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特許7330087ゴム組成物、ゴム成形体及びゴム組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】ゴム組成物、ゴム成形体及びゴム組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20230814BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230814BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20230814BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20230814BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20230814BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/04
C08K5/17
C08K3/36
C08L91/00
C08J3/20 B CEQ
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019225321
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021095434
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390029458
【氏名又は名称】ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000199681
【氏名又は名称】川口化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】川上 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】椙山 崇
(72)【発明者】
【氏名】大貫 毅
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/079258(WO,A1)
【文献】特開2004-292679(JP,A)
【文献】特開2019-089917(JP,A)
【文献】特開2013-256605(JP,A)
【文献】特開2017-202664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/16
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(C)成分を含有し、
前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を40質量部以上含み、
前記(A)成分100質量部に対して、前記(C)成分を0.1~10質量部含み、
シリカを含まないか、シリカを含み、前記(A)成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以下である、ゴム組成物。
(A)成分:ゴム成分。
(B)成分:カーボンブラック。
(C)成分:下記(C1)式で表される化合物及び下記(C2)式で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物。
【化1】
(式(C1)中、Rは炭化水素基を表し、R~Rはそれぞれ独立に炭化水素基、水素又は-(AO)-Hであり、R~Rの内、少なくとも1つは-(AO)-Hである。-(AO)-Hにおいて、AOは、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、nはAOの平均繰り返し数であり、-(AO)-は少なくとも1つのオキシプロピレン基又はオキシブチレン基を含む。)
【化2】
(式(C2)中、R11は炭化水素基を表し、R12~R14はそれぞれ独立に炭化水素基、水素又は-(AO)-Hであり、R12~R14の内、少なくとも1つは-(AO)-Hである。-(AO)-Hにおいて、AOは、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、mはAOの平均繰り返し数である。)
【請求項2】
前記(B)成分の平均粒子径は、40nm以下である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゴム組成物を加硫し成形してなる、ゴム成形体。
【請求項4】
前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分とを混練する混練工程を含む、請求項1又は2に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項5】
前記混練工程は、前記(C)成分が担体に担持された担持体を前記(A)成分及び前記(B)成分と混練する、請求項に記載のゴム組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、ゴム成形体及びゴム組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にゴムは、様々な添加物と混合されてゴム組成物(未加硫ゴム)とされ、次いで加硫工程を経て目的の物性を発現している。例えば、破壊特性(破断伸び、破断応力、耐磨耗性、耐屈曲性等)、耐熱老化性、圧縮永久歪、耐油性、耐オゾン性、熱伝導性、電気伝導性等、加硫後のゴム組成物(加硫ゴム)の諸特性を付与するために、ゴム組成物にはカーボンブラックが配合される。
加硫ゴムに所望する諸特性を付与するためには、ゴム組成物中にカーボンブラックをより均一に分散することが求められる。カーボンを均一に分散させることで、ゴムの諸特性に関する性能向上や、特性値の安定化が期待できる。また、特に、より小さい粒子径のカーボンブラックを用いる場合、加硫ゴムの破壊特性をより高められるものの、粒子径が小さくなると、カーボンブラックをゴム組成物内で均一に分散しにくいという問題がある。
【0003】
ゴム組成物内でのカーボンブラックの分散性を高めるためには、金属石鹸、アミン系界面活性剤等が用いられる。しかし、金属石鹸を用いると、加硫ゴムの諸特性が低下してしまうという問題があった。アミン系界面活性剤を用いると、加硫後の架橋反応の促進が著しく高まり、加硫ゴムの取り扱いが煩雑になる(加硫特性が低下)。即ち、加硫ゴムの諸特性と、未加硫ゴム(ゴム組成物)の特性(加硫特性)との双方を高めるのは困難であった。
【0004】
例えば、特許文献1には、ジエン系合成ゴム及び天然ゴムの少なくともいずれかと共役ジエン化合物-非共役オレフィン共重合体とを含むゴム成分と、カーボンブラックと、特定の加工性改良剤とを含有するタイヤ用ゴム組成物が記載されている。特許文献1の発明によれば、未加硫時の粘度の低減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-155212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、加硫ゴムの諸特性を充分に高められなかった。
そこで、本発明は、加硫特性を低下させずに、諸特性をより高められるゴム組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の態様を有する。
<1>
下記(A)~(C)成分を含有し、
前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を40質量部以上含む、ゴム組成物。
(A)成分:ゴム成分。
(B)成分:カーボンブラック。
(C)成分:下記(C1)式で表される化合物及び下記(C2)式で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物。
【化1】
(式(C1)中、Rは炭化水素基を表し、R~Rはそれぞれ独立に炭化水素基、水素又は-(AO)-Hであり、R~Rの内、少なくとも1つは-(AO)-Hである。-(AO)-Hにおいて、AOは、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、nはAOの平均繰り返し数であり、-(AO)-は少なくとも1つのオキシプロピレン基又はオキシブチレン基を含む。)
【化2】
(式(C2)中、R11は炭化水素基を表し、R12~R14はそれぞれ独立に炭化水素基、水素又は-(AO)-Hであり、R12~R14の内、少なくとも1つは-(AO)-Hである。-(AO)-Hにおいて、AOは、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、mはAOの平均繰り返し数である。)
<2>
前記(B)成分の平均粒子径は、40nm以下である、<1>に記載のゴム組成物。
<3>
シリカを含まないか、シリカを含み、前記(A)成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以下である、<1>又は<2>に記載のゴム組成物。
<4>
前記(C)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対して0.1~10質量部である、<1>~<3>のいずれかに記載のゴム組成物。
<5>
<1>~<4>のいずれかに記載のゴム組成物を加硫し成形してなる、ゴム成形体。
【0008】
<6>
前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分とを混練する混練工程を含む、<1>~<4>のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
<7>
前記混練工程は、前記(C)成分が担体に担持された担持体を前記(A)成分及び前記(B)成分と混練する、<6>に記載のゴム組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゴム組成物によれば、加硫特性を低下させずに、諸特性をより高められる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(ゴム組成物)
本発明のゴム組成物は、(A)~(C)成分を含有する。
【0011】
<(A)成分>
(A)成分は、ゴム成分である。
(A)成分は、特に限定されないが、二重結合を有しているものが好ましい。(A)成分としては、例えば、天然ゴム(以下、「NR」ともいう)、スチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」ともいう)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム(以下、「IIR」ともいう)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(以下、「EPDM」ともいう)、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム(以下、「NBR」ともいう)、クロロプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴムが挙げられる。
これらの(A)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
上述の(A)成分は、ゴム組成物の物性及び用途に応じて適宜選択される。
【0012】
(A)成分の質量平均分子量は、例えば、10万~250万である。(A)成分の質量平均分子量は、例えば、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求められる。
ゴム成分の含有量は、ゴム組成物の総質量に対して、30~75質量%が好ましい。ゴム成分の含有量が下限値以上であれば、加硫ゴムの諸特性をより発揮できる。ゴム成分の含有量が上限値以下であれば、加硫特性のさらなる向上を図れる。
【0013】
<(B)成分>
(B)成分はカーボンブラックである。(B)成分を含有することで、(A)成分のゴムは補強され、加硫ゴムの諸特性が向上する。また、(B)成分を含有することで、未加硫ゴムや加硫ゴムの熱伝導性や電気伝導性が増大する。
【0014】
本発明のゴム組成物に含まれる(B)成分は、常温常圧で粉末である。ここで、常温とは15~25℃(第十七改正日本薬局方)をいう。常圧とは、特別に減圧も加圧もしないときの圧力をいい、例えば、1013.3hPaである。
【0015】
(B)成分の平均粒子径(平均一次粒子径)は、特に限定されないが、40nm以下が好ましく、10~40nmがより好ましく、10~30nmがさらに好ましく、15~25nmが特に好ましい。(B)成分の平均粒子径が上記下限値以上であれば、破断時伸びが大きく柔軟なゴム製品が得られやすい。(B)成分の平均粒子径が上記上限値以下であれば、加硫ゴムの破断特性をより高められる。
(B)成分の平均粒子径は、公知の方法で求めることができ、例えば、粉体の透過型電子顕微鏡(TEM)画像から求めることができる。具体的には、(B)成分の試料を150kHz、0.4kWの超音波分散機により、10分間クロロホルムに分散させて分散試料を作製し、これをカーボン補強した支持膜に振り掛けて固定する。これを透過型電子顕微鏡で撮影し、5万~20万倍に拡大した画像からEndterの装置を用いてランダムに1000個の(B)成分の最大粒子径を測定し、その平均値を平均粒子径(平均一次粒子径)とする。
【0016】
(B)成分としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。(B)成分としては、例えば、HAF(N330)、HAF-HS(N339)、IISAF(N285)、ISAF(N220)、ISAF-HF(N234)、ISAF-LF(N219)、SAF(N110)、SAF-HS(N134)等が挙げられる。これらは、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0017】
(B)成分のチッ素吸着比表面積(NSA)の下限は、70m/g以上が好ましい。NSAが上記下限値以上であれば、ゴム成形体の硬度を高められる。(B)成分のNSAの上限は、400m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、125m/g以下がさらに好ましい。NSAが上記上限値以下であると、ムーニー粘度を低めて加工性をより高められる。
なお、(B)成分のチッ素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001に準拠して測定される。
【0018】
(B)成分のジブチルフタレート(DBP)吸油量の下限は、70ml/100g以上が好ましく、100ml/100g以上がより好ましい。(B)成分のDBP吸油量の上限は、160ml/100g以下が好ましく、140ml/100g以下がより好ましい。DBP吸油量が上記範囲内であれば、加硫ゴムの破壊特性のさらなる向上を図れる。
なお、(B)成分のDBP吸油量は、JIS K6217-4:2001に準拠して測定される。
【0019】
(B)成分としては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)等の製品が挙げられる。
【0020】
ゴム組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、40質量部以上であり、40~80質量部が好ましく、40~70質量部がより好ましく、40~60質量部がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、加硫ゴムの諸特性のさらなる向上を図れる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、ムーニー粘度を低めて加工性のさらなる向上を図れる。
【0021】
<(C)成分>
(C)成分は、特定のアミン化合物である。ゴム組成物は、(C)成分を含有することで、加硫特性を低下させずに、加硫ゴムの諸特性をより高められる。また、(C)成分を含有することで、(B)成分による未加硫ゴムや加硫ゴムへの熱伝導性や電気伝導性の付与効果を制御し、又は安定化することができる。
(C)成分の特定のアミン化合物は、下記(C1)式で表される化合物(化合物(C1))及び下記(C2)式で表される化合物(化合物(C2))から選ばれる少なくとも1種である。
【0022】
【化3】
【0023】
(式(C1)中、Rは炭化水素基を表し、R~Rはそれぞれ独立に炭化水素基、水素又は-(AO)-Hであり、R~Rの内、少なくとも1つは-(AO)-Hである。-(AO)-Hにおいて、AOは、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、nはAOの平均繰り返し数であり、-(AO)-は少なくとも1つのオキシプロピレン基又はオキシブチレン基を含む。)
【0024】
式(C1)中、Rは、飽和炭化水素基でもよいし、不飽和炭化水素基でもよい。Rは、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基及び環状炭化水素基のいずれでもよい。Rとしては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられ、中でも脂肪族炭化水素基が好ましい。
の炭素数は、1~25が好ましく、5~22がより好ましく、8~22がさらに好ましく、12~22が特に好ましい。Rの炭素数が上記範囲内であれば、加硫ゴムの諸特性のさらなる向上を図れる。
【0025】
式(C1)中、R~Rの炭化水素基は、Rの炭化水素基と同様である。
式(C1)中、R~Rの内、少なくとも1つは、-(AO)-Hであり、2つが-(AO)-Hであってもよい。R~Rの内の1つのみが-(AO)-Hである場合、他方は、水素が好ましい。
【0026】
-(AO)-HにおけるAOは、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。-(AO)-の少なくとも1つはオキシプロピレン基又はオキシブチレン基であり、全てがオキシプロピレン基及びオキシブチレン基の双方もしくはいずれかでもよい。
nは、(AO)の平均繰り返し数(即ち、AOで表されるアルキレンオキシドの平均付加モル数)を表す。-(AO)-中のnは、特に限定されないが、1~12が好ましく、1~8がより好ましく、1~6がさらに好ましい。nが上記範囲内であれば、(B)成分の分散性を高め、加硫ゴムの諸特性のさらなる向上を図れる。
(C1)成分が、2以上の-(AO)-を有する場合、nの総数は、1~24が好ましく、2~16がより好ましく、2~10がさらに好ましい。nの総数が上記範囲内であれば、(B)成分の分散性を高め、加硫ゴムの諸特性のさらなる向上を図れる。
【0027】
(C1)成分としては、硬化牛脂アルキルアミンのブチレンオキシド2モル付加物(式(C1)中、R:炭素数14~18のアルキル基、R及びR:-(CHCH(CHCH)O)-H基、AOの繰り返し数(n)の合計:2)、硬化牛脂アルキルアミンのブチレンオキシド4モル付加物(式(C1)中、R:炭素数14~18のアルキル基、R及びR:-(CHCH(CHCH)O)-H基、AOの繰り返し数(n)の合計:4)、硬化牛脂アルキルアミンのプロピレンオキシド2モル付加物(式(C1)中、R:炭素数14~18のアルキル基、R及びR:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(n)の合計:2)、硬化牛脂アルキルアミンのプロピレンオキシド4モル付加物(式(C1)中、R:炭素数14~18のアルキル基、R及びR:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(n)の合計:4)、硬化牛脂アルキルアミンのプロピレンオキシド6モル付加物(式(C1)中、R:炭素数14~18のアルキル基、R及びR:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(n)の合計:6)、硬化牛脂アルキルアミンのプロピレンオキシド10モル付加物(式(C1)中、R:炭素数14~18のアルキル基、R及びR:-(CHCH(CH)O)-H、AOの繰り返し数(n)の合計:10)、ヤシ油アルキルアミンのブチレンオキシド4モル付加物(式(C1)中、R:炭素数8~18のアルキル基、R及びR:-(CHCH(CHCH)O)-H基、AOの繰り返し数(n)の合計:4)、ヤシ油アルキルアミンのプロピレンオキシド4モル付加物(式(C1)中、R:炭素数8~18のアルキル基、R及びR:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(n)の合計:4)、牛脂アルキルアミンのブチレンオキシド4モル付加物(式(C1)中、R:炭素数14~18のアルキル及び炭素数18のアルケニル基の混合物、R及びR:-(CHCH(CHCH)O)-H基、AOの繰り返し数(n)の合計:4)、牛脂アルキルアミンのプロピレンオキシド4モル付加物(式(C1)中、R:炭素数14~18のアルキル及び炭素数18のアルケニル基に混合物、R及びR:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(n)の合計:4)、等が挙げられる。
【0028】
(C1)成分としては、Rが炭素数12~22の直鎖状のアルキル基、R及びRが-(AO)-H、AOがオキシプロピレン基及びオキシブチレン基の双方もしくはいずれか一方、nの総数が2~10のアミン化合物が好ましい。
【0029】
【化4】
【0030】
(式(C2)中、R11は炭化水素基を表し、R12~R14はそれぞれ独立に炭化水素基、水素又は-(AO)-Hであり、R12~R14の内、少なくとも1つは-(AO)-Hである。-(AO)-Hにおいて、AOは、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、mはAOの平均繰り返し数である。)
【0031】
式(C2)中、R11は、飽和炭化水素基でもよいし、不飽和炭化水素基でもよい。R11は、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基及び環状炭化水素基のいずれでもよい。R11としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられ、中でも脂肪族炭化水素基が好ましい。
11の炭素数は、1~25が好ましく、5~22がより好ましく、8~22がさらに好ましく、12~30が特に好ましい。R11の炭素数が上記範囲内であれば、加硫ゴムの諸特性のさらなる向上を図れる。
【0032】
式(C2)中、R12~R14の炭化水素基は、R11の炭化水素基と同様である。
式(C2)中、R12~R14の内、少なくとも1つは、-(AO)-Hであり、2つが-(AO)-Hであってもよいし、全てが-(AO)-Hであってもよい。R12~R14の内の1つ又は2つのみが-(AO)-Hである場合、他の官能基は、水素が好ましい。
【0033】
-(AO)-HにおけるAOは、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。-(AO)-の少なくとも1つはオキシエチレン基又はオキシプロピレン基であり、全てがオキシエチレン基及びオキシプロピレン基の双方もしくはいずれか一方でもよい。
mは、(AO)の平均繰り返し数(即ち、AOで表されるアルキレンオキシドの平均付加モル数)を表す。-(AO)-中のmは、特に限定されないが、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15がさらに好ましい。mが上記範囲内であれば、(B)成分の分散性を高め、加硫ゴムの諸特性のさらなる向上を図れる。
(C2)成分が、2以上の-(AO)-を有する場合、mの総数は、1~30が好ましく、2~20がより好ましく、3~15さらに好ましい。mの総数が上記範囲内であれば、(B)成分の分散性を高め、加硫ゴムの諸特性のさらなる向上を図れる。
【0034】
(C2)成分としては、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA-T/13(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基、R12~R14:-(CHCHO)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:3、硬化牛脂アルキルジアミンのエチレンオキシド3モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCHO)-H基(AOの繰り返し数(m)の合計:3)、硬化牛脂アルキルジアミンのエチレンオキシド9モル付加物(式(I)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCHO)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:9)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA-T/25(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCHO)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:15)、硬化牛脂アルキルジアミンのエチレンオキシド3モル及びプロピレンオキシド3モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCHO)-(CHCH(CH)O)-H基(AOの繰り返し数(m)の合計:6)、硬化牛脂アルキルジアミンのエチレンオキシド3モル及びプロピレンオキシド6モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCHO)-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:9)、硬化牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド3モル及びエチレンオキシド3モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCH(CH)O)-(CHCHO)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:6)、牛脂アルキルジアミンのエチレンオキシド3モル及びプロピレンオキシド6モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCHO)-(CHCH(CH)O)-H基(AOの繰り返し数(m)の合計:9)、硬化牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド3モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:3)、牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド3モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:3)、硬化牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド6モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:6)、牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド6モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:6)、硬化牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド9モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:9)、硬化牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド15モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R12~R14:-(CHCH(CH)O)-H基、AOの繰り返し数(m)の合計:15)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
(C2)成分としては、R11が炭素数12~22の直鎖状のアルキル基、R12~R14が-(AO)-H、AOがオキシエチレン基及びオキシプロピレン基の双方もしくはいずれか一方、mの総数が3~15のアミン化合物が好ましい。
【0036】
ゴム組成物中の(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、1~5質量部がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、(B)成分の分散性をより高めて、加硫ゴムの諸特性のさらなる向上を図れる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、加硫特性のさらなる向上を図れる。
【0037】
ゴム組成物中の、(C)成分/(B)成分で表される質量比(C/B比)は、0.01~0.10が好ましく、0.02~0.07がより好ましく、0.03~0.05がさらに好ましい。C/B比が上記下限値以上であれば、(B)成分の分散性をより高めて、加硫ゴムの諸特性のさらなる向上を図れる。C/B比が上記上限値以下であれば、加硫特性のさらなる向上を図れる。
【0038】
<任意成分>
ゴム組成物は、従来公知のゴム用の添加剤として使用されている加硫剤、オレフィン系オイル、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル、エステル系オイル等の軟化剤、シリカ、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー等の補強剤、タルク、炭酸カルシウム等の充填剤、アミン系化合物、フェノール系化合物、リン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、チオウレア系化合物等の老化防止剤、脂肪酸カルシウム、脂肪酸亜鉛、脂肪酸アミド等の滑剤、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、グアニジン系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸塩等の加硫促進剤、その他ワックス、シランカップリング剤、N-シクロヘキシルチオフタルイミド等の慣用配合剤等を適宜配合することができる。
【0039】
本発明のゴム組成物に含まれる加硫剤は、従来公知のものが用いられ、例えば、粉末でも、半固体状のものでも、液体でもよい。
加硫剤としては、特に限定されないが、例えば、硫黄系加硫剤、樹脂系加硫剤、過酸化物系加硫剤、キノン系加硫剤等が挙げられる。硫黄系加硫剤としては、硫黄原子、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等が挙げられる。ここで不溶性硫黄とは、二硫化炭素不溶分が40質量%以上の硫黄である。高分散性硫黄とは、ゴムに対する分散性が良好な硫黄である。樹脂系加硫剤としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアミド樹脂、トリアジンホルムアミド樹脂、硫化p-t-ブチルフェノール樹脂、アルキルフェノールスルフィド樹脂、ヘキサメトキシメチルメラミン樹脂等が挙げられる。過酸化物系加硫剤としては、2,5-ジメチルへキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3,1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。キノン系加硫剤としては、p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ-p-ベンゾキノン、ポリ-p-ジニトロソベンゼン等が挙げられる。
これらの加硫剤は、1種単独でもよく、2種以上の組み合わせでもよい。
【0040】
加硫剤の含有量は、ゴム100質量部に対して、0.5~10質量部が好ましい。加硫剤の含有量は、ゴム組成物の総質量に対して、0.28~7.5質量%が好ましい。加硫剤の含有量が上記下限値以上であれば、加硫を促進し、生産性をより高められる。加硫剤の含有量が上記上限値以下であれば、加硫特性のさらなる向上を図れる。
【0041】
本発明のゴム組成物は、シリカを含まないか、シリカを含む場合には、(A)成分100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。即ち、ゴム組成物中のシリカの含有量は、(A)成分100質量部に対して、0~10質量部が好ましく、0~5質量部がより好ましい。シリカの含有量が上記上限値以下であれば、加硫ゴムの諸特性をより高められる。
【0042】
(ゴム成形体)
本発明のゴム成形体は、本発明のゴム組成物を成形してなる。ゴム成形体の用途は、ジョイント用パッキン用途(ジョイント用パッキンのための使用)、防振ゴム(防振ゴムのための使用)、車両のワイパーや車両用ホース用途等の車両部品用途(車両部品のための使用)、各種電気機器用途(各種電気機器のための使用)等が挙げられる。
【0043】
(ゴム組成物及びゴム成形体の製造方法)
<ゴム組成物の製造方法>
ゴム組成物は、従来公知の製造方法に準じて製造される。ゴム組成物の製造方法としては、(A)~(C)成分を混練する工程(混練工程)を含む製造方法が挙げられる。
ゴム組成物の製造方法の一実施形態は、第一の混練操作と第二の混練操作とを有する混練工程を有する。
【0044】
≪混練工程≫
本実施形態の混練工程は、第一の混練操作と第二の混練操作とを含む。
第一の混練操作は、(A)~(C)成分を加熱しつつ混練して、一次混練物とする工程である。
第一の混練操作において、(C)成分は、担体に担持された担持体として、添加されてもよい。担体としては、無機担体及び有機担体が挙げられる。無機担体としては、シリカ、マグネシア、カルシア等の無機多孔質体が挙げられる。担持体中、(C)成分:担体で表される質量比は、例えば、20:80~80:20が好ましく、30:70~70:30がより好ましく、40:60~60:40がさらに好ましい。
第一の混練操作では、任意成分が添加されてもよい。第一の混練操作で添加される任意成分としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の各種添加剤が挙げられる。
第一の混練操作では、公知の混練装置を用いて一次混練物を得る。混練装置としては、ニーダーやバンバリーミキサー等の密閉式混練機が挙げられる。第一の混練操作では、混練する(A)成分を予備加熱混合(熱入れ)した後、少なくとも(B)成分と(C)成分を同時に投入し混練を開始する。その他、加硫剤及び加硫促進剤以外の任意成分についても、(B)成分及び(C)成分と同時、又は、その後に投入しても構わない。混練条件は(A)成分に混練される(B)成分の分散を(C)成分が促すに足る条件、即ちそれは一般的な混練条件で構わない。具体的な混練温度は開始から終了まで50℃~150℃の範囲で行うが、終了の温度を120℃以下に抑えることにより(B)の分散がより促され、ゴム成形体の諸特性をより高められる。なお(B)成分、即ちカーボンブラックの分散をさらに良くするために再度、混練してもよい。
【0045】
第二の混練操作は、一次混練物へ加硫系薬品、即ち加硫剤と加硫促進剤を混練し、加硫可能なゴム組成物を得る工程である。第二の混練操作では、第一の混練操作で用いられる密閉式混練機の他、オープンロールを用いてもよい。混練条件は一般的な条件で構わないが、より具体的には加硫系薬品の反応を抑えるために100℃以下で混練をするのが好ましい。また、高温を避けるべき発泡剤等の任意成分も、第二の混合操作で混練される。
【0046】
以後、得られたゴム組成物は成形工程及び加硫工程を経て、最終的なゴム成形体となるが、本発明は混練工程にて完結するので、成形工程以降の諸条件は任意で構わない。
【0047】
以上、本発明によれば、特定量の(A)~(B)成分に対して、特定量の(C)成分を含有することで、(A)成分内の(B)成分の分散が(C)成分によって改善し、加硫特性を低下せずに、加硫ゴム即ちゴム成形体の諸特性をより高められる。
【実施例
【0048】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0049】
(使用原料)
<(A)成分>
・A-1:SBR、JSR 1502、JSR株式会社製。
・A-2:NR、RssNo.1。
・A-3:EPDM、EP33、JSR株式会社製。
・A-4:NBR、JSR N237H、JSR株式会社製。
・A-5:IIR、Butyl365、JSR株式会社製。
<(B)成分>
・B-1:N220カーボンブラック、平均粒子径23nm、NSA120m/g、DBP吸油量115mL/100g。
・B-2:N330カーボンブラック、平均粒子径30nm、NSA80m/g、DBP吸油量100mL/100g。
<(C)成分>
・C-1:硬化牛脂アルキルアミンのブチレンオキシド2モル付加物(式(C1)中、R:炭素数14~18のアルキル基、R及びR:-(CHCH(CHCH)O)-H基、nの合計が2の化合物)。ゴム組成物の製造に際しては、硬化牛脂アルキルアミンのブチレンオキシド2モル付加物55質量部をシリカ45質量部に担持した担持体として用いた。表中には担持体の量として記載した。
・C-2:硬化牛脂アルキルアミンのプロピレンオキシド6モル付加物(式(C1)中、R:炭素数12~18の硬化牛脂アルキル基、R及びR:-(CHCH(CH)O)-H基、nの合計が6の化合物)。ゴム組成物の製造に際しては、硬化牛脂アルキルアミンのプロピレンオキシド6モル付加物55質量部をシリカ45質量部に担持した担持体として用いた。
・C-3:硬化牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド3モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18の硬化牛脂アルキル基、R12~R14:-(CHCH(CH)O)-H基、mの合計が3の化合物)。ゴム組成物の製造に際しては、硬化牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド3モル付加物55質量部をシリカ45質量部に担持した担持体として用いた。表中には担持体の量として記載した。
・C-4:牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド9モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18の牛脂アルキル基、R12~R14:-(CHCH(CH)O)-H基、mの合計が9の化合物)。ゴム組成物の製造に際しては、牛脂アルキルジアミンのプロピレンオキシド9モル付加物55質量部をシリカ45質量部に担持した担持体として用いた。表中には担持体の量として記載した。
・C-5:硬化牛脂アルキルジアミンのエチレンオキシド15モル付加物(式(C2)中、R11:炭素数14~18の硬化牛脂アルキル基、R12~R14:-(CHCHO)-H基、mの合計が15の化合物)。ゴム組成物の製造に際しては、硬化牛脂アルキルジアミンのエチレンオキシド15モル付加物55質量部をシリカ45質量部に担持した担持体として用いた。表中には担持体の量として記載した。
【0050】
<任意成分>
・加硫促進助剤:酸化亜鉛。
・軟化剤:炭化水素系樹脂。
・滑剤a:不飽和脂肪酸亜鉛。
・滑剤b:飽和脂肪酸カルシウム塩複合体。
・滑剤c:ステアリン酸。
・加硫剤a:硫黄。
・加硫剤b:アクターR(商品名)、川口化学工業株式会社製。
・加硫促進剤a:アクセルCZ(商品名)、川口化学工業株式会社製。
・加硫促進剤b:アクセルD(商品名)、川口化学工業株式会社製。
・加硫促進剤c:アクセルTMT(商品名)、川口化学工業株式会社製。
・加硫促進剤d:アクセルDM(商品名)、川口化学工業株式会社製。
・加硫促進剤e:アクセルTL(商品名)、川口化学工業株式会社製。
・混合促進剤:アクセルEM33、川口化学工業株式会社製。
・可塑剤:TOTM、三菱ケミカル株式会社製。
・老化防止剤a:アンテージ6C(商品名)、川口化学工業株式会社製。
・老化防止剤b:アンテージ6C(2質量部)、アンテージOD(2質量部)、アンテージRD(1質量部)、アンテージMB(1質量部)、オゾガードG(1質量部)の混合物(いずれも、川口化学工業株式会社製)。
【0051】
(測定方法)
<ムーニー粘度>
JIS K6300の未加硫ゴム試験方法のムーニー粘度試験に従って、ムーニー粘度を測定した。
【0052】
<ムーニースコーチ>
JIS K6300の未加硫ゴム試験方法の振動式加硫試験に従って、加硫試験を行ったムーニースコーチを測定した。
【0053】
<加硫試験>
JIS K6300の未加硫ゴム試験方法のムーニースコーチ試験に従って測定した。
【0054】
<加硫ゴムペイン効果>
粘弾性測定装置(MonTech社製、製品名「D-RPA 3000」)により、60℃、1Hzの条件で、動的歪み1%及び300%における貯蔵粘弾率G’を測定し、動的歪み1%における貯蔵粘弾率G’と動的歪み300%における貯蔵粘弾率G’との差分(ΔG’=G’(1%)-G’(300%))を算出することにより求めた。この指数が小さいほど、カーボンブラック等の充填剤の分散性に優れると判断できる。
【0055】
<加硫ゴム物性>
JIS K6251の引張試験、JIS K6253の硬さ試験に従って、加硫ゴム物性を測定した。
【0056】
<耐熱老化性>
JIS K6257の空気加熱老化試験に従って、耐熱老化性を測定した。
【0057】
<圧縮永久歪>
JIS K6262の圧縮永久歪試験に従い、圧縮永久歪を測定した。
【0058】
<耐屈曲性>
JIS K6260の屈曲亀裂成長試験(DeMattia)に従い、耐屈曲性を測定した。
【0059】
<耐油性(ナフテン系鉱物油)>
JIS K6258の耐油試験に従い、耐油性を測定した。
【0060】
(実施例1~2、比較例1-1、1-2、2)
表1に示す組成に従い、ラボプラストミル(表中、ラボプラと記載)を混練装置として用いて第一の混練操作を行った。第一の混練操作は80℃スタートとした。表中の混練時間を経過後、表中の組成に従い、ラボプラストミルを混練装置として用いて第二の混練操作を行い、ゴム組成物を得た。
得られたゴム組成物に対して、表中の加硫温度及び加硫時間で加硫して、加硫ゴムを得た。
得られた加硫ゴムについて、加硫ゴム物性を測定し、その結果を表中に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表に示す通り、本発明を適用した実施例1~2は、破断強度(TB)及び破断伸び(EB)は、それぞれの比較例に比べて高まっていた。
【0063】
(実施例3、比較例3-1、3-2)
表2に示す組成に従い、バンバリーミキサー(表中、バンバリーと記載)を混練装置として用いて第一の混練操作を行った。第一の混練操作は50℃スタートとした。表中の混練時間を経過後、表中の組成に従い、オープンロールミル(表中、ロールと記載)を混練装置として用いて第二の混練操作を行い、ゴム組成物を得た。
得られたゴム組成物に対して、表中の加硫温度及び加硫時間で加硫して、加硫ゴムを得た。
得られた加硫ゴムについて、加硫試験、加硫ゴム物性、耐屈曲性を測定し、その結果を表中に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表に示す通り、本発明を適用した実施例3は、加硫試験において、160℃及び200℃におけるt90(90%弾性になるまでの時間)が比較例3-1及び3-2よりも短かった。
また、実施例3は加硫ゴム物性のTB及びEBが比較例3-1及び3-2よりも高まっていた。
加えて、実施例3は、耐屈曲性における破断回数が比較例3-1及び3-2よりも高まっていた。
【0066】
(実施例4、比較例4)
表3Aに示す組成に従い、バンバリーミキサー(表中、バンバリーと記載)を混練装置として用いて第一の混練操作を行った。第一の混練操作は50℃スタートとした。表中の混練時間を経過後、表中の組成に従い、オープンロールミル(表中、ロールと記載)を混練装置として用いて第二の混練操作を行い、ゴム組成物を得た。
得られたゴム組成物について、ムーニー粘度及びムーニースコーチを測定し、その結果を表中に示す。
次いで、得られたゴム組成物に対して、表中の加硫温度及び加硫時間で加硫して、加硫ゴムを得た。
得られた加硫ゴムについて、加硫ゴム物性、耐熱老化性、耐油性を測定し、その結果を表3A、3B中に示す。
【0067】
【表3A】
【0068】
【表3B】
【0069】
表中に示す通り、本発明を適用した実施例4のムーニー粘度(ML1+4)は、比較例4のムーニー粘度(ML1+4)よりも小さく加工性に優れ、またスコーチタイム(t)の差もほぼ無く、加硫特性に優れていた。
実施例4における加硫ゴム特性のEB、耐熱老化性のEB、耐油性のEBは、いずれも比較例4よりも高まっていた。
【0070】
(実施例5、比較例5)
表4Aに示す組成に従い、バンバリーミキサー(表中、バンバリーと記載)を混練装置として用いて第一の混練操作を行った。第一の混練操作は50℃スタートとした。表中の混練時間を経過後、表中の組成に従い、オープンロールミル(表中、ロールと記載)を混練装置として用いて第二の混練操作を行い、ゴム組成物を得た。
得られたゴム組成物に対して、表中の加硫温度及び加硫時間で加硫して、加硫ゴムを得た。
得られた加硫ゴムについて、加硫ゴムペイン効果、加硫ゴム物性、耐熱老化性、圧縮永久歪を測定し、その結果を表4A、4B中に示す。
【0071】
【表4A】
【0072】
【表4B】
【0073】
表中に示す通り、本発明を適用した実施例5は、加硫ゴムペイン効果が比較例5よりも小さかった。この指数が小さいほど、(B)成分の分散性が高まっていると評価できる。
加えて、実施例5における加硫ゴム物性のEB、耐熱老化性のEBは、比較例5に比べて高まっていた。
さらに、実施例5の圧縮永久歪は、比較例5に比べて小さかった。
【0074】
実施例1~5の加硫ゴムは、いずれも取り扱いが容易であり、加硫特性の低下は見られなかった。
これらの結果から、本発明を適用することで、加硫特性を低下させずに、加硫ゴムの諸特性をより高められることを確認できた。