(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】ボンネットの着脱機構
(51)【国際特許分類】
B62D 25/10 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
B62D25/10 B
(21)【出願番号】P 2020023522
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】小山内 悠平
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-090801(JP,A)
【文献】実開平04-019378(JP,U)
【文献】特開2005-029124(JP,A)
【文献】実開平05-089165(JP,U)
【文献】特開平10-203419(JP,A)
【文献】特開2019-001303(JP,A)
【文献】米国特許第06092818(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/10
B62D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)のエンジンルーム(7)を上方から覆う上部(40)及び車両左右方向両側方からそれぞれ覆う側部(41)を有するエンジンルームカバーとしてのボンネット(6)を、着脱可能とするボンネットの着脱機構であって、
前記エンジンルーム(7)において車両左右方向に離間して配設された一対のプレート(23)と、
前記エンジンルーム(7)の上部に配設され、車両左右方向に延びるロッド(33)と、 前記ボンネット(6)の前記上部(40)の内面に設けられ、前記ロッド(33)を車両前後方向から挟み込むようにして当該ロッド(33)に載置されて支持され、前記ボンネット(6)の着脱の際に前記ロッド(33)を回動中心として当該ロッド(33)に回動可能且つ当該ロッド(33)に接離可能とされたブラケット(43)と、
前記ボンネット(6)の前記側部(41)の各々に設けられ、車両前方又は後方へ開放された切欠部(45)と、
前記ボンネット(6)を前記プレート(23)に対して螺合により着脱可能に装着する螺子締結手段(27,31)と、を備え、
前記螺子締結手段(27,31)は、
車両左右方向に延び外周面に雄螺子(32)が形成され前記切欠部(45)に遊嵌配置されると共に、前記ボンネット(6)の着脱の際の前記ロッド(33)を回動中心とした前記ボンネット(6)の回動により前記切欠部(45)に対して進入/退出可能な軸部(28)と、
前記軸部(28)に連設され前記ボンネット(6)の前記側部(41)の車両左右方向外側に位置し回転可能な締付部(29)と、
前記プレート(23)側に設けられ前記雄螺子(32)に螺合する雌螺子(30)と、を有し、
前記軸部(28)が前記切欠部(45)に進入した状態で、前記締付部(29)の締付方向への回転により前記雄螺子(32)が前記雌螺子(30)に螺子込まれ前記締付部(29)と前記プレート(23)との間に前記ボンネット(6)の前記側部(41)が着脱可能に挟み込まれ固定され
、
前記ボンネット(6)は、薬液散布を行う自走式のブームスプレーヤ(100)に備えられていることを特徴とするボンネットの着脱機構。
【請求項2】
前記ロッド(33)は、前記エンジンルーム(7)に配設されたラジエータ(20)の上部から上方へ延出する延出部(34)に固定され、
前記ブラケット(43)は、車両左右方向視において逆V字状をなしていることを特徴とする請求項1記載のボンネットの着脱機構。
【請求項3】
車両(1)のエンジンルーム(7)を上方から覆う上部(40)及び車両左右方向両側方からそれぞれ覆う側部(41)を有するエンジンルームカバーとしてのボンネット(6)を、着脱可能とするボンネットの着脱機構であって、
前記エンジンルーム(7)において車両左右方向に離間して配設された一対のプレート(23)と、
前記エンジンルーム(7)の上部に配設され、車両左右方向に延びるロッド(33)と、 前記ボンネット(6)の前記上部(40)の内面に設けられ、前記ロッド(33)を車両前後方向から挟み込むようにして当該ロッド(33)に載置されて支持され、前記ボンネット(6)の着脱の際に前記ロッド(33)を回動中心として当該ロッド(33)に回動可能且つ当該ロッド(33)に接離可能とされたブラケット(43)と、
前記ボンネット(6)の前記側部(41)の各々に設けられ、車両前方又は後方へ開放された切欠部(45)と、
前記ボンネット(6)を前記プレート(23)に対して螺合により着脱可能に装着する螺子締結手段(27,31)と、を備え、
前記螺子締結手段(27,31)は、
車両左右方向に延び外周面に雄螺子(32)が形成され前記切欠部(45)に遊嵌配置されると共に、前記ボンネット(6)の着脱の際の前記ロッド(33)を回動中心とした前記ボンネット(6)の回動により前記切欠部(45)に対して進入/退出可能な軸部(28)と、
前記軸部(28)に連設され前記ボンネット(6)の前記側部(41)の車両左右方向外側に位置し回転可能な締付部(29)と、
前記プレート(23)側に設けられ前記雄螺子(32)に螺合する雌螺子(30)と、を有し、
前記軸部(28)が前記切欠部(45)に進入した状態で、前記締付部(29)の締付方向への回転により前記雄螺子(32)が前記雌螺子(30)に螺子込まれ前記締付部(29)と前記プレート(23)との間に前記ボンネット(6)の前記側部(41)が着脱可能に挟み込まれ固定され、
前記ロッド(33)は、前記エンジンルーム(7)に配設されたラジエータ(20)の上部から上方へ延出する延出部(34)に固定され、
前記ブラケット(43)は、車両左右方向視において逆V字状をなしていることを特徴とするボンネットの着脱機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンネットの着脱機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防除をすべく走行しながら薬液を散布する車両として自走式のブームスプレーヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。このブームスプレーヤは、例えば圃場の畝間に車輪を進入させて走行しながら、車両の前側で、水平に広げた散布ブームより、畝の作物へ薬液を散布するようになっている。このブームスプレーヤでは、車両の前部から後部へ向かって、運転席、薬液を貯留した薬液タンク、エンジンや薬液を送るための動力噴霧機(薬液圧送ポンプ)等を格納するエンジンルームが、この順に設けられている。このエンジンルームは、蓋となるボンネット(エンジンルームカバー)により覆われている。
【0003】
このようなブームスプレーヤのなかには、ボンネットを丸ごと取り付け/取り外すボンネットの着脱機構を有しているものがある。このボンネットの着脱機構は、例えばノブボルトや蝶ボルト等のボルトを用い、当該ボルトをボンネットに通しエンジンルームに配置されている部材(ボンネット取付部材)に対して螺子込み締め付けることにより、ボンネットをボンネット取付部材に固定し取り付ける一方で、当該ボルトを緩めボンネット及びボンネット取付部材から取り外すことにより、ボンネットをボンネット取付部材から取り外せるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、上記ボンネットの着脱機構にあっては、ボンネットの着脱に際して、取り外されているボルトを取り付け、また、取り付けられているボルトを取り外すことが必要であり、一々ボルトを着脱しなければならず、作業が面倒であるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、ボンネットの着脱作業の簡素化が図れるボンネットの着脱機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるボンネットの着脱機構は、車両(1)のエンジンルーム(7)を上方から覆う上部(40)及び車両左右方向両側方からそれぞれ覆う側部(41)を有するエンジンルームカバーとしてのボンネット(6)を、着脱可能とするボンネットの着脱機構であって、エンジンルーム(7)において車両左右方向に離間して配設された一対のプレート(23)と、エンジンルーム(7)の上部に配設され、車両左右方向に延びるロッド(33)と、ボンネット(6)の上部(40)の内面に設けられ、ロッド(33)を車両前後方向から挟み込むようにして当該ロッド(33)に載置されて支持され、ボンネット(6)の着脱の際にロッド(33)を回動中心として当該ロッド(33)に回動可能且つ当該ロッド(33)に接離可能とされたブラケット(43)と、ボンネット(6)の側部(41)の各々に設けられ、車両前方又は後方へ開放された切欠部(45)と、ボンネット(6)をプレート(23)に対して螺合により着脱可能に装着する螺子締結手段(27,31)と、を備え、螺子締結手段(27,31)は、車両左右方向に延び外周面に雄螺子(32)が形成され切欠部(45)に遊嵌配置されると共に、ボンネット(6)の着脱の際のロッド(33)を回動中心としたボンネット(6)の回動により切欠部(45)に対して進入/退出可能な軸部(28)と、軸部(28)に連設されボンネット(6)の側部(41)の車両左右方向外側に位置し回転可能な締付部(29)と、プレート(23)側に設けられ雄螺子(32)に螺合する雌螺子(30)と、を有し、軸部(28)が切欠部(45)に進入した状態で、締付部(29)の締付方向への回転により雄螺子(32)が雌螺子(30)に螺子込まれ締付部(29)とプレート(23)との間にボンネット(6)の側部(41)が着脱可能に挟み込まれ固定されることを特徴としている。
【0008】
このようなボンネットの着脱機構によれば、ボンネット(6)を取り外す場合には、螺子締結手段(27,31)の締付部(29)を締付方向とは反対方向へ回転させて締付部(29)を緩め、エンジンルーム(7)に配設されたプレート(23)と締付部(29)との間に挟み込まれ固定されているボンネット(6)の側部(41)をフリーとし、エンジンルーム(7)の上部に配設され、ボンネット(6)の上部(40)の内面のブラケット(43)を載置し支持しているロッド(33)を回動中心として、ボンネット(6)の側部(41)の切欠部(45)に進入している螺子締結手段(27)の軸部(28)が切欠部(45)から外れる(退出する)ようにボンネット(6)を回動させ、螺子締結手段(27,31)の軸部(28)がボンネット(6)の側部(41)の切欠部(45)から外れたら、ボンネット(6)を上方へ持ち上げブラケット(43)をロッド(33)から離間させることにより、ボンネット(6)を取り外すことができる。また、ボンネット(6)を取り付ける場合には、エンジンルーム(7)のロッド(33)にボンネット(6)のブラケット(43)を載置して支持させ、ロッド(33)を回動中心として、螺子締結手段(27,31)の軸部(28)がボンネット(6)の側部(41)の切欠部(45)に進入するようにボンネット(6)を回動させ、螺子締結手段(27,31)の軸部(28)が切欠部(45)に進入し、ボンネット(6)の側部(41)が螺子締結手段(27,31)の締付部(29)とエンジンルーム(7)のプレート(23)との間に挟まれたら、締付部(29)を締付方向に回転させて締付部(29)を締め付けることにより、ボンネット(6)を取り付けることができる。このように、螺子締結手段(28,31)を一々取り付け、取り外すことなくボンネット(6)を着脱できるため、ボンネット(6)の着脱作業の簡素化を図ることができる。
【0009】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、ロッド(33)は、エンジンルーム(7)に配設されたラジエータ(20)の上部から上方へ延出する延出部(34)に固定され、ブラケット(43)は、車両左右方向視において逆V字状をなす構成が挙げられる。
【0010】
また、ボンネット(6)は、薬液散布を行う自走式のブームスプレーヤ(100)に備えられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、ボンネットの着脱作業の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るボンネットの着脱機構を備えたブームスプレーヤの側面図である。
【
図2】
図1のブームスプレーヤのボンネット及びその近傍を拡大して示す側面図である。
【
図3】ボンネットの着脱機構を構成するプレート及び螺子締結手段並びにボンネットの切欠部を前方から見た拡大斜視図である。
【
図4】ボンネットのブラケット及びエンジンルームのロッドがかみ合っている状態を前方から見た拡大斜視図である。
【
図5】ボンネット及びエンジンルームを前方から見た分解斜視図である。
【
図6】エンジンルームを後方から見た斜視図である。
【
図9】ボンネットの取り外し作業を説明するための図であり、ボンネット及びその近傍を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るボンネットの着脱機構の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るボンネットの着脱機構を備えたブームスプレーヤの側面図、
図2は、ボンネット及びその近傍を拡大して示す側面図、
図3は、プレート及び螺子締結手段並びにボンネットの切欠部を前方から見た拡大斜視図、
図4は、ボンネットのブラケット及びエンジンルームのロッドがかみ合っている状態を前方から見た拡大斜視図、
図5は、ボンネット及びエンジンルームを前方から見た分解斜視図、
図6~
図8は、エンジンルームを示す各図、
図9は、ボンネットの取り外し作業を説明するための動作説明図である。
【0014】
本実施形態のブームスプレーヤは、例えば圃場において走行しながら例えば作物に例えば肥料等の粒剤を散布すると共に、例えば農薬等の薬液を散布するものである。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、ブームスプレーヤを基準とした方向とする。
【0015】
図1に示すように、ブームスプレーヤ100は自走式であり、走行可能な車両1と、車両1の前方から薬液を散布するためのブーム装置2と、粒剤散布装置9と、を備えている。
【0016】
車両1は、車両前後方向に長い平面視略矩形状の車体フレーム3を備えている。車体フレーム3の上部には、前部から後部へ向かって、運転席4、薬液タンク5、ボンネット6により覆われたエンジンルーム7が、この順に設けられている。運転席4は、運転手が着座し運転操作や薬液散布操作等を行うものであり、薬液タンク5は、散布するための薬液を収容するものであり、エンジンルーム7は、エンジン8等を収容するものである。また、運転席4の前方には、粒剤を前方上方へ散布するための粒剤散布装置9が設けられている。
【0017】
車体フレーム3の車両左右方向両側下方で前後には、一対の前輪10及び一対の後輪11がそれぞれ設けられている。前輪10、後輪11は、エンジン8の駆動により回転する。本実施形態では4輪駆動のため、前輪10及び後輪11が回転するが、前輪駆動、後輪駆動であっても良い。
【0018】
車体フレーム3の前端部には、車両左右方向に対をなす4節リンク機構12が前方に延びるようにそれぞれ配設されている。上記ブーム装置2は、4節リンク機構12を介して車体フレーム3に支持されている。
【0019】
ブーム装置2は、車体フレーム3の前方において水平に延びる水平制御フレーム13及びセンターブーム14、並びに、開閉可能なサイドブーム15を備え、4節リンク機構12が、アクチュエータとしての電動油圧シリンダ16の伸縮動作により作動することによって、水平制御フレーム13を介してセンターブーム14が昇降する。サイドブーム15は、センターブーム14の両端部にそれぞれ回動可能に連結され、薬液散布を行わないときは、図示のように閉位置に折り畳まれ、車体フレーム3の側方において斜め後ろ上がりの状態で格納され、薬液散布を行うときは、図示の閉位置から回動移動しセンターブーム14に対して一直線状となる開位置に広げられる。
【0020】
そして、上記ブームスプレーヤ100は、エンジン8の駆動により走行しながら、薬液タンク5の薬液を、センターブーム14及びサイドブーム15に長手方向に沿って複数配置された噴霧ノズル17から下方へ散布する。
【0021】
なお、運転席4の左横(図示奥側)には、運転席4に対して乗降するための階段状のステップ18が設けられ、運転席4の右横(図示手前側)には、粒剤を収容した粒剤収容袋を載置するための載置台19が設けられている。
【0022】
エンジンルーム7には、
図6~
図8に示すように、エンジン8を始めとして、当該エンジン8の後方に、エンジンクーラント(ラジエータ液)を冷却するためのラジエータ20、ラジエータ20の上部後方にエンジン用のエアクリーナ21、ラジエータ20の左側方且つ後方に油圧作動油用のオイルタンク22、エンジン8の左側方(
図1のエンジン8より紙面奥側)に、薬液散布用の動力噴霧機(薬液圧送ポンプ;不図示)等の部品が配設されている。
【0023】
このエンジンルーム7には、車両左右方向に離間して一対のプレート23,23が配設されている。プレート23は、車両左右方向外側に向かって傾斜し前方へ延びるように形成された平板である。プレート23の基端部は折曲され、その基端部は、ラジエータ20の前端側部から車両左右方向外側へ突出する突出板24に例えば螺子締結等により固定されている。プレート23の先端部は、
図3及び
図8に示すように、前方へ向かって突出する突出部25とされ、この突出部25に、貫通孔26が設けられている。
【0024】
図3に示すように、プレート23の突出部25の貫通孔26には、螺子締結手段を構成するノブボルト27の軸部28が通され、軸部28に連設された螺子締結手段の締付部としてのノブボルト27の頭部29は、突出部25の車両左右方向外側に位置している。また、突出部25の車両左右方向内側の面で貫通孔26に対応する位置には、螺子締結手段を構成する雌螺子30を有するナット31が例えば溶接等により固定されており、ノブボルト27の軸部28の外周面に形成された雄螺子32がナット31の雌螺子30に螺合している。
【0025】
また、エンジンルーム7の上部には、
図4及び
図5に示すように、車両左右方向に延びるロッド33が配設されている(
図8も参照)。ロッド33は、
図4~
図8に示すように、ラジエータ20の上部から上方へ延出する延出部34に固定されている。延出部34は、L字板39及び塞板36を備えている。L字板39は、L字状の平板をなし、平板状の一端部がラジエータ20の上部に例えば螺子締結等により固定され、平板状の他端部が上方へ延びている。L字板39の上方へ延びる平板状の他端部の上部には、上方に開放されると共に車両前後方向に貫通し車両前後方向視において略U字状をなす凹部35が形成されており、この凹部35を前方から塞ぐように平板状の塞板36が例えば螺子締結等により固定されている。
【0026】
塞板36の上部には、V字状に切り欠かれると共にV字状の頂点から下方へ延びるように切り欠かれたY字状の切欠部37が設けられている。Y字状の切欠部37のうちのV字状の切欠部は、ボンネット6を取り付ける際の後述のブラケット43の案内となるものであり、V字状の切欠部に連設され下方へ延びる垂下切欠部38は、ブラケット43が進入可能な幅に形成されている。Y字状の切欠部37のうちの垂下切欠部38の上下方向途中位置の前側には、車両左右方向に延びるロッド33が横切るように配設され、当該ロッド33の両端部は、例えば溶接等により塞板36に固定されている。
【0027】
一方、エンジンルームカバーとしてのボンネット6は、
図2、
図4及び
図5に示すように、エンジンルーム7を上方から覆う上部40を備える共に、車両左右方向側方から覆う側部41,41をそれぞれ備える。側部41は、エンジンルーム7の前部より後方側を覆い、エンジン8や動力噴霧機が車両左右方向外側へ露出するように構成されている。また、ボンネット6の後部には、側部41の後部側へ亘って後方へ開放される開口42が開口され、ラジエータ20やエアクリーナ21が後方へ露出するようになっている。
【0028】
図4及び
図5に示すように、ボンネット6の上部40の内面には、ブラケット43が例えば螺子締結等により下方へ突出するように固定されている。ブラケット43は、L字状の平板に構成され、下方に突出する平板部が、車両左右方向視において逆V字状に形成されている。ブラケット43は、逆V字状の逆V字部(縁)44が、Y字状の切欠部37の垂下切欠部38に進入し、エンジンルーム7の上記ロッド33を車両前後方向から挟み込むようにして当該ロッド33に載置されて(ブラケット43の逆V字部44とロッド33がかみ合い)支持され、ボンネット6の着脱の際にロッド33を回動中心として当該ロッド33に回動可能且つ当該ロッド33に接離可能とされている。
【0029】
また、ボンネット6の側部41には、
図2、
図3及び
図5に示すように、その前端の下部側に、前方へ開放され後方へ短尺に延びる切欠部45がそれぞれ設けられている。この切欠部45には、
図3に示すように、ノブボルト27の軸部28が遊嵌配置され、切欠部45の閉塞端部に当接した状態となっている。このノブボルト27の軸部28は、ボンネット6の着脱の際のロッド33を回動中心としたボンネット6の回動により、切欠部45に対して進入/退出可能とされている。
【0030】
この状態、すなわち、ノブボルト27の軸部28が切欠部45に進入しノブボルト27の頭部29とプレート23の突出部25との間にボンネット6の側部41を挟み込んだ状態で、ノブボルト27の頭部29の締付方向への回転によりノブボルト27の雄螺子32が、プレート23に固定されたナット31の雌螺子30に螺子込まれることによって、ボンネット6がエンジンルーム7のプレート23に着脱可能に装着されている。
【0031】
そして、
図3及び
図4に示すように、プレート23、ロッド33、ブラケット43、切欠部45、螺子締結手段としてのノブボルト27及び雌螺子30を有するナット31により、ボンネット6をエンジンルーム7に対して取り付け、又は、取り外すボンネットの着脱機構が構成されている。
【0032】
このように構成されたボンネットの着脱機構によれば、
図2に示す状態からボンネット6を取り外す場合には、
図3を参照すれば、運転手等の作業者は、先ず、ノブボルト27の頭部29を締付方向とは反対方向へ回転させてノブボルト27の頭部29を緩め、エンジンルーム7に配設されたプレート23とノブボルト27の頭部29との間に挟み込まれ固定されているボンネット6の側部41をフリーとし、
図4を参照すれば、エンジンルーム7の上部に配設され、ボンネット6の上部40の内面のブラケット43を載置し支持しているロッド33を回動中心として、
図3を参照すれば、ノブボルト27の軸部28がボンネット6の側部41の切欠部45から外れるようにボンネット6の後側を上方へ回動させ(
図9参照)、ノブボルト27の軸部28がボンネット6の側部41の切欠部45から外れたらボンネット6を上方へ持ち上げブラケット43をロッド33から離間させることにより、ボンネット6を取り外すことができる。
【0033】
また、ボンネット6を取り付ける場合には、
図4を参照すれば、エンジンルーム7のロッド33にボンネット6のブラケット43を載置し支持させる。この際、ブラケット43の逆V字部44が、Y字状の切欠部37のV字状の切欠部に案内されて垂下切欠部38へ誘導されて当該垂下切欠部38へ容易に進入し、ロッド33に載置される。そして、ロッド33を回動中心として、
図3を参照すれば、ノブボルト27の軸部28がボンネット6の側部41の切欠部45に進入するようにボンネット6を回動させ、ノブボルト27の軸部28がボンネット6の切欠部45に進入して当該切欠部45の閉塞端部に突き当てられ、ノブボルト27の頭部29とエンジンルーム7のプレート23の突出部25との間にボンネット6の側部41が挟まれたら、ノブボルト27の頭部29を締付方向に回転させてノブボルト27の頭部29を締め付けることにより、ボンネット6を取り付けることができる。
【0034】
このように、ノブボルト27及びナット31を一々取り付け、取り外すことなく、ボンネット6を車両1に対して着脱できるため、ボンネット6の着脱作業の簡素化を図ることができる。
【0035】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、ロッド33を、ラジエータ20の上部に取り付けた延出部34に設けているが、延出部34は、エンジンルーム7に配設された他の部品に取り付けられていても良く、要は、ロッド33は、エンジンルーム7の上部に配設されていれば良い。
【0036】
また、上記実施形態においては、ノブボルト27及びナット31を、ラジエータ20の側部前部に取り付けたプレート23により支持するようにしているが、エンジンルーム7に配設された他の部品に取り付けられたプレートにより支持する構成であっても良く、要は、エンジンルーム7に配設されたプレートにより支持する構成であれば良い。
【0037】
また、上記実施形態においては、エンジンルーム7を車両後部に設けると共に、切欠部45を車両前方へ開放し、ボンネット6の後側を上方へ回動させるようにして、ノブボルト27の軸部28を切欠部45から外れるように構成しているが、これとは逆に、エンジンルーム7を車両前部に設けると共に、切欠部45を車両後方へ開放し、ボンネットの前側を上方へ回動させるようにして、ノブボルト27の軸部28を切欠部45から外れるように構成しても良い。
【0038】
また、上記実施形態においては、螺子締結手段の締付部及び軸部をノブボルト27としているが、蝶ボルト等であっても良い。
【0039】
また、上記実施形態においては、プレート23に溶接されたナット31により、螺子締結手段のプレート側の雌螺子30を構成するようにしているが、ナット31をなくしプレート23に形成された雌螺子30により、螺子締結手段のプレート側の雌螺子を構成するようにしても良い。
【0040】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、ブームスプレーヤ100に対する適用を述べているが、トラクタ等の農業用車両や建設用車両等に対しても適用でき、要はエンジン8を搭載し自走できる車両全てに対して適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1…車両、6…ボンネット、7…エンジンルーム、20…ラジエータ、23…プレート、27…ノブボルト(螺子締結手段)、28…軸部、29…頭部(締付部)、30…雌螺子、31…ナット(螺子締結手段、ボンネットの着脱機構)、32…雄螺子、33…ロッド、34…延出部、40…上部、41…側部、43…ブラケット、45…切欠部、100…ブームスプレーヤ。