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  • 特許-塗布容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】塗布容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/42 20060101AFI20230814BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20230814BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
B65D47/42 100
B65D47/12
B65D83/00 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019179878
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054488
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-269631(JP,A)
【文献】特開2004-075165(JP,A)
【文献】実開昭53-092065(JP,U)
【文献】実開昭50-030591(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/42
B65D 47/12
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に着脱可能に装着され、頂壁部に開口部が形成された有頂筒状のキャップ本体と、
前記開口部内に配置され、前記容器本体に固定された含浸体と、
を備え、
前記キャップ本体は、上下方向から見て前記開口部内に第1方向に沿って配置され、上下方向に弾性変形可能に形成された複数のリブを備え
前記複数のリブのそれぞれの少なくとも一部は、上下方向から見て前記第1方向に直交する第2方向に対して傾斜している、
塗布容器。
【請求項2】
前記複数のリブは、前記第1方向に同等の間隔をあけて配置されている、
請求項に記載の塗布容器。
【請求項3】
前記キャップ本体の前記開口部を開放可能に閉塞し、前記キャップ本体に着脱可能に装着された外キャップを備える請求項1または請求項2に記載の塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるような、液剤を収容する容器と、多孔質部材により形成され、容器の口部に取り付けられた含浸体と、を備えた塗布容器が知られている。この種の塗布容器は、含浸体に含浸した薬液等の内容物を被塗布面に直接塗布するように使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-210427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の塗布容器では、被塗布部に内容物を塗布しながら刺激を与えたいという点において、改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、被塗布部に内容物を塗布しながら刺激を与えることができる塗布容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の塗布容器は、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に着脱可能に装着され、頂壁部に開口部が形成された有頂筒状のキャップ本体と、前記開口部内に配置され、前記容器本体に固定された含浸体と、を備え、前記キャップ本体は、上下方向から見て前記開口部内に第1方向に沿って配置され、上下方向に弾性変形可能に形成された複数のリブを備える、ことを特徴とする。
【0007】
この構成では、キャップ本体の開口部内で複数のリブが含浸体を上方で跨ぐように配置される。複数のリブは、上下方向に弾性変形可能に形成されているので、キャップ本体の頂壁部を被塗布部に押し当てることで、複数のリブが含浸体に押し込まれる。これにより、含浸体を被塗布部に接触させて内容物を塗布することができる。この際、被塗布部には含浸体に加えて複数のリブも接触するので、含浸体を被塗布部に摺接させることで、複数のリブにより被塗布部を掻くことができる。よって、被塗布部に内容物を塗布しながら刺激を与えることができる。
ここで、複数のリブは第1方向に沿って配置されているので、塗布容器を被塗布部に対して第1方向に沿って動かすことで、被塗布部にはリブが複数回通過するように摺接する。また、被塗布部には各リブがその延在方向に交差する方向に沿って摺接する。このため、被塗布部と複数のリブとの間には、比較的大きな摺動抵抗が生じる。一方で、塗布容器を被塗布部に対して第2方向に沿って動かすことで、被塗布部には各リブがその延在方向に沿って摺接する。このため、被塗布部と複数のリブとの間には、比較的小さな摺動抵抗が生じる。よって、内容物を被塗布部に塗布する際、塗布容器を動かす方向を変更することで、被塗布部に与える刺激に強弱をつけることができる。
さらに、キャップ本体は、容器本体の口部に着脱可能に装着されているので、キャップ本体を取り外すことで、複数のリブを用いずに内容物を塗布できる状態となる。よって、複数のリブにより被塗布部を掻くことなく、被塗布部に内容物を塗布することも可能となる。したがって、3通りの塗布方法を選択することが可能な塗布容器を提供できる。
【0008】
上記の塗布容器において、前記複数のリブのそれぞれの少なくとも一部は、上下方向から見て前記第1方向に直交する第2方向に対して傾斜していてもよい。
【0009】
この構成によれば、塗布容器を被塗布部に対して第2方向に沿って動かすことで、被塗布部には各リブの一部がその延在方向に交差する方向に沿って摺接する。このため、被塗布部と複数のリブとの間には、複数のリブの全体が上下方向から見て第2方向に延びている場合よりも大きく、かつ塗布容器を被塗布部に対して第1方向に沿って動かす場合よりも小さい摺動抵抗が生じる。よって、塗布容器を被塗布部に対して第1方向および第2方向のいずれの方向に動かした場合でも、複数のリブにより被塗布部を掻くことができる。
【0010】
上記の塗布容器において、前記複数のリブは、前記第1方向に同等の間隔をあけて配置されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、上下方向から見てキャップ本体の開口部内に含浸体を均等に露出させることができる。よって、被塗布部に内容物をむらが少なく塗布することができる。
【0012】
上記の塗布容器において、前記キャップ本体の前記開口部を開放可能に閉塞し、前記キャップ本体に着脱可能に装着された外キャップを備えていてもよい。
【0013】
この構成によれば、キャップ本体を取り付けたまま外キャップを装着することができる。また、外キャップをキャップ本体から取り外すことで、複数のリブが含浸体の上方に配置された塗布容器を即座に使用することができる。このため、複数のリブを併用して内容物を塗布するに際し、外キャップとキャップ本体とを交換する構成と比較して、内容物を塗布できる状態に速やかに移行できる。
さらに、外キャップがキャップ本体に装着されているので、キャップ本体を取り外すことで外キャップも同時に取り外すことができる。よって、複数のリブを併用せずに内容物を塗布するに際し、外キャップおよびキャップ本体を個別に取り外す構成と比較して、内容物を塗布できる状態に速やかに移行できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の塗布容器によれば、薬液による効能が得られるまでの間、かゆみを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る塗布容器の縦断面図である。
図2】実施形態に係る塗布容器のオーバーキャップを取り外した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の塗布容器1には、内容物として、人体の皮膚等の被塗布部に塗布される虫刺され用等のかゆみ止めの薬液が収容される。
【0017】
図1に示すように、塗布容器1は、内容物が収容される有底筒状の容器本体10と、容器本体10の口部11に着脱可能に装着された有頂筒状のキャップ本体20と、キャップ本体20の頂壁部22の開口部26内に配置された含浸体30と、容器本体10の口部11と含浸体30と間に配置された塗布栓40と、容器本体10の口部11とキャップ本体20との間に配置され容器本体10に塗布栓40を固定する固定筒60と、キャップ本体20の頂壁部22を覆う有頂筒状のオーバーキャップ70と、を備える。
【0018】
容器本体10の口部11、キャップ本体20およびオーバーキャップ70は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この共通軸を中心軸Oと称し、中心軸Oに沿って容器本体10からオーバーキャップ70に向かう方向を上方、その逆方向を下方とする。また、中心軸Oから見た平面視で中心軸Oに交差する方向を径方向とし、中心軸O回りで周回する方向を周方向とする。さらに、中心軸Oの垂直面内で互いに直交し合う2方向を第1方向Xおよび第2方向Y(図2参照)とする。
【0019】
容器本体10の口部11は、容器本体10の上部に設けられている。口部11は、その上端縁を含む円筒状の先端部12と、先端部12の下端部に連なる円筒状の基部13と、を有する。先端部12の外周面には、径方向外側に突出するとともに周方向に沿って延びる環状または円弧状の突起14が形成されている。基部13の外径は、先端部12の外径よりも大きい。基部13の外周面には、雄ネジが形成されている。
【0020】
塗布栓40は、容器本体10の口部11の開口を開放可能に閉塞している。塗布栓40は、口部11に装着された弁体41と、弁体41に組み付けられた弁座体51と、を備える。
【0021】
弁体41は、口部11の内側に嵌入された嵌入筒42と、嵌入筒42の上端部から径方向外側に突出するとともに周方向に沿って全周にわたって延びるフランジ部43と、嵌入筒42の下端部から径方向内側に突出した内周壁44と、内周壁44の内周部から上方に延びるばね部45と、ばね部45の上端部に支持された弁部46と、弁部46から上方に突出した突出部47と、を備える。嵌入筒42は、口部11の内側に嵌合している。フランジ部43は、口部11の上端縁に上方から密接している。フランジ部43の外周部の上面には、突起部43aが突設されている。ばね部45は、内周壁44から中心軸O回りを螺旋状に縮径しつつ延びている。弁部46は、中心軸Oと同軸に形成されている。弁部46の外周面は、テーパー状に形成され、下端部から上方に向かうに従い漸次縮径している。突出部47は、中心軸Oと同軸の円柱状に形成されている。突出部47の外周面は、弁部46のテーパー状の外周面の上端部に連なっている。
【0022】
弁座体51は、周壁52および頂壁53を有する有頂筒状に形成されている。周壁52は、弁体41の嵌入筒42の内側に密に挿入された下部54と、下部54の上端部に連なり、下部54よりも大径に形成された上部55と、を備える。周壁52の上部55は、弁体41のフランジ部43に上方から周方向の全周にわたって密に当接している。周壁52の上部55の外周面には、径方向内側に窪むとともに周方向に沿って全周にわたって延びる外周凹部56が形成されている。
【0023】
頂壁53の中央部には、弁体41の突出部47が下方から挿入される貫通孔57が形成されている。貫通孔57は、平面視で中心軸Oを中心とする円形状に形成されている。貫通孔57の内径は、弁体41の突出部47の外径におおよそ一致している。貫通孔57の開口縁には、弁体41の弁部46の外周面が下方から密接している。弁部46は、ばね部45によって上方に付勢されることで、貫通孔57に対するシール性を保持している。弁座体51の上面には、突起片58が上方に向けて突設されている。突起片58は、中心軸Oを中心として周方向に沿って全周にわたって延びている。図示の例では、突起片58の外径が周壁52の上部の外径におおよそ一致している。これにより、突起片58の外周面は、周壁52の上部55の外周面に連なっている。
【0024】
含浸体30は、被塗布部に塗布する際に内容物を含浸する。含浸体30は、弾性変形可能な多孔質部材と、透液性を有し多孔質部材を上方および径方向外側から覆うメッシュ体と、を備える。例えば、多孔質部材は、多数の細孔を有するウレタンやポリエチレン等の合成樹脂の発泡体(スポンジ)である。含浸体30は、平面視で中心軸Oを中心とする円形状に形成されている。含浸体30は、横断面楕円形状に形成されている。含浸体30の上面は、中央が上方に膨出する凸曲面状に形成されている。含浸体30の下面は、中央が下方に膨出する凸曲面状に形成されている。含浸体30は、弁座体51の突起片58よりも大径に形成され、弁座体51の上側に載置されている。含浸体30の下面には、弁体41の突出部47、および弁座体51の突起片58が食い込んでいる。含浸体30は、上面中央部を下方に押圧されることで、弁体41のばね部45の付勢力に抗して突出部47を押し下げ、弁座体51の貫通孔57を開放する。これにより、容器本体10の内外が連通し、貫通孔57を通じて容器本体10に収容された内容物を排出させることが可能となる。
【0025】
固定筒60は、中心軸Oと同軸の円筒状に形成され、容器本体10の口部11の外側に嵌合している。固定筒60の下部には、径方向内側に突出するとともに周方向に沿って全周にわたって延びる係合凸部61が形成されている。係合凸部61は、口部11の先端部12の外周面における突起14に下方から係合している。固定筒60の上部には、径方向内側に突出し、弁座体51の外周凹部56に対向する突部62が形成されている。固定筒60における上下方向の中間部は、弁体41のフランジ部43の外周部に上方および径方向外側から接触している。固定筒60における上下方向の中間部は、弁体41のフランジ部43の上面の突起部43aに密接している。固定筒60の上端部は、弁座体51の外周面との間に含浸体30の周縁部を挟み込んでいる。具体的に、固定筒60は、凸部62と弁座体51の外周凹部56との間に、含浸体30における多孔質部材およびメッシュ体を挟み込んでいる。これにより、固定筒60は、含浸体30を容器本体10の口部11に固定している。なお、固定筒60は、凸部62と弁座体51の外周凹部56との間に、含浸体30のうちメッシュ体のみを挟み込んでいてもよい。
【0026】
キャップ本体20は、周壁部21および頂壁部22を有する。周壁部21は、下端部を含む下筒部23と、下筒部23の上端部から径方向内側に突出するとともに周方向の全周にわたって延びる平面視円環状の段差部24と、段差部24の内周部から上方に延びる上筒部25と、を備える、下筒部23は、容器本体10の口部11の基部13を囲うように配置されている。下筒部23の内周面には、口部11の雄ネジに螺着する雌ネジが形成されている。上筒部25は、口部11の先端部12を囲うように配置されている。上筒部25の外周面には、雄ネジが形成されている。上筒部25の上部は、固定筒60の上端部に上方および径方向外側から接触している。
【0027】
頂壁部22は、含浸体30よりも上方に配置されている。頂壁部22には、開口部26が形成されている。開口部26は、頂壁部22を上下方向に貫通している。開口部26は、平面視で中心軸Oを中心とする円形状に形成されている。開口部26の内径は、含浸体30の外径よりも大きい。開口部26の内側には、含浸体30が下方から入り込んでいる。
【0028】
図1および図2に示すように、キャップ本体20は、複数(図示の例では4つ)のリブ27を備える。複数のリブ27は、平面視で頂壁部22の開口部26内で第1方向Xに同等の間隔をあけて配置されている。各リブ27は、平面視で開口部26内を第2方向Yに延びている。各リブ27の両端部は、開口部26の内周面の上端部に接続している。各リブ27の両端部は、第1方向Xにおける互いに同じ位置に配置されている。各リブ27は、平面視で含浸体30に重なっている。各リブ27は、含浸体30の上面に沿って配置されている。各リブ27は、含浸体30の上面に接触し、含浸体30に僅かに押し込まれ、かつ含浸体30よりも上方に突出するように配置されている。各リブ27は、上下方向に弾性変形可能に形成されている。各リブ27は、平面視で一定の幅で延びている。各リブ27は、横断面台形状に形成されている。具体的に、各リブ27の横断面形状は、上面および下面が互いに平行な等脚台形状となっている。
【0029】
各リブ27の少なくとも一部は、平面視で第2方向Yに対して傾斜している。本実施形態では、各リブ27は、平面視で正弦曲線状に延びている。各リブ27は、第2方向Yの中間部から第2方向Yの外側に向かうに従い第1方向Xの他方に延びている。各リブ27は、第2方向Yの中間部が両端部よりも第1方向Xの一方に位置するように湾曲している。各リブ27全体の第2方向に対する傾斜角度は、45°未満となっている。なお、本実施形態では、各リブ27の第2方向Yの中間部が平面視で第2方向Yに延びているので、各リブ27の一部のみが平面視で第2方向Yに対して傾斜している。
【0030】
図1に示すように、オーバーキャップ70は、周壁71および天壁72を有する有頂筒状に形成されている。周壁71は、キャップ本体20の周壁部21の上部を囲っている。周壁71の内周面には、キャップ本体20の周壁部21の雄ネジに螺着する雌ネジが形成されている。天壁72は、キャップ本体20の頂壁部22を上方から覆うように配置されている。オーバーキャップ70は、天壁72から下方に延びるシール筒73を備える。シール筒73は、キャップ本体20の頂壁部22を径方向外側から囲っている。シール筒73は、中心軸Oと同軸に配置されている。シール筒73の下端縁は、キャップ本体20の上面に対して周方向の全周にわたって密接している。
【0031】
以上のように構成された塗布容器1の作用について説明する。
塗布容器1の不使用時には、弁体41のばね部45によって上方に付勢された弁部46が弁座体51の貫通孔57の開口縁に密接することで貫通孔57を閉塞し、液漏れを抑制している。
【0032】
塗布容器1の使用時には、含浸体30に含浸した内容物を被塗布部に塗布する。この際、含浸体30を被塗布部に押し付けることで、含浸体30が弁体41の突出部47を容器本体10の内部側に押し込む、これにより、弁部46が貫通孔57の開口縁から離間して貫通孔57が開放され、容器本体10の内部の内容物が含浸体30に至り、含浸体30に内容物が供給される。
【0033】
塗布容器1による内容物の塗布方法は、含浸体30を単独で用いる方法と、含浸体30に加えて複数のリブ27を併用する方法と、がある。
【0034】
複数のリブ27を併用して内容物を塗布する場合、オーバーキャップ70をキャップ本体20から取り外す。この状態では、キャップ本体20の開口部26内で複数のリブ27が含浸体30を上方で跨ぐように配置される。複数のリブ27は、上下方向に弾性変形可能に形成されているので、キャップ本体20の頂壁部22を被塗布部に押し当てることで、複数のリブ27が含浸体30に押し込まれる。これにより、含浸体30を被塗布部に接触させて内容物を塗布することができる。この際、被塗布部には含浸体30に加えて複数のリブ27も接触するので、含浸体30を被塗布部に摺接させることで、複数のリブ27により被塗布部を掻くことができる。よって、被塗布部に内容物を塗布しながら刺激を与えることができる。特に本実施形態では、内容物としてかゆみ止めの薬液を収容しているので、薬液による効能が得られるまでの間、かゆみを低減することができる。
【0035】
ここで、複数のリブ27は第1方向Xに沿って配置されているので、塗布容器1を被塗布部に対して第1方向Xに沿って動かすことで、被塗布部にはリブ27が複数回通過するように摺接する。また、被塗布部には各リブ27がその延在方向に交差する方向に沿って摺接する。このため、被塗布部と複数のリブ27との間には、比較的大きな摺動抵抗が生じる。一方で、塗布容器1を被塗布部に対して第2方向Yに沿って動かすことで、被塗布部には各リブ27がその延在方向に沿って摺接する。このため、被塗布部と複数のリブ27との間には、比較的小さな摺動抵抗が生じる。よって、内容物を被塗布部に塗布する際、塗布容器1を動かす方向を変更することで、被塗布部に与える刺激に強弱をつけることができる。
【0036】
さらに、キャップ本体20は、容器本体10の口部11に着脱可能に装着されている。このため、含浸体30を単独で用いて内容物を塗布する場合、キャップ本体20を取り外すことで、複数のリブ27を用いずに内容物を塗布できる状態となる。よって、複数のリブ27により被塗布部を掻くことなく、被塗布部に内容物を塗布することが可能となる。したがって、3通りの塗布方法を選択することが可能な塗布容器1を提供できる。
【0037】
また、各リブ27の少なくとも一部は、平面視で第2方向Yに対して傾斜している。これにより、塗布容器1を被塗布部に対して第2方向Yに沿って動かすことで、被塗布部には各リブ27の一部がその延在方向に交差する方向に沿って摺接する。このため、被塗布部と複数のリブ27との間には、複数のリブの全体が平面視で第2方向Yに延びている場合よりも大きく、かつ塗布容器1を被塗布部に対して第1方向Xに沿って動かす場合よりも小さい摺動抵抗が生じる。よって、塗布容器1を被塗布部に対して第1方向Xおよび第2方向Yのいずれの方向に動かした場合でも、複数のリブ27により被塗布部を掻くことができる。
【0038】
また、複数のリブ27は、第1方向Xに同等の間隔をあけて配置されている。このため、平面視でキャップ本体20の開口部26内に含浸体30を均等に露出させることができる。よって、被塗布部に内容物をむらが少なく塗布することができる。
【0039】
さらに、塗布容器1は、キャップ本体20に着脱可能に装着されたオーバーキャップ70を備える。このため、キャップ本体20を取り付けたままオーバーキャップ70を装着することができる。また、オーバーキャップ70をキャップ本体20から取り外すことで、複数のリブ27が含浸体30の上方に配置された塗布容器1を即座に使用することができる。このため、複数のリブ27を併用して内容物を塗布するに際し、オーバーキャップとキャップ本体とを交換する構成と比較して、内容物を塗布できる状態に速やかに移行できる。
【0040】
さらに、オーバーキャップ70がキャップ本体20に装着されているので、キャップ本体20を取り外すことでオーバーキャップ70も同時に取り外すことができる。よって、複数のリブ27を併用せずに内容物を塗布するに際し、オーバーキャップおよびキャップ本体を個別に取り外す構成と比較して、内容物を塗布できる状態に速やかに移行できる。
【0041】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、リブ27が平面視で正弦曲線状に延びている。すなわち、リブ27の全体が平面視で曲線状に延びている。しかしながらリブの平面視形状はこれに限定されない。例えば、複数のリブの少なくとも一部は平面視で直線状に延びていてもよい。また、各リブは、少なくとも一か所で屈曲していてもよい。さらに、複数のリブは、平面視で互いに平行な直線状に延びていてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、複数のリブ27が第1方向Xに同等の間隔をあけて配置されている。しかしながら、複数のリブの配置はこれに限定されない。複数のリブは、平面視で第1方向Xに沿って配置されていればよい。すなわち、複数のリブは、それぞれが全体として第2方向Yに沿うように延び、第1方向Xに並んでいればよい。例えば、第1のリブにおける第2方向Yの一方の端部と、第1のリブに対して第1方向Xの一方に位置する第2のリブにおける第2方向Yの一方の端部と、が近接し、かつ、第1のリブにおける第2方向Yの他方の端部と、第1のリブに対して第1方向Xの他方に位置する第3のリブにおける第2方向Yの他方の端部と、が近接するように複数のリブが配置されていてもよい。つまり、第1方向Xに隣り合う一対のリブが平面視V字状に配置されていてもよい。また、複数のリブは、平面視で互いに交差するように延びていてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、含浸体30が塗布栓40および固定筒60を介して容器本体10の口部11に固定されているが、含浸体の固定方法は特に限定されない。例えば、含浸体が容器本体の口部の開口を閉塞するように、口部に直接固定されていてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、含浸体30が開口部26の内側に下方から入り込んでいる。しかしながら、含浸体と開口部との位置関係はこれに限定されない。含浸体は、容器本体10の口部11の開口とキャップ本体の頂壁部との間に配置され、平面視でキャップ本体の開口部の内側に配置されていればよい。
【0045】
また、上記実施形態では、オーバーキャップ70はキャップ本体20に装着されているが、これに限定されない。例えば、オーバーキャップは、周壁がキャップ本体よりも下方に延び、容器本体に螺着するように構成されていてもよい。この構成であっても、オーバーキャップを容器本体から取り外すことで、複数のリブが設けられた塗布容器を即座に使用することができる。このため、オーバーキャップとキャップ本体とを交換する構成と比較して、内容物を塗布できる状態に速やかに移行できる。
【0046】
また、上記実施形態では、リブ27が横断面台形状に形成されているが、リブの横断面形状はこれに限定されない。例えば、リブは、横断面矩形状や三角形状、円形状等に形成されていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、塗布容器1の内容物としてかゆみ止めの薬液が採用されているが、内容物はこれに限定されない。例えば、塗布容器1の内容物として、液体状の湿布薬や、デオドラント製品等、かゆみ止め以外の液剤を採用してもよい。
【0048】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…塗布容器 10…容器本体 11…口部 20…キャップ本体 22…頂壁部 26…開口部 27…リブ 30…含浸体 70…オーバーキャップ(外キャップ) X…第1方向 Y…第2方向
図1
図2