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特許7330074自動水栓および自動水栓に用いられる水栓金具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】自動水栓および自動水栓に用いられる水栓金具
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20230814BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20230814BHJP
   E03C 1/10 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
E03C1/05
E03C1/044
E03C1/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019210099
(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公開番号】P2021080769
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】597060106
【氏名又は名称】東亜電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】宮村 幸春
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-002033(JP,A)
【文献】特開2018-162596(JP,A)
【文献】特開2016-041874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱する加熱装置と、
第1吐水口を有し、前記加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
環境温度を推定または測定する環境温度取得部と、
制御装置とを備える自動水栓であって、
前記制御装置は、前記カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方で手を洗うと認識した場合、または、物を洗うと認識した場合、前記第1バルブおよび前記加熱装置を制御し、前記環境温度取得部が取得した前記環境温度が低いほど、前記第1吐水口から吐出する水の温度を高くすることすることを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
水を加熱する加熱装置と、
第1吐水口を有し、前記加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
制御装置とを備える自動水栓であって、
前記制御装置は、前記カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方に哺乳瓶を検出した場合、前記第1バルブおよび前記加熱装置を制御して、前記第1吐水口から70℃以上の水を所定量吐出した後、水の吐出を停止させることを特徴とする自動水栓。
【請求項3】
水を加熱する加熱装置と、
第1吐水口を有し、前記加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
制御装置とを備える自動水栓であって、
前記制御装置は、前記カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方に鍋を検出した場合、前記第1バルブおよび前記加熱装置を制御して、前記鍋が所定の基準より綺麗であれば、前記第1吐水口から80℃以上の水を吐出し、前記鍋が所定の基準より綺麗でなければ、前記第1吐水口から50℃以下の水を吐出することを特徴とする自動水栓。
【請求項4】
水を加熱する加熱装置と、
第1吐水口を有し、前記加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
制御装置とを備える自動水栓であって、
前記制御装置は、前記カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方に茶葉が入った急須を検出した場合、前記第1バルブおよび前記加熱装置を制御して、90℃以上の水を吐出することを特徴とする自動水栓。
【請求項5】
水を加熱する加熱装置と、
第1吐水口を有し、前記加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
制御装置とを備える自動水栓であって、
前記制御装置は、前記カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方にカップを検出した場合、前記第1バルブおよび前記加熱装置を制御して、90℃以上の水を吐出することを特徴とする自動水栓。
【請求項6】
水を加熱する加熱装置と、
第1吐水口を有し、前記加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
制御装置とを備える自動水栓であって、
前記制御装置は、前記カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方にベビーバスを検出した場合、前記第1バルブおよび前記加熱装置を制御して、35~42℃の水を吐出することを特徴とする自動水栓。
【請求項7】
第1吐水口を有する水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
制御装置とを備える自動水栓であって、
前記制御装置は、前記カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方に往復動作するスポンジを検出した場合、前記第1バルブを制御して、前記第1吐水口から水を吐出させないことを特徴とする自動水栓。
【請求項8】
水を加熱する加熱装置と、
第1吐水口を有し、前記加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
浄水器と、
前記加熱装置を通る水が前記第1吐水口から吐出される状態と、前記浄水器を通る水が前記第1吐水口から吐出される状態とを切り替える切換バルブと
制御装置とを備える自動水栓であって、
前記制御装置は、前記カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方にグラスを検出した場合には、前記切換バルブを制御して、前記浄水器を通った水を前記第1吐水口から吐出させることを特徴とする自動水栓。
【請求項9】
水を加熱する加熱装置と、
第1吐水口を有し、前記加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
制御装置とを備える自動水栓であって、
前記制御装置は、前記カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方に、食材を検出した場合には、前記第1バルブおよび前記加熱装置を制御して、前記第1吐水口から、前記加熱装置で加熱しない水を吐出させることを特徴とする自動水栓。
【請求項10】
水を加熱する加熱装置と、
第1吐水口を有し、前記加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
制御装置とを備える自動水栓であって、
前記制御装置は、前記第1バルブおよび前記加熱装置を制御して、50℃以上の水を吐出している場合において、前記カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方に手を検出した場合、前記第1吐水口からの水の吐出を停止することを特徴とする自動水栓。
【請求項11】
水を加熱する加熱装置と、
第1吐水口を有し、前記加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、
前記第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、
前記第1吐水口の下方を撮影するカメラと、
前記加熱装置を制御し、前記第1吐水口から吐出する水の温度を制御する制御装置とを備える自動水栓であって、
前記水栓金具は、
前記第1吐水口を端部に有し、前記第1バルブが配置されたメインパイプと、
前記メインパイプから分岐したサブパイプであって、前記第1吐水口より低い位置に配置された第2吐水口を有するサブパイプと、
前記サブパイプに設けられた第2バルブとを有し、
前記自動水栓は、前記メインパイプと前記サブパイプの分岐位置または当該分岐位置よりも上流側に設けられた第3バルブをさらに備え、
前記制御装置は、第1の温度の水を前記第1吐水口から吐出した後、前記第1の温度と異なる第2の温度の水を前記第1吐水口から吐出する場合、
前記第1の温度の水を前記第1吐水口から吐出した後、前記第3バルブを閉じ、前記第1バルブおよび前記第2バルブを開いて前記第2吐水口から前記メインパイプ内の前記分岐位置よりも上の水を排出させ、
その後、前記第2バルブを閉じ、前記第3バルブを開いて、前記第1吐水口から前記第2の温度の水を吐出させることを特徴とする自動水栓。
【請求項12】
前記制御装置は、前記第2吐水口から前記メインパイプ内の水を排出させた後、前記第1吐水口から前記第2の温度の水を吐出させる前に、前記第2バルブを開くとともに前記第3バルブを開き、前記分岐位置と前記加熱装置の間の水を前記第2吐水口から排出させ、その後、前記第2バルブを閉じ、前記第3バルブを開いて、前記第1吐水口から前記第2の温度の水を吐出させることを特徴とする請求項11に記載の自動水栓。
【請求項13】
自動水栓に用いられる水栓金具であって、
第1吐水口を端部に有し、横方向に延びる横パイプを有するメインパイプと、
前記横パイプの下面または前記横パイプよりも低い位置に設けられ、前記第1吐水口の下方を撮影可能に設けられたカメラと、
前記メインパイプから分岐したサブパイプであって、前記第1吐水口より低い位置に配
置された第2吐水口を有するサブパイプとを備えることを特徴とする水栓金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動水栓および自動水栓に用いられる水栓金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動水栓において、カメラなどの検知部によって、対象物を検知し、対象物の大きさによって吐水口の大きさを変更する発明が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-041874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の自動水栓においては、水量を変更することができるものの、温度については調整されることはなかった。
そこで、本発明は、自動水栓において、状況に応じて温度を調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る自動水栓は、水を加熱する加熱装置と、第1吐水口を有し、加熱装置で加熱された水が通過可能に設置された水栓金具と、第1吐水口から吐出する水の流量を制御する第1バルブと、第1吐水口の下方を撮影するカメラと、制御装置とを備える自動水栓である。制御装置は、第1バルブを制御して第1吐水口から吐出する水の流量を制御するとともに、カメラで撮影された画像に基づいて、加熱装置を制御し、第1吐水口から吐出する水の温度を制御する。
【0006】
このような構成によれば、自動水栓は、カメラで撮影された画像に基づいて、加熱装置を制御して、第1吐水口から吐出する水の温度を制御するので、第1吐水口の下方に差し出した物に応じた適切な温度の水を第1吐水口から吐出し、快適に自動水栓を使用することができる。なお、ここでいう「流量を制御する」とは、流量を0にすること(吐出を停止すること)を含み、無段階や多段階に流量を変化させるだけでなく、吐出と吐出の停止を切り替えるだけの場合を含む。
【0007】
前記した自動水栓は、環境温度を推定または測定する環境温度取得部をさらに備えることができる。そして、制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、前記第1吐水口の下方で手を洗うと認識した場合、または、物を洗うと認識した場合、環境温度取得部が取得した環境温度が低いほど、第1吐水口から吐出する水の温度を高くすることができる。
【0008】
このような構成によれば、環境温度に応じた快適な温度の水を第1吐水口から吐出することができる。
【0009】
制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方に哺乳瓶を検出した場合、第1吐水口から70℃以上の水を所定量吐出した後、水の吐出を停止させてもよい。
【0010】
このような構成によれば、粉ミルクを哺乳瓶で容易に溶かすことができる。また、水を所定量吐出した後、水の吐出を停止させるので、水が溢れることを抑制することができる。なお、当然ではあるが、本願において「X℃以上の水を吐出する」という場合には、X℃の水を吐出してもよいし、X℃より高い温度の水を出してもよい意味である。また、本願において「X℃以上の水を吐出している場合」についても同様、X℃の水を吐出している場合と、X℃より高い温度の水を吐出している場合を含む意味である。
【0011】
制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方に鍋を検出した場合、鍋が所定の基準より綺麗であれば、第1吐水口から80℃以上の水を吐出し、鍋が所定の基準より綺麗でなければ、第1吐水口から50℃以下の水を吐出してもよい。
【0012】
このような構成によれば、綺麗な鍋を第1吐水口の下方に差し出すことで、熱湯を鍋に入れることができ、速やかに調理をすることができる。また、汚れた鍋を第1吐水口の下方に差し出すことで、熱すぎない水を吐出し、鍋を洗うことができる。
【0013】
制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方に茶葉が入った急須を検出した場合、第1吐水口から90℃以上の水を吐出してもよい。
【0014】
このような構成によれば、茶葉が入った急須を第1吐水口の下方に差し出すことで、急須に熱湯を入れることができる。
【0015】
制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方にカップを検出した場合、第1吐水口から90℃以上の水を吐出してもよい。
【0016】
このような構成によれば、カップに熱湯を入れて、カップを温めたり、お茶を入れることができる。なお、ここでいうカップは、日本の湯飲みを含む。
【0017】
制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方にベビーバスを検出した場合、第1吐水口から35~42℃の水を吐出することができる。
【0018】
このような構成によれば、赤ちゃんのお風呂に適した温度のお湯をベビーバスに供給することができる。
【0019】
制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方に往復動作するスポンジを検出した場合、第1吐水口から水を吐出させない。
【0020】
このような構成によれば、第1吐水口の下で、食器や鍋等をスポンジで洗っている最中に、不必要に水を吐出することを抑制することができる。
【0021】
前記した自動水栓は、浄水器と、加熱装置を通る水が第1吐水口から吐出される状態と、浄水器を通る水が第1吐水口から吐出される状態とを切り替える切換バルブとをさらに備えることができる。そして、制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方にグラスを検出した場合には、切換バルブを制御して、浄水器を通った水を第1吐水口から吐出させてもよい。
【0022】
このような構成によれば、第1吐水口の下方にグラスを差し出すことで、浄水をグラスに注ぐことができる。
【0023】
制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方に食材を検出した場合には、第1吐水口から、加熱装置で加熱しない水を吐出させてもよい。
【0024】
このような構成によれば、第1吐水口の下方に野菜、米および茹でた麺食材を差し出すことで、加熱しない水が出るので、食材を洗うことができる。
【0025】
制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方に、容器を検出したことにより第1吐水口から水を吐出する場合、容器に入っている水の水面が容器の上縁から所定距離下の位置に到達したことに基づいて第1吐水口からの水の吐出を停止することが望ましい。
【0026】
このような構成によれば、容器の上縁から水が溢れることを抑制することができる。
【0027】
また、制御装置は、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方に、容器を検出したことにより第1吐水口から水を吐出する場合、容器の口の中心が第1吐水口の下の給水位置から所定距離以上ずれた場合に、第1吐水口からの水の吐出を停止することが望ましい。
【0028】
このような構成によれば、ユーザが容器を給水位置から外そうとした場合に、水の吐出が停止するので、ユーザの手が水で濡れるのを抑制することができる。
【0029】
制御装置は、50℃以上の水を吐出している場合において、カメラで撮影された画像に基づいて、第1吐水口の下方に手を検出した場合、第1吐水口からの水の吐出を停止することが望ましい。
【0030】
このような構成によれば、熱い水が出ている場合に、ユーザが間違って第1吐水口の下に手を出しても、誤って熱い水に触れることを抑制することができる。
【0031】
前記した水栓金具は、第1吐水口を端部に有し、第1バルブが配置されたメインパイプと、メインパイプから分岐したサブパイプであって、第1吐水口より低い位置に配置された第2吐水口を有するサブパイプと、サブパイプに設けられた第2バルブとを有することができる。そして、自動水栓は、メインパイプとサブパイプの分岐位置または当該分岐位置よりも上流側に設けられた第3バルブをさらに備えることができる。このような構成において、制御装置は、第1の温度の水を第1吐水口から吐出した後、第1の温度と異なる第2の温度の水を第1吐水口から吐出する場合、第1の温度の水を第1吐水口から吐出した後、第3バルブを閉じ、第1バルブおよび第2バルブを開いて第2吐水口からメインパイプ内の分岐位置よりも上の水を排出させ、その後、第2バルブを閉じ、第3バルブを開いて、第1吐水口から第2の温度の水を吐出させることができる。
【0032】
このような構成によれば、分岐位置よりも上の部分にある水栓金具内の水を第2吐水口から排出した後に、第2温度の水を第1吐水口から吐出するので、第1吐水口から適切な温度の水を吐出することができる。
【0033】
また、制御装置は、第2吐水口からメインパイプ内の水を排出させた後、第1吐水口から第2の温度の水を吐出させる前に、第2バルブを開くとともに第3バルブを開き、分岐位置と加熱装置の間の水を第2吐水口から排出させ、その後、第2バルブを閉じ、第3バルブを開いて、第1吐水口から第2の温度の水を吐出させてもよい。
【0034】
このような構成によれば、分岐位置と加熱装置の間の水を第2吐水口から排出した後に、第2温度の水を第1吐水口から吐出するので、第1吐水口から適切な温度の水を吐出することができる。
【0035】
前記した課題を解決する自動水栓に用いられる水栓金具は、第1吐水口を端部に有し、横方向に延びる横パイプを有するメインパイプと、横パイプの下面または横パイプよりも低い位置に設けられ、第1吐水口の下方を撮影可能に設けられたカメラと、を有することができる。
【0036】
このような構成によれば、カメラが、横パイプに邪魔されずに第1吐水口の下方を撮影することができるので、第1吐水口の下方にある物を適切に撮影することができる。
【0037】
前記した水栓金具は、メインパイプから分岐したサブパイプであって、第1吐水口より低い位置に配置された第2吐水口を有するサブパイプをさらに有していてもよい。
【0038】
このような構成によれば、第2吐水口から水栓金具内の水を適宜排出することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、自動水栓において、状況に応じて温度を調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】実施形態に係る自動水栓の斜視図である。
図2】部分的に破断して示す水栓金具の斜視図である。
図3】加熱装置の断面図である。
図4】発熱体を示す斜視図(a)と、孔と区画部の関係を示す図(b)である。
図5】加熱装置および浄水器の拡大斜視図である。
図6】制御装置と他の部材との関係を示す模式図である。
図7】制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図8図7に続くフローチャートである。
図9】温度・吐出量設定の処理を示すフローチャートである。
図10】排出処理のフローチャートである。
図11】参考例に係る水栓金具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、実施形態に係る自動水栓1は、水を加熱する加熱装置20と、水栓金具30と、浄水器40と、自動水栓1の動作を制御する制御装置60とを主に備えてなる。
【0042】
加熱装置20は、水道水を加熱する装置であり、本実施形態においては、一例として誘導加熱によって水を加熱する装置である。
【0043】
水栓金具30は、メインパイプ31と、メインパイプ31から分岐したサブパイプ32とを有する。水栓金具30は、加熱装置20で加熱された水が、メインパイプ31を通過して第1吐水口91から吐出可能に設置されている。
メインパイプ31は、縦パイプ31Aと、縦パイプ31Aの上端から横に延びる横パイプ31Bと、横パイプ31Bの端部から下方に延びる吐水パイプ31Cとを有する。吐水パイプ31Cは、端部に、水が吐出される第1吐水口91を有する。
サブパイプ32は、縦パイプ31Aから横に分岐し、先端部が下方に曲がって延びている。サブパイプ32は、下端に、排出する水が吐出される第2吐水口92を有する。第2吐水口92は、第1吐水口91よりも低い位置に配置されている。
【0044】
図6に示すように、水栓金具30は、シンクSK1に設置され、第1吐水口91および第2吐水口92は、ともに、吐出した水がシンクSK1のボウルB1に落ちるように配置される。
【0045】
図2に示すように、メインパイプ31の横パイプ31Bには、第1バルブV1が配置されている。第1バルブV1は、第1吐水口91から吐出する水の流量を制御するバルブである。具体的には、第1バルブV1は、制御装置60により制御されることで、水が流れない状態から、全開で水が流れる状態までの間で弁の開き具合が調整可能である。
【0046】
サブパイプ32には、第2バルブV2が設けられている。第2バルブV2は、制御装置60により制御されて、第2吐水口92から吐出する水の流量が制御される。
【0047】
図1に示すように、横パイプ31Bの先端には、第1吐水口91から吐出される水の温度を色で示すインジケータ56が設けられている。インジケータ56は、制御装置60により、例えば、常温の水であれば青、熱湯であれば赤、温水であればオレンジなどのように、温度に応じて異なる色を表示するように制御される。図2に示すように、インジケータ56は、内部に、互いに異なる色で発光する複数のLED56Aが配置されている。なお、本明細書において、加熱装置20で加熱されない水を常温の水という。
【0048】
水栓金具30は、また、縦パイプ31Aの上部から上に延びる延出部33と、縦パイプ31Aと横パイプ31Bを斜めに繋ぐように配置された板状の連結部36とを有する。
【0049】
連結部36には、制御装置60を構成する回路基板60Bが配置されている。回路基板60Bには、環境温度を測定する環境温度取得部の一例としての温度センサ69が設けられている。温度センサ69が検出した温度は、制御装置60に出力される。
【0050】
また、連結部36には、カメラ51および物体センサ55が設けられている。
カメラ51は、第1吐水口91の下方を撮影するカメラであり、カメラ51が撮影した画像は、制御装置60に出力される。カメラ51は、横パイプ31Bよりも低い位置に設けられていることで、横パイプ31Bに邪魔されることなく、第1吐水口91の下方を撮影することが可能となっている。
物体センサ55は、第1吐水口91の下方に、人の手や、その他の物体が存在するか否かを検出する赤外線センサである。
【0051】
図1に示すように、延出部33には、第2カメラ52および温度表示部58が設けられている。
第2カメラ52は、延出部33の頂部に設けられ、透明なカバー52Aが被せられている。第2カメラ52は、自動水栓1を使用する人の動作を撮影するカメラである。
温度表示部58は、延出部33の前側(自動水栓を使用する人が立つ側であり、延出部33の、縦パイプ31Aおよび延出部33に対して第1吐水口91がある方向の側部)に、配置されている。温度表示部58は、制御装置60によって、第1吐水口91から吐出される水の温度が数字によって表示されるようになっている。このため、図2に示すように、温度表示部58には、内部にデジタル表示部58Aが配置されている。
【0052】
図3に示すように、加熱装置20は、円柱状の発熱体21と、発熱体21を収容する収容管22と、収容管22の外周面に設けられるコイルユニット23とを備えている。
【0053】
発熱体21は、コイルユニット23のコイル131によって誘導加熱される発熱体であって、水が通過可能な複数の通路21Aを有している。なお、発熱体21の材料としては、誘導加熱される材料であればどのような材料であってもよく、例えば、ステンレス鋼、鉄、アルミニウムなどを用いることができる。
【0054】
収容管22は、樹脂などの誘導加熱されない材料からなり、発熱体21の長さ以上の長さで形成されている。なお、収容管22の材料としては、例えば、エンジニアリングプラスチックやポリフェニレンスルファイドなどを用いることができる。
【0055】
コイルユニット23は、コイル131と、コイル131の外周および両端を覆う被覆部材132と、コイル131および被覆部材132を収容するハウジング133とを備えている。コイル131は、例えばリッツ線からなるコイルである。コイル131の内側には、ハウジング133の一部、収容管22の一部および発熱体21の一部が配置されている。
【0056】
被覆部材132は、強磁性であるが誘導加熱はされにくい材料、例えばフェライトなどからなっている。被覆部材132は、コイル131で発生する磁束の漏れを抑制する。ハウジング133は、樹脂などの誘導加熱されない材料からなっている。発熱体21および収容管22は、両端部がハウジング133から突出するように配置されている。
【0057】
収容管22の上流側には、上流側継手C1が接続され、収容管22の下流側には、下流側継手C2が接続されている。
【0058】
上流側継手C1は、上流側温度センサC11と、上流側温度ヒューズC12とを備えている。上流側温度センサC11は、発熱体21を通る前の水の温度を検知するセンサであり、発熱体21の上流側に配置されている。下流側継手C2は、下流側温度センサC21と、下流側温度ヒューズC22とを備えている。下流側温度センサC21は、発熱体21を通過した後の加熱された水の温度を検知するセンサであり、発熱体21の下流側に配置されている。上流側温度センサC11と下流側温度センサC21で検知された、加熱前後の水の温度は、制御装置60に出力される(図6参照)。
【0059】
上流側温度ヒューズC12および下流側温度ヒューズC22は、所定の閾値以上になった場合に、コイル131に流れる電流を遮断する機能を有している。
【0060】
図4(a)に示すように、発熱体21は、複数の多孔板11を積層することで構成されている。多孔板11は、互いに平行な2つの平面を有する円板であり、ハニカム状に配置された複数の正六角形の孔11Aを有している。前述した発熱体21の通路21Aは、発熱体21の軸方向に並んだ複数の孔11Aによって形成されている。そのため、発熱体21の両端に位置する多孔板11の孔11Aは、通路21Aの開口となっている。
【0061】
多孔板11は、リング状の外周部11Bと、各孔11Aの周囲に沿って延びる複数の区画部11Cとを有している。
【0062】
外周部11Bは、外周面に凹部11Dを有している。この凹部11Dは、発熱体21の製造の際に、複数の多孔板11の向きを規定するために用いられる。
【0063】
複数の区画部11Cは、一体に形成され、外周部11Bの内周面に接続されている。
【0064】
なお、発熱体21の外径は、20mm以下が望ましい。その理由は、発熱体21の外径を大きくしてしまうと、発熱体21の中心付近の通路21Aの周囲の区画部11Cに、コイル131の磁界の作用が十分に及ばず、発熱体21の中心付近の通路21Aを通る水を効率的に加熱できなくなるおそれがあるからである。
【0065】
図4(b)に示すように、所定方向に並ぶ2つの孔11Aの間に位置する区画部11Cの所定方向の寸法L1は、例えば0.2mmとすることができ、孔11Aの所定方向の寸法L2は、例えば0.6mmとすることができる。なお、発熱体の外径を20mm、発熱体の長さを30cm、L1=0.2mm、L2=0.6mm、水の流量を3L/min、電力を1400Wとして実験を行うと、常温の水が90℃以上に加熱されることが確認されている。
【0066】
図5に示すように、浄水器40は、加熱装置20と並列に接続されている。
加熱装置20の上流側継手C1には第1配管P1が接続され、下流側継手C2には、第2配管P2が接続されている。そして、第1配管P1の上流側には、二方向比例制御電磁弁と三方向電磁弁の組み合わせにより構成された第3バルブとしての切換バルブV3が接続され、切換バルブV3には、第1配管P1の他に、上水道に繋がる第3配管P3と、浄水器40に繋がる第4配管P4とが接続されている。切換バルブV3は、メインパイプ31とサブパイプ32の分岐位置D1(図6参照)よりも上流側に配置されている。
【0067】
浄水器40の上流側の端部は、第4配管P4に接続されている。また、浄水器40の下流側の端部は、第5配管P5に接続されている。そして、第5配管P5と、第2配管P2は、三方継手J1によって第6配管P6に接続されている。図示は省略するが、第6配管P6は、水栓金具30のメインパイプ31の上流端へ接続されている。
【0068】
切換バルブV3は、制御装置60によって流路が制御され、水を通さない状態と、第3配管P3から第1配管P1に水を通す状態と、第3配管P3から第4配管P4に水を通す状態とに切り換えることが可能なバルブである。このため、制御装置60は、加熱装置20を通る水が第1吐水口91から吐出される状態と、浄水器40を通る水が第1吐水口91から吐出される状態とを切り替えることができる。具体的には、二方向比例制御電磁弁により流量の調整を行い、三方向電磁弁によりポートの切換えを行うようになっている。
【0069】
図6に示すように、制御装置60は、自動水栓1から吐出する水の温度制御をする場合に、上流側温度センサC11と下流側温度センサC21から温度を取得し、加熱装置20の制御をする。また、制御装置60には、物体センサ55の信号、カメラ51および第2カメラ52からの撮影画像、温度センサ69が取得した環境温度の信号が入力され、制御装置60は、これらの信号に基づいて、加熱装置20、第1バルブV1、第2バルブV2および切換バルブV3を制御して、状況に応じた温度、量、種類の水を自動水栓1から吐出し、また、吐出を停止するように制御する。制御装置60は、処理装置としてのCPUや、ROM、RAM、その他の記憶装置等を有し、予め記憶されたプログラムに従って処理をすることで、各制御を実現する。
【0070】
制御装置60は、第1バルブV1を制御して、第1吐水口91から吐出する水量を制御する。また、制御装置60は、カメラ51で撮影された画像に基づいて、加熱装置20を制御し、第1吐水口91から吐出する水の温度を制御する。制御装置60は、カメラ51および第2カメラ52により撮影された画像から、所定の画像を認識する公知の画像認識エンジンを備えており、画像認識エンジンに、所定の画像を学習させることで、物体や、状況を判別することができるように構成されている。
【0071】
具体的には、制御装置60は、カメラ51および物体センサ55で第1吐水口91の下方に物体が検出され、かつ、第2カメラ52で撮影された画像に基づいて、人物が検出されたことを条件として第1バルブV1および切換バルブV3を開いて第1吐水口91から水を吐出する。これにより、無駄に水を吐出することがない。
【0072】
そして、制御装置60は、カメラ51で撮影された画像(以下、単に「撮影画像」という。)に基づいて、第1吐水口91の下方で手洗いをすると認識した場合、または、物を洗うと認識した場合、温度センサ69が取得した環境温度が低いほど、第1吐水口91から吐出する水の温度を高くする。物を洗うとの認識は、第1吐水口91の下方に検出された物体に所定の基準以上の汚れが付いているか否かにより判定する。逆にいうと、制御装置60は、第1吐水口の下に、鍋等の物体を検出した場合、所定の基準以上の汚れが付いていなければ、その物体は、所定の基準より綺麗であると判断する。
【0073】
また、制御装置60は、撮影画像に基づいて、第1吐水口91の下方に哺乳瓶を検出した場合、第1吐水口91から70℃以上の水を所定量吐出した後、水の吐出を停止させる。
【0074】
また、制御装置60は、撮影画像に基づいて、第1吐水口91の下方に鍋を検出した場合、鍋が所定の基準より綺麗であれば、第1吐水口91から80℃以上の水を吐出し、鍋が所定の基準より綺麗でなければ、第1吐水口91から50℃以下の水を吐出する。好ましくは、制御装置60は、常温より温かい、例えば、35℃以上の水を吐出するとよい。
【0075】
また、制御装置60は、撮影画像に基づいて、第1吐水口91の下方に新品の茶葉が入った急須を検出した場合、第1吐水口91から90℃以上の水を吐出する。一方、制御装置60は、使用済みの茶葉や、茶葉が入っていない急須を検出した場合には、常温の水を吐出する。
【0076】
また、制御装置60は、撮影画像に基づいて、第1吐水口91の下方にカップを検出した場合、第1吐水口91から90℃以上の水を吐出する。
【0077】
また、制御装置60は、撮影画像に基づいて、第1吐水口91の下方にベビーバスを検出した場合、第1吐水口91から35~42℃の水を吐出する。
【0078】
また、制御装置60は、撮影画像に基づいて、第1吐水口91の下方にグラスを検出した場合には、切換バルブV3を制御して、浄水器40を通った水を第1吐水口91から吐出させる。
【0079】
また、制御装置60は、撮影画像に基づいて、第1吐水口91の下方に、野菜、米および茹でた麺類などの食材を検出した場合には、第1吐水口91から常温の水を吐出させる。
【0080】
また、制御装置60は、撮影画像に基づいて、第1吐水口91の下方に、容器を検出したことにより第1吐水口91から水(温度は問わない)を吐出する場合、第1吐水口91の下の給水位置に、上から見て容器の口の中心が合っていることを条件に吐出を開始する。制御装置60は、例えば、給水位置と容器の口の中心の位置が所定距離以内になった場合に、給水位置と容器の口の中心が合っていると判定することができる。
【0081】
また、制御装置60は、撮影画像に基づいて、第1吐水口91の下方に、容器を検出したことにより第1吐水口91から水(温度は問わない)を吐出する場合、容器に入っている水の水面が容器の上縁から所定距離下の位置に到達したことに基づいて第1吐水口91からの水の吐出を停止する。なお、本明細書における容器は、鍋、急須、グラス、カップベビーバス、タライ、フライパン等を含む。
【0082】
また、制御装置60は、撮影画像に基づいて、第1吐水口91の下方に、容器を検出したことにより第1吐水口91から水(温度は問わない)を吐出する場合、容器の口の中心が、上から見て、第1吐水口91の下の給水位置から所定距離以上ずれた場合に、第1吐水口91からの水の吐出を停止する。ここでの所定距離は、制御装置60が認識した容器の口の大きさに応じて設定するとよい。すなわち、容器の口が大きい場合には所定距離を大きい値にし、容器の口が小さい場合には、所定距離を小さい値にするとよい。また、容器の口が所定サイズより大きい場合には、具体的な処理方法としては、容器の口の縁から給水位置までの上から見た距離が所定距離以下になった場合に、水の吐出を停止してもよい。
【0083】
また、制御装置60は、第1の温度の水を第1吐水口91から吐出した後、第1の温度と異なる第2の温度の水を第1吐水口91から吐出する場合、第1の温度の水を第1吐水口91から吐出した後、切換バルブV3を閉じ、第1バルブV1および第2バルブV2を開いて第2吐水口92からメインパイプ31内の分岐位置D1よりも上の水を排出させる。そして、その後、第2バルブV2を閉じ、切換バルブV3を開いて、第1吐水口91から第2の温度の水を吐出させる。
【0084】
また、制御装置60は、第2吐水口92からメインパイプ31内の水を排出させた後、第1吐水口91から第2の温度の水を吐出させる前に、第2バルブV2を開くとともに切換バルブV3を開き、分岐位置D1と加熱装置20の間の水を第2吐水口92から排出させる。そして、その後、第2バルブV2を閉じ、切換バルブV3を開いて、第1吐水口91から第2の温度の水を吐出させる。このとき、第1バルブV1は開いていても、閉じていてもよいが、閉じた方が、早く第2温度の水を吐出させることができるので望ましい。
【0085】
以上のような制御装置60を実現する処理の一例について、図7図10のフローチャートを参照して説明する。制御装置60は、図7図8に示すスタートからエンドまでの処理を繰り返し実行する。
【0086】
まず、制御装置60は、第2カメラ52が撮影した画像に基づいて、人体が検出されたか(S10)、物体センサ55により物体が検出されたか(S11)、カメラ51により第1吐水口91の下に物体が検出されたか(S12)、を判定し、第2カメラ52により人体が検出され(S10,Yes)、物体センサ55で物体が検出され(S11,Yes)、かつ、カメラ51により第1吐水口91の下に物体が検出された(S12,Yes)と判定された場合には、ステップS13に進む。ステップS10~S12のいずれかで条件を満たさないと判定した場合には、ステップS10からの判定を繰り返す。
【0087】
制御装置60は、ステップS13において、検出された物体が容器か否かを判定し、検出された物体が容器であると判定した場合には(S13,Yes)、さらに、撮影画像から容器の口の中心が給水位置に合っているか否かを判定する(S14)。制御装置60は、容器の口の中心が給水位置に合っていると判定した場合(S14,Yes)、ステップS100に進んで温度・吐出量設定を実行する。一方、制御装置60は、容器の口の中心が給水位置に合っていないと判定した場合(S14,No)、ステップS10からの判定を繰り返す。
【0088】
また、制御装置60は、ステップS13において、検出された物体が容器ではないと判定した場合には(S13,No)、さらに、撮影画像からスポンジが往復動作しているかどうかを判定する(S15)。制御装置60は、スポンジが往復動作していると判定しなかった場合には(S15,No)、ステップS100に進んで温度・吐出量設定を実行する。一方、制御装置60は、スポンジが往復動作していると判定した場合には(S15,Yes)、ステップS10からの判定を繰り返す。
【0089】
図9に示すように、温度・吐出量設定(S100)において、制御装置60は、撮影画像から、ユーザが、第1吐水口91の下で手洗い、または、物の洗浄をする(行おうとしている)かを判定する(S110)。制御装置60は、第1吐水口91の下で手洗い、または、物の洗浄をすると判定した場合には(S110,Yes)、環境温度Teが20℃より低いか否か判定する(S111)。そして、環境温度Teが20℃より低いと判定された場合には(S111,Yes)、設定温度Tsを40℃とし(S112)、温度・吐出量設定の処理を終了する。一方、制御装置60は、環境温度Teが20℃より低くないと判定した場合には(S111,No)、Tsを変更しないで、温度・吐出量設定の処理を終了する。なお、設定温度Tsは、初期値を0℃とし、Tsが0℃の場合には、加熱装置20による加熱をしないものとする。また、制御装置60は、所定の基準より綺麗な物体が検出された場合には、ステップS110において、条件を満たさないと判定する。
【0090】
制御装置60は、ステップS110で、第1吐水口91の下で手洗い、または、物の洗浄をすると判定しなかった場合、撮影画像から、哺乳瓶が検出されたかを判定する(S120)。制御装置60は、哺乳瓶が検出されたと判定した場合には(S120,Yes)、Tsを70℃、第1吐水口91から吐出する水量の設定である設定吐出量Vsを100mlに設定し(S122)、温度・吐出量設定の処理を終了する。
【0091】
なお、設定吐出量Vsは、初期値を0mlとし、Vsが0mlの場合には、設定吐出量以外の吐出を停止する条件が満たされるまで、吐出を止めないものとする。このような初期値の設定に代えて、Vsの初期値を100000mlなど、適宜な大きな数字としておいてもよい。そうすれば、Vsが特に設定されない場合に、初期値の値まで吐出したときに、水を止めることができる。
【0092】
制御装置60は、ステップS120で哺乳瓶が検出されない(No)と判定した場合、撮影画像から、鍋が検出されたかを判定する(S130)。制御装置60は、鍋が検出されたと判定した場合には(S130,Yes)、Tsを90℃に設定し(S132)、温度・吐出量設定の処理を終了する。
【0093】
制御装置60は、ステップS130で鍋が検出されない(No)と判定した場合、撮影画像から、急須が検出されたかを判定する(S140)。制御装置60は、急須が検出されたと判定した場合には(S140,Yes)、急須に新品の茶葉が入っているか否か判定する(S141)。制御装置60は、急須に新品の茶葉が入っていると判定した場合には(S141,Yes)、Tsを95℃に設定する(S142)。制御装置60は、ステップS141で急須に新品の茶葉が入っていると判定しなかった場合、または、ステップS142の後、温度・吐出量設定の処理を終了する。
【0094】
制御装置60は、ステップS140で急須が検出されない(No)と判定した場合、撮影画像から、食材が検出されたかを判定する(S150)。制御装置60は、食材が検出されたと判定した場合には(S150,Yes)、Tsを0℃(加熱しない)に設定し(S151)、温度・吐出量設定の処理を終了する。
【0095】
制御装置60は、ステップS150で食材が検出されない(No)と判定した場合、撮影画像から、グラスが検出されたかを判定する(S160)。制御装置60は、グラスが検出されたと判定した場合には(S160,Yes)、浄水を供給するフラグCを1に設定し(S161)、温度・吐出量設定の処理を終了する。なお、フラグCは、初期値を0とする。
【0096】
制御装置60は、ステップS160でグラスが検出されない(No)と判定した場合、撮影画像から、カップが検出されたかを判定する(S170)。制御装置60は、カップが検出されたと判定した場合には(S170,Yes)、Tsを95℃に設定し(S171)、温度・吐出量設定の処理を終了する。
【0097】
制御装置60は、ステップS170でカップが検出されない(No)と判定した場合、撮影画像から、ベビーバスが検出されたかを判定する(S180)。制御装置60は、ベビーバスが検出されたと判定した場合には(S180,Yes)、Tsを36℃に設定し(S171)、温度・吐出量設定を終了する。また、制御装置60は、ベビーバスが検出されないと判定した場合にも(S180,No)、温度・吐出量設定の処理を終了する。
【0098】
図8に戻り、制御装置60は、温度・吐出量設定の後、フラグCが1か否か判定し(S20)、1であると判定した場合(S20,Yes)、切換バルブV3を、水が浄水器40を通るように切り換え(浄水が出るようにし)(S22)、1でないと判定した場合(S20,No)、切換バルブV3を、水が加熱装置20を通るように(通常水が出るように)切り換える(S21)。
【0099】
次に、制御装置60は、Tsが、Tsの前回値Ts0と異なるかを判定し(S30)、異なると判定した場合には(S30,Yes)、排出処理(S200)を実行した後、設定温度Tsで給水し(S31)、異ならないと判定した場合には(S30,No)、排出処理(S200)を実行せずに、設定温度Tsで給水する(S31)。
【0100】
ここで、図10を参照して排出処理(S200)について説明する。
制御装置60は、まず、Tsが前回値Ts0より大きいか判定し(S210)、大きいと判定した場合には(S210,Yes)、前回の給水から第1時間が経過したか否かを判定する(S211)。第1時間は、固定値でもよいし、環境温度Teや、設定温度Ts,Ts0に応じて可変の値にしてもよい。制御装置60は、前回の給水から第1時間が経過していると判定した場合には(S211,Yes)、水栓金具30に残っていた熱水または温水は、常温に近くなっているので、排水をすることなく、処理を終了する。
【0101】
制御装置60は、TsがTs0よりも大きくないと判定した場合(S210,No)、または、前回の給水から第1時間が経過していないと判定した場合には(S211,No)、第1バルブV1を開き、第2バルブV2を開き、切換バルブV3を閉じる(S212)。すると、第1吐水口91よりも第2吐水口92が低いので、メインパイプ31内に残っている水が第2吐水口92から排出される。そして、ステップS212のバルブ切換から第2時間が経過するまで(S220,No)、ステップS212のバルブの状態を継続する。第2時間は、予めテストにより決定された固定の時間である。
【0102】
制御装置60は、ステップS212のバルブ切換から第2時間が経過したら(S220,Yes)、第1バルブV1を閉じ、第2バルブV2を開き、切換バルブV3を、加熱装置20を通るように所定量開く(S221)。すると、分岐位置D1と加熱装置20の間の水が押し上げられて、第2吐水口92から排出される。そして、ステップS221のバルブ切換から第3時間が経過するまで(S222,No)、ステップS221のバルブの状態を継続する。第3時間は、予めテストにより決定された固定の時間である。
【0103】
制御装置60は、ステップS221のバルブ切換から第3時間が経過したら(S222,Yes)、第2バルブV2を閉じ、切換バルブV3を閉じる(S230)。これにより、排出処理が終了する。
【0104】
図8に戻り、制御装置60は、設定温度Tsで給水を開始(S31)した後、設定したVsまで給水されたか判定する(S32)。設定したVsまで給水されたか否かは、例えば、第1バルブV1の開き量と時間により判定することができる。また、制御装置60は、設定したVsまで給水されていないと判定した場合(S32,No)、撮影画像に基づき、水面が容器の上縁から所定距離以内か判定する(S33)。また、制御装置60は、水面が容器の上縁から所定距離以内と判定しない場合(S33,No)、撮影画像に基づき、鍋などの容器の口の中心が給水位置からずれたか判定する(S34)。また、制御装置60は、容器の口の中心が給水位置からずれたと判定しない場合(S34,No)、Ts≧50であり、かつ、撮影画像に基づき手を検出したかを判定する(S35)。また、制御装置60は、Ts≧50であり、かつ、撮影画像に基づき手を検出した、と判定しない場合(S35,No)、スポンジが往復動作しているかを判定する(S36)。また、制御装置60は、スポンジが往復動作していると判定しない場合(S36,No)。物体センサ55により物体を検出したかを判定する(S39)。制御装置60は、物体を検出したと判定した場合(S39,Yes)、ステップS32に戻って給水を継続する。
【0105】
一方、制御装置60は、設定したVsまで給水されたと判定した場合(S32,Yes)、撮影画像に基づき、水面が容器の上縁から所定距離以内であると判定した場合(S33,Yes)、鍋などの容器の口の中心が給水位置からずれたと判定した場合(S34,Yes)、Ts≧50であり、かつ、撮影画像に基づき手を検出したと判定した場合(S35,Yes)、スポンジが往復動作していると判定した場合(S36,Yes)、または、物体センサ55により物体を検出していないと判定した場合(S39,No)、第1バルブV1を閉じて給水を停止する(S40)。そして、設定温度Tsの前回値Ts0を、今回の設定温度Tsに置き換えて更新し(S41)、Ts,Vs,Cを初期値にリセットして(S42)、処理を終了する。
【0106】
以上のような自動水栓1によれば、次のような効果を奏することができる。
自動水栓1は、カメラ51で撮影された画像に基づいて、加熱装置20を制御して、第1吐水口91から吐出する水の温度を制御するので、第1吐水口91の下方に差し出した物に応じた適切な温度の水を第1吐水口91から吐出し、快適に自動水栓1を使用することができる。
【0107】
また、自動水栓1は、手洗いをするときや物の洗浄時に、環境温度Teが低い場合には温水を吐出し、環境温度Teが高い場合には常温の水を吐出するので、環境温度Teに応じた快適な温度の水を第1吐水口91から吐出することができる。
【0108】
また、自動水栓1は、哺乳瓶を第1吐水口91の下方に差し出すことで所定量の熱い水を吐出するので、粉ミルクを哺乳瓶で容易に溶かすことができる。また、水を所定量吐出した後、水の吐出を停止させるので、哺乳瓶から水が溢れることを抑制することができる。
【0109】
また、自動水栓1は、綺麗な鍋を第1吐水口91の下方に差し出すことで、熱湯を鍋に入れることができるので、速やかに調理をすることができる。また、汚れた鍋を第1吐水口91の下方に差し出すことで、温水を吐出し、快適に鍋を洗うことができる。
【0110】
また、自動水栓1は、新品の茶葉が入った急須を第1吐水口91の下方に差し出すことで、急須に熱湯を入れることができる。
【0111】
また、自動水栓1は、カップに熱湯を入れて、カップを温めたり、お茶を入れることができる。
【0112】
また、自動水栓1は、ベビーバスを第1吐水口91の下に設置すれば、赤ちゃんのお風呂に適した温度のお湯をベビーバスに供給することができる。
【0113】
また、自動水栓1は、第1吐水口91の下で、食器や鍋等をスポンジで洗っている最中に、水を吐出しないので、不必要に水を吐出することを抑制することができる。
【0114】
また、自動水栓1は、第1吐水口91の下方にグラスを差し出すことで、浄水をグラスに注ぐことができる。
【0115】
また、自動水栓1は、第1吐水口91の下方に野菜、米および茹でた麺類などの食材を差し出すことで、常温の水が出るので、常温の水で食材を洗うことができる。
【0116】
また、自動水栓1は、容器の上縁に水面が近づくと給水を止めるので、容器から水が溢れることを抑制することができる。
【0117】
また、自動水栓1は、ユーザが容器を給水位置から外そうとした場合に、水の吐出を停止させるので、ユーザの手が水で濡れるのを抑制することができる。
【0118】
また、自動水栓1は、熱い水が出ている場合に、ユーザが間違って第1吐水口91の下に手を出すと、水の吐出を停止するので、ユーザが誤って熱い水に触れることを抑制することができる。
【0119】
また、自動水栓1は、前回、第1温度で給水した後、第1温度と異なる第2温度で給水する場合、分岐位置D1よりも上の部分にある水栓金具30内の水を第2吐水口から排出した後に、第2温度の水を第1吐水口91から吐出するので、第1吐水口91から適切な温度の水を吐出することができる。これにより、熱い温度の水を出した後、常温の水を出す場合には、意図せず、第1吐水口91から熱い温度の水が出ることが抑制され、逆に、常温の水を出した後、熱い水を出す場合には、意図せず、第1吐水口91から常温の水が出ることが抑制される。
【0120】
また、自動水栓1は、分岐位置D1と加熱装置20の間の水を第2吐水口から排出した後に、第2温度の水を第1吐水口から吐出するので、第1吐水口91から適切な温度の水を吐出することができる。
【0121】
また、自動水栓1は、カメラ51が、横パイプ31Bに邪魔されずに第1吐水口91の下方を撮影することができるので、第1吐水口91の下方にある物を適切に撮影することができる。
【0122】
また、自動水栓1は、第2吐水口92を有するので、通常使われる第1吐水口91とは別の第2吐水口92から水栓金具30内の水を適宜排出することができる。
【0123】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。
例えば、前記実施形態において、第3バルブとしての切換バルブV3は、メインパイプ31とサブパイプ32の分岐位置D1の上流側に設けられていたが、第3バルブは、当該分岐位置D1に設けられていてもよい。
【0124】
前記した水栓金具30は、横パイプ31Bよりも低い位置にカメラ51が設けられていたが、カメラ51は、横パイプ31Bの下面に設けられていてもよい。また、横パイプ31Bは、真横に延びるのではなく、斜め横に延びていてもよい。水栓金具30は、多様なデザインを採用できることはいうまでもない。また、自動水栓1は、第2カメラ52や物体センサ55を、備えなくても構わない。
【0125】
また、前記実施形態においては、環境温度を温度センサで測定することにより環境温度を取得していたが、環境温度を、日付、時間、場所などの少なくとも1つに基づいて推定してもよい。例えば、10月~4月は、環境温度が低いと推定して、温水を吐出するようにし、5月~9月は環境温度が高いと推定して常温の水を吐出するようにしてもよい。また、環境温度による温度の変更は2段階ではなく、3段階以上であってもよいし、連続的であってもよい。
【0126】
また、前記実施形態よりもさらに細かい条件に基づいて、吐出する水の温度を決定してもよい。例えば、撮影画像から手とスポンジを同時に検出した場合には、夏季であれば常温の水を、冬季であれば、35℃以上の水を吐出するようにしてもよい。また、撮影画像から手と布を同時に検出した場合には、夏季であれば常温の水を、冬季であれば、35℃以上の水を吐出するようにしてもよい。
【0127】
前記実施形態で示したフローチャートは、あくまで一例であり、他の処理方法により処理することもできる。例えば、鍋であるか否かと鍋が綺麗か否かは、同時に判定してもよい。
また、検出された物体が容器であり、かつ、容器の口が給水位置に合っているか否かの判定は、容器の種類ごとに個別に行ってもよい。例えば、鍋(つまり、容器)があり、かつ、鍋の口が給水位置に合っているかを判定してもよい。
【0128】
また、前記した実施形態で説明した設定温度や設定吐出量はあくまで一例であり、違う温度や吐出量を設定できることはいうまでもない。例えば、前記実施形態では、食材について、加熱しない通常の水を吐出することとしていたが、浄水を吐出してもよいし、食材の種類に応じて、適宜な温度のお湯を吐出してもよい。
【0129】
また、加熱装置は、実施形態と異なる種類のものであってもよい。例えば、加熱装置は、ガス湯沸かし器や電気湯沸かし器であっても構わない。
【0130】
また、カメラ51で検出する物体は、前記したものに限られず、ボウル、ざる、炊飯器の釜、フライパン、加湿器のタンク、タライなどであってもよい。
検出された物体がボウルである場合には、ボウルに入っている食材があるか否かを判定し、食材が入っている場合には、食材の種類に応じた温度で水を吐出するとよい。
また、検出された物体がざるである場合には、水を溜めることはできないので、ざる自体またはざるに載った食材を洗浄するため、食材の種類に応じた温度、または、季節に応じた温度の水を吐出するとよい。そして、ざるが検出されなくなるまで水を出し続けるとよい。
また、検出された物体が炊飯器の釜である場合には、釜の中に炊飯前の米が入っている場合には、加熱しない水を吐出するとよい。この場合、浄水器40を通った水を吐出してもよい。一方、釜の中に炊飯前ではない米や、その他の汚れが付着している場合には、洗浄モードとして、季節に応じた温度の水を吐出するとよい。
また、検出された物体がフライパンである場合には、フライパンが綺麗であることを条件に、熱湯、例えば80℃以上の水、好ましくは90℃以上の水を吐出するようにしてもよい。このようにすることで、フライパンでパスタ等を茹でる場合に、手早く茹でることができる。
また、検出された物体が加湿器のタンクである場合には、加熱しない水を吐出するようにしてもよい。
【0131】
また、カメラ51で検出した物体が容器である場合に、容器の中にすでに水が入っている場合には、第1吐水口91から水を吐出しなくてもよい。
【0132】
また、前記実施形態では、カメラ51で撮影した画像に基づいて第1吐水口91の下の物体を検出したが、物体が大きすぎる場合など、カメラ51では撮影範囲が小さすぎて、カメラ51で撮影された画像では物体の検出ができない場合には、第2カメラ52で撮影した画像に基づいての第1吐水口91の下の物体を検出してもよい。
【0133】
前記実施形態においては、水栓金具30が第2カメラ52を備えていたが、水栓金具30は、第2カメラ52を備えていなくてもよい。この場合には、制御装置60は、第2カメラ52が撮影した画像に基づく処理を省略するとよい。
【0134】
また、前記実施形態では、制御装置が、すでに必要な学習をした画像認識エンジンを用いる前提で説明をしたが、ユーザが使用する鍋などの容器や器具などを新たに学習して覚えさせるように構成してもよい。また、この場合に、学習した容器等に対する吐出量をユーザが設定できるようにしてもよい。また、制御装置が容器等の形状を認識して、その容器等に吐出すべき必要な吐出量を計算により算出してもよい。
【0135】
前記実施形態の構成に加え、インジケータ56によって、水の吐出の停止予告を表示してもよい。例えば、第1吐水口91から吐出した水の量が設定吐出量に近づいた場合(例えば、吐出した水の量>設定吐出量-しきい値 となった場合)に、温度表示のために所定の色で点灯しているインジケータ56を、点滅させてもよい。このような構成によれば、ユーザが、自動水栓1の動作を予め分かることができるので、安心して自動水栓1を使用することができる。
【0136】
前記実施形態では、第2カメラ52で人体を検出したことを、水の吐出の条件としていたが、第2カメラ52で人体を検出したことを、水の吐出の条件としなくてもよい。
【0137】
前記実施形態では、カメラ51で撮影された画像に基づいて、第1吐水口91から吐出する水の温度や、吐出の有無を決定していたが、自動水栓がマイクを備え、制御装置は、マイクで検出した音声に基づく指示に従って、温度や、吐出の有無を決定してもよい。すなわち、カメラ51で撮影された画像に基づいて決定する水の温度よりも、音声に基づく指示を優先させて、第1吐水口91から吐出する温度や吐出の有無を決定してもよい。音声に基づく指示としては、例えば、「お湯」「水」「浄水」「熱湯」の言葉や、「40℃」などの具体的な温度、「出す」「止める」などの言葉が挙げられる。
【0138】
また、熱い水を吐出する場合には、より低い温度の水を吐出する場合よりも、吐出し始めるときにゆっくりと流量を増加するように制御してもよい。このようにすることで、ユーザが思わず熱い水に触れることを抑制することができる。ここでの熱い水の基準は任意であり、例えば50℃や、60℃、70℃、80℃などが挙げられる。
【0139】
前記実施形態では、水栓金具30Bは、第1吐水口91の位置が固定されていたが、第1吐水口91の周囲の部分を例えば縦パイプ31Aからの距離が変えることができるように、第1吐水口91と縦パイプ31Aの途中に伸縮可能なホースを設けてもよい。
【0140】
また、本発明の自動での温度制御は行わない、マニュアルタイプの自動水栓を実施することも可能である。この参考例は、図11に示すように、実施形態の自動水栓1に対して、カメラ51、第2カメラ52を備えない水栓金具30Bを備える自動水栓1Bである。水栓金具30Bは、延出部33の上端に、第2カメラ52の代わりにマニュアル式の温度・流量設定部152を備える。温度・流量設定部152は、例えば、接触式または非接触式の流量設定リング152Aおよび温度設定ボタン152Bを有し、流量設定リング152Aを指でなぞったり(接触式の場合)、流量設定リング152Aの周囲で手を近づけて回したりする(非接触式の場合)ことで、流量を設定することができる。設定された流量は、流量設定リング152Aに光などで表示するとよい。また、この光などの色は、常温なら青、熱湯なら赤のように設定温度に応じて変えるとよい。また、温度設定ボタン152Bは、手で押す(接触式の場合)または手を近づける(非接触式の場合)ことで、手を検出するたびに、常温、温水、熱湯などを切り換えるようにすることができる。これらのセンサを非接触式とすることで、水栓金具30Bに触れることなく温度・流量の設定を変えることができるので、衛生的に自動水栓1Bを使用することができる。このような衛生面の向上は、医療関係者や食料関係者等にとっては特に有用である。
【0141】
また、自動水栓1Bにおいては、第1吐水口91からは常温または温水の水を出し、第2吐水口92からは、熱湯を出すようにしてもよい。こうすることで、意図せず熱湯に触れることを抑制することができる。
【0142】
また、前記した各実施形態、各変形例および参考例の各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 自動水栓
30 水栓金具
31 メインパイプ
31B 横パイプ
32 サブパイプ
40 浄水器
51 カメラ
52 第2カメラ
55 物体センサ
60 制御装置
69 温度センサ
91 第1吐水口
92 第2吐水口
V1 第1バルブ
V2 第2バルブ
V3 切換バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11