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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/633 20060101AFI20230814BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
H01R13/633
H01R13/639 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019168132
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021047999
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000231822
【氏名又は名称】日本端子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮川 洋一
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-103372(JP,A)
【文献】特開2005-259435(JP,A)
【文献】実開平02-054180(JP,U)
【文献】特開2000-123912(JP,A)
【文献】特開2005-050620(JP,A)
【文献】特開2019-024023(JP,A)
【文献】特開2001-250636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、前記第1コネクタが挿入されるべき挿入室を備えた第2コネクタとを備えたコネクタ装置であって、
前記第2コネクタは、前記挿入室を画定する側壁と、前記側壁の外面に設けられ、外方に向かって突出する係止部とを有し、
前記第1コネクタは、前記挿入室に挿入されるハウジング本体と、前記ハウジング本体に結合され、前記係止部と協働して、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを結合した状態でロックするためのアーム部と、前記アーム部によるロックを解除するための操作部とを備え、
前記アーム部は前記ハウジング本体の外面に結合され、挿入方向に直交する方向に並ぶ2つの結合部と、前記ハウジング本体の外面の外方において、前記結合部から前記挿入方向に延出する2つの延出部と、前記延出部の延出端をそれぞれ接続する横梁部とを有し、
前記横梁部には前記ハウジング本体に向かって突出し、前記係止部に係脱可能な被係止部が設けられ、
前記操作部は前記横梁部に結合された基端を有し、前記ハウジング本体の外面に対向する面を有して、前記挿入方向の逆方向に延出する板状をなし、
前記第1コネクタが前記第2コネクタに挿入された状態において、
前記側壁は前記操作部と前記ハウジング本体との間に位置し、
前記操作部の前記側壁に対向する面、又は、前記側壁の前記操作部に対向する面には、前記操作部の延出端に前記側壁に向く荷重が加わったときに、前記操作部の延出端を力点、前記操作部の前記基端を作用点とし、自らを支点とするべく突出する突出部が設けられ
前記突出部は前記操作部の前記挿入方向に直交する方向における中央に位置していることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記突出部は前記操作部の前記側壁に対向する面に設けられ、
前記操作部の前記側壁に対向する面には、前記突出部から前記操作部の延出端に至るリブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記突出部の突端面は側面視で弧状をなすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記被係止部は前記横梁部の両端にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記側壁には前記挿入室に向かって凹み、前記操作部を受容する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1つの項に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのコネクタを接続するためのコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのコネクタを接続するためのコネクタ装置であって、一方のコネクタに撓み変形可能な片持ち状をなすロックアームを設け、他方のコネクタにロックアームに係合する係止孔を設けたものが公知である(例えば、特許文献1)。ロックアームの延出端には、係止孔に係止される突起が設けられている。両コネクタは、ロックアームの撓み変形を利用して突起を係止孔に突入させることによって、分離が防止されたロック状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-195401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つのコネクタが接続されるコネクタ装置では、作業者が適宜、接続・分離できることが好ましい。しかしながら、特許文献1のコネクタ装置では、ロックアームの突起を係止孔から離脱させることは容易ではなく、両コネクタを分離することが難しい。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、2つのコネクタを接続するためのコネクタ装置において、2つのコネクタの分離を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、第1コネクタ(5)と、前記第1コネクタが挿入されるべき挿入室(19)を備えた第2コネクタ(3)とを備えたコネクタ装置(1)であって、前記第2コネクタは、前記挿入室を画定する側壁(15)と、前記側壁の外面に設けられ、外方に向かって突出する係止部(29)とを有し、前記第1コネクタは、前記挿入室に挿入されるハウジング本体(25)と、前記ハウジング本体に結合され、前記係止部と協働して、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを結合した状態でロックするためのアーム部(31)と、前記アーム部によるロックを解除するための操作部(33)とを備え、前記アーム部は前記ハウジング本体の外面に結合され、挿入方向に直交する方向に並ぶ2つの結合部(35)と、前記ハウジング本体の外面の外方において、前記結合部から前記挿入方向に延出する2つの延出部(37)と、前記延出部の延出端をそれぞれ接続する横梁部(39)とを有し、前記横梁部には前記ハウジング本体に向かって突出し、前記係止部に係脱可能な被係止部(43)が設けられ、前記操作部は前記横梁部に結合された基端を有し、前記ハウジング本体の外面に対向する面を有して、前記挿入方向の逆方向に延出する板状をなし、前記第1コネクタが前記第2コネクタに挿入された状態において、前記側壁は前記操作部と前記ハウジング本体との間に位置し、前記操作部の前記側壁に対向する面、又は、前記側壁の前記操作部に対向する面には、前記操作部の延出端に前記側壁に向く荷重が加わったときに、前記操作部の延出端を力点、前記操作部の前記基端を作用点、自らを支点とするべく突出する突出部(45)が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、作業者が操作部の延出端に側壁に向く荷重を加えると、操作部の延出端を力点、突出部を支点、及び被係止部を作用点とする、てこの原理によって、係止部が側壁から離反する方向に移動する。これによって、係止部と被係止部とが挿入方向に整合しなくなり、係止部と被係止部との係合が解除される。これによって、第1コネクタ及び第2コネクタ(以下、両コネクタ)を容易に分離することができる。
【0008】
また、両コネクタの結合時及び結合解除時にアーム部への荷重の加わり方を変えることができるため、結合時及び結合解除時両方において、アーム部に荷重が集中する部分ができることが防止できる。よって、コネクタ装置の使用による劣化を防止することができる。
【0009】
上記態様において、前記突出部は前記操作部の前記側壁に対向する面に設けられ、前記操作部の前記側壁に対向する面には、前記突出部から前記操作部の延出端に至るリブ(46)が設けられているとよい。
【0010】
この構成によれば、操作部の突出部から延出端までの間の撓み変形が防止できる。これにより、操作部の延出端に側壁に向く荷重が加わったときに、操作部の基端側に位置する被係止部が移動し易くなり、係止部と被係止部との係合の解除が容易になる。
【0011】
上記態様において、前記突出部の突端面は側面視で前記側壁に向かって突出する弧状をなすとよい。
【0012】
この構成によれば、操作部の延出端側に荷重が加わると、突出部が側壁の壁面に沿って転動し、操作部が挿入方向逆方向に移動する。これにより、係止部と被係止部との係合の解除が容易になる。
【0013】
上記態様において、前記被係止部は前記横梁部の両端にそれぞれ設けられているとよい。
【0014】
この構成によれば、挿入方向に直交する方向に離れた2つの被係止部が係止部に係止されることによって、結合された両コネクタのがたつきが防止され、両コネクタの結合が安定保持される。
【0015】
上記態様において、前記側壁には前記挿入室に向かって凹み、前記操作部を受容する凹部(15A)が設けられているとよい。
【0016】
この構成によれば、結合状態にあるコネクタ装置を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、2つのコネクタを接続するためのコネクタ装置において、2つのコネクタの分離が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係るコネクタ装置の嵌合前を示す斜視図
図2】第1実施形態に係るコネクタ装置が嵌合した状態を示す斜視図
図3】第1実施形態に係るコネクタ装置のラッチ部を後方から見たときの斜視図
図4図2のIV-IV断面図
図5】(A)プラグ側コネクタを表面実装型コネクタに挿入しているとき、及び、(B)挿入が完了したときのコネクタ装置の断面図
図6】(A)押圧部を押圧したとき、(B)プラグ側コネクタを表面実装型コネクタから引き抜いているとき、及び、(C)プラグ側コネクタ及び表面実装型コネクタのロックが解除されたときのコネクタ装置の断面図
図7】第2実施形態に係る(A)コネクタ装置が嵌合しているとき、(B)押圧部を押圧したとき、及び(C)第2実施形態の別実施例に係るコネクタ装置が嵌合しているときのコネクタ装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明によるコネクタ装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
<<第1実施形態>>
図1及び図2に示すように、コネクタ装置1は、コネクタであるプラグ(第1コネクタ)と、プラグが挿入されるコネクタであるリセプタクル(第2コネクタ)とを含み、両者を接続させるための装置である。本実施形態では、コネクタ装置1は、リセプタクルとしての表面実装型コネクタ3と、プラグとしてのプラグ側コネクタ5とを備えている。
【0021】
図1に示すように、表面実装型コネクタ3は、プリント基板7の表面に実装されたコネクタであって、ヘッダ9と、ヘッダ9に結合された複数の雄端子11とを含む。
【0022】
ヘッダ9は、略長方形状の端子取付壁13(図4参照)と、端子取付壁13の長辺それぞれから立設された2つの横側壁15と、端子取付壁13の短辺それぞれから立設された2つの縦側壁17とを含む。2つの横側壁15と2つの縦側壁17とはそれぞれ端子取付壁13に対して同じ方向に立設されて、ヘッダ9は横側壁15、及び縦側壁17の端子取付壁13との接続側とは反対の側に開口9Aを備えた直方体形状をなしている。端子取付壁13、2つの横側壁15、及び2つの縦側壁17によって、ヘッダ9にはプラグ側コネクタ5を開口9Aから抜き差し可能に挿入されるコネクタ挿入室19が画定されている。端子取付壁13には長辺に沿って2列に並ぶ複数の端子装着孔(図示せず)が貫通形成されている。本実施形態では、ヘッダ9は端子取付壁13の長辺方向について略対称をなしている。
【0023】
雄端子11は略L字状をなす金属製の部材であり、一端側においてそれぞれ端子装着孔に挿入されて端子取付壁13に結合している。雄端子11は他端側において、端子取付壁13の短辺に略平行に延出し、延出端においてそれぞれ、プリント基板7の表面に設けられたパッド7Aに半田付けされている。これにより、表面実装型コネクタ3は雄端子11を介してプリント基板7に結合されている。
【0024】
以下では、図1及び図2に示すように、表面実装型コネクタ3がプリント基板7に結合された状態を基準として、プリント基板7の表面に直交し、プリント基板7の表面から離れる方向を上方、端子取付壁13の長辺に平行な方向を左右方向、短辺に平行な方向を前後方向と規定して説明を行う。なお、方向は説明の便宜上規定されるものであって、これには限定されない。
【0025】
プラグ側コネクタ5は、図1に示されているように、電気絶縁性を有する樹脂製のプラグ側ハウジング21(以下、ハウジング21)と、ハウジング21に設けられた雌端子(図示せず)とを含む。ハウジング21は一方向に延びる略直方体状の箱形をなすハウジング本体25を備える。ハウジング本体25には延在方向に直交する方向に貫通する複数の端子装着孔27が形成されている。端子装着孔27は延在方向に沿って2列に並ぶように形成されている。雌端子は金属製の部材であり、所定の配線23Aに導通接続されて、それぞれ対応する端子装着孔27に装着されている。
【0026】
表面実装型コネクタ3は、図2に示されているように、ヘッダ9の開口9Aが上側に位置するようにプリント基板7に結合されている。プラグ側コネクタ5を表面実装型コネクタ3に嵌合させるときには、作業者はまず、プラグ側コネクタ5をハウジング本体25が左右方向に延び、且つ、端子装着孔27が上下方向に延びるように配置する。その後、作業者はプラグ側コネクタ5のハウジング本体25を表面実装型コネクタ3の開口9Aの上方に配置し、ハウジング本体25を挿入方向である下方に移動させて開口9Aに挿入する。これにより、表面実装型コネクタ3とプラグ側コネクタ5とは互いに嵌合して結合する。
【0027】
プラグ側コネクタ5が表面実装型コネクタ3に嵌合しているときには、ハウジング本体25はコネクタ挿入室19に挿入されて、雄端子11はそれぞれ対応する雌端子と導通接続される。
【0028】
図2及び図4に示すように、ヘッダ9及びハウジング21には、表面実装型コネクタ3とプラグ側コネクタ5とを接続した状態に維持するロック機構28が設けられている。図4に示すように、ロック機構28はヘッダ9に設けられた係止部29と、ハウジング21に設けられたラッチ部30とを含む。以下、図1に示すように、ハウジング21についても、表面実装型コネクタ3に挿入されているときを基準として、上下、前後、及び左右の各方向を規定して説明を行う。
【0029】
図1に示すように、係止部29はヘッダ9の外側面に設けられ、外側面から突出する突起状をなしている。より具体的には、係止部29は前側の横側壁15の外面(すなわち、前面)の左右方向略中央部において、前方に突出して左右方向に延びる突条として形成されている。本実施形態では、図1に示すように、前側の横側壁15にはコネクタ挿入室19の側、すなわち後方に凹む受容凹部15Aが設けられ、係止部29はその受容凹部15Aの底面に設けられている。図1に示すように、係止部29には、左右方向の所定の複数の箇所において、その突端が後方に切欠かれることによって形成された肉抜部29Aが設けられていてもよい。
【0030】
図3に示すように、ラッチ部30は、係止部29と協働して、表面実装型コネクタ3とプラグ側コネクタ5とを結合した状態でロックするためのアーム部31と、アーム部31によるロックを解除するための解除用操作部33とを含む。
【0031】
アーム部31はハウジング本体25の前面の上縁に左右方向に並んで結合され、それぞれ前下方に延出する左右一対の結合部35(図1参照)と、結合部35それぞれから下方に延出する左右一対の延出部37と、左右方向に延び、延出部37の延出端(下端)をそれぞれ接続する横梁部39とを有している。延出部37はハウジング本体25の前側の横側壁15の前方(外方)に位置し、延出部37とハウジング本体25の前側の横側壁15との間には前後方向に隙間41が設けられている(図4参照)。これにより、図1及び図4に示すように、延出部37はそれぞれ、側面視(左右方向視)で、上端においてハウジング本体25に支持され、下方に延出し、揺動可能な遊端(下端)を備えた撓み変形可能な片持ち梁状をなしている。
【0032】
図3に示すように、横梁部39の後面には後方(すなわち、ハウジング本体25)に向かって突出する突起状の被係止部43が設けられている。図4に示すように、プラグ側コネクタ5が表面実装型コネクタ3に挿入されて嵌合されているとき(以下、コネクタ装置1が結合状態にあるとき)には、ヘッダ9の前側の横側壁15は延出部37とハウジング本体25との間に嵌入されている。更に、被係止部43は左右方向に係止部29と整合し、且つ、係止部29の下方(すなわち、挿入方向の順方向)に位置する。これにより、係止部29と被係止部43とが係合し、係止部29によって被係止部43の上方への移動が規制される。よって、プラグ側コネクタ5が表面実装型コネクタ3からの離脱が防止されて、プラグ側コネクタ5と表面実装型コネクタ3とが互いに接続した状態に維持(ロック)される。
【0033】
本実施形態では、図1に示すように、アーム部31はハウジング本体25の前面において左右方向略中央を中心とする左右対称をなすように形成されている。本実施形態では被係止部43は横梁部39に左右両端にそれぞれ設けられた左右一対の突起として形成されている。被係止部43はハウジング21の左右方向略中央を中心として、概ね左右対称に配置されている。
【0034】
解除用操作部33は前後方向を向く面を有する板状をなしている。解除用操作部33は下縁(基端)において横梁部39に結合し、上方(挿入方向逆方向)に延出している。これにより、解除用操作部33はその下縁において横梁部39に結合された片持ち梁状をなしている。図3に示すように、解除用操作部33は後面の上下方向略中央部において、ハウジング本体25に向かって後方に突出する突出部45を備えている。
【0035】
図4に示すように、コネクタ装置1が結合状態にあるときには、ヘッダ9の前側の横側壁15は解除用操作部33とハウジング本体25との間に位置している。解除用操作部33はヘッダ9の前側の横側壁15の前側において、受容凹部15Aに受容されている。このとき、解除用操作部33の後面は、ヘッダ9の前側の横側壁15前面、より詳細には、受容凹部15Aの底面と対向している。また、解除用操作部33の前面と、前側の横側壁15の受容凹部15Aが設けられていない部分とは、概ね面一をなすとよい。
【0036】
図4に示すように、コネクタ装置1が結合状態にあるときには、被係止部43及び突出部45はそれぞれヘッダ9の前側の横側壁15の前面に向かって突出し、係止部29は解除用操作部33の後面に向かって突出している。挿入方向の順方向(すなわち下方)に向かって、突出部45、係止部29、及び被係止部43が記載の順に並ぶように配置されている。被係止部43は係止部29に対して下側(挿入方向の順方向の側)にあり、被係止部43と係止部29とは上下に揃う位置にある。
【0037】
突出部45の突端面45Aは側面視(左右方向視)で、ヘッダ9の前側の横側壁15、すなわち後方に向かって突出する弧状をなしている。図4に示すように、コネクタ装置1が結合状態にあるときには、突出部45の突端面45Aはヘッダ9の前側の横側壁15前面に当接しているとよい。
【0038】
解除用操作部33の後面には突出部45から上方に延びる補強用のリブ46が設けられている。リブ46は突出部45から上方に延び、解除用操作部33の上縁に達している。本実施形態では、解除用操作部33の後面には、突出部45と解除用操作部33の上縁とを繋ぐリブ46が左右に2つ並んで設けられている。
【0039】
解除用操作部33の左右両縁と、左右の延出部37との間にはそれぞれ、上下方向に延びる切欠であるスリット47が形成されている。これにより、解除用操作部33と、左右の延出部37とはそれぞれ、左右方向において互いに離間し、解除用操作部33と、左右の延出部37との間に隙間51が設けられている。
【0040】
解除用操作部33の前面の上端(延出端)には前方に突出する押圧部49が設けられている。押圧部49は解除用操作部33の上縁に沿って前方に隆起し、左右方向に延在する筋状をなしている。解除用操作部33はアーム部31を介してハウジング本体25に結合され、押圧部49はハウジング本体25に対して前後に移動可能となっている。
【0041】
次に、本発明に係るコネクタ装置1の動作について、図5及び図6を参照して説明する。
【0042】
プラグ側コネクタ5が表面実装型コネクタ3に挿入されると、被係止部43が係止部29に当接する。被係止部43が係止部29に当接すると、被係止部43には係止部29から前方に向く荷重が加わる。このとき、アーム部31の結合部35に主に荷重が加わり、結合部35が支点(以下、挿入時支点)となって、延出部37が結合部35を中心に概ね回転するように、アーム部31が変形する。これにより、係止部29が被係止部43を避ける方向(前方)に移動する(図5(A)参照)。更に、作業者がプラグ側コネクタ5を表面実装型コネクタ3に挿入し、係止部29よりも下側に被係止部43を移動させると、アーム部31の下端に加わる前方に向く荷重が解除されて、アーム部31の撓み変形が解除される。これにより、被係止部43が後方に移動して、係止部29と被係止部43とが上下に揃う位置となる(図5(B)参照)。これにより、係止部29と被係止部43とが係合し、プラグ側コネクタ5の上方への移動が規制されて、プラグ側コネクタ5及び表面実装型コネクタ3が結合された状態で維持される(ロックされる)。
【0043】
プラグ側コネクタ5を表面実装型コネクタ3から分離するときには、作業者は、押圧部49を後方に向かって押圧する。これにより、押圧部49を力点、突出部45、より詳細には、突出部45の突端面45Aとヘッダ9の前側の横側壁15前面との接点P(図6(A)参照)を支点(以下、解除用の支点)、解除用操作部33の下端を作用点とする所謂、てこの原理によって、解除用操作部33の下端には前方に向く荷重が加わる。これにより、アーム部31が上下方向略中央部分や結合部35において撓み変形して、解除用操作部33の下端に位置する被係止部43が前方に移動する(図6(A)参照)。作業者が十分な荷重を加えて押圧部49を押圧すると、被係止部43を係止部29よりも前方に移動し、被係止部43と係止部29の係合が解除されて被係止部43の上方への移動が可能となる(図6(B)参照)。このとき、作業者がプラグ側コネクタ5を持ち上げると、プラグ側コネクタ5と表面実装型コネクタ3とが分離可能となる(図6(C)参照)。
【0044】
このように、押圧部49は、作業者からの係止部29と被係止部43との係合を解除し、プラグ側コネクタ5と表面実装型コネクタ3とを分離するための操作入力(押圧)を受け付ける受付部として機能する。
【0045】
次に、本発明に係るコネクタ装置1の効果について説明する。両コネクタ3、5をロックするためには、一方側のコネクタ(プラグ側コネクタ5)を他方側のコネクタ(表面実装型コネクタ3)に挿入すればよく、両コネクタ3、5のロックが容易である。
【0046】
本実施形態では、アーム部31がプラグ側コネクタ5の挿入方向順方向(下方)に沿って延出している。これにより、アーム部31が左右方向に延出している態様に比べて、プラグ側コネクタ5を表面実装型コネクタ3に挿入するときに、アーム部31が撓み変形し易くなる。これにより、挿入時に、被係止部43が係止部29と係合する位置に移動し易くなるため、両コネクタ3、5のロックがより容易になる。
【0047】
また、両コネクタ3、5がロックされているときに、押圧部49を後方に押圧してアーム部31の結合部35を変形させることによって、係止部29及び被係止部43の係合を解除することができる。これにより、作業者はプラグ側コネクタ5と表面実装型コネクタ3とを容易に分離する(すなわち、ロックを解除する)ことができる。
【0048】
作業者が押圧部49を押圧すると、突出部45の突端面45Aとヘッダ9の前側の横側壁15前面との接点Pを支点とする、てこの原理によって、解除用操作部33の下端部分には前方に向く荷重が加わる。これにより、解除用操作部33の下端部分に接続されたアーム部31の下端部に前方に向く荷重が加わり、係止部29と被係止部43との係合が解除される。このように、てこの原理を用いることによって、より大きな荷重をアーム部31の下端部分に加えることができるため、アーム部31の結合部35の近傍やアーム部31全体の変形が容易になる。よって、係止部29と被係止部43との係合解除が容易になり、プラグ側コネクタ5と表面実装型コネクタ3とを容易に分離することができる。
【0049】
突出部45を設けることによって解除用の支点を構成することができるため、構成が簡素である。更に、解除用操作部33に突出部45から上縁にまで延びるリブ46が設けられることによって、ロック解除時の解除用操作部33の突出部45から上縁までの間の撓み変形が防止できる。これにより、ロック解除時に押圧部49に加わった荷重を、より効果的に解除用操作部33の下端側に伝えることができるため、解除用操作部33の基端に結合されたアーム部31の下端部分が前方に移動し易くなり、係止部29と被係止部43との係合が解除され易くなる。
【0050】
本実施形態では、突出部45の突端面45Aは弧状をなすように形成されている。これにより、押圧部49に後方に向く荷重が加わると、突出部45が突端面45Aにおいて前側の横側壁15の前面に沿って転動するように移動する。このとき、アーム部31の下端は、図6(A)の二点鎖線で示される位置から実線で示される位置に、すなわち、図6(A)の矢印に示される前上方に移動する。これにより、アーム部31の下端が単に前方に移動する場合に比べて、係止部29と被係止部43との係合が解除され易くなる。よって、ロックの解除がより容易になり、プラグ側コネクタ5と表面実装型コネクタ3との分離が容易になる。
【0051】
作業者がプラグ側コネクタ5を表面実装型コネクタ3に挿入して、両者をロックするときには、結合部35に荷重が集中し、アーム部31は主に結合部35において変形する(図5(A)参照)。一方、ロック解除して、両コネクタ3、5を分離する時にはアーム部31の結合部35に加えて、突出部45が支点となり、延出部37が撓むように弾性変形する(図6(B)参照)。これにより、両コネクタ3、5の分離時には荷重が分散される。このように、両コネクタ3、5のロック時とロック解除時とにおいてアーム部31への荷重の加わり方が変わり、ロック時及びロック解除時の両方において、アーム部31の結合部35に荷重が集中することが防止できる。従って、コネクタ装置1の使用によって、アーム部31の結合部35が疲労して劣化すること(いわゆる、へたり)を防止することができる。
【0052】
解除用操作部33と延出部37との間にスリット47が設けられている。これにより、作業者の押圧部49に対する押圧に応じた解除用操作部33の移動が延出部37によって阻害され難くなるため、被係止部43が前方に移動しやすくなる。よって、係止部29と被係止部43との係合解除が容易になる。
【0053】
アーム部31はハウジング本体25の前面の上縁にそれぞれ結合部35を介して結合されて下方に延出する左右一対の延出部37と、左右方向に延び、延出部37の下端をそれぞれ接続する横梁部39とを有している。解除用操作部33は横梁部39の上縁に結合されて、上方(挿入方向逆方向)に延出する板状をなしている。これにより、アーム部31及び解除用操作部33は共に上下方向に延在し、アーム部31及び解除用操作部33は左右方向視で互いに重なり合う部分を含む。一方、解除用操作部33を挿入方向順方向に延出させた場合には、アーム部31と解除用操作部33とが左右方向視で重ならず、アーム部31と解除用操作部33とが重なる場合に比べて、ラッチ部30の大きさが大きくなる。すなわち、アーム部31と解除用操作部33とが左右方向視で重なり合う位置とすることによって、ラッチ部30の上下方向の長さを小さくすることができ、コネクタ装置1を小型化することができる。
【0054】
また、被係止部43は横梁部39の左右両端にそれぞれ設けられて、被係止部43が左右方向に離れた位置に配置される。これにより、ラッチ部30が左右方向に離れた場所で、ヘッダ9に結合される。よって、結合された両コネクタ3、5のがたつきが防止されて、両コネクタ3、5の結合が安定保持される。
【0055】
また、被係止部43は横梁部39の左右方向に略対称をなすように設けられている。これにより、作業者は押圧部49を押圧してアーム部31に概ね左右均等に荷重をかけて、2つの結合部35を概ね均等に変形させることによって、被係止部43と係止部29との係合を解除することができる。よって、被係止部43が横梁部39の左右方向に偏って設けられている場合に比べて、ロック解除時にいずれか一方の結合部35に荷重が集中することが防止でき、コネクタ装置1の使用による劣化、特に両コネクタ3、5の分離によるアーム部31の劣化を防止することができる。
【0056】
プラグ側コネクタ5が表面実装型コネクタ3に挿入されて嵌合されているときには、解除用操作部33は受容凹部15Aに受容されている。これにより、結合状態にあるコネクタ装置1を小さくすることができる。
【0057】
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係るコネクタ装置101は、第1実施形態に比べて、突出部145の構造のみが異なり、他の構成については、第1実施形態と同様である。よって、以下では、突出部145の構成について説明を行い、他の部分については説明を省略する。
【0058】
第2実施形態に係るコネクタ装置101の突出部45は、解除用操作部33に設けられておらず、代わりに、コネクタ装置101が結合状態にあるときに、解除用操作部33に対向するヘッダ9の前側の横側壁15の前面に設けられている。突出部145は係止部29の上方に位置し、前方に突出する凸状をなしている。本実施形態では、突出部145は左右方向に延在する突条として形成されている。図7(C)に示すように、突出部145の突端面145Aと、係止部29の突端面29Bの後方に位置していてもよい。
【0059】
次に、コネクタ装置101の動作について説明する。図7(A)に示すように、両コネクタ3、5が挿入されてロックされているときには、突出部145は押圧部49(延出端)と、解除用操作部33の下端(基端)との間において、解除用操作部33に向かって突出する態様をなしている。このとき、図7(A)に示すように、突出部145が突端面145Aにおいて解除用操作部33に当接していてもよく、また、図7(C)に示すように、突出部145と解除用操作部33との間に隙間146が形成されていてもよい。
【0060】
作業者が押圧部49を後方に向かって押圧すると、図7(B)に示すように、押圧部49を力点、突出部145(より詳細には突出部145の突端面145Aと解除用操作部33との接点P)を支点、解除用操作部33の下端を作用点とする、てこの原理によって、解除用操作部33の下端が前方に移動する。これにより、被係止部43が係止部29の前方に移動する。これにより、被係止部43と係止部29との係合が解除される。その後、図6(A)~(C)に示される場合と同様に、作業者がプラグ側コネクタ5を上方に引くと、プラグ側コネクタ5と表面実装型コネクタ3とが分離できる。
【0061】
図7(B)に示すように、突出部145の突端面145Aを支点とする、てこの原理によって、押圧部49に加わる後方に向く荷重を解除用操作部33の下端を前方に移動させる荷重に変換し、被係止部43と係止部29との係合が解除することができる。更に、突出部45はヘッダ9の前側の横側壁15に設けられた突起として形成されているため、コネクタ装置1の構成が簡素である。
【0062】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【0063】
上記実施形態では、コネクタ装置1は、リセプタクルとしての表面実装型コネクタ3と、プラグとしてのプラグ側コネクタ5とを接続するものであったが、この態様には限定されない。例えば、ケーブルが接続されたリセプタクルとしてのコネクタと、ケーブルが接続されたプラグとしてのコネクタとを接続するものであってもよい。また、コネクタ装置1は、リセプタクルとしての表面実装型コネクタと、プラグとしての表面実装型コネクタとを接続するものであってもよく、ケーブルが接続されたリセプタクルとしてのコネクタと、プラグとしての表面実装型コネクタとを接続するものであってもよい。
【0064】
上記実施形態では、上記実施形態では、ラッチ部30はハウジング本体25の前側にのみ設けられていたが、この態様には限定されない。例えば、ラッチ部30はハウジング本体25の前側及び後側に設けられていてもよく、ハウジング本体25の左側及び右側の少なくとも一方に設けられていてもよい。
【0065】
上記実施形態では、横側壁15に凹部を設けることによって、解除用操作部33を受容する受容凹部15Aが形成されていたが、この態様には限定されない。例えば、横側壁15を解除用操作部33が配置されるべき部分以外の部分の厚さを大きくすることによって、横側壁15の剛性を高めるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 :第1実施形態に係るコネクタ装置
3 :表面実装型コネクタ(第2コネクタ)
5 :プラグ側コネクタ(第1コネクタ)
7 :プリント基板
7A :パッド
9 :ヘッダ
9A :開口
11 :雄端子
13 :端子取付壁
15 :横側壁
15A :受容凹部
17 :縦側壁
19 :コネクタ挿入室(挿入室)
21 :プラグ側ハウジング(ハウジング)
23A :配線
25 :ハウジング本体
27 :端子装着孔
28 :ロック機構
29 :係止部
29A :肉抜部
29B :突端面
30 :ラッチ部
31 :アーム部
33 :解除用操作部
35 :結合部
37 :延出部
39 :横梁部
41 :隙間
43 :被係止部
45 :突出部
45A :突端面
46 :リブ
47 :スリット
49 :押圧部
51 :隙間
101 :第2実施形態に係るコネクタ装置
145 :突出部
145A :突端面
146 :隙間
P :接点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7