
開封手段5で物品梱包箱50が開封されると、詰替手段55が、物品梱包箱50に入っている物品200を専用箱300に詰替える。専用箱300は、後述するピッキング手段7が容易かつ確実にピッキングできるように用意された容器である。例えば、コンテナ箱などが、専用箱300として使用される。
【0081】
ピッキング手段7は、機械などによって実現されることが多い。物品梱包箱50は段ボール箱のようなものであって、強度や大きさがまちまちであることが多く、機械で実現されるピッキング手段7にとって、ピッキング困難となることも多い。このため、詰替手段55が、開封された物品梱包箱200から物品200を、専用箱300に詰替える。専用箱300は、機械で実現されているピッキング手段7が、容易かつ確実にピッキングできるものである。大きさが統一されていたり、上部の解放間口が大きいなどの特徴により、ピッキングが容易となる。
【0082】
詰替手段55は物品200の詰替えが終わった専用箱300を、専用箱移送ライン6に送り出す。このとき、専用箱移送ライン6は、複数の種類の物品200に対応する専用箱300を、物品200の種類ごとに分離して移送する。
【0083】
ここで、開封手段5および詰替手段55は、人力である開封作業者51によって行われることも好適である。段ボール箱のような物品梱包箱50を開封したり、開封された後の物品梱包箱50の中にある物品200を専用箱300に詰替えたりするのは、人力で行うことのほうが容易かつフレキシブルに対応できるからである。
【0084】
図4では、専用箱移送ライン6は、複数のラインを備えている。この複数のラインが対応することで物品200の種類ごとに分離して専用箱300を移送する。例えば、物品200Aが詰替えされた専用箱300はあるラインで移送され、物品200Bが詰替えされた専用箱300は別のラインで移送される。
【0085】
このようにして、ピッキング手段7には、異なるラインから専用箱300が到達する。異なるラインに対応して分離して異なる種類の物品200を詰めた専用箱300が到達するので、ピッキング手段7は、到達位置に応じて到達した専用箱300の種類を把握できる。
【0086】
ピッキング手段7は、専用箱移送ライン6で移送された複数の種類の専用箱300から必要となる種類と個数の物品200(以下、「物品セット」という)を、ピッキングする。例えば、物品200Aが入った専用箱300から3つの物品200Aと物品200Bが入った専用箱300から2つの物品200Bをピッキングする。この3つの物品200Aと2つの物品200Bの組み合わせが、ある配送先に配送する物品セットである。図4では、載置台30の一番上に、この組み合わせの物品セットが示されている。
【0087】
あるいは、2つの物品200Aと3つの物品200Bの組み合わせが、別の配送先への物品セットとしてピッキングされてもよい。図4の載置台30の2番目には、この組み合わせの物品セットが示されている。
【0088】
ピッキング手段7は、物品移送ライン6で移送された専用箱300の中から、この物品セットのそれぞれに対応する物品200をピッキングする。このとき、専用箱300は、上述のように大きさや形状が統一されていたり上部の解放間口が大きいことで、ピッキング手段7は、容易にピッキングできる。
【0089】
ピッキング手段7は、一例として、空気吸着や把持機構などを持った装置を備える。このような機構での装置で専用箱300の中にある物品200を取り出して、載置台30に載せる。あるいは磁力を利用する機構でもよい。また、図4のように、物品セットを一旦載置しておく載置台30が備わることも好適である。載置台30に物品セットのそれぞれが載置されておくことで、後述する詰め込み手段8は、配送ケース170に物品セットを詰め込むことができるからである。
【0090】
ピッキング手段7によるピッキング作業は上述のように、吸着機構、把持機構、磁力機構などの機械的・電子的な装置によって行われることが効率が良い。このため、ピッキング手段7は、機械的な装置であることが好ましい。すなわち、人力作業の作業者ではなく、ロボットや装置であることが好ましい。
【0091】
詰め込み手段8は、物品セットを対応する配送ケース170に詰める。配送ケース170は、配送ケース移送ライン160により詰め込み手段8の位置に供給される。供給された配送ケース170は、配送先ごとに識別されており、この配送先に対応する物品セットが詰められることで、配送先に必要となる種類と数の物品200が配送されるようになる。
【0092】
詰め込み手段8は、図4の例のように載置台30に物品セットが載置されている場合には、この載置台30から配送ケース170に対応する物品セットの物品200を詰める。これにより、配送ケース170に必要な物品200が詰められる。
【0093】
また、開封手段5は、人力での開封作業者51を含み、開封手段5において開封作業者51により人力で開封作業を行うことが好適である。ピッキング作業と異なり、物品梱包箱50を開封して専用箱300に詰替えることは、機械よりも人力のほうが早く正確であることも多い。このため、開封手段5は、開封作業者51によって実行されることが好適である。上述したが、同じように、詰替手段55も人力である開封作業者51によって行われることが好適である。
【0094】
同様の理由で、上述した詰め込み手段8も人力で作業されることも好適である。いずれも、単調でありつつも箱の形状の相違や到達する数の違いなどに対応する柔軟性は、人的作業のほうが、効率が良いからである。また、ラインの変更などにも対応しやすいからである。
【0095】
一方で、上述したように、ピッキング作業は機械やロボットなどの機械的装置のピッキング手段7で実行されることが効率的である。種類と数を把握しながらのピッキング作業は、機械のほうが得意だからである。
【0096】
以上のように、物品仕分け装置1は、物品の仕分けにおいて、必要となる作業要素を分離した上で手段と構成を作り、それぞれにおいて人的作業と機械作業とに分けることで、効率の向上を実現できる。
【0097】
物品200の仕分けは、種類ごとに物品200が詰められた物品梱包箱50が供給されることから開始される。物品200は、製造工程で製造されて物品梱包箱50に詰められて配送センターなどに提供されるからである。
【0098】
このとき、製造工程(例えば、配送センターとは異なる製造業者であったり、配送センターと同じ製造業者であったりが製造する工程)で製造された物品200は、上述のように種類ごとに物品梱包箱50に詰められている。このような種類ごとに応じた物品梱包箱50が多数届いてから、仕分け処理が開始される。
【0099】
物品仕分けとは、配送先に必要となる種類と数の物品200の組み合わせである物品セットを構成し、これを配送先に対応する配送ケース170に詰め込むことである。この配送ケース170は、実際の配送(運送)のステージに入る。よって、物品仕分けにおいては次の作業要素がある。
【0100】
(1)物品梱包箱50を開封する。開封により物品梱包箱50内部の物品200を取り出し可能とする。
(2)開封された物品梱包箱50に収容されている物品200を、ピッキング容易な専用箱300に詰替える。
(3)専用箱300から必要となる種類と個数の物品200をピッキングする。
(4)ピッキングにおいては、配送先に必要となる種類と個数の物品200を、異なる物品200の種類に対応する専用箱300からピッキングする(必要に応じて)。
(5)ピッキングされた物品セットを、配送ケース170に詰め込む。
(6)物品セットが詰められた配送ケース170を、実際の配送ステージに送り出す。
【0101】
ここで、(1)の物品梱包箱50の開封は機械や装置でも可能であるが、物品梱包箱50の形状が様々であったり、これを供給するラインの構造が変化することもあったりする。また、テープなどで封じられてたり封じ方も様々であったりするので、機械や装置では開封が難しいこともある。一方で、人的作業であれば容易かつ柔軟に対応できる。このため、(1)の開封作業は、人的作業で対応することが、機械対応よりもベターであることが多い。
【0102】
同様に(2)の詰替えも、人力のほうが容易である。開封作業と同時並行的に進めることができるからである。また、物品梱包箱50の大きさなどが様々である場合にも、人力であればフレキシブルに対応可能だからである。
【0103】
一方、(3)、(4)の物品200のピッキングは、機械や装置が得意である。ピッキングそのものは物品200を掴んで取り出す必要があり、吸着機構や把持機構などを備える機械のほうが得意である。人的作業では、負担が大きすぎる。また、配送先に必要となる種類と個数の物品200を正確にピッキングしてそろえるのは、人的作業ではミスも生じやすい。一方で機械や装置であれば、確実性が高い。このため、ピッキング作業は、機械や装置により実行されることが好ましい。
【0104】
(5)の詰め込みについては、用意された物品セットを、配送ケース170に詰め込む単純作業である。このため、これについては、人的作業でも機械による対応でもいずれでも可能である。物品仕分け装置1でのラインの構造や人材量などによって、人的作業での対応か機械作業での対応かを適宜切り分ければよい。
【0105】
(6)については、配送ケースライン160によって物品セットが詰められた配送ケース170が移送されればよい。
【0106】
このように、本発明の物品仕分け装置1は、物品仕分けの作業要素を切り分けて、人的作業と機械作業とを効率よく分担させている。これにより、正確性と効率性を高めた物品仕分けを可能としている。
【0107】
(各部の追加説明)
【0108】
次に、各部の追加的説明を行う。
【0109】
(物品箱供給手段)
物品箱供給手段4は、物品棚2からの物品梱包箱50を開封手段5へ供給する。物品箱供給手段4は、ベルトコンベアなどの機構を備えており、この機構によって物品梱包箱50を移送して供給する。
【0110】
物品箱供給手段4は、物品棚2と接続しており、物品箱2から供給される物品梱包箱50を移送する。このとき、物品棚2は、移送クレーンなどを備えており、この移送クレーンによって、物品棚2から物品梱包箱50を物品箱供給手段4に供給できる。
【0111】
なお、後述するピッキング指示部によるピッキングすべき種類と個数の物品200に対応して、物品箱供給手段4は、対応する種類の物品梱包箱50を開封手段5に供給することも好適である。
【0112】
(開封手段)
開封手段5は、物品梱包箱50を開封する。このとき、開封手段5は、開封作業者51により実現されることも好適である。上述の通り、人的作業が適していることも多いからである。
【0113】
ここで開封作業者51は、梱包箱供給手段4により供給される物品梱包箱50を開封する。例えば、物品梱包箱50は、テープなどで封止されている。開封作業者51は、カッターナイフなどの工具を用いて、このテープを切り取り、開封を行う。開封を行ったうえで、内部に収容されている物品200を、ピッキング可能な状態とする。例えば、物品梱包箱50の蓋をきれいに開けて、内部を見ることが可能な状態にする。
【0114】
開封作業者51は、物品梱包箱50を開封することがメインであるので、仕分けにおける物品200の数や種類などに気を取られる必要がない。このため、開封作業を滞りなく続けることができる。
【0115】
(詰替手段)
詰替手段55は、開封された物品梱包箱50内部の物品200を、ピッキング手段7がピッキング容易な専用箱300に詰替える。このとき、物品200の種類ごとに、専用箱300に詰替えることも好適である。加えて、詰替手段55は、物品200が詰められた専用箱300を、専用箱移送ライン6に送り出す。このとき、物品200の種類ごとに異なるラインで送り出すことが好ましい。
【0116】
(専用箱移送ライン)
専用箱移送ライン6は、詰替えられた専用箱300を、ピッキング手段7に移送する。ここで、専用箱移送ライン6は、複数の移送ラインを備えている。図4では、3つの移送ラインを備えている態様が示されている。これは一例であるので、他の数の移送ラインが備わっている態様であってもよい。
【0117】
専用箱300は、物品200の種類ごとに対応している。例えば、ある専用箱300は、物品200Aを収容しており、別の専用箱300は、物品200Bを収容している。複数の移送ラインは、この物品200の種類ごとに対応する専用箱300を移送する。ある移送ラインは、物品200Aを詰めた専用箱300を移送し、別の移送ラインは、物品200Bを詰めた専用箱300を移送する。
【0118】
このように、異なる種類の物品200に合わせて異なる移送ラインが移送することで、ピッキング手段7は、必要となる種類と個数の物品200のピッキングを、容易かつ正確に行えるようになる。
【0119】
図4では、物品200Aを詰めた専用箱300が一番上の移送ラインで移送されており、物品200Bを詰めた専用箱300が、2番目の移送ラインで移送されている。
【0120】
(ピッキング指示部)
図5は、本発明の実施の形態1におけるピッキング手段の周辺のブロック図である。図5では、ピッキング指示部71がさらに備わっている。
【0121】
ピッキング指示部71は、ピッキング手段7に物品セットを構成する種類と個数の物品200を指示する。ピッキング手段7は、この指示に基づいて、必要となる種類と個数の物品セットを把握できる。この把握に基づいて、到達した専用箱300のそれぞれから、必要となる物品200をピッキングする。ピッキングした上で、必要に応じて載置台30に物品セットとして載置する。
【0122】
ピッキング指示部71は、物品セットに対応する種類と個数の物品200を指示する。例えば、図4のように、ある配送先に対応する3個の物品200Aと2個の物品200Bを、物品セットとして指示する。ピッキング手段7は、この指示に基づいて、3個の物品200Aと2個の物品200Bをピッキングする。
【0123】
配送先は配送ケース170に関連付けられている。
【0124】
このため、配送先に対応する配送ケース170が変わると、ピッキング指示部71は、指示内容を変更する。例えば、上述の次の物品セットとして、2個の物品200Aと3個の物品200Bを、物品セットとして指示する。新しい指示に基づいて、ピッキング手段7は、次の物品セットに対応する種類と個数の物品200をピッキングする。
【0125】
ここで、図5では、制御部10が更に備わっている。制御部10は、梱包箱供給手段4、開封手段5、詰替手段55、物品移送ライン6、ピッキング手段7、詰め込み手段8およびピッキング指示部71の少なくとも一つを制御する。
【0126】
制御部10は、プロセッサーやソフトウェアプログラムを有しており、全体の処理を管理・制御できる。例えば、ある配送先に対応する物品セットを把握しており、これに基づいた物品仕分け装置1全体の動作を制御できる。制御部10が、ある配送先(すなわちある配送ケース170)に仕分けるべき物品セットを把握している。この把握に基づいて、制御部10は、ピッキング指示部71に当該物品セットを通知する。この通知によって、ピッキング指示部71は、ピッキング手段7でピッキングすべき種類と個数の物品を指示できる。
【0127】
(ピッキング手段)
ピッキング手段7は、物品200が詰替えられた専用箱300から物品200をピッキングするピッキング装置を含む。すなわち、機械によるピッキング装置が、ピッキング手段7としてピッキングを行えばよい。ピッキング装置は、吸着機構、磁力機構、把持機構などの種々の機構によって、物品梱包箱50から物品200をピッキングする。
【0128】
ここで、専用箱移送ライン6により複数の種類の物品200に対応する専用箱300が移送されている。ピッキング手段7は、これら複数の専用箱300に対面できる。ここで、ピッキング手段7は、物品セットに必要となる種類と個数の物品200をピッキングする必要がある。このとき、複数の種類の物品200をピッキングする必要もありえる。この場合には、ピッキング手段7は、異なる種類に対応する異なる専用箱300のそれぞれから、必要となる種類の物品200をピッキングする。
【0129】
例えば、ある専用箱300から物品200Aをピッキングし、別の専用箱300から物品200Bをピッキングする。このようにして、必要となる種類と個数の物品200を、ピッキング手段7は、ピッキングできる。
【0130】
(載置台)
図6は、本発明の実施の形態1における載置台の周辺のブロック図である。物品仕分け装置1は、載置台30を備えることも好適である。載置台30は、ピッキング手段7によってピッキングされた物品セットを載置する。載置台30は、物品セットを一時的に載置して、詰め込み手段8による配送ケース170への詰め込みを容易とできる。
【0131】
載置台30は、このような目的に適うために、ピッキング手段7と詰め込み手段8との間に位置すればよい。
【0132】
載置台30は、分離部材31によって複数の区画に分離できる。この区画のそれぞれに、異なる配送ケース170に対応する物品セットを載置すればよい。図6では、一番上の区画にある物品セットが載置されており、2番目の区画に別の物品セットが載置されている。この載置に対応して、詰め込み手段8は、上の区画の物品セットを、対応する配送ケース170に詰め込み、次の区画の物品セットを、対応する配送ケース170に詰め込む。
【0133】
載置台30が備わることで、ピッキング手段7によるピッキングと詰め込み手段8によるつめこみとの時間差を吸収することができる。
【0134】
(詰め込み手段)
【0135】
詰め込み手段8は、載置台30に載置されている物品セットを、対応する配送ケース170に詰め込む。配送ケース170は、配送ケースライン160によって運搬される。詰め込み手段8のある場所に到達すると、詰め込み手段8は、到達した配送ケース170に、物品セットを詰め込む。配送ケース170に詰め込むべき種類と個数の物品200は、すでに物品セットとしてピッキングされているので、詰め込み手段8は、容易かつ確実に物品セットを配送ケース170に詰め込むことができる。
【0136】
ここで、詰め込み手段8は、人力による詰め込み作業者を含む。すなわち、詰め込み作業者による人力によって、詰め込み手段8での詰め込み作業が実施されてもよい。ピッキング手段7によって既に物品セットはそろっている。このため、詰め込み作業者は、これを単純に行えば済む。このため、人力作業でも正確性が下がることが少ない。このため、詰め込み手段8は、詰め込み作業者による人力作業であってもよい。
【0137】
配送ケースライン160は、配送ケース170を、詰め込み手段8の位置に到達させる。この到達した配送ケース170に対応する物品セットを、詰め込み手段8は、詰め込む。配送ケース170が届かない場合には、載置台30がそのタイムラグをバッファできる。
【0138】
制御部10は、この配送ケースライン160での配送ケース170の移動も制御する。すなわち、ある配送先に関連付けられた配送ケース170を移動させると共に、ピッキング指示部71にはこの配送ケース170に詰め込むべき物品セットを通知するように制御する。もちろん、その前段階で、この物品セットに必要となる物品200を収容する物品梱包箱50を、開封手段5に供給させるように、制御する。
【0139】
(返却ライン)
図4には、返却ライン9が示されている。返却ライン9は、ピッキング手段7でピッキングされた空になった専用箱300を返却する。専用箱移送ライン6には、次々と専用箱300が移送されてくる。この移送に合わせてピッキングが行われるが、空になった専用箱300が残っていることは好ましくない。
【0140】
返却ライン9は、このような空になった専用箱300を専用箱移送ライン6から外して、次の物品200のピッキングを可能とする。
【0141】
なお、返却ライン9は、空の専用箱300を回収する回収ステージに繋がっておくことが好適である。これにより、空の専用箱300を回収して邪魔にさせないことができるからである。
【0142】
以上のように、実施の形態1における物品仕分け装置1は、全体として物品仕分けの効率を高めることができる。特に、人力作業と機械作業を適切に組み合わせることで、全体の効率とコストの最適化を図ることもできる。結果として、大量の物品200の仕分けを処理することができる。
【0143】
(実施の形態2)
【0144】
実施の形態1で説明した物品仕分け装置1は、物品仕分け方法としてとらえることもできる。
【0145】
図7は、本発明の実施の形態2における物品仕分け方法を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、実施の形態1で説明した物品仕分け装置1を用いての物品仕分け方法を示している。物品仕分け方法は、複数の処理手順であるステップを含んでいる。
【0146】
物品仕分け方法は、梱包箱供給ステップST1、開封ステップST2、詰替えステップST3、梱包箱移送ステップST4、ピッキングステップST5、詰め込みステップST6とを備える。
【0147】
梱包箱供給ステップST1は、複数の種類の物品梱包箱50を開封手段に供給する。物品梱包箱50は、対応する種類の物品200を収容している。このため、収容する物品200の種類によって、物品梱包箱50の種類も相違する。梱包箱供給ステップST1は、このような複数の種類の物品梱包箱50を供給する。
【0148】
開封ステップST2は、供給された物品梱包箱50を開封する。物品梱包箱50は、供給される時点では封止されている。封止された中に、物品200が収容されている。開封ステップST2では、開封作業者が開封を行ってもよい。
詰替えステップST3は、開封された物品梱包箱50から専用箱300に物品200を詰替える。専用箱300への詰替えによって、ピッキングステップでのピッキングが容易かつ確実となる。また、詰替えステップST3では、開封作業者が詰替えを行ってもよい。
【0149】
梱包箱移送ステップST4では、物品200が詰替えられた専用箱300が移送される。このとき、種類ごとに分離して移送される。
【0150】
ピッキングステップST5は、配送先に必要となる種類と個数の物品200の組み合わせである物品セットに対応する物品200を専用箱300からピッキングする。物品200Aを入れた専用箱300からは物品200Aをピッキングし、物品200Bを入れた専用箱300からは、物品200Bをピッキングする。ピッキング作業は、実施の形態1で説明したのと同様である。
【0151】
詰め込みステップST6は、ピッキングされて用意された物品セットを、対応する配送ケース170に詰め込む。詰め込み作業者が詰め込みステップを実施手もよい。配送ケース170は、配送ケースライン160により供給される。物品セットが詰められた配送ケース170は、配送ステージに移行する。
【0152】
物品仕分け方法も、実施の形態1で説明した物品仕分け装置1と同様に、最適な物品の仕分けを可能とできる。
【0153】
なお、実施の形態1~2で説明された物品の仕分け装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0154】
1 物品仕分け装置
2 物品棚
4 梱包箱供給手段
5 開封手段
6 専用箱移送ライン
7 ピッキング手段
71 ピッキング指示部
8 詰め込み手段
9 返却ライン
10 制御部
50 物品梱包箱
160 配送ケースライン
170 配送ケース
200 物品
300 専用箱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7